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【発明の名称】 空間仕切り面用防音複合システム
【発明者】 【氏名】マンフレッド アルザセール

【要約】 【課題】足音の防音と空間の音響との両方を改善することができる空間仕切り面用防音複合システムを提供する。

【解決手段】床、壁又は天井の表面材(V)に連結された、0.1、特に0.2の内部損失係数ηINTを有する一つの制振層(D)と、床、壁又は天井の表面材(V)ないし制振層(D)の空間とは反対側でこれらに接続した、20 MN/m3以下の、特に10 MN/m3以下の動剛性s'を有する一つの足音遮蔽層(S)とを有する防音複合システムである。床、壁又は天井の表面材(V)は、40 mm以下、特に20 mm以下、なお、特に10mm以下の厚さの一つの被覆板であり、その際被覆板(V)の二つの部分の間に少なくとも一つの制振層(D)が配設されている。足音遮蔽層 (S)は多重のエアクッションシートとして形成され、制振層(D)は、>1600 kg/m3、特に>2000 kg/m3の密度及び/又は>5 kg/m2、特に>10 kg/m2の面積重量を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空間仕切り面用防音複合システムであって、その都度の床、壁または天井の表面材(V)に連結された、好ましくは少なくとも0.1、特に少なくとも0.2の内部損失係数ηINTを有する一つの制振層(D)と、前記床、壁または天井の表面材(V)ないし前記制振層(D)の空間とは反対側でこれらに接続した、20MN/m3以下の、好ましくは10 MN/m3以下の動剛性s'を有する一つの足音遮蔽層(固体伝播音遮蔽層)(S)とを有する前記防音複合システム。
【請求項2】 前記床、壁または天井の表面材(V)が、40 mm以下、好ましくは20 mm以下、特に10 mm以下の厚さの一つの被覆板であることを特徴とする請求項1記載の防音複合システム。
【請求項3】 前記被覆板(V)が二つの部分から形成され、両方の部分(V1、V2)の間に少なくとも一つの制振層(D)が配設されていることを特徴とする請求項2記載の防音複合システム。
【請求項4】 前記被覆板(V)が二つの部分から形成され、その一方が制振層(D)として形成されていることを特徴とする請求項2記載の防音複合システム。
【請求項5】 前記床、壁または天井の表面材(V)および前記制振層(D)の間に一つの蒸気バリヤー層または蒸気遮蔽層(B)を − 場合によっては一つの加熱シートとしてまたは一つの加熱シートを追加して − 配設することを特徴とする前記請求項の何れか1項記載の防音複合システム。
【請求項6】 前記足音遮蔽層 (S)を多重のエアクッションシートとして− 場合によっては少なくとも一つの中間層を設けて − 形成することを特徴とする前記請求項の何れか1項記載の防音複合システム。
【請求項7】 正反対の形状の二つのエアクッションシート(F1,F2)を、一方のエアクッションシート(F1)の気泡(N1)がもう一方のエアクッションシート(F2)の気泡(N2)の間にはまり込むように重ね合わせることを特徴とする請求項6記載の防音複合システム。
【請求項8】 前記制振層(D)が、>1600 kg/m3、好ましくは>2000kg/m3の密度および/または>5 kg/m2、好ましくは>10 kg/m2の面積重量を有することを特徴とする前記請求項の何れか1項記載の防音複合システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空間を仕切る表面用の防音複合システムに関する。
【0002】
【従来の技術】建造物において、区画された部分の間の固体伝播音の防音(以下足音の防音と称す)を現実的な建材の寸法において満足できるように達成するには、多層の− 一般には2層の − 建材を使用するか、または重量のある1層の仕切り床材にやわらかい弾力のある通路用被覆材を併用する方法しかないことは建設物理の理論からよく知られている。2層の仕切り床材は一般に浮き床(訳注:schwim-mender Estrich (DIN 4109 T4):遮音材の上に自由に動けるように設けた床材)の形態をとるので普通その構造がかなり高くなり、特に古い建物の修復には既存の高さとの接続の問題で実施できないことが多い。構造全体での足音を最低にするのに必要な多層床材の足音の改善量VMerf の計算にはヨーロッパの国によっては弾力のある敷物の使用を考慮しなくともよい。この敷物は又一部には特に湿った範囲(風呂場)には適さないまたは使用できない。
【0003】これに対して最近比較的薄い床被覆材と壁表面材が益々広く使用されるようになった。これは例えば木の板ないしパーティクルボートから構成した例えばプラスチック積層材の非常に硬い表面を有する床材である。この − 1層として使用される − 床ないし壁の被覆材は足音の発散に関して、歩き回る空間自体の中でさえも問題で主観的に不快感を覚えるようになる。
【0004】ドイツおよびオーストリアでは浮き床が足音遮蔽技術の標準仕様である。しかし床の敷物はその老化性と交換の可能性のために最低の足音遮蔽の音響技術的証拠には考慮されない。やわらかい弾力の通路の敷物の共鳴周波数は接触時間が増えるにつれて減少し、又これは音を発生する対象物の敷物層の中への圧入深さと、勿論足音発生者の寸法と質量とにも関連する。この関連が、通路の敷物によるレベルの低下に関する標準ハンマ装置による測定結果と同じ仕切り床構造を歩いた場合との根本的な食い違いの原因である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】薄くて硬い通路の敷物は建設の実地では、それが十分の負荷分配を保証するならば、これを浮き床として取り付ければ、これは基本的に一つの浮き床と一つのやわらかい弾力の通路の敷物とによる一つの中間的解決である。しかしこの通路の敷物の足音に関する欠点が今の所多くの場合尚存在しており、即ち● 一方では一般に負荷を分配する層の質量が比較的小さいので、2層構成の足音の受け入れ得る改善度を達成するには中間層の動剛性が10 MN/m3よりも明らかに小さいことが必要であるが、従来の足音用遮音材では層の厚さをかな大きくしなければならず、そのため構造の高さが大きくなる。
● 他方では硬い1層の通路用被覆材自体の足音発生状況が、普通非常に硬い表面層のための足音発生者の僅かの圧入深さ(短い接触時間)とそのために生ずる望ましくない共鳴周波数 − 既に主観的に認め得る − とにより特に不満足であり、そのためしばしば走行する空間で不快な走行雑音(『カタかタ』)が認められる。
【0006】音響技術的立証の基準となるドイツ工業規格DIN 4109 には足音を少なくする床の被覆層の例が記載してある。例えば少なくとも22 mmの厚さの木製パーチクルボードを、動剛性s' が 10 MN/m3 以下の繊維防音材の上に前面固定せずに設置した木製床構造に対して、少なくとも25 dBの足音の改善を見込むことができる。しかしこの例は既に、特に薄い例えば木製ないし積層の床被覆材によりこの程度の改善を達成するには既に特殊の対策が必要であることを示している。
【0007】
【課題を解決するための手段】従って本発明の課題は、足音の防音と空間の音響との両方を改善することができ、特に薄い、硬い通路の被覆材もしくは壁または天井の表面材の場合に解決可能な防音複合システムを提供することにある。この課題は請求項1記載の対策により達成される。本発明のその後の発展および改善は従属請求項の特徴部に記載してある。本出願の中で足音の防音が問題になった時は、それは壁や天井の表面材の場合にも常に防音それ自体を意味すると理解されたい。
【0008】剛性の硬い足音を発散する被覆材に好ましい影響を与える薄い一つの制振層と、一つの − 好ましくは同様に比較的薄い遮音層、特に好ましくはガスまたは気体を充填した気泡クッションシートとの組合せが、修復の範囲に対して有利な低い構造高さを備えており、2層構成の防音技術的長所を文字通り利用することができる。
【0009】浮き床の下での足音の防音のための気泡クッションシートの使用は現在、例えばドイツ特許公開公報第A1-2841208号またはスイス特許公報第B-645968号により既に公知である。これらの提案は空間の音響的または空気伝播音遮蔽技術的利用であるが、しかし何れも適切な解決方法ではない。
【0010】
【発明の実施の形態】一方本発明の防音複合システムにおいては、従来の技術から公知の単一の層、例えば上述の両方の公報に記載の気泡クッションシート、またはドイツ実用新案公報第U1-29820016号記載の、ポリウレタンにより結合されたコルク顆粒および/またはゴム顆粒から成る、あるいは変性焼き石膏から成る一つの制振層を追加する形態の防音技術的対策とは異なり、本発明のそれ自体は公知の、硬い音を出す通路被覆材に対する両方の決定的な影響力である内部の消音と足音の改善とを、複数の分離した個々の層への機能の配分により個々の応用の場合に最適にすることができる。
【0011】通路用被覆材の下側に直接接着する第1の制振層の材料は好ましくは建材として1600 kg/m3より大きい密度と同時に0.2 ないし6.0 の内部損失係数ηINTとを有する。本発明の防音複合システムに設けられる制振層は好ましくは表面積当りの質量が約10 kg/m2であるいは層の厚さによってはそれ以下とする。
【0012】本発明の防音複合システムは音響技術的に、場合によっては必要となる防熱技術および蒸気拡散技術を別とすれば、次の三つの点で作用する:a. 優先的には薄い、剛性の、硬い音を出す通路用表面材から歩行空間自体に発生する、そのような床用表面材には典型的な、主観的に極めて不快な、建築音響に関連した周波数の上側の範囲のカタカタいう音を避けるための、このような表面材の発生挙動を改善するための空間音響学的対策として、b. (実際には普通使用される弾力のある通路用敷物の代わりとしての)硬い音を出す通路用表面材の場合にも許容できる程度の足音改善を達成するための足音低減対策として、c. さらにまた空間伝播音の防音技術的に有効な対策として。
【0013】本発明の防音複合システムは一つの薄い、比較的軽量な、一つの音響制振層を備えた負荷分配板と、一つの特殊の寸法の気泡クッションシート − 20以下、好ましくは10 MN/m3以下の動剛性を有する − とを組み合わせて、この2層構成の長所を床構造に対しても個々の層の比較的少ない面積質量により開発する。個々の場合には既に、薄い、充分剛性のある通路用被覆材自体が負荷分配機能を受け持つ。
【0014】本発明の防音複合システムは、実現しようとする2層の塗り床の被覆材ないし天井または壁の表面材の全体を建築物理学的に最適化する意味において、蒸気拡散技術的要求(環境条件による防湿)、足音の防音(室内の音の発生、隣接する空間からの固体伝播音)および放熱または熱の伝達に対する所望の少なくとも幾らかの防熱に関して、例えば上部または内部(すなわちその都度の空間側)から始めて、次の個々の構成要素を有する:● 必要に応じて蒸気バリヤー層ないし蒸気遮蔽層(可能なひとつの変形はドイツ公開特許公報第A1-19823498,19826544 または19836148号に記載の平面加熱式サンドイッチの形態);
● 高い内部損失係数ηINTを有する制振層;
● 低い動剛性s'を有する足音遮蔽層、好ましくはガスないし気体を充填した気泡クッションシート。
【0015】本発明の複合システムにより音響技術的に改善された通路の被覆材および壁の表面材は、また直接に外側構造の上または前に配設できることを考慮して、複合システムの高い温度側に一つの蒸気バリヤー層または蒸気遮蔽層を設けることを勧める。そうすれば低い温度の構造部品の所までの水蒸気の侵入を少なくしさらには防止して、中心部での好ましくない水の凝縮を防ぎ、糸状菌の発生を最低に抑えることができる。
【0016】制振層により、薄いが硬い1層の床被覆材および壁表面材の共鳴周波数と音響発散度とが好ましい影響を受ける。他の変法によれば制振層が例えば〜0.6の高い内部損失係数ηINTと充分硬い表面と負荷分布性能とを備えた有機ガラス製であれば、これを空間側の第1の層として形成することもできる。
【0017】従来の市販されているある程度の層の厚さの足音遮蔽製品の動剛性s'[MN/m3]は、骨格材料の動剛性とこの材料の間にある空気の動剛性との組合せにより得られる。重要な点は、このような製品の空気の動剛性が更に従来の足音遮蔽板の端面に現れることにより強い影響を受ける。本発明はこれまでの知見に基づいて、優れた機能の − 例えば巻上げ可能の − 厚さが5乃至最大20mm(好ましくは約10mm)の比較的薄い製品を製造することができ、その際 − 例えば繊維状の遮音材または圧縮されたプラスチックフォームの代わりに − プラスチックの気泡クッションシートを使用することにより10 MN/m3より小さい動剛性を得ることができる。このような本発明の足音遮蔽層のガスまたは空気を充填した気泡は建材の用途に対しては − 従来の例えば米国特許第A-5 584 130号により公知の包装産業用または靴の敷き革用のエアクッションシートとは異なり −その直径、高さ、相互の間隔が目的に応じて定められ、使用したプラスチックシートの骨格の剛性、気泡に充填された気体(空気)の動剛性、および気泡の間に存在する空気の挿入された状態の組合せにより、20より小さい、好ましくは10MN/m3以下の動剛性が得られる。これは1層のクッションシートまたは2層または多層のクッションシートの組合せの何れによっても達成可能である。
【0018】動剛性s' の特性値の他に足音遮蔽-気泡クッションシートを建造物に実際に使用する場合には、動剛性s' の特性値の他に当然安定性が決定的な影響を与える。これに対して、使用するプラスチックシートは、気泡の充填度が関連する期間を通じて充分一定であり、気泡クッションシートの負荷能力が取り付けた状態において充分大きく安定であるように、その厚さを選定する。
【0019】薄い足音遮蔽気泡クッションシートの達成された防熱性は、その気泡に面した表面が高い比放熱係数εr(できるだけ1に近い)を有する場合には、カバーシートを貼ってこれを改善することができる。こうして、一般の熱放射を生ずる部分のみならず、対流および熱伝導により生ずる全ての熱伝達を気泡の間に存在する空気層を介して最少にすることができる。
【0020】次に本発明を貼付した図面により例示して説明する。ここで図1ないし図4は本発明の防音複合システムの効果を従来の構造と比較した図表、図5は本発明の種々の変形の断面図、図6は本発明を実施するための2重エアクッションシ−トの実施例の図である。
【0021】図1は、それぞれ同じ剛性の硬い音を出す通路用被覆材(1 mmのプラスチック積層板を張った高密度の繊維板、総厚7.6 mm)に対して、走行空間の中での経過を標準ハンマ装置により1mの間隔で、音圧レベル(dB)を調節して、すなわち3次中間周波数(Hz)に依存して記録した。前述のように空間の音響との関連性は限られているけれども、比較のために標準ハンマ装置を、次の4種の構成に対して使用した:● 被覆材X7.6単独;
● 被覆材X7.6に約10 mmの厚さの2重エアクッションシートDNFB(s' 〜20 MN/m3)を張り付け;
● 被覆材X7.6に、3 mmの厚さと890 kg/m3の密度(2.67 kg/m2の表面積当りの質量に相当)と僅か約0.16の内部損失係数ηINTとを有するコルクマット3Kと、上記と同じエアクッションシートDNFBとを張り付け;
● 被覆材X7.6に、5 mmの厚さと2008 kg/m3 の密度(10.04kg/m2の表面積当りの質量に相当)と4.0の内部減衰係数とを有するビチューメンマット5Sと、上記と同じエアクッションシートDNFBとを張り付け。
【0022】エアクッションシートDNFBの代わりに図2に鉱物繊維遮蔽材TDPS 35/30 mm(s'〜7.5 MN/m3)、図3に発泡ポリスチレン製の足音遮蔽板EPS 34/30 mm(s' 〜10MN/m3)を使用した類似の値を示す。
【0023】三つの図面のそれぞれから、これまで述べたように生じた空間の音の大きさのレベルの低下は、防音複合システムの個々の層を本発明により特別に同調させ、次のようにして初めて達成できることが明らかにされた、すなわち● 一方では薄い剛性の通路被覆材の音響学的制振を充分に実施して、その振動性、それにより放射性、特にそのような通路被覆材に関連する800 HZ以上の周波数の範囲に好ましい影響を与える(空間における音圧レベルを10 dBだけ明らかに少なくする)、更に● 他方では、複合システムの共鳴周波数(それぞれ約250 Hzから630 Hzまで)を“裸の”剛性の硬い音を出す通路用被覆材(1000 Hzから4000 Haまでの範囲に平坦部がある)に対して明らかにそれよりも低い周波数に移行する。
【0024】実際の場合に常に実施すべきこの両方の効果を重ねることによって、更に周知の薄い剛性の通路被覆材を歩行する際に発生する − 主観的に著しく不快な− 高周波数のカタカタ言う雑音も最終的に抑制することができる。この配置は本発明の複合システムを開発するための出発点を示す。
【0025】薄い、硬い音を出す市販の通路用被覆材X7.6を刺激した際の標準ハンマ装置による空間内の音圧レベルの周波数に依存した測定経過に対して、本発明の組合せによる両方の経過は特に高い周波数の範囲(1000 Hzを超過)において明らかに低下している。低周波数の範囲では、本発明の防音複合システムは最適化した後に初めて同じ低下が得られる。
【0026】この最適化は、エアクッションシートを、その動剛性が10 MN/m3以下になるように特殊の寸法設定を実施する。それにより全体の複合システムの共鳴周波数が大きく低下して、そのためそれ自体高周波数の範囲で得られるはずの音圧の大きな低下が低周波数の範囲でも発生するようになる。これに加えて、床の被覆材を歩くときの不快なカタカタ音が防止され、その結果生ずる空間の音圧レベルが明らかに低下する。
【0027】本発明の防音複合システムはパーチクルボードを使用した床の被覆材だけでなく、原理的には全ての、浮き床無しの床の被覆材に使用できるが、しかし通路用被覆材では常に負荷を分配する被覆材のみに使用可能である。
【0028】図4は、制振していない剛性の硬い音を出す通路用被覆材から初めて、この被覆材を二つの異なる制振材(コルク、ビチュウーメン)と、更に全部で4種の足音遮蔽に技術的に有効な層(図1ないし図3の前記の説明に記載した材料に鉱物繊維遮蔽板TDPS 15/10を追加)とを組み合わせ、実験室試験で得られた改善を次の三つのグループに纏めた。この三つのグループは次の状況に相当する:● 制振していない床の被覆材(図の左側)、● 厚さ3 mmのコルク層で制振した床の被覆材(図の中央)、● 厚さ5 mmのビチュウーメン層で制振した床の被覆材(図の右側)。
使用した3種の異なる足音遮蔽材の動剛性は前記の図1乃至図の3説明の所に記載してある。コルクはその内部損失係数ηINTがなお比較的低いために、得られた結果はまだ満足できない。薄い層厚のこの材料は好ましくない。
【0029】具体的な防音複合システムの選定の基礎と成る知見、すなわち通路用被覆材の放射性に関して足音遮蔽層の内部制振もなお重要な役割を果たすという知見は、測定技術的に、異なる厚さと動剛性の鉱物繊維性足音プレート(TDPS 35/30およびTDPS 15/10)を使用する際の両方の相当する音の大きさのレベル(ソーンが実際には同じ高さであることにより裏付けられる。
【0030】厚さが僅か10 mmで、構造高さを少なくできる2重エアクッションシートDNFBは、s' 〜20 MN/m3という比較的高い動剛性にもかかわらず、約3倍ほど厚い市販の発泡ポリスチレン(EPS 34/30, s' 〜10 MN/m3)と比べて、その可聴の空間内の音の大きさが僅か1.8ソーンだけ、すなわち問題にならないほど高いだけである。この効果も物理的には、2重エアクッションシート自体が無数のプラスチック材料の通路を介して高い制振性を示し、これが究極的に空間の中に放射される音に関して − 専門家にとっても − 意外な好結果の原因であるとのみ説明されよう。
【0031】薄い剛性のある通路用被覆材の発散性(空間の音響)の顕著な改善に対する本発明の防音技術的対策の効果を、一人の住民の主観的聴覚にはっきりと印象付ける目的で、複合システムの個々の組み合わせに対して先ず測定した結果の音圧レベル(dB)をヒトの耳の聴覚に対して標準的な単位フォン(音の大きさ)ないしソーン(音の大きさのレベル)に換算した。
【0032】第1の(左側の)音の大きさのレベルのグループでは、先ず薄い剛性の通路被覆材と足音遮蔽層のみの手近な組合せでは、空間の発生した音のレベルの期待された低下の代わりに空間音響学的状況の著しい劣化が発生し、それは使用した足音遮蔽層の動剛性が小さいほど(普通は有利な筈であるのに)益々増大した。
【0033】中間のグループでは、通路被覆材を先ず3 mm厚さのコルク層で下側を制振してからそれぞれ4種の異なる足音遮蔽層と組み合わせた。通路被覆材のコルク層の音響的制振により標準ハンマ装置の刺激の際の調整された音の大きさのレベルは足音遮蔽層のとの組合せによって確かに低下はしたが、制振していない被覆材に比べて、室内の騒音レベルの低下は取り立てて言うほどの大きさではない。
【0034】(左側の)第3のグループは、本発明の防音複合システムの層の配置に相当し、走行空間の音の大きさのレベルは、制振していない通路被覆材のみの場合よりも10ないし20ソーン低い。最も有効と立証された音の大きさのレベルの20ソーンの低下は、約20%の主観的改善に相当する。これは動剛性が10 MN/m3以下の一つの足音遮蔽材の使用により達成された。
【0035】本発明の制振層Dは、例えば図5に示すように、種々の方法で配置できる。この層を表面層Vの下側、または足音遮蔽層Sの上側に置き、その下側をたとえば基礎の塗り床Uに接着剤で固定する(図5(a))。この制振層を表面層Vの心材として形成するか、または2層からなる表面層V1、V2の間に配置してもよい(図5(b))。表面層Vと制振層Dとの間には蒸気バリヤー層ないし蒸気遮蔽層Bを− 場合によっては加熱シートの形でまたは加熱シートを追加して − 配置することもできる(図5(c))。図5に示した各層の厚さの割合は決してこれに限定するものではない。例えば図5aの表面材V(例えば尚負荷の分配が可能であれば厚さ5 mm の硬質繊維板または積層板)を制振層Dよりも薄く形成し、後者の方は(はるかに厚い)支持層として形成し、骨材を適当に選定して所望の高内部損失係数ηINTを得ることも可能である。
【0036】図6は本発明による好ましい2重エアクッションシートの断面図である。その際、この図の両方のエアクッションシートF1、F2の間に空気の間隙があるが、これは理解を助けるための記載で、実際には両方のエアクッションシートは勿論気泡の間を互いに溶接してある。シートF1の気泡N1は − 例えばチェス盤または六角組合せのように − シートF2の気泡N2の間にはまり込む。更に小さい動剛性を得るために、気泡の寸法と間隔、更にシートの総数と必要があれば中間層を目的に応じて選定する。
【0037】
【発明の効果】例えば通路用被覆材の下側に接着した非常に高密度の材料からなる、本発明の制振層により、薄い通路用被覆材の面積当りの質量 − 乃至薄い壁被覆材を使用する場合のその質量 − が著しく増大するので、これを本発明の防音複合システムの足音技術的に有効な層の低動剛性と連結し、どっしりした下部構造と組み合わせれば(壁や天井の範囲においても)、非常に低い共鳴周波数を有する全システムが得られ、これは基本的には空気伝播音の技術にも有効であり、あるいは空間音響的目的の吸音板アブソーバーとしても使用可能である。
【出願人】 【識別番号】500355008
【氏名又は名称】アルザセール、マンフレッド
【出願日】 平成12年12月22日(2000.12.22)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外1名)
【公開番号】 特開2001−214551(P2001−214551A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−390984(P2000−390984)