| 【発明の名称】 |
免震装置取付構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】奥本 英史
【氏名】高橋 良典
【氏名】櫻川 典男
【氏名】高畑 顯信
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| 【要約】 |
【課題】手間を掛けずに迅速に免震装置を設置できるようにする。
【解決手段】柱Pの長手方向での一部に、横揺れエネルギーを吸収自在な免震装置3を取り付けてある免震装置取付構造において、柱Pの免震装置取付側端部5・6に嵌合自在な有底筒7を、免震装置取付側端部に嵌合させてボルト固定し、有底筒7の底部7Aに、免震装置3を取り付けてある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 柱の長手方向での一部に、横揺れエネルギーを吸収自在な免震装置を取り付けてある免震装置取付構造であって前記柱の免震装置取付側端部に嵌合自在な有底筒を、前記免震装置取付側端部に嵌合させてボルト固定し、前記有底筒の底部に、前記免震装置を取り付けてある免震装置取付構造。 【請求項2】 前記有底筒のボルト固定部は、前記有底筒の筒部に設けてある請求項1に記載の免震装置取付構造。 【請求項3】 前記筒部は、多角形筒で構成してあり、前記ボルト固定部は、多角形の辺における中間部に配置してある請求項2に記載の免震装置取付構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、柱の長手方向での一部に、横揺れエネルギーを吸収自在な免震装置を取り付けてある免震装置取付構造に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の免震装置取付構造としては、各種存在するが、ここでは、二つを例に挙げて説明する。まず、第一番目の技術であるが、既存建物の免震化工事を例にとって説明すると、図7に示すように、柱Pの中間部を、所定高さにわたって斫(ハツ)って除去し、上柱Puの下端面5、及び、下柱Pdの上端面6それぞれの斫り(ハツリ)面部に、連結強度確保するためにアンカー20を埋設し、続いて、免震装置取付用端面プレート21を、下柱Pdの上端面6から離間する状態に配置し、前記端面プレート21と前記上端面6との間の隙間に、固定用充填材12を充填して、その硬化によって固定されるものである。そして、前記端面プレート21には、予め、裏面側に、連結強度確保用の複数のスタッド22や、免震装置取付用の袋ナット23が設けてあり、それらが前記充填材12と一体化することで、端面プレート21と下柱Pdとが強固に連結される。端面プレートが取り付けられた後、免震装置3を載置して、前記袋ナット23にネジ止めされる。続いて、免震装置3上に別の端面プレート21を取り付けた後、その端面プレート21と前記下端面5との間の隙間に、固定用充填材12を充填して、その硬化によって取付が完了する。即ち、地震時における下柱Pdから上柱Puへの力の伝達は、まず、下柱Pdの前記アンカー20・充填材12・スタッド22・袋ナット23・端面プレート21を介して免震装置3に伝わり、上柱Puの端面プレート21・袋ナット23・スタッド22・充填材12・アンカー20を介して免震装置3から上柱Puに伝わる。また、第二番目の技術であるが、図8に示すように、上述の第一番目の従来技術と同様に、端面プレート21を設けると共に、免震装置3の端面フランジ3d部と、前記端面プレート21とが合わさるように配置し、両者の端縁部どうしを外方から帯状プレート24で包囲することでずれ止め効果を発揮するようにし、前記帯状プレート24を柱Pに取り付けしてあるものである(特開平11−81734号公報参照)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上述した従来の第一番目の免震装置取付構造によれば、端面プレートを柱と一体化するために、両者間にアンカーやスタッド、袋ナット等の配置空間が相当量必要となり、それに伴って、柱の斫(ハツ)り量が多くなる。斫り量が多くなると言うことは、それだけ斫り手間が掛かると共に、斫った廃棄物量も多いから処理に手間が掛かる。更には、斫った後の充填材の量も多く必要となる。即ち、免震装置の設置に手間と時間が掛かると共に、コスト高になり易い問題点がある。また、上述した従来の第二番目の免震装置取付構造によれば、帯状プレートを使用するから免震装置のずれ止め効果が向上するため、第一番目の免震装置取付構造に比べて、アンカーやスタッドを軽減できるものの、端面プレートとは別に帯状プレートを用意して取り付けなければならないから、帯状プレートを前記端面フランジ・端面プレートの大きさに精度良く合わせて加工する必要があると共に、端面フランジ・端面プレート相互の外形仕上げ寸法をも精度良く揃えておく必要があり、余分な加工手間と時間が掛かる問題点がある。 【0004】従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、手間を掛けずに迅速に免震装置を設置できる免震装置取付構造を提供するところにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明の特徴構成は、図4〜6に例示するごとく、柱Pの長手方向での一部に、横揺れエネルギーを吸収自在な免震装置3を取り付けてある免震装置取付構造において、前記柱Pの免震装置取付側端部5・6に嵌合自在な有底筒7を、前記免震装置取付側端部に嵌合させてボルト固定し、前記有底筒7の底部7Aに、前記免震装置3を取り付けてあるところにある。 【0006】請求項1の発明の特徴構成によれば、有底筒の底部が、従来の端面プレートの機能を果たすと共に、有底筒の筒部は、柱とのずれ止め機能を果たすことができ、従来のように、アンカーやスタッドや帯状プレート等の部材を使用しなくても免震装置の安定設置を叶えることが可能となる。そして、従来に比べて部品点数を少なくできるから、全体とした取扱性が向上すると共に、柱の端部に、前記有底筒を嵌合取り付けするだけの簡単な作業で、柱端面処理を完了することができるから、柱端面処理作業を効率よく実施でき、短期間のうちに免震装置の取り付けを行うことが可能となる。また、従来のように、多数のアンカーやスタッド等を使用する必要がないから、それらを配置する空間も必要なくなり、柱の斫り量を、必要最小限度に抑えることができ、より作業効率の向上と、コストダウンを叶えることが可能となる。 【0007】請求項2の発明の特徴構成は、図4〜6に例示するごとく、前記有底筒7のボルト固定部9は、前記有底筒7の筒部7Bに設けてあるところにある。 【0008】請求項2の発明の特徴構成によれば、請求項1の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、柱と免震装置との必要な取付強度から、固定用ボルトの使用ボルト数が求められるが、ボルト数が多く必要な場合であっても、前記筒部の長さを増せば、ボルト固定部も広く確保でき、それら多くの固定用ボルトを適切な間隔を保った状態で配置することが可能となる。更には、免震装置を取り付けた後からでも、増しボルトを設置することも可能となる。即ち、ボルト配置計画上の自由性が向上し、設計し易くすることができる。また、ボルト固定作業は、柱の側方から実施できるから、無理な姿勢をとることなく効率よく実施することが可能となる。 【0009】請求項3の発明の特徴構成は、図4〜6に例示するごとく、前記筒部7Bは、多角形筒で構成してあり、前記ボルト固定部9は、多角形の辺における中間部に配置してあるところにある。 【0010】請求項3の発明の特徴構成によれば、請求項1又は2の発明による作用効果を叶えることができるのに加えて、例えば、柱の構造が鉄骨鉄筋コンクリート造の場合、多角形柱の多角形角部分には、構造鉄筋が集中して配置されているのが一般的であり、本発明の場合、多角形の辺における中間部にボルト固定部を形成してあるから、固定用ボルトが、前記構造鉄筋と干渉するのを防止でき、無理のない断面計画を実施することが可能となる。 【0011】尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。 【0012】 【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。 【0013】図1〜2は、本発明の免震装置取付構造を取り入れてある建物Bを示すものであり、この建物Bは、建物完成後に、建物の使用状態を維持しながら、並行して柱の中間部に免震装置3を設置して免震化を図ってある(所謂、居ながら免震)ものである。前記建物Bは、地下一階、地上八階、塔屋三階からなる鉄骨鉄筋コンクリート構造で構成され、横揺れエネルギーを吸収自在な特定階Sを地上一階層F1に設けてある。これは、上述の通り、建物の使用状態を維持するために、免震化工事を地上一階層F1で集中的に実施し、他階層においては、工事中も通常通り使用できるようにするために設定されている。又、建物Bは、全階層を通じて複数の柱・梁・スラブからなる建物構造部1によって構成してある。 【0014】前記特定階Sを除く他の階層は、通常設計による柱(以後、一般柱という)P1を、図2に示すように、平面図における横列と縦列との交点に配して構成してある。 【0015】前記特定階Sについては、各柱の配置は他の階層と同様であるが、柱の構成を異ならせて地震の横揺れエネルギーを吸収できるように構成してある。具体的には、長手方向の中間部に免震装置3を介在させた免震柱P2で構成してある。 【0016】前記免震装置3は、図3に示すように、金属製薄板3aとゴム製薄板3bとを交互に積層させて一体化し、夫々の薄板3a・3bどうしが横方向に層間変位自在に形成してあることによって、前記免震柱P2の上端部と下端部との横方向相対移動に抵抗しながら追従し、免震効果を発揮できるように構成してあるものである。尚、前記各薄板3a・3bの中央部には、夫々を貫通する状態に鉛製の棒状体3cを設けてあり、前記各薄板3a・3bの層間変位に対するダンパー効果をより増強できるように構成してある。また、上下端部には、免震装置胴部分より一回り大きな金属製端面フランジ部3dを一体的に設けてある。この端面フランジ部3dの縁部には、柱体へのボルト固定のためのボルト挿通孔3eを、複数設けてある。前記免震装置3を介在させてある部分を免震部4という。 【0017】次に、免震装置3の取付構造について詳しく説明する。前記免震柱P2は、図5に示すように、元々、上下に連続した柱Pを、前記免震装置3を設置しようとする部分(前記免震部4)を切断除去し、免震部4より上に残った上柱Puと、免震部4より下に残った下柱Pdとに分断してある。そして、免震装置3の取付側端部となる上柱Puの下端部5、及び、下柱Pdの上端部6に、夫々、嵌合状態に取り付けられた金属製の有底筒7を介して前記免震装置3が設置され、横揺れエネルギーを吸収自在な免震柱が構成されている。 【0018】前記有底筒7は、図4に示すように、上側に配置されるものも、下側に配置されるものも同形状の有底四角筒に形成してあり、底部7Aと、筒部7Bとから構成されている。 【0019】前記底部7Aには、前記免震装置3を取り付けるための複数のボルト穴7aが設けてあると共に、そのボルト穴7aに連通する状態に、裏面側に突出したナット7bが固着してあり、前記免震装置3のボルト挿通穴3eを通した取付ボルト8を、前記ボルト穴7aを通して前記ナット7bに螺合させて締め付けることで、免震装置3を取り付けることができるように構成されている。 【0020】前記筒部7Bは、図4・5に示すように、柱外周面に沿う四角筒に形成してあり、四角形の各辺中間部には、複数のボルト挿通孔(ボルト固定部に相当)9を設けてあり、予め柱Pの側部に埋め込まれたアンカー10への固定ボルト11を挿通できるように構成してある。従って、有底筒7を柱P端部に嵌合させて、前記ボルト挿通孔9を通してアンカー10に固定ボルト11を螺合させることによって、有底筒7は、柱Pに固定される。尚、前記ボルト挿通孔9を形成してある各辺中間部に比べて、それ以外の部分は、柱軸芯方向の寸法を短く設定してあり、鋼材使用量の低減を図ってある。また、有底筒7と柱Pとの嵌合隙間には、無収縮モルタル(又は、合成樹脂)等の充填材12が注入されており、相互の一体性をより向上させてある。一方、前記柱Pとボルト挿通孔9との位置関係を見ると、図4の断面図に示すように、柱断面内には、中央部に十字断面形状の鉄骨13が位置し、四隅部分に鉄筋14が位置しているわけであるが、前記ボルト挿通孔9は、それら鉄骨13や鉄筋14を避けた位置に設定されている。 【0021】次に、免震装置3の設置手順について簡単に説明する。 [1] 柱Pを、切断して前記免震部4に相当する部分を除去すると共に、上柱Pu・下柱Pdの側面部所定位置に、アンカー10設置用の穴を形成しておく(図6(イ)参照)。 [2] 下柱Pdの上端部6に有底筒7を嵌合させ、前記ボルト穴7aを通して前記穴にアンカー10を埋設すると共に、固定ボルト11をアンカー10に螺合して有底筒7を固定する。そして、柱と有底筒7との隙間に充填材12を注入する(図6(ロ)参照)。 [3] 上柱Puの下端部5に有底筒7を嵌合配置した状態で仮止めしておき、両有底筒7・7間に、免震装置3を挿入し、下側の有底筒7に取り付ける。 [4] 免震装置3と上側の有底筒7とを一体取り付けして、前記上側の有底筒7を上柱Puにボルト固定する。そして、柱Pと有底筒7との隙間に充填材12を注入する(図6(ハ)参照)。尚、柱Pの切断にあたっては、上層階の荷重は、当然の事ながら、別の手段で支持した状態で実施するものである。 【0022】当該建物構造によれば、地震が発生した場合、横揺れに追従しやすい前記地上一階層F1が前記免震装置3によってそのエネルギーを吸収することによって、地上二階層F2以上の階層への横揺れを低減することが可能となる。更に、免震装置3の設置作業においては、前記有底筒7を柱の切断端部に嵌合取り付けしてそれらにわたって免震装置3を取り付けるだけの簡単な作業によって実施できるため、非常に効率よく、且つ、スピーディーに免震化工事を進めることが可能となる他、柱の斫り量を最小限に抑えて、斫り手間の軽減や、廃棄物の低減によって、コストダウンを図ることも可能となる。 【0023】〔別実施形態〕以下に他の実施の形態を説明する。 【0024】〈1〉 前記建物は、先の実施形態で説明した鉄骨鉄筋コンクリート構造に限るものではなく、例えば、鉄筋コンクリート造や鉄骨造や鋼管コンクリート造であってもよい。また、柱そのものは、四角形に限るものではなく、他の多角形や、円柱であってもよい。柱の配置についても、先の実施形態で説明した矩形配置に限るものではない。そして、特定階Sにおける柱Pの構成は、先の実施形態で説明したように免震柱P2のみによる構成に限定されるものではなく、例えば、免震柱P2と一般柱P1との併用であってもよい。 〈2〉 免震装置3は、地上一階層F1に設けられるものに限るものではなく、それ以外の階層に設けてあってもよい。 〈3〉 前記有底筒7は、先の実施形態で説明したように、筒部7Aの長さ寸法が、辺中間部が、辺端部に比べて大きく設定してあるものに限らず、例えば、全周にわたって同じ長さに形成してあるものであってもよい。 〈4〉 前記有底筒7は、先の実施形態で説明したように、裏面側にナット7bを設けてあるものに限らず、例えば、底部7Aの肉厚が大きい場合には、ボルト穴7aに、前記取付ボルト8が螺合自在な雌ネジを形成して、ナット7bを省略する構成とすることも可能である。 〈5〉 前記有底筒7は、前記柱Pの外径寸法に合わせて形成するにあたり、柱Pの外周面との間に、若干の隙間を形成してあれば、嵌合操作をよりスムースに実施することができる。但し、この場合は、前記隙間にも前記充填材12を充填しておく必要があり、そうすることによって、柱と有底筒との一体性が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003621 【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
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| 【出願日】 |
平成12年5月30日(2000.5.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−336302(P2001−336302A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月7日(2001.12.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−159619(P2000−159619) |
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