| 【発明の名称】 |
コンクリート鉛直打継目用の型枠資材 |
| 【発明者】 |
【氏名】大樋 邦夫
【氏名】徳岡 昭夫
【氏名】野田 行衛
【氏名】北野 勇一
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| 【要約】 |
【課題】型枠資材の軽量化を図りながら機械的噛み合わせ機構が確実に形成し得るコンクリート鉛直打継目用の型枠資材を提供することを目的としている。
【解決手段】旧コンクリート6打設用の打継型枠7の堰板8の内面にはシート材1を貼設する。シート材1はコンクリート側圧に対して凸形状を維持することが可能で、かつ脱型時には破断可能な材質よりなる。旧コンクリート6には円錐状の凹部と溝が形成され新旧コンクリートの噛み合わせ面積を拡大するので付着力を増大し、止水効果も上がる。新コンクリートを打設する際に凹部に気泡が入り込んでも円錐の傾角に沿って移動し、しかも溝が連結しているため打継面には気泡が残留しにくい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンボス加工により独立した凸状突起を多数形成する合成樹脂製のシート材であって、作用するコンクリート側圧に対して凸形状を維持することが可能な材質からなる硬化した旧コンクリートの鉛直打継目に凹部を形成するために使用するコンクリート鉛直打継目用の型枠資材。 【請求項2】 前記凸状突起は、円錐台形状の凸状突起であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート鉛直打継目用の型枠資材。 【請求項3】 前記円錐台形状の凸状突起は、シート材剥離時にコンクリート面よりシート面が分離し得る傾斜角で形成することを特徴とする請求項2記載のコンクリート鉛直打継目用の型枠資材。 【請求項4】 前記シート材は、穿孔時の衝撃荷重に耐え得る耐衝撃性を保有すると共に脱型時には破断可能な引き裂き強度を備える材質であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載のコンクリート鉛直打継目用の型枠資材。 【請求項5】 前記シート材は、旧コンクリート側の平面部に、隣接する前記独立した凸状突起の内面同士を連結する溝を形成することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のコンクリート鉛直打継目用の型枠資材。 【請求項6】 前記シート材は、端型枠の堰板に貼設するための平坦部を適当な間隔で有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載のコンクリート鉛直打継目用の型枠資材。 【請求項7】 前記シート材は、補強材により支持され端型枠として用いる堰板であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5記載のコンクリート鉛直打継目用の型枠資材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、コンクリート構造物の鉛直打継目を構築する際に使用する型枠資材に関する。 【0002】 【従来の技術】施工上生ずる新旧コンクリートの打継目は、構造物の強度、耐久性、水密性及び外観上の弱点となる恐れがある。このため、コンクリート示方書では、新旧コンクリートの鉛直打継目は硬化した旧コンクリートの表面をワイヤーブラシ又はチッピング等ではつり、コンクリート面を粗面にして水洗いを行い、十分に吸水させた後に新コンクリートを打設して新旧コンクリートを密着させるようにしていた。ところが、この方法は手作業によるため、多くの労力と工期を要していた。 【0003】又、別法として、旧コンクリートの打継型枠の内面に凝結遅延剤を塗布してコンクリートを打設し、脱型後の打継面に高圧水を噴射して旧コンクリート中のセメント粒子の未水和部分を洗い流すことにより旧コンクリート面の骨材を露出させ、それに新コンクリート面を打継ぐ方法があった。しかし、従来の凝結遅延剤を用いる鉛直打継目の処理方法では、洗い流した水にモルタル等が含まれるため、そのまま排水することができず、洗浄水の後処理を考慮しなければならなかった。 【0004】又旧コンクリートの鉛直打継面に複数の凹部を形成した後、これに新コンクリートを打設して双方が機械的に噛み合うように企図する鉛直打継目の処理方法もあった。このような処理方法には、ドーム状又は円筒状の突起体の内部に空気を封入した梱包用ポリエチレン製気泡緩衝材を代用し、このシート材を型枠内面に貼設する方法などがあった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の空気を封入した梱包用ポリエチレン製気泡緩衝材を型枠資材として用いる方法では、打ち込みコンクリートの圧力により、封入した空気がつぶれることがあったので、旧コンクリート面に企図した形状の凹み形状が形成され得ず、打継目の性能として不十分な場合があった。さらに梱包用ポリエチレン製気泡緩衝材の凸状突起形状が円筒形のため、旧コンクリート表面に形成される凹み内にエアーの残留が生じやすい欠点があった。又梱包用ポリエチレン製気泡緩衝材は市販品を代用しているため、凸状突起形状も制約を受けていた。 【0006】この発明は上記課題を解決し、旧コンクリートの鉛直打継面に複数の凹部を形成して、機械的噛み合わせ機構が確実に形成し得るコンクリート鉛直打継目用の型枠資材を提供することを目的としている。又旧コンクリート凹部内のエア残留をできるだけ排除し得るコンクリート鉛直打継目用の型枠資材を提供することを目的としている。又型枠加工が容易で、脱型作業も容易なコンクリート鉛直打継目用の型枠資材を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、この発明の硬化した旧コンクリートの鉛直打継目に凹部を形成するために使用するコンクリート鉛直打継目用の型枠資材は、エンボス加工により独立した凸状突起を多数形成する合成樹脂製のシート材であって、作用するコンクリート側圧に対して凸形状を維持することが可能な材質からなることを特徴とするものである。この型枠資材は施工時の変形や打込みコンクリート圧力による潰れに抵抗できる剛性を有し、旧コンクリート側に規則正しい凹部形成を可能とし、コンクリート打継目の物性の向上を図る。又合成樹脂製シートをエンボス加工するため、経済的で、軽量で作業性がよい。 【0008】請求項2記載の型枠資材の凸状突起は、円錐台形状の凸状突起であることを特徴とするものである。旧コンクリート表面に形成される凹状穴が円錐状となるため新コンクリート打設時の気泡が逃げやすく、気泡溜まりができにくいため、コンクリート打継目の物性が向上する。 【0009】請求項3記載の型枠資材の凸状突起は、旧コンクリート打設時にシート材の外面に滲出して固結貼着したコンクリート片が存在してもコンクリート面よりシート材を剥離し得る傾斜角を有する円錐台形状であることを特徴とするものである。打継目に突設する鉄筋とシートの間隙からコンクリートノロが廻り込み、鉄筋周辺のシート裏面の凹部を充填するためシート材が剥離しにくくなるが、円錐台の傾角を緩勾配にして旧コンクリートからの剥離を容易にする。傾角としては70〜50度程度が望ましい。 【0010】請求項4記載の型枠資材のシート材は、穿孔時の衝撃荷重に耐え得る耐衝撃性を保有すると共に脱型時には破断可能な引き裂き強度を備える材質であることを特徴とするものである。シート材の材質は、打継目に突設する鉄筋を貫通させるため穿孔時の衝撃荷重に耐え得る耐衝撃性を必要とする。又脱型時には鉄筋が貫通しているため、鉄筋の部分でシート材を破断することによってコンクリートから剥離することになるので、手で容易に引き裂ける適度な引き裂き強度を備えることが必要である。具体的には、炭酸カルシウムやタルク等のフィラーを混入するポリプロピレン(PP)が望ましい。 【0011】請求項5記載の型枠資材のシート材は、旧コンクリート側の平面部に、隣接する独立した凸状突起の内面同士を連結する溝を形成することを特徴とするものである。旧コンクリート平面部に形成する溝は平滑面をなくし新旧コンクリートの噛み合わせ面積を拡大するので付着力を増大し、止水効果にも期待できる。同時に新コンクリート打設時に凹部に入った気泡を逃がしやすくする。 【0012】請求項6記載の型枠資材の前記シート材は、端型枠の堰板に貼設するための平坦部を適当な間隔で有することを特徴とするものである。平坦部を設けることで型枠に対するシートの貼付を効率よく行う。側圧全体は堰板が負担する構成であるが、少なくとも堰板から隔離して旧コンクリートの側圧を受ける部分が変形しないように部材厚さを設定する。 【0013】請求項7記載の型枠資材のシート材は、補強材により支持され端型枠として用いる堰板であることを特徴とするものである。側圧全体をシート材が負担する構成であるため、突起部の変形のみならずシート材自身が旧コンクリートの側圧で変形しないように部材厚さ及び補強材の配置を設定する。 【0014】 【発明の実施の形態】次にこの発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1はこの発明の型枠資材のシート材の一部拡大平面図、図2は図1のII−II断面を示す断面図である。このシート材1は、その裏面側1aより表面側1bに向かってエンボス加工を行い、表面側1bに独立凸部2を規則的に複数突設する。又裏面側1aの平面部3には隣接する独立凸部2同士を連結する溝4aを縦横に形成し、表面側1bに突条4bを格子状に突設する。又所定間隔でタッカー等を用いて堰板に貼付するための平坦部5を設ける。 【0015】独立凸部2の形状は、その高さh1の底部直径D1に対する比率を0.3〜0.5程度とし、凸部面積の平面部3に対する面積比率を0.4〜1.0程度とする。又コンクリート打設時に気泡が移動しやすいよう独立凸部2にはテーパーを設け円錐台の傾角θを70〜50度程度とする。例えば高さh1が5〜20mm程度、底部直径D1が10〜40mm程度、頂部直径D2が4〜30mm程度とする。又機械的噛み合わせ部がいわゆるノロで形成されないよう、独立凸部2の形状は、その内面に粗骨材を収容し得る大きさとすることが望ましく、これにより鉛直継目部の強度低下を防止する。一般的には高さh1が8mm、底部直径D1が20mm、頂部直径D2が12mm程度でよい。又溝4aの深さd1は1.5mm程度とする。 【0016】このシート材1は表面側1bに作用するコンクリート側圧に対して所定の凸形状を維持することが可能で、かつ打継目には鉄筋が突設する場合が多いので脱型時には破断可能な材質、例えば炭酸カルシウムやタルク等のフィラーを混入するポリプロピレンを用いる。このシート材1を端型枠の堰板に貼設する時は厚みを0.1mm〜1mm程度とする。 【0017】薄い面材の場合高さ方向に変形が生じやすいので軽量化を実現できる範囲内で厚さを増して剛性を高める。なお、このような材料で支持し得るコンクリート側圧は余り過大なものには適用できないので一般的には床版構築等に用いる。 【0018】次にこのシート材を用いるコンクリートの鉛直打継目の処理方法を図3及び図4に基づき説明する。図3に示すように、先行して構築するコンクリート部材(以下旧コンクリート6という)の鉛直打継目には打継型枠7を立設するが、その堰板8の内面8aにはシート材1を貼設する。このときシート材1の表面側1bを旧コンクリート6側に配設する。堰板8にはタッカー等を用いて仮止めし、ノロ漏れ防止を図るために鉄筋9の直径よりも小さい切れ目をつけておきこれに鉄筋9を差し込む。 【0019】各独立凸部2はテーパーがついているため脱型時にシート材1の剥離が容易になると共に旧コンクリート6の打設時には気泡の入り込む凹部が存在しない開放面となる。又独立凸部2及び突条4bの存在により図4に示すように旧コンクリート6には円錐状の凹部6aと溝6bが形成される。これらは打継面における平滑面をなくし新旧コンクリートの噛み合わせ面積を拡大するので付着力を増大し、止水効果も向上させる。 【0020】新コンクリート10を打設する際に凹部6aに気泡11が入り込んでも円錐の傾角に沿って移動し、しかも溝6bが連結しているため打継面には気泡11が残留しにくい。このように空隙の発生が無くなるので打継目の強度、水密性を確保できる。 【0021】 【実施例】型枠資材は加工性の良い合成樹脂の中から純ポリプロピレン(純PP)、フィラー入りポリプロピレン(フィラー混入PP)、ポリスチレン(PS)を選定して比較を行った結果、純PPは伸びがあるため引き裂きが困難であり、PSは脆くて衝撃に弱く、引き裂き強度が弱すぎるため剥離作業性が悪いことが確認され、一方フィラー混入PPは衝撃強度があり、適当な力で引き裂けることが判明した。 【0022】次に本型枠資材を用いた打継目の強度の比較試験結果を表1に基づき説明する。なお曲げ強度試験はJIS A 1106−1993(コンクリートの曲げ強度試験方法)、圧縮強度はJIS A 1108−1993(コンクリートの圧縮強度試験方法)、せん断強度は社団法人日本コンクリート協会JCI−SF6(繊維補強コンクリートのせん断強度試験方法)に夫々準じて行い、付着強さは試験体の両端部に鋼製冶具をエポキシ樹脂系接着剤を用いて取り付け、500KN万能試験機を使用して試験を行った。但し、無処理(一体打ち)の試験体はJISA 1113−1993(コンクリートの引張強度試験方法)に準じて試験を行い引張強度を求めた。 【0023】本発明の打継シートを用いて作製した試験体は、曲げ・圧縮・せん断・付着の何れの強度特性も凝結遅延剤処理の試験体と略同等であることが判明した。 【表1】
【0024】次に打継目の水密性の比較試験結果を表2に基づき説明する。透水試験は各試験体側面をエポキシ樹脂系接着剤でシールした後、圧力容器内に据え付け、試験体に加える水圧を1Kgf/cm2から1日毎に1Kgf/cm2ずつ10Kgf/cm2まで段階的に増加し、10Kgf/cm2の水圧を24時間加えた後、試験体を圧力容器から取り出し、打継面に平行な方向に割裂して浸透深さの測定を行った。 【0025】浸透深さは凝結遅延剤処理の試験体より浅く打継目の水密性が高いといえる。このように本発明の型枠資材を用いた打継目処理は凝結遅延剤処理のものと同等の強度特性を有し、水密性は凝結遅延剤処理のものより優れている。 【表2】
【0026】 【発明の効果】 以上説明したように、この発明は、独立した凸状突起を多数形成する合成樹脂製のシート材を用いて鉛直打継目に凹部を形成するので、チッピングや遅延剤による目荒し処理のような脱型後の打継目処理が不要で、コンクリート殻やセメント分を含んだ処理水を発生させずに新旧コンクリートを強固に結合することができる。しかもシート材は所要の剛性を有し旧コンクリート側に規則正しい凹部を形成するのでコンクリート打継目の物性が向上する。又合成樹脂製シートをエンボス加工するため、経済的でありかつ軽量で作業性に優れる。 【0027】請求項2記載の型枠資材の凸状突起は、円錐台形状であるので旧コンクリート表面に形成される凹状穴が円錐状となり、新コンクリート打設時の気泡が逃げやすく、気泡溜まりができにくいため、コンクリート打継目の物性が向上する。又請求項3記載の型枠資材の凸状突起は、固結貼着したコンクリート片がシート面より分離し得る傾斜角を有する円錐台形状とするので、コンクリートノロの廻り込みが生じても旧コンクリートからの剥離が容易になる。 【0028】請求項4記載の型枠資材のシート材は、耐衝撃性と破断可能な引き裂き強度を備えるので鉄筋を貫通させるため穿孔時の衝撃荷重に耐えることができ、かつ脱型時には鉄筋の部分でシート材を破断することができる。請求項5記載の型枠資材のシート材は、隣接する独立した凸状突起の内面同士を連結する溝を形成するので、打継平面部に平滑面をなくし新旧コンクリートの噛み合わせ面積を拡大して付着力を増大し、止水効果も期待できる。また新コンクリート打設時に凹部に入った気泡を逃がしやすくする。 【0029】請求項6記載の型枠資材のシート材は、タッカー等で止めるための平坦部を適当な間隔で有するので、シートの貼付を効率よく行うことができる。請求項7記載の型枠資材のシート材は、補強材により支持され端型枠として用いる堰板であるので資材点数の削減が図れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591211917 【氏名又は名称】川田建設株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月24日(1999.12.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100098453 【弁理士】 【氏名又は名称】飯郷 豊
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| 【公開番号】 |
特開2001−182322(P2001−182322A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月6日(2001.7.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−366009 |
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