トップ :: E 固定構造物 :: E05 錠;鍵;窓または戸の付属品;金庫




【発明の名称】 非常脱出用の扉装置
【発明者】 【氏名】持田 晴雄

【氏名】姜 龍雲

【要約】 【課題】錠止機構が扉枠の内部に組み込んである内組み型の非常脱出用の扉装置において、扉枠の内部に組み込まれる錠止機構や動作変換機構等を簡素化して、全体コストの削減化を図る。

【解決手段】縦枠3aの内部に、上下一対のロックボルト10・11と、入力軸12と、入力軸12の回転動作を往復動作に変換してロックボルト10・11に伝える一対の変換アーム15・16とを組む。扉3の片面に、前後揺動するバーハンドル4を設け、これを縦枠3aに装着した左右一対のハンドル軸26とアーム27とで支持する。ハンドル軸26はバーハンドル4に同行して往復回動する。この動作を入力軸12を介して変換アーム15・16に伝え、ロックボルト10・11を出退操作する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扉3の縦枠3a内に組み込まれる錠止機構と、扉3の片面に配置されて錠止機構を解錠操作するバーハンドル4とを備えており、錠止機構は、上下スライド自在に案内支持される上下一対のロックボルト10・11と、バーハンドル4で回動操作される入力軸12と、入力軸12の回動操作を上下方向の動作に変換して各ロックボルト10・11に伝える動作変換機構とを含み、バーハンドル4は、左右の縦枠3aで回転自在に軸支した左右一対のハンドル軸26と、扉3の片面を横切るハンドル本体28と、ハンドル本体28と左右のハンドル軸26とを連結する一対のアーム27とを含み、ハンドル本体28が、アーム27および一方のハンドル軸26を介して入力軸12と連結されて、扉3の面壁から遠ざかる待機位置と、扉3の面壁に接近する作動位置との間を往復揺動できるよう軸支され、ばね25で待機位置に位置保持されている非常脱出用の扉装置。
【請求項2】 動作変換機構が、それぞれ揺動自在に軸支されて、互いに逆向きに揺動するよう連結された一対の変換アーム15・16からなり、各変換アーム15・16の操作腕15a・16aが、それぞれ上下のロックボルト10・11と連動可能に連結され、いずれか一方の変換アーム15が入力軸12に連結してある請求項1記載の非常脱出用の扉装置。
【請求項3】 一対のロックボルト10・11のいずれか一方と縦枠3aとの間に、解錠操作されたロックボルト10に係合して、ロックボルト10を解錠状態のまま位置保持するロック具13と、開放後の扉3の閉止操作に連動してロック具13をロック解除操作するリセット機構14とが設けてある請求項1または2記載の非常脱出用の扉装置。
【請求項4】 ロック具13が、ロックボルト10に対して接離揺動自在に軸支されたロックアーム44と、ロックアーム44をロックボルト10へ向かって揺動付勢するばねと、ロックボルト10に設けられて、ロックアーム44のロック爪46に係合するロック部45とからなり、リセット機構が、縦枠3aに沿って出退スライド自在に案内支持されたトリガーロッド49と、トリガーロッド49を開口枠2に接当する向きに進出付勢するばね50と、トリガーロッド49が開口枠2でばね50に抗して退入移動操作される状態において、トリガーロッド49と同行移動してロックアーム44をロック解除操作する解除具51とからなる請求項3記載の非常脱出用の扉装置。
【請求項5】 ハンドル本体28が、左右一対のアーム27で前後傾動可能に軸支されて、ばね41で起立保持されており、一方のハンドル軸26と入力軸12とが、それぞれの軸端に設けた第1凹凸係合片30・31を介して同行回転可能に連結されており、両ハンドル軸26とアーム27とが、それぞれの連結端に設けた第2凹凸係合片32・33を介して同行回転可能に、かつ回転軸心と直交する向きに着脱可能に接続されており、一方のアーム27とハンドル軸26、および他方のアーム27とハンドル軸26と入力軸12とが、それぞれアーム27の側からねじ込んだねじ37で軸方向へ分離不能に締結固定してある請求項3または4記載の非常脱出用の扉装置。
【請求項6】 扉3を挟んでバーハンドル4と対向する扉面側の縦枠3aに錠54が装着され、その錠軸55に解除アーム56が取り付られており、解除アーム56に面したロックボルト11の周面に、受動片57が固定されており、錠54をキーで解錠して、ロックボルト11を解錠アーム56で受動片57を介して解錠操作できるようにした請求項3または4記載の非常脱出用の扉装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、非常時に備えて正規の出入口とは別に設けられる非常脱出用の扉装置に関する。この種の扉装置は、劇場や公会堂等のように多人数が集まる場所に設置され、あるいは駅の乗降用プラットホームに、自動開閉する乗降口ドアと共に併設されて、電車からの非常脱出に供される。
【0002】
【従来の技術】この種の扉装置は、ハンドルと、開口枠に係脱するロックボルトと、ハンドル動作をロックボルトの係脱方向の動作に変換する動作変換機構等を備えており、その基本構造はグレモン錠に見ることができる。錠止構造に関しては、全ての構造を扉の表面に組み付ける面付け型と、ハンドル以外の殆どの構造を扉の縦枠内部に組み込んだ内組み型とがある。特開昭54−92898号公報は前者の一例であり、後者例は、特開昭57−51378号公報、特開昭53−127093号公報、および特公昭63−15429号公報等に認められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】内組み型の錠止構造は、その殆どを扉の縦枠の内部に組み込むので、外観上の体裁に優れいたずらも受けにくい。反面、縦枠の内部に錠止機構を組むのに多くの手間を要する。動作変換構造を含む錠止装置全体の構造が複雑化し、扉装置の全体コストが高く付く。扉を非常開放した後、ハンドルから手を放してしまうと、ハンドルの復帰動作に連動してロックボルトが錠止姿勢に復帰するので、開口枠の構造によっては、扉を閉止する際にロックボルトが開口枠に衝突し変形するおそれがある。
【0004】この発明の目的は、扉の縦枠の内部に組み込まれる錠止機構、および動作変換構造等を簡素化し、その分だけ全体コストを削減できる非常脱出用の扉装置を提供することにある。この発明の他の目的は、扉の片面にバーハンドルが設けてあり、非常時にバーハンドルを扉側へ押圧操作すると、ロックボルトを解錠状態に維持できるうえ、非常脱出後に扉を閉じ操作すると、ロックボルトを施錠状態に自動復帰できる非常脱出用の扉装置を提供することにある。この発明の別の目的は、扉の外面に突出するハンドルレバーを扉枠内の錠止機構に対して簡単に後組みでき、従ってバーハンドルと扉とを分離した状態で移送し、施工現場においてハンドルレバーを簡単に組み付けることができる非常脱出用の扉装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の扉装置は、図2に示すごとく扉3の縦枠3a内に組み込まれる錠止機構と、扉3の片面に配置されて錠止機構を解錠操作するバーハンドル4とを備えている。錠止機構は、図1および図3に示すごとく上下スライド自在に案内支持される上下一対のロックボルト10・11と、バーハンドル4で回動操作される入力軸12と、入力軸12の回動操作を上下方向の動作に変換して各ロックボルト10・11に伝える動作変換機構とを含む。バーハンドル4は、図1および図6に示すごとく左右の縦枠3aで回転自在に軸支した左右一対のハンドル軸26と、扉3の片面を横切るハンドル本体28と、ハンドル本体28と左右のハンドル軸26とを連結する一対のアーム27とを含む。ハンドル本体28は、アーム27および一方のハンドル軸26を介して入力軸12に連結されて、扉3の面壁から遠ざかる待機位置と、扉3の面壁に接近する作動位置との間を往復揺動できるよう軸支され、ばね25で待機位置に位置保持されている。
【0006】上記の動作変換機構は、図4に示すごとくそれぞれ揺動自在に軸支されて、互いに逆向きに揺動するよう連結された一対の変換アーム15・16からなる。各変換アーム15・16の操作腕15a・16aは、それぞれ上下のロックボルト10・11と連動可能に連結して、いずれか一方の変換アーム15を入力軸12に連結する。
【0007】一対のロックボルト10・11のいずれか一方と縦枠3aとの間には、図8に示すごとく解錠操作されたロックボルト10と係合して、ロックボルト10を解錠状態のまま位置保持するロック具13と、開放後の扉3の閉止操作に連動してロック具13をロック解除操作するリセット機構14とを設ける。
【0008】ロック具13は、図8〜図10に示すごとくロックボルト10に対して接離揺動自在に軸支されたロックアーム44と、ロックアーム44をロックボルト10へ向かって揺動付勢するばねと、ロックボルト10に設けられて、ロックアーム44のロック爪46に係合するロック部45とからなる。リセット機構は、縦枠3aに沿って出退スライド自在に案内支持されたトリガーロッド49と、トリガーロッド49を開口枠2に接当する向きに進出付勢するばね50と、トリガーロッド49が開口枠2でばね50に抗して退入移動操作される状態において、トリガーロッド49と同行移動してロックアーム44をロック解除操作する解除具51とからなる。
【0009】ハンドル本体28は、図1および図5に示すごとく左右一対のアーム27で前後傾動可能に軸支したうえで、ばね41で起立保持する。一方のハンドル軸26と入力軸12とは、それぞれの軸端に設けた第1凹凸係合片30・31を介して同行回転可能に連結する。両ハンドル軸26とアーム27とは、図6に示すごとくそれぞれの連結端に設けた第2凹凸係合片32・33を介して同行回転可能に、かつ回転軸心と直交する向きに着脱可能に接続する。一方のアーム27とハンドル軸26、および他方のアーム27とハンドル軸26と入力軸12とは、それぞれアーム27の側からねじ込んだねじ37で軸方向へ分離不能に締結固定する。
【0010】扉3を挟んでバーハンドル4と対向する扉面側の縦枠3aには、図11および図12に示すごとく錠54を装着する。その錠軸55には解除アーム56を取り付る。解除アーム56に面したロックボルト11の周面には、受動片57を固定する。錠54をキーで解錠することにより、ロックボルト11を解錠アーム56で受動片57を介して解錠操作できるようにする。
【0011】
【発明の作用効果】ハンドル本体28を左右一対のハンドル軸26で往復揺動可能に軸支し、ハンドル本体28の揺動動作を一方のハンドル軸26を介して入力軸12に伝えるようにしたので、扉3の縦枠3a内に組み込んだ機構および部品は、ロックボルト10・11と入力軸12以降の動作変換機構のみに限ることができる。つまり、ハンドル動作を入力軸12の回動動作に動作変換するための機構をバーハンドル4が兼ねるので、その分だけ縦枠3a内に組み込まれる機構部品数を減らして、この種の扉装置の全体構造を簡素化し、製造に要するコストの削減化が図れる。
【0012】動作変換機構としては、ギヤ歯が部分的に形成してある一対の扇形ギヤや、リンク機構等を適用できるが、揺動可能に軸支された一対の変換アーム15・16を動作変換要素とする錠止機構によれば、扇形ギヤを動作変換要素とする場合に比べて、変換アーム15・16をより低コストで形成でき、リンク機構を動作変換要素とする場合に比べて構造を簡素化できる。つまり、構造の簡素化と低コスト化とを同時に実現しながら、動作の信頼性を向上できる。
【0013】ロックボルト10を解錠状態のまま位置保持するロック具13と、非常脱出後の扉3の閉止動作に連動してロック具13をロック解錠操作するリセット機構14とを錠止機構に付加した扉装置によれば、非常脱出の際に、開扉状態である限りは、ロックボルト10・11が錠止状態に復帰してしまうのを阻止して、混雑した状況下で扉3が閉止されるような場合に、ロックボルト10・11が開口枠2と衝突して変形することを確実に防止できる。さらに、非常脱出が終了した時点で扉3を閉止操作すると、リセット機構14が作動してロック具13をロック解除し、ロックボルト10・11を開口枠2に対して錠止係合できる状態に復帰させ、錠止機構をリセットできるので、錠止機構をリセットするための特別な手間を掛ける必要がなく、この種の扉装置の使い勝手を向上できる。
【0014】揺動自在に軸支されたロックアーム44およびばね等でロック具13を構成し、ロックアーム44で解錠時でのロックボルト10を直接に係合保持するロック構造によれば、ロックボルト10をロック保持するための部品数を最小限化して、その製作コストを抑止できる。さらに、リセット機構14をトリガーロッド49と、ばね50と、トリガーロッド49と同行移動する解除具51とで構成し、トリガーロッド49が開口枠2で退入操作された閉扉状態において、先のロックアーム44を解除具51でロック解除操作するリセット構造によれば、ロック構造とリセット構造とを有機的に結合して、両構造をコンパクトにしかも最小限の部品数で構成でき、縦枠3aの限られた内部隙間に、両構造とトリガーロッド49とを支障なく組み付けることができる。
【0015】ハンドル本体28を軸支するアーム27とハンドル軸26、および一方のハンドル軸26と入力軸12とのそれぞれを、第1凹凸係合片30・31と第2凹凸係合片32・33を介して同行回転可能に連結するのは、入力軸12を含む錠止機構を縦枠3a内に先組みしておき、バーハンドル4を縦枠3aおよび入力軸12に対して後組みできるようにするためである。詳しくは、左右のハンドル軸26を縦枠3aに組むとき、その一方を入力軸12に接合して第1凹凸係合片30・31どうしを互いに嵌係合するだけで両軸12・26を同行回転可能に連結できる。さらに、ハンドル本体28を軸支する左右のアーム27を、ハンドル軸26に対して第2凹凸係合片32・33を介して連結することにより、ハンドル本体28を左右のハンドル軸26に対して支障なく接合固定できる。
【0016】上記のように、左右のハンドル軸26を縦枠3aに組んだうえで、その軸端に左右のアーム27を凹凸係合する扉装置によれば、扉3の片面に突出するバーハンドル4と扉3とを分離した状態で取り扱うことができる。また、施工現場においては、ハンドル軸26を縦枠3aに組んだ後、左右のアーム27をハンドル軸に対して係合連結し、ねじ37でアーム27、ハンドル軸26および入力軸12を締結するだけで、誰もがバーハンドル4を先組みした錠止機構に対して容易に組むことができる。
【0017】バーハンドル4とは別に、ロックボルト11を解錠操作するための錠54を付加した扉装置によれば、扉3を間にしてバーハンドル4と対向する扉面の側からもロックボルト11を解錠できるので、非常時には事情を良く知る係員が扉装置を開放して、脱出すべき人々を的確に誘導案内することができる。
【0018】
【実施例】図示例は本発明に係る非常脱出用の扉装置が駅のプラットホームに設けられる自動開閉式の乗降口ドアに隣接配置してある場合を示す。図2において符号1は引戸のように左右方向へ自動開閉する乗降口ドア1である。これらのドア1の左右両側に面して、非常脱出用の扉装置を設け、例えば電車等が規定位置より前後にずれた位置で停止した場合に、乗客が扉位置を開放操作してプラットホームへ脱出できるようにしてある。
【0019】扉装置は、開口枠2と、開口枠2にピポットレンジ5を介して揺動開閉自在に軸支した扉3と、扉3の揺動先端側の縦枠3a内に組み込まれる錠止機構と、錠止機構を解錠操作するバーハンドル4などを含む。バーハンドル4は扉3の軌道側に面して設けられる。なお、非常時における扉3はプラットホーム側へ開放揺動される。
【0020】図3において錠止機構は、縦枠3aの内面にそれぞれ上下3段に固定される各フレーム6・7・8と、主として上フレーム6に上下スライド自在に案内支持される上側のロックボルト10と、主として下フレーム8に上下スライド自在に案内支持される下側のロックボルト11と、中央のフレーム7に組まれる入力軸12と、入力軸12の回動動作を上下方向の往復動作に変換して各ロックボルト10・11に伝える動作変換機構と、上フレーム6に組み付けられるロック具13およびリセット機構14と、下フレーム8に組み付けられる錠機構などで構成する。
【0021】図4において動作変換機構は、それぞれの亜鉛ダイキャスト成形品からなるベルクランク状の一対の変換アーム15・16からなる。両変換アーム15・16は、それぞれのボスの一端周面に操作腕15a・16aと、連動腕15b・16bとを突設し、ボスの他端側に軸部を設けてなる。各アーム15・16は中央フレーム7に通設した軸受穴に回動自在に軸支し、止め輪で抜け止め固定する。さらに両アーム15・16の連動腕15b・16bどうしは、一方の連動腕15bのピン17と他方の連動腕16bの長孔18とを介して連結し、両アーム15・16が互いに逆向きに揺動できるようにする。上方の変換アーム15の操作腕15aは、上側のロックボルト10にピン19を介して連結する。下方の変換アーム16の操作腕16aは、下側のロックボルト11にピン20を介して連結する。上方の変換アーム15と中央フレーム7との間には、変換アーム15を図4において時計回転方向へ回動付勢して、上下のロックボルト10・11を上下方向に進出操作する捻りコイル形のばね21が設けてある。上方の変換アーム15は、図1に示すごとく入力軸12を兼ねる。
【0022】上下のロックボルト10・11は、それぞれの操作腕15a・16aに連結される連結軸10a・11aと、上フレーム6および下フレーム8で上下スライド自在に案内支持される係合ボルト10b・11bと、両者10aと10b、11aと11bをそれぞれ連結する調整ねじ軸10c・11cとからなる。各係合ボルト10b・11bの調整ねじ軸10c・11cに対するねじ込み量を加減することにより、係合ボルト10b・11bの縦枠3aからの突出量を調整できる。図4に示すように上方のロックボルト10の調整ねじ軸10cにはナット23をねじ込んであり、このナット23で受け止めた座金と中央フレーム7の上面壁との間に、バーハンドル4の傾動モーメントを相殺するための圧縮コイル形のばね24が介装されている。なお、各操作腕15a・16aと連結軸10a・11aの軌跡のずれは、操作腕15a・16aの連結穴を連結ピンの直径値より僅かに大きくすることで吸収している。
【0023】バーハンドル4は、図1および図6に示すごとく、左右の縦枠3aのそれぞれにブッシュ25を介して回転自在に軸支される左右一対のハンドル軸26と、両ハンドル軸26の軸端に連結される左右一対のアーム27と、両アーム27の間に配置されるハンドル本体28と、両アーム27の下端間に固定された角軸29とからなり、ハンドル本体28内に角軸29を通してある。
【0024】ハンドル軸26は一端にフランジを張り出した筒軸体からなり、縦枠3aに装着したブッシュ25に対して、枠外面側から差し込み装填されて、ハンドル本体28の前後揺動に同行して往復回動する。この回動動作を入力軸12に伝えるために、一方のハンドル軸26と入力軸12の軸端間には、図1に示すごとく互いに嵌係合する第1凹凸係合片30・31が設けられている。これらの係合片は、それぞれ扇形の突起と凹部とからなり、軸方向に嵌係合して回転力を入力転12へ伝える。ハンドル軸26のフランジ側の端面とアーム27との連結端には、同様の第2凹凸係合片32・33が設けてある。詳しくは、ハンドル軸26側に径方向線に沿う凸片を設け、アーム27側に凹溝を設けている。
【0025】アーム27は部分円弧状に湾曲する本体部27aを有し、この本体部27aの両端の一側面と、他側面とのそれぞれにボスを突設し、先のハンドル軸26と接合される上側のボスに、第2凹凸係合片32・33を構成する凹溝が設けられている。下側のボスにはハンドル本体28を軸支するための軸部34を設け、その突出基端に一対の規制片35を突設する。軸部34には、ビス穴と先の角軸29を受け入れる角穴が形成されている。
【0026】図5においてハンドル本体28は、断面楕円状で中央に太鼓形の傾動穴38が設けてあるアルミニウム形材からなる。傾動穴38は、アーム27の軸部34で軸支される中心穴39と、中心穴39の上下に設けられて先の規制片35を受け入れる扇形の逃げ溝40とからなり、この逃げ溝40の範囲内でハンドル本体28がアーム27に対して前後傾動できる。ハンドル本体28をその楕円の長軸を通る平面が垂直になるように姿勢保持するために、中心穴39を縦通する角軸29と逃げ溝40との間に捻りコイル形のばね41を設け、図5においてハンドル本体28を反時計回転方向へ回動付勢している。符号42は角軸29に固定したばね受ピンである。
【0027】ハンドル本体28および角軸29に、左右一対のアーム27を固定した後、アーム27を左右のハンドル軸26に対して直径方向へすべり込ませて、第2凹凸係合片32・33どうしを接合し、各アーム27の外面からビス(ねじ)37をねじ込むことにより、一方のアーム27とハンドル軸26とを分離不能に連結固定でき(図6参照)、他方のアーム27とハンドル軸26と入力軸12との三者を分離不能に連結固定できる(図1参照)。
【0028】上記の組付状態において、アーム27はハンドル軸26の外面下方へ垂れ下がるように湾曲しており、ハンドル本体28は楕円長軸を通る平面が垂直となるように姿勢保持されている。この状態のハンドル本体28を、図5の想像線で示すように扉3の面壁へ近付く向きに押圧すると、バーハンドル4はハンドル軸26を中心にして下方揺動して、入力軸12を回動操作する。その結果、一対の変換アーム15・16が互いに逆向きに揺動して、上下のロックボルト10・11を解錠操作する。ハンドル押圧時には、ハンドル本体28はアーム27と同行揺動するが、このときハンドル本体28を押圧者へ向かって徐々に上向き傾動させ、押圧操作を容易化するために、ハンドル本体28をアーム27で逃げ溝40の角度範囲だけ前後傾動可能に軸支し、ばね41で起立付勢している。待機状態におけるバーハンドル4は、自重によるモーメントを受けて下方揺動しようとする。この揺動モーメントに打ち勝って、バーハンドル4を待機保持するために、上側のロックボルト10と中央フレーム7との間にばね24を設けてある。
【0029】バーハンドル4を押圧して上下のロックボルト10・11を解錠操作すると、扉3はプラットホーム側へ揺動開放できる。しかし、ハンドル本体28の押圧力を解放すると、両ロックボルト10・11がばね24で押し戻されて施錠姿勢へ切り換わってしまう。こうしたロックボルト10・11の自己復帰動作を阻止するために、上フレーム6にロック具13を設け、さらに扉3を開口枠2内へ閉止するときの動作を利用してロック具13をロック解除操作するために、ロック具13に隣接してリセット機構14を設けてある。
【0030】図7ないし図10においてロック具13は、上端が上フレーム6に揺動自在に軸支されたロックアーム44と、係合ボルト10bの軸周面に周回溝として形成したロック部45とからなる。ロックアーム44の揺動先端(下端)には、ロック部45に落ち込み係合するロック爪46を折り曲げ形成する。ロックアーム44の板面には後述する解除ピン51と係合する解除溝47が通設してある。図9に示すようにロック爪46がロック部45に落ち込み係合した状態では、ロックアーム44が係合ボルト10bをばね24の付勢力に抗して突っ支い棒状に受け止め、これでロックボルト10・11を解錠姿勢に保持する。
【0031】リセット機構14は、図8に示すごとく係合ボルト10bと平行に配置されて、上フレーム6に上下スライド自在に案内支持されたトリガーロッド49と、トリガーロッド49を上向きに押し上げ付勢する圧縮コイル形のばね50と、トリガーロッド49に固定した解除ピン(解除具)51とで構成する。ばね50は解除ピン51と上フレーム6の内底壁との間に配置する。解除ピン49はロックアーム44の解除溝47に係合する。トリガーロッド49の上端には、ドア閉じ方向へ下り傾斜するカム面52が形成してある。
【0032】ロックボルト10・11が開口枠2のボルト穴と係合している状態において、トリガーロッド49の上端は開口枠2で受け止められている(図8参照)。このとき、ロックアーム44はその解除溝47の一側が解除ピン51で受け止められて、ロック爪46が係合ボルト10bの周面に臨む姿勢に保持されている。非常時に扉3を開放すると、まず図9に示すようにトリガーロッド49が開口枠2の上方に抜け出る。同時にトリガーロッド49は、ばね50で押し上げられて上方スライドし、解除ピン51がこれに同行して解除溝47内を上方に移動する。解除ピン51は解除溝47の上端に接当した後も、ばね50の押し上げ力を受けて上方移動し、この上方移動動作によってロックアーム44は図9において時計回転方向へ回動し、そのロック爪46が解錠方向へ下降操作された係合ボルト10bのロック部45へ落ち込み係合し、その状態に維持される。これにより、上下のロックボルト10・11は解錠状態に維持され、トリガーロッド49はその上端が係合ボルト10bの上端より上方へ突出する姿勢に維持される。
【0033】避難を終え事態が収拾した後に扉3を閉じ操作すると、係合ボルト10b・11bはそれぞれ開口枠2をくぐり抜けるが、トリガーロッド49の上端のカム面52は開口枠2と接当して、下向きの反力を受ける。そのため、トリガーロッド49は図10に示すようにばね50の押し上げ力に抗して下降移動し、下降し終わる直前に解除溝47に接当して、ロックアーム44を押し下げ操作し、ロック爪46とロック部45との係合状態を強制的に解除する。これと同時に上方のロックボルト10は、ばね24の押し上げ力を受けて上方スライドし、下方のロックボルト11は連動して下方スライドする。つまり、両ロックボルト10・11はそれぞれリセット操作された状態に切り換わる。従って、扉3を完全に閉止すると、図8に示すように各ロックボルト10・11は開口枠2と再び係合して、扉3を閉じ状態に維持し続ける。
【0034】必要時に、両ロックボルト10・11をプラットホーム側から解錠操作できるようにするために、縦枠3aのプラットホーム側の枠面下部に錠機構を設けている。その錠機構は、図11および図12に示すごとく下フレーム8に締結固定した市販のシリンダー錠(錠)54と、その錠軸55に固定した解除アーム56と、解除アーム56に対応して下方のロックボルト11の係合ボルト11bに固定した受動片57とからなる。解除アーム56には受動片57を介して係合ボルト11bを押し上げ操作するピン58が設けてある。受動片57は周面の前後に受爪59を突設した立方体状の金属ブロックからなり、係合ボルト11bに外嵌装着したうえでビスで固定してある。受爪59を前後に設けるのは、左右の勝手違いに対応するためである。
【0035】シリンダー錠54の鍵穴にキーを差し込んで回動操作すると、これに同行して解除アーム56が上方揺動して受爪59に接当し、受動片57を介してロックボルト11を上方へ解錠操作する。同時に上方のロックボルト10も解錠スライドするので、扉3をプラットホーム側へ開放できる。以後のロック具13の動作とリセット機構14の動作は先に述べた通りである。
【0036】上記のように構成した錠止機構は、上、中央、下の各フレーム6・7・8に錠止機構の全ての構成部品を組んでおき、この仮組み体を縦枠3aの下面開口61側から縦枠3a内へ挿入した後、係合ボルト10bとトリガーロッド49とを縦枠3aの上面に突出させ、枠下端に蓋体60をビス止めして先の開口を塞ぐ。次に各フレーム6・7・8を枠外面からねじ込んだビスで締結固定し、ロックボルト10・11、およびトリガーロッド49の突出量を調整する。この後、左右の縦枠3aにブッシュ25とハンドル軸26とを差し込み、最後に左右のアーム27をハンドル軸26に連結してバーハンドル4を扉3と一体化する。
【0037】上記の実施例以外に、動作変換機構は一対の扇形ギヤやリンク機構を動作変換要素とする構造であってもよい。入力軸12は変換アーム15・16のいずれか一方と連結してあればよく、両アーム15・16とは別の独立部品として形成してあってもよい。ハンドル本体28を待機位置に位置保持するばねは、アーム28やハンドル軸26と縦枠3aあるいは中央フレーム7との間に設けることができるが、実施例に説明したようにロックボルト10に外嵌する状態で設けておくと、錠止機構全体の組み付けを容易化できる。
【0038】ロック具13は往復変位するスライド片で形成してあってもよい。先の実施例におけるロックアーム44は、それ専用のばねでロック付勢することができる。第1・第2の各凹凸係合片30・31・32・33は、軸方向へ係合して一方から他方へ回転力を伝えることができれば、その構造の違いは問わない。錠54としてはシリンダー錠以外の市販の錠を適用できる。ハンドル本体28は断面楕円である必要はなく、丸棒や中空枠体を適用できる。解除具51としては、ピン以外の突起や突片等であってもよい。解除具51は解除溝47と係合している必要はなく、トリガーロッド49が下方移動するとき、ロックアーム44を強制的にロック解除操作できればよい。この発明の扉装置は、劇場や公会堂等の非常脱出用扉として適用できる。
【出願人】 【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
【出願日】 平成12年3月10日(2000.3.10)
【代理人】 【識別番号】100077920
【弁理士】
【氏名又は名称】折寄 武士
【公開番号】 特開2001−254558(P2001−254558A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−66194(P2000−66194)