| 【発明の名称】 |
鋼製部材 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡野 創
【氏名】前川 利雄
【氏名】福島 寛二
【氏名】岩渕 一徳
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| 【要約】 |
【課題】建物の梁や高層ビルの耐震壁同士の連結部材として用いられる鋼製部材であって地震発生に伴うその固定端の破壊および逆対称ねじり塑性座屈の発生を回避し得る鋼製部材を提供すること。
【解決手段】互いに相対する一対のフランジ(12)および両フランジに連なるウエブ(14)を有する鋼製部材(10)であって、その各端部(16)の近傍において各フランジの両縁部に設けられた一対の切り欠き(18)を有し、また、その各端部の近傍においてウエブの両側の少なくとも一方に両フランジと平行に配置されかつウエブの幅方向に関する中間部に固定された板状のスチフナ(20)を有する。スチフナ(20)はその少なくとも一部がウエブの長手方向に関して各フランジの切り欠き(18)と重なり合っている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】互いに相対する一対のフランジおよび両フランジに連なるウエブを有する鋼製部材であって、該鋼製部材の各端部の近傍において各フランジの両縁部に設けられた一対の切り欠きを有し、また、前記鋼製部材の各端部の近傍において前記ウエブの両側の少なくとも一方に両フランジと平行に配置されかつ該ウエブの幅方向に関する中間部に固定された板状のスチフナであって前記ウエブの長手方向に関して前記スチフナの少なくとも一部が各フランジの切り欠きと重なり合うスチフナを有する、鋼製部材。 【請求項2】前記スチフナが、前記板状のものに代えて、前記ウエブと共同して空間を規定する1またはそれ以上の板部材からなる、請求項1に記載の鋼製部材。 【請求項3】互いに相対する一対のフランジおよび両フランジに連なるウエブを有する鋼製の鋼製部材であって、該鋼製部材の各端部の近傍において各フランジに設けられた1または複数の窪みを有する、鋼製部材。 【請求項4】さらに、前記ウエブの両側の少なくとも一方に該ウエブと直交するように配置されかつ前記ウエブと両フランジの前記窪みが設けられた部分とに固定された板状のスチフナを含む、請求項3に記載の鋼製部材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、建物の梁、高層ビルの耐震壁同士の連結部材等として用いられる鋼製部材に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、建物の梁や高層ビルの耐震壁(並列連層耐震壁)同士を相互に連結する水平部材として、優れた地震エネルギ吸収性能を有する鋼製部材であるH形鋼やI形鋼が用いられている。 【0003】ところで、地震のために例えば鉄骨柱に溶接された梁の端部に溶接破断が生じると、梁はその地震エネルギの吸収能を十分に発揮することができない。また、柱または並列連層耐震壁に埋め込まれた部分を有する梁または連結部材の場合には、これらの埋め込み部分が降伏する。 【0004】従来、柱に固定された梁端部の破壊防止のため、梁の構成材であるH形鋼の各端部の近傍において各フランジの両縁部に一対の切り欠きを設けることが提案されている(特開平11−210158号)。 【0005】これによれば、前記切り欠きを形成した部分が他の部分より曲げ耐力が低いため、地震力を受けたとき、前記切り欠き形成部分が他の部分より先に降伏し、これにより前記梁端部の破壊の回避を可能とする。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、その一方、梁の両端部に互いに反対方向に作用する繰り返しの曲げモーメントのために前記切り欠き形成部分における挫屈と梁全体のねじれとを伴う、いわゆる逆対称ねじり塑性座屈が生じることがある。この逆対称ねじり塑性座屈の発生は、梁の地震エネルギ吸収能力を著しく低下させる。 【0007】この現象は、前記並列連層耐震壁同士を連結する前記切り欠き形成部分を有するH形鋼からなる連結部材についても、また、I形鋼からなる梁や連結部材についても、同様に生じ得る。 【0008】本発明は、建物の梁や高層ビルの耐震壁同士の連結部材として用いられる鋼製部材であって地震発生に伴うその固定端の破壊および逆対称ねじり塑性座屈の発生を回避し得る鋼製部材を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、互いに相対する一対のフランジおよび両フランジに連なるウエブを有する鋼製部材であって、該鋼製部材の各端部の近傍において各フランジの両縁部に設けられた一対の切り欠きを有し、また、前記鋼製部材の各端部の近傍において前記ウエブの両側の少なくとも一方に両フランジと平行に配置されかつ該ウエブの幅方向に関する中間部に固定された板状のスチフナであって前記ウエブの長手方向に関して前記スチフナの少なくとも一部が各フランジの切り欠きと重なり合うスチフナを有する。 【0010】前記スチフナは、前記板状のものに代えて、前記ウエブと共同して空間を規定する1またはそれ以上の板部材からなるものとすることができる。 【0011】他の鋼製部材として、その各端部の近傍において各フランジに設けられた1または複数の窪みを有するものとすることができる。 【0012】この鋼製部材にあっては、さらに、前記ウエブの両側の少なくとも一方に該ウエブと直交するように配置されかつ前記ウエブと両フランジの前記窪みが設けられた部分とに固定された板状のスチフナを含むものとすることができる。 【0013】 【発明の作用および効果】本発明によれば、鋼製部材の各端部近傍において各フランジに一対の切り欠きを設けかつウエブの長手方向に関してこれらの切り欠きと部分的に重複する、前記フランジと平行な板状のスチフナを設け、該スチフナの前記ウエブに対する固定位置を該ウエブの幅方向に関する中間部としたことから、前記切り欠き形成部における各フランジの変形抵抗を高めることなしに前記ウエブを補強しその曲げ耐力を高めることができる。 【0014】このため、建物の梁や高層ビルの耐震壁同士の連結部材として用いられた前記鋼製部材に地震力が作用するとき、前記切り欠き形成部分が先に降伏し、該切り欠き部分以外の他の部分である端部の降伏または破壊を回避することができ、また、前記鋼製部材がその両端部において互いに逆向きの曲げモーメントを繰り返し受けるときの前記切り欠き形成部分におけるウエブの孕み出し(挫屈)やこれに伴う前記鋼製部材のねじれの発生を回避することができる。 【0015】前記スチフナとして、これを板状体とすることに代えて、前記ウエブと共同して空間(例えば二等辺三角形の横断面形状を有する空間)を規定するものとするときは、前記ウエブについてその軸線周りの耐力を増大させることができる。 【0016】また、本発明に係る他の鋼製部材によれば、各フランジに1または複数の窪みを設けることにより、この窪み形成部分におけるフランジ幅に対する該フランジの厚さの割合を他の部分より小さいものとし、前記窪み形成部分の曲げ耐力の低減を図り、前記窪み形成部分を他の部分よりも降伏しやすいようにすることができる。しかも、この曲げ耐力の低減は前記フランジの幅寸法の減少を伴わないことから、弱軸(断面二次モーメントが最小になる軸)に対する剛性の低減が少ない。このため、この鋼製部材が梁や前記連結部材として用いられその両端部において互いに逆向きの曲げモーメントが繰り返し受けるときの前記窪み形成部分におけるウエブの孕みだしおよび前記鋼製部材における全体的なねじれの発生を回避することができる。 【0017】また、前記窪み形成部分のウエブおよび両フランジにこれらに直交するスチフナを固定することにより、前記ウエブおよび両フランジの曲げ耐力の増大を図り、梁または連結部材としての前記鋼製部材の両端に曲げモーメントが作用したときの前記窪み形成部分における座屈の発生を回避することができる。 【0018】 【発明の実施の形態】図1〜図3を参照すると、本発明に係る鋼製部材が全体に符号10で示されている。 【0019】鋼製部材10は建物の梁として、あるいは高層建築物の耐震壁(並列連層耐震壁)相互の連結部材として用いられる。 【0020】図示の鋼製部材10はH形の横断面形状を有し、互いに相対する上下一対のフランジ12と、両フランジ12に連なるウエブ14とを有する。本発明の鋼製部材は、図示の例の他、I形の横断面形状を有するものであってもよい。 【0021】鋼製部材10は両端部16を有する。これらの端部16は前記建物のコンクリート柱中または前記耐震壁中に埋め込まれ、これにより前記コンクリート柱または前記耐震壁に固定される。符号17は、各端部16と後記切り欠き形成部分との間に配置された一対のフェース・ベアリング・プレートを示す。両プレート17は前記コンクリート柱または耐震壁中に部分的に埋め込まれこれらの表面の一部をなす。なお、鋼製部材10の各端部16は、鉄骨製の柱(図示せず)に対しては溶接によりこれに固定される場合がある。この場合、フェース・ベアリング・プレート17は配置されない。 【0022】図示の例では、各フランジ12の幅寸法について、両端部16において大きくかつこれらの間の部分において小さいものに設定されている。 【0023】鋼製部材10は4対の切り欠き18を有する。各対の切り欠き18はそれぞれ各フランジ12の両縁部に設けられ、互いに相対している。また、各対の切り欠き18は、鋼製部材の各端部16の近傍にある。図示の例では、各切り欠き18は鋼製部材の両端部16の間の部分(中間部)にあって各端部16に近接しており、また、各端部16に近接する上下2対の切り欠き18も、また、互いに相対している。 【0024】図示の切り欠き18は、円形の一部である円弧とその弦とにより規定された平面形状を有する。切り欠き18の平面形状およびその大きさは任意に定めることができる。 【0025】切り欠き18を形成することにより、該切り欠きの形成部分ではフランジ12の幅寸法が他の部分より小さく、該他の部分より曲げ耐力が小さい。 【0026】このため、前記梁または連結部材として建物の一部をなす鋼製部材10に地震力が作用するとき、切り欠き18の前記形成部分が他の部分より容易に変形し、先に降伏する。これにより、鋼製部材に生じる変形が切り欠き18の形成部分に集中する。また、この降伏により地震力の一部が吸収される。その結果、鋼製部材10と前記柱または耐震壁との接続箇所における前記鋼製部材の端部16の破壊が回避される。 【0027】また、鋼製部材の各端部16の近傍において、一対の板状のスチフナ20が、それぞれ、ウエブ14の両側に両フランジ12と平行に配置されている。スチフナ20は、ウエブ14の一方の側にのみ配置してもよい。 【0028】図示のスチフナ20は全体に矩形の平面形状を有する鋼板からなり、その一縁辺において、ウエブ14の幅方向(図2で見て上下方向)における中間部に溶接により固定されている。 【0029】図示の各スチフナ20はウエブ14の長手方向(図2で見て左右方向)に関する長さ寸法が切り欠き18の長さ寸法より大きく、ウエブ14の長手方向に関してスチフナ20の大部分が切り欠き18の全部と重なり合っている。 【0030】前記ウエブの長手方向に関するスチフナ20と切り欠き18との重合関係については、各スチフナ20の少なくとも一部が切り欠き18と重なり合うものであればよい。例えば、スチフナ20の全部と切り欠き18の全部とが重なり合うように、あるいは、スチフナ20の一部と切り欠き18の一部とが重なり合うように設定することができる。これらの重なり合いにより、前記切り欠き形成部におけるウエブ14の曲げ耐力の増大を図ることができる。 【0031】また、図示の例では、スチフナ20はフランジ12の幅寸法のほぼ半分の長さの幅寸法(ウエブ14の厚さ方向に関する長さ)を有する。スチフナ20の幅寸法は、これに代えて、任意に定めることができる。 【0032】スチフナ20は、鋼製部材10の強軸(断面二次モーメントが最大になる軸)の周りの曲げ変形の中立軸に位置することから、鋼製部材10の両端に曲げモーメントが作用するとき、切り欠き18の形成によるフランジ12の幅寸法の低減により低下させた部材の曲げ耐力と剛性とを増大させることなく、これに伴うフランジ12によるウエブ14の補強低下を補う働きをなす。 【0033】このため、地震の際、鋼製部材10の両端に逆向きの曲げモーメントが作用するとき、曲げ耐力の低い前記切り欠き形成部分におけるウエブ14の孕みだし(挫屈)およびこれに伴う鋼製部材10のねじれの発生(逆対称ねじり塑性挫屈の発生)を回避することができる。 【0034】図4および図5に示すように、板状体からなるスチフナ20に代えて、ウエブ14と共同して空間22を規定する1の板部材からなるスチフナ24とすることができる。スチフナ24は、2以上の板部材をもって形成してもよい。 【0035】スチフナ24はウエブ14の長手方向へ伸びる山形鋼からなり、その両端においてウエブ14に溶接され、ウエブ14と共同して二等辺三角形の横断面形状を有する空間22を規定する。スチフナ24の稜線は、ウエブ14の幅方向に関する中央部に位置する。ウエブ14と共同して形成する空間22の横断面形状は、図示の例の他、例えば矩形、半円形等からなるものとすることができる。 【0036】スチフナ24は、前記切り欠き形成部分におけるウエブ14の曲げ耐力のほか、さらに、ウエブ14のねじり剛性を高める作用をなす。 【0037】次に、第6図に、前記逆対称ねじり塑性座屈の発生を回避し得る他の例に係る鋼製部材30の一部を示す。 【0038】鋼製部材30は、先に説明した鋼製部材10における切り欠き形成部分ではなく、以下に詳説する窪みの形成部分を備える点において鋼製部材10と相違する。 【0039】鋼製部材30は、その各端部16(ただし、一方の端部のみを示す)の近傍において各フランジ12に設けられその表面に開放する複数(図示の例では4つの)の窪み32を有する。窪み32は、図示の例に代えて、単一のものとすることができる。 【0040】各窪み32は全体に細長い長円形の平面形状を有する。同じ大きさの複数の窪み32がこれらの両端をフランジ12の長手方向に関して揃えられかつフランジ12の幅方向に互いに等しい間隔をおいて配置されている。 【0041】各窪み32の深さ寸法は任意に設定することができるが、例えば、フランジ12の厚さ寸法の約半分とすることができる(図8参照)。 【0042】フランジ12にこれらの窪み32を設けることにより、鋼製部材30の端部16の近傍の部分において、フランジ12の幅寸法の減少によらずにその曲げ耐力の低減を図ることができる。また、フランジ12の幅寸法の減少を伴わないために前記弱軸に対する剛性の低減を回避することができる。 【0043】その結果、鋼製部材10におけると同様、地震時における前記窪みの形成部分を他の部分よりも先に降伏させることができ、また、前記逆対称ねじり塑性挫屈の発生を回避することができる。 【0044】また、図7および図8に示すように、必要に応じて、前記窪み形成部分に一対の板状のスチフナ34を配置する。 【0045】両スチフナ34は、それぞれ、ウエブ14の両側に該ウエブと直交するように配置され、ウエブ14と両フランジ12とに溶接により固定されている。図示の例では、各スチフナ34は、窪み32をこれらの長手方向長さの中央部を横断するように伸びている。図示の例に代えて、スチフナ34の配置は、ウエブ14の両側の一方のみとすることができる。 【0046】スチフナ34は、フランジ12およびウエブ14の双方に対する補強作用をなし、これにより、地震の際に鋼製部材10の両端部に曲げモーメントが作用する場合の各窪み形成部分における座屈の発生を防止することができる。 【0047】窪み32は、例えば機械加工(座ぐり)により、形成することができる。また、窪み32の平面形状、大きさ、数量、深さ等は前記窪み形成部分について設定すべき曲げ耐力の大きさを考慮して定めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001317 【氏名又は名称】株式会社熊谷組
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| 【出願日】 |
平成12年6月2日(2000.6.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070024 【弁理士】 【氏名又は名称】松永 宣行
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| 【公開番号】 |
特開2001−348998(P2001−348998A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月21日(2001.12.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−166552(P2000−166552) |
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