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【発明の名称】 引戸用鎌錠のストライク
【発明者】 【氏名】新田敏明

【氏名】岩田圭司

【要約】 【課題】戸枠と引戸との間隙の大小に拘わらず、鎌片をいわゆるガタなく掛合部材に係止させることができること。また引戸を単に手で引き寄せることが可能であること。

【解決手段】ストライク本体16内に、第1バネ部材20により常時掛合方向へ付勢された掛合部材19を昇降動自在に設け、またストライク本体16内に、掛合部材19の係合部31に遊びを持った状態で係合するストッパー部38と鎌片用窓32へと臨む鎌片受け部39とを有する鎌片追従ストッパー片35を軸支し、該鎌片追従ストッパー片35は、第1バネ部材よりもバネ力が強く設定された第2バネ部材40により掛合部材19を押し戻す方向へ常時付勢されていると共に、掛合時鎌片8の押圧力によって鎌片8の動きに共働的に追従し、一方、該鎌片追従ストッパー片35に追従して鎌片用窓32へと摺動する掛合部材19は、引戸1を閉じた際に戸枠15と引戸との間に若干の間隙aが生じていても、掛合時鎌片8を係止する鉤状先端部28を有していること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ストライク本体16内に、第1バネ部材20により常時掛合方向へ付勢された掛合部材19を昇降動自在に設け、またストライク本体16内に、掛合部材19の係合部31に遊びを持った状態で係合するストッパー部38と鎌片用窓32へと臨む鎌片受け部39とを有する鎌片追従ストッパー片35を軸支し、該鎌片追従ストッパー片35は、第1バネ部材よりもバネ力が強く設定された第2バネ部材40により掛合部材19を押し戻す方向へ常時付勢されていると共に、掛合時鎌片8の押圧力によって鎌片8の動きに共働的に追従し、一方、該鎌片追従ストッパー片35に追従して鎌片用窓32へと摺動する掛合部材19は、引戸1を閉じた際に戸枠15と引戸との間に若干の間隙aが生じていても、掛合時鎌片8を係止する鉤状先端部28を有していることを特徴とする引戸用鎌錠のストライク。
【請求項2】 請求項1に於いて、掛合部材19の鉤状先端部28には傾斜状掛合面29が形成され、一方、鎌片8の先端部8aには、掛合時前記傾斜状掛合面29に面接触するテーパ面13が形成されていることを特徴とする引戸用鎌錠のストライク。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に於いて、掛合部材19は、ストライク本体16の前面板18の内壁面と面接触する垂直スライド前面21を有するブロック体であることを特徴とする引戸用鎌錠のストライク。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、引戸用鎌錠のストライクに関する。
【0002】
【従来の技術】引戸用の鎌錠(戸先錠)は、引戸の縦框に取り付けられる。この鎌錠は錠ケース内にシリンダーダルマ又はサムターンダルマの駆動力によって掛合方向へと出没自在に回転する鎌片を備えている。一方、鎌片が係脱するストライクは、引戸用の戸枠に適宜に組込まれている。
【0003】この種の戸先錠(鎌錠)を有する引戸は、戸枠に嵌めむ場合に、地震などの揺れを考慮し、普通一般に若干の間隙を設けている。この間隙は、例えば1mm〜5mm程度である。このような場合、引戸を閉じた際に鎌片は、戸枠と引戸との間隙の大小に拘わらず、いわゆるガタがなく掛合部材に係止されるのが望ましい。
【0004】一方、引戸如何によっては、いわゆる跳ね返り現象が生じる場合がある。このような場合に於いて、しばしば若干の隙間があるのにも拘わらず、鎌片をストライクの掛合部材に掛け合わせる時がある。このような時、シリンダーダルマ又はサムターンダルマを強制的に回すのではなく、引戸を単に閉めるだけで所望の掛合状態を達成することができれば問題はない。
【0005】そこで、現在、複雑な構成を採用することなく、上述した幾つかの要望を満たすことができる引戸用鎌錠のストライクの出現が期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、戸枠と引戸との間隙の大小に拘わらず、鎌片をいわゆるガタなく掛合部材に係止させることができることである。第2の目的は、引戸を閉めた場合に於いて、戸枠と引戸との隙間が大き過ぎた時、シリンダーダルマ又はサムターンダルマを強制的に回すのではなく、引戸を単に閉めるだけで所望の掛合状態を達成することができることである。第3の目的は、構成する部品点数を少なくすることである。第4の目的は、鎌錠装置の取り付け作業の効率化を図ることができることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の引戸用鎌錠のストライクは、引戸1に取付けられた錠ケースに出没自在に設けられた回動鎌片8を係止するために戸枠15に組込まれた引戸用鎌錠のストライクに於いて、ケース状のストライク本体16内に、第1バネ部材20により常時掛合方向へ付勢された掛合部材19を昇降動自在に設け、またストライク本体16内に、前記掛合部材19に形成した係合部31に遊びを持った状態で係合するストッパー部38と鎌片用窓32へと臨む鎌片受け部39とを有する鎌片追従ストッパー片35を軸支し、該鎌片追従ストッパー片35は、前記第1バネ部材よりもバネ力が強く設定された第2バネ部材40により掛合部材19を押し戻す方向へ常時付勢されていると共に、掛合時鎌片8の押圧力によって鎌片8の動きに共働的に追従し、一方、該鎌片追従ストッパー片35に追従して鎌片用窓32へと摺動する掛合部材19は、引戸1を閉じた際に戸枠15と引戸との間に若干の間隙aが生じていても、掛合時鎌片8を係止する鉤状先端部28を有していることを特徴とする引戸用鎌錠のストライク。
【0008】上記構成に於いて、掛合部材19の鉤状先端部28には傾斜状掛合面29が形成され、一方、鎌片8の先端部8aには、掛合時前記傾斜状掛合面29に面接触するテーパ面13が形成されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】図1乃至図5により本発明の実施形態の第1実施例を説明する。まず1は鎌錠Xを有する引戸、2は引戸1の縦框に内装された錠ケースで、該錠ケース2は鎌錠Xの構成の一部を成す。3は錠ケースの開口部4側に固定されたフロント、5は制御部材の一例としてのサムターン本体、6はサムターンダルマ、7は制御部材によって制御される駆動部材、8は駆動部材によって回転する鎌片である。なお、前記制御部材5,6と駆動部材7は、説明の便宜上の区分けに過ぎないので、両部材を制御又は駆動部材と称しても良い。
【0010】次に前記各部材について簡単に説明する。引戸1は、本実施例では「戸先錠」と称されるものを意味する。したがって、錠ケース2に出没自在に設けられた鎌片8は、戸枠側に設けられたストライクYの掛合部材19に係脱する。錠ケース2は、室内側に仮想線で示すサンターン本体5を、一方、室外側にキーによって回転する図示しないシリンダーを備えている。サムターンダルマ6は中心部に係合孔を有すると共に、その同芯円上の一部に制御ギヤ6aが設けられている。駆動部材7はサムターンダルマ6と鎌片8との間に介在し、かつ、錠ケース2に横設軸架された固定横軸9に軸支されている。駆動部材7は半径方向へ多少突出する駆動腕7a及び前記制御ギヤ6aに噛合するセクターギヤ7bを有している。
【0011】鎌片8は、固定支軸10に軸支され、フロント3から突出する先端部8a、該先端部に連設する首部8b、該首部に連設する後端部8cに区分けされている。図1を基準にすると、鎌片8の後端部8cには斜め方向に案内長孔11が形成され、該案内長孔11には駆動部材の駆動ピン12が遊嵌合している。このように引戸1には錠ケース,制御部材,駆動部材,鎌片などから構成されている鎌錠Xが設けられている。
【0012】一方、戸枠15には鎌片の受け部材であるストライクYが取付けられている。このストライクYは、本実施例では、ケース状の固定枠17及び該固定枠17の開口部に固定された前面板18とから成るストライク本体16と、このストライク本体16内に摺動自在に設けられた掛合部材19と、この掛合部材19を鎌片8の掛合う方向へ付勢する第1バネ部材20と、この第1バネ部材よりもバネ力が強い第2バネ部材によって常時一定方向へと付勢され、かつ、ストライク本体16内に軸支された鎌片追従ストッパー片35とから構成されている。
【0013】そこで、主たる構成部材について説明する。まず掛合部材19は、図1,図3等で示すようにストライク本体16の前面板18の内壁面と面接触する垂直スライド前面21を有する。またこの垂直スライド前面21と交差する後部水平面(図2を基準にすると上部の面に相当)22を有し、この後部水平面22にはバネ部材20の下端部を支持する計2個のバネ用支持穴25が形成されている。また後部水平面22及び垂直スライド前面21に交差する左右の側壁面23,23を有する。図3で示すように垂直スライド前面21の左右縁部27,27は、左右の側壁面23,23から突出し、これらの摺動凸条27,27は、ストライク本体16の固定枠左右側壁部17b,17bに形成した案内切欠部26,26にそれぞれ係合している。また垂直スライド前面21の先端部(図2を基準にすると下部に相当)28は背面部に向かって鉤状に形成されている。そして、該鉤状先端部28には、ストライク本体16の固定枠背面部17aの下部に指向する、或いは斜め方向に傾斜する掛合面29が形成されている。この傾斜状掛合面29は掛合時鎌片8の先端部8aのテーパ面13と面接触する。さらに、掛合部材19は、背面部30に後述する鎌片追従ストッパー片の板状ストーパー部と遊び状態で係合する係合部(切欠部,係合溝,係合突起など)31を有する。なお、32はストライク本体16に形成された鎌片用窓で、この鎌片用窓32のの開口幅は、掛合面29の係合幅を考慮してやや幅広に形成されている。
【0014】次に鎌片追従ストッパー片35は、ストライク本体16内の適宜箇所、本実施例ではストライク本体16の上部寄りの部位に横設軸架された横軸36に枢支されている。鎌片追従ストッパー片35は、図3で示すように左右に筒状軸受け部37,37を有し、これらの筒状軸受け部37,37には、掛合部材19の係合部31に係合する板状ストッパー部38が設けられている。この板状ストッパー部38は、第1バネ部材20のバネ力により鎌片用窓32へと移動しようとする掛合部材19を停止させる支持機能を有している。一方、筒状軸受け部37,37には、鎌片用窓32に臨むように延びる長板状鎌片受け部39が設けられている。この長板状鎌片受け部39は、前記板状ストッパー部38に対して鋭角に設定されている。
【0015】最後に横軸36に装着された第2バネ部材40の中央部40aは、前記筒状軸受け部37,37内の空間部に位置している。そして、一端部40bはストライク本体16内に掛け渡したバネ端受け用支持ピン41に支持され、他端部40cは鎌片追従ストッパー片35の板状ストッパー部38の背面に圧接している。
【0016】ところで、鎌片追従ストッパー片35を付勢する第2バネ部材40のバネ力は、掛合部材19を付勢する第1バネ部材のバネ力も強く設定されている。したがって、鎌片追従ストッパー片35は、図2で示すように非掛合状態の場合には、第2バネ部材40のバネ力により掛合部材19を押し戻す方向(図2では上方方向)へ付勢している。
【0017】上記構成においては、引戸1と戸枠15との間に若干の隙間a、例えば1mm,3mm,5mmがあっても、つまり、引戸1を閉めた場合において、引戸1と戸枠15との間に若干の隙間aがあっても、間隙aの大小に拘わらず、ガタなく鎌片8を掛合部材19に係止させることができる(図5参照)。
【0018】図4は引戸1を閉じた時、隙間aが、例えば3mm程度ある場合を想定した説明図である。この場合鎌片8が制御部材(サムターンダルマ,シリンダーダルマ等)5及び駆動部材7の駆動力により時計方向へ回転すると、まず先端部8aが窓32に入り込み、次いで長板状鎌片受け部39に当たる。この時先端部8aのテーパ面13と掛合部材19の傾斜状掛合面29とは相当離れている。
【0019】そこで、鎌片8が施錠方向へと回り続けると、鎌片追従ストッパー片35は先端部8aに押される格好になるから、鎌片8の押圧力によって鎌片8の動きに共働的に追従し、かつ、第2バネ部材40のバネ力に抗して時計方向に回転する。鎌片追従ストッパー片35が鎌片8に押されて回転すると、掛合部材19も鎌片追従ストッパー片35の動きに追従するので、そのストッパー部38は回転量に対応して下方方向へ傾き、その分掛合部材19は第1バネ部材のバネ力あるいは自重により下降する。
【0020】ところで、本実施例では、鎌片追従ストッパー片35の板状ストッパー部38は、掛合部材19の切欠状係合部31に遊びを持った状態で係合しているので、鎌片8に押されても何らの障害もなく「スムース」に回転する。したがって、図4は主たる構成部材8,35,19がそれぞれシンプルな構成でスムースに動く途中状態を示している。そして、図5は鎌片8がさらに回転して施錠状態になった場合を示す。この場合掛合部材19は鎌片8の先端部8aにより第1バネ部材20のバネ力に抗して押し上げられている。したがって、鎌片8は、図5で示すように間隙aの大小に拘わらず、ガタがなく掛合部材19の掛合面24に係止される。
【0021】またこの実施例では、引戸1をさらに閉めることが可能な場合(例えば間隙が1mm程度までOKの場合)、引戸1を手で引き寄せることが可能である。図1は引戸1を引き寄せた場合において、鎌片8の先端部8aが鎌片受け部39をさらに押し込みつつ、かつ、該先端部8aのテーパ面13が掛合部材19の掛合面29を接線方向へとスライドした場合を示している。この場合でも鎌片8の先端部8aは、掛合部材19の掛合面29から外れることなく、掛合部材19に係止されている。このように、本実施例では引戸1の引き寄せが可能な場合にも、鎌片8は隙間(引戸の閉鎖位置)aに対応してガタなく掛合部材19の掛合面29に係止される。
【0022】
【実施例】本実施例では、掛合部材19の掛合面29は、図1を基準にすると下向きであるが、これは鎌片8との係合関係を考慮したものである。したがって、鎌片8の取付け如何によって鎌片8の先端部8aが下向きに係合する場合には、当然掛合部材8の向きも変わる。
【0023】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、次に列挙するような作用・効果がある。
(1)掛合部材にバネ部材のバネ力が常に作用しているので、間隙aの大小に拘わらず、掛合部材は鎌片に密着する。したがって、引戸を閉じた際に間隙aがあっても、鎌片は間隙aの大小に拘わらず、いわゆるガタがなく掛合部材の掛合面に係止される。特に鎌片8の先端部8aに、掛合時鎌片8の傾斜状掛合面と面接触するテーパ面が形成されているので、ガタを防止する効果が大きい。
(2)引戸をさらに閉めることが可能な場合(例えば間隙が1mm程度までOKの場合)には、引戸を単に手で引き寄せることが可能である。この場合掛合部材の掛合面が傾斜状に形成されているので、隙間を所望する位置まで小さくすることができる。
(3)構成する部品点数を少なくすることができる。
(4)鎌錠装置の取り付け作業の効率化を図ることができる。
(5)鎌片追従ストッパー片のストッパー部は、掛合部材の切欠状係合部に遊びを持った状態で係合しているので、鎌片追従ストッパー片は、鎌片に押されても何らの障害もなく「スムース」に回転する。主たる構成部材8,35,19がそれぞれシンプルな構成で合理的かつスムースに作動する。
【出願人】 【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
【出願日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【代理人】 【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
【公開番号】 特開2001−349113(P2001−349113A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−169298(P2000−169298)