| 【発明の名称】 |
木ダボ接合構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】松木 裕一
【氏名】小泉 章夫
【氏名】ヨルゲン・イェンセン
【氏名】佐々木 貴信
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| 【要約】 |
【課題】接着剤の選定自由度を拡大でき、しかもダボ材とダボ孔間に作用する剪断応力をダボ孔全体にわたってより一層均一に分散させることで木材同士の接合強度を高め得る木ダボ接合構造及び木ダボ接合用接着剤を提供する。
【解決手段】第1木材2と第2木材3との接合部4に相互に連通可能なダボ孔2a,3aをそれぞれ形成し、両ダボ孔2a,3aにわたって遊嵌状にダボ材5を装着し、ダボ孔2a,3a の内面とダボ材5間の隙間に、木材2,3とダボ材5とを接合する接着剤層であって、剪断強度が木材の剪断強度と略同等或いはそれ以上で且つ剪断剛性が40N/mm3以下の接着層を形成可能な接着剤層6を設け、ダボ孔2a,3aとダボ材5間の隙間を、ダボ孔2a,3aの奧部よりも開口部付近の方が広くなるように設定した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1木材と第2木材との接合部に相互に連通可能なダボ孔をそれぞれ形成し、前記両ダボ孔にわたって遊嵌状にダボ材を装着し、前記ダボ孔内面とダボ材間の隙間に、木材とダボ材とを接合する接着剤層であって、剪断強度が木材の剪断強度と略同等或いはそれ以上で且つ剪断剛性が40N/mm3以下の接着層を形成可能な接着剤層を設け、前記ダボ孔とダボ材間の隙間を、ダボ孔の奧部よりも開口部付近の方が広くなるように設定した、ことを特徴とする木ダボ接合構造。 【請求項2】 前記ダボ孔とダボ材間の隙間を0.1〜3.0mmに設定した請求項1記載の木ダボ接合構造。 【請求項3】 前記ダボ孔とダボ材間の間隔をダボ孔の開口部側へ行くにしたがって段階的或いは連続的に広くなるように設定した請求項1又は2記載の木ダボ接合構造。 【請求項4】 前記ダボ材の外周面に接着剤層との接着面積を増大させるための凹凸部を形成した請求項1〜3のいずれか1項記載の木ダボ接合構造。 【請求項5】 前記ダボ材の端部又はダボ孔の奧部にダボ材をダボ孔の中央部に位置決めするための嵌合突部を形成した請求項1〜4のいずれか1項記載の木ダボ接合構造。 【請求項6】 前記接着剤層にダボ材をダボ孔の中央部に位置決めするためのビーズを設けた請求項1〜5のいずれか1項記載の木ダボ接合構造。 【請求項7】 前記接着剤層がポリウレタン系接着剤からなる請求項1〜6のいずれか1項記載の木ダボ接合構造。 【請求項8】 前記ポリウレタン系接着剤におけるイソシアネート基の割合を接着剤全量中において9.5〜3.0重量%に設定した請求項7記載の木ダボ接合構造。 【請求項9】 木材に形成したダボ孔と、このダボ孔に遊嵌状に装着されるダボ材間に、木材とダボ材とを接合するために充填される接着剤であって、イソシアネート基の割合が接着剤全量中において9.5〜3.0重量%に設定されたポリウレタン系接着剤からなることを特徴とする木ダボ接合用接着剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、2つの木材とを接合するのに好適に利用可能な木ダボ接合構造及び木ダボ接合用接着剤に関する。 【0002】 【従来の技術】木材同士を接合する接合構造として、例えば木製家具においては木ダボと接着剤とを併用した接合構造が広く採用されている。この種の接合構造では、第1木材と第2木材との接合部にダボ孔を形成し、このダボ孔内面又はダボ材に接着剤を塗布した状態で、ダボ孔にダボ材を圧入状に装着して、両木材を接合するように構成されている。 【0003】本発明者らは、このようなダボ材を用いた木材の接合構造の強度アップについての研究を行うなかで、前述のようにダボ孔に対してダボ材を圧入状に装着した接合構造においては、両木材に引っ張り力を作用させて破壊試験を行ったときに、木材のうちのダボ孔の開口部付近が破断していることを見いだした。そして、その原因について鋭意検討した結果、ダボ材とダボ孔とが略隙間なく結合されることから、ダボ材とダボ孔間に作用する剪断応力がダボ孔の開口部付近に集中し、これにより木材の開口部付近が破断しているとの結論を得た。そして、このような現象を防止するために、ダボ材をダボ孔に対して遊嵌状に装着し、その間に軟質な接着剤層を形成することで、ダボ材に作用する荷重をダボ孔全体に分散させて受け止め、局部的に剪断応力が高くなることを防止できるとの発想に基づいて、更に種々の試験を行って具体的接合構造への適用を検証し、木材学会誌において論文発表した(木材学会誌Vol.44,No1,p.41−48(1998)(一般論文)、木材学会誌Vol.45,No1,p.17−24(1999)(一般論文)、木材学会誌Vol.45,No3,p.230−236(1999)(一般論文))。 【0004】この木材学会誌では、基本的には、接着剤の種類や接着層の厚さを適正に設定することで、ダボ接合部分における引張強度や曲げ強度を格段に向上でき、しかも接着層の剪断応力τとダボ接合部分の引抜強度Pmaxを、図12(a)(b)に示すダボ引き抜きモデルにおいて、下記理論式1,2により推定できることを検証した。 【0005】 【数1】
【0006】但し、接着剤の一部は木材に浸透して接着層を構成することから、接着層の剪断弾性係数を接着剤層の剪断弾性係数として扱えない。そこで、剪断弾性係数の代わりに剪断剛性Γを用い、剪断歪みの代わりに木材とダボ材の相対変位δを用いることで、剪断応力τをτ=Γ×δの式で求めている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】前記木材学会誌に記載の木ダボ接合構造は、木材の引抜強度や曲げ強度等を前記理論式に基づいて求めることが可能なので、建築物等を要求強度に正確に設計することが可能となること、金具を用いて結合する場合と比較して結露などによる湿分による金具自体の錆や木材の腐敗がないので耐環境性に優れていること、リサイクルが容易で環境に優しいことなどの優れた利点を有している。 【0008】ところで、この木ダボ接合構造で使用する接着剤としては、ダボ孔全体に剪断応力が一様に作用するように構成するため、剪断剛性がダボ孔入り口から深さ方向に対して低下の少ないものを選定することが好ましく、また接着層の剪断破壊を防止するため、少なくとも木材と同等の剪断強度を有するものを選定することが好ましいが、通常剪断剛性の低い接着剤は剪断強度も低くなることから、剪断剛性を低くし過ぎると十分な剪断強度が得られず実用に耐えないものになる。現在、最も好適であると考えられている接着剤は、ポリウレタン系接着剤である。このポリウレタン系接着剤(剪断剛性:Γ=10N/mm3)は、図13に示すように、引張強度P=10kNの場合、レゾルシノール系接着剤(剪断剛性:Γ=40N/mm3)を使用した場合と比較して、ダボ孔の開口部付近においても、ダボ材とダボ孔間に作用する剪断応力が木材の剪断強度より小さくなることから、ダボ孔開口部における応力集中がかなり緩和されていることが判るが、剪断応力がダボ孔の開口部側ほど高くなる傾向は依然示しており、更なる改善の余地が残っている。尚、木材の剪断強度は、木材の剪断破断時の剪断応力を示すものである。 【0009】本発明の目的は、接着剤の選定自由度を拡大でき、しかもダボ材とダボ孔間に作用する剪断応力をダボ孔全体にわたってより一層均一に分散させることで木材同士の接合強度を高め得る木ダボ接合構造及び木ダボ接合用接着剤を提供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段及びその作用】本出願人は、接着層の厚さを大きくすることで接着層の剪断変位を大きく設定して、ダボ孔に対して作用する剪断応力を調整できることに着目し、ダボ孔のうちの大きな剪断応力が作用する部位側へ向けて連続的或いは段階的に接着層の厚さを厚く設定することで、ダボ孔内面に作用する剪断応力をダボ孔全体に均一に分散できるとの発想を得て、本発明を発明するに至った。 【0011】本発明に係る木ダボ接合構造は、第1木材と第2木材との接合部に相互に連通可能なダボ孔をそれぞれ形成し、前記両ダボ孔にわたって遊嵌状にダボ材を装着し、前記ダボ孔内面とダボ材間の隙間に、木材とダボ材とを接合する接着剤層であって、剪断強度が木材の剪断強度と略同等或いはそれ以上で且つ剪断剛性が40N/mm3以下の接着層を形成可能な接着剤層を設け、前記ダボ孔とダボ材間の隙間を、ダボ孔の奧部よりも開口部付近の方が広くなるように設定したものである。尚、接着層とは、接着剤層と、接着剤が浸透したダボ材の外面層及びダボ孔の内面層とを含むものである。 【0012】この木ダボ接合構造においては、接着層の剪断剛性が40N/mm3以下に設定されているので、ダボ材に作用する引抜方向への外力をダボ孔の内面全体に略一様に分散させて受け止めることが可能となる。また、このような剪断剛性の低い接着層においても、ダボ孔に作用する剪断応力は開口部付近において高くなる傾向を示すが、ダボ孔とダボ材間の隙間を、ダボ孔の奧部よりも開口部付近の方が広くなるように設定しているので、開口部付近における接着層の剪断変位を大きく設定して、ダボ孔内面に作用する剪断応力を小さくでき、ダボ孔全体に対してより均一に剪断応力を作用させることが可能となる。 【0013】前記ダボ孔とダボ材間の隙間は、0.1〜3.0mmに設定することが好ましい。ダボ孔とダボ材間の隙間が0.1mm未満の場合には、接着層の剪断変位を十分に確保できず、剪断剛性が大きく、ダボ孔の入り口付近での応力集中が起こるので引抜強度が小さくなり、また3.0mmを越える場合には、接着層の剪断変位は十分に確保できるが、接着剤の硬化収縮や混入エア等による欠膠が生じ易い他に、接着剤が湿気硬化タイプである場合には、水分の供給が不足して樹脂の硬化が遅れたり、硬化に伴う発泡による欠膠が問題になるので、0.1〜3.0mmに設定することが好ましい。 【0014】前記ダボ孔とダボ材間の間隔をダボ孔の開口部側へ行くにしたがって段階的或いは連続的に広くなるように設定することが好ましい。この場合には、ダボ孔に作用する剪断応力が一様になるように、ダボ孔とダボ材間の隙間をより一層きめ細かく調整することが可能となる。 【0015】前記ダボ材の外周面に接着剤層との接着面積を増大させるための凹凸部を形成してもよい。ダボ材はダボ孔よりも小径であることから、ダボ材に対する接着剤層の接着強度は、ダボ孔に対する接着剤層の接着強度よりも多少低くなる傾向があるので、これを防止するためダボ材の表面に凹凸部を形成してダボ材に対する接着剤層の接着強度を高めることが好ましい。 【0016】また、ダボ材がダボ孔に対して偏心した位置に装着されると、接着層を介してダボ孔内面に作用する剪断応力が部位によって変動するので、これを防止するため、前記ダボ材の端部又はダボ孔の奧部にダボ材をダボ孔の中央部に位置決めするための嵌合突部を形成したり、前記接着剤層にダボ材をダボ孔の中央部に位置決めするためのビーズを設けることが好ましい。 【0017】前記接着剤層を構成する素材としては、剪断強度が木材の剪断強度と略同等或いはそれ以上で且つ剪断剛性が40N/mm3以下の接着層を形成可能なものであれば任意に選択でき、例えばポリウレタン系接着剤を好適に利用できる。また、前記ポリウレタン系接着剤を用いる場合には、イソシアネート基の割合は接着剤全量中において9.5〜3.0重量%に設定することが好ましい。イソシアネート基は水と反応してポリウレタン系接着剤の剛性を高める作用をするが、イソシアネート基の割合が3.0重量%未満の場合には、接着層の剛性が十分に得られず、9.5重量%を越える場合には、経年変化により剛性が徐々に高くなって、ダボ材の引抜強度が低くなるので、9.5〜3.0重量%に設定することが好ましい。 【0018】本発明に係る木ダボ接合用接着剤は、木材に形成したダボ孔と、このダボ孔に遊嵌状に装着されるダボ材間に、木材とダボ材とを接合するために充填される接着剤であって、イソシアネート基の割合が接着剤全量中において9.5〜3.0重量%に設定されたポリウレタン系接着剤からなるものである。 【0019】この木ダボ接合用接着剤は、剪断剛性が低く、剪断強度が木材と同程度の接着層を形成できるので、前述のような木ダボ接合構造に好適に利用できる。また、イソシアネート基の割合を接着剤全量中において9.5〜3.0重量%に設定しているので、経年変化により接着層の剛性が高くなって、ダボ材の引抜強度が低下することを防止できる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1、図2に示すように、木ダボ接合構造1は、第1木材2と第2木材3との接合部4に相互に連通可能にそれぞれ設けたダボ孔2a,3aと、両ダボ孔2a,3aにわたって遊嵌状に装着したダボ材5と、ダボ孔2a,3aの内面とダボ材5間の隙間に、木材2,3とダボ材5とを接合する接着剤層であって、剪断強度が木材2,3の剪断強度と略同等或いはそれ以上で且つ剪断剛性が40N/mm3以下の接着層を形成可能な接着剤層6とを備えたものである。 【0021】木材2,3としては、杉、松、檜、ひば、つがなどの各種品種の木材を製材したものや、薄肉単板を複数枚重ね合わせて接着してなる集成材などを好適に利用できる。 【0022】ダボ材5としては、各種品種の木材を好適に採用できるが、ヤング率が15GPa以上で、高比重、通直繊維で道管径の小さい繊維の均一な木材を利用することが好ましい。例えばイタヤカエデ、ハードメープル、ウダイカンバ、ブナ、イスノキ、黒檀などを採用すると、ダボ孔2a,3aを長くしたときにおける、ダボ材5の引張強度の飽和傾向を改善できるので好ましい。また、圧密化した木材を使用してもよい。ダボ材5は、円柱状のものを使用することが好ましいが、角柱状や楕円柱状の棒材を用いることも可能である。また、ダボ材5の直径や本数、埋込深さは、木材2,3の接合部4に作用する荷重に応じて適宜に設定可能である。 【0023】ダボ孔2a,3aは、ダボ材5との間の隙間Tが0.1〜3.0mmになるように、ダボ材5に適合するサイズに構成されている。ダボ孔2a,3aとダボ材5間の隙間Tが0.1mm未満の場合には、接着層の剪断変位を十分に確保できず引抜強度が小さくなり、また3.0mmを越える場合には、接着層の剪断変位は十分に確保できるが、接着剤の硬化収縮や混入エア等による欠膠が生じ易い他に、接着剤が湿気硬化タイプである場合、水分の供給が不足して樹脂の硬化が遅れたり、硬化に伴う発泡による欠膠が問題になるので、0.1〜3.0mmに設定することが好ましい。また、ダボ孔2a,3aは、木材の繊維方向に形成してもよいし、繊維直交方向に形成してもよいし、木材の繊維方向に対して斜めに荷重が作用する場合には、荷重の作用する方向にダボ孔2a,3aを形成することが好ましい。また、木ダボ接合する場合には、木材の繊維の方向性の影響を少なくすることができる。 【0024】接着剤層6を構成する素材としては、剪断強度が木材2,3の剪断強度と略同等或いはそれ以上で且つ剪断剛性が40N/mm3以下、好ましくは30N/mm3以下の接着層を形成可能なものであれば、任意の素材からなる接着剤を採用することが可能である。つまり、接着層の剪断剛性が、40N/mm3を越える場合には、接合部4に対して大きな引張荷重が作用したときに、この荷重をダボ孔2a,3a内面に十分に分散させることができず、ダボ孔2a,3aの開口部付近において剪断応力が大きくなるので、40N/mm3以下に設定することが好ましい。具体的には、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤、レゾルシノール系接着剤、ポリウレタン系接着剤などを採用できるが、ポリウレタン系接着剤は、剪断剛性が10.0〜20.0N/mm3程度に調製することができることから好適に利用できる。 【0025】また、接着剤として、ポリウレタン系接着剤を用いる場合には、イソシアネート基の割合を接着剤全量中において9.5〜3.0重量%、より好ましくは8.8〜5.0重量%に設定することが好ましい。つまり、表1に示すように、イソシアネート基の割合が3.0重量%未満の場合には、接着剤層6の剛性が十分に得られず、9.5重量%を越える場合には、経年変化により剛性が徐々に高くなって、引抜強度が低くなるので、9.5〜3.0重量%に設定することが好ましい。但し、このような特性の接着剤は、ダボ材5とダボ孔2a,3a間の隙間Tがダボ孔2a,3aの全長にわたって一様な木ダボ接合構造に対しても適用できる。 【0026】 【表1】
【0027】前述のような特性の接着剤を選定することで、ダボ材5に作用する引張荷重をダボ孔2a,3a全体にかなり一様に分散させることが可能となり、ダボ孔2a,3aの開口部付近における木材2,3の破損を防止できることになる。ここで、本発明の特徴とするところは、このようなダボ材5に作用する引張荷重をより一層均一にダボ孔2a,3aに分散させるため、ダボ材5とダボ孔2a,3a間の隙間Tをダボ孔2a,3aの開口部側(両木材2,3の接合面側)に接近するにしたがって広くなるように設定した点にある。 【0028】具体的には、図2に示すように、ダボ孔2a,3aの内径をその全長にわたって略一様に設定するとともに、ダボ材5をダボ孔2a,3aの開口部側(ダボ材5の長手方向の略中央部側)に接近するにしたがって連続的に小径に構成することになる。ダボ材5の縮径の度合いは一様に設定してもよいし、ダボ材5の長手方向の部位によって変更してもよい。つまり、ダボ孔2a,3aに作用する剪断応力は、図13に示すように、ダボ孔の開口部付近において高くなるので、ダボ孔2a,3aに作用する剪断応力が一様になるように、ダボ材5の縮径の度合いをダボ孔2a,3aの開口部側に接近するにしたがって大きくなるように設定してもよい。 【0029】また、図3に示す木ダボ接合構造1Aのように、ダボ孔2a,3aをその全長にわたって一様に設定するとともに、ダボ材としてダボ孔2a,3aの開口部側に接近するにしたがって段階的に小径に構成したダボ材5Aを用いてもよい。ダボ材5Aでは片側2段階にダボ材5Aを縮径させたが、2段階以外の段階に分けて縮径させてもよい。また、この場合においても、各段階の縮径度合いは、一様に設定してもよいし、前記ダボ材5と同様に、ダボ材5Aの長手方向の部位に応じて変更してもよい。 【0030】尚、ダボ孔2a,3aをその開口部側に接近するにしたがって連続的或いは段階的に大径に構成することも可能であるが、ダボ孔2a,3aは、通常建築現場等において加工する関係上、加工精度が低下したり、加工作業が繁雑になるので、ダボ孔2a,3aの内径はその全長にわたって同径に構成し、工場等で製作可能なダボ材5の直径を連続的又は段階的に割裂し易い面5に接近するにしたがって小径に構成することが好ましい。 【0031】このように構成することで、ダボ孔2a,3aの開口部付近における木材2,3に対する応力集中を防止して、ダボ孔2a,3aに作用する剪断応力をダボ孔2a,3a全体に一様に分散させることができるので、接合部4における引張強度を向上できるとともに、接着層の剪断剛性に対する要求を緩和して、接着剤の選定自由度を拡大できる。 【0032】次に、前記木ダボ接合構造1の構成を部分的に変更した他の実施例について説明する。尚、前記実施の形態と同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。 【0033】(1) ダボ材5と接着剤層6との接合面積を大きくして、両者間の接着強度を高めるため、ダボ材5に凹凸部を形成してその表面積を大きく構成してもよい。具体的には、図4に示すダボ材5Bのように、外周面に軸方向に延びる溝部10を三角波状や矩形波状や正弦波状に円周方向に一定間隔おきに形成したり、図5に示すダボ材5Cのように、環状の溝部11を長さ方向に三角波状や矩形波状や正弦波状に一定間隔おきに形成したり、図6示すダボ材5Dのように、外周面に一定間隔おきに突起12を形成したり、図7に示すダボ材5Eのように、外周面にローレット加工により凹凸部13を形成したりすることになる。 【0034】(2) ダボ材5をダボ孔2a,3aの中心に位置決めして、ダボ材5とダボ孔2a,3a間の隙間Tが長さ方向の各部において周方向に一様になるように構成し、接着剤層6が局部的に薄くなることによる強度低下を防止してもよい。例えば、図8に示す木ダボ接合構造1Fのように、外周面にダボ孔2a,3aの内面に当接する嵌合突部15を形成したダボ材5Fを用いることになる。嵌合突部15の形成位置は、ダボ材5Fの途中部であってもよいが、嵌合突部15を形成した部分においては接着層の厚さを十分に確保できず、ダボ孔2a,3aの内面に対する剪断応力が大きくなることが考えられるので、ダボ孔2a,3aの開口部から極力離れた位置、即ちダボ材5Fの両端部或いは両端近傍部に形成することが好ましい。嵌合突部15の個数は、ダボ材5Fをダボ孔2a,3aの中心に位置決めするため、少なくともダボ材5Fの両端部にそれぞれ3個以上設けることになる。また、嵌合突部15はダボ材に一体形成してもよいが、図9に示すように、ダボ材の外周面にピン部材16を鋲着するなどして形成してもよい。 【0035】また、図10に示す木ダボ接合構造1Gのように、ダボ孔2a,3aの奧端部にダボ材5の両端部と同径の嵌合突部17をそれぞれ形成し、ダボ材5の両端部を嵌合突部17に嵌合させて、ダボ材5をダボ孔2a,3aの中央部に位置決めしてもよい。尚、この場合には、嵌合突部17を別部材で構成して、ダボ孔2a,3aの奧端部に装着してもよい。更に、図11に示す木ダボ接合構造1Hのように、ダボ材5とダボ孔2a,3a間の隙間Tに適合するサイズのビーズ18を接着剤に混入することにより、ダボ材5とダボ孔2a,3aの中央部に位置決めすることも可能である。 【0036】尚、木ダボ接合構造1Aにおいても、前述した他の実施例を同様に適用できるし、前述した他の実施例同士を相互に組み合わせて木ダボ接合構造を構成することも可能である。また、本実施例では、第1木材2と第2木材3とを直列状に接合する場合について説明した、T字状やL字状やト字状等に接合する場合に関しても本発明を同様に適用できる。 【0037】 【発明の効果】本発明に係る木ダボ接合構造によれば、簡単な構成により、ダボ孔全体に対してより均一に引抜荷重を作用させることが可能となるので、木材の接合強度を大幅に向上できるとともに、接着剤に対する要求特性を緩和して、接着剤の選定自由度を拡大できる。また、前述した理論式を用いて木材の接合部における強度を推定できるので、木造構造物を設計するうえで好適である。しかも、このような木ダボ接合構造は、前述したように、金具を用いて接合部の強度を高める場合と比較して、安価に実施可能であること、結露などによる湿分による腐食や腐敗の発生もないので耐久性を向上できること、廃材を比較的容易にリサイクルできるので環境に優しいことなどの優れた利点を有している。 【0038】ここで、ダボ孔とダボ材間の隙間を0.1〜3.0mmに設定すると、ダボ材の引抜強度を十分に確保でき、しかも欠膠による接着欠陥等も防止できるので好ましい。 【0039】また、ダボ孔とダボ材間の間隔をダボ孔の開口部側へ行くにしたがって段階的或いは連続的に広くなるように設定すると、ダボ孔に作用する剪断応力が一様になるように、ダボ孔とダボ材間の隙間をより一層きめ細かく調整することが可能となる。 【0040】ダボ材の外周面に接着剤層との接着面積を増大させるための凹凸部を形成すると、ダボ材に対する接着剤層の接着強度を高めることが可能となる。 【0041】また、ダボ材の端部又はダボ孔の奧部にダボ材をダボ孔の中央部に位置決めするための嵌合突部を形成したり、接着剤層にダボ材をダボ孔の中央部に位置決めするためのビーズを設けると、接着層の厚さを一様に設定して、ダボ孔内面に対して一様に剪断応力を作用させることが可能となり、局部的な応力集中による接着層の破損を防止できる。 【0042】接着剤層がポリウレタン系接着剤からなる場合には、接着層の剪断強度及び剪断剛性を適正に設定することが可能となる。また、ポリウレタン系接着剤のイソシアネート基の割合を接着剤全量中において9.5〜3.0重量%に設定すると、接着層の経年変化によるダボ材の引抜強度の低下を防止でき、長期にわたって木材の接合部の強度を維持できる。 【0043】本発明に係る木ダボ接合用接着剤によれば、ダボ材とダボ孔間に、剪断剛性が低く、剪断強度が木材と同程度の接着層を形成できるので、木ダボ接合構造に好適に利用できる。また、イソシアネート基の割合を接着剤全量中において9.5〜3.0%に設定しているので、経年変化により接着層の剛性が高くなって、ダボ材の引抜強度が低下することを防止できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390008866 【氏名又は名称】サンスター技研株式会社 【識別番号】596117407 【氏名又は名称】財団法人秋田県木材加工推進機構
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| 【出願日】 |
平成12年2月4日(2000.2.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074561 【弁理士】 【氏名又は名称】柳野 隆生
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| 【公開番号】 |
特開2001−214540(P2001−214540A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月10日(2001.8.10) |
| 【出願番号】 |
特願2000−28088(P2000−28088) |
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