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【発明の名称】 引違い戸用ハンドル装置
【発明者】 【氏名】中西 義広

【要約】 【課題】テラス用掃出し窓や、複層ガラスを採用する断熱サッシ等の重量の大きい引戸の開き時の初期始動力を軽減して、高齢者や障害者であっても開き操作を容易にし、また外観上の見栄えもよいハンドル装置を提供する。

【解決手段】引違い戸に取付けられるハンドル装置であって、開閉時に握る把手10と、把手10の他端部に突出した第2軸部13bにて嵌合して把手10を回動自在に保持するベース20と、把手10の第3軸部13cに固着されてその一端にローラ34を保持するローラアーム30を有し、把手10に操作力を付加して軸部13bを支点としてローラアーム30を作動させて、その一端に保持したローラ34を戸の周枠の縦枠側面に当接させて、戸を開く際の始動力とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 引違い戸に取付けられるハンドル装置において、開閉時に握る把手部と、把手部の他端部に突出した軸部にて嵌合して把手部を回動自在に保持するベースと、把手部の軸部に固着される蹴り出し部材を有し、把手部に操作力を付加して、前記把手部の他端部に突出した軸部を回転の支点として蹴り出し部材を作動させて、蹴り出し部材を戸の周枠の縦枠側面に当接させて、戸を開く際の始動力とすることを特徴とするハンドル装置。
【請求項2】 前記蹴り出し部材が、その一端部に当接用ローラを回転自在に保持するローラアームであることを特徴とする請求項1記載のハンドル装置。
【請求項3】 非操作時において、前記ローラアームが、前記ベースの取付け面側の切り欠き部に収容されていることを特徴とする請求項2記載のハンドル装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、引違い戸、引戸に設けられる取手用ハンドル装置に関し、特に重量の大きい障子、引戸用のハンドル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より一般家屋のテラス窓、掃出し窓等に使用される金属製引違い戸においては、開口部を広く確保するために1枚の障子が大きくなり、その結果障子の重量が重くなるので、障子の開閉に必要な開閉力も大きいものが必要となる傾向があった。
【0003】また最近は住宅の断熱性、遮音性を向上させるために、障子に複層ガラスを採用して断熱性を向上させたり、障子と窓枠の密着度を高めて気密性を向上させる構造のものが増えている。このために1枚の障子の重量そのものが従来より重くなり、また気密性の向上により開閉時の摺動抵抗も増加して、その結果引違い障子の開閉時、特に施錠した状態から開錠して障子を開く際の初期始動時に、特に大きい操作力が必要になっていた。
【0004】このため屋内の引き戸や掃出し窓のような比較的重量のある引違い戸において開閉操作が容易に行えるように、従来より引き戸に指掛け用の凹部を設けたり、取手をとりつけたもの(実開平5−3531公報、特開平9−25745号公報)や、取手用にコ字状の大型のハンドルを取付けてその取付け位置に工夫したもの(特開平11−256892号公報)等が種々提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来からある指掛け用の取手程度では、開閉する際の操作力を発揮しにくく、またハンドル部分を握り易くするために単に大型化しても、閉じた状態から引戸を開く際の初期始動に、まだなお相当の操作力が必要であり、高齢者や障害者においては、その開き操作が困難な場合がある。
【0006】また握り易くするためにコ字状のハンドルを大型化すると、その握り部がハンドルを取付けた縦框の正面から大きく突出した状態となり、歩行時に人に接触して室内空間の使用する時に制限を受けたり、掃出し窓に使用時においては窓の内側に設けたカーテンの開閉操作の邪魔になる場合もある。
【0007】本発明は、上記従来技術の問題を解消するもので、テラス用掃出し窓や、複層ガラスを採用する断熱サッシ等の重量の大きい引戸の開き時の初期始動力を軽減して、高齢者や障害者であっても開き操作を容易にし、また外観上の見栄えもよいハンドル装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、引違い戸に取付けられるハンドル装置において、開閉時に握る把手部と、把手部の他端部に突出した軸部にて嵌合して把手部を回動自在に保持するベースと、把手部の軸部に固着される蹴り出し部材を有し、把手部に操作力を付加して、前記把手部の他端部に突出した軸部を回転の支点として蹴り出し部材を作動させて、蹴り出し部材を戸の周枠の縦枠側面に当接させて、戸を開く際の始動力とすることを特徴としている。
【0009】この構成によれば、ハンドル装置の把手に付加された操作力は、蹴り出し部材に伝達されて、戸の周枠の縦枠方向への蹴り出し力に変換される。その結果、複層ガラスを採用する断熱サッシ等の重量の大きい障子であっても、密閉された障子を開く際の初期始動力として作用するので、容易に開くことが可能となる。
【0010】この場合において、蹴り出し部材が、その一端部に当接用のローラを回転自在に保持するローラアームであることが好ましい。
【0011】この構成によれば、戸の周枠の縦枠と蹴り出し部材との接触が、ローラによる転がり接触になるので、把手に付加された操作力が一層滑らかに蹴り出し力として伝達される。
【0012】また、この場合においてハンドル装置の非作動時に、ローラアームがベースの取付け面側の切り欠き部に収容されていることが好ましい。
【0013】この構成によれば、ローラアーム等の機構部分が、ハンドルを作動させた時のみベースの側面より突出し、普段はベースの切り欠き部に収容されているので、外観上の見栄えが良く、機構部分にカーテン等が接触することがない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図7を参照しながら、本発明の1実施形態に係るハンドル装置を掃出し窓の引違い戸に適用した場合について説明する。図1は、本発明のハンドル装置(左勝手用2、右勝手用3)を取付けた引違い戸の正面図である。掃出し窓1はテラスの出入り口に設けられるもので、上枠1a、下枠1b及び、左右の縦枠1c、1dで構成された周枠に2枚の障子(外障子4、内障子5)を組込んだ形式となっている。外内障子4、5は各障子框と、これに組込まれたガラスと、障子の開閉を容易にするハンドル装置2、3とから構成されている。図1に示すように、外障子4の左側縦框6及び、内障子5の右側縦框7に本発明のハンドル装置2、3が、そのベース部に設けた取付け穴にボルトを挿入して縦框内の図外のナットと螺合して固定されている。
【0015】以下、図2〜図5を参照して本発明のハンドル装置に関して、外障子4の左側縦框6に取付けられた左勝手用のハンドル装置2を例にして説明する。図2に示すようにこのハンドル装置2は、反L字状の把手10と、把手の先端の軸部にて回動可能に保持するベース20と、ベース20の縦框6との取付け面側に設けられた切り欠き部に収容され、把手の先端に固着されて一端部に蹴り出し用のローラを保持するローラアーム30とから構成される。
【0016】図6に示すように把手10は、縦框6に平行な直線状の取手部11と、他端に突出する軸部へ向かう傾斜部と12、ベース20に設けられた穴21に挿入されるとともにローラアーム30も固定する段付きの軸部13より構成されている。軸部13は先端に向けて概略して順次径が細くなる4段軸となっている。
【0017】第1軸13aは、基体部となる部分で把手11の傾斜部12との連結部分である。第2軸13bは、ベースの穴部21に嵌合されて把手10を回動する部分である。第3軸13cは、断面が矩形でありローラアーム30の矩形穴31に係合して、把手10の取手11に付加された操作力をローラアーム30の回転に伝達させる機能を有している。最先端の第4軸13dは、スプリング50を外径部にてガイドする筒状のスペーサー40の内径をガイドするとともに、軸の先端部にて座金60を介して加締められて、把手とローラアームを固着している。
【0018】ベース20は、上下に細長い略直方体状の形状である。中央よりやや上に、把手10の第2軸13bと嵌合して把手10を回動させるための穴21が、その周囲を円柱状に軸方向に膨出した突出部22の中に、貫通した状態で形成されている。またベース20の上下端付近には、このハンドル装置2を障子の縦框6に取付けるために、取付け穴23が坐グリ形状にて形成されている。さらに、ベースの縦框6との取付け面側の中央部には、下記に説明するローラアーム30等を収容するために、ベースの幅の約3/4程度の長さで、戸当たり面側より略直方体状の切り欠き部24が形成されている。この切り欠き部の上下方向の上端面にはねじりコイルスプリング50の一端の腕部51を収容するために、凹部25を設けている(図2参照)。このハンドル装置2を組立て後、取付けボルト27を外側から坐グリ穴23及び、障子の縦框6に設けた穴に向けて挿通して、図外のナットに螺合することにより障子の縦框6に取付けられる。
【0019】図6に示されるローラアーム30は、例えばステンレス鋼板等の金属製の板材をプレス加工により形成したもので、下端部が半円状で上下方向に長い略長方形状である。中央部より上方には、軸部の断面が矩形である把手10の第3軸部13cに係合するための矩形穴31を有している。また中央部には、ねじりコイルスプリング50の、他端のカールしたフック52を引っ掛けるために、板材の一部を切り起こした舌片部32を設けている。一方、舌片部より下方部は、ベースの取付け面側に平行移動させたローラ取付け面33としている。この取付け面33には、蹴り出し用のローラ34を頭部付きのピン35にて回転自在に挿通して、ピン35の先端部をローラ取付け面33にて加締め固定している。
【0020】またローラアーム30の斜め上端部には折曲げ部36を設けて、把手10を作動させてローラアーム30を回転させる際に、ベースの切り欠き部24の側壁26に折曲げ部36を当接させることで、把手10の作動のストッパーとしている(図4参照)。一方、ローラアーム30の矩形穴31より下方の右側面部にも折曲げ部37を設けて、把手10の非作動時に、後述するコイルスプリング50のねじり力によりベースの切り欠き部24の側壁26に当接させている(図2参照)。障子を閉じる際には、この折曲げ部37がベース20の切り欠き部24の側壁26に当接していることにより、把手10の取手11に操作力を反時計回り付加すると、把手10が回動することなく障子を閉じることができる。
【0021】把手10の軸部13の最先端の第4軸13dの外側に、スペーサー40を介して装着されるねじりコイルスプリング50は、一端の腕部51がベースの切り欠き部24の上端面の凹部25に収容され、他端のフック52部はローラアーム30の中央部の舌片部32に引っ掛けられている。これによって、非操作時においてはスプリング50のねじり力により、ローラアームの右側面の折曲げ部37をベースの切り欠き部24の側壁26に当接させることで、ハンドル装置の把手10は、がたつくことなく保持されている。
【0022】把手10の取手11に時計回り方向に付加された操作力は、断面が矩形である第3軸部13cを通して係合しているローラアーム30に伝達されて、ローラアーム30の矩形穴31を中心として時計回り方向に、下端部の蹴り出し用のローラ34を移動させる。この時、図に示すように軸部13の第2軸13bを回転の支点として、把手10の取手11から支点までの距離が、蹴り出し用のローラ34から支点までの距離より長い分だけ、把手10の取手11に付加された操作力が、蹴り出し用のローラ34を作用点として有効に蹴り出し力として作用する。
【0023】この結果、ローラアーム30の下端部の蹴り出し用のローラ34が、ベース20の切り欠き部24より時計方向に突出して、掃出し窓1の周枠の縦枠1cの側面を蹴り出すことにより、外障子4が開く際の初期始動力として作用して、軽い操作力にて外障子4を容易に開くことができる。
【0024】なお、上記実施形態では、ハンドル装置2の把手10の位置が、軸部13に対して上方へ伸びている構造を示しているが、これに限定せず把手10を軸部13より下方へ伸びる構造でもよい。また、ハンドル装置2の把手10が、左勝手用では反L字形、右勝手用ではL字形としたが、これに限定せず例えば丸棒状の直線形状や、湾曲形状であってもよい。
【0025】また、本実施形態では、外障子4を開く際の初期始動時にローラアーム30が軸部13を支点として、時計回り方向に作動して先端部に装着したローラ34が掃出し窓1の周枠1cの側面に直接接触して蹴り出しているが、長期間の使用においてアルミ製周枠の縦枠のローラ接触部が局部的に摩耗するのを防ぐためにローラ接触用受け面として、例えばステンレス鋼板等の硬質の金属板を所定の形状にして、周枠の縦枠1cのローラ接触部に貼着してもよい。
【0026】更に、本実施形態においては、把手部の他端部に突出した軸部について、第2軸部13b、第3軸部13c、第4軸部13dが、基体部の第1軸部13aと一体物となって接合部が無い状態で形成している例を示しているが、これに限定せず第2軸部13b、第3軸部13c、第4軸部13dを把手部と別の部品として段付きの軸として挿入部付きで加工しておいて、基体部である第1軸部13aに挿入孔を設けて、段付きの軸の挿入部を圧入して、ねじ押え等の回り止めをしてもよい。このようにすれば、第2軸部以降の先端部の軸部の加工が容易となる。
【0027】以上の実施形態において、外障子4に取付けられた左勝手用のハンドル装置2について説明したが、内障子5に取付けられる右勝手用のハンドル装置3についても、同様の構造によりこの場合は、反時計回り方向に把手を作動させることで内障子を開く際の始動力を低減できる。
【0028】
【発明の効果】本発明の引違い戸用ハンドル装置によれば、ハンドル装置の把手を握って開き方向に付与した操作力が、蹴り出し部材の、戸の周枠への蹴り出し力として作用するので開く際の始動力を低減できる。特に上記実施形態のように、蹴り出し部材として、その一端部に当接用ローラを回転自在に保持するローラアームを使用する場合、ローラーアームに保持されたローラを介して転がり接触して、戸の周枠の縦枠への蹴り出し力として滑らかに作用するので、例えばテラス用掃出し窓や、複層ガラスを採用する断熱サッシ等の重量の大きい障子であっても、密閉された障子を開く際の初期始動力が低減されて、容易に開くことが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000211695
【氏名又は名称】中西金属工業株式会社
【出願日】 平成12年3月24日(2000.3.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−271520(P2001−271520A)
【公開日】 平成13年10月5日(2001.10.5)
【出願番号】 特願2000−128636(P2000−128636)