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【発明の名称】 ロック装置
【発明者】 【氏名】菊地 秀典

【要約】 【課題】品質を維持しながらも、加工及び組立精度を緩めて作業能率を向上させることができると共に、部品点数の削減及び重量の軽減を達成できるロック装置を提供することである。

【解決手段】ロックピン嵌入用のガイド溝40を有するベース22と、ガイド溝40内のロックピン26を係止するフック部43を有するロックレバー34と、ロックピン26をガイド溝外へ押し戻すための戻しレバー35とを備えている。両レバー34,35は、同一のレバー支持軸31に軸方向に重ねた状態で回動自在に支持し、ロックレバー34は、ガイド溝40を閉じる閉位置と開放する開位置との間で回動位置変更可能とし、ロック解除用操作部44を一体に備えている。両レバー34,35間にばね36を張設し、ロックレバー34は閉位置側に、戻しレバー35は、ロックピン押戻し側に付勢する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロック部材嵌入用のガイド溝を有するベースと、ガイド溝内のロック部材を係止するフック部を有するロックレバーと、ロック部材をガイド溝外へ押し戻すための戻しレバーとを備え、ロックレバーと戻しレバーは、同一のレバー支持軸に軸方向に重ねた状態で回動自在に支持し、ロックレバーは、ガイド溝を閉じる閉位置と開放する開位置との間で回動位置変更可能とすると共に、ロック解除用操作部を一体に備え、ロックレバーと戻しレバーの間にばねを張設することにより、ロックレバーは閉位置側に付勢し、戻しレバーは、ロック部材押戻し側に付勢していることを特徴とするロック装置。
【請求項2】 上記ばねに抗して、ロックレバーを閉位置に係止すると共に戻しレバーを戻し作用完了位置で係止するストッパーを、ベースに形成していることを特徴とする請求項1記載のロック装置。
【請求項3】 上記ロック解除用操作部はロック解除用のキー操作装置に連結していることを特徴とする請求項1又は2記載のロック装置。
【請求項4】 ロック部材に当接するフック部の当接面は、閉方向側にゆくに従いレバー支持軸芯に近付くように形成してあることを特徴とする請求項1〜3記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明はロック装置に関し、特に、ロック解除操作時に自動的にロック部材を押し戻す機構を備えたロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図7〜図9は、たとえば図1に示すような自動二輪車のシートロックに用いる従来のロック装置である。従来ロック装置の後面図を示す図8において、ロック装置は、車体フレームの後端部に固着されたベース60と、フック部61及び押上面62を有する板状のロックレバー63と、ロック解除用キー操作装置65に連結された板状の操作レバー64と、両レバー63,64間に張設されたコイルばね66等から構成されている。
【0003】ベース60には、上向きに開口するガイド溝70が形成されると共に、2本のレバー支持軸71,72が一体的に形成されている。一方のレバー支持軸71にロックレバー63が回動自在に嵌合し、ワッシャ75及びナット76により軸方向に脱落不能に係止されており、他方のレバー支持軸72に、上記ロックレバー63と同一平面内に配置された操作レバー64が回動自在に嵌合し、ワッシャ77及びナット78により軸方向に脱落不能に係止されている。
【0004】上記ばね66の作用により、操作レバー64は矢印Q2方向に付勢され、ストッパー用突起85がベース60のストッパー86に係合し、一方、ロックレバー63は矢印P2方向(ロック解除方向)に付勢され、ロックレバー63の噛合突起81が操作レバー64の噛合突起82に噛み合うことにより、ロック状態に保持されている。
【0005】図8のロック状態において、シート下面に設けたロックピン88はガイド溝70に嵌入し、ロックレバー63のフック部61により上方から係止されている。
【0006】ロック解除する場合には、キー操作装置65をキー操作することにより、作動ピン91を介して操作レバー64の先端操作部89を押し上げ、噛合突起81,82の噛合いを解除する。そうすると、図9のようにばね66によりロックレバー63は矢印P2方向(解除方向)に回動し、フック部61をロックピン88から外すと同時に、押上面62によりガイド溝70の上方までロックピン88を押し上げる。
【0007】ロックする場合は、図9の状態からロックピン88を押し下げることにより、押上面62を介してロックレバー63を矢印P1方向に回動する。この回動途中で、ロックレバー63の噛合突起81は操作レバー64のカム面82aに当接し、操作レバー64をばね66に抗して矢印Q1方向へと回動する。
【0008】ロックレバー63の噛合突起81がカム面82aを乗り越えると、図8に示すように、両噛合突起81,82が噛み合い、ロック状態となる。関連技術としては、実開昭59−42769号がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図7〜図9のロック装置では次のような課題がある。
(1)板状のレバー63,64を同一平面内に配置し、両レバー63,64の噛合突起81,82の噛合いにより、ばね66に抗してロック状態を維持しているので、噛合部Eは、図7に示すレバー63、64の板厚t1の範囲内で噛み合わさなければならない。したがって、噛合部Eが外れないようにロック装置を製作するためには、高い加工精度及び組立精度が要求され、加工及び組立作業に手間がかかる。たとえば、各レバー支持軸71,72の取付精度、レバー座面の精度及び各レバー63,64の平面精度等において、高精度が要求される。なお、レバー板厚t1を厚くすることにより、高い精度要求を緩和することは可能であるが、レバー63,64の重量が増加すると共に、部品コストも高くなる。
【0010】(2)ロックレバー専用のレバー支持軸71並びにワッシャ75及びナット76を備えると共に、操作レバー専用のレバー支持軸72並びにワッシャ77及びナット78を備えているので、部品点数が多くなると共に重量も増加し、また、ベース60の面積も両レバー63,64を配置するために広く確保する必要があり、ベース60が大形化する。
【0011】
【発明の目的】本願発明の目的は、品質を維持しながらも、加工及び組立精度を緩めて作業能率を向上させることができると共に、部品点数の削減及び重量の軽減を達成できるロック装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願請求項1記載の発明は、ロック部材嵌入用のガイド溝を有するベースと、ガイド溝内のロック部材を係止するフック部を有するロックレバーと、ロック部材をガイド溝外へ押し戻すための戻しレバーとを備え、ロックレバーと戻しレバーは、同一のレバー支持軸に軸方向に重ねた状態で回動自在に支持し、ロックレバーは、ガイド溝を閉じる閉位置と開放する開位置との間で回動位置変更可能とすると共に、ロック解除用操作部を一体に備え、ロックレバーと戻しレバーの間にばねを張設することにより、ロックレバーは閉位置側に付勢し、戻しレバーは、ロック部材押戻し側に付勢していることを特徴としている。このように、従来のようなレバー同士の板厚範囲内での噛合構造を無くしているので、加工精度及び取付精度を高くすることなく、品質を保つことができ、またレバー支持軸、ワッシャ及びナット等のレバー支持用部品点数を削減することができ、部品コストも安くなる。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載のロック装置において、ばねに抗して、ロックレバーを閉位置に係止すると共に戻しレバーを戻し作用完了位置で係止するストッパーを、ベースに形成している。これにより、ストッパーの数が増加するのを防ぎ、ベースの形状が複雑化するのを防ぐことができる。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のロック装置において、上記ロック解除用操作部はロック解除用のキー操作装置に連結している。これにより、外部から簡単にロック解除操作を行なうことができると共に、外部に対するロック装置の遮蔽状態を維持することができる。
【0015】(5)請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載のロック装置において、ロック部材に当接するフック部の当接面は、閉方向側にゆくに従いレバー支持軸芯に近付く形状の斜面としている。これにより、フック部の当接面は、ロック状態において、大きな振動あるいは大きなショックがあっても、ロック部材から外れることはない。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本願発明に係るロック装置Aをシートロック用に備えた自動二輪車であり、自動二輪車の基本構造は周知の通りであって、車体フレーム1、前,後輪2,3、ハンドル装置4、エンジン5、伝動装置6及びシート11等を備えており、車体フレーム1の左右両側はサイドカバー(カウリング)8により覆われ、前,後輪2,3の上方はそれぞれ前輪フェンダー9及び後輪フェンダー10で覆われている。
【0017】シート11は、前端ヒンジ部12を支点として、仮想線のように上方へ開くように構成されており、シート11の下方空間には燃料タンク14及びバッテリ15等の機器や備品が収納されている。該開閉式シート11の後端部をロックするために、車体フレーム1の後端部にロック装置Aを取り付け、サイドカバー(カウリング)8の後部側面に、ロック解除用のキー操作装置17を設けている。
【0018】図2はロック装置Aの拡大側面図であり、サイドカバー(カウリング)8及び取付ブラケット20の一部を破断した状態で示している。該図2において、車体フレーム1の後端部に、溶接あるいはボルトにより取付ブラケット20が固着されており、該取付ブラケット20の後面にロック装置Aの板状ベース22がナット23等により固着されている。上記取付ブラケット20は、後方へ延びる上壁20a及び左右側壁20bが一体に形成されている。
【0019】シート11の後端部の下面には、ロック部材として、前後一対のピン支持部材25を介してロックピン26が設けられている。キー操作装置17は、前方に延びる作動アーム47の先端部に作動ピン46を備え、キーを差し込んで矢印X方向に回動することにより、作動アーム47が上昇するように構成されている。
【0020】図3は一部断面で示すロック装置Aの平面図であり、ベース22には、外周端に折曲リブ22aが形成されると共に、前方へ突出する二本のボルト28,29が溶接で固着されており、両ボルト28,29は取付ブラケット20のボルト挿通孔に挿通され、ボルト28,29に前記ナット23,23を螺着することにより、ベース22を取付ブラケット20に固定している。一方のボルト28には、つば部(レバー座)32を介して後方へ突出するレバー支持軸31が一体に形成されており、該レバー支持軸31には、板状のロックレバー34と板状の戻しレバー35が軸方向に重なる状態で順次嵌合している。レバー支持軸31の後端部にはおねじ部31aが形成され、ワッシャ38が嵌合すると共にナット39が螺着されている。ワッシャ38はおねじ部31aとレバー支持軸31の境目の段面で位置決めされており、これにより両レバー34,35がそれぞれ独立して回動できるように、ワッシャ38とつば部32の間隔を一定に保っている。
【0021】両レバー34,35にはそれぞれ後方へ折れ曲がるばね係止片41,42が一体に形成され、両係止片41,42間にはコイルばね36が張設されている。なお、図3は、レバー支持軸31の近傍を、レバー支持軸芯を通る面で切断した断面で表し、また、取付ブラケット20については、上壁部分を取り除いた状態で示している。
【0022】図4はロック装置Aの後面図であり、ベース22には、前記ロックピン26が嵌入可能なガイド溝40が形成されており、該ガイド溝40は逆ハの字形に開くガイド部40aを介して上向きに開口している。ベース22の右下端部には、後方へ突出するストッパー37が一体に形成されている。
【0023】ロックレバー34は、中間部が前記レバー支持軸31に支持されることにより両腕形に構成されており、一方の第1の腕部34aは略上方へ延びて、上端部にフック部43を一体に有し、他方の第2の腕部34bは左方へ延びて、先端部にロック解除用操作部44を一体に有し、該ロック解除用操作部44には、前記キー操作装置17の作動ピン46が下方から当接している。ロックレバー34の中間部には、前記ストッパー37に下方から係合可能なストッパー用突起48が一体に形成されている。
【0024】ロックレバー34は、図4のようにフック部43がガイド溝40を上方から閉塞する閉位置と、図6に示すようにフック部43がガイド溝40から外れる開位置とに亘って回動位置を変更できるようになっている。
【0025】図4に戻り、フック部43のレバー支持軸側には、ロックピン26に上方から当接する当接面43bが形成され、該当接面43bは、ロック状態において、レバー支持軸31の軸芯O1とロックピン26の軸芯とを結ぶ線L1と直角な線L2に対して、閉方向側(矢印R2方向側)に行くにしたがい支持軸芯O1に近づくように傾斜している。上記当接面43bの反対側にはカム面43aが形成されている。
【0026】ロックレバー34のばね係止片41は、前記第1の腕部34aに形成されており、ばね36により閉方向側(矢印R2側)に付勢され、前記ストッパー用突起48がストッパー37に当接することにより、閉位置を維持するようになっている。
【0027】戻しレバー35は、ロックピン26に下方から当接する押上面35aを有すると共に、前記ストッパー37に上方から係合可能なストッパー用突起49を一体に有しており、コイルばね36により、ロックピン26を押し上げる方向(矢印R1方向)に付勢されている。
【0028】
【作用】まずロック状態からロック解除する場合の操作及び作動を説明する。図4はロック状態を示しており、ガイド溝40内に嵌入されたロックピン26は、閉位置のフック部43の当接面43bにより上方から係止されており、ロックレバー34のストッパー用突起48はストッパー37に係合している。
【0029】ロック解除する場合には、キー操作装置17にキーを差し込み、回動操作することにより、作動ピン46を介してロックレバー34の操作部44を押し上げ、ロックレバー34を矢印R1方向に回動する。
【0030】ロックレバー34の上記矢印R1方向への回動と共に、戻しレバー35もばね36を介して矢印R1方向へ回動し、押上面35aによりロックピン26を押し上げる。
【0031】図6のようにフック部43が開位置までくると、ロックピン26は当接面43bから外れる。この後は、押上面35aによる押上げ作用と、ロックレバー34がばね36により矢印R2方向に戻ることによるカム面43aの作用により、ロックピン26を図5に示す非ロック位置(戻し作用完了位置)まで押し上げる。ロック解除後の図5の状態では、各レバー34,35のストッパー用突起48、49がそれぞればね36に抗してストッパー37に係合している。
【0032】次にロック解除後の状態からロックする場合を説明する。図5に示すロック解除後の状態から、カム面43a及び押上面35aに当接しているロックピン26を押し下げることにより、ばね36に抗して、ロックレバー34は矢印R1方向に、戻しレバー35はR2方向に押し広げられる。
【0033】図6に示すように、ロックピン26がカム面43aを乗り越えると、ロックレバー34はばね36により矢印R2側へ戻り、図4に示すように当接面43bがロックピン26に係合し、ストッパー用突起48がストッパー37に当接することにより、閉位置に維持される。一方、戻しレバー35は、押上面35aがロックピン26の下端に当接した状態となっている。
【0034】図4のロック状態において、フック部43の当接面43bは、レバー支持軸芯O1とロックピン26の軸芯を結ぶ線L1と直角な線L2に対し、一定角度θだけ傾斜し、矢印R2側がレバー支持軸31側に近付くように形成してあるので、大きな振動やショックによっても、フック部43がロックピン26から外れることはない。
【0035】
【その他の発明の実施の形態】(1)前記実施の形態では、自動二輪車のシートロック用に本願発明のロック装置を適用した例を記載しているが、スノーモービルや水上滑走艇等、各種乗り物のシートロック装置にも適用できる。
【0036】(2)シート用ロック装置として利用する他に、ツールボックスや各種開閉カバーのロック装置としても利用できる。
【0037】(3)前記実施の形態では、ロックレバーのロック解除用操作部を、ロック解除用キー操作装置に連結しているが、ワイヤ等を介してハンドル装置近傍の操作機構に連結することもでき、また、操作部を直接手動で操作する構成とすることもできる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本願発明によると、(1)ロック解除時にロックピン(ロック部材)26をガイド溝外へ押し戻す機構を有するロック装置において、ベース22に設けた同一のレバー支持軸31に、フック部43及び操作部44を有するロックレバー34と、押上面(押戻し面)35aを有する戻しレバー35とを、軸方向に重ねて嵌合しているので、図8の従来例のように、同一平面内に配置したレバー同士をレバー板厚t1内で噛み合わせる機構を必要としなくなり、品質を保ちながらも、加工精度及び組付精度を緩めることができ、加工及び組付作業を容易にすることができる。
【0039】(2)両レバー34,35を1本のレバー支持軸31に軸方向に重ねて支持しているので、図8の従来例に比べると、レバー支持軸とそれに伴うワッシャ及びナット等、レバー支持用の部品点数を減らすことができ、部品コストを低減できると共に、ベース22並びにロック装置全体をコンパクトにでき、重量も軽減できる。
【0040】(3)良好なロック状態を保つために各レバー34,35の板厚を厚くする必要がなく、この点でもロック装置の重量軽減効果がある。
【0041】(4)請求項2記載の発明のように、ベース22に形成した1つのストッパー37により、ロックレバー34と戻しレバー35とをそれぞれ所定の位置に係止するようにしていると、ベース22等の構造を簡素化することができる。
【0042】(5)請求項3記載の発明のように、ロックレバー34に一体形成されたロック解除用操作部44を、ロック解除用のキー操作装置17に連結していると、外部から簡単にロック解除操作を行なうことができると共に、外部に対するロック装置の遮蔽状態を維持することができる。
【0043】(6)請求項4記載の発明のように、ロック部材に当接するフック部43の当接面43bを、閉方向側にゆくに従いレバー軸芯に近付く形状としていると、ロック状態において、大きな振動あるいはショックが生じても、ロックが外れることはない。
【出願人】 【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【出願日】 平成12年2月16日(2000.2.16)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2001−227222(P2001−227222A)
【公開日】 平成13年8月24日(2001.8.24)
【出願番号】 特願2000−37898(P2000−37898)