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【発明の名称】 車両用電子キー装置
【発明者】 【氏名】小沼 吉樹

【要約】 【課題】異なる通信方式で取り扱う複数のIDの登録操作を簡便にする。

【解決手段】電子キーと車載装置との間で複数の方式により無線通信を行って電子キーから複数のIDを受信し、予め車載装置に登録したIDとの照合結果により各IDに対応した処理を行う車両用電子キー装置であって、ステアリングホイールをロックするロック(LOCK)位置、アクセサリー機器へ電源を投入するアクセサリー(ACC)位置、エンジンを作動させるイグニッションオン(ON)位置およびエンジンを始動するスタート(ST)位置へ回転操作可能な操作ノブ30を備え、電子キーのIDを車載装置へ登録するモードでは操作ノブ30の設定位置に応じて登録IDを切り換える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】予め車載装置に登録したIDとの照合結果により各IDに対応した処理を行う処理モードと、電子キーのIDを車載装置に登録する登録モードとを有し、電子キーと車載装置との間で複数の方式により無線通信を行って電子キーから複数のIDを受信する車両用電子キー装置であって、ステアリングホイールをロックするロック位置、アクセサリー機器へ電源を投入するアクセサリー位置、エンジンを作動させるイグニッションオン位置およびエンジンを始動するスタート位置へ回転操作可能な操作ノブを備え、電子キーのIDを車載装置へ登録するモードでは前記操作ノブの設定位置に応じて登録するIDを切り換えることを特徴とする車両用電子キー装置。
【請求項2】請求項1に記載の車両用電子キー装置において、前記無線通信方式には、電波を用いた無線通信と、電磁誘導作用により車載装置から電子キーへ電力を送り、この電力を利用して電子キーから車載装置へIDを送信する無線通信(以下、電磁誘導による無線通信と呼ぶ)とが含まれることを特徴とする車両用電子キー装置。
【請求項3】請求項2に記載の車両用電子キー装置において、電波による無線通信で電子キーから第1IDと第2IDを受信し、ドアのロック/アンロック許可判定とエンジンの始動許可判定を行うとともに、電磁誘導による無線通信で電子キーから第3IDを受信し、エンジン始動許可判定を行うことを特徴とする車両用電子キー装置。
【請求項4】請求項1〜3のいずれかの項に記載の車両用電子キー装置において、ID登録モードでは、前記複数のIDの内のいずれかのIDを電子キーから受信できなかった場合は、すでに登録した電子キーのIDをすべて抹消して登録モードを終了することを特徴とする車両用電子キー装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗員が携帯する電子キーと車載装置との間で無線通信を行い、電子キーから受信したIDを登録IDと照合してドアのロック/アンロック許可判定やエンジンの始動許可判定を行う車両用電子キー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】キープレートのない携帯用電子キーと車載装置との間で電波により無線通信を行い、電子キーから受信した第1のIDコードの照合結果によりドアのアンロック許可判定を行い、さらに電子キーから受信した第2のIDコードの照合結果によりエンジンの始動許可判定を行うようにした車両用電子キー装置が知られている(例えば、特開平11−36675号公報参照)。
【0003】また、イグニッションキーがキーシリンダーに挿入されたときに、イグニッションキーのヘッド部に埋め込まれたトランスポンダーと、キーシリンダーに埋め込まれたトランスポンダー用アンテナとの間で高周波電磁誘導により無線通信を行い、イグニッションキーから受信したIDの照合結果によりエンジンの始動許可判定を行うようにした車両用防盗装置が知られている(例えば、特開昭64−056253号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電波による無線通信や電磁誘導による無線通信などの異なる方式の無線通信で複数のIDを送受し、車両用キー装置の信頼性と安全性の向上を図ることが考えられる。
【0005】しかしながら、これらの異なる無線通信方式により複数のIDを取り扱うことにすると、それぞれの通信方式のID登録モードにおいて別個にIDの登録操作を行わなければならず、ID登録操作が煩雑になるという問題がある。
【0006】本発明の目的は、異なる通信方式で取り扱う複数のIDの登録操作を簡便にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図1〜図6を参照して本発明を説明すると、(1) 請求項1の発明は、予め車載装置1に登録したIDとの照合結果により各IDに対応した処理を行う処理モードと、電子キー20のIDを車載装置1に登録する登録モードとを有し、電子キー20と車載装置1との間で複数の方式により無線通信を行って電子キー20から複数のIDを受信する車両用電子キー装置であって、ステアリングホイールをロックするロック(LOCK)位置、アクセサリー機器へ電源を投入するアクセサリー(ACC)位置、エンジンを作動させるイグニッションオン(ON)位置およびエンジンを始動するスタート(ST)位置へ回転操作可能な操作ノブ30を備え、電子キー20のIDを車載装置1へ登録するモードでは操作ノブ30の設定位置に応じて登録するIDを切り換える。
(2) 請求項2の車両用電子キー装置は、無線通信方式には、電波を用いた無線通信と、電磁誘導作用により車載装置1から電子キー20へ電力を送り、この電力を利用して電子キー20から車載装置1へIDを送信する無線通信(電磁誘導による無線通信)とが含まれる。
(3) 請求項3の車両用電子キー装置は、電波による無線通信で電子キー20から第1IDと第2IDを受信し、ドアのロック/アンロック許可判定とエンジンの始動許可判定を行うとともに、電磁誘導による無線通信で電子キー20から第3IDを受信し、エンジン始動許可判定を行うようにしたものである。
(4) 請求項4の車両用電子キー装置は、複数のIDの内のいずれかのIDを電子キーから受信できなかった場合は、すでに登録した電子キー20のIDをすべて抹消して登録モードを終了するようにしたものである。
【0008】上述した課題を解決するための手段の項では、説明を分かりやすくするために一実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が一実施の形態に限定されるものではない。
【0009】
【発明の効果】(1) 請求項1および2の発明によれば、電子キーのIDを車載装置へ登録するモードでは操作ノブの設定位置に応じて登録するIDを切り換えるようにしたので、通信方式ごとにID登録処理を別個に行う必要がなく、車両用キー装置の信頼性と安全性を向上させながら、エンジン始動を行う際の操作と同様な簡便な操作で異なる通信方式で取り扱う複数のIDを一度に登録することができる。
(2) 請求項3の発明によれば、請求項1および2の上記効果に加え、車両の防盗性能を向上させることができる。
(3) 請求項4の発明によれば、ID登録モードでは、複数のIDの内のいずれかのIDを電子キーから受信できなかった場合は、すでに登録した電子キー20のIDをすべて抹消して登録モードを終了するようにしたので、各電子キーに設定されたすべてのIDを車載装置に確実に登録することができ、複数のIDの内のいずれか1個のみが登録された不完全な状態で登録処理を終了して防盗性能が低下するのを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は一実施の形態の車載装置の構成を示し、図2はイグニッションノブを示す。また、図3は運転席ドアのドアハンドルとドアロックスイッチを示し、図4はドアアンテナの通信可能範囲を示す。さらに、図5は携帯用電子キーの構成を示し、図6は携帯用電子キーの外観を示す。
【0011】一実施の形態の車両用電子キー装置は、車両の例えばインストルメントパネル内などに設置される車載装置1(図1)と、乗員が携帯可能な電子キー20(図5および図6)と、イグニッションノブ30(図2)により操作されるイグニッションスイッチユニット(不図示)とを備えている。
【0012】まず、図5および図6に示す携帯用電子キー20について説明する。携帯用電子キー20は、図6aに示すように小形で携帯可能な形状に形成され、図6bに示すようにキャップ部20aと非常用キー部20bとに分割することができ、非常用キー部20bには非常用キー20cが取り付けられる。
【0013】この電子キー20には従来のイグニッションキーのようなキープレートがなく、非常時に使用するための非常用キー20cが設けられているだけである。一方、車載装置1には電子キー20を収納するキーシリンダーユニットが設置されず、乗員は車両に搭乗しても電子キー20を携帯したままでよい。そのため、この一実施の形態では、従来の車両用電子キー装置のキーシリンダーユニットに代えて、図3に示すようなイグニッションノブ30により操作されるイグニッションスイッチユニット(不図示)が、運転席側のインストルメントパネルに設置される。非常時以外には、このイグニッションスイッチユニットに電子キー20を挿入する必要はない。
【0014】電子キー20のキャップ部20aには、図5に示す電子キー回路21が組み込まれている。電子キー回路21はアンテナ23、電子キーコントローラー24およびバッテリー25から構成され、ドアロックおよびアンロック許可判定用の第1IDとエンジン始動許可判定用の第2IDとを電波による無線通信で車載装置1へ送信する。電子キーコントローラー24は、車載装置1との通信を制御するCPU24aと、第1IDおよび第2IDを記憶する不揮発性メモリ24bなどの周辺部品から構成される。バッテリー25は電子キー回路21に電力を供給するための交換可能な電池である。
【0015】一方、非常用キー部20bには図5に示すトランスポンダー22が組み込まれている。トランスポンダー22はアンテナコイル26、コンデンサー27および不揮発性メモリ28から構成され、メモリ28に記憶されているエンジン始動許可判定用の第3IDを高周波電磁誘導による無線通信で車載装置1へ送信する。この電磁誘導による無線通信については後述する。
【0016】次に、図1により車載装置1について説明する。イグニッションノブ30により操作されるイグニッションスイッチユニット(不図示)は、イグニッションノブ30の回転に連動して作動するイグニッションスイッチ6、7a、7bと、ステアリングホイールをロックするステアリングロックユニット16とを備えている。ステアリングロックユニット16は、イグニッションノブ30をロックして回転操作を禁止するためのノブ回転禁止ラッチ(不図示)を有し、この回転禁止ラッチをアンロック側に駆動することによってイグニッションノブ30とステアリングホイールの回転操作が可能になる。
【0017】図2に示すように、ステアリングホイールのロック(LOCK)位置にあるイグニッションノブ30を押し込むとキースイッチ6がオンする。また、イグニッションノブ30をエンジンを作動させるイグニッションオン(ON)位置に回すとイグニッションオン・スイッチ7aがオンする。さらに、スターターによりエンジンを始動するエンジンスタート(START)位置に回すとエンジンスタート・スイッチ7bがオンする。
【0018】スイッチ8a、8bはそれぞれ、運転席ドアおよび助手席ドアのドアアンロック処理を開始させるためのドアハンドルスイッチであり、運転席ドアおよび助手席ドアのドアアウトサイドハンドルを引くとオンする。
【0019】また、スイッチ9a、9bはそれぞれ、運転席ドアおよび助手席ドアのドアロック処理を開始させるためのドアロックスイッチである。図3に示すように、運転席ドアロックスイッチ9aは運転席ドア40のドアアウトサイドハンドル41周辺の車外に設けられ、車両のドアをロックするときに車外から操作される。なお、図3には運転席ドアのみを示すが、助手席ドアにも同様にドアアウトサイドハンドル周辺の車外にドアロックスイッチ9bが設けられる。
【0020】スイッチ10a、10bはそれぞれ、運転席ドアおよび助手席ドアのロック/アンロック状態を検出するスイッチであり、ドアロック機構(不図示)がロック状態にあるときにオフし、アンロック状態にあるときにオンする。
【0021】車載装置1は電子キー20と電波により無線通信を行う送受信機2、3、4、12と、高周波電磁誘導により無線通信を行う送受信機5とを備えている。送信機2は運転席シートまたは運転席天井部に設置され、アンテナ2aから”エンジン始動信号”などを運転者が携帯する電子キー20へ送信する。なお、アンテナ2aの指向性を調整することによって、アンテナ2aを介して車載装置1と携帯機20との間で無線通信が可能な範囲を、運転席付近の車室内のみの範囲とする。この通信可能範囲は、運転席に搭乗した運転者が携帯する電子キー20をカバーできる程度の狭い範囲でよい。
【0022】送信機3は、図4に示すように、運転席ドア40のドアアウトサイドハンドル41の周辺に設置され、ドアアンテナ3aから”ドアロック信号”および”ドアアンロック信号”などを運転席ドア近くの乗員が携帯する電子キー20へ送信する。なお、運転席ドアアンテナ3aの指向性を調整することによって、ドアアンテナ3aを介して車載装置1と携帯機20との間で無線通信が可能な範囲を、運転席ドア40付近の車外のみの範囲42とする。この通信可能範囲42は、運転席ドア40付近の、乗員がドアロックスイッチ9aを操作してドアロックを行う範囲をカバーできる程度の狭い範囲でよい。
【0023】同様に、送信機4は助手席ドア43のドアアウトサイドハンドル周辺に設置され、ドアアンテナ4aから”ドアロック信号”および”ドアアンロック信号”などを助手席ドア近くの乗員が携帯する電子キー20へ送信する。なお、ドアアンテナ4aの指向性を調整することによって、ドアアンテナ4aを介して車載装置1と携帯機20との間で無線通信が可能な範囲を、助手席ドア43付近の車外のみの範囲44とする。この通信可能範囲44は、助手席ドア43付近の、乗員がドアロックスイッチ9bを操作してドアロックを行う範囲をカバーできる程度の狭い範囲でよい。
【0024】受信機12は車両後部のリヤーパーセルに設置され、アンテナ12aを介して電子キー20から送られる”エンジン始動要求信号”、”ロック要求信号”、”アンロック要求信号”、IDなどを受信する。
【0025】送受信機5はイグニッションノブ30により操作されるイグニッションスイッチユニット(不図示)の近傍に設置され、送信機2と受信機12を用いた電波による無線通信が不能な場合にアンテナコイル5aを介して電子キー20と電磁誘導による無線通信を行い、電子キー20からエンジン始動許可判定用の第3IDを受信する。
【0026】電波による無線通信が不能でエンジンの始動ができない場合には、電子キー20の非常用キー20cを図3に示すイグニッションノブ30の非常用キー差し込み口31へ差し込んでエンジン始動操作を行うことができる。イグニッションノブ30には、キー差し込み口31を中心にアンテナコイル5aがループ状に埋め込まれており、非常用キー20cが差し込み口31へ差し込まれると、電子キー20の非常用キー部20bに内蔵されるトランスポンダー22のアンテナコイル26とイグニッションノブ30のアンテナコイル5aとが近接することになる。
【0027】非常用キー20cがイグニッションノブ30のキー差し込み口31に差し込まれた状態で、送受信機5からアンテナコイル5aへ高周波パルス信号を出力すると、イグニッションノブ3のアンテナコイル5aと電子キー20のアンテナコイル26との間で電磁誘導作用が働き、電子キー20のアンテナコイル26に誘導起電力が発生し、コンデンサー27に蓄電される。電子キー20のトランスポンダー22は、コンデンサー27に蓄電した誘導起電力を送信電力として利用し、メモリ28に記憶されている第3IDのコードを表すパルス信号をアンテナコイル26へ出力する。この第3IDのパルス信号は、アンテナコイル26と車載装置1側のアンテナコイル5aとの電磁誘導作用により車載装置1の送受信機5で受信され、第3IDに復調される。
【0028】このような電磁誘導作用を利用して車載装置1から電子キー20へ電力を送り、この電力を利用して電子キーから車載装置へIDを送信する無線通信を、この明細書では単に”電磁誘導による無線通信”と呼ぶ。
【0029】施解錠コントローラー13はCPU13aと不揮発性メモリ13bなどを備え、ドアロックアクチュエーター14を駆動制御して運転席ドア、助手席ドアおよび後部座席ドアのロック、アンロックを行う。
【0030】エンジンコントローラー15はCPU15aと不揮発性メモリ15bなどを備え、スロットルバルブ制御装置(不図示)、燃料噴射装置(不図示)および点火装置(不図示)を駆動制御してエンジン2の回転速度と出力トルクを制御する。
【0031】パッシブコントロールユニット11はCPU11aと不揮発性メモリ11bなどを備え、送受信機2、3、4、5、12を介して電子キー20と無線通信を行い、イグニッションスイッチ6、7a、7b、ドアハンドルスイッチ8a、8b、ドアロックスイッチ9a、9bおよびロック状態スイッチ10a、10bの動作状態に応じて施解錠コントローラー13およびエンジンコントローラー15を制御し、車両ドアのロック、アンロックを行うとともに、エンジンの始動、停止を行う。
【0032】ブザー17は、電子キー20との無線通信が不能なときや、ID照合結果が不一致のときに吹鳴して警告するためのブザーである。なお、ブザー17の代わりにスピーカーを設け、音声により警告するようにしてもよい。
【0033】この実施の形態では、ドアロックおよびアンロックのために第1IDを用い、エンジン始動許可判定のために第1IDとは異なる第2IDを用いる。さらに、電波による無線通信が不能な場合などの非常時のエンジン始動許可判定用として、第3IDを用いる。これらのIDは、車両の工場出荷時やサービスステーションでのメインテナンス時に、車載装置1のパッシブコントロールユニット11のメモリ11bにコピーされ、登録される。
【0034】図7〜図9はID登録処理を示すフローチャートである。これらのフローチャートにより、一実施の形態のID登録処理を説明する。車両の工場出荷時、あるいはサービス工場における車両のメインテナンス時に、作業者は診断装置を車両に接続して所定の操作を行い、ID登録モードを設定する。なお、パッシブコントロールユニット11が工場に納品されるときに予め登録モードに設定されていてもよい。次に、作業者は、第1IDの登録処理を開始させるための操作、すなわちイグニッションノブ30を1回押し込む操作を実行する。
【0035】ステップ1において、ドアロックおよびアンロック許可判定や、エンジン始動許可判定などの通常処理を禁止する。続くステップ2で、イグニッションノブ30が押し込まれてキースイッチ6がオンしているかどうかを確認し、キースイッチ6がオンしているときはステップ3へ進む。ステップ3では、運転席側の送信機2およびアンテナ2aから第1ID要求を電子キー20へ送信する。
【0036】電子キー20は、ステップ4で、車載装置1から送信された第1ID要求を電子キー回路21のアンテナ23で受信するとステップ5へ進み、メモリ24bから第1IDを読み出して電子キー回路21のアンテナ23から車載装置1へ送信する。
【0037】車載装置1は、ステップ6でアンテナ12aおよび受信機12により第1IDを受信したか否かを確認し、受信したらステップ7へ進む。ステップ7では電子キー20から送られた第1IDをメモリ11bに記憶し、登録する。
【0038】一方、電子キー20から第1IDを受信できなかった場合はステップ8へ進み、第1IDの読み込み処理をN回実行したかどうかを確認する。第1IDの読み込み処理をN回実行しても電子キー20から第1IDを受信できなかった場合はステップ9へ進み、ブザー17を吹鳴して警告を行い、ID登録処理を終了する。なお、第1IDの読み込み処理をN回実行していない場合はステップ3へ戻り、上述した第1IDの読み込み処理を繰り返す。
【0039】ここで、第1ID登録後、作業者は、第2IDの登録処理を開始させるための操作、すなわちイグニッションノブ30を2回押し込む操作を実行する。
【0040】第1ID登録後のステップ11において、キースイッチ6がオンからオフになり、ふたたびオンしたかどうか、つまりイグニッションノブ30の押し込み操作が2回繰り返されたかどうかを確認する。この操作が行われたらステップ12へ進み、運転席側の送信機2およびアンテナ2aから第2ID要求を電子キー20へ送信する。
【0041】電子キー20は、ステップ13で、車載装置1から送信された第1ID要求を電子キー回路21のアンテナ23で受信するとステップ14へ進み、メモリ24bから第2IDを読み出して電子キー回路21のアンテナ23から車載装置1へ送信する。
【0042】車載装置1は、ステップ15でアンテナ12aおよび受信機12により第2IDを受信したか否かを確認し、受信したらステップ16へ進む。ステップ16では電子キー20から送られた第2IDをメモリ11bに記憶し、登録する。
【0043】一方、電子キー20から第2IDを受信できなかった場合はステップ17へ進み、第2IDの読み込み処理をN回実行したかどうかを確認する。第2IDの読み込み処理をN回実行しても電子キー20から第2IDを受信できなかった場合はステップ18へ進み、先にメモリ11bに記憶した第1IDを消去し、登録を抹消するとともに、ブザー17を吹鳴して警告を行い、ID登録処理を終了する。なお、第2IDの読み込み処理をN回実行していない場合はステップ12へ戻り、上述した第2IDの読み込み処理を繰り返す。
【0044】第1IDおよび第2ID登録後のステップ21において、ステアリングロックユニット16のノブ回転禁止ラッチをアンロック側に駆動してイグニッションノブ30の回転操作を許可するとともに、ステアリングホイールのロックを解除する。
【0045】次に、作業者は、第3IDの登録処理を開始させるための操作、つまり非常用キー20cをイグニッションノブ30の非常用差し込み口31へ差し込み、イグニッションノブ30をイグニッションオン位置まで回す操作を実行する。
【0046】ステップ22で、イグニッションオン・スイッチ7aがオンしているか、つまりイグニッションノブ30がイグニッションオン位置に設定されているかどうかを確認し、イグニッションオン位置に設定されるとステップ23へ進む。ステップ23では、電磁誘導により電子キー20と無線通信を行うために、送受信機5からアンテナコイル5aに高周波パルス信号を出力する。
【0047】電子キー20は、ステップ24で、トランスポンダー22のアンテナコイル26に誘起した誘導起電力をコンデンサー27に蓄電する。続くステップ25で、コンデンサー27の蓄電電力を利用してメモリ28から第3IDを読み出し、アンテナコイル26に第3IDを表すパルス信号を出力する。
【0048】車載装置1は、ステップ26で、アンテナコイル5aおよび送受信機5により電子キー20のトランスポンダー22から第3IDを受信したかどうかを確認し、受信したらステップ27へ進む。ステップ27では、電子キー20のトランスポンダー22から送られた第3IDをメモリ11bに記憶し、登録する。その後ステップ28へ進み、ID登録モードの設定を解除して登録処理を終了する。
【0049】一方、電子キー20のトランスポンダー22から第3IDを受信できなかった場合はステップ29へ進み、第3IDの読み込み処理をN回実行したかどうかを確認する。第3IDの読み込み処理をN回実行しても電子キー20のトランスポンダー22から第3IDを受信できなかった場合はステップ30へ進み、先にメモリ11bに記憶した第1IDと第2IDを消去し、登録を抹消するとともに、ブザー17を吹鳴して警告を行い、ID登録処理を終了する。なお、第3IDの読み込み処理をN回実行していない場合はステップ23へ戻り、上述した第3IDの読み込み処理を繰り返す。
【0050】このように、イグニッションノブ30をロック位置で1回押し込む操作、次にロック位置で2回押し込む操作、さらに、非常用キー20cをイグニッションノブ30の非常用差し込み口31へ差し込んでイグニッションノブ30をイグニッションオン位置に設定する操作を行うことによって、第1ID、第2IDおよび第3IDを順序よく登録することができ、電波による無線通信と電磁誘導による無線通信の異なる通信方式で取り扱う複数のIDを、エンジン始動の際の操作と同様な簡便な操作で一度に登録することができ、通信方式ごとに別個に登録処理を行う必要はない。
【0051】また、第1、第2および第3のIDは電子キー20ごとに固有のIDを設定するので、車載装置1にこれら3個のIDをコピーして登録する際には、3個すべてのIDを登録しなければならない。上述した一実施の形態では、第1IDの登録に続いて第2IDと第3IDを登録する際に、第2IDと第3IDの内の1個でも電子キー20から読み込みできなかった場合は、その電子キー20のすでに登録済みのIDを抹消するようにしたので、3個のIDの内のいずれか1個または2個のIDのみが登録された不完全な状態で車両が出荷もしくはメインテナンスされることが防止され、車両用キー装置の信頼性と安全性を向上させることができる。
【0052】次に、登録した第1、第2および第3のIDを用いたドアロックおよびアンロック処理とエンジン始動処理について説明する。
【0053】まず、図10によりドアアンロック処理を説明する。なお、ここでは運転席ドア40のアンロック処理を説明するが、助手席ドア43のアンロック処理については運転席ドア40と同様であり、助手席ドア43のアンロック処理の説明を省略する。
【0054】ステップ41において、乗員が運転席ドア40のドアアウトサイドハンドル41を引くとドアハンドルスイッチ8aがオンし、運転席ドア40のアンロック処理を開始する。ステップ42で、運転席ドア40の送信機3およびアンテナ3aから電子キー20へドアアンロック信号を送信する。
【0055】電子キー20は、ステップ43で車載装置1からドアアンロック信号を受信するとステップ44へ進み、車載装置1へドアアンロック要求と第1IDを送信する。
【0056】車載装置1は、ステップ45でアンテナ12aおよび受信機12によりドアアンロック要求と第1IDを受信したかどうかを確認し、受信したらステップ46へ進む。ステップ46では、電子キー20から受信した第1IDをメモリ11bに登録されている第1IDと照合し、それらが一致する場合はステップ47へ進む。
【0057】電子キー20からドアアンロック要求と第1IDを受信し、受信した第1IDと登録されている第1IDとが一致した場合は、ステップ47で施解錠コントローラー13を制御してドアロックアクチュエーター14により車両ドア40,43をアンロックする。
【0058】一方、電子キー20からドアアンロック要求と第1IDを受信できなかった場合、または受信した第1IDが登録IDと一致しなかった場合はドア40,43をアンロックせずに処理を終了する。
【0059】次に、図11〜図12によりエンジン始動処理を説明する。ステップ51において、運転者がイグニッションノブ30を押し込むとキースイッチ6がオンし、エンジンの始動処理を開始する。ステップ52で、車室内運転席付近の送信機2およびアンテナ2aから電子キー20へエンジン始動信号と第2ID要求を送信する。
【0060】電子キー20は、ステップ53で車載装置1からエンジン始動信号と第2ID要求を受信するとステップ54へ進み、車載装置1へエンジン始動要求と第2IDを送信する。
【0061】車載装置1は、ステップ55でアンテナ12aおよび受信機12によりエンジン始動要求と第2IDを受信したかどうかを確認し、受信したらステップ56へ進む。ステップ56では、電子キー20から受信した第2IDを、メモリ11bに登録されている第2IDと照合し、それらが一致する場合はステップ61へ進む。
【0062】なお、電子キー20からエンジン始動要求と第2IDを受信できなかった場合、または受信した第2IDが登録IDコードと一致しなかった場合は、ステップ70へ進み、非常用キー20cを用いた非常時のエンジン始動処理を行う。この非常時のエンジン始動処理については後述する。
【0063】電子キー20からエンジン始動要求と第2IDを受信し、受信した第2IDが登録した第2IDと一致した場合は、ステップ61でステアリングロックユニット16を制御してノブ回転禁止ラッチをアンロック側に駆動し、イグニッションノブ30の回転操作を許可するとともに、ステアリングホイールのロックを解除する。
【0064】ステップ62において、イグニッションオン・スイッチ7aによりイグニッションノブ30がイグニッションオン位置に回されたかどうかを確認し、オン位置に回されるとステップ63へ進み、エンジンコントローラー15へエンジン始動許可を与える。次に、ステップ64でエンジンスタート・スイッチ7bによりイグニッションノブ30がエンジンスタート位置に回されたかどうかを確認し、スタート位置に回されるとステップ65へ進み、エンジンコントローラー15によりエンジンを始動させる。
【0065】ステップ66において、イグニッションオン・スイッチ7aによりイグニッションノブ30がアクセサリー位置に回されたかどうかを確認し、アクセサリー位置に回されるとステップ67へ進み、エンジンコントローラー15によりエンジンを停止させる。続くステップ68でキースイッチ6によりイグニッションノブ30がロック位置へ回されたかどうかを確認し、ロック位置に回されるとステップ69へ進み、ステアリングロックユニット16を制御してノブ回転禁止ラッチをロック側に駆動し、イグニッションノブ30とステアリングホイールをロックする。
【0066】電波による無線通信で第2IDを受信し、エンジン始動処理を行ったときに、電子キー20から第2IDを受信できなかった場合、または第2IDは受信できたが登録されている第2IDと一致しなかった場合は、ステップ70でブザー17を吹鳴して警告する。
【0067】この警告がなされた場合、運転者は非常用キー20cを用いてエンジンを始動することができる。つまり、電磁誘導により電子キー20と無線通信を行って第3IDを受信し、非常時のエンジン始動処理を行う。
【0068】ステップ71において、イグニッションオン・スイッチ7aがオンしているかどうか、つまり運転者が非常用キー20cをイグニッションノブ30の非常用差し込み口31へ差し込んでイグニッションオン位置へ設定したかどうかを確認する。イグニッションノブ30がイグニッションオン位置に設定されているときはステップ72へ進む。ステップ72では、送受信機5から高周波パルス信号をアンテナコイル5aに出力する。
【0069】電子キー20は、ステップ73で、トランスポンダー22のアンテナコイル26に誘起した誘導起電力をコンデンサー27に蓄電する。続くステップ74で、コンデンサー27の蓄電電力を利用してメモリ28から第3IDを読み出し、アンテナコイル26に第3IDを表すパルス信号を出力する。
【0070】車載装置1は、ステップ75で、アンテナコイル5aおよび送受信機5により電子キー20のトランスポンダー22から第3IDを受信したかどうかを確認し、受信したらステップ76へ進む。ステップ76では、電子キー20のトランスポンダー22から送られた第3IDとメモリ11bに登録した第3IDとを照合する。そして、電子キー20から送られた第3IDと登録した第3IDとが一致したらステップ62へ進み、上述したようにエンジンの始動処理を行う。
【0071】一方、電磁誘導による無線通信で電子キー20から第3IDを受信できなかった場合、あるいは電子キー20から受信した第3IDが登録した第3IDと一致しなかった場合はエンジンの始動を許可せずに処理を終了する。
【0072】次に、図14によりドアロック処理を説明する。なお、ここでは運転席ドア40のドアロック処理を説明するが、ドアロック処理については運転席ドア40と助手席ドア43と同様であり、助手席ドア43のドアロック処理の説明を省略する。
【0073】ステップ81において、乗員が運転席ドア40のドアロックスイッチ9aを押すと同スイッチ9aがオンし、運転席ドア40のロック処理を開始する。ステップ82で、運転席ドア40の送信機3およびアンテナ3aから電子キー20へドアロック信号を送信する。
【0074】電子キー20は、ステップ83で車載装置1からドアロック信号を受信するとステップ84へ進み、車載装置1へドアロック要求と第1IDを送信する。
【0075】車載装置1は、ステップ85でアンテナ12aおよび受信機12によりドアロック要求と第1IDを受信したかどうかを確認し、受信したらステップ86へ進む。ステップ86では、電子キー20から受信した第1IDをメモリ11bに登録した第1IDコードと照合し、それらが一致する場合はステップ87へ進む。
【0076】電子キー20からドアロック要求と第1IDを受信し、受信した第1IDと登録IDコードとが一致した場合は、ステップ87で施解錠コントローラー13を制御してドアロックアクチュエーター14により車両ドア40,43をロックする。
【0077】一方、電子キー20からドアロック要求と第1IDを受信できなかった場合、または受信した第1IDが登録IDコードと一致しなかった場合はステップ88へ進み、ドア40,43をロックせずにブザー17を吹鳴して警告を行い、処理を終了する。
【0078】なお、上述した一実施の形態では電子キー20に非常用キー20cを設けた例を示したが、電子キーに非常用キーを設けずに、電子キーを板状や棒状の任意の形状に形成し、車室内の所定位置へ収納するようにしてもよい。その場合は、電子キー収納部に電磁誘導により無線通信を行うためのアンテナコイルを設置し、電子キーのトランスポンダーのアンテナコイルとの間で第3IDの授受を行う。
【0079】また、上述した一実施の形態では電子キーと車載装置との間の電磁誘導による無線通信を、電波による無線通信が不能な場合、あるいは電波による無線通信で受信したIDが登録IDと一致しなかった場合の非常用通信手段として用いた例を示した。しかし、電磁誘導による無線通信を非常用通信手段とする必要はなく、電波による無線通信を非常用通信手段とし、電磁誘導による無線通信を通常の通信手段としてもよい。あるいは、電波による無線通信と電磁誘導による無線通信のいずれか一方を任意に、または自動的に選択するようにしてもよい。前者の場合は選択スイッチを設けて運転者に選択させ、後者の場合は、例えば、運転者が電子キーを所定の収納部へ収納した場合は電磁誘導による無線通信を選択し、そうでない場合は電波による無線通信を選択する。ここで、所定の収納部とは、上述した一実施の形態の差し込み口31のような電子キーを収納する設備である。
【0080】さらに、上述した一実施の形態では電波による無線通信で授受するIDを、ドアロックおよびアンロック許可判定用の第1IDとエンジン始動許可判定用の第2IDとで異なるIDを使用する例を示したが、第1IDと第2IDを同一としてもよい。
【0081】さらにまた、上述した一実施の形態では電波による無線通信と電磁誘導による無線通信とを例に上げて説明したが、無線通信方式はこの一実施の形態に限定されず、上記方式以外の光や超音波による無線通信方式を組み合わせて用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成12年5月18日(2000.5.18)
【代理人】 【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
【公開番号】 特開2001−323698(P2001−323698A)
【公開日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願番号】 特願2000−145973(P2000−145973)