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【発明の名称】 引き違い戸の鎌錠装置
【発明者】 【氏名】木野瀬将明

【要約】 【課題】若干の位置ズレがあっても、ロック手段である鎌片を容易に施錠することができることである。一方、引戸を完全に閉止した場合において、鎌片のロック状態を容易に解消させることができること。

【解決手段】一方の引戸1の框2に対向状態に内装された左右1対の鎌キャッチャー3,3Aと、これらの鎌キャッチャー3,3Aに自在に係合する鎌片4を前記框2に対向する框5内に備えた他方の引戸6とから成り、前記鎌キャッチャー3,3Aは、鎌片4の左右をそれぞれ囲む段差状受け部12,12を有すると共に、バネ部材14のバネ力に抗して回転することができるように框2に横設軸架された固定軸に軸支され、鎌片4は框5に摺動自在に内装された作動部材23の作動により回転して先端部4aが前記段差状受け部12,12に係合するように框5内に固定支軸30を介して軸支されていること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方の引戸1の框2に対向状態に内装された左右1対の鎌キャッチャー3,3Aと、これらの鎌キャッチャー3,3Aに自在に係合する鎌片4を前記框2に対向する框5内に備えた他方の引戸6とから成り、前記鎌キャッチャー3,3Aは、鎌片4の左右をそれぞれ囲む段差状受け部12,12を有すると共に、バネ部材14のバネ力に抗して回転することができるように框2に横設軸架された固定軸に軸支され、一方、鎌片4は框5に摺動自在に内装された作動部材23の作動により回転して先端部4aが前記段差状受け部12,12に係合するように框5内に固定支軸30を介して軸支されていることを特徴とする引き違い戸の鎌錠装置。
【請求項2】 請求項1に於いて、少なくとも一方の鎌キャッチャー3(3A)は、対向する内側壁部10の下部に突起部11を有することを特徴とする引き違い戸の鎌錠装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、引き違い戸の鎌錠装置に関する。
【0002】
【従来の技術】二枚の引戸を戸枠内に互い違いかつスライド自在に嵌め込んだ場合、当該引戸を通称「引き違い戸」と呼んでいる。この引き違い戸においては、左右の引戸をそれぞれ閉めてから鎌片でロックする。この場合若干の位置ズレがあっても、ロック手段である鎌片を容易に施錠及び解錠をすることができることが望ましい。また、一方の引戸の框内に組込まれた鎌片受け部材(以下、「鎌キャッチャー」という。)は、一方の引戸が左方向及び右方向へ開く場合(つまり「両方向に開くタイプの場合」)のいずれのであっても、係止機能を発揮することが出来ることが望ましい。
【0003】しかしながら、従来、引き違い戸の鎌錠装置は、一方の引戸が一方向(例えば左方向)にオープンする場合にしか対応することができない、という問題点を有していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、第1の目的は、若干の位置ズレがあっても、ロック手段である鎌片を容易に施錠することができることである。一方、引戸を完全に閉止した場合において、鎌片のロック状態を容易に解消させることができることである。第2の目的は、引戸を左右いずれの方向に開く場合であっても、係止機能を発揮させることが出来ることである。第3の目的は、鎌錠装置の取り付け作業の効率化を図ることができることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の引き違い戸の鎌錠装置は、一方の引戸1の框2に対向状態に内装された左右1対の鎌キャッチャー3,3Aと、これらの鎌キャッチャー3,3Aに自在に係合する鎌片4を前記框2に対向する框5内に備えた他方の引戸6とから成り、前記鎌キャッチャー3,3Aは、鎌片4の左右をそれぞれ囲む段差状受け部12,12を有すると共に、バネ部材14のバネ力に抗して回転することができるように框2に横設軸架された固定軸に軸支され、一方、鎌片4は框5に摺動自在に内装された作動部材23の作動により回転して先端部4aが前記段差状受け部12,12に係合するように框5内に固定支軸30を介して軸支されているいることを特徴とする。
【0006】上記構成において、少なくとも一方の鎌キャッチャー3(3A)は、対向する内側壁部10の下部に突起部11を有することを特徴とするここで一方の引戸1の框2とは、框そのもののみならず、框に固定的に内装されたケース状の支持フレームも含む。
【0007】
【発明の実施の形態】まず、図1及び図2により本発明の実施形態の第1実施例を説明する。Xは引き違い戸に取り付けられた鎌錠装置で、この鎌錠装置Xは、外側引戸(一方の引戸の意味)1の外框2内に対向状態に設けられた左右1対の鎌キャッチャー3,3Aと、これらの鎌キャッチャー3,3Aに自在に係合する鎌片4を内框5に備えた内側引戸(他方の引戸の意味)6とから構成されている。
【0008】図1で示すように、外框2は外側引戸1の一端部に設けられた縦框であり、引戸1,6を互いに閉めた際に内框5と対向する縦板2aの中央部或いは中央部よりの部位には、鎌片用窓7が形成されている。この鎌片用窓7の開口幅は、前記1対の鎌キャッチャー3,3Aの係合幅を考慮してやや幅広に形成されている。なお、ここで外框2には、該框に固定的に内装されたケース状支持フレームも含まれる。
【0009】外框2内には、鎌片用窓7に臨んで左右1対の鎌キャッチャー3,3Aが対称状態に設けられている。これらの鎌キャッチャー3,3Aは、図3及び図4で示すように左右対称なので、一方の鎌キャッチャー3のみを説明し、他方の鎌キャッチャー3Aには、便宜上同一の符合を付し、重複する説明を省略する。
【0010】さて、図3及び図4を参照にすると、鎌キャッチャー3は、全体として縦長のブロック片であり、下部に後述する固定軸用軸孔8を2個有する。これらの軸孔8に一つは、外框2の内壁面に対向する外側壁部9の延設下端部に形成され、もう一つは鎌キャッチャー3Aに対向する内側壁部10の下部に突設された突起部11の下端部に形成されている。突起部11は、他方の鎌キャッチャー3Aのそれと互いに摺接し合う滑り機能及び軸受け部としての機能を有する。
【0011】また鎌キャッチャー3は、引戸1の開く方向向きに段差状受け部12を有する。したがって、引戸1をオープンする際には、鎌片4は鎌キャッチャー3の段差状受け部12に係止される。この段差状受け部12は、図3を基準にすると、本実施例では、手前側の第1係合部12aと、奥側の第2係合部12bに区分けすることができる。鎌片4は閉止位置に対応してこれらの係合部に選択的に係合する。
【0012】図4で示すように、左右1対の鎌キャッチャー3,3Aは、外框2に横設軸架された固定軸13に軸支され、かつ、左右の手を合わせた如く対設している。また左右1対の鎌キャッチャー3,3Aは、前記固定軸13にそれぞれ装着された複数のバネ部材14,14に個別的に付勢されている。一つのバネ部材14は、鎌キャッチャー3Aの外側壁部9の延設下端部と突起部11の下端部との間に形成された空間部内に組込まれ、その一端部14aは鎌キャッチャー3Aの外壁下面に、一方、他端部14bは框2内の支板,固定フレーム等にそれぞれ圧接している。
【0013】したがって、左右1対の鎌キャッチャー3,3Aは、バネ部材14,14のバネ力に抗して回転することができるように固定軸13に軸支されている。
【0014】各鎌キャッチャー3,3Aは、鎌片4の先端部4aと係合できるように位置付けられている。ところで、左右の各鎌キャッチャー3,3Aと鎌片4との関係を補足説明する。前述したように左右の鎌キャッチャー3,3Aは、鎌片4を左右から協力して囲む段差状受け部12,12をそれぞれ有するので、本実施例では「引き違い引戸の鎌錠装置」に適合する。ここで図9と図13を対比してその理由を説明すると、図9では外側の引戸1を矢印A(開く方向)に開こうとすると、鎌片4は右側に位置する各鎌キャッチャー3に係止される。これに対し、図13では外側の引戸1を矢印B(開く方向)に開こうとすると、鎌片4は左側に位置する各鎌キャッチャー3Aに係止される。したがって、本実施例では外側の引戸1が一方向ではなく、両方向に開くタイプに相応しい。
【0015】図2には鎌片4と関係する環境部材が示されている。各環境部材については簡単に説明する。15は外框2の鎌片用窓7と対向可能な鎌片出入り口16を有するフロント、17は内框5の開口部18内に組込まれたケース状固定枠、19は内框5に複数個の固着具20を介して固定された内側カバー(通称、内側エスカチオン)、21は内側カバーの内壁面に形成された切欠部22内に組込まれた断面十字形状の操作片、23はケース状固定枠17に上下動自在(摺動自在の意味)に内装された枠状作動部材である。この枠状作動部材23と操作片21は一体的に設けられ、駆動部材としての機能を果たす。
【0016】なお、内側カバー(通称、内側エスカチオン)19に操作片21の摘み部21a用案内小切欠部25などが形成されている。また、ケース状固定枠17にも操作片21の案内小切欠部26やフロント15の鎌片出入り口16と符合する窓状開口27が形成されている。
【0017】鎌片の後端部4bは、ケース状固定枠17に横設軸架された固定支軸30に軸支され、かつ、後端部に形成されたT字型状の係合孔に係合する作動部材23の作動軸31に係止されている。
【0018】次に、図3及び図4は本発明の主要部材の形態を示す。前述したように左右対称の鎌キャッチャー3,3Aは、内壁面が縦に段差形状の係合部を有するブロック体である。そして、外框2に横架された固定軸13に左右の手を合わせた如く対向状態に軸支されかつばね部材14で鎌片4の方向に付勢されている。
【0019】図5及び図6は、各鎌キャッチャー3,3Aがバネ部材14,14にそれぞれ圧されて初期位置に停止し、かつ、鎌片4が非掛合状態であることを示す。この非掛合状態において、操作片21の操作により作動部材23が下降すると、鎌片4は固定支軸30を中心に回転する。
【0020】図7及び図8は、引戸1,6を閉めた際に、引戸の位置ズレが若干あってもそれを無視し、そのまま鎌片4を係合(掛合)方向へと回した場合の状態を示している。この場合図7を基準にすると、鎌片4の先端部4aは、右側鎌キャッチャー3の第1係合部12aに係合している状態を示している。
【0021】ここで、図9及び図10を参照に「左右の鎌キャッチャー3,3Aの遊び」について説明する。前述したように左右の鎌キャッチャー3,3Aの対向する内側壁部10の下端部には突起部11が形成されているので、その分だけ左右の鎌キャッチャー3,3Aの各係合部12a,12bと鎌片4との間には隙間(遊び)が生じる。
【0022】今仮に図9で示すように鎌片4の先端部4aが左右の鎌キャッチャー3,3Aの奥側の第2係合部12bに係合しても、鎌片4の先端部4aの右側面と右側の鎌キャッチャー3との間に若干の隙間が生じる。
【0023】したがって、操作片21を操作して鎌片4のロック状態を解消させようとする場合において、引戸1を矢印A方向へ若干移動させると、鎌キャッチャー3,3Aの干渉がなくなるので、鎌片4を容易に解錠することが可能になる。
【0024】図11及び図12は、一方の鎌キャッチャー3Aの第1係合部12aに鎌片4が係合した状態を示している。このように本実施例の鎌キャッチャー3,3Aは、色々な態様で鎌片4と係合する。
【0025】
【実施例】第1実施例において、本実施例では、左右の鎌キャッチャー3,3Aは、対向する内側壁部10の下部にそれぞれ突起部11を有するが、この突起部11は「組合わせた左右の鎌キャッチャー3,3Aに遊びを持たせることが狙い」であるから、左右の鎌キャッチャー3,3Aのいずれか一方にあれば十分である。また例えば図2を基準にすると、左右の鎌キャッチャー3,3Aは上向きであるが、これは鎌片4との係合関係を考慮したものである。したがって、鎌片4の取付け如何によって鎌片の先端部4aが下向きに係合する場合には、当然、各鎌キャッチャー3,3Aは下向きに軸支される。
【0026】また各鎌キャッチャー3,3Aの突起部11は互いに滑り対偶の関係にあるので、摺接面積を少なくするのが望ましいし、外側壁部9の下端部にも框の内壁面との摺接関係を考慮して前記突起部11と同様に多少の段差乃至突起を形成するのが望ましい。
【0027】さらに、鎌片4は作動部材23の上下動に追従して回転するが、前記作動部材23は、設計如何によっては水平方向へと進退動するタイプでも良い。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、次に列挙するような作用・効果がある。
(1)若干の位置ズレがあっても、ロック手段である鎌片を容易に施錠することができる。
(2)特に鎌キャッチャー3,3Aは、鎌片4を左右から協力して囲む段差状受け部12,12をそれぞれ有するので、互い違いに戸枠をスライドする二枚の引き違い戸に適合する。
(3)操作片21を操作して鎌片4のロック状態を解消させようとする場合において、引戸1を若干移動させると、鎌キャッチャー3,3Aの干渉がなくなるので、鎌片4を容易に解錠することができる。
(4)鎌錠装置の取り付け作業の効率化を図ることができる
【出願人】 【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
【出願日】 平成12年5月12日(2000.5.12)
【代理人】 【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
【公開番号】 特開2001−323702(P2001−323702A)
【公開日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願番号】 特願2000−140226(P2000−140226)