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【発明の名称】 既存建物の移設免震化方法及びそれに用いる移設免震機構
【発明者】 【氏名】大塚 将

【氏名】青木 一夫

【要約】 【課題】作業に要する装置の省力化を図り、施工効率の向上を図って、移設免震作業を安全確実に実施できる既存建物の移設免震化方法及びそれに用いる移設免震化機構を提供している。

【解決手段】本発明による既存建物の移設免震化方法は、基礎梁22を支持している仮受部材26と、柱基礎21を補助的に支持している支柱27によって既存建物1を仮受けし、新設基礎25と柱基礎21との間に直交免震装置4を配置する。直行免震装置4の下レール12は、下レールの延設部を柱基礎21の下になる位置に配置し、移設部を移設した既存建物の柱基礎の下になる位置に敷設しており、既存建物1は下レールに沿って移設場所に移動し、減衰装置、復元装置を装備して免震建物に形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 既存建物の柱基礎下を除いた地盤を掘削して、該掘削位置に新設基礎を構築する第一工程と、既存建物を仮受部材で支持し、しかる後に少なくとも柱基礎下と新設基礎までの地盤を掘削し、該掘削位置に移設基礎を構築して上記新設基礎と連接させる第二工程と、上記柱基礎面と移設基礎面との間に直交する上下レールとこの間に配置される免震滑り支承から成る直行免震装置を配置して、該移設基礎面上に該下レールの一部を形成する延設部を配置すると共に、新設基礎面上に上記延設部に一体で下レールの他部を形成する移設部を敷設する第三工程と、既存建物を支持している仮受部材を撤去し、上記直行免震装置の免震滑り支承を下レールに沿って移動させ、上記柱基礎を新設基礎上に移設する第四工程と、既存建物と新設基礎との間に減衰装置と復元装置とを装備して免震機構を形成する第五工程とから構成される既存建物の移設免震化方法。
【請求項2】 直交する上下レールとこの間に配置される免震滑り支承から成る直行免震装置、減衰装置及び復元装置から構成される免震機構であって、該直行免震装置の下レールが分離可能な延設部と移設部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の移設免震方法に用いる移設免震機構。
【請求項3】 直交する上レールと分離可能な延設部と移設部とから構成される下レールとの間に配置される免震滑り支承から成る直行免震装置、減衰装置及び復元装置から構成される免震機構を装備した免震建物であって、該直行免震装置が下レールの延設部を分離した移設部から構成されることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の移設免震方法で構築した免震建物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、既存建物の移設免震方法及びそれに用いる移設免震機構に関し、特に既存建物を免震化する際に、法律的な不的確状態の解消や揺れ代を確保する等のために曳き家を行う場合に適用する既存建物の移設免震方法及びそれに用いる移設免震機構に関する。
【0002】
【従来の技術】既存建物を地震の被害から守るために、建物を基礎や基礎に連なる柱から切り離して、切り離し箇所に免震装置を介装する、免震化工法が多くなっている。既存建物を免震化する工事では、建物をそのまま免震化するには、建物が揺動して敷地境界内に納まらない場合のように法律的に不的確である場合や、地震時に建物が水平に変位することから建物の周囲にクリアランスを設ける必要があるために、既存建物を曳き家する必要が発生する場合がある。
【0003】曳き家作業は、例えば図8に示すような一連の工程で行われている。
■ 既存基礎51の周囲を掘削して基礎間に仮受梁52を渡し、地中梁53の直下にサンドル54等を設置してオイルジャッキ55やニューサポートジャッキを用いて既存建物50を仮受する。(図8(a)参照)
■ サンドル54の周囲に一次耐圧板56を打設して、その上にレール57とコロに載置した移動装置58を設置する。(図8(b)参照)
■ サンドル54を撤去し二次耐圧板59を打設して、既存建物50をジャッキ60等で移動させる。(図8(c)参照)
【0004】次いで行われる免震装置の設置は、図9に示すように曳き家作業とは別途の工程で実施される。
■ 地中梁直下で再び仮受を行って移動装置58を撤去し、しかる後に免震装置61を設置する。(図9(a)参照)
■ 外周の土留め壁を構築し、既存建物の床を復旧して免震化を完了する。
【0005】上記例のように、既存建物の移動作業においては、既存建物を切り離し、移動させるために、新規基礎に設けた免震装置に固定するまでは、切り離した基礎や柱端部が水平方向の剛性に脆弱なために小さな地震に対しても影響を受けて被害を生じ易い状況にあり、移動中には安定性が乏しく、建物が傾いたり、傾きによって建物に亀裂が生じ易くなっている。従って、これらの作業を安全に遂行するための管理は大変である。特に既存建物が移動方向と直角方向に100m程度と極端に長い場合には、曳き家作業が建物に対して強制変位を起こさせないように管理することが困難であった。このことから、曳き家は移動作業としても特定したものにする必要があるために、従来の曳き家は免震化と別工程で実施することが通常の方法であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、曳き家と免震化を別工程で単独に実施するかのような工程管理は、それぞれの作業に要する装置を必要とし、作業に要する労力においても多大なものになることから、移設免震化作業は、コストが嵩張り、作業効率の改善が図れないという課題を提起していた。本発明は、これらの課題に鑑みて、その改善を図るために提案されるものであり、作業に要する装置の省力化を図り、施工効率の向上を図って、移設免震作業を安全確実に実施できる既存建物の移設免震化方法及びそれに用いる移設免震化機構を提供している。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明である既存建物の移設免震化方法は、以下の各工程から構成されており、既存建物を免震装置に移設するのに揚重装置を用いることなく、直行免震装置を用いてその下レール上を既存建物が載置している免震滑り支承を移動させるだけの作業で移設免震化が容易に達成できる。
■ 既存建物の柱基礎下を除いた地盤を掘削して、該掘削位置に新設基礎を構築する第一工程、■ 既存建物を仮受部材で支持し、しかる後に少なくとも柱基礎下と新設基礎までの地盤を掘削し、該掘削位置に移設基礎を構築して上記新設基礎と連接させる第二工程、■ 上記柱基礎面と移設基礎面との間に直交する上下レールとこの間に配置される免震滑り支承から成る直行免震装置を配置して、該移設基礎面上に該下レールの一部を形成する延設部を配置すると共に、新設基礎面上に上記延設部に一体で下レールの他部を形成する移設部を敷設する第三工程、■ 既存建物を支持している仮受部材を撤去し、上記直行免震装置の免震滑り支承を下レールに沿って移動させ、上記柱基礎を新設基礎上に移設する第四工程、■ 既存建物と新設基礎との間に減衰装置と復元装置とを装備して免震機構を形成する第五工程、【0008】請求項2に記載の発明である移設免震機構は、請求項1に記載の既存建物の移設免震方法に用いるものであって、直交する上下レールとこの間に配置される免震滑り支承から成る直行免震装置と、減衰装置及び復元装置から構成される免震機構において、直行免震装置の下レールが分離可能な延設部と移設部とから構成されることを特徴としており、下レールを既存建物の移動用に活用し、新設基礎に移設後は、延設部をそのまま、もしくは必要に応じて分離することで移設部のみを、直行免震装置の下レールとして使用できるので、既存建物の移動や免震装置に設置する揚重装置等の設備を省略できる。
【0009】請求項3に記載の発明である免震建物は、請求項1に記載の既存建物の移設免震方法で構築するものであって、直交する上レールと分離可能な延設部と移設部とから構成される下レールとの間に配置される免震滑り支承から成る直行免震装置、減衰装置及び復元装置から構成される免震機構を装備した免震建物であって、直行免震装置は下レールの延設部を分離した移設部から構成しており、免震に必要な揺れ代を確保して構築できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、既存建物を免震化するに際して、法律的な不的確状態の解消や揺れ代を確保する等のために曳き家を行う必要が生じた場合に、免震機構を形成している直行免震装置の下レールを分離可能な延設部と移設部とから構成することで、下レールを既存建物の移動用に活用すると共に、既存建物を新設基礎に移設した後は下レールの移設部を直行免震装置の下レールとして使用している。これによって、既存建物の移動や免震装置の設置作業において揚重装置等の設備を省略することができる。以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】図1は、本発明によって移設免震化した建物における免震機構を概略的に示す部分断面図(a)と部分断面図(a)を(b)矢視した側面図(b)である。移設免震化された既存建物1は、図示のように新設基礎2の上に免震機構3を装備して設置されている。免震機構3は、直交免震装置4と複数の減衰装置5及び復元装置6から形成されており、直交免震装置4は、新設基礎2の上に設けられた下基台7と柱基礎8の下面に形成されている上基台9との間に設置されている。
【0012】又、減衰装置5と復元装置6とは、本実施の形態では1つの柱基礎に、これを4方から保持するように敷設されており、新設基礎2に形成された支持体10と柱基礎に設けられた上基台9との間に接合されている。これによって、免震化された既存建物1は、地震時の水平力に対して、直交免震装置4によって四方に滑り移動することを可能にしており、減衰装置5と復元装置6によって充分な減衰機能と所定の揺れ代を持って対処できるものであり、地震後は、直ちに通常の位置状態に復元することができる。尚、上記減衰装置5と復元装置6との配置は、上記に限定されるものでなく、既存建物側では、地中梁等の柱基礎以外の部位に対して配置することも可能であり、新設基礎側においても他の形態での配置が適宜選択できる。又、減衰装置5と復元装置6の数についても一対の必要はなく、既存建物の免震条件に応じて別途の個数や単体での設置が考慮されるものである。
【0013】本発明による直交免震装置4は、図2に斜視図で示している。直行免震装置4は、直交する上下レール11、12とこの間に配置される摺動自在な免震滑り支承13とから構成されている。本実施の形態では、柱基礎に設けられた上基台部に上レール11が取り付けられており、免震滑り支承13を間に挟んで上レール11と直交させて下レール12が配置されており、下レール12は下基台部に設置されている。
【0014】直行免震装置の下レール12は、移設部14と延設部15とから構成されており、移設部14は、上レール11と同様の長さと形状を構成して、延設部15は、既存建物の移設距離に相当する長さを持って構成されている。そして、延設部15の一方端を既存建物が移設される前の柱基礎の下に配置した場合に、他方端は既存建物を移設した後に柱基礎の下に敷設される移設部14と接合させて一体化しており、移設部14と延設部15とは、離脱可能な接合部16を形成して、必要に応じて互いに分離できるようになっている。
【0015】免震滑り支承13は、直交する2つの摺動溝17、18を上下に備えることで、直交して配置される上レール11と下レール12との間に在って、両方のレール上を摺動できるように配置されているものであり、上レール11と下レール12とを互いに前後左右の方向に随意に移動させることが出来る。
【0016】直交免震装置4は以上のように構成されているので、既存建物の移設免震化の施工に適用する場合は、以下のように配置することになる。即ち、移設部14の配置位置は、既存建物が移設した時に柱基礎の下になる部位であり、移設後の既存建物に免震機構を形成するように敷設する。一方、延設部15の配置は、一方端が既存建物を移設させる前の柱基礎の下になる部位であり、他方端は移設部14と接合させて一体化した下レールを形成する。そして、既存建物の移設後は、下レールを上記の状態で残しておくこともできるが、必要に応じて延設部15を移設部14から分離させて、上レール11と下レール12とを同一形状にすることも可能である。
【0017】次に、本発明による既存建物の移設免震化方法について説明する。本発明による既存建物の移設免震化方法は、既存建物の移設と免震化をそれぞれに単独作業として施工することなく、直交免震装置を有効に活用することで、揚重機等の余分な設備を使用せずに、移設から免震化までの工程を一連の作業として遂行することを可能にしているものである。
【0018】図3及び図4〜7には、既存建物を移設して免震化する第一工程から第五工程までを一連の作業として図示している。図3は、移設前の既存建物の状態を示している。既存建物1は、図示のように本発明に関連する部分のみを概略的に表示しているので、建物を構成している躯体で、地盤20の中に埋設されている柱基礎21と柱基礎間に形成されている地中梁22のみを表示している。
【0019】図4では、地盤を掘削して新設基礎を構築する第一工程を示している。本実施の形態での新設基礎の構築は、図4(a)に示すように地中梁22の下の地盤を全て掘削することから実施されている。但し、この掘削は、既存建物1を一時的に支さえる仮受を設置する基盤を新設基礎の1部として構築するために行われるものであり、既存建物の支持構造をどのように構築するかによって必要のない場合もある。又、仮受の設置位置についても特定の地盤に限定されるものでなく適宜に選定されるものであるから、既存建物1を支持している柱基礎21の下に在る地盤23を残して任意の場所に設定できる。
【0020】図4(b)では、上記の仮受が設置される基盤を含めて新設基礎を構築している。本実施の形態では、地中梁22の下に設けられる仮受用の基盤24は新設基礎25の1部を構成するものとして構築されているが、上記と同様の理由からこれに限定されるものでなく、仮受用の基盤として単独に構築することもあり得る。尚、新設基礎25は、地盤を既存建物1が移設する場所まで拡大して掘削する部分に構築されるものであり、既存建物1が移設免震化された後にピットとして使用することになる。
【0021】図5は、仮受によって既存建物を支持し、残余の地盤を掘削して新設基礎を構築する第二工程を示している。図5(a)に示すように本工程の前段では、既存建物1は地盤23で支持された状態を保持しながら、新設基礎25の1部である基盤24の上に仮受部材26を配置している。仮受部材26は、設置されているジャッキ等を用いて柱基礎21と地盤23との高さ関係を調整可能になっており、既存建物1を基盤24と仮受部材26とが支持する状態に移行する体制を構築している。
【0022】次の段階では、図5(b)に見られるように、既存建物1を仮受部材26に支持させながら、柱基礎21の下に残っていた地盤23を掘削除去している。この際に、基盤24と仮受部材26での支持が地盤23を除去しても既存建物を平衡に支障なく行われている場合には不要であるが、諸般の事情によっては図示のように支柱27を用いて柱基礎21を補助的に支持することも考慮されるところである。
【0023】図5(c)は、柱基礎の下の部分に移設基礎を構築して、新設基礎に連接するする状態を図示している。この段階に至ると、柱基礎21の下の地盤上に移設基礎28を構築する。移設基礎28の構築は、支柱27を設置している場合にはそれも含めてコンクリートを打設することで施工されるが、新設基礎との平滑度を確立する必要がある。平滑度の確保は、後述するように柱基礎の下に直交免震装置を配置し、その下レールを既存建物の移設に活用しているので、既存建物を安全に移動させるために直交免震装置の下レールを平滑に敷設することが重要になるからである。このために、移設基礎28を単独で構築したとしても、新設基礎と移設基礎28、及びこれを新設基礎25に連接する接合底盤29とを同一面に形成する必要がある。本実施の形態では、支柱27のみならず移設基礎28を基盤24連接する接合底盤29をも一括構築しているが、基礎の一括構築は、上述した新設基礎をピットとして形成するためにも有効である。
【0024】図6は、柱基礎と移設基礎との間に直交免震装置を配置する第三工程を示している。この工程では、基礎梁22を支持している仮受部材26と、柱基礎21を補助的に支持している支柱27によって、既存建物1を仮受したままの状態で、新設基礎25と柱基礎21との間に直交免震装置4を配置する。この際に、図6において詳細な表現を省略しているが、直交免震装置4を配置する前に、図1で説明したように新設基礎25の上に下基台7を設け、柱基礎8の下面に上基台9を形成しており、それぞれの表面に存在している凹凸を修復して、直交免震装置4の設置に必要な平坦面を形成している。
【0025】直行免震装置4は、図2で詳細に説明したように直交する上下レール11、12とこの間に配置される免震滑り支承13とから構成されている。そこで、直交免震装置4の配置は、上レールを柱基礎下面の上基台9に設置するが、新設基礎25に設けた下基台7に設置する下レールの方は、移設部14と接合して一体化している延設部15を柱基礎の下に配置し、移設部14を既存建物が移設した時に、新規に柱基礎の下になる位置に敷設している。
【0026】図7は、既存建物を新規の位置に移動させて、柱基礎を新設基礎上の直交免震装置に移設する第四工程を示している。図7(a)は、基礎梁22を支持している仮受部材26と柱基礎21を補助的に支持している支柱27とを撤去して、既存建物1を新設基礎25と柱基礎21との間に配置した直交免震装置4で支持する移設前の状態を示している。本実施の形態では、上記撤去作業と同時に既存建物外側の柱基礎21に対して、図示のように鎖線で示す一部の基礎部分を切削加工しており、移設後の新設基礎の構造に対応させている。この段階では、直交免震装置4の下レール12は延設部と移設部とが接合した状態にあって、既存建物1は免震滑り支承13に載置して下レール上を摺動可能になっている。
【0027】図7(b)では、既存建物1を新設基礎25上に移動させた後の状態を示している。既存建物1を移動させた後は、図示のように直交免震装置4の下レール12を移設部14から延設部11を分離して、上下レールが等しい長さの摺動範囲を形成する直交免震装置に構成しても良いが、両部の分離は必須のものでないので、特に分離させることなくそのままにして置くこともできる。
【0028】本発明による既存建物の移設免震化方法では、上記第一工程から第四工程に継続して免震機構を形成する第五工程を持って移設免震を完了している。移設後の既存建物1は、図1で説明したように新設基礎2との間に免震機構3を装備する第五工程を経て免震建物として完成する。本実施の形態では、免震機構3は、直交免震装置4と複数の減衰装置5及び復元装置6から形成されており、減衰装置5と復元装置6とは、本実施の形態では1つの柱基礎に、これを4方から保持するように敷設されている。
【0029】これによって、免震化された既存建物1は、地震時の水平力に対して、直交免震装置4によって四方に摺動することが可能になり、地震エネルギーを吸収する減衰装置5と地震によって揺動した建物を元の位置に戻す復元装置6によって充分な減衰機能と所定の揺れ代を維持して対処できるものであり、地震後は、直ちに通常の位置状態に復元することができる。
【0030】以上のように、本発明による既存建物の移設免震化方法及びそれに用いる移設免震機構は、従来の移設免震化工法が必要としていた、既存建物の基礎からの切り離し作業、移動装置を用いての移動作業及び揚重装置を用いて免震装置に建物を載置する免震化作業のように個別に施工されていたものを、移動装置、揚重装置等の諸設備を使用することなく、移設免震化を一連の工程によって達成しているので、作業装置と労力の低減を可能にし、移設中の安全性を向上させながら既存建物に対する移動時の変形による障害も防止している。
【0031】以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、発明の趣旨に反しない範囲において、各種の変更が可能であることは当然である。
【0032】
【発明の効果】本発明による既存建物の移設免震化方法は、以下の効果を発揮している。
■ 免震機構を形成している直交免震装置の免震滑り支承を、既存建物の移動及び新設基礎への移設作業に活用するので、移動装置や揚重装置を不要とし、設備面でのコストダウンを図れる。
■ 既存建物を基礎から切り離し、下レールに沿って移動させるのみで新設基礎上に免震化建物を形成できるので、免震装置上へ移動、降下させる作業を不要にして、施工作業の効率を向上できる。
■ 基礎から切り離した既存建物が、直交免震装置によって安定しているので、移動時の地震対策や新設基礎への設定作業が安全確実に遂行できる。
【0033】本発明による移設免震機構は、下レールを既存建物の移動用に活用し、新設基礎に移設後は、延設部をそのまま、もしくは必要に応じて分離することで移設部のみを、直行免震装置の下レールとして使用できるので、既存建物の移動や免震装置に設置する揚重装置等の設備を省略できる効果を発揮している。
【0034】本発明による免震建物は、既存建物の移設に活用した直行免震装置の下レールから延設部を分離して移設部のみで構成しているので、免震に必要な揺れ代を確保して簡潔に構築できる効果を発揮している。
【出願人】 【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
【出願日】 平成11年10月27日(1999.10.27)
【代理人】 【識別番号】100097423
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 良徳 (外1名)
【公開番号】 特開2001−123672(P2001−123672A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−305096