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【発明の名称】 扉用のダブルロック錠
【発明者】 【氏名】浅井 剛

【要約】 【課題】右開きの扉でも、左開きの扉でも使用することができるダブルロック錠。

【解決手段】ダブルロック錠1が個別に回転可能かつ施錠・解錠可能な第1シリンダと第2シリンダとを有する。第1シリンダの内端部から径方向へ延びる第1アーム18と第2シリンダの内端部から径方向へ延びる第2アーム33とは、錠1が施錠状態にあるときに一直線をなすように向かい合い、半径rの凸形を弧を画く第1アーム18の先端46が、半径rよりもやや大きい半径の凹形の弧を画く第2アーム33の先端51の内側に納まるように形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれが個別に回転可能かつ施錠・解錠可能な第1シリンダと第2シリンダとが基板に該基板の外面から内面へ向かう方向へ互いに平行して配置され、前記第1、2シリンダそれぞれを解錠することによって前記基板が取り付けらている扉の施錠を解くことができるダブルロック錠において、前記第1、2シリンダは、それぞれの回転が前記基板の外面側に位置する外端部へ挿入されるキーによって施錠・解錠されるように形成され、前記基板の内面側に位置する前記第1、2シリンダそれぞれの内端部は、それぞれのシリンダの中心から径方向へ延びてシリンダの回転に伴って旋回する第1アームと第2アームとを有するとともに、前記第2シリンダの内端部は前記扉を固定枠に対して施錠するための手段を取り付け可能に形成され、前記第1アームの先端は、前記第1シリンダの中心から半径rの凸状の弧を画き、前記第2アームの先端は、前記第1シリンダの中心から前記半径rよりもやや大きい半径の凹状の弧を画き、前記第1アームと第2アームとは、一直線をなすように互いに向き合ったときに、前記第1アームが前記第2アームの旋回を阻むことができるように前記凸状の弧が僅かの間隙を残して前記凹状の弧の内側に納まっていることを特徴とする前記ダブルロック錠。
【請求項2】 前記第1、2シリンダは、前記内端部に取り外し可能な回転角度規制カムを有し、前記カムを裏返して取り付けると前記第1、2シリンダの回転が逆方向となるように形成されている請求項1記載のダブルロック錠。
【請求項3】 前記第1、2シリンダそれぞれは、第1、2キーそれぞれによって施錠・解錠されるものであり、前記第2シリンダに挿入される前記第2キーは、前記第1シリンダに挿入されている前記第1キーをその上方において覆うことができる大きさに形成されている請求項1または2記載のダブルロック錠。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、扉用ダブルロック錠に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2種類のキーを使用して扉を施錠したり、解錠したりする扉用のダブルロック錠は周知である。また、錠を左開きの扉で使用するか、右開きの扉で使用するかによって錠の構成部材を使い分ける場合があることもよく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】扉の開く方向によって錠の構成部材を交換するようにすると、比較的部材点数の多いダブルロック錠の部材がますます多くなり、部品の品質管理や在庫管理が煩雑になる。
【0004】この発明では、左開きと右開きの扉に共用できるダブルロック錠を提案して、そのような煩雑さを解消する。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題解決のために、この発明が対象とするのは、それぞれが個別に回転可能かつ施錠・解錠可能な第1シリンダと第2シリンダとが基板に該基板の外面から内面へ向かう方向へ互いに平行して配置され、前記第1、2シリンダそれぞれを解錠することによって前記基板が取り付けられている扉の施錠を解くことができるダブルロック錠である。
【0006】かかるダブルロック錠において、この発明が特徴とするところは、次のとおりである。前記第1、2シリンダは、それぞれの回転が前記基板の外面側に位置する外端部へ挿入されるキーによって施錠・解錠されるように形成され、前記基板の内面側に位置する前記第1、2シリンダそれぞれの内端部は、それぞれのシリンダの中心から径方向へ延びてシリンダの回転に伴って旋回する第1アームと第2アームとを有するとともに、前記第2シリンダの内端部は前記扉を固定枠に対して施錠するための手段を取り付け可能に形成されている。前記第1アームの先端は、前記第1シリンダの中心から半径rの凸状の弧を画き、前記第2アームの先端は、前記第1シリンダの中心から前記半径rよりもやや大きい半径の凹状の弧を画き、前記第1アームと第2アームとは、一直線をなすように互いに向き合ったときに、前記第1アームが前記第2アームの旋回を阻むことができるように前記凹状の弧が僅かの間隙を残して前記凸状の弧の内側に納まっている。
【0007】
【発明の実施の形態】添付の図面を参照し、この発明に係るダブルロック錠の詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0008】図1は、扉2に取り付けられたダブルロック錠1の斜視図であって、扉2が固定枠3に対して開いた状態にある。また、錠1は、説明を容易にするために、固定枠3に対して係合・離脱する施錠手段としての爪金具10がその係合する位置にある状態で示されている。錠1は、扉2の外面側に第1キー穴4と第2キー穴5とを有し、それぞれの穴4,5に挿入した第1キー6と第2キー7とを回転させることによって、爪金具10を固定枠3に対して係合する位置と離脱する位置との間で往復させることができる。
【0009】図2、3は、錠1の平面図と図2のIII−III線断面図であり、爪金具10が仮想線で示されている。錠1は、基板11の四隅に形成された透孔12に基板11の内面側から挿通されるビス(図示せず)によって扉2の内面に取り付けられる。基板11の上方に位置する第1キー穴4に第1キー6を挿入することによって、基板11の外面13から内面14へ向かって延びる第1施錠部16の第1シリンダ17を解錠状態にして図の位置Aから位置Bにまで時計方向へ約60°回転させることができる。かかる第1施錠部16には、例えば周知構造のシリンダ錠を使用することができる。第1シリンダ17は、基板11に対して時計方向にも、反時計方向にも360°回転できるものであるが、その回転を図2において時計方向へ60°に規制するための第1カム19が、第1シリンダ17の内端部に空回りすることがないようにビス21aとワッシャ21bとを介して取り付けられている。
【0010】基板11の下方に位置する第2キー穴5に第2キー7を挿入することによって、第1施錠部16に平行して基板11の外面13から内面14方向へ延びる第2施錠部22の第2シリンダ23を解錠状態にするとともに、図の位置Cから位置Dにまで時計方向へ約60°回転させることができる。第2キー7は、握持部26と、挿入部27と、これら両部26,27間に延びる軸部28とを有し、握持部26と挿入部27との側面形状は略T字形を呈している。挿入部27に対応して、第2キー穴5は縦長に形成されている。第2施錠部22は、図3において、第2シリンダ23の左方に左右方向へ伸縮するコイルばね31と、可動部材32とを有し、第2キー7は、挿入部27で可動部材32を押圧し、ばね31を収縮させて第2キー穴5へ進入する。ばね31を収縮させたまま第2キー7を位置Cから位置Dへ向かって時計方向へ回転させると、挿入部27の径方向へ長く延びた両突起部27aが基板11に対して内側から摺接し、可動部材32とこれと係合した第2シリンダ23とが時計方向へ回転し、第2キー7は、第2キー穴5から抜けなくなる。第2シリンダ23は、基板11に対して時計方向にも、反時計方向にも360°回転できるものであるが、その回転を図2において時計方向へ60°に規制するために、第2シリンダ23の内端部には、第2カム34が第2アーム33と爪金具10とともにビス36aとワッシャ36bとを介して第2シリンダ23に空回りすることがないように取り付けられている。
【0011】このように第1キー6を操作した後に第2キー7を操作しなければならない錠1では、図2においてT字状を呈する第2キーの握持部26が第1キー6の上方に位置して、第1キー6を覆うように長く延びているから、第1キー6の挿入と回転操作とが、第2キー7のそれよりも先であれば簡単であるが、それよりも後であると握持部26に邪魔されて困難になる。つまり、第1、2キー6,7の形状は、作業者が扉2を解錠するときにおのずと第1キー6から先に操作するように作られている。扉2が解錠状態にあるときの第2キー7は、第2キー穴5から抜けることがないので、扉2を開閉するときの把手として使うことができる。
【0012】図4は、錠1の背面図である。第1アーム18と第1カム19とは、第1アーム18を下にして重なり合い、ビス21aによって第1シリンダ17に固定されている。第1カム19は円盤状のもので、周縁の一部分41が切り欠かれている。その切り欠き部分41では、基板11の一部が図3の右方ヘ向かって延びる突起42を形成している。第1シリンダ17とともに回転する第1カム19は、切り欠き部分41の両側端43,44が突起42に衝接することによって停止する。第1カム19のかような回転によって、第1シリンダ17の回転角度が60°に規制されている。第1アーム18は、第1シリンダ17の中心から第2シリンダ23の中心へ向かって延び、延びた先端46は、第1シリンダ17の中心から半径rの凸形の弧を画いている。かかる第1アーム18は、第1、2シリンダ17,23の中心を結ぶ線C−Cに関して対称に作られている。第1シリンダ−17の回転角度を大きくしたり小さくしたりするには、切り欠き部分41の一側端44の位置を変えればよい。
【0013】第2アーム33と、第2カム34と、爪金具10とは、このような順序で第2アーム33が一番下となるように重なり合い、ビス36aによって第2シリンダ23に固定されている。第2カム34は、切り欠き部45を有し、第2シリンダ23とともに回転すると、切り欠き部45の両側端47,48が基板11において図3の右方へ延びる突起49に衝接することで停止する。かかる第2カム34の動きによって、第2シリンダ23の回転角度が60°に規制される。第2アーム33は、第2シリンダ23の中心から第1シリンダ17の中心へ向かって延び、延びた先端51は、第1シリンダ17の中心から半径r+pの凹形の弧を画き、第1アーム18の先端46から距離pだけ離間している。pはrに比べるとごく小さい値で、例えばrが30mm程度であるときに、pは0.1〜2mm程度であれば足りる。第2アーム33は、線C−Cに関して対称に作られている。第2シリンダ23の回転角度を大きくしたり小さくしたりするには、切り欠き部45の一側端48の位置を変えればよい。
【0014】このように形成された錠1が図1の状態、即ち背面から見たときに図4の状態にあるときには、第2キー7を第2キー穴5へ挿入して回転させようとすると、第2アーム33の凹形の弧を画いている先端51が凸形の弧を画いている第1アーム18の先端46に衝接する。一方、第1アーム18が取り付けられている第1シリンダ17は施錠された状態にあり、第2キー7はそれ以上回転させることができない。それゆえ、第2キー7だけを操作して爪金具10を旋回させることできず、爪金具10は図1、4の施錠位置にとどまっている。
【0015】図5は、爪金具10が図4の状態から旋回して固定枠3(図1参照)から離脱した状態にあるときの錠1の背面図である。爪金具10が図4の状態にあるときの錠1において、第1キー6を第1キー穴4に挿入すると、第1シリンダ17が解錠されて、第1キー6によって第1シリンダ17を回転させ、第1アーム18を図の位置にまで旋回させることができる。第1アーム18が旋回した後には、第2アーム33の旋回を妨げるものがなく、第2キー7によって第2シリンダ23と、それに固定された第2アーム33と、爪金具10とを図の位置にまで移動させて爪金具10を固定枠3から離脱させ、扉2を解錠状態にすることができる。第1施錠部16と第2施錠部22とは、扉2が解錠状態にあるときの第1、2キー6,7が、それぞれのキー穴4,5に挿入されたままで、そこから抜けることがないように作られている。
【0016】扉2を施錠するときには、扉2を閉めてから第2キー穴5に挿入されたままの第2キー7を反時計方向へ回転させ、爪金具10を横向きにして固定枠3に係合させる。このときに、爪金具10と第2アーム33とは、図4の状態に戻り、第2キー7を第2キー穴5から抜くことができる。次に、第1キー穴4に挿入されたままの第1キー6を反時計方向へ回転させると、第1アーム18はその先端46の弧が第2アーム33の先端51の弧と並行になる図4の状態にまで戻り、第1キー6を第1キー穴4から抜くことができる。
【0017】このような手順によらず、扉2を閉めた後に第2キー7よりも先に第1キー6を回転させようとすると、60°旋回している第2アーム33に対して第1アーム18の先端46が矢印Fで示されるように側方から衝接するのでその回転が止められ、爪金具10を施錠状態にすることができない。もっとも、第2カム34を別のものに代えることによって第2アーム33が60°ではなくて、例えば90°旋回した状態にあるときには、第2キー7よりも先に第1キー6を操作して第1アーム18を図4の状態にすることは可能である。しかし、その場合には、第2キー7を回転させようとすると、第2アーム33はその先端51が第1アーム18の先端46に側方から衝接して図4の状態に戻ることができない。したがって、爪金具10を施錠状態にすることができない。いずれにせよ、扉2が解錠状態にあるときに第2キー7よりも先に第1キー6を操作すると、第2キー7は、挿入位置にまで戻ることがないので、第2キー穴5から抜き取ることができない。つまり、この錠1では、扉2を閉めても、爪金具10が施錠位置になければ第2キー7を第2キー穴5から抜き取ることができないということによって、扉2が未だ施錠状態にないことを知り、いわゆる鍵のかけ忘れを防ぐことができる。もっとも、この錠1では、扉2が解錠状態にあるときには、第2キーの握持部26が第1キー6の上方に位置して第1キー6の操作の邪魔になるから、作業者は第2キー7を先に操作するように仕向けられる。
【0018】かかる錠1において、第1カム19と第2カム34とを裏返しにすると、扉2を解錠するときの第1キー6と第2キー7とは、図2の例とは逆の反時計方向へ回転させるものになり、第1、2アーム18,33もまた、反時計方向へ旋回するようになるから、そのような錠1は、図1の右開きの扉2とは異なる左開きの扉2に使用するのに好適なものになる。この場合でも、第1、2アーム18,33は、その先端46,51が中心を同じくする円弧を画いているので、第1、2カム19,34が裏返しであるか否かにかかわらず、図4のままの状態で、つまり裏返したり、別のものに交換したりすることなく使用することができる。
【0019】
【発明の効果】この発明に係る扉用のダブルロック錠では、基板に互いに平行に配置されている第1シリンダと第2シリンダとからそれらの径方向へ延びて一直線をなすように互いに向かい合う第1アームと第2アームとの先端が、一方は凸形の弧を画き、他方は凹形の弧を画き、これら両者の弧は中心が同じであって半径が僅かに異なるのみであるから、第1シリンダが施錠状態にあって第1アームの位置が固定されているときには、第2シリンダを解錠して第2アームを左右どちらかに旋回しようとしても第1アームに衝接して旋回することがなく、第2シリンダに取り付けられた爪金具を解錠状態にすることができない。かかるダブルロック錠では、扉が右開きのものであるか左開きのものであるかによって回転角度規制カムを裏返す必要はあっても、第1、2アームは、それを交換したり、取り付け方を変更したりする必要がない。
【出願人】 【識別番号】000152169
【氏名又は名称】株式会社栃木屋
【出願日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【代理人】 【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治 (外1名)
【公開番号】 特開2001−311329(P2001−311329A)
【公開日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【出願番号】 特願2000−129841(P2000−129841)