| 【発明の名称】 |
電子シリンダ錠 |
| 【発明者】 |
【氏名】福井 誠司
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| 【要約】 |
【課題】鍵から正当な識別コードを受信した場合にのみ施解錠操作が可能となる電子シリンダ鍵を提供する。
【解決手段】溝孔15に挿入されるにより回転操作が行われる内筒10と、錠箱内の施解錠機構に連動連結されるテールピース50とを、正当な識別コードを有した鍵に操作されることにより施解錠操作が行われる際に連結する連結手段18と、施解錠の操作を行った後に内筒10が回転される際に、連結手段18による内筒10とテールピース50との連結状態を解除する連結解除手段33とを具備している。尚、内筒10は、鍵の挿入部が挿入される溝孔15と、連結手段18が配置される空間部13とが隔壁11にて分離構成されており、また、内筒10の溝孔15に対し鍵の挿入部が挿脱自在な位置を有するとともに、挿脱自在な位置から一定角度回転した所定位置にて鍵による回転を一時停止させる規制壁を備え、規制壁の位置にて識別コードの受信を行う構成とされる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鍵の挿入部が挿入される溝孔を備え、挿入された前記鍵から正当な識別コードを受信した際に、施錠およびまたは解錠の操作を許可する電子シリンダ錠において、前記溝孔を有し前記鍵により回転操作が行われる内筒と、錠箱内の施解錠機構に連動連結されるテールピースとを、前記正当な識別コードを有した鍵により施錠操作およびまたは解錠操作が行われる際に連結する連結手段と、施錠およびまたは解錠の操作を行った後に前記内筒が回転される際に、前記連結手段による前記内筒と前記テールピースとの連結状態を解除する連結解除手段と、を具備することを特徴とする電子シリンダ錠。 【請求項2】 前記内筒は、前記鍵の挿入部が挿入される溝孔と、前記連結手段が配置される空間部とが隔壁にて分離構成されていることを特徴とする請求項1記載の電子シリンダ錠。 【請求項3】 前記内筒の溝孔に対し前記鍵の挿入部が挿脱自在な位置を有するとともに、該挿脱自在な位置から一定角度回転した所定位置にて前記鍵による回転を一時停止させる回転停止手段を備え、該回転停止手段の位置にて前記識別コードの受信を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の電子シリンダ錠。 【請求項4】 前記回転停止手段にて回転を停止される前記所定位置に、前記鍵の挿入部の検知を行う検知手段が配置されていることを特徴とする請求項3記載の電子シリンダ錠。 【請求項5】 前記回転停止手段は、前記挿脱自在な位置に対して、右方向及び左方向の両回転方向にそれぞれ備えられることを特徴とする請求項2,3,4のいずれか1つに記載の電子シリンダ錠。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、挿入された鍵から使用可能な識別コードを受信した際に、施錠およびまたは解錠の操作を許可する電子シリンダ錠に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、識別コードを記憶させた鍵と、この鍵の正当性を判断して、正当であれば、その鍵の操作部分と、錠本体の施解錠機構とを連動連結させて、その鍵による施錠や解錠の操作を可能とする電子シリンダ錠が特開平8−158715号公報に開示されている。この電子シリンダ錠によれば、鍵を挿入部に挿入することで、この挿入部と施解錠機構との連結を可能としており、すなわち、正当な鍵が挿入された場合には、鍵の回動操作が伝達され施解錠の操作を可能とし、正当ではない鍵が挿入された場合には鍵の回動操作が伝達されず施解錠の操作が不可能となっている。そして、挿入部より鍵が抜脱されると、挿入部の内部に配設されるバネの弾性力により施解錠機構との連結状態を解除するようになっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の電子シリンダ錠によれば、挿入部に対して挿脱される鍵により、施解錠機構との連結及び解除が行われるとともに、施解錠の操作後に、再び鍵による操作を必要とする状態、すなわち非連結状態に復帰する機構がバネを用いた構造であり、鍵の挿脱が行われる挿入部内にこのバネが配置されていることから、挿入部内にゴミなどが入り込み、バネの動作に支障が発生すると、非連結状態への復帰が行われないこととなる。すなわち、正当な鍵にて操作を行った後に鍵を抜脱しても施解錠機構との連結状態を解除することができず、その後に挿入される鍵が正当でない鍵であっても施解錠の操作が可能となってしまう不具合があった。また、このような状態では、鍵でないもの、例えばドライバーなどの挿入部に挿入可能な工具などでも施解錠の操作が可能になってしまう問題が発生する。 【0004】そこで本発明は、上記問題点を解消するために、鍵による施解錠操作が、正当な鍵に対してのみ行われ、誤動作などの不具合が発生せずに、鍵が抜脱された状態では施解錠機構との連結状態が確実に解除される電子シリンダ錠を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。この発明の電子シリンダ錠1は、鍵60の挿入部64が挿入される溝孔15を備え、挿入された前記鍵60から正当な識別コードを受信した際に、施錠およびまたは解錠の操作を許可する電子シリンダ錠において、前記溝孔15を有し前記鍵60により回転操作が行われる内筒10と、錠箱内の施解錠機構に連動連結されるテールピース50とを、前記正当な識別コードを有した鍵60により施錠操作およびまたは解錠操作が行われる際に連結する連結手段18と、施錠およびまたは解錠の操作を行った後に前記内筒10が回転される際に、前記連結手段18による前記内筒10と前記テールピース50との連結状態を解除する連結解除手段33と、を具備することを特徴としている。 【0006】なお、前記内筒10は、前記鍵60の挿入部64が挿入される溝孔15と、前記連結手段18が配置される空間部13とが隔壁にて分離構成されている構成が好ましい。 【0007】また、前記内筒10の溝孔15に対し前記鍵60の挿入部64が挿脱自在な位置を有するとともに、該挿脱自在な位置から一定角度回転した所定位置にて前記鍵60による回転を一時停止させる回転停止手段6を備え、該回転停止手段6の位置にて前記識別コードの受信を行う構成としてもよく、さらには、前記回転停止手段6にて回転を停止される前記所定位置に、前記鍵60の挿入部64の検知を行う検知手段7,65が配置されていることとしてもよい。 【0008】さらに、前記回転停止手段6は、前記挿脱自在な位置に対して、右方向及び左方向の両回転方向にそれぞれ備えられる構成としてもよい。 【0009】 【発明の実施の形態】図1は本発明による電子シリンダ錠の実施の形態を示す概略断面図である。この電子シリンダ錠1は、外筒2と、内筒10と、テールピース50と、連結手段18と、連結解除手段33とで大略構成されている。なお、本実施の形態で説明する電子シリンダ錠1は、通常時、鍵孔14が垂直な状態とされ、この状態から時計回り方向に90°の回転で施錠およびまたは解錠操作が行われるものとして説明する。 【0010】はじめに、この電子シリンダ錠1に用いられる鍵60について説明する。鍵60は、図2(a),(b)に示すように、把持部61と挿入部64とで略構成され、略板状に形成される。把持部61は、内部に小型の電池62、例えばボタン形の電池が配設されるとともに、この電池62から電力供給を受けて作動する電子回路63が配設されている。電子回路63は、鍵60自体の固有の識別コードが記憶されているとともに、後述する送信アンテナ66へ信号の送信を行う信号発生回路を備えている。 【0011】また、挿入部64には、電子回路63に接続される検知センサとしてのリードスイッチ65と、信号発生回路より信号の送信を行う送信アンテナ66が内蔵されている。なお、この電子回路63は、通常時、電池62を電源として作動状態とはならず、リードスイッチ65により電源が投入されるようになっている。この挿入部64は、図2(a),(b)に示すように、略矩形板状に形成されるとともに、把持部61に近接する基部64aに、略フランジ状に幅方向外方に延出する抜止片67が一対設けられている。 【0012】次に、電子シリンダ錠1を構成する外筒2は、略円筒状に形成され、錠本体(図示せず)に固定される。この外筒2の一端2aは、例えば扉の屋外面に表出し、この電子シリンダ錠1に対して施解錠の操作を行う上記した鍵60の挿入部64が貫通する円形の穴部3が形成されている。 【0013】この穴部3には、図3の外筒2の展開図に示すように、内周縁部における中心に対して対向する上下一対の切欠4が形成されている。これら切欠4,4間の距離は、鍵60の挿入部64における抜止片67の幅長に設定されて形成され、すなわちこの切欠4,4の位置にて鍵60の挿入部64の挿脱が行えるようになっており、挿脱自在位置とされている。また、この穴部3の内周縁部は、外筒2の軸方向に厚みを有した形状とされ、この内周縁部における周面にガイド溝5が形成されている。 【0014】このガイド溝5は、図1(b)に示すように、略Z字状に形成されており、挿脱自在位置である切欠4に連続して形成される。すなわち、内周縁部の周方向に沿って切欠4の位置から約45°の位置まで真直に凹状の溝5aが形成され、かつこの45°の位置からさらに周方向90°の位置に達する真直な凹状の溝5bが形成されて、これら溝の45°の位置にて軸方向に形成される段部5cを介して連続形成されている。 【0015】このガイド溝5は、各切欠4にそれぞれ設けられ、すなわち図1(a)に示すように対向するように形成され対となって構成される。そして、各切欠4,4より進入する鍵60の挿入部64に突設される抜止片67がこれらガイド溝5,5内を案内されて摺動移動するようになっており、すなわち、このガイド溝5,5内を抜止片67が移動している最中には、軸方向に鍵60を抜脱できないようになっている。 【0016】なお、これらガイド溝5,5の45°位置となる段部5cは、回転停止手段としての規制壁6を構成する。また、この外筒2には、規制壁6に対応する箇所となる内周面2cに位置するとともに、後述する内筒10の溝孔15部分に対応する位置に、マグネット7が配設されている。このマグネット7は、鍵60の挿入部64のリードスイッチ65とともに検知手段を構成し鍵60の回転位置を検知するものである。 【0017】また、外筒2の他端2bは、外筒2の内径に対しやや小径な内径とされる貫通穴8が穿設され、後述するテールピース50が回動自在に貫通して配設される。さらに、この外筒2の内周面2cには、後述する連結解除手段33を構成する円筒カム36が形成されている。この円筒カム36は、内周面2cに対し、凹部37で形成され、図3の外筒2の展開図に示すように周方向の約90°の範囲内に形成され、本実施の形態では互いに対向する位置間隔で一対で構成されている。 【0018】次に、内筒10は、外径が外筒2の内径と略同等に形成される略円筒状に形成され、外筒2内に回動可能に設けられ、好ましくは、外筒2の内周面2cと僅かなクリアランスを有した状態とされ、内筒外周面10cとこの外筒2の内周面2cとの間にグリスなどの潤滑剤を有した状態で、外筒2に対してスムーズに回動可能なように設けられている。 【0019】内筒2は、内部の空間において軸方向中央に隔壁11が形成され、一端10aから他端10bにかけて貫通しない形状とされており、一端側の空間部12と他端側の空間部13とが分離構成されている。一端側の空間部12は、外筒2の一端2a側に位置し、端面に略スリット形状の鍵孔14が穿設され、上記鍵60の挿入部64が挿入される溝孔15を構成している。この溝孔15内には、挿入される鍵60の挿入部64に干渉しない位置である蒲鉾状空間に、鍵60の送信アンテナ66から送信される識別コード等を受信し、後述する連結手段18に送出する受信アンテナ20が配設されている。 【0020】また、他端側10bの空間部13には、連結手段18及び連結解除手段33が配設されている。連結手段18は、電子回路部19と、制御機構部22と、連結機構部26とで略構成されている。電子回路19は、例えばループ状に形成される上記受信アンテナ20が隔壁11を貫通して接続されているとともに、比較演算手段や駆動信号出力手段、及びこのシリンダ錠に固有の識別コードを記憶する記憶手段よりなる。 【0021】また、制御機構部22は、先端が鉤状に形成され基端が揺動自在となって空間部13において軸線方向に沿って配設される揺動爪23と、この揺動爪23を揺動させるアクチュエータ24などよりなる。そして、この制御機構部22は、上記電子回路19の駆動信号出力手段より送出される信号に基づいてアクチュエータ24が駆動し、揺動爪23を揺動させる。なお揺動爪23には、捩じりコイルバネなどの付勢部材(図示せず)が設けられており、通常の状態では、この付勢部材の付勢力にて、軸線方向に平行な状態に維持される。 【0022】連結機構部26は、移動ブロック27と、かみ合いクラッチ32とで略構成される。移動ブロック27は、内筒10の他端側の空間部13内を軸線方向に摺動移動可能に設けられ、例えば略円柱状に形成される。 【0023】移動ブロック27の一方の端面27aには、略中央に先端が鉤状に形成される係合爪28が軸線方向に突設されている。この係合爪28は、揺動爪23と係合するようになっている。また、この移動ブロック27の一方の端面27aと隔壁11との間には圧縮コイルスプリングよりなる付勢部材29が配設される。この付勢部材29により、移動ブロック27は、常に内筒10の他端側10bに付勢されるようになっている。 【0024】移動ブロック27の他方の端面には、中心に、軸体31が軸線方向に延設され、この軸体31の先端にかみ合いクラッチ32の一方が配設されている。このかみ合いクラッチ32は、例えば、一対の円板の互いに向き合う面に矩形歯が周方向に連続形成され、互いに向き合う各歯が噛み合うことで連動連結が行われるもので、一方のクラッチ板32aが移動ブロック27の軸体31に連結され、他方のクラッチ板32bが後述するテールピース50に設けられる。 【0025】また、この移動ブロック27の中心に対して180°の位置関係となる各側面には、それぞれ外方に延出する一対のピン34,34が設けられている。これらピン34,34は、内筒10の周壁に形成される一対のガイドスリット35,35を貫通し、各先端が内筒10の外周面10cより突出する。各ガイドスリット35,35は軸線方向に平行な真直に形成され、各ピン34,34を軸線方向と同方向にスライド移動自在に支持し、すなわち移動ブロック27の内筒10内における軸線方向の移動の案内を行うようになっている。 【0026】そして、これらピン34,34は、前述した外筒内周面2cに形成される凹部よりなる円筒カム36とで連結解除手段33を構成する。この円筒カム36を詳述すると、図3の外筒2の展開図に示すように、内周面2cにおける周方向Rの90°の間に連続形成される凹部37よりなるとともに、上記各ピン34に対応して対向する一対で構成され、これらピン34の先端部が嵌入する深さに設定され形成されている。これら凹部37の形状は、図3に示すように小幅部39と大幅部41とを斜辺部43で連結する略台形状に形成されており、外筒2の一端2aに形成される切欠4に対応する位置からガイド溝15と同等長さの周方向Rの約90°の範囲内に形成される。各凹部37の小幅部39は、外筒2の一端2aに形成される切欠4と軸線方向Sで対応した位置となり、この小幅部39から、外筒2の他端側2に拡幅形成されるように斜辺部43が連続形成され、そして大幅部41と小幅部39とが斜辺部43にて連続形成されており、軸線方向Sに対し直交する周方向Rと同方向な長短一対の真直な辺部45,47が有し、長辺45側が外筒2の一端側2aに位置し、短辺側47が他端側2bに位置する。また、短辺47の周方向Rの距離は、約45°の間隔距離とされ、斜辺部43の周方向の距離も約45°の間隔距離とされる。そして、この凹部37よりなる円筒カム36は、長辺45と短辺47との軸線方向Sの間隔がストロークであり、短辺47側がかみ合いクラッチ32を連結させる位置となり、長辺側45が連結を解除状態とする位置となる。そして、この凹部37内にて上記ピン34の先端が移動自在とされるとともに、各辺部43,45、47に摺動自在となる。 【0027】次に、テールピース50は、略円板状に形成されるとともに、一方の板面には、前述した連結手段を構成するかみ合いクラッチ32の他方のクラッチ板32bが形成され、他方の板面には所定形状の連結部51が突出形成されている。このテールピース50は、外筒2の他端側2b内部に、周縁を回動自在に保持されて設けられ、この他端2bに穿設される貫通穴8に連結部51が貫通して軸方向の外方に突出する。そして、このテールピース50の連結部51は、図示しない施解錠機構に連動連結されており、すなわちこのテールピース50の回転により、錠本体を構成するデッドボルト等のロック部材の進退を行う所定の部材に連結されている。 【0028】次に、この電子シリンダ錠1の動作について説明する。まず、鍵60が挿入されていない状態で、錠本体が施錠状態若しくは解錠状態であるときには、図5に示すように、かみ合いクラッチ32は互いに噛み合ってない状態で、内筒10とテールピース50とは連結が解除された状態となっており、係合爪28と揺動爪23とが係合状態とされ、移動ブロック27の各ピン34は、円筒カム36の小幅部39に位置した状態とされる。 【0029】次に、錠本体の施錠状態から解錠する際、若しくは解錠状態から施錠する際には、まず図4に示すように、鍵60を内筒10の溝孔15に挿入する。鍵60の挿入部64が溝孔15内に挿入されると、挿入部64に突出される抜止片67は外筒2の切欠4よりガイド溝5内に進入される状態となる。この状態では、内筒10内の連結手段18などは作動せず、図6に示すように、内筒10とテールピース50とが連結状態とはならない。 【0030】次に、鍵60を回転させると、鍵60の抜止片67が、外筒2のガイド溝5に案内されて摺動移動する。本実施の形態では、図7中時計回り方向に回転させる。このとき、抜止片67がガイド溝5内を通ることから、鍵60は軸方向の抜脱が不可能となる。 【0031】鍵60の回転が45°に達すると、抜止片67がガイド溝5内の規制壁6に当接し、図7に示すように、鍵60の回転が一時停止される。すると、この位置に対応して外筒2に設けられたマグネット7により、鍵60の挿入部64内に配設されたリードスイッチ65がこれを検知し、鍵60内の回路63を通電状態、すなわち作動状態にする。これにより、鍵60内の電子回路63は、記憶されている識別コードを含んだ信号を送信コイルから発信する。 【0032】内筒10の溝孔15内の受信アンテナ20は、この発信された信号を受信することで、電源が供給され内筒10の空間部13内の電子回路19が起動するとともに、その発信信号に含まれる識別コードを受信する。 【0033】使用される鍵60から発信され受信される識別コードは、内筒10内の電子回路19に記憶されている識別コードとの比較が行われ、この内筒10内に記憶されている識別コードと合致し正しい場合には、この電子シリンダ錠1に対して正当な鍵60であることとなる。電子回路19は、鍵60が正当なものであると判断すると、駆動信号をアクチュエータ24に出力する。アクチュエータ24は、駆動信号を受信すると作動し、揺動爪23を揺動させる。 【0034】揺動爪23が揺動すると、係合爪28との係合状態を解くこととなり、これにより移動ブロック27が付勢部材29の付勢力により内筒10の他端10b方向に移動する。移動ブロック27が移動すると、図7に示すように、かみ合いクラッチ32の一方と他方のクラッチ板32a,32bが互いにかみ合い、すなわち、内筒10とテールピース50とが連結状態となり、鍵60と施解錠機構とが連動連結状態となる。また同時に、移動ブロック27に突設される各ピン34が軸方向に移動し、円筒カム36の大幅部41の短辺側47に移動する。なお、アクチュエータ24は、揺動爪23の揺動を一度行い、係合爪28との係合状態を解いた後は、作動が終了され、揺動爪23は付勢部材の付勢力により軸線方向に平行な状態に復帰する。 【0035】次に、鍵60をさらに45°回転、即ち、鍵60を挿入した位置から90°回転させるが、鍵60の抜止片67がガイド溝5内の規制壁6に当接状態であるので、この鍵60を、さらにやや奥方に挿し込み、その後45°図8中時計回り方向に回転させる。この状態においては、上記したように鍵60と施解錠機構部とが、内筒10とテールピース50との連結状態を介して回転操作されることとなり、すなわち、この鍵60の回転操作にて、デッドボルトなどのロック部材の進出若しくは後退の動作が行われる。このとき、移動ブロック27の各ピン34は、図8に示すように、円筒カム36の短辺側47を周方向に移動することとなる。そして、錠本体は、解錠、または施錠となる。 【0036】次に、この状態から鍵60を抜脱するには、鍵60の抜止片67がガイド溝5内にあることから、この鍵60を逆方向(図9中反時計回り方向)に回転させることとなる。鍵60を逆方向(反時計回り方向)に回転させると、図9に示すように、まず、45°の回転が行われる。この動作時には、鍵60の抜止片67がガイド溝5内を移動し、同時に各ピン34が円筒カム36の短辺部分47に沿って周方向に移動する。すなわち移動ブロック27が移動しないことから、かみ合いクラッチ32は互いに噛み合った状態である。 【0037】次に、上記45°の位置では、規制壁6がガイド溝5内にあることから、鍵60をやや引き抜く方向に移動させ、鍵60の抜止片67をガイド溝5に沿わせ、その後さらに鍵60を反時計回り方向に回転させる。このとき、各ピン34が円筒カム36の斜辺部43に沿って移動を行い、これにより、移動ブロック27は付勢部材29の付勢力に抗して内筒10の他端側10bから隔壁11側(一端側10a)に移動される。同時に、互いに噛み合っているかみ合いクラッチ32は、そのかみ合い状態から離脱方向となり、すなわちテールピース50と内筒10との連結状態が解除される。 【0038】そして、図10に示すように、鍵60の回転が、鍵60を挿入した位置にまで戻されると、各ピン34は小幅部39に戻り、また、移動ブロック27の係合爪28が揺動爪23と係合し、初期の位置に復帰される。その後、鍵60を引き抜くことで、操作が終了する。 【0039】次に、この電子シリンダ錠1に対し、正当でない鍵60が用いられた場合では、鍵60が溝孔15に挿入されて、上記同様に45°回転させ、図11に示すように、規制壁6の位置で一時停止されると、鍵60内の電子回路より、識別コードが送信され、内筒10内では、この識別コードが受信される。 【0040】内筒10内の電子回路20にて、鍵60の識別コードが正当でないと判断されると、アクチュエータ24に対して駆動信号が発信されない。これにより、揺動爪23と係合爪28との係合状態は解除されず、移動ブロック27は内筒10内を移動しないこととなる。 【0041】移動ブロック27が移動しない状態であっても、鍵60はガイド溝5に沿って抜止片67を移動させることで、さらに45°回転(鍵の挿入位置から90°の回転)が可能であるが、図12に示すように、かみ合いクラッチ32は噛み合わず、各ピン34も円筒カム36の長辺部45に沿って移動となる。すなわち、正当でない鍵60の場合には、内筒10とテールピース50との連結が行われないまま回動することとなり、空転状態となる。これにより、施解錠機構は動作されることがなく、不正な解錠などの操作が確実に無効となる。 【0042】また、使用する鍵60が、外形状が酷似した電子回路63を備えていない鍵の場合であっても、鍵60の回転操作は行えるが、内筒10内の電子回路19が働くことがないことから、内筒10とテールピース50とは連結されることがなく、その鍵による施解錠の操作は無効となり、不正な解錠操作等が防止できる。 【0043】従ってこのように構成された電子シリンダ錠1では、正当な鍵60を使用して施解錠の操作が連結手段18の作動にて行われた後に、鍵60を抜脱するためにその鍵60を回動操作すると、連結解除手段33であるピン34と円筒カム36により内筒10とテールピース50との連結状態を機械的に解除してしまうため、鍵60による操作が行われない通常の状態では、常に鍵60側と施解錠機構とが非連結状態となり、施錠装置として安全性が確保できることとなる。 【0044】また、内筒10の内部に隔壁11を備える構造とし、鍵60が挿脱される溝孔15と、内筒10とテールピース50との連結を行う連結手段18を構成する機構部分とを分離構成したので、ゴミが溝孔15内に侵入しても、この溝孔15内では機械的動作がなく、非接触型の電気的結合のみであり、ゴミによって動作不良を発生させるなどの不具合がなく、誤動作の発生を防ぐことができる。 【0045】さらに、鍵60の正当性を判別する箇所を、鍵60を挿入する位置から一定角度回転させた位置とし、この位置にて鍵60の回転を物理的に一時停止させる構造としたので、この一時停止位置である規制壁6の位置にて、鍵60と内筒10内との各電子回路19,63の連携が可能となり、すなわち、識別コードの送受信のための通信時間の確保や、鍵60からの電源供給のための時間を確保することができ、確実に、鍵60の正当性を判断でき、その後の施解錠の操作を確実なものとすることが可能となる。 【0046】また、この鍵60の回転の一位停止位置に検知手段であるマグネット7を配置構成したことにより、識別コードなどの送受信のタイミングを得ることができ、上記実施の形態のように、マグネット7とリードスイッチ65との組合せの構成によれば、回路自体の電源のオンオフを管理でき、鍵60に内蔵される電池62の消耗を防ぐことが可能となる。 【0047】なお、上述した実施の形態では、外筒2に対する内筒10の回転方向が、時計回り方向の一方向の構成として説明したが、逆の反時計回り方向でもよく、さらには、両方向に回転可能な構成としてもよい。このような両方向の回転にて内筒10とテールピース50との連結を行える構成とすれば、このシリンダ錠側で、施錠と解錠の機構的連結構造を得られる。 【0048】また、上述した実施の形態では、連結手段18にかみ合いクラッチ32やアクチュエータ24による構造を用いた例について示したが、これらの構成に限定されることはなく、内筒10内の電子回路19より発信される駆動制御信号にて直接アクチュエータ24を駆動しテールピース50との連結を行う構成や、電磁クラッチ機構を用いる構成など、電気信号から機械的動作を行う構造であれば、その他の機構としてもよい。 【0049】さらに、連結解除手段33においても、上述した実施の形態の構成に限ることはなく、施解錠の動作後に鍵60を回転させると、内筒10とテールピース50との連結状態を解除する構造であれば、その他の構成でよく、例えば、鍵60の回転を戻す際に、上記の実施の形態では、45°位置に戻すことから、鍵60からの電源供給が可能であり、その電源を利用して、別構成のアクチュエータ等を利用し、連結状態の内筒10とテールピース50とを解除させてしまう構成としてもよい。 【0050】また、上述した実施の形態では、鍵60の内部に電源としての電池62を備える構成とした例について述べたが、内筒10や外筒2、錠本体側などに電源を持つ構成としてもよい。この場合、鍵60側の電池62の消耗を考慮しなくてもよくなり、鍵60の構成として、識別コードを備える構造のみで構成することが可能となり、簡素な構成とすることができる。 【0051】さらに、上述した実施の形態では、鍵60の回転角度を、約45°位置と約90°位置として構成し、45°位置にて回転を一時停止させる規制壁6(回転停止手段)を備えた構成とした例として示したが、この回転の停止箇所である回転角度の位置はこれに限定されることはなく、例えば15°位置にて一時停止させ、その位置にて識別コードの判別を行い、45°位置までの回転で施解錠機構の操作が行われるなどの構成としてもよい。 【0052】また、上述した実施の形態では、鍵60による施解錠操作における、鍵60の溝孔15からの抜脱操作時に、45°位置にてやや引き抜く操作を必要とする構成とされているが、この抜脱操作時の鍵60を引き抜くストロークはガイド溝5内の段部とされる短尺なものであることから、内筒10の溝孔15奥方に、ゴミによる動作不良の起きにくい弾性部材、例えば、半球状のゴム部材や、球面形状の板バネなどを配置することで、挿入される鍵の挿入部に対し反発力を発生させることが可能となり、これにより、鍵の抜脱操作を容易に行わせることが可能となる。 【0053】 【発明の効果】以上説明したように本発明による電子シリンダ錠によれば、正当な鍵を使用して施解錠の操作が連結手段の作動にて行われた後に、鍵を抜脱するためにその鍵を回動操作すると、連結解除手段により内筒とテールピースとの連結状態を解除してしまうため、鍵による操作が行われない通常の状態では、常に主操作側である鍵側と操作対象側である施解錠機構とが非連結状態となり、施錠装置として安全性が確保できることとなる。 【0054】また、内筒の内部に隔壁を備える構造とし、鍵が挿脱される溝孔と、内筒とテールピースとの連結を行う連結手段を構成する機構部分等とを分離構成したので、ゴミが溝孔内に侵入しても、この溝孔内では機械的な動作等がなく非接触型の電気的結合のみであり、ゴミによって動作不良を発生させるなどの不具合がなく、誤動作の発生を防ぐことができる。 【0055】さらに、鍵の正当性を判別する箇所を、鍵を挿入する位置から一定角度回転させた位置とし、この位置にて鍵の回転を物理的に一時停止させる構造としたので、この一時停止位置である回転停止手段の位置にて、鍵と内筒内との各電子回路の連携が可能となり、すなわち、識別コードの送受信のための通信時間の確保や、鍵からの電源供給のための時間を確保することができ、確実に、鍵の正当性を判断でき、その後の施解錠の操作を確実なものとすることが可能となる。 【0056】また、上記した鍵の回転の一位停止位置に検知手段を配置構成したことにより、識別コードなどの送受信のタイミングを得ることができ、例えば、マグネットとリードスイッチとの組合せの構成とすれば、回路自体の電源のオンオフを管理でき、鍵に内蔵される電池の消耗を防ぐことが可能となる。 【0057】さらに、鍵の回転の一時停止位置を、鍵の挿脱可能な位置に対して、左右両方向の一定角度回転位置にそれぞれ設ける構成とすることで、施錠操作と解錠操作とを個別に動作可能な機構とすることができ、施解錠装置としての確実な操作状態を得られることとなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000108085 【氏名又は名称】セコム株式会社 【識別番号】390037028 【氏名又は名称】美和ロック株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月29日(2000.5.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067323 【弁理士】 【氏名又は名称】西村 教光 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−336320(P2001−336320A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−158572(P2000−158572) |
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