トップ :: E 固定構造物 :: E04 建築物




【発明の名称】 ポール
【発明者】 【氏名】山中 啓史

【要約】 【課題】美観性に優れているだけでなく、堅牢度においても優れたポールを提供すること。

【解決手段】金属製円筒体20と該金属製円筒体を外被している円筒状天然石材30とを含み、該金属製円筒体の外径に対し円筒状天然石材の内径を大きくし、金属製円筒体に円筒状天然石材を、金属製円筒体の外周に略一定の空間を保持して装着した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製の柱体と、該柱体を外被する筒状天然石材とより成り、柱体の外径に対し筒状天然石材の内径を大きくし、前記柱体に前記筒状天然石材を、柱体の外周に略一定の空間を保持して装着したことを特徴とするポール。
【請求項2】 前記柱体は円筒体である一方、前記筒状天然石材は円筒状天然石材であり、該円筒状天然石材は複数の天然石材円筒体をつなぎ合わせて形成され、該天然石材円筒体のつなぎ目に対応する前記柱体の外周位置に少なくとも3個のL形の金具が取り付けられており、該L形の金具の一部が前記天然石材円筒体のつなぎ目に介在していることを特徴とする請求項1記載のポール。
【請求項3】 前記天然石材円筒体のつなぎ目に介在している前記L形の金具の一部には穴が設けられており、前記天然石材円筒体のつなぎ目においてはその下側に位置する天然石材円筒体の上端部内から前記穴を通して上側に位置する天然石材円筒体の下端部内に至るピンが設けられていることを特徴とする請求項2記載のポール。
【請求項4】 前記柱体の外周面と前記筒状天然石材との間の空間の一部に弾性充填材を充填したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポール。
【請求項5】 前記天然石材円筒体のつなぎ目から所定距離下がった前記柱体の外周面と前記天然石材円筒体との間の空間にリング状シール部材が介在しており、前記つなぎ目を通して前記リング状シール部材よりも上方の空間に弾性充填材が充填されていることを特徴とする請求項2又は3記載のポール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、街路灯や庭園灯の柱材、あるいは建築用の柱材等に適したポールに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のポールの一例を、街路灯の場合について説明する。これまで、街路灯の柱材としてのポールは、鋼管製のものが主流である。鋼管には亜鉛メッキや塗装等の表面処理が施されているが、耐候性、美観性において難点がある。また、最近では、遠心コンクリート製のものが開発されている。これは、コンクリートに自然石材粉を混入したうえで、遠心力を利用して円筒状のポールに成形したものである。しかしながら、このような遠心コンクリート製のものでも、耐候性、美観性が改善されているとは言えない。
【0003】更に、美観性を向上させるために、天然石材そのものを使用し、鋼管等による内部構造材と組合せて円筒状ポールを構成した例もある。即ち、天然石材をポールの周方向に関して分割(2〜4等分)すると共に、長さ方向にも適寸に分割したものを用意し、これらの分割された天然石材を、内部構造材に対して固定金具又はモルタルあるいはこれらを併用にて組み付け、全体として所望の長さの円筒状ポールとしたものも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような天然石材そのものを使用した円筒状ポールは、周方向に分割されたものを金属製の内部構造材に組み付けるという構造であるため、分割された天然石材の貼合せ面が表面に現れると共に内部構造材と天然石材との熱膨張の差等により貼合せた石材が部分的に剥離を生じやすい。特に、剥離は、事故につながるというおそれがあるため、街路灯のような公共物用のポールには致命傷である。
【0005】そこで、本発明の課題は、美観性に優れているだけでなく、堅牢度においても優れたポールを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、金属製の柱体と、該柱体を外被する筒状天然石材とより成り、柱体の外径に対し筒状天然石材の内径を大きくし、前記柱体に前記筒状天然石材を、柱体の外周に略一定の空間を保持して装着したことを特徴とするポールが提供される。
【0007】なお、前記柱体は円筒体である一方、前記筒状天然石材は円筒状天然石材であり、該円筒状天然石材は複数の天然石材円筒体をつなぎ合わせて形成され、該天然石材円筒体のつなぎ目に対応する前記柱体の外周位置に少なくとも3個のL形の金具が取り付けられており、該L形の金具の一部が前記天然石材円筒体のつなぎ目に介在していることを特徴とする。
【0008】また、前記天然石材円筒体のつなぎ目に介在している前記L形の金具の一部には穴が設けられており、前記天然石材円筒体のつなぎ目においてはその下側に位置する天然石材円筒体の上端部内から前記穴を通して上側に位置する天然石材円筒体の下端部内に至るピンが設けられていることを特徴とする。
【0009】前記柱体の外周面と前記筒状天然石材との間の空間の一部には弾性充填材が充填される。
【0010】特に、前記天然石材円筒体のつなぎ目から所定距離下がった前記柱体の外周面と前記天然石材円筒体との間の空間にリング状シール部材が介在しており、前記つなぎ目を通して前記リング状シール部材よりも上方の空間に弾性充填材が充填されていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1において、本形態による円筒状ポール10は、街路灯用のポールとして使用される。円筒状ポール10は、金属製円筒体20に、円筒状天然石材30を外被して構成される。特に、円筒状天然石材30は、複数の天然石材円筒体31を長さ方向につなぎ合わせて構成される。後で詳しく説明するように、円筒状天然石材30の内径は、金属製円筒体20との間に適当な空間ができるように、金属製円筒体20の外径に比べて大きくされる。
【0012】金属製円筒体20の材料としては、強度及び耐食性のある金属が望ましい。例えばステンレスが好ましく、鉄製鋼管の場合には、メッキ、塗装のような表面処理を施して耐食性を持たせる。一方、円筒状天然石材30は、御影石、大理石等のように、表面光沢のあるものが望ましい。
【0013】図2、図3をも参照して、円筒状ポール10の製造及び組み立て工程の一例について説明する。天然石材円筒体31は、天然石材を円筒形状になるように切削、研磨加工して作られる。特に、長さは、短いと長さ方向のつなぎ合わせ数が増え、長いと加工が難しくなるので、経済加工限界長を考慮して決められる。通常、この経済加工限界長は、1100(mm)である。天然石材円筒体31の表面は、研磨加工により光沢がでるように処理される。金属製円筒体20に下の方から順に天然石材円筒体31を組み付ける。
【0014】この組み付けに際しては、2つの天然石材円筒体31を以下のようにしてつなぐ。2つの天然石材円筒体31のつなぎ目に対応する金属製円筒体20の外周位置には周方向に等角度間隔をおいて3個のL形の金具34がボルト35により取り付けられている。そして、これらのL形の金具34の水平部分が2つの天然石材円筒体31の間の数mm程度のつなぎ目に介在するようにされている。従って、円筒状天然石材30はL形の金具34を介して円筒状ポール10に円周方向に略一定の隙間を有するように嵌合される。また、このつなぎ目から所定距離(20〜300mm)下がった金属製円筒体20の外周面と下側の天然石材円筒体31との間の空間にリング状シール部材36を介在させている。このリング状シール部材36は以下に述べる弾性充填材28を充填した時、弾性充填材28が更に下方に流れ込むのを防止する。つまり、2つの天然石材円筒体31のつなぎ目を通してリング状シール部材36よりも上方の空間に発泡ウレタン等の弾性充填剤28が充填される。その結果、天然石材円筒体31は金属製円筒体20と一体化される。
【0015】天然石材円筒体31のつなぎ目に介在しているL形の金具34の水平部分には穴34−1が設けられている。天然石材円筒体31のつなぎ目においてはその下側に位置する天然石材円筒体31の上端部内から穴34−1を通して上側に位置する天然石材円筒体31の下端部内に至るピン37が設けられている。このようなピン37の設置は、はじめに下側に位置する天然石材円筒体31の上端部に設けた穴に、穴34−1を通してピン37を装着して接着剤等により固着する。次に、上側に位置する天然石材円筒体31の下端部に設けた穴にピン37が入るようにして接着剤等により固着する。
【0016】なお、天然石材円筒体31に設けられるピン37用の穴は、天然石材円筒体31の周方向の位置決めを容易にするために、ピン37の径よりも大きな穴、いわゆるダボ穴とするのが好ましい。また、L形の金具34は、金属製円筒体20に対する周方向の取り付け位置が微調整できるように、その垂直部分に設けられたボルト35挿通用の穴34−2が長穴にされている。
【0017】弾性充填材28を充填した後、天然石材円筒体31のつなぎ目部分には弾性シール材38が充填される。この弾性シール材38の材料は、天然石材円筒体31と同様の色や光沢を持つものが好ましい。以上のような組み立てを、最上部の天然石材円筒体31に至るまで行う。
【0018】図4〜図9をも参照して、金属製円筒体20は、その下端部に、円筒状ポール10をアンカーボルト41により基礎部40に固定するための台座21を持つ。台座21には天然石材円筒体31を受けるための石受け座21−1が設けられている。一方、金属製円筒体20の上端部には、照明器具50を取り付けるための台板22が設けられている。台板22には、照明器具50をねじにより固定するためのタップ付き穴22−1と、台板22を金属製円筒体20に固定するための座ぐり穴22−2が複数個設けられている。照明器具50は、照明灯保持金具51、照明灯52、傘53等から成るが、これは本発明を構成する部分ではないので、詳しい説明は省略する。
【0019】金属製円筒体20の下部寄りには、ジョイントボックス及び安定器を取り付けるのための開口20aが設けられている。図示していないが、ジョイントボックスは、台座21を通して金属製円筒体20内に導入される電気配線と、照明灯52のための電気配線や安定器との電気接続を行うためのもので、金属製円筒体20内に固定された取付板24に取り付けられる。このために、天然石材円筒体31において、開口20aに対応する箇所にも開口31aが設けられる。
【0020】開口31aは、美観上の観点から塞ぐ必要がある。図7、図9において、開口31aは、天然石材円筒体31と同じ材料の蓋石25−1を持つ蓋部材25で塞がれる。蓋部材25は、蓋石25−1を蓋石金具25−2に組み合わせて構成される。蓋石金具25−2は、開口20aよりやや大きめ、開口31aと同じ大きさに作られ、上下方向の両端に設けられた立上げフランジ部25−21で蓋石25−1を挟むことができる。蓋石金具25−2の主面には、金属製円筒体20において開口20aの上下に設けられた穴20bに対応する位置に、ボルト26を挿通するための穴25−2aが設けられている。
【0021】蓋石25−1にも、穴25−2aに対応する位置にボルト26挿通用の座ぐり穴25−1aが設けられている。ここでは、ボルト26の頭部は、美観上の観点から座ぐり穴25−1a内に埋没させており、このような状態でも回転可能にするために六角穴付きボルトを使用している。また、金属製円筒体20の内径側であって穴20bに対応する箇所にはあらかじめナットが固定されている。このようにして、蓋石25−1と蓋石金具25−2とから成る蓋部材25を2本のボルト26により一体に金属製円筒体20に取り付け、取り外しできるようにしている。取り外しは、照明器具50の点検の際に必要である。ここで、蓋石25−1の表面側は、天然石材円筒体31の円筒面と同じ径の面になるようにしている。このような蓋石25−1は、前に説明した方法で作製した天然石材円筒体31の穴31aをくりぬきにより形成し、その時にできる部材をそのまま利用することにより実現できる。なお、蓋石25−1の周縁部あるいは蓋石金具25−2の周縁部には防水パッキンを取り付けることが好ましい。
【0022】照明器具50の取り付けは、現地搬入前、あるいは現地搬入後のいずれでも良い。現地では、あらかじめ作られている基礎部40にアンカーボルト41で金属製円筒体20を固定する。その際、通常、基礎部40から導出されている電気配線を金属製円筒体20内に通し、開口20aにおけるジョイントボックスで照明器具50側の電気配線との接続を行う。接続を終了したら、開口31aを蓋部材25で塞ぐ。
【0023】以上の説明で明らかなように、本形態による円筒状ポールは、以下の点に特徴を有する。
【0024】(1)ポールは機能面から、風圧荷重に対する機械的強度を確保するために、内部構造材に十分な機構的強度を持つ金属製円筒体20を用いている。
【0025】(2)天然石材は円筒形に加工して円周方向の分割を無くし、つなぎ目を無くしている。また、長さ方向については、ポールと略同長としても良いが、経済的には経済加工限界長にして長さ方向に複数本つなぎ合わせても良い。
【0026】(3)金属製円筒体20、天然石材円筒体31のサイズについては、一例を言えば、金属製円筒体20の場合、耐強度面での必要性から外径139.8(mm)、厚さ5.0(mm)とする。そして、金属製円筒体20と天然石材円筒体31との間の弾性充填材28の充填代を約10(mm)とし、天然石材円筒体31は万一の割れ等の事故を考慮して厚さ25(mm)以上とし、美観的要求である最小外径と経済性の両面から外径210(内径160)(mm)、厚さ25(mm)としている。
【0027】(4)弾性充填材28は、2つの天然石材円筒体31のつなぎ目近くであって下側の天然石材円筒体31の上部と金属製円筒体20との間に充填すれば十分である。そして、天然石材円筒体31と金属製円筒体20の熱膨脹係数の違いにより、それぞれの径に温度変化に起因した変化が生じたとしてもこれは弾性を呈する弾性充填材28により吸収されるので、天然石材円筒体31が破損してしまうようなことは無い。
【0028】なお、金属製円筒体20の外周面と天然石材円筒体31との間に介在させたリング状部材63は、弾性充填材28の栓材としての機能だけでなく、金属製円筒体20に対して天然石材円筒体31を芯合わせする位置決めの機能をも持たせている。この位置決めを確実にするためには、金属製円筒体20の外周面に、周方向及び軸方向に間隔をおいて長手方向に沿うリブを設けるようにしても良い。
【0029】以上、本発明を街路灯用のポールとして適用する場合の形態を説明したが、本発明は街路灯用のポールに限らず、他の照明灯用のポール、例えば庭園灯用のポールや、パーゴラ材、建築用の柱材としても利用することができる。また、円筒状の天然石材円筒体と金属製円筒体に代えて、角筒状のものを使用したり、金属製円筒体に代えて、コンクリート製の柱を使用するようなことも考えられる。
【0030】
【発明の効果】本発明によるポールは、従来の金属製のポールの寿命に比べて、半永久的に取替えが不要である。また、金属製円筒体と天然石材とを組み合わせたことにより、十分な堅牢度、耐候性が得られると共に、質感が不変であり、いつまでも美観が損なわれないという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000183347
【氏名又は名称】住友重機械ハイマテックス株式会社
【出願日】 平成12年5月29日(2000.5.29)
【代理人】 【識別番号】100071272
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 洋介 (外1名)
【公開番号】 特開2001−336310(P2001−336310A)
【公開日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願番号】 特願2000−157695(P2000−157695)