トップ :: E 固定構造物 :: E03 上水;下水




【発明の名称】 既設管路の撤去方法
【発明者】 【氏名】森田 泰司

【氏名】望月 修

【氏名】梶田 文彦

【要約】 【課題】簡易な設備等により容易に施工可能な、既設管路の撤去方法を提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 以下の各工程を含むことを特徴とする既設管路の撤去方法。
(1)既設管路と比較して大径の推進管を前記既設管路の周囲に敷設するとともに、前記推進管内部の前記既設管路を撤去する第1工程。
(2)前記推進管の先端部に隔壁を付設し、前記推進管を引き抜くとともに、前記推進管の背面における空洞部に埋戻材料を充填する第2工程。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤中に埋設されている既設管路の撤去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、地盤中に埋設されている不要となった既設管路を撤去する場合には、既設管路の周囲における全領域について薬液注入等の地盤改良を行うとともに、人力で既設管路周囲の掘削作業を行って当該既設管路の撤去を行い、中空部を埋め戻すという作業を行うか、又は、地上からの開削工法を採用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この場合には、対象となる既設管路の周囲における全領域にわたり、薬液注入を行わなければならないため作業が大がかりとなり、工事費用が高騰することや、地上部の占用条件により、地上からの施工を行うことができない場合が存在するという問題点があった。
【0004】なお、既設管路を更新する場合には、シールド掘進機を用いて、当該既設管路の外周部に既設管路より大径の新たな管路を敷設し、内部の既設管路を撤去する工法が施工される場合があるが、新たな管路が地盤中に残存してしまうため、当該方法を既設管路の撤去に用いることはできない。
【0005】本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、簡易な設備等により容易に施工可能な、既設管路の撤去方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明は、以下の各工程を含むことを特徴とする既設管路の撤去方法を提供するものである。
(1)既設管路と比較して大径の推進管を前記既設管路の周囲に敷設するとともに、前記推進管内部の前記既設管路を撤去する第1工程。
(2)前記推進管の先端部に隔壁を付設し、前記推進管を引き抜くとともに、前記推進管の背面における空洞部に埋戻材料を充填する第2工程。なお、推進管の管径は、既設管路より大径であることが必要とされるが、推進・引き抜き作業、既設管路の撤去時におけるずりの処理等を行う上で、推進作業に支障を来さない最小の管径であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、発進立坑Hと到達立坑Tとの間における地盤G中に、水平に敷設されている既設管路K(管径1500mm)を撤去する場合を例として説明を行う。
【0008】本発明の既設管路Kの撤去方法は、以下の各工程から構成されている。
(1)第1工程本工程は、発進立坑Hから到達立坑Tに至る全区間において、既設管路Kと比較して、大径の推進管Sを当該既設管路Kの周囲に敷設し、その敷設作業と並行して、前記推進管S内部の既設管路Kを撤去する工程であり、準備作業、推進管推進作業及び既設管路撤去作業から構成されている。
【0009】[準備作業]本作業は、既設管路Kの周辺地盤について小規模の地盤改良を行うとともに、発進立坑H内に推進管Sの推進装置10を設置するものである。まず、既設管路Kと推進管Sの刃口S1との止水を目的として、既設管路Kの周囲の一定領域Rについて、発進立坑Hから水平ボーリングをしながら、薬液注入を行う。なお、対象地盤における土質条件によっては、必ずしも、地盤改良を行う必要はない。続いて、発進立坑H内に推進装置10と、既設管路K内から切断した既設管路片(以下、「切断既設管路片」という)やずり等を搬送するための搬送設備20及び、発進立坑H外部に切断既設管路片等を搬出するための揚重設備(図示せず)を設置する。なお、発進立坑Hの孔壁には支圧壁5が構築されており、また、その底部には、基礎栗石6aと基礎コンクリート6bから形成される架台基礎6が構築されている。
【0010】図1(a)に示すように、推進装置10は、支圧壁5から推進管Sの推進方向に向かって順に設けられている、押角11、推進ジャッキ12、ストラット13及び押輪14と、架台基礎6上に固設されている推進架台15とから構成されている。
【0011】[推進管推進作業](図1(a)参照)
本作業は、発進立坑Hから到達立坑Tに向けて、既設管路Kの外径より若干大きい管内径(管内径2000mm)を有する推進管S(鋼管)を推進し、敷設する作業を行うものであり、先端部に刃口S1を設けた推進管Sを押輪14の前部に配置し、推進ジャッキ12を作動させて、当該推進管Sを所定長さ推進させる作業を行う。
【0012】[既設管路撤去作業](図1(a)参照)
本作業では、推進管Sの内部の既設管路Kをその内部から切断して撤去し、推進管Sの外部に搬出する作業を行う。前記既設管路Kの切断及び撤去は人力で行うため、まず、推進管Sの刃口S1に、撤去用の作業足場及びクレーン設備等(ともに図示せず)を設置する。そして、コアドリル(図示せず)を用いて、円周方向に所定孔径の貫通孔K1を穿設した後、ハンドカッタ(図示せず)を用いて、管長方向に既設管路Kを切断する。切断した既設管路Kの切断片は、搬送設備20により発進立坑Hに搬送し、揚重設備により発進立坑Hの外部に搬出する。なお、既設管路Kの管径に余裕がある場合には、機械等の装置を使用して、前記既設管路Kの切断及び撤去を行うことも可能である。さらに、前記作業が終了した後、推進管Sの外周部に、当該推進管Kの推進及び引き抜き作業を容易に行うために、滑材Zの注入を行う。
【0013】[繰り返し作業]前記各作業の終了後は、前記推進管推進作業と既設管路撤去作業を繰り返すことにより、推進管Sの先端部を到達立坑T内に貫通させ、総ての既設管路Kの撤去を完了して、第1工程を終了する(図1(b)参照)。なお、到達立坑Tに、推進管Sの刃口S1が到達した後に、刃口S1に装備した作業足場及びクレーン設備等を到達立坑T上へ撤去する。
【0014】(2)第2工程本工程は、推進管Sの先端部に隔壁30を付設し、到達立坑Tから発進立坑Hに至る方向に当該推進管Sを引き抜くとともに、前記推進管Sの背面における空洞部Vに充填材B(埋戻材料)を充填する工程であり、隔壁取付作業と推進管引き抜き・埋め戻し作業とから構成されている。
【0015】[隔壁取付作業](図2(a)参照)
本作業は、推進管Sの引き抜き・埋め戻し作業を行うための準備工程であり、推進管Sの先端部に隔壁30を付設する作業等を行う。隔壁30は、側面視で、上部が突出しており、下部には充填材Bの注入管(図示せず)と接続している注入用バルブ31が設けられている。また、隔壁30の上部には、圧力ゲージ32とエア抜き孔33が設けられているとともに、推進管Sの周囲には、流入防止用ブラシ34及び緊急点検用のマンホールとマンロック(ともに図示せず)が付設されている。なお、発進立坑Hにおいては、推進装置10を撤去し、推進管Sを引き抜く際に反力を得るための坑口コンクリート40を打設する。そして、坑口コンクリート40の後方にパワージャッキ41を設置し、当該パワージャッキ41のロッド41aの先端部と、推進管Sに溶接されている複数のピース42を当接させる。
【0016】[推進管引き抜き・埋め戻し作業](図2(b)参照)
本作業では、推進管Sを発進立坑H内に引き抜きながら、当該推進管Sの背面における空洞部Vに充填材Bを充填する作業を行う。まず、パワージャッキ41のロッド41aを伸長させ、前記ピース42を推進管Sの引き抜き方向に押圧することにより、所定長の推進管Sを発進立坑H内に移動させ、引き抜く。引き抜かれた推進管Sは、切断して、揚重設備(図示せず)を使用して発進立坑H内から搬出する。なお、前記推進管Sを引き抜く際には、前記方法以外に、推進管Sを揺動させて引き抜くことも可能である。ここで、推進管Sの引き抜きと同時に、充填材注入装置(図示せず)から供給された充填材Bを注入用バルブ31から噴出して、前記推進管Sの背面における地盤G内の空洞部Vに充填する。
【0017】充填材Bは、地盤Gと同程度の性質を有する材料を使用することが好ましく、その選択は、地盤Gの緩みが発生しないように慎重に行う必要がある。充填材Bとして、例えば、エアーモルタル、セメントペントナイト、シールド裏込材(可塑状グラウト材)等を用いることができるが、前記推進管Sの引き抜き作業における1サイクルの作業時間内に硬化が強まる物性をもった材料が望ましい。さらに、空洞部Vに充填材Bを投入する前に、骨材を先行投入しておけば、充填材Bの初期強度が得られて効果的である。
【0018】前記各作業の終了後は、前記推進管引き抜き作業と埋め戻し作業とを繰り返すことにより、推進管Sの総てを発進立坑Hの外部に搬出する。そして、発進立坑H内の諸設備を総て撤去するとともに、坑口コンクリート40をはつり取り、作業を終了する(図2(c)参照)。
【0019】このように、本発明によれば、推進管Sを使用することにより、地盤Gが崩壊することを防ぎながら既設管路Kの撤去作業を行うことができるため、大規模な地盤改良を行う必要がない。また、前記推進管Sを用いることにより、その引き抜き作業も容易となり、当該推進管Sの内部から充填材Bを噴出することにより、当該既設管路Kの空洞部Vの埋め戻し作業を容易に行うことができる。そのため、非常に効率的に既設管路Kの撤去を行うことができる。
【0020】なお、前記既設管路Kの撤去方法は、到達立坑Tを設けなくても、適用可能である。この場合には、到達部の領域を地盤改良して特殊人孔(図示せず)を形成するとともに、推進管Sの先端部を当該特殊人孔内に到達させる。そして、推進管Sの刃口S1に装備した作業足場等を、発進立坑H側に撤去し、また、発進立坑H側から推進管Sの先端部に隔壁30を付設する作業を行うことになる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、推進管を使用することにより、既設管路の撤去作業と当該既設管路の埋設部(空洞部)の埋め戻し作業を行うことができるため、非常に効率的に既設管路の撤去を行うことができる。また、従来のように、既設管路の周囲における全領域にわたって、大規模の地盤改良を実施する必要がないため、工費削減及び工期短縮を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
【出願日】 平成12年2月2日(2000.2.2)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
【公開番号】 特開2001−214504(P2001−214504A)
【公開日】 平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願番号】 特願2000−25113(P2000−25113)