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【発明の名称】 段差矯正金具及び段差矯正金具を用いた屋根構造
【発明者】 【氏名】阿部 正成

【氏名】高木 章

【要約】 【課題】簡単な構造かつ安価なコストで下地板同士の継目部の段差を解消する矯正金具及び該段差矯正金具を用いた屋根構造を提供する。

【解決手段】屋根構造における隣接する下地板51同士の継目部52での段差を矯正する金具10であって、下地板の板厚寸法T分の長さL1を有する所要幅の板状背部20と、前記背部の長さ方向両端21,22において当該背部の一表面側へ突出形成されて一方の下地板を挟むようにされた一側突出片31,35と、同じく前記背部の長さ方向両端において当該背部の反対表面側へ突出形成されて他方の下地板を挟むようにされた反対側突出片41,45とよりなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 屋根構造における隣接する下地板同士の継目部での段差を矯正する金具であって、下地板の板厚寸法分の長さを有する所要幅の板状背部と、前記背部の長さ方向両端において当該背部の一表面側へ突出形成されて一方の下地板を挟むようにされた一側突出片と、同じく前記背部の長さ方向両端において当該背部の反対表面側へ突出形成されて他方の下地板を挟むようにされた反対側突出片とよりなることを特徴とする段差矯正金具。
【請求項2】 屋根構造における隣接する下地板同士の継目部において、請求項1に記載された段差矯正金具を用い、該段差矯正金具における背部の一側突出片間で一方の下地板を挟持し、前記背部の反対側突出片間で他方の下地板を挟持して下地板継目部の段差を矯正したことを特徴とする屋根構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、住宅などの建物の屋根に用いる下地板同士の継目部の段差矯正金具及び段差矯正金具を用いた屋根構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、住宅などの建物の屋根構造としては、屋根パネルを用いたものが多い。なお、本発明でいう屋根パネルとは、外枠と外枠内に配設した桟材とで所要寸法のフレームを形成しこのフレームに下地板を貼り付けてパネル形状にしたもの、及びいわゆる在来工法等に代表される、平行な複数本の垂木とその垂木間を連結する桟材とからなるフレームに複数枚の下地板を貼り付けたものを指す。このような屋根構造における下地板には、従来、ラワン材等からなる合板が使用されていたが、近年、ラワン材等の伐採規制などにより、針葉樹製の合板が使用されることも多くなってきた。
【0003】ところで、この針葉樹製合板の中には、反りが生じたものがある。反りのある合板からなる下地板を用いて屋根パネルを製作する際、下地板の大部分の部位は桟材等のフレームに釘等で固定されるので反りは矯正され問題はない。しかし、下地板の割付の都合でフレームのない部位(桟材間等)に下地板同士の継目部が位置することがあり、その場合、下地板の継目部で反りがあるとその反りを矯正することができず、特に隣接する双方の下地板で反り方向が逆になった場合には数mmの段差になることもある。
【0004】下地板(合板)に段差のある屋根パネルで屋根を構成すると、下地板に瓦やコロニアル等の屋根仕上げ材を敷設する際にその段差が修正できず、平坦度の不良等によって屋根が美麗に仕上がらなかったりすることがある。また、作業員が高所の勾配のある屋根パネル上で作業や歩行をする際、その段差で蹴躓くなどの可能性があり安全性に問題もある。
【0005】しかし、全ての下地板同士の継目部の下側にフレームが存在するように桟材等を細かいピッチにした屋根パネルを構成することは、屋根パネルが重くなると共にコストも上がるため合理的ではない。そのため、従来は下地板に使用する合板を予め検品し、反りの大きいものは除いて用いるようにしているが、合板は大きくて重いので検品に手間がかかり、また、検品のために広い場所が必要となるという問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、前記の点に鑑みなされたもので、簡単な構造かつ安価なコストで下地板同士の継目部の段差を解消する矯正金具及び該段差矯正金具を用いた屋根構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1の発明は、屋根構造における隣接する下地板同士の継目部での段差を矯正する金具であって、下地板の板厚寸法分の長さを有する所要幅の板状背部と、前記背部の長さ方向両端において当該背部の一表面側へ突出形成されて一方の下地板を挟むようにされた一側突出片と、同じく前記背部の長さ方向両端において当該背部の反対表面側へ突出形成されて他方の下地板を挟むようにされた反対側突出片とよりなることを特徴とする段差矯正金具に係る。
【0008】また、請求項2の発明は、屋根構造における隣接する下地板同士の継目部において、請求項1に記載された段差矯正金具を用い、該段差矯正金具における背部の一側突出片間で一方の下地板を挟持し、前記背部の反対側突出片間で他方の下地板を挟持して下地板継目部の段差を矯正したことを特徴とする屋根構造に係る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例に係る段差矯正金具を示す斜視図、図2は図1の段差矯正金具に用いる金属板を示す平面図、図3は屋根パネルの一例においてフレームの一部に下地板を貼り付ける途中を示す斜視図、図4は図3のA−A断面図、図5は図3のB−B断面図、図6は他の実施例に係る段差矯正金具を示す斜視図である。
【0010】図1に示すものは、この発明の一実施例に係る段差矯正金具10である。この段差矯正金具10は、図3及び図4に示すような、屋根パネル50等の屋根構造における隣接する下地板51同士の継目部52での段差を矯正する金具であって、図5に拡大図示するように、隣接する下地板51同士の継目部52に配置して使用するものである。
【0011】この段差矯正金具10は、背部20、一側突出片31,35、反対側突出片41,45で構成されている。
【0012】背部20は、隣接する下地板51同士の継目部52に配置される板状部であり、長さ方向両端、図では上下方向の一端21及び他端22が平行になっており、長さ方向の突出片間寸法L1が下地板51の板厚寸法Tと同じになっている。この実施例の背部20は、長方形状の板状部であり、長さ方向(図の上下方向)の寸法L1が12mm、幅W1が20mm、板厚が0.5mmとなっている。
【0013】一側突出片31,35は、前記背部20の長さ方向(図の上下方向)両端21,22から前記背部20に対して直角方向に、かつ背部20の同一表面側へ突出形成され、この段差矯正金具10が配置される継目部52において隣接する一方の下地板51の両面(裏表面)を挟持する板状の片である。前記突出片31,35は、適宜の大きさ、形状のものが1又は複数の適宜数形成され、この実施例では、突出長さL2,L3が7.5mm、幅W2,W3が10mmの長方形状の板状部がそれぞれ1つ形成されている。
【0014】また、反対側突出片41,45は、前記背部20の長さ方向(図の上下方向)両端21,22から前記背部20に対して直角方向に、かつ前記一側突出片31,35とは反対表面側へ突出して形成されており、この段差矯正金具10が配置される継目部52において隣接する他方の下地板51を挟持する板状の片である。前記反対側突出片41,45も一側突出片31,35と同様に、適宜の大きさ、形状のものが1又は複数の適宜数形成される。この実施例では、一側突出片31,35と同様の寸法、すなわち突出長さL4,L5が7.5mm、幅W4,W5が10mmとされた長方形状の板状部がそれぞれ1つ形成されている。
【0015】この実施例の段差矯正金具10は、図2に示すような適宜寸法の金属板10aに切込みを入れ、折り曲げることにより形成されている。この実施例の金属板10aとしては、長さL6が27mm、幅W6が20mm、板厚が0.5mmの平面視略長方形の亜鉛メッキ鋼板を用いている。金属板10aの幅方向及び長さ方向は、前記段差矯正金具10の幅方向及び長さ方向と対応させて使用している。この金属板10aの略中央部には、下地板51の板厚寸法T分の間隔をあけて金属板10aの一端17側から相対する他端18側にかけて2本の平行な折曲げ位置11,12を設定している。ここでは、前記幅W6方向に平行な2本の折曲げ位置11,12を、長さL6方向における金属板10aの両端13,14からの長さが7.5mm、2本の折曲げ位置の間隔が12mmとなるように設定している。なお、当該2本の折曲げ位置11,12に挟まれた部分が前記背部20となる。
【0016】また、図における金属板10aの長さL6方向の一端13から折曲げ位置11に至る長さL6方向に切込み15を設け、他端14から折曲げ位置12に至る長さL6方向に切込み16を設けている。なお、この切込み15,16は必ずしも図のように同一直線状に設ける必要はなく、適宜の位置に設ければよい。
【0017】そして、この切込み15で仕切られた片31a,41aを折曲げ位置11でそれぞれが反対方向となるように直角に折り曲げる。また、切込み16で仕切られた片35a,45aを折曲げ位置12でそれぞれが反対方向となるように直角に折り曲げる。折り曲げられた片31a,35aは一側突出片31,35となり、また折り曲げられた片41a,45aは反対側突出片41,45となる。
【0018】なお、段差矯正金具の材質、形状、寸法、突出片数等は、前記したものに限らず、下地板同士の継目部での段差を矯正できる強度、剛性があれば適宜でよい。例えば、図6に示す段差矯正金具110のように、背部120から突出した一側突出片131,132,135及び反対側突出片141,145,147の数を、背部120の長さ方向両端で異ならせてもよい。また、前記突出片は、この例の突出片135,145,147のように、各突出片の先端部136,146,148を外側に折り曲げるなど、下地板の挿入嵌合がスムーズに行えるようになっているのが好ましい。
【0019】次に、前記段差矯正金具10を用いた屋根構造について説明する。ここでは、屋根構造の一例として、屋根パネル50を用いるものについて説明する。この屋根パネル50は、平行な複数本の垂木54とその垂木54間を連結する桟材55,56とからなるフレーム53に、図3に示すように、複数枚の下地板51を並べて順次貼り付けることにより形成される。
【0020】そして、下地板51同士の継目部52において、下地板51の反り等によって段差が生じている位置には、前記段差矯正金具10が配置されている。図4は段差矯正金具10配置前の下地板51A,51Bの継目部52Aにおける段差を示す。前記段差矯正金具10は、図5に示すように、背部20の一側突出片31,35が、継目部52Bにおける一方の下地板51Cを挟持し、前記背部20の反対側突出片41,45が、前記一方の下地板51Cと隣接する他方の下地板51Bを挟持している。
【0021】前記一側突出片31,35と反対側突出片41,45は、それぞれ背部20の長さ方向両端に位置するため、これらの突出片で保持された隣接する下地板51B,51Cは面一になり、その結果、継目部52Bにおける段差が解消される。
【0022】なお、前記段差矯正金具10は下地板同士の継目部で既に段差が発生している部位のみならず、桟材間に位置して固定されない継目部の適宜の部位に取り付けるようにしても良い。これにより、隣接する下地板の一体化がより効果的に実現できる。
【0023】また、前記段差矯正金具10を用いる屋根構造の施工は、次のようにして簡単に行うことができる。まず、前記フレーム53を用意し、互いに隣り合うこととなる下地板51B,51Cのうち、一方の下地板51Cを前記フレーム53の所定位置に置き、釘等で当該フレーム53に固定する。
【0024】それから、他方の下地板51Bを固定予定位置に仮置きし、下地板51B,51C同士の継目部52Bの段差を調べる。このとき、当該継目部52Bにおいて段差がない場合には、そのまま、仮置きした他方の下地板51Bを釘等でフレーム53に固定しても良い。
【0025】継目部52Bにおいて段差が生じている場合は、仮置きした下地板51Bをずらして段差矯正金具10を両下地板51B,51C間に配置し、既に固定してある一方の下地板51Cの端部を段差矯正金具10の一側突出片31,35(又は反対側突出片41,45)間で挟持する。
【0026】次いで、前記仮置きした下地板51Bの端部が段差矯正金具10の反対側突出片41,45(又は一側突出片31,35)間に嵌り込むようにしながら、下地板51Bを正規の固定位置まで動かす。その後下地板51Bを釘等でフレーム53に固定する。このような作業を繰り返して下地板51をフレーム53に貼り付けていくことにより、継目部52の段差を矯正することができ、段差のない屋根構造を得ることができる。
【0027】なお、この実施例では、屋根構造として、屋根パネルを用いたものを例に説明してきたが、この発明は屋根パネルを用いたものに限るものではなく、現場で屋根を葺くような場合にも用いることができる。
【0028】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明に係る段差矯正金具及び段差矯正金具を用いた屋根構造によれば、下地板に反りのある板材を使用してもその反りによる段差を簡単に矯正でき、下地板の継目部に段差がない屋根構造とすることができる。また、これによって、面倒な下地板の検品が必要なくなるという利点もある。さらに、この発明によれば、段差矯正金具は簡単な構造からなって安価であり、しかも屋根構造における施工も容易である。
【0029】加えて、桟材間に位置して固定されない継目部に、その段差の有無に拘らず、この発明の段差矯正金具を取り付けておけば、各下地板が一体化できるので、段差を効果的に抑えて長期的にも平坦で耐久性のよい屋根構造とすることができる。
【出願人】 【識別番号】390008280
【氏名又は名称】ミサワセラミックス株式会社
【出願日】 平成12年5月16日(2000.5.16)
【代理人】 【識別番号】100079050
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 憲秋 (外1名)
【公開番号】 特開2001−323610(P2001−323610A)
【公開日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【出願番号】 特願2000−143492(P2000−143492)