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【発明の名称】 押しボタン式シリンダ錠
【発明者】 【氏名】倉田 剛文

【要約】 【課題】組み立て作業性が良好で、かつ、構造を簡単にした低廉な押しボタン式シリンダ錠の提供を目的とする。

【解決手段】終端部に孔明き底壁1が設けられ、前方に開放される筒状のハウジング2と、ハウジング2に前方開口から進退自在に挿入され、ハウジング2内に収容された圧縮スプリング3により前方に付勢される押しボタンケース4と、押しボタンケース4に挿入されるロータ5により回転操作可能で、ハウジング2の後端面に当接して押しボタンケース4の前方への脱離を防止するレバー6とを有し、前記ハウジング2には、押しボタンケース4の抜け止め部7に弾発的に係止してレバー6取り付け可能位置に押しボタンケース4を仮保持可能な係止片8が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】終端部に孔明き底壁が設けられ、前方に開放される筒状のハウジングと、ハウジングに前方開口から進退自在に挿入され、ハウジング内に収容された圧縮スプリングにより前方に付勢される押しボタンケースと、押しボタンケースに挿入されるロータにより回転操作可能で、ハウジングの後端面に当接して押しボタンケースの前方への脱離を防止するレバーとを有し、前記ハウジングには、押しボタンケースの抜け止め部に弾発的に係止してレバー取り付け可能位置に押しボタンケースを仮保持可能な係止片が設けられる押しボタン式シリンダ錠。
【請求項2】終端部に孔明き底壁が設けられ、前方に開放される筒状のハウジングと、ハウジングに前方開口から進退自在に挿入され、ハウジング内に収容された圧縮スプリングにより前方に付勢される押しボタンケースと、押しボタンケースに挿入されるロータを有する押しボタン式シリンダ錠であって、前記ハウジングには、押しボタンケースの抜け止め部に弾発的に係止して押しボタンケースの前方への脱離を防止する係止片が設けられる押しボタン式シリンダ錠。
【請求項3】前記ロータに連結される連結杆を有し、前記連結杆には、外周方向に付勢され、押しボタンケースを貫通してハウジング内壁に圧接する連結プレートが装着され、かつ、連結プレートの先端には、ハウジング内壁に形成されたクリック溝に係止して連結杆が所定回転位置に達した際に節度感を付与する節度突起が設けられる請求項1または2記載の押しボタン式シリンダ錠。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は押しボタン式シリンダ錠に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車のトランクルーム蓋に使用される押しボタン式シリンダ錠としては、実公平8-2349号公報に記載されたものが知られている。この従来例において、シリンダ錠はロータを挿入したシリンダアウタと、シリンダアウタを前後方向に移動自在に収容するケースとを有する。ケースは前端部に孔明き隔壁を備えており、シリンダアウタはケースの後端開口部からケース内に挿入される。このシリンダアウタはケース内に収容されるリターンスプリングにより前方に付勢され、孔明き隔壁にフランジを当接させることによって前方への脱離が防止される。また、ケースの後端開口部にはプレート状のストッパが固定され、リターンスプリング、およびシリンダアウタの後端開口部からの脱離が防止される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来例において、リターンスプリングの反力に抗してプレート状のストッパを装着する作業は面倒で、作業性が劣るという問題がある。また、ストッパを例えば樹脂ブロック等により形成することも可能であるが、この場合にはコスト上昇の原因となる。
【0004】また、ロータはケースの長さに合わせて個別に製造しなければならないために、部品の共通化も図れないという問題がある。
【0005】本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、組み立て作業性が良好で、かつ、構造を簡単にした低廉な押しボタン式シリンダ錠の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば上記目的は、終端部に孔明き底壁1が設けられ、前方に開放される筒状のハウジング2と、ハウジング2に前方開口から進退自在に挿入され、ハウジング2内に収容された圧縮スプリング3により前方に付勢される押しボタンケース4と、押しボタンケース4に挿入されるロータ5により回転操作可能で、ハウジング2の後端面に当接して押しボタンケース4の前方への脱離を防止するレバー6とを有し、前記ハウジング2には、押しボタンケース4の抜け止め部7に弾発的に係止してレバー6取り付け可能位置に押しボタンケース4を仮保持可能な係止片8が設けられる押しボタン式シリンダ錠を提供することにより達成される。
【0007】押しボタン式シリンダ錠の組立は、ハウジング2の前方開口部から圧縮スプリング3、およびロータ5が挿入された押しボタンケース4を順次挿入し、レバー6をロータ5、あるいはロータ5に連結される連結杆9に固定して行われる。組み立て完成状態においてレバー6がハウジング2の後端面に当接し、押しボタンケース4の前方への離脱が防止される。また、押しボタンケース4を挿入した状態で、ハウジング2に形成された係止片8は一旦弾性変形して押しボタンケース4の通過を許容した後、弾性復元力により原位置に復帰し、以後押しボタンケース4の離脱方向への移動を規制する。この状態で、ハウジング2ケースの後端にはロータ5、あるいは連結杆9の端部が露出しており、押しボタンケース4を圧縮スプリング3の付勢力抗して押し付けておかなくとも、容易にレバー6を装着することができる。
【0008】したがって、この発明において、ハウジング2の前方開口部から部品を順次挿入し、端部にレバー6を固定するだけで組立が完了するために、組立工数の低減を図ることができる上に、構造も簡単になり、コスト低減を図ることができる。
【0009】上記係止片8は、レバー6を固定するまでの間、押しボタンケース4を所定の位置に仮保持するために使用されていたが、終端部に孔明き底壁1が設けられ、前方に開放される筒状のハウジング2と、ハウジング2に前方開口から進退自在に挿入され、ハウジング2内に収容された圧縮スプリング3により前方に付勢される押しボタンケース4と、押しボタンケース4に挿入されるロータ5を有する押しボタン式シリンダ錠であって、前記ハウジング2には、押しボタンケース4の抜け止め部7に弾発的に係止して押しボタンケース4の前方への脱離を防止する係止片8が設けられる押しボタン式シリンダ錠を構成した場合には、レバー6を抜け止めとして利用する必要がなくなる。
【0010】また、押しボタン式シリンダ錠は、前記ロータ5に連結される連結杆9を有し、前記連結杆9には、外周方向に付勢され、押しボタンケース4を貫通してハウジング2内壁に圧接する連結プレート10が装着され、かつ、連結プレート10の先端には、ハウジング2内壁に形成されたクリック溝11に係止して連結杆9が所定回転位置に達した際に節度感を付与する節度突起10aが設けられるように構成することもできる。
【0011】ロータ5に連結される連結杆9には連結プレート10が装着され、連結杆9は該連結プレート10を押しボタンケース4の肉質部を貫通させることにより、押しボタンケース4に連結される。
【0012】したがって本発明において、連結杆9と押しボタンケース4を予めサブアッセンブルしておき、ハウジング2に挿入することができるために、組み立て作業性をより向上させることができる。また、連結用の連結プレート10は節度感付与部品としても機能するために、改めて節度感発生部品を使用する必要がなく、構造が簡単になる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1ないし5に自動車用シートのロック装置用に構成された本発明の実施の形態を示す。ロック装置は、図5に示すように、車両前方に倒伏操作可能なリアシートのシートバック12の背面上部に配置されるストライカ12aに係脱するラッチ13と、該ラッチ13を操作するための押しボタン式シリンダ錠Aとを有し、シートバック12を倒伏させると、トランクルーム14へのアクセス開口が開放されて車内からトランクルーム14へのアクセスが可能になる。シートバック12の倒伏操作はストライカ12aとラッチ13との係合が解除されることにより可能になり、係合解除は押しボタン式シリンダ錠Aの押しボタン15を押し下げてレバー6によりラッチ13を動作させて行われる。なお、図5において16はトランクルーム14側からラッチ13を操作するための操作索を示す。
【0014】上記押しボタン式シリンダ錠Aは、図1ないし4に示すように、取り付けフランジ2aを備えたハウジング2と、ハウジング2内に収容されるボタン組立体17とを有する。ハウジング2の主体部2bは筒状に形成され、後端が孔明き底壁1により閉塞される。孔明き底壁1の中心には、後述する連結杆9のロック突部9aが挿通可能な杆挿通孔1aが設けられる。
【0015】ボタン組立体17は、押しボタンケース4と、押しボタンケース4の前端部に挿入されるロータ5と、ロータ5の後方に配置される連結杆9とからなり、ハウジング2の前方開口から挿入される。図3(a)に示すように、押しボタンケース4は後端部に2条の回り止め突条4a、4aを有し、該回り止め突条4aをハウジング2のガイド部2cに嵌合させることにより、ハウジング2に対する相対回転が規制される。図2(b)に示すように、ガイド部2cはハウジング2の長手方向に所定長さで形成されて押しボタンケース4の長手方向への移動を許容し、ガイド部2cの終端壁が押しボタンケース4の押し込み方向ストロークを決定する。
【0016】上記回り止め突条4aの後端には該回り止め突条4a、4a間を連結するようにして抜け止め部7が形成されるとともに、ハウジング2には係止片8が設けられる。係止片8は、弾性変形を容易にするように、後方に延びる片持梁状に形成され、図1に示すように、後端に乗り上げ傾斜面8aを備える。ボタン組立体17をハウジング2の前方開口から挿入すると、やがて抜け止め部7は係止片8の乗り上げ傾斜面8aに干渉し、さらに、ボタン組立体17を押し込むと、係止片8は一旦弾性変形して抜け止め部7の通過を許容し、抜け止め部7が通過した後は弾性復元力により再び原位置に復帰する。これ以降、抜け止め部7は係止片8の垂直端面8bにより前方への移動が規制されるために、ボタン組立体17は前方開口から離脱することができない。
【0017】連結杆9は連結頭部9bと、該連結頭部9bより細径の軸部9cとを有し、軸部9cには側方にロック突部9aが突設される。後述するように、この連結杆9は押しボタンケース4に対して相対回転可能であり、該連結杆9を回転させて、図3(b)に示すように、ロック突部9aを孔明き底壁1の杆挿通孔1aに挿通可能とするとボタン組立体17の押し込み操作が可能になる(解錠状態)。これに対し、図3(b)において鎖線で示すように、連結杆9が上記以外の回転位置にある際(施錠状態)には、ロック突部9aが杆挿通孔1aの周壁から内方に向けて立ち上げられるストッパ1bに干渉して押し込み操作が禁止される。また、ハウジング2内には、両端が連結杆9の連結頭部9b終端とハウジング2の孔明き底壁1に当接する圧縮スプリング3が収容され、ボタン組立体17を前方に付勢する。
【0018】さらに、連結杆9には連結プレート10が装着される。連結プレート10は、図3(a)に示すように、連結杆9に形成されたプレート挿入溝9dに収容される板状体で、圧縮スプリング9eにより飛び出し方向に付勢される。一方、押しボタンケース4にはプレート貫通溝4bが形成され、上記連結プレート10をプレート貫通溝4bに貫通させることにより、押しボタンケース4内に連結プレート10を抜去不能に装着できる。プレート挿入溝9dは、押しボタンケース4に対して連結杆9が少なくとも所定角度(図示の例では90°)相対回転できるように、周方向に延長される。
【0019】また、連結プレート10の飛び出し側先端にはV字状の節度突起10aが形成されるとともに、ハウジング2側には該節度突起10aが嵌合可能なクリック溝11が形成される。クリック溝11は上記連結杆9の押しボタンケース4内での回転ストロークの始端、および終端に対応して設けられ、図4に示すように、回転ストローク終端に対応する側のクリック溝11はボタン組立体17の押し込むストローク長に相当する長さをもってハウジング2の長手方向に延長される。
【0020】ロータ5には複数のタンブラ5aが装着され、所定の解錠コードを形成されたキープレートにより押しボタンケース4に対して相対回転させることができる。図1に示すように、このロータ5の終端部には飛び出し方向付勢されるストッパタンブラ18が装着されるとともに、押しボタンケース4内壁にはタンブラ係止突起4cが設けられる。ロータ5を押しボタンケース4の前方開口から挿入すると、ストッパタンブラ18はタンブラ係止突起4cに衝接した後、付勢力に抗して一旦ロータ5内に没入し、再び突出してタンブラ係止突起4cに係止し、以降、ロータ5の押しボタンケース4からの脱離が規制される。
【0021】このロータ5の終端面には上記連結杆9の前端面に嵌合可能な嵌合突起5bが設けられ、ロータ5を押しボタンケース4に挿入すると、ロータ5と連結杆9とは回転方向に連結される。
【0022】次に、押しボタン式シリンダ錠Aの組み立て方法を説明する。組み立て作業に当たり、まず、押しボタンケース4と連結杆9とをサブアッセンブルする。サブアッセンブル作業は、押しボタンケース4の後方開口から連結杆9の連結頭部9bを挿入するだけで行うことができ、連結頭部9bのストッパフランジ9fが押しボタンケース4の終端面に当接するまで連結杆9を押し込むと、連結プレート10がプレート貫通溝4b内に進入して双方の脱離が規制される。次に、押しボタンケース4の前方開口からロータ5を押し入れると、ストッパタンブラ18の作用でロータ5が脱離不能に押しボタンケース4に収容され、ボタン組立体17が完成する。
【0023】この後、ハウジング2に圧縮スプリング3を挿入した後、上記ボタン組立体17をハウジング2の前方開口から押し込むだけで、係止片8と抜け止め部7とが係止し、以後、ボタン組立体17はハウジング2から脱離することはない。この状態で、連結杆9の終端部はハウジング2の終端面からやや突出した状態にあり、該終端部にE型止め輪19等を使用してレバー6が固定され、組み立て作業が完了する。
【0024】ボタン組立体17の終端部に固定されたレバー6は、ボタン組立体17の抜け止め部材としても機能し、以後、ボタン組立体17に脱離方向の大きな力を加えても、ハウジング2から引き抜くことができなくなる。
【0025】なお、上述した実施の形態においては、レバー6を抜け止め部材として兼用する場合を示したが、係止片8と抜け止め部7のみで抜け止めを行うこともできる。
【0026】組み立て完了後において、ロータ5を解錠位置まで回転させると、連結プレート10の節度突起10aがクリック溝11に係止し、使用者に節度感を与える。この状態で、押しボタン組立体17のロック突部9aは杆挿通孔1aに合致しており、押しボタン組立体17を押し込むことができる。再び、ロータ5を回転させると、節度突起10aがクリック溝11に係止して使用者にロータ5が施錠位置まで回転されたことを節度感により知らせる。ロータ5へのキープレートの抜き差しは、ロータ5が施錠位置にあるときにのみ可能であり、利用者はキー抜き差し位置を同時に知ることができる。
【0027】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、構造が簡単で、かつ、組み立て作業性が良好な押しボタン式シリンダ錠を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
【出願日】 平成12年3月24日(2000.3.24)
【代理人】 【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
【公開番号】 特開2001−271521(P2001−271521A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−84864(P2000−84864)