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【発明の名称】 免震装置の設置方法及びその設置装置
【発明者】 【氏名】松山 英雄

【氏名】高木 佳男

【氏名】長井 正一

【要約】 【課題】免震装置の設置部となる礎柱部の補強用として配筋される鉄筋との干渉を回避することができ、ベースプレートの直下に配設して分解せずにそのままコンクリート中に埋設可能なベースプレートの支持手段を提供し、免震装置の設置作業ないし設置状態に関する調整作業の改善を図る。

【解決手段】基礎コンクリート4上に礎柱部5を形成してベースプレート6を設置するに際して、先ず礎柱部5の補強用の鉄筋13を配筋した後、ベースプレート6の下面に設置され、鉄筋13の部分の高さを越える長さを有する複数本の支柱14を鉄筋13相互間の間隙部に挿入して、ベースプレート6を鉄筋13の上方に支持し、さらに支柱14に設けた高さ調整手段を介して設置状態を調整した上、ベースプレート6の周囲に型枠を形成してコンクリートを打設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基礎コンクリート上等の設置部の所定位置に礎柱部を形成して、その礎柱部上に定置したベースプレートを介して免震装置を設置する免震装置の設置方法において、前記礎柱部の補強用の鉄筋を設置部の所定位置に配筋した後、ベースプレートの下面に設置され、前記鉄筋の部分の高さを越える長さを有する複数本の支柱を配筋後の鉄筋相互間の間隙部に挿入して、前記ベースプレートを前記鉄筋の上方に支持し、さらに前記支柱に設けた高さ調整手段を介して前記ベースプレートの設置状態を調整した上、そのベースプレートの周囲に形成した型枠内にコンクリートを打設することにより、礎柱部を形成すると同時に該礎柱部上にベースプレートを定置することを特徴とする免震装置の設置方法。
【請求項2】 前記設置部上に受け板を固定しておき、前記ベースプレートの下面に設置した支柱の下部に嵌合させた嵌合部材を前記受け板に固着することにより、ベースプレートを所定位置に位置決めするようにした請求項1に記載の免震装置の設置方法。
【請求項3】 免震装置用のベースプレートの下面に、該免震装置を設置する礎柱部の補強用として配筋される鉄筋の部分の高さを越える長さを有し、かつ下部にネジ結合を用いた高さ調整手段を備えた複数本の支柱を固着し、それらの支柱を前記礎柱部補強用の鉄筋相互間に形成される間隙部に挿入して、前記ベースプレートを前記鉄筋の上方に支持するとともに、前記支柱の下部に設けた高さ調整手段のネジ結合を介して螺合位置を調整することにより、ベースプレートの設置状態を調整するように構成したことを特徴とする免震装置の設置装置。
【請求項4】 免震装置用のベースプレートに複数個のネジ部を設けるとともに、それらのネジ部に螺合可能なネジ部を上端部に備え、かつ免震装置を設置する礎柱部の補強用として配筋される鉄筋の部分の高さを越える長さを有する複数本の支柱を備え、前記両ネジ部を螺合して各支柱を前記ベースプレートに装着した状態で、それぞれの支柱を前記礎柱部補強用の鉄筋相互間に形成される間隙部に挿入することにより、前記ベースプレートを前記鉄筋の上方に支持するとともに、それらの支柱を回転して前記両ネジ部の螺合位置を調整することにより、ベースプレートの設置状態を調整するように構成したことを特徴とする免震装置の設置装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免震装置の設置上の基準面となるベースプレートの設置技術に関する。特に、免震装置の設置部となる礎柱部の補強用の配筋との干渉を回避でき、設置状態の調整も可能なベースプレートの設置技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、免震装置の設置上の基準面としてベースプレートが使用されるのが一般的である。ベースプレートの設置に関しては、基礎コンクリート上の所定位置に免震装置の設置部となる礎柱部をコンクリートにて形成し、その礎柱部上にベースプレートを設置するという施工法が広く採用されている。そして、礎柱部には大きな荷重が作用することから補強用の配筋量も多くなるため、ベースプレートの直下に支持用のフレームを形成しようとすると、鉄筋との干渉が作業の邪魔になるといった施工上の難点があった。そこで、実際の施工手順としては、礎柱部の補強用の配筋作業を実施した後、その配筋部の両側にアングル材等を用いて支持脚部を立設し、それらの支持脚部間に横架部材を渡してベースプレートを下方から支持し、設置状態を調整した上、ベースプレートの周囲に型枠を形成してコンクリートを打設するという施工法が一般的に採用されている。なお、コンクリートの固化後には、前記支持脚部や横架部材等の解体撤去作業が行われる。
【0003】ところで、以上の従来の施工法は、礎柱部の両側にアングル材等からなる支持脚部を立設して横架部材を渡し、ベースプレートを支持しながら設置高さや水平状態等の設置状態に関する調整作業を実施するという手法を採用していたため、それらの支持脚部や横架部材の剛性を大きくするとともに、設置状態に関する高い精度が可能な調整機構が必要とされた。また、それらの支持脚部が礎柱部の外側に形成されるため、その分、作業スペースも広く必要とされた。しかも、設置作業後は、それらの支持脚部や横架部材の解体撤去作業が必要とされるだけでなく、資材コストや運搬コストも余分にかかった。したがって、免震装置の設置部としての礎柱部の高さが比較的低い場合にはともかく、礎柱部の高さが高くなると、支持脚部や横架部材等からなる支持用フレームの規模も大きくなり、設置作業及び解体撤去作業に関する作業負担や作業スペースの拡大、資材コスト、運搬コストなどの問題も大きくなった。また、ベースプレートの設置状態の調整作業に関しても、横架部材を介して離れた支持脚部に設けた調整機構により間接的に行われるため、所定の精度を得るためには、調整作業に手間がかかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みて開発したもので、免震装置の設置部となる礎柱部の補強用として配筋される鉄筋との干渉を回避することができ、ベースプレートの直下に配設して分解せずにそのままコンクリート中に埋設可能なベースプレートの支持手段を提供し、これにより免震装置の設置作業ないし設置状態に関する調整作業の改善を図ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、請求項1の発明では、基礎コンクリート上等の設置部の所定位置に礎柱部を形成して、その礎柱部上に定置したベースプレートを介して免震装置を設置する免震装置の設置方法において、前記礎柱部の補強用の鉄筋を設置部上の所定位置に配筋した後、ベースプレートの下面に設置され、前記鉄筋の部分の高さを越える長さを有する複数本の支柱を配筋後の鉄筋相互間の間隙部に挿入して、前記ベースプレートを前記鉄筋の上方に支持し、さらに前記支柱に設けた高さ調整手段を介して前記ベースプレートの設置状態を調整した上、そのベースプレートの周囲に形成した型枠内にコンクリートを打設することにより、礎柱部を形成すると同時に該礎柱部上にベースプレートを定置するという技術手段を採用した。本発明によれば、先ず礎柱部補強用の配筋作業を実施した後、ベースプレートの下面に設けた支柱を配筋後の鉄筋相互間の間隙部を介して挿入することによりベースプレートを配筋部の上方に支持するという方法を採用したので、配筋後の鉄筋相互間に形成される間隙が狭い場合でも、棒状の支柱を挿入するだけであるから、鉄筋との干渉を避けて難なく設置することできる。また、支柱がベースプレートの直下に位置することから、強固な支持状態が簡便に得られるとともに、設置状態の調整作業も直接的に行えるので、高精度の調整が容易に得られる。また、作業スペースを大幅に縮小できる。さらに、前記支柱はそのまま鉄筋と共に埋設されるので、設置作業後に実施していた従来の解体撤去作業の手間が省けるとともに、その運搬の負担が解消されるだけでなく、埋設された支柱によってベースプレートの礎柱部に対する定着作用も得られる。
【0006】さらに、請求項2の発明では、前記基礎コンクリート上等の設置部上に受け板を固定しておき、前記ベースプレートの下面に設置した支柱の下部に嵌合した嵌合部材を前記受け板に固着することにより、ベースプレートを所定位置に位置決めするという技術手段を採用した。本発明によれば、支柱の基礎コンクリート等の設置部に対する位置決めが簡便になるとともに、設置状態の調整作業において支柱を回転する際にも嵌合部材がガイド手段として機能することになる。
【0007】請求項3の発明では、免震装置用のベースプレートの下面に、該免震装置を設置する礎柱部の補強用として配筋される鉄筋の部分の高さを越える長さを有し、かつ下部にネジ結合を用いた高さ調整手段を備えた複数本の支柱を固着し、それらの支柱を前記礎柱部補強用の鉄筋相互間に形成される間隙部に挿入して、前記ベースプレートを前記鉄筋の上方に支持するとともに、前記支柱の下部に設けた高さ調整手段のネジ結合を介して螺合位置を調整することにより、ベースプレートの設置状態を調整するという技術手段を採用した。
【0008】請求項4の発明では、免震装置用のベースプレートに複数個のネジ部を設けるとともに、それらのネジ部に螺合可能なネジ部を上端部に備え、かつ免震装置を設置する礎柱部の補強用として配筋される鉄筋の部分の高さを越える長さを有する複数本の支柱を備え、前記両ネジ部を螺合して各支柱を前記ベースプレートに装着した状態で、それぞれの支柱を前記礎柱部補強用の鉄筋相互間に形成される間隙部に挿入することにより、前記ベースプレートを前記鉄筋の上方に支持するとともに、それらの支柱を回転して前記両ネジ部の螺合位置を調整することにより、ベースプレートの設置状態を調整するという技術手段を採用した。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明を実施する場合には、前記支柱の設置数に関して種々の選択が可能である。すなわち、3本以上の支柱を使用してベースプレートの下面を3箇所以上で支持する種々の実施形態が可能である。その場合に、ベースプレートの設置状態の調整に関しては、それぞれの支柱に設けた調整手段を介して行うことができるが、少なくとも2本以上の支柱に対して調整手段を設置すれば、水平状態の調整作業は可能である。以上の支柱に設けた調整手段によるベースプレートの設置状態の調整作業に際して、クレーンやジャッキ等の他の機械装置を補助的に使用し得ることはいうまもない。なお、本発明に係る設置方法においては、先ずベースプレートだけを前記礎柱部上に定置させた後、そのベースプレートに対して免震装置を取付けるようにしてもよく、予めベースプレートに免震装置を取付けた状態で、ベースプレートを前記礎柱部上に定置するようにしてもよい。また、ベースプレートは、平板状からなり水平状態に調整することが一般的であるが、必ずしもそれに限定されることなく、他の実施形態でも適用が可能である。また、ベースプレートの平面形状や板厚に関しても特に限定されることなく、要はそのベースプレートの上面を利用して免震装置を設置し得るものであればよい。
【0010】前記支柱はコンクリート中にそのまま埋設されるので、その支柱自体がベースプレートの前記礎柱部に対する定着作用を奏する。したがって、その定着作用を積極的に活用することも可能である。例えば、支柱の途中に定着板を付設したり、支柱をアンカーボルト等により構成することも可能である。なお、ベースプレートの下面には定着用のアンカー部材が設置されるのが一般的であるが、ベースプレートの板厚を厚くして、支柱をアンカーボルト等で構成して下部に定着板を付設する形態を採用し、支柱を構成するアンカーボルトの定着力をベースプレートを介して免震装置側に伝達するように構成すれば、前記アンカー部材を省略する形態も可能である。
【0011】前記支柱としては、アングル材やパイプ等を使用することができる。また、前述のように、アンカーボルトを使用することも可能であり、この場合には、効果的な定着作用が得られる。ベースプレート側に設けるネジ部としては、雄ネジでも雌ネジでもよい。要は、ベースプレート側に設けたネジ部と支柱側に設けたネジ部とのネジ結合によりベースプレートの設置状態が調整できるものでよい。また、ベースプレートに形成した貫通孔に雄ネジ部材あるいは雌ネジ部材を装着して、それらのネジ部材をベースプレートの上方から回動することにより、ベースプレートの設置状態の調整作業を実施できるように構成することも可能である。また、同様にベースプレートに形成した貫通孔に支柱を回転可能に装着して、その支柱をベースプレートの上方から回動することにより、下方のネジ結合を用いた高さ調整手段の螺合位置を変化させてベースプレートの設置状態の調整作業を実施できるように構成することも可能である。
【0012】また、前記支柱の下端部を支持する当接部分は、基礎コンクリート自体などでもよいが、平板等からなる受け板を付設しておくことが望ましい。すなわち、基礎コンクリートなどの所定位置に受け板を予め固定しておき、その受け板の上面で支柱の下端部を支持するようにすれば、調整作業の際の支柱の回転動作がより容易になる。また、ベースプレートの調整作業後に前記支柱を固定する際には、アングル材等を支柱側に当てながら前記受け板側に溶接し、更にそのアングル材等に対して支柱を溶接するようにすれば、溶接に関する作業性が向上するとともに溶接強度が改良される。
【0013】さらに、前記支柱の下部にリングや凹部等からなる位置決め用の嵌合部材を嵌合し、大まかな調整作業段階においては、その嵌合部材を前記受け板側に固定せずに、調整作業に伴う支柱の水平方向の移動に追随して受け板上を移動し得る状態にしておき、最終的な高さ方向の微調整段階に入る前に、必要に応じて水平方向の設置位置に関する微調整をした上、前記嵌合部材を受け板側に溶接等により仮止めしてベースプレートの水平方向の移動を規制した状態で、高さ方向の微調整作業を実施するようにすれば、支柱の基礎コンクリートに対する位置決めが簡便になるとともに、支柱を回転する際のガイド手段として機能するので、作業性及び精度を更に向上できる。なお、調整作業が完了した場合には、嵌合部材とベースプレートとの間及び嵌合部材と支柱の間を溶接等により固着する。
【0014】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例に関して説明する。図1は免震装置の設置完了状態を示した正面図である。図中、1は公知の免震装置で、板状のゴムと鋼板とを交互に積層した積層体等から構成され、その上下には固定用のフランジ部2,3を備えている。免震装置1は、基礎コンクリート4の所定位置に形成される礎柱部5上に設置される。本実施例では、図示のように、ベースプレート6の下面に、長ナットの下部にアンカー用のボルトを螺合固定したアンカー材7を前記フランジ部2のボルト挿通孔に対応させて設けている。免震装置1の設置は、フランジ部2を介してベースプレート6上に免震装置1を載置し、フランジ部2のボルト挿通孔から前記アンカー材7を構成する長ナットの雌ネジ部に対して固定ボルト8を螺合して締付け固定するにより行うことができる。これにより、免震装置1は、礎柱部5中に埋設したアンカー材7及び固定ボルト8を介して直接的に定着されることになる。したがって、本実施例の場合には、ベースプレート6にアンカー材7の定着力は作用しないことから、免震装置1を載置するための平面を提供し得る強度を有すれば十分であり、板厚も薄いもので足りることになる。なお、板厚を大きくしてベースプレート6を介してアンカー手段の定着力を免震装置1側に伝達する形態も可能である。さらに、本実施例では、礎柱部5とベースプレート6との間に無収縮モルタル9を充填して、ベースプレート6の礎柱部5側に対する密着性を向上している。なお、免震装置1の上方のフランジ部3に対しては、上部側のベースプレート10を挟んで所要数のアンカー部材11を固定し、ベースプレート10の周囲に型枠を形成してコンクリートを打設することにより上部建物の下部支持部12を形成する。そして、その下部支持部12に対して順次躯体を構築することになる。
【0015】次に、本発明の特徴である免震装置の設置方法及びその設置装置に係る実施例に関して説明する。図2〜図4は本発明に係る免震装置の設置方法を例示した施工説明図である。本方法では、先ず図2に示したように、前記設置部としての基礎コンクリート4上の所定位置に礎柱部5の補強用の鉄筋13を配筋する。なお、基礎コンクリート4の施工中に鉄筋13の一部や接続部を形成しておくことが有効なことはいうまでもない。以上の図2の配筋作業と前後して、図3に示したベースプレート6に対する支柱14の組付け作業を行う。なお、本実施例における支柱14は、図5に示したように、アングル材15と、その下部に平板16を介して溶接したナット17にレベルボルト18を螺合してなる高さ調整手段とから構成される。そして、それらのアングル材15、平板16、ナット17、レベルボルト18からなる支柱14の長さは、前記鉄筋13の部分の高さを越える長さに形成される。なお、レベルボルト18の上部には、スパナ等により操作できるように六角頭部19が形成される。
【0016】前記支柱14の組付け作業に当っては、図6に示したように、先ずベースプレート6に形成した前記固定ボルト8用のボルト挿通孔20間の下面にL字状に固定片21を溶接する。そして、図7の拡大図に示したように、そのL字状の固定片21に対してアングル材15の上部を重ね合わせた上、図3に示した固定片21に形成したボルト挿通孔22と図5に示したアングル材15に形成した長孔23にボルト24を挿通して締付固定することにより、支柱14をベースプレート6の下面に固着する。なお、以上の支柱14の組付け作業は、工場等で予め実施してもよいし、現場で行うようにしてもよい。しかる後、図4に示したように、支柱14を鉄筋13相互間の間隙部に挿入して、前記レベルボルト18の下端部を介して基礎コンクリート4上に設置した受け板25上に載置することにより、ベースプレート6を鉄筋13の上方に支持する。
【0017】しかる後、必要に応じて、前記レベルボルト18の六角頭部19を介してスパナ等により回転することにより、ベースプレート6の高さや水平状態を調整した上、ベースプレート6の周囲に型枠を形成してコンクリートを打設することにより礎柱部5を形成する。その場合、レベルボルト18の下部に図示しない例えばリング状の嵌合部材を嵌合しておき、水平方向の位置決めが確定した段階で嵌合部材を前記受け板25に溶接等により固着し、さらにレベルボルト18の回転によるベースプレート6の設置高さや水平状態の調整が終了した段階で、嵌合部材とレベルボルト18とを溶接等により固着するようにすれば、ベースプレート6を所定位置に簡便かつ的確に位置決めすることができる。また、嵌合部材の代りにアングル状の部材を用いてレベルボルト18と受け板25とを溶接等により固着して位置決めするという方法も可能である。なお、コンクリートの打設の仕方に関しても、打設作業を2段階に分け、図1に示したように、最初に礎柱部5の所定の高さまでコンクリートを打設して、固化後にその打設上面とベースプレート6との間に無収縮モルタル9を充填することによりベースプレート6の下面の密着性を図るという施工法も採用可能である。
【0018】しかして、礎柱部5のコンクリートが固化した後、ベースプレート6上にフランジ部2を介して免震装置1を載置し、フランジ部2のボルト挿通孔からベースプレート6に形成したボルト挿通孔20を介して前記アンカー材7を構成する長ナットの雌ネジ部に対して固定ボルト8を螺合して締付け固定するにより、免震装置1を所定の設置位置に的確に設置することができる。しかる後、図1に示したように、さらに上方のフランジ部3に対して上部側のベースプレート10を挟んで所要数のアンカー部材11を固定し、そのベースプレート10の周囲に型枠を形成してコンクリートを打設することにより、上部建物の下部支持部12を形成し、その下部支持部12に対して更に順次躯体を構築することになる。
【0019】なお、以上の実施例では、免震装置1の設置装置として、ベースプレート6の下面にL字状に溶接した固定片21を介してアングル材15、ナット17、レベルボルト18等から構成される支柱14を固着する形態を例示したが、次に他の形態の実施例に関して説明する。図8〜図12は前記実施例の変形例を示した分解組立図である。図8に示した実施例は、前記実施例では固定片21をベースプレート6の下面に溶接により固着していたのに対して、ボルト26及びナット27を用いて無溶接で固着するように変更したものであり、ベースプレート6が溶接による熱影響を受けない利点を有するものである。すなわち、本実施例は、固定片21の上端部に平板28を溶接し、ベースプレート6に形成したボルト挿通孔29及び平板28に形成したボルト挿通孔を介してボルト26及びナット27を用いて締付固定するように構成したものであり、その余の構成は前記実施例と同様である。なお、ボルト26は、図示のように、その頭部がベースプレート6の上面より突出しないように設置することが望ましい。また、その場合、ベースプレート6に大きめの円形からなる凹部を形成し、ボルト26の頭部を嵌入した場合に上方からボックススパナ等で回転できるように構成してもよいし、六角形の凹部を形成し、ボルト26の頭部を嵌入した場合に回転しないように構成することも可能である。図9に示した実施例は、前記アングル材15の上端部に平板30を溶接し、その平板30を介してボルト26及びナット27により直接的にベースプレート6の下面に固着するように構成したものである。
【0020】図10に示した実施例は、前記アングル材15に替えてパイプ材を用いて構成した支柱31を採用したものである。すなわち、本実施例における支柱31は、所要長さのパイプ材32の下端部に平板33を溶接し、更にその平板33の下面にナット34を溶接してレベルボルト35を螺合したものから構成される。なお、レベルボルト35には、その回転操作のためにナット等からなる操作部36を溶接しておく。また、ベースプレート6の下面には、前記パイプ材32の上端部を嵌合し得る直径からなる固定管37を溶接する。支柱31をベースプレート6に取付ける際には、その固定管37に対してパイプ材32の上端部を差込み、必要に応じて溶接や接着剤等によって固定する。
【0021】図11に示した実施例は、図10の実施例では固定管37をベースプレート6の下面に溶接したのに対して、ボルトナットを用いて無溶接で固着するように変更したものであり、ベースプレート6が溶接による熱影響を受けない利点を有するものである。すなわち、本実施例では、固定管37の上端部に平板38を溶接するとともに、その平板38上にナット39を溶接しておき、ベースプレート6に形成したボルト挿通孔40を介して挿入したボルト41に対してナット39を螺合して締付け固定するように構成したものである。また、図12に示した実施例は、固定管37の上端部に雌ネジ42,43を形成した平板44を溶接し、ベースプレート6に形成したボルト挿通孔45、46を介して挿入したボルト47,48をそれらの雌ネジ42,43に螺合して締付固定することにより、固定管37をベースプレート6の下面に固着するように構成したものである。なお、以上のベースプレート6の下面に対する取付け形態を採用し、固定管37に替えて六角頭部を有しない軸状のボルトを平板44に溶接することにより、前記ボルト26等に代えることも可能である。
【0022】以上の実施例では支柱14,31の下部に設けたレベルボルト18,35を介してベースプレート6の高さや水平状態を調整する形態に関して説明したが、次に支柱の上部に設けたナット等のネジ部を介して調整作業を行う形態に関して説明する。図13に示した実施例は、ベースプレート6の下面にボルト49を溶接し、支柱50を構成するアングル材51の上端部に前記ボルト49に螺合可能なナット52を溶接したものである。本実施例の場合には、前記ボルト49にナット52を螺合して支柱50をベースプレート6の下面に取付けた状態で、図4に示したように、各支柱50を鉄筋13相互間の間隙部に挿入して所定位置に設置した後、アングル材51を回動して支柱50の長さを変化させることにより、ベースプレート6の設置状態の調整を実施することになる。
【0023】図14〜図16は、図13の実施例の変形例を示したものである。図14に示した実施例は、ベースプレート6に形成したボルト挿通孔53にボルト54を挿通してナット55により締付固定し、そのボルト54の下方に露出した部分を雄ネジ部として使用することにより、無溶接でベースプレート6側の雄ネジ部を形成したものである。図15に示した実施例は、支柱56として前記アングル材51に替えてパイプ材57を用い、そのパイプ材57の上端部に平板58を溶接するとともに、同平板58上に更にナット59を溶接した形態を採用したものである。図16に示した実施例は、ベースプレート6に対して図14の場合と同様にボルト挿通孔53よりボルト54を挿通してナット55により締付固定し、そのボルト54の下方に露出した部分を雄ネジ部として使用するとともに、支柱として図15のパイプ材57を用いた支柱56を採用したものである。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果を得ることができる。
(1)本発明では、先ず礎柱部の補強用の配筋作業を実施した後、支持用のフレームは組まずに、ベースプレートの下面に設けた支柱を配筋後の鉄筋相互間に形成される間隙部に挿入するだけでベースプレートを鉄筋の上方に支持するという方法を採用したので、配筋後の鉄筋相互間に形成される間隙が狭い場合でも、ほぼ直線状の支柱を挿入するだけであるから、鉄筋との干渉を避けながら容易に設置することできる。
(2)支柱がベースプレートの直下に位置することから、強固な支持状態が簡便に得られるとともに、設置状態の調整作業も直接的に行えるので、高精度の調整が容易に得られる。また、ベースプレートの支持手段が礎柱部の補強用の鉄筋部内に収るので、作業スペースを大幅に縮小できる。
(3)支柱はそのまま鉄筋と共に埋設するので、従来、設置作業後に実施していた支持フレームの解体撤去作業の手間が省けるとともに、運搬上の負担も削減できる。しかも、埋設された支柱によってベースプレートの礎柱部に対する定着作用も得られる。
(4)ベースプレートを設置する礎柱部の高さに簡便に対応できるので、特に作業性やコストの点で難点の多かった、礎柱部の高さが高く、ベースプレートの設置位置が基礎コンクリートなどの設置部から離れている場合に有効である。
(5)基礎コンクリート上に受け板を固定しておき、ベースプレートの下面に設けた支柱の下部に嵌合した嵌合部材を前記受け板に固着することにより、ベースプレートを所定位置に位置決めするようにすれば、支柱の基礎コンクリート等の設置部に対する位置決め作業が簡便になるとともに、設置状態の調整作業において支柱を回転する際にも嵌合部材をガイド手段として利用できる。
【出願人】 【識別番号】000000446
【氏名又は名称】岡部株式会社
【出願日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【代理人】 【識別番号】100098947
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 英一
【公開番号】 特開2001−355349(P2001−355349A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−177659(P2000−177659)