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【発明の名称】 インサート器具
【発明者】 【氏名】小野辺 良一

【氏名】星 英徳

【要約】 【課題】容易に製作することのできるインサート器具を提供することを課題とする。

【解決手段】インサート器具1の少なくとも後端側1bの外周形状を断面視略楕円形状とした。このとき、インサート器具1の長径d1に対する短径d2の断面寸法比(d2/d1)を0.8以上とするのが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 構造物内に埋設され、中心に形成されたボルト孔へ先端側からボルト締結することにより、前記構造物に各部材を取り付けるセラミック製のインサート器具であって、外周面形状が、少なくとも後端側において断面視楕円形状とされていることを特徴とするインサート器具。
【請求項2】 請求項1記載のインサート器具であって、前記インサート器具の先端側が断面視円形とされていることを特徴とするインサート器具。
【請求項3】 請求項1または2記載のインサート器具であって、前記後端側において断面視楕円形状をなした前記インサート器具の長径に対する短径の断面寸法比が、0.8以上であることを特徴とするインサート器具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、コンクリート構造物等に埋設されて用いられるセラミック製のインサート器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、コンクリート構造物において、その内部にセラミック製のインサート器具を埋設し、このインサート器具にボルトを締結することによって、このボルトを介して各種の構成部材をコンクリート構造物に取り付けることが行われている。
【0003】ところで、この種のセラミック製のインサート器具としては、このインサート器具をコンクリートに埋設した後に、ボルトをねじ込むときにインサート器具がボルトと共回りしてしまうのを防止するため、従来より、その外周面に凸部や凹部、溝等が形成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような従来のインサート器具において、共回りを防ぐための凸部や凹部、溝等を外周面に形成するには、インサート器具を形成するための型枠にこれらを形成するための加工を施さなければならず、その作業に手間がかかっていた。本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、より一層容易に製作することのできるインサート器具を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、構造物内に埋設され、中心に形成されたボルト孔へ先端側からボルト締結することにより、前記構造物に各部材を取り付けるセラミック製のインサート器具であって、外周面形状が、少なくとも後端側において断面視楕円形状とされていることを特徴としている。
【0006】少なくとも後端側の外周面形状を楕円形状とすることにより、その短径と長径との差によって、長径部分がいわば外周側に突出する状態となり、このインサート器具をコンクリート内に埋設したときに回り止めとしての機能を発揮する。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1記載のインサート器具であって、前記インサート器具の先端側が断面視円形とされていることを特徴としている。
【0008】これにより、インサート器具は、先端側が円形で、後端側に行くに従い楕円形となる断面形状を有する。
【0009】請求項3に係る発明は、請求項1または2記載のインサート器具であって、前記後端側において断面視楕円形状をなした前記インサート器具の長径に対する短径の断面寸法比が、0.8以上であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るインサート器具の第一および第二の実施の形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0011】[第一の実施の形態]まず、ここでは、例えば、インサート器具の先端側を円形とし、後端側のみを楕円形状とする場合の例を用いて説明する。
【0012】図1に示すように、このインサート器具1はセラミックによって成形されたもので、先端側1aから後端側1bに向けて、その中心軸線に沿ったボルト孔3が形成されている。このボルト孔3は、インサート器具1の後端側1bにおいて閉塞部(図示なし)によって閉塞された有底状となっている。この閉塞部(図示なし)はインサート器具1と同材料、つまり、セラミックで一体に成形されたものである。
【0013】このインサート器具1は、その外周形状が、全体として、後端側1bから先端側1aに向かうに従ってその外径が漸次小さくなる略台形錐状に形成されたもので、かつ、前後方向所定の曲率半径で外周側へ膨出した湾曲形状をなしている。
【0014】しかも、このインサート器具1は、ボルト孔3の軸線に対して直交する断面形状が、先端側1aにおいては略円形とされ、後端側1bに行くに従い略楕円形状となっている。このとき、後端側1bにおいては、インサート器具1の長径d1に対する短径d2の断面寸法比(d2/d1)を、セラミック焼成時の収縮等を考慮したうえでボルト孔3の精度を確保するには、0.8以上とするのが好ましい。
【0015】これにより、インサート器具1の後端部1bにおいては、短径部分1c,1cに対して長径部分1d,1dが外周側に突出する形態となる。
【0016】このインサート器具1をコンクリート構造物へ設置する場合には、型枠に形成された孔部から挿入した取り付けボルトを、インサート器具1のボルト孔3にねじ込むことによって、インサート器具1を型枠の内面側に締結固定する。このとき、必要に応じ、筒状のスリーブをインサート器具1と一体に用いるようにしても良い。
【0017】そして、この状態において型枠の内部にコンクリートを打設し、硬化養生させ、その後、取り付けボルトによる締結を緩めてボルトを引き抜き、型枠を撤去するのである。
【0018】これにより、インサート器具1はコンクリート構造物内に埋設されるので、インサート器具1のボルト孔3内にボルトをねじ込み、このボルトを用いて各種構成部材をコンクリート構造物に取り付けるのである。
【0019】上述したインサート器具1によれば、後端側1bの外周形状が断面視略楕円形状とされているので、短径部分1c,1cに対して長径部分1d,1dが外周側に突出する形態となり、これによってボルトをねじ込んだ際にコンクリート構造物内にてインサート器具1がとも回りするのを防止することができる。このとき、インサート器具1の長径d1に対する短径d2の断面寸法比(d2/d1)を0.8以上とするのが好ましい。しかも、このようなセラミック製のインサート器具1は、ゴム製の型枠等を用いて外周面を形成しているが、後端側1bのみにおいて型枠を楕円形状に若干撓ませるのみでこのインサート器具1を製作することが可能であり、特に型枠に加工を施す必要もなく、その製作を容易かつ低コストで行うことができる。
【0020】[第二の実施の形態]次に、インサート器具の先端側から後端側にかけてその全体を断面略楕円形状とする場合の例を用いて説明する。以下に説明する第二の実施の形態において、前記第一の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0021】図2に示すように、このインサート器具11はセラミックによって成形されたもので、その外周形状が、全体として、後端側11bから先端側11aに向かうに従ってその外径が漸次小さくなる略台形錐状に形成されたもので、かつ、前後方向所定の曲率半径で外周側へ膨出した湾曲形状をなしている。
【0022】しかも、このインサート器具11は、ボルト孔3の軸線に対して直交する断面形状が、先端側11aから後端側11bにかけて、断面視略楕円形状となっている。このとき、各部において、インサート器具11の長径d1’に対する短径d2’の断面寸法比(d2’/d1’)を、セラミック成型時の収縮等を考慮したうえでボルト孔3の精度を確保するには、0.8以上とするのが好ましい。
【0023】これにより、インサート器具11においては、短径部分11c,11cに対して長径部分11d,11dが外周側に突出する形態となる。
【0024】上述したインサート器具11においても、前記第一の実施の形態で示したインサート器具1における効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0025】なお、上記第一および第二の実施の形態において、ボルト孔3をインサート器具1,11の中心部に形成する構成となっているが、このボルト孔3をインサート器具1,11の中心部に対して偏心させた位置に形成する構成とすることも可能であり、これによっても、上記効果を得ることが可能である。
【0026】また、インサート器具1,11の各部構成については、適宜他の構成を採用することが可能である。例えば、インサート器具1,11を、閉塞部を備えた有底状としたが、この閉塞部を省略した構成とし、ボルト孔3を貫通させる構成とすることも可能である。さらに、インサート器具1,11は、単独で使用しても良いし、また筒状のスリーブを同軸的に配置して一体に用いる構成としても良い。
【0027】これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものとしても良いのは言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1または3に係るインサート器具によれば、少なくとも後端側の外周面形状を楕円形状とすることにより、その短径と長径との差によって長径部分が外周側に突出する状態となり、コンクリートに埋設したインサート器具にボルトをねじ込むときに、このインサート器具がボルトと共回りするのを防止することができる。しかも、このようなインサート器具は、従来のように凸部や凹部、溝等を形成する必要はないので、特に型枠に加工を施す必要もなく、その製作を容易かつ低コストで行うことができる。このとき、断面視楕円形状をなしたインサート器具の長径に対する短径の断面寸法比を0.8以上とするのが好ましい。
【0029】請求項2に係るインサート器具によれば、インサート器具の先端側が断面視円形とされており、このようなインサート器具は、先端側が円形で、後端側に行くに従い楕円形となる断面形状を有するものとなる。このようなインサート器具では、製作時に型枠の後端側のみを楕円形とすればよく、より容易に製作することができる。
【出願人】 【識別番号】000198307
【氏名又は名称】石川島建材工業株式会社
【出願日】 平成12年2月2日(2000.2.2)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2001−214533(P2001−214533A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−25658(P2000−25658)