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【発明の名称】 ラッチ受具
【発明者】 【氏名】松野 秀行

【要約】 【課題】部品点数が少なくてもラッチボルトの係り具合を調整できるラッチ受具を提供する。

【解決手段】固定体10に対して樹脂成形された受座20を左右方向に移動可能に配設し、受座20には、その樹脂の弾性力により常に固定体10の凹凸部14a、14bに係合する方向に付勢する凸凹部24a、24bを設ける。ラッチボルトの係り具合を調整する際には、受座20の操作部25a、25bを指などでつまんで凹凸部14a、14bと凸凹部24a、24bとの係合を解除して当該受座20を移動させて行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扉に装着されたラッチボルトが収容される受座を、枠体に固着された固定体に対する調整のために移動可能にしてなるラッチ受具において、前記固定体に、前記受座を位置決めする凹凸部を前記移動方向に設ける一方、前記受座に、前記凹凸部に係合する凸凹部を設け、該凸凹部は、前記凹凸部に押圧力を付与する方向の付勢力を有してなることを特徴とするラッチ受具。
【請求項2】前記凸凹部は前記受座に樹脂成形により一体に設けられてなることを特徴とする請求項1に記載のラッチ受具【請求項3】前記凸凹部を設けた部材に、前記付勢力に抗する力を加えるための操作部が設けられてなることを特徴とする請求項1〜2に記載のラッチ受具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、扉に装着されたラッチボルトの係り具合を調整するためのラッチ受具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術の一例として実開平7−43474号に記載のラッチ受具がある。このラッチ受具は、ラッチ(ボルト)が挿入される開口部を有する表面板の裏面にケース体を固定し、その間に形成される空間部に左右に移動可能なスライドボックスを介在し、スライドボックスとケース体との間にスプリングを弾設してスライドボックスを常時表面板の裏面に当接状態に付勢し、スライドボックスの上下方向の外表面とこれに対応するケース体の内表面に互いに噛合する係止歯を左右方向に配設し、スライドボックスを、これに設けた操作凹部にドライバーを係合させて前後に移動させると共に、左右方向に移動させて両係止歯を選択可能に係止し、スライドボックスの左右側壁を表面板の開口部に対して移動可能としたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような構成のラッチ受具では、部品点数が多く、製造コストが高くなることに加え、調整の際にスライドボックスを前後に移動させると共に左右方向に移動させるためにはスライドボックスに設けた操作凹部に係合する工具、例えばドライバーが必要であるので、調整に手間を要する。そこで、本発明の目的は、上記のような問題点に鑑み、部品点数が少なくてもラッチボルトの係り具合を調整できるラッチ受具を提供することにある。また、本発明の目的は、上記目的に加え、ラッチボルトの係り具合を容易に調整できるラッチ受具を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のラッチ受具は、扉に装着されたラッチボルトが収容される受座を、枠体に固着された固定体に対する調整のために移動可能にしてなるもので、固定体に、受座を位置決めするための、例えば鋸歯状等の凹凸部を上記移動方向に設ける一方、受座に、固定体の凹凸部に係合する凸凹部を設け、この凸凹部が、固定体の凹凸部に押圧力を付与する方向の付勢力を有するようにしたものである。受座に凸凹部を弾性的に設け、当該凸凹部が固定体の凹凸部に押圧力を付与する方向に付勢されるようにすることにより、ラッチ受具の構成部品点数を少なくし、製造コストを減少させることができる。
【0005】また、本発明の請求項2に記載のラッチ受具は、凸凹部が受座に樹脂成形により一体に設けられてなるようにしたものであり、これにより、ラッチ受具の構成部品点数を少なくし、製造コストを減少させることができるという作用効果は一層顕著になる。
【0006】また、本発明の請求項3に記載のラッチ受具は、凸凹部を設けた部材に、上記付勢力に抗する力を加えるための操作部を設けるようにしたものであり、これにより、ラッチ受具の構成部品点数を少なくし、製造コストを減少させることができることに加え、ラッチボルトの係り具合を容易に調整でき、調整時に手間取らなくなる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係るラッチ受具の概観図である。2は部屋の開口部を形成する枠体の一部であり,1はその開口部を閉成する扉を表わしている。この扉1の一部は図示しない丁番を介して枠体2に対して回動可能に軸支されている。3は扉1の内部に収容されている錠より常に扉1の外側に突出する方向に付勢されているラッチボルトである。4はそのラッチボルト3を収容させ、扉の閉成状態を保持させるラッチ受具である。
【0008】本実施の形態のラッチ受具4は、図2に示すように、枠体2の埋設部6に埋設固着される固定体10と、この固定体10内を移動可能に配設され、ラッチボルト3が収容される受座20と、枠体2に固定体10と共に固着され、受座20を固定体10から抜け出すのを防止する受プレート30から構成される。
【0009】固定体10は、図2において両側面及び前方が開口した箱型形状をしており、例えば、合成樹脂などで成形されている。この固定体10は、後面部11と立設部12a、12bとフランジ部13a、13bとを有し、後面部11は平板状をしており、枠体2の埋設部6に埋設されている。そして、立設部12a、12bは後面部11の上下端からそれぞれ前方に向かって起立しており、これら立設部12a、12bの互いに向かい合う面には、後述する受座20の調整位置を位置決め保持する凹凸部14a、14bが前後方向(受座20の移動方向に垂直な方向)に溝を形成する形態で鋸歯状をなしてそれぞれ設けられている。また、フランジ部13a、13bは、立設部12a、12bに対し垂直方向で、且つ、互いに離反する方向に設けられ,これらフランジ部13a、13bの中央には、固定体10を枠体2に固着するための取り付けねじ用のねじ孔15a、15bが穿設されている。また、これらフランジ部13a、13bの向かい合う側には一段低くなった摺動溝16a、16bがそれぞれ設けられており、これら摺動溝16a、16bは、受座20を左右方向(受座20の移動方向)に案内するためのものである。そして、立設部12a、12b及びフランジ部13a、13bの間には、受座20を左右方向に移動可能にするための空間が形成されている。
【0010】次に、受座20は、有底で前方を開口した略箱型形状をしており、合成樹脂で成形されている。受座20は、底面の基部21(図4参照)と上下の係合片(凸凹部を設けた部材)22a、22bと左右の側面部23a、23bとガイド部26a、26bとを有しており、基部21は箱部の底面に位置し、係合片22a、22bは基部21の上下端部からそれぞれ前方に向かって一体で突設され、これら係合片22a、22bの前後方向の略中央には固定体10の上記凹凸部14a、14bに係合する鋸歯状の凸凹部24a、24bがそれぞれ設けられており、凸凹部24a、24bは、本実施の形態では樹脂の弾性力により常に凹凸部14a、14bに係合する方向に付勢されるようにしている。そして、これら係合片22a、22bの前端には、上記付勢力に抗する力を加えて当該付勢力を解除すべく、手動にてこれら係合片22a、22bを近づけあうように操作できるようにするための操作部25a、25bが設けられている。
【0011】また、側面部23a、23bは基部21の左右端部から前方に向かって突設され、これら側面部23a、23bのうちの側面部23aには、フランジ状の側部27が突設されており、その側部27の前面で上下方向の中央には、後述する受プレート30のガイド溝34に案内される案内突起28が設けられている。そして、側面部23a、23bの前方、かつ上下には当該側面部23a、23bをつなぐアーチ状のガイド部26a、26bがそれぞれ設けられている。そして、上記係合片22a、22bと側面部23a、23bとで囲まれた空間にはラッチボルト3が収容されるラッチ収容部が形成され、また、ガイド部26a、26bと操作部25a、25bとの間には、上述したように手動にて係合片22a、22bを近づけあうように操作できるように、指などでつまめる程の空間が形成されている。なお、係合片22a、22bと側面部23a、23bとのそれぞれの間にはスリット状の溝が設けられており、これにより、上述した樹脂の弾性による付勢力を一層高めている。
【0012】次に、受プレート30はプレス成形された金属薄板で、そのプレート本体31は固定体10のフランジ部13a、13bを含めた大きさをなし、その左右端のうちの一方端にはラッチボルト3が当接する舌片32が曲げ加工され、また、プレート本体31の中央には受座20の側面部23a、23bとガイド部26a、26bとで形成される開口の大きさとほぼ同じ大きさの受孔33が穿設され、その受孔33の一部にはガイド溝34が切欠かれている。更に、プレート本体31の上下には固定体10のねじ孔15a、15bに連通する位置に、取り付けねじ頭部が当接するボス孔35a、35bが穿設されている。
【0013】次に、本ラッチ受具4の動作について説明する。扉の反りなどでラッチ受具4に対するラッチボルト3の係り具合が悪い場合があり、これを調整するときには、受プレート30の受孔33を通して受座20の係合片22a、22bの操作部25a、25bを指などでつまんで、固定体10の凹凸部14a、14bと係合片22a、22bの凸凹部24a、24bとの係合を解除すべく、凸凹部24a、24bの付勢力に反して操作部25a、25bを近づけ合う方向に力を作用させ(例えば、図4の断面図参照)、この状態で受座20を固定体10に対して左右方向の適宜な位置に動かす(例えば、図3(b)の状態から図3(a)または図3(c)の状態にする)。このとき、受座20は、そのガイド部26a、26bが固定体10の摺動溝16a、16bに案内され、また、そのガイド突起28が受プレート30のガイド溝34に案内されて左右方向に移動することになる。適宜な位置まで移動させた後、近づけ合う方向の力を解除することによって、即ち、操作部25a、25bに作用させている力を解除すべく指などを離すことによって、凸凹部24a、24bは凹凸部14a、14bに係合すると共に、その弾性により、凹凸部14a、14bに係合する方向に付勢される。このように本ラッチ受具4によれば、受座20をドライバーのような工具を用いることなく指で移動させ、適宜な位置で指を離すだけでラッチボルトの係り具合を容易に調整でき、したがって、調整に手間取ることがない。とりわけ、受座20を指などで移動させるだけの、人間にとって比較的楽な行為で調整を行えるために、たとえ調整を繰り返す場合であっても苦にならずに済む。
【0014】次に、他の実施例に係るラッチ受具40を図5に基づいて説明する。図5はラッチ受具40を裏面から見た分解斜視図であり、同図において、ラッチ受具4と同一要素には同一番号を付し、その説明は割愛する。ラッチ受具40の受座50がラッチ受具4のそれと異なるところは、受座50にはガイド突起28が設けられていない点である。また、ラッチ受具40の固定体60がラッチ受具4のそれと異なるところは、ラッチ受具4における固定体10とプレート30とが一体に形成されている点である。この固定体60は、平板状で合成樹脂又はダイカストで成形されており、図5中において後方に位置するところには受孔63が設けられ、そして、左右方向のうち左方向に位置するところにはその端部を開口して受座50のガイド部26a、26bを案内する摺動溝66a、66bが設けられ、更に、これら摺動溝66a、66bを形成する、受孔63とは反対側の突設部には受座50の凸凹部24a、24bに係合する凹凸部64a、64bが向かい合うようにそれぞれ設けられている。また、上記左右方向のうちの右方向に位置する端部は、ラッチボルト3が当接する舌片部62を形成している。このようにラッチ受具40では、ラッチ受具4における固定体10とプレート30とを一体に設けたことから製造コストを一層低減することができる。
【0015】本発明の実施の形態からも判るように、従来のラッチ受具のようにスライドボックスとケース体との間にスプリングを弾設する構成を採っていないために、枠体2に対する埋設部6の彫り込みを浅くすることができ、枠体2が薄い場合には枠体2の強度が低下することを免れるという利点も有する。
【0016】
【発明の効果】以上のように、本発明のラッチ受具によれば、部品点数が少なくてもラッチボルトの係り具合を調整でき、しかも、部品点数が少ないために、製造コストを減少させることができる。また、本発明のラッチ受具によれば、上記効果に加え、ラッチボルトの係り具合を容易に調整できるため、調整時に手間を取らせることがない。
【出願人】 【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
【出願日】 平成12年5月22日(2000.5.22)
【代理人】 【識別番号】100104857
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 幸雄
【公開番号】 特開2001−329723(P2001−329723A)
【公開日】 平成13年11月30日(2001.11.30)
【出願番号】 特願2000−149209(P2000−149209)