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【発明の名称】 鉄骨架構
【発明者】 【氏名】鈴木 宏一

【要約】 【課題】現場に搬入する部材を小型化できるので、運搬・揚重・施工管理を大幅に簡略化でき、さらに、鉄骨部材作製時の溶接量を少なくして製作時の品質管理も大幅に簡略化でき、また、鉄骨架構として構築後に必要に応じて自由に分解・再組立てが可能となる。

【解決手段】径の小さな鋼管6に下部係止部材として鍔状の下部接合金物8を設け、径の小さな鋼管6に径の大きな鋼管7を嵌め、径の大きな鋼管7から上方へ突出する径の小さな鋼管6の突出部に上部係止部材としての鍔状の上部接合金物11を嵌めて前記径の大きな鋼管7上端位置まで降ろし、前記下部接合金物8および上部接合金物11で梁鉄骨4の端部を挟み込むようにして接合し、径の小さな鋼管6端に柱本体管10としての径の大きな鋼管を嵌合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 径の小さな鋼管に下部係止部材を設け、径の小さな鋼管に径の大きな鋼管を嵌め、径の大きな鋼管から上方へ突出する径の小さな鋼管の突出部に上部係止部材を嵌めて、前記下部係止部材および上部係止部材で梁鉄骨端部を挟み込むようにして接合し、径の小さな鋼管端に柱本体としての径の大きな鋼管を嵌合することを特徴とした鉄骨架構。
【請求項2】 径の大きな鋼管の外周に上部係止部材および下部係止部材を相互に上下間隔を存して設け、径の小さな鋼管に径の大きな鋼管を貫通するように嵌め、前記下部係止部材および上部係止部材接合金物に梁鉄骨端部を接合し、また、径の小さな鋼管の端に柱本体管としての径の大きな鋼管を嵌合することを特徴とした鉄骨架構。
【請求項3】 下部係止部材は鍔状の下部接合金物であり、上部係止部材は鍔状の上部接合金物である請求項1または請求項2記載の鉄骨架構。
【請求項4】 下部係止部材および上部係止部材間に縦板であるウェブプレートを配設する請求項3記載の鉄骨架構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨建築構造物の構築として、梁鉄骨と柱鉄骨の鉄骨架構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築の鉄骨架構における鋼管柱と梁鉄骨との接合部は、従来、図15に示すように、鋼管柱1の外周から梁鉄骨端部への接合を行うものとして梁鉄骨と同一断面形状のブラケット2を突設している。このブラケット2は輪切り鋼管を接続してなる鋼管柱1の内ダイヤフラム3を設け、この内ダイヤフラム3の縁にフランジ2a端を溶接する。
【0003】このようにして図示は省略するが、梁鉄骨端部をブラケット2に衝合させ、接合プレートを介在させて高力ボルトで締結する。
【0004】この鋼管柱1は図16に示すように通常3層分の柱部材として工場製作され、横倒しの状態で大型トラックやトレーラー等で現場に運搬され、組立て済みの鋼管柱に溶接接合される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記図15、図16に示す従来の鉄骨架構の鋼管柱は、加工工場で柱部材に梁の接合金物であるブラケット2を溶接するため、非常に大きな柱部材に加工を行うための大型の加工設備が必要とされる。特に、通常は3層分の柱部材とするため加工設備が大型のものとなる。また、加工後非常に大きな柱部材を現場まで搬送するための大型トラックや現場での積み降ろしや建込みに大型の揚重機の使用が必要とされた。
【0006】さらに、柱部材として溶接でこれを組立てるため、材料となる鋼材の製作精度および品質管理を非常に厳しく行う必要がある。
【0007】このように従来の建築鉄骨架構は、鉄骨架構の製作・品質管理・運搬・揚重・施工管理に多大な労力を必要とするとともに、部材が溶接接合されるため分解・再組立が非常に困難であった。
【0008】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、現場に搬入する部材を小型化できるので、運搬・揚重・施工管理を大幅に簡略化でき、さらに、鉄骨部材作製時の溶接量を少なくして製作時の品質管理も大幅に簡略化でき、また、鉄骨架構として構築後に必要に応じて自由に分解・再組立てが可能となる鉄骨架構を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、第1に、径の小さな鋼管に下部係止部材を設け、径の小さな鋼管に径の大きな鋼管を嵌め、径の大きな鋼管から上方へ突出する径の小さな鋼管の突出部に上部係止部材を嵌めて、前記下部係止部材および上部係止部材で梁鉄骨端部を挟み込むようにして接合し、径の小さな鋼管端に柱本体としての径の大きな鋼管を嵌合することを要旨とするものである。
【0010】第2に、径の大きな鋼管の外周に上部係止部材および下部係止部材を相互に上下間隔を存して設け、径の小さな鋼管に径の大きな鋼管を貫通するように嵌め、前記下部係止部材および上部係止部材接合金物に梁鉄骨端部を接合し、また、径の小さな鋼管の端に柱本体管としての径の大きな鋼管を嵌合することを要旨とするものである。
【0011】第3に、下部係止部材は鍔状の下部接合金物であり、上部係止部材は鍔状の上部接合金物であること、第4に、下部係止部材および上部係止部材間に縦板であるウェブプレートを配設することを要旨とするものである。
【0012】請求項1および請求項2記載の本発明によれば、鋼管構造架構の柱として、径の異なる鋼管同士を組合わせ、径の大きな鋼管の中に径の小さな鋼管を挿入して接合することで、溶接を行わずに柱を構成し、梁との接合には接合金物に嵌め込まれた鋼板を介して高力ボルト接合を行うことで、溶接を行わずに構造架構の組立てを行うことができる。また、このように溶接を行わず構造架構の組立てを行うことができるので、鉄骨建築架構を必要に応じて、自由に分解・再組立てすることが可能となる。
【0013】さらに、鉄骨架構の中で、鉄骨加工工場で製作することが必要な部分は接合金物部分だけであるため、大幅なコストダウンと製作工期短縮ができ、これに加えて、従来のような大型設備や運搬・揚重用大型トラックやクレーンが不要となる。
【0014】請求項3記載の本発明によれば、下部係止部材や上部係止部材はこれを鍔状の接合金物とすることで、比較広い面積で安定した係止が可能となる。
【0015】請求項4記載の本発明によれば、前記作用に加えて、ウェブプレートが梁鉄骨への接合金物となり、従来のブラケットを突出するような接合の便宜性が確保できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の鉄骨架構の第1実施形態を示す分解側面図、図2は同上組み立て後の側面図、図3は図1のA−A線矢視図、図4は図2のB−B線矢視図で、図中4は梁鉄骨である。
【0017】本発明は、梁鉄骨4と柱鉄骨5の接合部として、径の小さな鋼管6と径の大きな鋼管7というように径の異なる鋼管同士を組み合わせるものである。なお、これら径の小さな鋼管6と径の大きな鋼管7とはともに輪切り鋼管で、相互に嵌合する場合はなるべく隙間なく嵌合する。
【0018】径の小さな鋼管6の外周下部には下部係止部材として、鍔状の下部接合金物8を隅肉溶接により設けた。図3に示すようにこの下部接合金物8はボルト孔9を穿設している。
【0019】また、径の大きな鋼管7は梁鉄骨4の梁丈にほぼ等しい高さとする。
【0020】前記径の小さな鋼管6はすでに建込んである柱本体管10が前記径の大きな鋼管7と同径の径の大きな鋼管であり、この柱本体管10に下部接合金物8よりも下の部分を嵌入させ、下部接合金物8より上部では径の小さな鋼管6に径の大きな鋼管7を嵌める。柱本体管10も輪切り鋼管である。
【0021】このようにして、径の小さな鋼管6はその上部は径の大きな鋼管7から上方への突出するが、この突出部に上部係止部材として前記下部接合金物8と同形の鍔状の上部接合金物11を嵌めて前記径の大きな鋼管7の上端位置まで降ろす。
【0022】また、前記下部接合金物8および上部接合金物11で梁鉄骨4端部を挟み込むようにして高力ボルト12で締結する。
【0023】図5、図6はこのようにして形成した鉄骨架構を示すもので、前記径の小さな鋼管6に上部階の柱本体管10の下端を嵌める。これら径の小さな鋼管6と径の大きな鋼管7や柱本体管10は相互の嵌合の隙間には必要に応じてモルタルや接着剤を充填してもよいが、短期間で架構を再分解する場合などにはPC鋼線、PC鋼棒等のテンション材13を配設し、このテンション材13に架構組立後所定の引張力を導入することで鋼管柱である柱鉄骨5に圧縮力を作用させることで必要な構造耐力を与えるようにしてもよい。
【0024】なお、下部接合金物8および上部接合金物11の形状は鋼製プレートとしてある程度の面積があれば特に限定はなく、図7、図8に他の形状例を示す。
【0025】図9〜図12は本発明の第2実施形態を示すもので、径の大きな鋼管7はその外周に鍔状の下部接合金物8および上部接合金物11を相互に上下間隔を存して設け、さらに、これら下部接合金物8および上部接合金物11間に縦板であるウェブプレート14を配設した。該ウェブプレート14は径の大きな鋼管7の外周に放射状に配列する。
【0026】径の小さな鋼管6に、前記下部接合金物8および上部接合金物11およびウェブプレート14を配設してユニット化した径の大きな鋼管7を該径の小さな鋼管6が上下に貫通するように嵌め、この径の小さな鋼管6の下端は柱本体管10の上端に挿入し、また、前記下部接合金物8および上部接合金物11に梁鉄骨4の端部を接合する。
【0027】これら下部接合金物8および上部接合金物11と梁鉄骨4の接合には接合プレート15を介在させて高力ボルト12での締結となる。また、ウェブプレート14と梁鉄骨4のウェブも衝合し、接合プレート16を介在させて高力ボルトでの締結となる。
【0028】前記径の小さな鋼管6に上部階の柱本体管10の下端を嵌める。この場合も前記第1実施形態と同じくテンション材13を配設し、柱鉄骨5に圧縮力を作用させることで必要な構造耐力を与えるようにしてもよい。
【0029】図13、図14は本発明の第3実施形態を示すもので、前記第1実施形態、第2実施形態はともにテンション材13は柱内側配置としたが、これを柱外側配置とした。テンション材13の本数も複数本(図示の例では4本)とする。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように本発明の鉄骨架構は、現場に搬入する部材を小型化できるので、運搬・揚重・施工管理を大幅に簡略化できるものである。
【0031】さらに、鉄骨部材作製時の溶接量を少なくして製作時の品質管理も大幅に簡略化でき、また、鉄骨架構として構築後に必要に応じて自由に分解・再組立てが可能となるものである。
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【出願日】 平成12年6月1日(2000.6.1)
【代理人】 【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
【公開番号】 特開2001−342681(P2001−342681A)
【公開日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【出願番号】 特願2000−164135(P2000−164135)