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【発明の名称】 空気膨脹式ハウス
【発明者】 【氏名】荒木 義寛

【要約】 【課題】対風抗力が乏しく、特に、風の吹きまくるときに発生する負気圧を受けた際に形状が保持できなかった空気膨脹式ハウスにおいて、正気圧、負気圧に遭っても十分抗力を備えさせる。

【解決手段】空気膨脹ハウスの奥行方向と間口方向にそれぞれ行き渡る送風管を設け、送風管の通気口を俯角方向に開口する開口部を有するフラップで覆ってなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気膨脹気室からなるアーチ状の縦気柱と該縦気柱の間に連結した横気柱とから骨格を形成し該骨格の天面部及び四側面部の全体を覆う天幕を設けてなる空気膨脹式ハウスにおいて、前記天幕は間口方向で対面する左側面部と右側面部及び奥行方向で対面する前面部と背面部とにそれぞれ互いに対向し合って対をなす通気口を穿設し、これらの間口方向及び奥行方向の互いに対向し合って対をなす通気口との間にそれぞれ送風管を連結設置し、天幕との間に俯角方向の開口部を有して片流れ尾根状を呈して天幕の外面から前記各通気口を覆うフラップを設置せしめて構成したことを特徴とする空気膨脹式ハウス。
【請求項2】 前記送風管は気密布から両端へ貫通する筒状体として形成し、下面の長さ方向へ所定巾で帯状開口を穿って、該帯状開口にメッシュ布を取り付け設置すると共に該メッシュ布をカバー布により遮蔽自在せしめてなる請求項1記載の空気膨脹式ハウス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気を充填するとアーチ状骨格が形成されるとともに天幕が展張する空気膨脹式ハウス、特に、対風抗力を備えて構成したことを特徴とする。
【0002】
【従来の技術】従来空気膨脹式ハウスは、空気膨脹気筒になる複数のアーチ状の縦気柱とこれらの縦気柱の間に複数の横気柱を水平に連結して骨格が組立てられ、山形状の天面部、左右側面部及び前後面部を有する天幕が前記骨格全体を覆って一体に取り付けられ、前記縦気柱をグランドシートの上に一体に結合して形成したものが普通一般によく知られており、そして、この空気膨脹式ハウスは、搬送、設営が極めて容易になされること及び折り畳み格納も簡便であることから、広い分野で使用されている。
【0003】しかしながら、この種従来の空気膨脹式ハウス(以下「ハウス」という)は、搬送、設営、或いは折り畳み格納が容易且つ簡便であるとしても、天幕を支えるアーチ状骨格には剛性がないばかりでなく、地面に敷設したグランドシートはアンカーで止めているだけなので、ハウスの設営状態における基礎強度は極めて弱いものである。
【0004】そのため、空気膨脹式ハウスは強風に対する抗力が弱く、それ故に、強風下においてハウスの形状を保持できなくなることもあり、また、突風に遭うとハウスが吹き飛ばされる懸念もある等の多くの課題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ハウス内の奥行方向と間口方向にそれぞれ行き渡る複数の送風管を設け、ハウスの各面に当たる風を送風管を介して反対側へ導通案内することにより、各面に加わる力を和らげ、強風下で、ハウスが受ける正気圧、負気圧にたいする抗力をもつ空気膨脹式ハウスを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る空気膨脹式ハウスは、空気膨脹気室からなるアーチ状の縦気柱と該縦気柱の間に連結した横気柱とから骨格を形成し該骨格の天面部及び四側面部の全体を覆う天幕を設けてなる空気膨脹式ハウスにおいて、前記天幕は間口方向で対面する左側面部と右側面部及び奥行方向で対面する前面部と背面部とにそれぞれ互いに対向し合って対をなす通気口を穿設し、これらの間口方向と奥行方向の互いに対向し合って対をなす通気口との間にそれぞれ送風管を連結設置し、天幕との間に俯角方向の開口部を有して片流れ尾根状を呈して天幕の外面から前記各通気口を覆うフラップを設置せしめてなる。
【0007】前記送風管は気密布から両端へ貫通する筒状体として形成し、下面の長さ方向へ所定巾で帯状開口を穿って、該帯状開口にメッシュ布を取り付け設置すると共に該メッシュ布をカバー布により遮蔽自在せしめて形成するのが好ましい。
【0008】また、前記フラップは気密布から左右側辺を所定角度で対称させてバイヤスに裁断した台形シートの下辺をゴム又は合成樹脂の発泡体からコ字状に形成した保形枠の内周に沿わせて固着して形成し、各通気口を覆う位置に、天幕の一部を台布として、台形シートの左右辺及び上辺を天幕に取付けると共に保形枠の両端で天幕に取付けて、天幕との間に俯角方向に開口する開口部を有して台形シートの左右側辺の傾斜辺により片流れ尾根状を呈して形成設置して各通気口を天幕の外面から覆うように設置する。尚、前記保形枠と天幕とで囲まれる開口部の面にはメッシュ布を取り付けて形成するのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る空気膨脹式ハウスの斜視図、図2は天幕の前面部を一部切欠してハウスの内部を示す斜視図で、ハウスHは、アーチ状になる複数の縦気柱1を所定間隔を置いて配置設置すると共にこれらの縦気柱1の間の棟部位及び桟部位に、直長状になる横気柱2を水平に連結した骨格3を組立て形成し、該骨格3には、山型の天面部4a、左側面部4b,右側面部4c、前面部4d及び背面部4eを有してなる天幕4が骨格1の全体を覆って一体に被覆設置され、該天幕4の前面部4d及び背面部4eには出入口となる扉布5がスライドファスナー等の結合具6によって開閉自在に設けられ、前記複数の縦気柱1はグランドシート7の上に結着設置されている。尚、前記縦気柱1及び横気柱2は、ゴム引布又は熱可塑性合成樹脂加工布のような可撓性のある気密布で空気膨脹気室として形成される。
【0010】本発明において、前記天幕4は、間口方向で対面する左側面部4bと右側面部4cとに互いに対向し合って対をなす通気口8a,8bを穿設し、また奥行方向で対面する前面部4dと背面部4eに互いに対向し合って対をなす通気口9a,9bを穿設し、これらの互いに対向し合って対をなす通気口8aと8bとの間及び9a,9bとの間にそれぞれ送風管10を連結設置し、天幕4の外面から、前記それぞれの通気口8a,8b及び9a,9bを覆うフラップ11を設置せしめて構成する。
【0011】前記送風管10は、図5に示すように、管端部を通気口8a,8b,9a,9bを囲んで天幕4の内側に一体に固着設置し、管上面の所望個所には、図2及び図3に示すように、吊ベルト止座12aが取り付けてあって、間口方向の送風管10は棟木に相当する横気柱2に取付けてある吊ベルト止座12bから伸びる吊ベルト13で懸垂され、奥行方向の送風管10は縦気柱1に取り付けてある吊ベルト止座12bから伸びる吊ベルト13で送風管10に管上面に取り付けてある吊ベルト止座12aに結合して懸垂設置される。尚、通気口8a,8b,9a,9bは間口方向及び奥行方向にそれぞれ複数本の送風管10が設けられるようにする。例えば図2に示すように、間口方向では各縦気柱1,1の間に少なくとも1本の割合で設け、奥行方向には左右側に少なくとも1本づつ設けるようにするのが好ましい。しかし、通気口及び送風管の設置数及び設置位置は特に限定するものではない。
【0012】また、前記送風管10は気密布から両端へ貫通する筒状体として形成され、この送風管10の下面には、長さ方向へ所定巾で帯状の開口を穿って、図3に示すように、該帯状開口にメッシュ布14を取り付け設置すると共に該メッシュ布14はカバー布15により遮蔽自在せしめられる。前記カバー布15は該カバー布15と送風管10にそれぞれ設けられた対になる、例えばジッパーのような止着具16a,16bを介して着脱自在に設置せしめられる。
【0013】前記フラップ11は、図4及び図5に示すように、気密布から左右側辺を所定角度で対称させてバイヤスに裁断した台形シート17の下辺をコ字状になる保形枠18の内周に沿わせて固着して形成し、このフラップ11は、各通気口8a,8b,9a,9bを覆う位置に、天幕4の一部を台布として、台形シート17の左右辺及び上辺を天幕4に取付けると共に保形枠18の両端の取付代19で天幕4に取付けて、図1及び図4、図5に示すように、天幕4との間に俯角方向に開口する開口部20を形成すると共に台形シート17の左右側辺の傾斜辺により片流れ尾根状を呈して形成設置され、保形枠18と天幕4とで囲まれる開口部20の面にはメッシュ布21を取り付けて形成し、該フラップ11で各通気口8a,8b及9a,9bを天幕4の外面から覆うように設置する。なお、前記保形枠18は、ゴム又は合成樹脂の発泡体で形成し、ハウスが収納されているときは一緒に折り畳まれ、ハウスの展張と共に成形時のコ字状形状を取り戻して天幕4との間に俯角方向に開口する開口部20を自力で且つ確実に形成すると共に台形シート17とで片流れ尾根状のフラップ11を形成出来るようにするのが好ましい。尚、図4中、22,23,24及び25は接着層又は溶着層を示す。
【0014】上記のような構成になる本発明のハウスHは、折り畳まれた状態で搬送され、収納を解いて空気を注入して、グランドシート7の上に展張すると、各送風管10は、略筒状をなして形成され、フラップ11は天幕4との間に開口部20を形成すると共に台形シート17とで片流れ尾根状に形成されて各通風口8a,8b,9a,9bの通気を確保する。
【0015】そして、本発明に係るハウスHが強風下にさらされて、フラップ11が正気圧を受けたとき、フラップ11は空気を当該フラップ11の開口部20から送風管10内を通して一方から他方排出して天幕4の左右側面部4b,4c,前面部4d及び背面部4eの各面に加わる力を低減し、また、フラップ11が負気圧を受けたときは、一方のフラップ11の開口部20から空気はそれぞれの送風管10内に吸い込まれて当該フラップ11の開口部20から排出される。
【0016】また、片流れ尾根状に形成し、俯角方向に開口するフラップ11は、強風に煽られた雨の侵入を阻止するばかりでなく、風が吹き上げるときに生じる負気圧に対して抗力が備えられる。
【0017】開口部20をメッシュ布21で遮蔽した保形枠18は、ハウスの展張時に、自力で開口部20とフラップ11が形成されるようにするのみでなくフラップ11に負気圧が作用したときに、フラップ11が送風管10に捲き込まれるのを防止する。
【0018】送風管10の下面の帯状開口に設けたメッシュ布14は、通常は、ハウスH内の換気の役を果たすが、強風下では、カバー布15で閉じることにより一方の通気口から入った風を他方の通気口へ送風排出する送風管としての機能を果たす。
【0019】図1に示す形状、構造の空気膨脹式ハウスにおいて、本発明の通気口と送風管を設けていない場合と、通気口と送風管を設た場合の空気膨脹式ハウスの両者を風速約15m/secの強風かに設置して対風抗力を試した結果、前者は風に煽られて形状を維持できなくなるのに対し、後者は比較的安定していて、ハウス内で作業をするなどの支障となる程の形状の変形は起きなかった。
【0020】
【発明の効果】本発明の空気膨脹式ハウスは、深く方向へ開口するフラップで覆われた空気出入口のある送風管がハウスの奥行方向と間口方向に取り付けてあるので、天幕や間口遮蔽布が正気圧や負気圧を受けても、空気は送風管中を通って出入して天幕や間口遮蔽布が大きく煽られるのが防げてハウス内での作業の支障となるような骨格の変形は僅かにとどめることができるし、風速15m/sec程度の強風下でも十分使用に耐えるものである。
【0021】本発明の膨脹式ハウスに取り付けてあるフラップは、ゴム又は合成樹脂の発泡体でなる保形枠とその内周に沿って取り付けたメッシュ布を有するので、保形枠とメッシュ布はハウスと共に折り畳めるし、ハウスを展張すれば自力で自立して開口部を形成し、特別の作業や用具を不要とするものであって、強風下においての設置も容易にする。
【0022】本発明の膨脹式ハウスの送風管は、ハウス外に生じた大気圧の変動がハウスに与える影響を可及的に少なくする効果を有する他に、風のないときには、ハウス内の換気管としても十分な機能を果たし、ハウス内の居住性を良好にする等の効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
【出願日】 平成12年5月29日(2000.5.29)
【代理人】 【識別番号】100067932
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 耕三
【公開番号】 特開2001−336314(P2001−336314A)
【公開日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願番号】 特願2000−157806(P2000−157806)