トップ :: E 固定構造物 :: E05 錠;鍵;窓または戸の付属品;金庫




【発明の名称】 ドアロック装置の操作ワイヤ保持装置
【発明者】 【氏名】白銀 清志

【要約】 【課題】少ない部品点数で、操作ワイヤをドアロックに対してワンタッチで簡単かつ強固に取り付けることができる。

【解決手段】操作ワイヤ10の先端部に嵌合部である平面部12aを形成し、先端部よりやや中寄りの外周面に係合部である溝部12bを形成する。この操作ワイヤ10のアウタワイヤ12を固着する止着体20には、アウタワイヤ12を止着体内部へ挿入させると共にアウタワイヤを保持する挿入孔23と、アウタワイヤ先端部の平面部12aを嵌合させ保持する嵌合保持部である嵌合溝28、保持片25及びストッパ29を形成し、挿入孔23と嵌合保持部との間にアウタワイヤ12の溝部12bを係合保持しアウタワイヤ12の挿入孔23側への抜けを防止する弾性腕部24とを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロック機構に接続されたインナワイヤを摺動自在に挿通すると共に、先端部に嵌合部を形成し、先端部よりやや中寄りの外周面に係合部を形成した筒状のアウタワイヤからなる操作ワイヤを設け、この操作ワイヤのアウタワイヤを固着する止着体にはアウタワイヤを止着体内部へ挿入させると共にアウタワイヤを保持する挿入孔と、アウタワイヤ先端部の前記嵌合部を嵌合させ保持する嵌合保持部と、前記挿入孔と前記嵌合保持部との間にアウタワイヤの前記係合部を係合保持しアウタワイヤの前記挿入孔側への抜けを防止する弾性腕部とを設けて構成したことを特徴とするドアロック装置の操作ワイヤ保持装置。
【請求項2】 前記止着体をインナーパネルと共にロック機構の周囲を覆うロックカバーに一体形成したことを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置の操作ワイヤ保持装置。
【請求項3】 前記ロックカバーが外部からの不正な操作を防止する盗難防止カバーである請求項2に記載のドアロック装置の操作ワイヤ保持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車のドアロック装置に用いられる操作ワイヤの保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車のドアロック装置は、大略、図7に示すようにドアのストライカを保持しドアのロックを行なうロック機構70と、そのロック機構70を配設するセットプレート71と、外部からロック機構70への不正な操作を防止する盗難防止カバー(ロックカバー)72と、ドアロック装置を操作する操作手段とからなり、その操作手段として操作ワイヤ40を用いたドアロック装置では、ドアのハンドルなどの操作部材を操作することにより、操作ワイヤ40のインナワイヤ41が係止保持されたアウタワイヤ42内を摺動し、インナワイヤ41に接続されたロック機構70を構成する被操作レバー70a等が動作してドアの開閉及び、ロック、アンロックが操作される。また、前記盗難防止カバー72の開口部72aは、図8に示すドアのインナーパネル80により塞がれている。すなわち、ロック機構70の被操作レバー70aは盗難防止カバー72とインナーパネル80で周囲を覆われているので、外部からドアと窓ガラスの隙間より針金等を挿入し、不正にロック機構70の被操作レバー70aを操作されることがない。
【0003】前記操作ワイヤ40のドアロック側の先端部には、操作ワイヤ40をドアロック装置に固定するための筒形固定具50が設けられている。この筒形固定具50は合成樹脂によって形成されており、図6に示すように筒形固定具50の先端部よりやや中寄りの外周面には、嵌合溝部51が形成されており、その嵌合溝部51から終端にかけての軸中心部には、操作ワイヤ40を挿入するための連結筒孔52が設けられている。また連結筒孔52の先端面から筒形固定具50の先端部にかけての軸中心部にはインナワイヤ41を摺動自在に挿通させる挿通孔53が設けられている。
【0004】一方、操作ワイヤ40をドアロック本体へ保持する保持部60は、ドアロックのロック機構70を構成する各レバーを配設するセットプレート71の一端をL字形に形成して設けられている。その保持部60の中央部には、図5(A)に示すように、筒形固定具50の嵌合溝部51を嵌合させるための嵌合孔61が設けられ、保持部60の先端部には、筒形固定具50の嵌合溝部51を嵌合孔61へ差し入れるスリット62が形成されている。
【0005】前記した保持装置の組付は、操作ワイヤ40のインナワイヤ41を筒形固定具50の連結筒孔52から挿通孔53へと挿通させ、アウタワイヤ42の先端部を連結筒孔52の先端面に当接するまで連結筒孔52へ挿入し、超音波によりアウタワイヤ42と連結筒孔52の内周壁を熱溶着により固着させ、操作ワイヤ40と筒形固定具50を連結する。
【0006】そして、筒形固定具50の嵌合溝部51を保持部60のスリット62へ強く押し込むと、スリット62の幅が嵌合溝部51の径よりも小さく形成してあり、また筒形固定具50が樹脂材料にて形成してあるため、嵌合溝部51が変形してスリット62を通り抜け、嵌合孔61にて嵌合溝部51が弾性復帰し嵌合孔61へ嵌合し、図5(B)に示すように筒形固定具50と保持部60が連結される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記操作ワイヤの保持装置は、操作ワイヤ40の撓みによる荷重や動きが直接嵌合部に作用するため、筒形固定具50を用いて嵌合部の強度アップを図る必要があり、そのため、筒形固定具50を予め用意しておかなければならないので、コスト高となるとともに、操作ワイヤ40と筒形固定具50の取付に超音波固着等の処理を施す必要があるため、取付作業が手間のかかるものとなっていた。また、操作ワイヤ連結部のスリット62方向の保持力が筒形固定具50の嵌合溝部51の弾性力によってのみ保持されているため、外部からドアと窓ガラスの隙間より針金等を挿入し、操作ワイヤ40を上下左右に操作すると、操作ワイヤの連結部がこじれて嵌合溝部51が変形し、連結部のスリット62方向の保持力が弱まって操作ワイヤ40が外れ易くなり、不正にドアロック装置のロック機構70の被操作レバー70aが操作される可能性があった。
【0008】また、ドアロック装置のロック機構70の被操作レバー70aは盗難防止カバー72とドアのインナーパネル80によって覆われているが、盗難防止カバー72のワイヤ挿通孔72bの隙間より埃などが挿入し、ロック機構70の動作不良の原因となっていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、前記請求項1の発明では、ロック機構に接続されたインナワイヤを摺動自在に挿通すると共に、先端部に嵌合部を形成し、先端部よりやや中寄りの外周面に係合部を形成した筒状のアウタワイヤからなる操作ワイヤを設け、この操作ワイヤのアウタワイヤを固着する止着体にはアウタワイヤを止着体内部へ挿入させると共にアウタワイヤを保持する挿入孔と、アウタワイヤ先端部の前記嵌合部を嵌合させ保持する嵌合保持部と、前記挿入孔と前記嵌合保持部との間にアウタワイヤの前記係合部を係合保持しアウタワイヤの前記挿入孔側への抜けを防止する弾性腕部とを設けて構成したことを特徴とするドアロック装置の操作ワイヤ保持装置を提案する。
【0010】前記請求項2の発明では、前記止着体をロックカバーに一体的に形成したものである。
【0011】前記請求項3の発明では、前記ロックカバーが外部からの不正な操作を防止する盗難防止カバーであることが好ましい。
【0012】
【作用】操作ワイヤの先端部を止着体の挿入孔より挿入し、アウタワイヤの先端部の嵌合部を嵌合保持部に嵌合するように押し込める。この途中、アウタワイヤ先端部が左右の弾性腕部の間を進むときに、アウタワイヤの外周面により左右の弾性腕部が押されて拡開し、さらに押し進めていくと、弾性腕部が弾性復帰によりアウタワイヤの係合部に係合し、挿入孔側への抜けを防止する。すなわち、アウタワイヤの先端部を止着体に挿入するだけでアウタワイヤを止着体に連結することができ、筒形固定具を必要としない保持装置とすることができる。
【0013】また、前記止着体をロックカバーに一体的に形成することにより、部品点数を削減することができると共に、操作ワイヤとロックカバーの隙間をなくすことができる。
【0014】さらに、前記ロックカバーを盗難防止カバーとすることにより、盗難防止機能を備えたドアロック装置の操作ワイヤ保持装置とすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。図1及び図2は、本発明のドアロック装置の操作ワイヤ保持装置の構造を示し、図3及び図4は前記操作ワイヤ保持装置を採用したドアロック装置を示す。
【0016】操作ワイヤ10は、図1に示すように、管状のアウタワイヤ12と、このアウタワイヤ12内に摺動自在に挿通したインナワイヤ11とからなり、このアウタワイヤ12にはその先端部の外周面の左右を凹面形成した嵌合部である平面部12aを設け、さらに、先端よりやや中寄りには上記同様に外周面の左右部分を凹面形成した係合部である溝部12bが設けてある。そして、平面部12aと溝部12bの間が表面凸部12cとなっている。
【0017】前記操作ワイヤ10を係止保持する止着体20は、盗難防止カバー(ロックカバー)4に一体に形成された枠体21を備え、この枠体21の図1においての左枠部には操作ワイヤ10を挿通させる挿入孔23が設けられており、この挿入孔23の上部(図1において紙面手前側)には、操作ワイヤ10を保持する挿入孔23を形成する保持片22を設け、さらに、この保持片22の上部には、インナワイヤ11を上方から差し入れるスリット30が形成してある。
【0018】また、枠体21の右枠部にはアウタワイヤ先端部の嵌合部を嵌合させ保持する嵌合保持部が設けられており、この嵌合保持部はアウタワイヤ12の平面部12aを挿入し嵌合させる嵌合溝28と、その嵌合溝28の上方に設けられ、アウタワイヤ12を保持する保持片25と、前記嵌合溝28の外側に設けられ、アウタワイヤ12の先端部を受止めするストッパ29によって形成されている。そして、この嵌合保持部の保持片25の上部には、インナワイヤ11を上方から差し入れるスリット31が形成してある。
【0019】更に、枠体21の中央部には、挿入孔23側の枠体内面から挿入孔23を挟むようにそれぞれ突出させた一対の略Y字状の弾性腕部24が嵌合溝28に向かって設けてある。その弾性腕部24の先端部は、内側に形成されたアウタワイヤ12の外周面に形成した溝部12bを弾力的に係止する係止爪24aと、外側に形成され、その係止状態を解除するための解除爪24bによって形成されている。
【0020】このように形成した止着体20は、図3に示すように合成樹脂材料で成形された盗難防止カバー4に一体的に形成されている。
【0021】以上の構成からなる操作ワイヤの保持装置において、操作ワイヤ10を保持するには、図1の矢印で示すように、アウタワイヤ12の先端を挿入孔23から挿入する。この場合、図示するように先端部の平面部12aが左右(図1では上下方向)となるようにアウタワイヤ12の回転方向の位置を大体に定めて挿入する。なお、アウタワイヤ12より引き出したインナワイヤ11は、その先端部をロック機構2の被操作レバー2aに連結したのち、スリット30、31から予め差し入れておく。
【0022】アウタワイヤ12を押し込むと、その先端部が2つの係止爪24aの間を通るときに、左右の平面部12aが係止爪24aによって左右側位置に正しく回動規制される。前記アウタワイヤ12を引き続き押し込むと、その表面凸部12cが係止爪24aに当接するが、さらにアウタワイヤ12を押し込めば、この当接作用によって弾性腕部24が外方に撓んで押し広げられ、アウタワイヤ12の先端が嵌合溝28内に嵌入していく。
【0023】さらに、アウタワイヤ12の先端面がストッパ29と当接するまで進むとアウタワイヤ12の表面凸部12cが係止爪24aから抜け出て、枠体係止面27に当接する。そして、弾性腕部24が弾性により復帰し、係止爪24aがアウタワイヤ12の溝部12bを係止する。
【0024】この状態において、アウタワイヤ12は、その平面部12aが嵌合溝28と嵌合して回転が阻止されると共に、溝部12bに係止爪24aが係止して抜け出しが防止される。
【0025】更に、アウタワイヤ12は、保持片22によって形成された挿入孔23と嵌合溝28及び保持片25によって上下方向と左右方向の動きが阻止される。
【0026】すなわち、アウタワイヤ12と弾性腕部24の係合部分を挟んだ、先端部と後端部でそれぞれアウタワイヤ12の回転及び上下左右の動きを阻止しているため、直接前記係合部分にアウタワイヤ12の動きが作用しない。そのため、アウタワイヤ12と弾性腕部24の係合が外れることはなく、コントロールワイヤ10は止着体20に強固に係止保持される。
【0027】また、インナワイヤ11の断線などにより操作ワイヤ10を取り替える必要が生じた場合には、弾性腕部24をペンチなどの工具を用いて、工具の先端を解除爪24bに引っかけ、外方に押し広げると、係止爪24aとアウタワイヤ12の溝部12bの係合が解除され、操作ワイヤ10を止着体20から取り外すことができる。
【0028】そして、ロック機構2は図3及び図4に示すように盗難防止カバー4に周囲を覆われており、盗難防止カバー4の開口部4aはインナーパネル5により塞がれている。さらに止着体20を盗難防止カバー4に一体に形成することにより、操作ワイヤ10と盗難防止カバー4の隙間をなくすことができるので、ロック機構2の周囲がすべて覆われ、外部から埃などがロック機構2内部へ挿入することがない。
【0029】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明に係るドアロック装置の操作ワイヤの保持装置によれば、操作ワイヤの止着体に備えた挿入孔に挿通し、アウタワイヤ先端部の嵌合部を止着体の嵌合保持部に嵌合させ、またアウタワイヤの係合部を止着体の弾性腕部で係止させる構成としたので、アウタワイヤの嵌合部が止着体の嵌合保持部に嵌合することによってアウタワイヤの回転が阻止され、アウタワイヤの係合部が止着体の弾性腕部によって係止されて抜け出しが防止され、さらに、挿入孔と嵌合保持部によって上下方向と左右方向の動きが阻止されるので、外部からの操作ワイヤへの不正な操作に対しても外れにくい強固な保持力を得ることが可能となると共に、従来例のような筒形固定具が不必要となるので、部品点数が削減でき、生産コストを低減することが可能となる。
【0030】また、止着体を盗難防止カバーに一体的に形成することにより、操作ワイヤと盗難防止カバーの隙間をなくすことができ、埃などが挿入して動作不良が発生せず、長期に亘って安定した動作を有するドアロック装置を構成することが可能となる。
【0031】
【出願人】 【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
【出願日】 平成12年6月12日(2000.6.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−349116(P2001−349116A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−175222(P2000−175222)