| 【発明の名称】 |
積層構造体 |
| 【発明者】 |
【氏名】中谷 政史
【氏名】後藤 信弘
|
| 【要約】 |
【課題】従来の補強されたコンクリート構造体より補強効果が高く、曲げ強度等の機械物性に優れた積層構造体の提供。
【解決手段】コンクリート系構造体1に、好ましくはジシクロペンタジエンの重合体であるノルボルネン系樹脂と炭素繊維などの強化繊維とからなる補強層2が積層一体化されてなる積層構造体であって、平板状のコンクリート系構造体1の片面に補強層2が積層一体化されている場合、円柱状のコンクリート系構造体1の全側周面に補強層2が積層一体化されている場合、3層の平板状コンクリート系構造体1、1、1が2層の補強層2、2によって一体化されていると共に、上部の平板状コンクリート系構造体1の表面に補強層2が積層一体化されて、積層構造体が構成されている場合、更に、コンクリート系構造体1の内部に補強層2が埋設する如く積層一体化されている場合等がある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンクリート系構造体にノルボルネン系樹脂と強化繊維とからなる補強層が積層一体化されてなる積層構造体。 【請求項2】 ノルボルネン系樹脂がジシクロペンタジエンの重合体であることを特徴とする請求項1記載の積層構造体。 【請求項3】 強化繊維が炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維のうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層構造体。 【請求項4】 コンクリート系構造体にプライマー層を介して補強層が積層一体化されてなることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の積層構造体。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、補強効果に優れたコンクリート系の積層構造体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、橋梁や高速道路の橋脚等のコンクリート構造体を補強する方法として、補強・補修しようとするコンクリート構造体に繊維強化プラスチック(FRP)層を積層する工法が知られている。具体的には、例えば、プラスチックとしてエポキシ系樹脂を用い、補強繊維として炭素繊維やガラス繊維を用いる方法が提案されている(特開平9−228322号公報参照)。しかしながら、一般に、曲げ変形等によって上記の様な積層補強層を有するコンクリート構造体に引張歪みもしくは圧縮歪みが加わった場合、まずコンクリートに亀裂が発生し、その亀裂に接している補強層に大きな応力集中が生じる。この場合、エポキシ系樹脂を補強繊維とともにコンクリート構造体に対して積層一体化させて形成した補強層は、エポキシ系樹脂の脆性が高いために期待される応力より低い応力で破壊を生じ、十分な補強効果を得られないという問題があった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来の補強されたコンクリート構造体の問題点に鑑み、より補強効果が高く、曲げ強度等の機械物性に優れた積層構造体を提供することにある。 【0004】 【課題を解決する為の手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、コンクリート系構造体にノルボルネン系樹脂と強化繊維とからなる補強層が積層一体化されてなる積層構造体を提供する。又、請求項2記載の本発明は、ノルボルネン系樹脂がジシクロペンタジエンの重合体である請求項1記載の積層構造体を提供する。 【0005】又、請求項3記載の本発明は、強化繊維が炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維のうちの少なくとも一種である請求項1又は請求項2記載の積層構造体を提供する。又、請求項4記載の本発明は、コンクリート系構造体にプライマー層を介して補強層が積層一体化されてなる請求項1〜3いずれか1項記載の積層構造体を提供する。 【0006】以下、本発明を更に詳細に発明する。本発明の積層構造体におけるコンクリート系構造体とは、セメント及び骨材等の無機成分を水と水和反応させて硬化させたコンクリート硬化体であって必要により鉄筋等の補強材により補強されたものを意味するが、これに限定されず、タイル、レジンコンクリート、モルタル、セメント等で構成された硬化体であってもよい。補強されるコンクリート系構造体の形状は特に限定されず、平板状、円柱状、角柱状、パイプ状等あらゆる形状のものを用いることが出来、積層構成についても特に限定されない。 【0007】補強層に用いられる強化繊維の種類としては、無機繊維、有機繊維、金属繊維等が挙げられ、その好適な例としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタラート繊維、スチール繊維等が挙げられる。これらの繊維は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。強化繊維の形態としては、フィラメント状長繊維であっても短繊維であってもよく、これらの繊維をクロス状、シート状、マット状、不織布等に加工したものであっても良い。また、これらを組み合わせて用いても良い。 【0008】本発明の積層構造体の例を示す図1(a)においては、平板状のコンクリート系構造体1の片面にノルボルネン系樹脂と強化繊維とからなる補強層2が積層一体化されており、図1(b)においては、円柱状のコンクリート系構造体1の全側周面に補強層2が積層一体化されている。又、図1(c)においては、3層の平板状コンクリート系構造体1、1、1が2層の補強層2、2によって一体化されていると共に、上部の平板状コンクリート構造体1の表面に補強層2が積層一体化されて、積層構造体が構成されており、図1(d)においては、コンクリート系構造体1の内部に補強層2が埋設する如く積層一体化されている。 【0009】補強層中の強化繊維の含有率、形態及び強化繊維層の厚みは特に限定されるものではなく、使用する用途によって機械物性、取り扱い性、施工性がよい範囲で適宜調整すればよい。 【0010】本発明の積層構造体を得る方法は特に限定されず、コンクリート系構造体に補強層を積層する方法としては、(1)コンクリート系構造体表面に強化繊維を設置し、その上からローラー、刷毛、吹き付け等の適宜な塗布含浸手段によりノルボルネン系モノマー類を塗布し強化繊維に含浸させながらコンクリート系構造体に貼り付けた後、ノルボルネン系モノマー類を重合硬化させて積層一体化する方法、(2)コンクリート系構造体表面にノルボルネン系モノマー類を塗布した後、強化繊維を貼り付け、ノルボルネン系モノマー類を重合硬化させて積層一体化する方法、(3)予め短繊維を分散させたノルボルネン系モノマー類をコンクリート系構造体表面に塗布或いは流し広げた後、ノルボルネン系モノマー類を重合硬化させる方法(4)ノルボルネン系樹脂と強化繊維からなる複合体周囲に硬化前のコンクリート組成物を流し込んだ後、コンクリートを硬化させることによって、コンクリート系構造体に補強層が積層一体化されてなる積層構造体を形成する方法等が挙げられるが、無論、これらに限られるものではない。 【0011】本発明の積層構造体の補強層は、上記の如くノルボルネン系モノマー類が重合硬化されて形成されるものであり、以下、ノルボルネン系モノマー重合硬化させる方法、重合させる際の組成物等について説明する。補強層に用いられるノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系モノマーをメタセシス重合することで得られる。ノルボルネン系モノマーとしては、ノルボルネンやノルボルナジエンのような2環体、ジシクロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、及びこれらのアルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例えば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フェニル、トリル置換体)はもちろんのこと、エポキシ基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合含有基等の極性基を有する誘導体が挙げられる。これらは、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して用いても良い。また、上記ノルボルネン系モノマーの1種類以上と共に、メタセシス重合可能なシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオクテン、シクロドデセン、インデンなどのシクロオレフィンなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用しても良い。 【0012】なお、本発明の積層構造体に用いられるノルボルネン系樹脂は、請求項2記載の如く、モノマーの反応性、入手容易性、ポリマーの物性バランス、価格等の観点からジシクロペンタジエンの重合体であることが好ましい。ジシクロペンタジエンの重合体からなる成形体は、特に、耐衝撃性、耐熱性の面で非常に優れた特性を有している。 【0013】上記ノルボルネン系モノマーは公知のメタセシス重合触媒を用いて重合することができる。具体例としてはタングステン、モリブデン、タンタル、ルテニウム、レニウム、オスミウム、チタン等のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩等が挙げられる。 【0014】成形プロセス上、重合を空気中で行う必要がある場合には下記一般式(I)のルテニウムカルベン錯体や下記一般式(II)のルテニウムビニリデン錯体が好ましい。 【0015】 【化1】
【0016】(式中、R1 及びR2 は、互いに独立に、水素、C2 〜C20−アルケニル基、C1 〜C20−アルキル基、アリール基、C1 〜C20−カルボキシレート、C1 〜C20−アルコキシ基、C2 〜C20−アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、C2〜C20−アルコキシカルボニル基、又はC1 〜C20−アルキルチオ基(これらは、C1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5−アルコキシ基によって置換されたフェニル基によって置換されていてもよい)を表し、X1 及びX2 は、互いに独立に、任意のアニオン性配位子を表し、L1及びL2 は、互いに独立に、任意の中性電子供与体を表し、X1 、X2 、L1 及びL2 の内、2個または3個は、一緒に多座キレート化配位子を形成してもよい) 【化2】
(式中、R3 及びR4 は、互いに独立に、水素、C2 〜C20−アルケニル基、C1 〜C20−アルキル基、アリール基、C1 〜C20−カルボキシレート、C1 〜C20−アルコキシ基、C2 〜C20−アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、C2〜C20−アルコキシカルボニル基、C1 〜C20−アルキルチオ基(これらは、C1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されたフェニル基によって置換されていてもよい)、又はフェロセン誘導体を表し、X3 及びX4 は、互いに独立に、任意のアニオン性配位子を表し、L3 及びL4 は、互いに独立に、任意の中性電子供与体を表し、X3 、X4 、L3 及びL4 の内、2個または3個は、一緒に多座キレート化配位子を形成してもよい) 【0017】上記一般式(I)で表されるルテニウム−カルベン錯体の内、好ましい錯体は以下のものである。すなわち、式中、R1 及びR2 が、互いに独立に、水素、C2 〜C5 −アルケニル基、C1 〜C5 −アルキル基、フェニル基、C1 〜C5 −カルボキシレート、C1 〜C5 −アルコキシ基、フェノキシ基、又はC2 〜C5 −アルコキシカルボニル基(これらは、C1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されていてもよく、あるいはC1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されたフェニル基によって置換されていてもよい)であり、また、X1 及びX2 が、互いに独立に、C1 、Br、C1 〜C5 −カルボキシレート、C1 〜C5 −アルコキシ基、フェノキシ基、又はC1 〜C5 −アルキルチオ基(これらは、C1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、 C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されたフェニル基によって置換されていてもよい)の群からのアニオン性配位子であり、さらに、L1 及びL2 が、互いに独立に、アリール基またはC1 〜C10−アルキルホスフィン基(これらは、C1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されていてもよいし、あるいはC1 〜C5 −アルキル基、ハロゲン、C1 〜C5 −アルコキシ基によって置換されたフェニル基によって置換されていてもよい)の群からの中性配位子である、ルテニウム−カルベン錯体が好ましい。上記一般式(II)で表されるルテニウムビニリデン錯体の内、好ましい錯体は以下のものである。すなわち、式中、R3 及びR4 は、互いに独立に、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、フェロセニル基、又はメチル基、エチル基、フェニル基もしくはフェロセニル基によって必要に応じて置換されたビニル基であり、X3 及びX4は、互いに独立に、Cl、Brであり、L3 及びL4 は、互いに独立に、トリメチルホスフィン基、トリエチルホスフィン基、トリフェニルホスフィン基又はトリシクロヘキシルホスフィン基である、ルテニウムビニリデン錯体が好ましい。 【0018】上記一般式(I)のルテニウムカルベン錯体や一般式(II)のルテニウムビニリデン錯体は、ノルボルネン系モノマー中に直接溶解させて使用することが出来るが、溶解性の悪い触媒を用いる場合にはノルボルネン型モノマーに均一分散させる為に予め液状にすることが好ましい。その一例として溶媒に希釈して用いることが好ましく、溶媒の例としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタンなどが挙げられる。活性水素のある溶媒あるいは酸に溶解させるのは錯体の安定性を損なうので好ましくない。 【0019】重合触媒として上記一般式(I)のルテニウムカルベン錯体や一般式(II)のルテニウムビニリデン錯体を用いる場合には、第3級複素環アミンを用いることで、理由は明らかではないが、重合活性を低くし重合を遅延化することが出来る。 【0020】第3級複素環アミンは特に限定されず、飽和化合物であっても不飽和化合物であってもよく、また脂肪族化合物であっても芳香族化合物であっても複素環式化合物であっても良い。また、環を構成する窒素原子の数は限定されず、さらに別種の複素原子と環を共有していても良い。さらに、この様な第3級複素環アミンから誘導される誘導体であっても良い。第3級複素環アミンは取扱温度範囲において固体状、液体状、気体状のいずれであっても良いが、反応性組成物中への均一分散性を考慮すると液体状であることが好ましい。 【0021】なお、固体状の第3級複素環アミンは反応性組成物中に均一分散させるために予め液状にすることが好ましく、つまり一例として溶媒に希釈して用いることが好ましく、溶媒の例としてはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、メタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。この様な第3級複素環アミンの一例を挙げると、ピリジン、γ- シアノピリジン、γ- ピコリン、ピラジン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、1、3、5- トリアジン、イミダゾール、2- アミノチアゾール等が挙げられる。これらの第3級複素環アミンは単独で用いても良いし、2種類以上のものを併用して用いることもできる。 【0022】第3級複素環アミンの混合方法は特に限定されず、ノルボルネン系モノマーと一般式(I)のルテニウムカルベン錯体や一般式(II)のルテニウムビニリデン錯体を混合する際、予め少なくとも一方に第3級複素環アミンを混合しておいても良いし、混合と同時に第3級複素環アミンを混合しても良い。また、混合した後に第3級複素環アミンを混合することもできる。 【0023】一般式(I)のルテニウムカルベン錯体や一般式(II)のルテニウムビニリデン錯体に対する第3級複素環アミンの混合比率は10000〜1/100モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1000〜1/10モルの範囲である。ただし、ノルボルネン系モノマーに対する第3級複素環アミンの混合比率は、1〜1/100000モルの範囲が好ましく、更に好ましくは1/2〜1/50000モルの範囲である。ここで、第3級複素環アミンの混合量が多すぎるとメタセシス反応が十分に進行せず、良好な物性を有する成型物を得られなくなる可能性があり、逆に、第3級複素環アミンの混合量が少なすぎると十分な遅延効果が得られない。 【0024】上記重合触媒の添加量は触媒の活性によって異なるが、全モノマー1モルに対して1/5〜1/5000000モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1/1000〜1/100000モルの範囲である。 【0025】補強層に用いる強化繊維は、予めマトリクスとしてノルボルネン系樹脂やエポキシ樹脂等を含浸させ、所定の形状に成型させた繊維/樹脂複合材として用いることも出来るが、この場合、繊維/樹脂複合材は、マトリクスとしてノルボルネン系樹脂を用いることが機械物性の点で好ましい。強化繊維は、その種類に応じて、マトリクスとなる樹脂と良好な接着性を示す表面処理等を行えば良いものとするが、マトリクスがノルボルネン系樹脂組成物で強化繊維が炭素繊維の場合には、炭素繊維表面は未処理のものが望ましい。繊維/樹脂複合材の繊維の含有率については特に限定されない。 【0026】本発明で用いられるノルボルネン系樹脂には骨材を充填しても良い。骨材としてはシリカ、マイカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等を主成分とする無機質骨材、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリふっ化ビニル等の有機質骨材、ガラスバルーン、シリカバルーン、アルミナバルーン、フェノールバルーン、塩化ビニリデンバルーン等の無機質系あるいは有機質系中空体等であり、これらは、金属メッキや有機あるいは無機物による表面処理やコーティングがなされていても良い。 【0027】また、本発明の積層構造体の補強層を形成する際には、ノルボルネン系モノマーが用いられるが、このモノマーには溶媒が含まれていても良い。溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル、アルコール、水、またはこれらの混合物が挙げられる。また、連鎖移動剤を添加することにより分子量や反応速度を調整することがでる。連鎖移動剤としては炭素―炭素二重結合を有する化合物、具体的には、C1〜C12アルケン、アリルエーテル、アルキルアリルエーテル、スチレン等が挙げられる。 【0028】また、粘度調整剤を用いて粘度を調整することも出来る。粘度調整剤として、オレフィン性不飽和基を有するポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられ、このような粘度調整剤はメタセシス重合時に重合物内に組み込まれ得る。粘度調整剤の含有量は重合性モノマー全量中0. 1〜50重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは0. 1〜20重量%の範囲である。 【0029】また、消泡剤、脱泡剤、分散剤、揺変性付与剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、着色剤、分子量調整剤、高分子改質剤、難燃剤、潤滑剤、離型剤、界面活性剤などの各種添加剤を本発明の補強層を形成するためのノルボルネン系樹脂に配合しても良い。 【0030】また、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂や接着性樹脂をブレンドしても良い。このような樹脂としては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、EPDM、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこれらの水素添加物が一例として挙げられる。 【0031】本発明で用いるノルボルネン系樹脂の使用可能な温度範囲は、−30℃〜160℃、好ましくは−20℃〜100℃である。 【0032】本発明の請求項2記載の積層構造体についてはノルボルネン系樹脂組成物がジシクロペンタジエンを含むこと以外は、請求項1と同じである。ジシクロペンタジエンについては、価格・反応性・物性・入手の容易さの点からノルボルネン系樹脂の中では好ましいと言える。また、ジシクロペンタジエン成型品は、特に、耐衝撃性、耐熱性の面で非常に優れた特性を有している。 【0033】ジシクロペンタジエンモノマーは融点が33.6℃であり常温で固体状であるが、他のノルボルネン系モノマーを添加することによって、常温において液体状で取り扱うことが出来る。ジシクロペンタジエンに添加するノルボルネン系モノマーは、添加によってもジシクロペンタジエン成型品の物性を低下させないものが好ましく、具体的な一例を挙げると、エチリデンノルボルネン、メチルシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン等である。この様なジシクロペンタジエンに添加するノルボルネン系モノマーは単独で用いても良いし、2種類以上を併用して用いても良い。添加量はジシクロペンタジエン100重量部に対して、2重量部〜90重量部が好ましく、さらに好ましくは5重量部〜50重量部である。 【0034】請求項3記載の本発明に係る積層構造体は、強化繊維が炭素繊維、ガラス繊維及びアラミド繊維のうちの少なくとも1種であること以外は請求項1又は2記載の積層構造体と同じである。これらの繊維については、強度、弾性率、耐久性、軽量性等の点でもっとも好ましい補強繊維であるといえる。 【0035】請求項4記載の本発明に係る積層構造体は、コンクリート系構造体にプライマー層を介して補強層が積層一体化されてなること以外は請求項1〜3記載の積層構造体と同じである。コンクリートの表面は水和水や水酸基によって極性の高い構造となっているため、ノルボルネン系樹脂と強化繊維とからなる補強層とコンクリートとを良好に接着させ本発明の効果を良好にするためには、用いるノルボルネン系樹脂は極性基が付いているか、或いは他の極性成分を含有するものが好ましいが、ノルボルネン系樹脂組成物として極性の低いものを用いる場合には、予めコンクリート系構造体表面にプライマー層を設けることにより、コンクリート系構造体と補強層とを強固に一体化するのである。 【0036】使用するプライマーはコンクリート系構造体とノルボルネン系樹脂組成物の両方に接着良好なものならばどのようなものでも良いが、特に好ましくはウレタン系、ポリエステル系、メタクリレート系、エポキシ系のプライマーである。このようなプライマーは必要に応じて多層構造とすることもできる。塗布厚さ等は必要に応じて適宜選択される。 【0037】(作用)本発明は、コンクリート系構造体を補強するに際し、コンクリート系構造体にノルボルネン系樹脂組成物と強化繊維とから成る補強層を積層一体化させた補強効果に優れたコンクリート積層構造体に関するものである。ノルボルネン系樹脂組成物は脆性が低くさらに耐衝撃性良好な材料であることから、補強効果に優れた積層構造体を提供することが出来る。また、高温で加熱処理をしなくても硬化性良好であることから長期間の養生の必要がなく、短時間で積層構造体を提供することが出来る。 【0038】 【実施例】(実施例1) モノマー:ジシクロペンタジエンエチリデンノルボルネンメタセシス反応触媒:ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド・・・式(III) で示される。 【0039】 【化3】
【0040】尚、式中、Cyはシクロヘキシ基を表す。 非極性溶媒:トルエン強化繊維:シート状の一方向炭素繊維(東レ(株)M50J、引張弾性率480GPa、糸目付300g/m2 ) コンクリート系構造体:長さ3200mm、幅300mm、厚さ400mmの鉄筋入コンクリート片をサンプルとして用いた。 【0041】ノルボルネン系モノマーとして、ジシクロペンタジエンモノマーとエチリデンノルボルネンモノマーをモル比で9:1で混合したものを用いた。次に、トルエン200部にビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド10部を溶解させた溶液を、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドのノルボルネン系モノマー混合物に対するモル比が1/10000になるように添加して撹拌を行い、ノルボルネン系モノマーの反応性配合液を調整した。 【0042】次に、図2に示す如く、コンクリート(4)に鉄筋(5)が配された上記コンクリート系構造体(3)の表面にサンディング処理を施し、図4(a)に示す如く、一方向炭素繊維シート(7)を2枚重ねてコンクリート系構造体(3)の全長に渡って長手方向に繊維軸が平行になるように載置した後、上記反応性配合液を炭素繊維シート(7)に塗布しローラーで含浸させながら、炭素繊維シート(7)とからなる補強層(2)を形成すると同時にコンクリート系構造体(3)と積層一体化させた。その後、室温で60分放置して樹脂を硬化させて試験片(6)とした。作業時の環境温度は24℃であった。次に、図3に示すように、上記試験片を、互いに間隔L1が2500mm離れた支点(9),(9)にて支持し、互いの間隔が300mm離れた圧縮治具(10),(10)によって圧縮荷重を加えて四点曲げ試験を行った。試験は図3の如く補強層が引張側になるように試験片を配置して行い、試験片の数は3とした。その結果を表1に示した。 【0043】(実施例2)図4(b)に示すように、予めサンディング処理したコンクリート系構造体(3)の表面に2液型メタクリレート樹脂系プライマー(8)を塗布し、60分放置して硬化させた。尚、このプライマー(8)としては、塩化ビニル樹脂に対する引っ張り剪断接着強度が約8〜10MPa、伸び率が50〜75%のものを用いた。この他は、実施例1と同様にして、補強層(2)を形成すると同時にプライマー層(8)を介してコンクリート系構造体と積層一体化させ、四点曲げ試験を行った。その結果を表1に示した。 【0044】(比較例1)未補強のコンクリート系構造体(3)をそのまま比較試験片として四点曲げ試験を行った。その結果を表1に示す。 (比較例2) エポキシ樹脂主剤:エピコート828(油化シェルエポキシ株式会社製) 硬化剤:トリエチルテトラミン強化繊維:シート状の一方向炭素繊維(東レ(株)M50J、引張弾性率480GPa、糸目付300g/m2 ) コンクリート系構造体:長さ3200mm、幅300mm、厚さ400mmの鉄筋入コンクリート片をサンプルとして用いた。 【0045】エポキシ樹脂主剤と硬化剤を重量比10:1で混合したものを用い、予め表面をサンディング処理したコンクリート系構造体に、一方向炭素繊維シートを2枚重ねてコンクリート系構造体構造体の長手方向に繊維軸が平行になるように設置した後、上記エポキシ樹脂配合液を塗布しローラーで含浸させながらコンクリート部材と一体化させた。その後、室温で60分又は72時間放置して樹脂を硬化させ各々試験片とした。作業時の環境温度は24℃であった。四点曲げ試験の結果を表1に示した。 【0046】以上のように、本発明によれば、ノルボルネン系樹脂組成物と強化繊維とをコンクリート表面に積層一体化させてなる積層構造体は、未補強のものと比較して大幅に曲げ強度が向上した。曲げ強度はプライマーなしでおよそ55%向上し、プライマーを塗布した場合はおよそ80%向上した。一方、エポキシ樹脂によって強化繊維をコンクリート表面に積層一体化させたものは、60分硬化のものは補強効果はほとんどなく、72時間硬化させたものにおいては、曲げ強度は未補強のものよりおよそ45%向上したが、破断伸度が大幅に低下していた。 【0047】 【表1】
【0048】 【発明の効果】本発明の積層構造体は、コンクリート系構造体にノルボルネン系樹脂と強化繊維とからなる補強層が積層一体化されてなるので、補強層としてエポキシ樹脂等を用いた従来の補強コンクリート系構造体に比較して、より補強効果が高く、曲げ強度等の機械物性に優れている。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002174 【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年2月14日(2000.2.14) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2001−227174(P2001−227174A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月24日(2001.8.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−35256(P2000−35256) |
|