| 【発明の名称】 |
鉄筋コンクリート造モルタル仕上げ構造物の補強・補修方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】細井 義友
【氏名】西村 清一
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鉄筋コンクリート造の表面にモルタル層を有している既存構造物の補強・補修方法として、次の工程を備えたことを特徴とする鉄筋コンクリート造モルタル仕上げ構造物の補強・補修方法。 (1)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置の既存塗膜を帯状に除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。また、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面以外の既存外装面もm2当たり4個所、直径が20cm程度に既存塗膜を除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。 (2)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置に、所要の間隔で施工点のマーキングを行う。 (3)該マーキングをした既存モルタル層を、必要に応じた直径のコアドリルでコンクリート躯体に到達するまで切り込みを入れ、モルタルを撤去する。 (4)モルタル撤去跡の中心にピンニング孔を穿設すると共に、m2当たり4個所塗膜を剥した個所に一文字溝とピンニング孔を穿設する。 (5)次に、予め準備してあるピン状連結材を前記ピンニング孔内にそれぞれピンニング用接着剤を介して挿入、固定する。そして、モルタル撤去跡には充填用レジンモルタルを充填埋め戻しする。 (6)前記帯状に露出させたモルタルフレッシュ面(ピン状連結材挿入埋め戻し面も含む)に接着剤を塗布し、高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る。 (7)高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面と既存外装面(m2当たり4個所ピンニングした壁面も含む)の表面に連続してポリマーセメントモルタルを塗布する。 (8)その表面に網材を当接し、金鏝等で押圧しながら該網材をポリマーセメントモルタルに埋設させることによって新表面層を形成し、既存鉄筋コンクリート構造物の補強と既存モルタル層の剥落を防止する。 【請求項2】 鉄筋コンクリート造の表面にモルタル層を有している既存鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法として、次の工程を備えたことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法。 (1)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置の既存塗膜を帯状に除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。また、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面以外の既存外装面もm2当たり4個所、直径が20cm程度に既存塗膜を除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。 (2)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置に、所要の間隔で施工点のマーキングを行う。 (3)該マーキングをした部分に、ピンニング孔と一文字溝を穿設すると共に、それ以外のモルタルフレッシュ面(m2当たり4個所)の中心にもピンニング孔と一文字溝を穿設する。 (4)次に、予め準備してあるピン状連結材を前記ピンニング孔内にピンニング用接着剤を介してそれぞれ挿入、固定する。 (5)前記帯状に露出させたモルタルフレッシュ面(ピン状連結材挿入部も含む)に接着剤を塗布し、高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る。 (6)高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面と既存外装面(m2当たり4個所ピンニングした壁面も含む)の表面に連続してポリマーセメントモルタルを塗布する。 (7)その表面に網材を当接し、金鏝等で押圧しながら該網材をポリマーセメントモルタルに埋設させることによって新表面層を形成し、鉄筋コンクリート構造物の補強と既存モルタル層の剥落を防止する。 【請求項3】 充填用モルタルとして、コンクリート強度以上の諸物性(付着強度、せん断強度、引張り強度、圧縮強度等)を有する高強度レジンモルタルとすることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法。 【請求項4】 接着剤として、高強度繊維強化プラスチック成形板に生じる応力をモルタル層に十分に伝達する諸物性(付着強度、せん断強度、引張り強度、圧縮強度等)を有するパテ状接着剤とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法。 【請求項5】 網材として、長繊維からなるもので、既存モルタルを補強するのに十分なヤング係数を有するガラス繊維等のネットとしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか1項に記載の鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法。 【請求項6】 鉄筋コンクリート造の表面にモルタル層を有している既存鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法として、次の工程を備えたことを特徴とする鉄筋コンクリート造モルタル仕上げ構造物の補強・補修方法。 (1)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置の既存塗膜を帯状に除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。また、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面以外の既存外装面もm2当たり4個所、直径が20cm程度に既存塗膜を部分除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。 (2)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置に、所要の間隔で施工点のマーキングを行う。 (3)該マーキングをした部分に、ピンニング孔と矩形溝を穿設すると共に、それ以外のモルタルフレッシュ面(m2当たり4個所)の中心にもピンニング孔と一文字溝を穿設する。 (4)次に、予め準備してあるアンカー付き金属板を前記ピンニング孔内にピンニング用接着剤を介してそれぞれ挿入、固定する。 (5)前記帯状に露出させたモルタルフレッシュ面とアンカー付き金属板に接着剤を塗布し、高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る。 (6)高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面と既存外装面(m2当たり4個所ピンニングした壁面も含む)の表面に連続してポリマーセメントモルタルを塗布する。 (7)その表面に網材を当接し、金鏝等で押圧しながら該網材をポリマーセメントモルタルに埋設させることによって新表面層を形成させる。 【請求項7】 高強度繊維強化プラスチック成形板として、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチール繊維等を一方向に引き揃えて板状に成形したことを特徴とする請求項1〜請求項6のうち何れか1項に記載の鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法。 【請求項8】 アンカー付き金属板として、鉄、ステンレス鋼等の金属材料で、単数または複数のアンカー部分と頭部平板とが一体化しているものと、別体にしたもの、出隅、入隅用として頭部平板がL字状のものを採用した請求項6記載の鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、モルタル層を有する既存鉄筋コンクリート造の補強・補修方法に関し、特に既存モルタル層の上より鉄筋コンクリート造の構造補強を行い、且つ、表面に塗布されているモルタル層の剥落防止、ひび割れ挙動の抑制及び劣化進行を防止することができると共に、仕上げに必要な下地調整層ができる鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】既存鉄筋コンクリート構造物の構造補強を行う場合の多くは、直接コンクリート面に鉄板を張り付けるか、炭素繊維製シートを貼り付ける方法があった。 【0003】しかし、鉄筋コンクリート造の大部分はモルタルが施工されており、そのモルタルの撤去にはブレーカー等を用いて行うが、多大な労力、工期、作業時の騒音、躯体の損傷、産業廃棄物としての搬出、経費の出費等が起こるという問題があった。 【0004】また、鉄板貼り付け、炭素繊維製シート貼り付け等による構造補強面の仕上げは、ラスモルタル工法、吊子併用モルタル工法等が行われるが、何れの工法も塗り厚さが嵩高く、ひび割れ、剥落等の発生する問題があった。 【0005】著しく劣化した建家での既存モルタル層の剥離率は30%程度であり、通常の経年劣化程度の建家では全面積の15〜20%程度の剥離率である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】コンクリート構造物を長期間使用しているとコンクリートの劣化現象が種々生じるが、その中でもひび割れによるトラブルが多く、漏水から招く鉄筋の発錆によるコンクリートの剥落等による強度低下が指摘されている。また、設計当時の基準には適合していても、その後の耐震設計基準の改訂、その他当初の荷重以上の負荷が掛かる使用方法に変化したこと等により補強の必要性が生じてくる。 【0007】このような状況での、所謂、既存不適格建造物の対応策として構造補強が必要であるとされている。 【0008】また、表面に塗布されている既存モルタル層の剥落防止対策も必然的に生じ、それには施工に先立って既存モルタルの浮き範囲のチェックが必要であり、該チェックを行うことが予算建てに先駆けて必要となるため、補修計画に支障を来す問題がある。 【0009】また、従来の工法で補修が完全にできたからといって、浮くに至った原因まで消滅してしまう訳ではない為、経年により、再び浮く現象の発生は必至であり、真の剥落防止の施工とは言い難いという問題がある。しかも、補修に際しての仕上げに必要な下地調整工事は別途作業となるという課題がある。 【0010】本発明は、これらの事情に鑑み、下記構成とすることによって、上述した問題を解決することを目的とする。すなわち、【0011】構造補強には種々の方法が考えられるが、高強度繊維強化プラスチック成形板とエポキシ樹脂を使用する構造補強工法は補強効果(耐震補強、耐荷力向上、ひび割れ防止等)、施工性、耐食性、経済性等に優れた性能を有するものであると共に、他の構造補強工法と組み合わせることのできる工法である。 【0012】高強度繊維強化プラスチック成形板を貼り付けた面を含め全面にSBR系ポリマーセメントモルタルを塗り付け、その層にガラス繊維製ネットを伏せ込む複合工法は、施工性、平坦性、耐久性、ひび割れ再発防止等に優れた性能を有する工法で、塗装仕上げ、漆喰仕上げ、タイル仕上げ等の各種の仕上げに適した下地調整ができる工法である。 【0013】構造補強に用いる高強度繊維強化プラスチック成形板と、その表面に施工するガラス繊維製ネットとは、弾性係数及び線膨張係数が比較的近似していることによって複合層として同一挙動を示すので、補強・補修工法として優れた各種性能を発揮することが可能となる。特に、耐震補強、耐荷力向上、ひび割れ防止、モルタル落下防止性能に優れている。 【0014】尚、補修に伴う塗り重ねから生じる透湿抵抗の加算も、既存塗膜の部分除去により緩和され、残存塗膜からの膨れ防止に寄与する。また、既存塗膜の部分除去位置(m2当たり4個所)にアンカーピン(二股状T型ピン)で計画的にモルタル層を躯体に結束させるのでピンニング数が可及的に少なくなると共に補修に伴う浮き面の調査が省けるという利点がある。 【0015】既存モルタルにポリマーセメントモルタルを塗り付け、芯材として既存モルタルを補強するのに十分なヤング係数を有する網材を埋設させ、既存モルタルに板状性を蘇らせることで、自然環境下における温度差による既存モルタル層のムービング及び強風時に生じる負圧等によるモルタルの孕み現象を抑制し、既存モルタルの剥落を防止できると共に、仕上げ塗材の要求する下地作りに寄与する。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するために、次の技術手段を採用した。つまり、請求項1記載の発明においては、鉄筋コンクリート造の表面にモルタル層を有している既存構造物の補強・補修方法として、次の工程を備えたことを特徴とする鉄筋コンクリート造モルタル仕上げ構造物の補強・補修方法である。 (1)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置の既存塗膜を帯状に除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。また、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面以外の既存外装面もm2当たり4個所、直径が20cm程度に既存塗膜を除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。 (2)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置に、所要の間隔で施工点のマーキングを行う。 (3)該マーキングをした既存モルタル層を、必要に応じた直径のコアドリルでコンクリート躯体に到達するまで切り込みを入れ、モルタルを撤去する。 (4)モルタル撤去跡の中心にピンニング孔を穿設すると共に、m2当たり4個所塗膜を剥した個所に一文字溝とピンニング孔を穿設する。 (5)次に、予め準備してあるピン状連結材を前記ピンニング孔内にそれぞれピンニング用接着剤を介して挿入、固定する。そして、モルタル撤去跡には充填用レジンモルタルを充填埋め戻しする。 (6)前記帯状に露出させたモルタルフレッシュ面(ピン状連結材挿入埋め戻し面も含む)に接着剤を塗布し、高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る。 (7)高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面と既存外装面(m2当たり4個所ピンニングした壁面も含む)の表面に連続してポリマーセメントモルタルを塗布する。 (8)その表面に網材を当接し、金鏝等で押圧しながら該網材をポリマーセメントモルタルに埋設させることによって新表面層を形成し、既存鉄筋コンクリート構造物の補強と既存モルタル層の剥落を防止するという技術手段を採用した。 【0017】請求項2記載の発明においては、鉄筋コンクリート造の表面にモルタル層を有している既存鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法として、次の工程を備えたことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法である。 (1)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置の既存塗膜を帯状に除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。また、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面以外の既存外装面もm2当たり4個所、直径が20cm程度に既存塗膜を除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。 (2)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置に、所要の間隔で施工点のマーキングを行う。 (3)該マーキングをした部分に、ピンニング孔と一文字溝を穿設すると共に、それ以外のモルタルフレッシュ面(m2当たり4個所)の中心にもピンニング孔と一文字溝を穿設する。 (4)次に、予め準備してあるピン状連結材を前記ピンニング孔内にピンニング用接着剤を介してそれぞれ挿入、固定する。 (5)前記帯状に露出させたモルタルフレッシュ面(ピン状連結材挿入部も含む)に接着剤を塗布し、高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る。 (6)高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面と既存外装面(m2当たり4個所ピンニングした壁面も含む)の表面に連続してポリマーセメントモルタルを塗布する。 (7)その表面に網材を当接し、金鏝等で押圧しながら該網材をポリマーセメントモルタルに埋設させることによって新表面層を形成し、鉄筋コンクリート構造物の補強と既存モルタル層の剥落を防止するという技術手段を採用した。 【0018】請求項3記載の発明においては、請求項1に記載の充填用モルタルとして、コンクリート強度以上の諸物性(付着強度、せん断強度、引張り強度、圧縮強度等)を有する高強度レジンモルタルとするという技術手段を採用した。 【0019】請求項4記載の発明においては、請求項1または請求項2に記載の接着剤として、高強度繊維強化プラスチック成形板に生じる応力をモルタル層に十分に伝達する諸物性(付着強度、せん断強度、引張り強度、圧縮強度等)を有するパテ状接着剤とするという技術手段を採用した。 【0020】請求項5記載の発明においては、請求項1〜請求項4のうち何れか1項に記載の網材として、長繊維からなるもので、既存モルタルを補強するのに十分なヤング係数を有するガラス繊維等のネットとするという技術手段を採用した。 【0021】請求項6記載の発明においては、鉄筋コンクリート造の表面にモルタル層を有している既存鉄筋コンクリート構造物の補強・補修方法として、次の工程を備えたことを特徴とする鉄筋コンクリート造モルタル仕上げ構造物の補強・補修方法である。 (1)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置の既存塗膜を帯状に除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。また、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面以外の既存外装面もm2当たり4個所、直径が20cm程度に既存塗膜を部分除去し、モルタル層のフレッシュ面を露出させる。 (2)高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る位置に、所要の間隔で施工点のマーキングを行う。 (3)該マーキングをした部分に、ピンニング孔と矩形溝を穿設すると共に、それ以外のモルタルフレッシュ面(m2当たり4個所)の中心にもピンニング孔と一文字溝を穿設する。 (4)次に、予め準備してあるアンカー付き金属板を前記ピンニング孔内にピンニング用接着剤を介してそれぞれ挿入、固定する。 (5)前記帯状に露出させたモルタルフレッシュ面とアンカー付き金属板に接着剤を塗布し、高強度繊維強化プラスチック成形板を貼る。 (6)高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け面と既存外装面(m2当たり4個所ピンニングした壁面も含む)の表面に連続してポリマーセメントモルタルを塗布する。 (7)その表面に網材を当接し、金鏝等で押圧しながら該網材をポリマーセメントモルタルに埋設させることによって新表面層を形成させるという技術手段を採用した。 【0022】請求項7記載の発明においては、請求項1〜請求項6のうち何れか1項に記載の高強度繊維強化プラスチック成形板として、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、スチール繊維等を一方向に引き揃えて板状に成形するという技術手段を採用した。 【0023】請求項8記載の発明においては、請求項6記載のアンカー付き金属板として、鉄、ステンレス鋼等の金属材料で、単数または複数のアンカー部分と頭部平板が一体化しているものと、別体にするもの、出隅、入隅用として頭部平板がL字状のものとするという技術手段を採用した。 【0024】 【発明の実施の形態】以上説明したように、本発明は既存鉄筋コンクリート構造物の耐震補強、耐荷力向上、ひび割れ防止等を目的とした他、コンクリート表面に塗布されているモルタル層の剥落を防止する工法で、既存モルタル層の表面からピン状連結材、またはアンカー付き金属板を所定数ピンニングし、その上よりエポキシ系接着剤を用いて高強度繊維強化プラスチック成形板(厚さ1〜2mm)を所要の間隔で帯状に貼り付けて構造補強する工法と、既存モルタルの剥落防止対策についてはm2当たり4個所、ピンニング処理した後、全面に亘ってSBR系ポリマーセメントモルタルを塗布し(塗り厚さ3mm程度)、その層にガラス繊維製ネットを伏せ込むことにより板状性が生じ、モルタル層の剥落を防止するという複合構工法である。 【0025】 【実施例】以下に添付の図面を参照して、本発明の実施例について詳述する。 【0026】本発明の第1実施例について説明する。先ず、図1に示すようにコンクリート躯体1のモルタル層2の表面に高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け個所4の既存塗膜3を帯状に(幅6〜8cm)剥してモルタルフレッシュ面6−1を露出させると共に、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け以外の個所5の既存塗膜3もm2当たり4個所(縦、横50cm間隔、直径20cm程度)除去しモルタルフレッシュ面6−2を露出させた後に、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け個所4に所要の間隔で施工点のマーキング7を行い、また、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け以外の個所5にもモルタルフレッシュ面(m2当たり4個所)6−2にも施工点のマーキング7を行う。 【0027】図2に示すように、高強度繊維強化プラスチック成形板15を貼り付けるモルタルフレッシュ面6−1のマーキング7位置で、直径が5cm程度のコアドリルでコンクリート躯体1に到達する迄切り込みを入れ、モルタル層2を撤去しコンクリート面8を露出させる。 【0028】図3に示すように、コンクリート露出面8のモルタル撤去跡の中心に、コンクリート躯体1に30mm以上挿入するようにピンニング孔9を穿設する。 【0029】図4に示すように、ピンニング孔9にピンニング用接着剤10を注入し予め準備してあるピン状連結材11を挿入固定する。 【0030】図5に示すように、モルタル撤去跡のピン状連結材11の周囲を締め固める要領で充填用レジンモルタル12で埋め戻しする。 【0031】図6に示すように、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け以外の個所5のモルタルフレッシュ面6−2(m2当たり4個所)に一文字溝(縦3〜5mm、横60〜80mm、深さ4〜6mm)13とピンニング孔9を穿設する。 【0032】図7に示すように、上記の一文字溝13とピンニング孔9に、ピンニング用接着剤10を注入し、ピン状連結材11を固定する。 【0033】図8に示すように、接着剤14を介して高強度繊維強化プラスチック成形板(厚さ1〜2mm)15を貼り付け補強する。 【0034】図9に示すように、高強度繊維強化プラスチック成形板15を貼り付けた個所、並びにピン状連結材11を直接挿入した個所も含め全面に連続してSBR系ポリマーセメントモルタル16を塗布し(厚さ3mm程度)、その表面に網材17を当接し、金鏝等で押圧しながら該網材17をポリマーセメントモルタル塗り付け層に埋設させることにより既存モルタルの落下、変形を抑制する。 【0035】次に、本発明の第2実施例について説明する。図10に示すように、所要の間隔で高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け個所4の既存塗膜3を帯状に(幅6〜8cm)剥してモルタルフレッシュ面6−1を露出させると共に、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け以外の個所5の既存塗膜もm2当たり4個所(縦、横50cm間隔、直径20cm程度)除去しモルタルフレッシュ面6−2を露出させる。 【0036】図11に示すように、帯状のモルタルフレッシュ面6−1とm2当たり4個所のモルタルフレッシュ面6−2に所要間隔でUカット用サンダー等を使用して一文字溝(縦3〜5mm、横60〜80mm、深さ4〜6mm)13を刻設し、この中心に深さ30mm以上コンクリート躯体1内部に到達するようにピンニング孔9を穿設する。この一文字溝13はピン状連結材11の偏平な膨出部が埋まるように形成する。続いて前記一文字溝13とピンニング孔9の内部をエアーブロー等で清掃しクリーンな状態とする。 【0037】図12に示すように、前記ピンニング孔9にピンニング用接着剤10を注入し予め準備してあるピン状連結材11をそれぞれ挿入固定する。さらに、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け個所4には、接着剤14を介して高強度繊維強化プラスチック成形板15を貼り付け、構造補強する。 【0038】図13に示すように、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け個所4と、高強度繊維強化プラスチック成形板貼り付け以外の個所5の全壁面を対象に、連続してSBR系ポリマーセメントモルタル16を厚さ3mm程度に塗り付け、その表面に網材17を当接し、金鏝等で押圧して該網材17をポリマーセメントモルタル塗り付け層に埋設することにより旧モルタル層が集成板的に剛性が発揮されモルタルの変形、落下を防止する。 【0039】また、前記ピン状連結材11に換えて、図14に良く示されているように、1枚の平板状の金属鋼材等を折り曲げて、フレキシビリティを持たせた略T字形連結材22を形成し、先端部20は、広がる方向に付勢されるようにし、他端は略ループ状に折曲げて、さらに偏平にし膨出部21を形成する。 【0040】上記略T字形連結材22の折り曲げられて形成された偏平条の膨出部21を、例えばコンクリート躯体4に形成した一文字溝13、あるいはタイル貼の壁面のメジ部に添わせて直線状の溝を形成した所に挿入して、モルタルを充填して略T字形連結材22をコンクリート躯体4に固定したり、貼り付けタイルの剥落防止を行うもの等が実施例として考えられる。 【0041】略T字形連結材22は、先端部20を縮めた状態にして、一本の棒形状にして、コンクリート躯体4に穿設したピンニング孔9に挿入する。この略T字形連結材22は挿入された後、先端部20が弾性力によって広がろうとする作用が発生して物理的に強力にコンクリート躯体4と堅固に連結するものである。 【0042】次に、本発明の第3実施例について説明する。図15に示すように、所要の間隔で高強度繊維強化プラスチック成形板貼付け個所4の既存塗材3を帯状に(幅6〜8cm)剥してモルタルフレッシュ面6−1を露出させると共に、高強度繊維強化プラスチック成形板貼付け以外の個所5の既存塗材もm2当たり4個所(縦、横50cm間隔、直径20cm程度)除去しモルタルフレッシュ面6−2を露出させる。 【0043】図16に示すように、帯状のモルタルフレッシュ面6−1には所要間隔で矩形溝18と、m2当たり4個所のモルタルフレッシュ面6−2には所要間隔でUカット用サンダー等を使用して一文字溝(縦3〜5mm×横60〜80mm×深さ4〜6mm)13を刻設し、それぞれの中心に深さ30mm以上コンクリート躯体1内部に到達するようにピンニング孔9を穿設する。この一文字溝13はピン状連結材11の偏平な膨出部が埋まるように形成する。 【0044】続いて前記一文字溝13とピンニング孔9の内部をエアーブロー等で清掃し、クリーンな状態とする。 【0045】図17に示すように、前記ピンニング孔9にピンニング用接着剤10を注入し予め準備してあるピン状連結材11及び、アンカー付き金属板19をそれぞれ挿入固定する。 【0046】図18に示すように、高強度繊維強化プラスチック成形板貼付け個所4には、接着剤14を介して高強度繊維強化プラスチック成形板15を貼付け、構造補強する。 【0047】図18に示すように、高強度繊維強化プラスチック成形板貼付け個所4と、高強度繊維強化プラスチック成形板貼付け以外の個所5の全壁面を対象に、連続してSBR系ポリマーセメントモルタル16を厚さ3mm程度に塗り付け、その表面に網材17を当接し、金鏝等で押圧して該網材17をポリマーセメントモルタル塗り付け層に埋設することにより旧モルタル層が集成板的に剛性が発揮されモルタルの変形、落下を防止する。 【発明の効果】鉄筋コンクリート構造物の構造補強を行う場合の多くはコンクリート躯体に直接処理する方法であったが、当該発明の工法は鉄筋コンクリート構造にモルタルを有している構造物を対象にした構造補強とモルタルの剥落防止を目的にした複合構工法である。 (1)既存モルタルの上から作業ができる手段のため省力化と産業廃棄物の発生が少ない。 (2)高強度繊維強化プラスチック成形板とガラス繊維とは、弾性係数、線膨張係数が近似しているので相性が良く、補強効果が向上する。 (3)また、ガラス繊維製ネットの架橋効果により高強度繊維強化プラスチック成形板への接着力アップが期待でき、最終仕上げに要求される平坦な下地調整ができる。 (4)既存塗膜の処理は部分的に行うので除去作業が軽減し、透湿性は確保される。 (5)既存モルタル層の浮きの有無に関係なく計画的にピンニングを行うので既存モルタル層の浮き調査が省け、施工計画が立て易い。 (6)アンカー付き金属板を介することにより、より一層鉄筋コンクリート構造物の補強強度を増すことができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】395002308 【氏名又は名称】タケモル工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年12月28日(1999.12.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092107 【弁理士】 【氏名又は名称】下田 達也
|
| 【公開番号】 |
特開2001−200641(P2001−200641A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−374956 |
|