| 【発明の名称】 |
引抜き防止機構付きストッパー装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】杉沢 充
【氏名】小倉 一記
|
| 【要約】 |
【課題】地震の発生時等に建造物が横移動するのを制限し、かつ、建造物が傾いたり、横倒することを防止する引抜き防止機構付きストッパー装置の提供。
【解決手段】鋼管8の片端部に結合したベースプレート7、7aと、他方の端部に結合し、中央開口部15を持つ受け鋼板9からなる上下一対の支持部材3、4が、受け鋼板9の面を互いに向い合わせて、上部構造物1および下部構造物2にそれぞれベースプレート7、7aおよびアンカーボルト6を介して結合されていて、かつ、上下一対の支持部材3、4の2枚の受け鋼板9を挟んで、中央開口部15内に設置された軸部材11と、軸部材11により結合された、中央開口部15より大きく、鋼管8内径より小さな面積を持つ、一対の押え鋼板12が設置されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼管の一方の端部に結合したベースプレートと、前記鋼管の他方の端部に結合し、中央開口部を持つ受け鋼板からなる一対の支持部材が、前記受け鋼板面を互いに向い合わせて、上部構造物および下部構造物にそれぞれ前記ベースプレートを介して固着手段により結合されており、さらに、前記一対の支持部材の2枚の受け鋼板を挟んで、前記中央開口部内に設置された軸部材と、前記軸部材により結合され、前記中央開口部より大きく、前記鋼管内径より小さな面積を持つ、一対の押え鋼板が設置されていることを特徴とする引抜き防止機構付きストッパー装置。 【請求項2】 軸部材の一方の端部に結合したベースプレートと、前記軸部材の他方の端部に結合した受け鋼板からなる一対の支持部材が、前記受け鋼板面を互いに向い合わせて、上部構造物および下部構造物にそれぞれ前記ベースプレートを介して固着手段により結合されており、さらに、前記一対の支持部材の2枚の受け鋼板を挟んで、鋼管の両端に設置され、かつ、中央部に前記受け鋼板より小さな開口部を持つ一対の押え鋼板が設置されていることを特徴とする引抜き防止機構付きストッパー装置。 【請求項3】 請求項1において、受け鋼板と押え鋼板との間に、低摩擦摺動材および滑り板を設置し、前記受け鋼板または押え鋼板の何れか一方に、前記低摩擦摺動材を固着し、他方に滑り板を固着したことを特徴とする引抜き防止機構付きストッパー装置。 【請求項4】 請求項2において、受け鋼板と押え鋼板との間に、低摩擦摺動材および滑り板を設置し、前記受け鋼板または押え鋼板の何れか一方に、前記低摩擦摺動材を固着し、他方に滑り板を固着したことを特徴とする引抜き防止機構付きストッパー装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、土木、建築および機械構造物の分野において、地震や台風などの動的荷重受け、引抜き力を生じながら、振動する構造物の水平変位および鉛直変位を抑制する装置およびその構成部材に特徴がある引抜き防止機構付きストッパー装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、地震や台風などの荷重を受けて振動する構造物の制振を行う場合には、滑り支承や、転がり支承や、積層ゴム支承などを使用した免震構法がされている。 【0003】しかし、建造物が縦に細長い場合や、軽量な場合には、地震時や台風時に建造物に転倒モーメントが生じて、支承部に引抜きが生じる場合があり、前記の部材では、引抜き力に対して抵抗できない場合が多い。 【0004】この問題を解決するために、従来、図11に示すような引抜き防止装置が提案されている。すなわち、図11では、上部構造27および下部構造28の互いに対向する面に、第1および第2の鋼製部材29、30をそれぞれ設け、さらに、第1の構成部材29を上部構造27から下方に突出状態に設けられた突出部31と、突出部31から側方ヘ延出するように設けられた延出部32とを備え、第2の鋼製部材30に、上部構造27が上方へ変位した際に、第1の鋼製部材29の延出部32と当接して、第2の鋼製部材29の上方への変位を規制するストッパー部37を形成している。 【0005】しかし、図11の従来手段では、支承部に作用する水平変位量を確保しようとする場合、装置が大きくなるため、設置スペースや経済性が問題となりやすい。また、建造物に回転モーメントが生じて、支承部に水平力と引抜き力が同時に作用した場合、支承部材の円滑な水平変位が出来ず、免震作用が妨げられる恐れがある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】前述のように、建造物には地震時や台風時に転倒モーメントを生じて、支承部に引抜き力を発生し、とくに、建造物が縦に細長い場合や、軽量な場合には、支承部の引抜き力が鉛直荷重を上回る結果、上部に浮き上がり、建物の安全性に問題が生じるが、従来技術には、これを円滑に解決できる手段がなかった。 【0007】本発明は、前記従来の欠点に鑑みてなされたもので、発明が解決しようとする主たる課題は次の4点である。 (1)地震時や台風時に上部構側に生じる引抜き力に抵抗し、さらに、引抜き力が作用した時にも、免震支承として、支承部の部材の水平変位が可能な構成とする。 (2)引抜き力作用時に水平変位する前記支承部材の水平摩擦抵抗力を少なくする。 (3)支承部に作用する一定以上の水平変位に対して、ストッパー機能を持たせる。 (4)装置の外形を小さくする。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するため、本発明に係る引抜き防止機構付きストッパー装置は、次のように構成する。 【0009】第1の発明は、鋼管の一方の端部に結合したベースプレートと、前記鋼管の他方の端部に結合し、中央開口部を持つ受け鋼板からなる一対の支持部材が、前記受け鋼板面を互いに向い合わせて、上部構造物および下部構造物にそれぞれ前記ベースプレートを介して固着手段により結合されており、さらに、前記一対の支持部材の2枚の受け鋼板を挟んで、前記中央開口部内に設置された軸部材と、前記軸部材により結合され、前記中央開口部より大きく、前記鋼管内径より小さな面積を持つ、一対の押え鋼板が設置されていることを特徴とする。 【0010】第2の発明は、軸部材の一方の端部に結合したベースプレートと、前記軸部材の他方の端部に結合した受け鋼板からなる一対の支持部材が、前記受け鋼板面を互いに向い合わせて、上部構造物および下部構造物にそれぞれ前記ベースプレートを介して固着手段により結合されており、さらに、前記一対の支持部材の2枚の受け鋼板を挟んで、鋼管の両端に設置され、かつ、中央部に前記受け鋼板より小さな開口部を持つ一対の押え鋼板が設置されていることを特徴とする。 【0011】第3の発明は、第1の発明において、受け鋼板と押え鋼板との間に、低摩擦摺動材および滑り板を設置し、前記受け鋼板または押え鋼板の何れか一方に、前記低摩擦摺動材を固着し、他方に滑り板を固着したことを特徴とする。 【0012】第4の発明は、第2の発明において、受け鋼板と押え鋼板との間に、低摩擦摺動材および滑り板を設置し、前記受け鋼板または押え鋼板の何れか一方に、前記低摩擦摺動材を固着し、他方に滑り板を固着したことを特徴とする。 【0013】第1発明〜第4発明によると、次の■〜■の作用がある。 ■、受け鋼板の中央開口部は、押え鋼板より小さいため、支承部の水平変位時にも充分な重なり面積があり、引抜き抵抗力を充分確保できる。 ■、水平摺動部材は、上下の支持部材と非一体的で何れからも独立していて、上下の構造物から切り離されて独立して可動できるから、上部構造物に回転モーメント(M)が生じて、支承部に引抜き力と水平力が同時に作用したときも、水平摺動部材は、その引抜き力を直接には受けず、ストッパー装置に引抜き力と水平力が同時に作用した時にも、支承部の部材の水平変位が可能であり、円滑な免震作用が期待できる。 ■、外周の鋼管は、摺動部材の過大な水平変位を防止するストッパーとして働く。 ■、受け鋼板と押え鋼板間に取り付けられた低摩擦摺動材と、滑り板は引抜き発生時に発生する水平摩擦抵抗を抑制する。 ■、水平変位は、摺動部材と上下支持部材野に2ヶ所で吸収するため、装置の外形を小さくし押えることができる。 【0014】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図を参照して詳細に説明する。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、図面に示す2つの実施形態に基づいてこの発明について説明する。図1〜図6は実施形態1を、図7〜図10は実施形態2をそれぞれ表わしている。 【0016】図1〜図6の実施形態1において、符号1は建造物の上部構造物、2は地盤(基盤)を含む下部構造物をそれぞれ示している。この発明を構成する各部材は、後記の高分子材料製の低摩擦摺動材10を除いては鋼材で製作するのが好ましいが、他の強靱にして強固な材料を用いて製作してもよい。 【0017】上部構造物1の下面には、ベースプレート7が固着されている。ベースプレート7は厚鋼板を打ち抜いて構成され、中央部に開口部16有し、その周辺にボルト孔14を有し、ボルト孔14に挿通したアンカーボルト6を、上部構造物1に埋設のインサートナット(図示省略)に螺合することにより、当該ベースプレート7が上部構造物1の下面に固着される。 【0018】この例のベースプレート7は、上部構造物1に対してアンカーボルト6で締着してあるが、その固定手段は任意である。 【0019】前記開口部16と同心的に、ベースプレート7の下面に、鋼管8の一端縁(図では上端縁)が溶接20により固着されていて、鋼管8の他端縁(図では下端縁)には、当該鋼管8と同心的に、中央部に開口部15を有する受け鋼板9が溶接20により固着されている。鋼管8の径と軸方向の長さの寸法は、建造物の規模に応じて、例えば、径が460φ、軸方向長さが72mmなど適切寸法に設定される。 【0020】前記鋼管8と、この鋼管8の両端に固着されたベースプレート7および受け鋼板9とで上部支持部材3が構成される。 【0021】下部構造物2の上面にも、ベースプレート7aが固着されている。ベースプレート7aは厚鋼板を打ち抜いて構成され、中央部に開口部16有し、その周辺にボルト孔14を有し、ボルト孔14に挿通したアンカーボルト6を、下部構造物2に埋設のインサートナット(図示省略)に螺合することにより、当該ベースプレート7aが下部構造物2の上面に固着される。 【0022】この例でもベースプレート7aは、下部構造物2に対してアンカーボルト6で締着してあるが、その固定手段は任意である。 【0023】上部支持部材3と対称構造に下部支持部材4が設けられる。すなわち、下部支持部材4において、開口部16と同心的に、ベースプレート7aの上面に、鋼管8の一端縁(図では下端縁)が溶接20により固着されていて、鋼管8の他端縁(図では上端縁)には、当該鋼管8と同心的に、中央部に開口部15を有する受け鋼板9が溶接20により固着されている。鋼管8の径と軸方向の長さの寸法は、上部支持部材3の鋼管8と同寸法に設定される。 【0024】前述のとおり、上部支持部材3と下部支持部材4は一対をなしており、それぞれの受け鋼板9が若干の間隙21を介して向い合う配置とされ、かつ、各支持部材3、4は上下対称配置に設けられている。 【0025】上部支持部材3と下部支持部材4の内方に、水平摺動部材22が水平摺動自在に配設されている。水平摺動部材22は、軸部部材11の上下部のねじ部に略円板状の一対の押え鋼板12の中心部のねじ穴を螺着結合して構成されている。 【0026】上下一対の押え鋼板12は、上下支持部材3、4の2枚の受け鋼板12を挟んで配置され、かつ、この押え鋼板12の外形は受け鋼板9の中央開口部15よりも大きく、鋼管8の内径よりも小さな面積を持つ大きさに設けられている。 【0027】また、前記受け鋼板9と押え鋼板12の間には、低摩擦摺動材10および四フッ化エチレン(PTFE、商品名テフロン)からなる滑り板13が相対的に摩擦接触するように設置される。図示例では、前記押え鋼板13は、上下の押え鋼板12の対向面に固着されており、低摩擦摺動材10は、上下の受け鋼板9の背面で、かつ、中央開口部15の周縁部に固着されている。滑り板13と低摩擦摺動材10は、前記と逆の配置関係でもよい。 【0028】また、受け鋼板9と押え鋼板12の対向面の両方に低摩擦摺動材10を固着してもよく、この場合は、双方の低摩擦摺動材10の表面をいずれも滑り面とし、それら両滑り面を滑動自在に当接させるとよい。 【0029】水平摺動部材22において、軸部材11の両端部に結合した上下の押え板12が、上下の受け鋼板9を挟むように配設されることにより、上部構造物1に固着の上部支持部材3と、下部構造物2に固着の下部支持部材4との間が相対変位可能に結合され、地震時など上部構造物1に上揚力が作用したとき、当該上部構造物1の引抜きが防止される。また、地震時の水平力に対しては、水平摺動部材22が水平に激しく往復移動することで免震される。 【0030】実施形態1の引抜き防止機構付きスットッパー装置(イ)は、通常は図6に示すように、積層ゴムアイソレータ23等の免震手段と併用して用いられる。つまり、このストッパー装置(イ)は、免震構造の次の2つの要素、すなわち、■上部構造物1の荷重を支持する機能、■地震時等に水平変位から元の位置に復帰させるばね機能を有しないから、建造物を免震構造とするためには、それらの性能を持つ積層ゴムアイソレータ23等の免震手段を並列の関係で併設することになる。 【0031】図6の引抜き防止機構付きスットッパー装置(イ)に係る使用例において、地震時等に建造物、すなわち上部構造物1における例えば、重心近傍の点Pの回りに矢印の通りの大きな転倒モーメントMが発生した場合、上部構造物1は図6で左側を浮き上がらせて傾き始めようとし、また、上部構造物1と下部構造物2との間に剛的な結合力を持たない、換言すれば、連続した剛体の部材を有しない積層ゴムなどの免震手段23も上部構造物1の動きにつれて共に断裂されようとする。 【0032】そしてまた、図6で左側の引抜き防止機構付きスットッパー装置(イ)には、上部構造物1の前記のような傾動の初期の段階で、上部支持部材3が上方に向け引き抜かれようとするが、水平摺動部材22及び上下の支持部材3、4を介して、上部構造物1が下部構造物2に強固に結合されているので、当該上部構造物1の転倒が阻止され、また、免震手段23の断裂も喰い止められる。 【0033】実施形態1のストッパー装置(イ)において、前記上部構造物1に比較的大きな水平力が作用して、図4及び図5に示すように、上部支持部材3と下部支持部材4の間が芯ずれを生じ水平方向に変位しても、受け鋼板9の中央開口部15は、押え鋼板12の外径より小さいため、押え鋼板12と受け鋼板9とが重なり合う面積は十分に確保できるので、水平変位時の転倒防止機能は前記と同様に発揮される。 【0034】これにより、地震時や台風時に装置が水平に変位することができるとともに、引抜き力が生じた場合においても、水平方向の摩擦力を抑制しつつ、引抜き力に抵抗できる。 【0035】とくに実施形態1では、水平摺動部材22は従来と異なり、上下の支持部材3、4と非一体的であり、これらの何れからも独立している。したがって、上下の構造物1、2から切り離されて独立して可動できるから、上部構造物1に回転モーメントM生じて、支承部に引抜き力と水平力が同時に作用したときも、水平摺動部材22は、その引抜き力を直接に受けることがない。これにより、ストッパー装置(イ)に引抜き力と水平力が同時に作用した時にも、免震支承として、支承部の部材の水平変位が可能であり、円滑な免震作用が期待できる。 【0036】また、支承部に作用する一定以上の水平変位に対して、受け鋼板9の中央開口部15の内周縁に水平摺動部材22の軸部材11がぶつかり、さらに、押え鋼板12が鋼管8の内面にぶつかることで、これらが水平摺動部材22の過大な水平変位を防止するストッパーとして働く。 【0037】次に、図7〜図10に示す実施形態2の引抜き防止機構付きストッパー装置(イ)について説明する。実施形態2において、図1〜図6の実施形態2と同一要素には同一符号を付して説明する。 【0038】実施形態2のストッパー装置(イ)においても、水平摺動部材22aおよび、上下の支持部材17、18で構成されるが、これらを構成する受け鋼板9と押え鋼板12の支持構造が、実施形態1の水平摺動部材22および上下の支持部材3、4を構成する部材の支持構造と内方、外方逆の関係に構成されている。 【0039】すなわち、上部構造物1の下面に固着されたベースプレート7には、先端に受け鋼板9が結合された軸部材11の基端が固着されていて、これらで上部支持部材17が構成されている。また、下部構造物2の上面に固着されたベースプレート7aには、先端に受け鋼板9が結合された軸部材11の基端が固着されていて、これらで下部支持部材18が構成されている。 【0040】前述のとおり実施形態2でも、上部支持部材17と下部支持部材18は一対をなしており、それぞれの受け鋼板9が若干の間隙21を介して向い合う配置とされ、かつ、各支持部材17、18は上下対称配置に設けられている。 【0041】上部と下部の受け鋼板9の外側には、水平摺動部材22aが水平摺動自在に配設されている。水平摺動部材2aは、所定長さの外周鋼管8aと、外周鋼板8aの上下端にボルト24、ナット25で固着した中央開口部15を有する押え鋼板12とで構成されている。軸部材11は、中央開口部15内に設置され、また、受け鋼板9の外径は、中央開口部15より大きく、また、押え鋼板12は外周鋼管8aの内径より小さな面積を持つ大きさに構成されている。 【0042】このように、水平摺動部材22aにおける上下の押え鋼板12が、上下の受け鋼板9を挟むように配設されることにより、上部構造物1に固着の上部支持部材17と、下部構造物2に固着の下部支持部材18との間が相対変位可能に結合され、地震時など上部構造物1に上揚力が作用したとき、当該上部構造物1の引抜きが防止される。また、地震時の水平力に対しては、水平摺動部材22aが水平に激しく往復移動することで免震される。 【0043】実施形態2の引抜き防止機構付きスットッパー装置(イ)は、通常は図10に示すように、積層ゴムアイソレータ23等の免震手段と併用して用いられる。つまり、このストッパー装置(イ)は、免震構造の次の2つの要素、すなわち、■上部構造物1の荷重を支持する機能、■地震時等に水平変位からもとの位置に復帰させるばね機能を有しないから、建造物を免震構造とするためには、それらの性能を持つ積層ゴムアイソレータ23等の免震手段を並列の関係で併設することになる。 【0044】図10の引抜き防止機構付きスットッパー装置(イ)に係る使用例において、地震時等に建造物、すなわち上部構造物1における例えば、重心近傍の点Pの回りに矢印の通りの大きな転倒モーメントMが発生した場合、上部構造物1は図で左側を浮き上がらせて傾き始めようとし、また、上部構造物1と下部構造物2との間に剛的な結合力を持たない、換言すれば、連続した剛体の部材を有しない免震手段23も上部構造物1の動きにつれて共に断裂されようとする。 【0045】そしてまた、図10で左側の引抜き防止機構付きスットッパー装置(イ)には、上部構造物1の前記のような傾動の初期の段階で上部支持部材17が上方に向け引き抜かれようとするが、水平摺動部材22及び上下の支持部材17、18を介して、上部構造物1が下部構造物2に強固に結合されているので、当該上部構造物1の転倒が阻止され、また、免震手段23の断裂も喰い止められる。 【0046】実施形態2のストッパー装置(イ)において、上部構造物1に比較的大きな水平力が作用して、図9に示すように、上部支持部材3と下部支持部材4の間が芯ずれを生じ水平方向に変位しても、押え鋼板12の中央開口部15は、受け鋼板9の外径より小さいため、押え鋼板12と受け鋼板9とが重なり合う面積は十分に確保できるので、水平変位時の転倒防止機能は前記と同様に発揮される。 【0047】これにより、地震時や台風時に装置が水平に変位することができるとともに、引抜き力が生じた場合においても、水平方向の摩擦力を抑制しつつ、引抜き力に抵抗できる。 【0048】とくに実施形態2でも、水平摺動部材22aは従来と異なり、上下の支持部材17、18の何れからも独立している。したがって、上下の構造物1、2とは非一体的で、これらから切り離されて独立して可動できるから、上部構造物1に回転モーメントMが生じて、支承部に引抜き力と水平力が同時に作用したときも、水平摺動部材22aは、その引抜き力を直接には受けることがない。これにより、ストッパー装置(イ)に引抜き力と水平力が同時に作用した時にも、免震支承として、支承部の部材の水平変位が可能であり、円滑な免震作用が期待できる。 【0049】また、支承部に作用する一定以上の水平変位に対して、水平摺動部材22aにおける押え鋼板12の中央開口部15の内周縁に、上部支持部材17の軸部材11がぶつかり、さらに、受け鋼板9が外周鋼管8aの内面にぶつかることで、これらが上下支持部材17、18の過大な相対的、水平変位を防止するストッパーとして働く【0050】また、前記受け鋼板9と押え鋼板12の間には、低摩擦摺動材10および四フッ化エチレン(PTFE、商品名テフロン)からなる滑り板13が相対的に摩擦接触するように設置される。図示例では、滑り鋼板13は、上下の押え鋼板12の対向面に固着されており、前記低摩擦摺動材10は、上下の受け鋼板9の背面で、かつ、その周縁部に固着されている。滑り板13と低摩擦摺動材10は、前記と逆の配置関係でもよい。 【0051】 【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明に係る引抜き防止機構付きストッパー装置によると、次の効果を奏する。 【0052】第1発明〜第4発明によると、次の効果がある。 (1)装置が全体として簡単にして扁平に作られているに関わらず、地震が発生した場合に、架台に作用する当該地震力を一定以下に納めることができ、また、建 造物に大きな転倒モーメントが作用しても建造物の転倒を確実に阻止できる。 (2)水平摺動部材は、上下の支持部材と非一体的であり、その何れからも独立していて、結果、上下の構造物から切り離されて独立して可動できるから、上部構造物に回転モーメント(M)が生じて、支承部に引抜き力と水平力が同時に作用したときも、水平摺動部材は、その引抜き力を直接には受けることがない。これにより、ストッパー装置に引抜き力と水平力が同時に作用した時にも、免震支承として、支承部の部材の水平変位が可能であり、円滑な免震作用が期待できる。 (3)受け鋼板の中央開口部は、押え鋼板より小さいため、支承部の水平変位時にも充分な重なり面積があり、引抜き抵抗力を充分確保できる。 (4)外周の鋼管は、摺動部材の過大な水平変位を防止するストッパーとして働く。 (5)受け鋼板と押え鋼板の間に取り付けられた低摩擦摺動材と、滑り板は引抜き発生時に発生する水平摩擦抵抗を抑制する。 (6)水平変位は、水平摺動部材と上下支持部材の2ヶ所で吸収するため、装置の外形を小さくし押えることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】591037694 【氏名又は名称】川口金属工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年6月12日(2000.6.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107250 【弁理士】 【氏名又は名称】林 信之 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−349093(P2001−349093A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月21日(2001.12.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−175518(P2000−175518) |
|