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【発明の名称】 車両用ラッチ装置
【発明者】 【氏名】吉岡 秀記

【氏名】上原 宏基

【要約】 【課題】操作者がオープナ装置を開扉操作したときに、ハーフラッチ状態になることを回避できる車両用ラッチ装置を提供することにある。

【解決手段】ラッチ装置15は、ストライカ14と噛合うラッチ部材21と、ラッチ部材21と係合可能なポール部材22と、ポール部材22とラッチ部材21との係合を外す方向にポール部材22を動かすオープンレバー部材23と、オープンレバー部材23と係合可能な保持レバー部材24を備えている。オープンレバー部材23が開扉操作されたとき、保持レバー部材24のストッパ部65がオープンレバー部材23の係合部53と係合することによって、オープンレバー部材23がオープン位置に保持される。保持レバー部材24は、ラッチ部材21がストライカ14との噛合を解除する方向に回動したとき、ラッチ部材21の駆動部35によって、オープンレバー部材23の保持状態を解除する方向に駆動される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車体と扉体のいずれか一方に取付けられ、いずれか他方に設けられているストライカに噛合することによって上記扉体を閉扉状態に保持する車両用ラッチ装置において、上記ストライカに対し上記扉体の全閉状態で噛合する第1噛合位置と上記ストライカに対し上記扉体の半閉状態で噛合する第2噛合位置と上記ストライカに対する噛合を解除する噛合解除位置とを取り得るよう回動自在に設けられ、上記第1噛合位置から上記第2噛合位置を経て上記噛合解除位置へと付勢されるラッチ部材と、上記ラッチ部材を上記第1噛合位置に保持するフルラッチ位置と上記ラッチ部材を第2噛合位置に保持するハーフラッチ位置と上記ラッチ部材が上記噛合解除位置まで回動することを許容する係合解除位置とに移動可能なポール部材と、上記ポール部材と係合可能に設けられ、操作者が操作するオープナ装置から開扉操作力が伝達されたとき上記ポール部材を上記係合解除位置に移動させるべくオープン位置へ回動するオープンレバー部材と、上記オープンレバー部材と上記ラッチ部材とに係合可能で該オープンレバー部材が上記オープン位置まで回動したときに該オープンレバー部材と係合して該オープンレバー部材を上記オープン位置に保持した状態となり、該保持状態で上記ラッチ部材が上記第2噛合位置よりも上記噛合解除位置の側に回動したときに上記ラッチ部材と係合して該保持状態が解除されるように設けられている保持レバー部材と、を具備したことを特徴とする車両用ラッチ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等の車両に装備されるテールゲート等の扉体を閉扉状態に保持するための車両用ラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のテールゲートを閉扉状態に保持するために、従来より、ラッチ装置が使用されている。ラッチ装置は、車体と扉体とのいずれか一方に設けたラッチ部材と、いずれか他方に設けたストライカとを有している。ラッチ部材にポール部材(pawl)が係合することによって、ストライカとラッチ部材との噛合状態が保持されるようになっている。ポール部材は、操作者が車内から操作可能なオープナ装置として車内に設けられているオープナノブ装置や、車外から操作可能なオープナ装置として車外に設けられている開扉キーシリンダ装置を開扉操作したとき、ラッチ部材との係合が解除される。
【0003】ラッチ部材には、万一何らかの原因によってポール部材とラッチ部材との係合が外れても扉体がいきなり開いてしまわないようにするために、いわゆるハーフラッチ用の係止部が設けられている。通常、車体と扉体との間にはウエザストリップや開扉補助ばね等の弾性体が設けられており、操作者がオープナ装置によってポール部材とラッチ部材との係合を解除したときに、上記弾性体の反発力によって扉体がハーフラッチ位置を越える位置まで持ち上がり、扉体を手で開扉できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のラッチ装置において、操作者がオープナ装置を開扉操作したとき、扉体であるテールゲートの周縁部が凍結するなどして扉体の持ち上がり量が不足すると、オープナ装置の操作力を解除したときにポール部材がラッチ部材にハーフラッチ位置で係合してしまうことがある。この場合、操作者が扉体を手で持ち上げようとしても開扉させることができないため、操作者は再びオープナ装置を開扉操作しなければならず、操作が煩わしいという問題が生じる。
【0005】従って本発明の目的は、万一、何らかの原因によってポール部材とラッチ部材との係合が外れても扉体がいきなり開いてしまうことがないようにしつつ、操作者がオープナ装置を開扉操作したときに、扉体の持ち上がり量が不足してもハーフラッチ状態になることを回避できるような車両用ラッチ装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を果たすための本発明の車両用ラッチ装置は、請求項1に記載したように構成される。本発明のラッチ装置において、オープナ装置を開扉操作したとき、オープンレバー部材がオープン位置に回動することにより、ポール部材が係合解除位置となってポール部材がラッチ部材から外れる。このとき保持レバー部材がオープンレバー部材と係合することにより、オープンレバー部材がオープン位置に保持される。
【0007】上記のようにオープナ装置が開扉操作されてポール部材とラッチ部材との係合が外れた時点で、通常はウエザストリップや開扉補助ばね等の弾性によって扉体が少し持ち上がるため、ラッチ部材はハーフラッチ位置を越えて噛合解除位置の側まで移動する。本発明のラッチ装置は、何らかの理由により扉体の持ち上がり量が不足しても、オープンレバー部材が保持レバー部材によってオープン位置に保持されているため、扉体を手で強制的に開けることができる。そしてこのラッチ部材の回動時に、ラッチ部材が第2噛合位置から噛合解除位置の側に回動し、ラッチ部材が保持レバー部材に係合することにより、上記保持状態が解除されることになる。
【0008】また、扉体が閉状態にあって、何らかの原因によりポール部材とラッチ部材との係合が外れるような場合に、保持レバー部材はポール部材の動作を何ら規制することがない。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態の自動車用ラッチ装置について、図面を参照して説明する。図6に示した車両の一例としての自動車10は、車体11の後部にテールゲートあるいはリヤゲートと呼ばれる開閉可能な扉体12を有している。この扉体12は、車体11の上部に設けたヒンジ13によって上下方向に開閉自在に支持されている。図示例の場合、扉体12側にストライカ14が設けられている。車体11側には、ストライカ14に噛合することによって扉体12を閉扉状態に保持するラッチ装置15が設けられている。なお、これとは逆に、車体11側にストライカ14を設け、扉体12側にラッチ装置15を設けてもよい。
【0010】図1に示すラッチ装置15は、厚手の金属板などからなるベース部材20を備えている。このベース部材20に、以下に説明するラッチ部材21と、ポール部材22と、オープンレバー部材23と、保持レバー部材24と、検出スイッチ25などが設けられている。ストライカ14は、ベース部材20に形成されたガイド溝26に沿って、図1に示す全閉位置(扉体12が全閉状態となる位置)から図2に示す半閉位置(扉体12がいわゆる半ドア状態となる位置)を経て、図5に示す開扉位置へと移動するようになっている。
【0011】ラッチ部材21は、軸30を中心に回動自在であり、ラッチ用ばね31によって、図1において反時計まわり(矢印F1で示す方向)に付勢されている。このラッチ部材21には、ストライカ14が噛合可能な形状の噛合凹部32と、フルラッチ用係止部33と、ハーフラッチ用係止部34と、凸部からなる駆動部35などが、矢印F1とは逆方向に沿って形成されている。ラッチ部材21の回動中心Cからフルラッチ用係止部33の先端までの距離(半径)r1は、ラッチ部材21の回動中心Cからハーフラッチ用係止部34の先端までの距離(半径)r2よりも小さい。
【0012】ラッチ部材21はストライカ14と全閉状態で噛合する第1噛合位置(図1)と、ストライカ14と半閉状態で噛合する第2噛合位置(図2)と、ストライカ14との噛合を解除する噛合解除位置(図5)とを取り得るように、軸30によって回動自在に支持されている。ラッチ用ばね31は、ラッチ部材21を上記第1噛合位置(図1)から第2噛合位置(図2)を経て噛合解除位置(図5)へと付勢している。
【0013】ポール部材22は、軸40を中心に回動自在であり、ポール用ばね41によって、図1において時計まわり(矢印F2で示す方向)に付勢されている。このポール部材22は、ラッチ部材21の係止部33,34に当接することのできる当接部42と、保持レバー部材24の方向に突出する受け部43とを有している。
【0014】図1に示すように当接部42がフルラッチ用係止部33に当接した状態では、ラッチ部材21が前記第1噛合位置に保持される。図2に示すように当接部42がハーフラッチ用係止部34に当接したとき、ラッチ部材21が第2噛合位置に保持される。さらにこのポール部材22は、フルラッチ用係止部33およびハーフラッチ用係止部34のいずれにも当接しない係合解除位置(図4)まで回動することができる。ポール部材22がこの係合解除位置まで回動すると、ラッチ部材21は上記噛合解除位置(図5)まで回動することが許容されるオープンレバー部材23は、軸50によって回動自在に支持され、オープンレバー用ばね51によって矢印F3方向に付勢されている。このオープンレバー部材23には、ポール部材22の受け部43と対向する位置に形成された押圧部52と、後述する保持レバー部材24のカム面63に摺接する凸部からなるピン状の係合部53が設けられている。
【0015】オープンレバー部材23の一端部55に、オープナ装置56のケーブル57が接続されている。ケーブル57の他端側は、図6に例示するように車体11の内部に配索され、操作者の開扉操作力によってケーブル57を引くことができるようになっている。ケーブル57が引かれたとき、オープンレバー部材23は、その押圧部52がポール部材22の受け部43と係合し、受け部43が反F2方向に押されるため、このオープンレバー部材23はポール部材22を上記係合解除位置(図4)に移動させる位置(オープン位置)へと回動することになる。
【0016】保持レバー部材24は、軸60を中心に回動自在であり、保持レバー用ばね61によって矢印F4方向に付勢されている。この保持レバー部材24は、ラッチ部材21の駆動部35と係合可能な第1アーム62と、オープンレバー部材23の係合部53と係合可能な第2アーム64とを備えている。第2アーム64にカム面63が形成されている。
【0017】第2アーム64の先端部に、オープンレバー部材23が上記オープン位置(図3)まで回動したときにオープンレバー部材23の係合部53と対向するストッパ部65と、ストッパ部65に連なる延出部66が形成されている。図4に示すようにオープンレバー部材23の係合部53がストッパ部65に当接した状態においては、オープンレバー部材23がオープン位置に保持される。
【0018】そしてこの保持状態で、ラッチ部材21が第2噛合位置(図2)よりも噛合解除位置(図5)の側に回動したときに、ラッチ部材21の駆動部35が第1アーム62に当接し、保持レバー部材24が反F4方向に回動することにより、図5に示すようにストッパ部65と係合部53との保持状態が解除されるようになっている。
【0019】検出スイッチ25は、オープンレバー部材23の一部70に接することのできる接触子71を有しており、オープンレバー部材23が非オープン位置(図1,図5)にあるときにはオフ状態となり、オープンレバー部材23がオープン位置(図3,図4)に移動したときにオンに切り替わるようになっている。検出スイッチ25がオンになったとき、運転席の計器盤などに設けたインジケータランプが点灯し、運転者等にオープン位置であることを報知できるようになっている。
【0020】次に、上記構成のラッチ装置15の作用について説明する。図1に示されるように、ストライカ14がガイド溝26に全閉位置まで進入しかつ、オープナ装置56のケーブル57が引かれていないとき、扉体12はロック状態となっている。このロック状態では、ストライカ14がラッチ部材21の噛合凹部32に噛合っているとともに、ポール部材22の当接部42がラッチ部材21のフルラッチ用係止部33に当接しているため、ラッチ部材21が噛合解除方向(矢印F1で示す方向)に回動することが阻止される。また、オープンレバー部材23はオープンレバー用ばね51の反発力によって、非オープン位置、すなわち押圧部52がポール部材22の受け部43から離れた位置に保持されている。保持レバー部材24のカム面63にオープンレバー部材23の係合部53が接している。検出スイッチ25はオフである。
【0021】図1のロック状態において、万一、ラッチ装置15に何らかの衝撃が加わるなどして、ポール部材22が単独で反F2方向に回動し、ポール部材22の当接部42がフルラッチ用係止部33から外れたとする。このときラッチ部材21がF1方向に回動したとしても、図2に示すようにポール部材22の当接部42がハーフラッチ用係止部34に当接するためハーフラッチ状態でロックされることになり、ラッチ部材21が噛合解除位置へと回動することが阻止される。
【0022】図1のロック状態において、オープナ装置56のケーブル57を引くことにより開扉操作を行うと、図3に示すようにオープンレバー部材23が反F3方向に回動し、押圧部52がポール部材22の受け部43を押す。このことにより、ポール部材22が反F2方向に回動するため、当接部42がフルラッチ用係止部33から外れる。このとき、オープンレバー部材23の係合部53がカム面63を滑りながらストッパ部65から延出部66側へと移動する。検出スイッチ25はオンとなる。
【0023】上記開扉操作を行ったときに、扉体12を押し上げる外力、例えば車体11と扉体12との間に設けたウエザストリップや開扉補助ばね等の弾力が扉体12に作用すると、ストライカ14がガイド溝26に沿って開扉方向に移動するとともに、ラッチ部材21が矢印F1方向に回転し、図5に示すように噛合解除位置となる。しかし、何らかの理由により扉体12を押し上げる力が不足していると、図3に示すようにストライカ14がガイド溝26に入ったまま、ラッチ部材21が第1噛合位置あるいは第2噛合位置に止まったままとなる。
【0024】この実施形態のラッチ装置15の場合、図3に示すようにオープンレバー部材23がオープン位置になった時点で、係合部53が保持レバー部材24の延出部66側に移動している。このためケーブル57の開扉操作力を解除したときに、図4に示すようにオープンレバー部材23の係合部53が保持レバー部材24のストッパ部65に当接することにより、オープンレバー部材23がオープン位置に保持され続ける。したがってポール部材22が係合解除位置に保持される。このためラッチ部材21が回動する際のハーフラッチ用係止部34の先端の移動軌跡M(半径:r2)上にポール部材22が存在しない状態となる。検出スイッチ25はオンのままである。
【0025】図4の状態から扉体12を強制的に開扉方向に移動させると、図5に示すようにストライカ14がガイド溝26に沿って開扉方向に移動するとともに、ラッチ部材21が矢印F1方向に回転することにより、扉体12を全開させることができる。そしてこの開扉操作に伴い、ラッチ部材21の駆動部35が保持レバー部材24の第1アーム62を反F4方向に押すため、保持レバー部材24のストッパ部65が係合部53から外れるとともに、オープンレバー部材23がばね51の弾力によって矢印F3方向に回動する。このため、ポール部材22がばね41の弾力によって矢印F2方向に回動し、ラッチ部材21の周面に接するようになる。検出スイッチ25はオフとなる。
【0026】開扉された扉体12を閉じると、ストライカ14がガイド溝26に進入し、かつ、ストライカ14がラッチ部材21の噛合凹部32に噛合う。そしてポール部材22の当接部42がフルラッチ用係止部33と係合する位置までラッチ部材21が反F1方向に回転することにより、図1に示すロック状態に戻る。
【0027】なお、この発明を実施するに当たって、ラッチ部材やストライカの形態をはじめとして、ポール部材、オープンレバー部材、保持レバー部材など、この発明を構成する各要素をこの発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施できることは言うまでもない。
【0028】また本実施例においては、オープナ装置56を車内に設けて車内から操作する構成としているが、扉体12に設けたキーシリンダ装置とオープンレバー部材23とをケーブル部材やロッド部材などで連結して、操作者が車外からキーシリンダ装置を開扉操作することによりオープンレバー部材23が動作するように構成してもよい。また、車両のドアの施解錠を遠隔操作するキーレスエントリスイッチの操作により作動するアクチュエータとオープンレバー部材23とをケーブル部材やロッド部材などで連結して、操作者の遠隔操作によりアクチュエータを作動させてオープンレバー部材23が動作するように構成してもよい。要するに操作者の開扉操作がオープンレバー部材23に伝達される構成であればどのような形態のオープナ装置であってもよい。
【0029】
【発明の効果】請求項1に記載した発明によれば、操作者がオープナ装置を開扉操作したときに何らかの理由によって扉体の持ち上がり量が不足しても、ラッチ部材とポール部材とがハーフラッチ状態になってしまうことを回避できるため、オープナ装置を一回操作するだけで扉体を開けることができる。
【0030】また、扉体が閉状態にあって、何らかの原因によりポール部材とラッチ部材との係合が外れるような場合でも、保持レバー部材がポール部材の動作を何ら規制することがないので、扉体がいきなり開いてしまうことを防止できる。
【出願人】 【識別番号】591038587
【氏名又は名称】株式会社アンセイ
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成12年5月25日(2000.5.25)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開2001−329731(P2001−329731A)
【公開日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願番号】 特願2000−154715(P2000−154715)