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【発明の名称】 函渠構築用弾性継手構造
【発明者】 【氏名】宇賀 和夫

【氏名】榎本 文男

【氏名】小林 知義

【氏名】鷹取 利昌

【氏名】田坂 晃宏

【要約】 【課題】隣接する3個もしくは4個以上の函体の接合部に緊張材を設置し、中央の函体、接合部及び緊張材を合わせてひとつの弾性継手として機能させ、変形を抑制・分散させ、高い変位差吸収能力を有する弾性継手構造を提供する。

【解決手段】隣接する3個の函体1の壁部間に張設した2本一組の斜め緊張材2にプレストレスを導入して函軸方向バネおよび函軸直角方向バネとして機能させ、函体の妻部間に設けた弾性材18を圧縮させて曲げバネとして機能させる。両端の函体1の第一定着部3および7と中央の函体1の第二滑動定着部間6に1本の緊張材2を張設し、両端の函体1の第二定着部4および8と中央の函体1の第一滑動定着部間5に、他の1本の緊張材2を張設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 隣接する3個の函体の壁部(側壁および頂底版)間に張設した2本一組の斜め緊張材にプレストレスを導入して函軸方向バネおよび函軸直角方向バネとして機能させ、隣り合う函体接合部の妻部間に設けた弾性材を緊張材の緊張により圧縮させて曲げバネとして機能させ、各函体間の妻部間に止水用シール材を設けた弾性継手において、両端の函体の壁部に間隔を置いて第一定着部と第二定着部を設け、中央の函体に間隔を置いて第一滑動定着部と第二滑動定着部を設け、両端の函体の第一定着部と中央の函体の第二滑動定着部間に1本の緊張材を張設し、両端の函体の第二定着部と中央の函体の第一滑動定着部間に、他の1本の緊張材を張設して、2本の緊張材を網状に交差配置した函渠構築用弾性継手構造。
【請求項2】 隣接する4個以上の函体の壁部(側壁および頂底版)間に張設した2本一組の斜め緊張材にプレストレスを導入して函軸方向バネおよび函軸直角方向バネとして機能させ、隣り合う函体接合部の妻部間に設けた弾性材を緊張材の緊張により圧縮させて曲げバネとして機能させ、各函体間の妻部間に止水用シール材を設けた弾性継手において、両端の函体の壁部に間隔を置いて第一定着部と第二定着部を設け、残りの函体に間隔を置いて第一滑動定着部と第二滑動定着部を設け、一端の函体の第一定着部、その隣の函体の第二滑動定着部、またその隣の函体の第一滑動定着部、というように交互に他端の定着部までの全函体の第一もしくは第二定着部/滑動定着部間に1本の緊張材を張設し、同様に一端の函体の第二定着部から他端定着部までの全函体の第一もしくは第二定着部/滑動定着部間にも交互に他の1本の緊張材を張設して、2本の緊張材を網状に交差配置した函渠構築用弾性継手構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】 本発明は函渠の構築に使用される弾性継手構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 地中に埋設される函体は、地盤の沈下・変形そして地震(動的変移・液状化または過剰間隙水圧上昇)によって大きな地盤変移の影響を受ける。このため、継手によってその変形を吸収する方法が取られているが、同時に止水性を確保しなければならない場合には、その変形量を許容できる範囲に抑制する必要がある。可撓継手は、この二つの機能を有する継手として扱われているが、ゴムのメンプレンで接続されるものであり、断面力の伝達は行われず、結果として継手部に大きな相対変位が発生し破損する場合がある。更に価格もかなり高価である。阪神大震災においては、各種のライフラインにおいて継手部に大きな被害を被った。一方でいわゆる耐震継手等の耐震性が考慮された継手にはほとんど被害がないことが判明している。これは設計・施工上適切な耐震対策が実施されていれば、管路の安全性は大きく向上することが期待できることを示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 軟弱地盤における大きな圧密沈下・側方変位、あるいは地震時の液状化に伴う大きな地盤変移に耐える継手が望まれているが、従来のカラー継手や可撓継手には変形量の抑制・分散機能が無く、信頼性の高い継手の開発が必要である。本発明の目的は、隣接する3個もしくは4個以上の函体の接合部に緊張材を設置し、緊張力をコントロールすることで、中央の函体、接合部及び緊張材を合わせてひとつの弾性継手として機能させ、変形を抑制・分散させることができ、高い変位差吸収能力を有する弾性継手構造を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】 以下、添付図面中の参照符号を用いて説明する。図3において、隣接する3個の函体1の壁部(側壁および頂底版)間に張設した2本一組の斜め緊張材2にプレストレスを導入して函軸方向バネおよび函軸直角方向バネとして機能させ、隣接する函体の妻部間に設けた弾性材18を緊張材2の緊張により圧縮させて曲げバネとして機能させ、各函体間の妻部間に止水用シール材17を設ける。このような弾性継手構造において、両端の函体1の壁部に間隔を置いて第一定着部3、7と第二定着部4、8を設け、中央の函体1に間隔を置いて第一滑動定着部5と第二滑動定着部6を設け、両端の函体1の第一定着部3および7と中央の函体1の第二滑動定着部間6に1本の緊張材2を張設し、両端の函体1の第二定着部4および8と中央の函体1の第一滑動定着部間5に、他の1本の緊張材2を張設して、2本の緊張材を網状に交差配置した函渠構築用弾性継手構造とする。
【0005】また、図7のように函体の数を1個もしくはそれ以上増やし、隣接する4個以上の函体1の壁部(側壁および頂底版)間に張設した2本一組の斜め緊張材2にプレストレスを導入して函軸方向バネおよび函軸直角方向バネとして機能させ、隣接する函体の妻部間に設けた弾性材18を緊張材2の緊張により圧縮させて曲げバネとして機能させ、各函体間の妻部間に止水用シール材17を設ける。このような弾性継手構造において、両端の函体1の壁部に間隔を置いて第一定着部9、15と第二定着部10、16を設け、残りのそれぞれの函体1に間隔を置いて第一滑動定着部11、13と第二滑動定着部12、14を設け、一端の函体1の第一定着部9、その隣の函体1の第二滑動定着部12、またその隣の函体1の第一滑動定着部13、というように交互に他端の定着部までの全函体の第一もしくは第二定着部間に1本の緊張材2を張設し、同様に一端の函体1の第二定着部10から他端定着部までの全函体の第一もしくは第二定着部間にも交互に他の1本の緊張材2を張設して、2本の緊張材2を網状に交差配置した函渠構築用弾性継手構造とする。
【0006】
【作用】 この継手構造は、函軸方向、剪断方向および曲げ方向に対して弾性継手として作用する。また、大きな変位を抑制し、かつ局所的な変位差を各函体間に均等に分散する作用を持つ。
【0007】
【発明の実施の形態】 図示の実施例では、滑動定着具5,6,11,12,13,14は函体1の左右側面版に固定されており、函体1より突出した略半円形状本体の側面に緊張材2が滑動可能に掛けられている。図11は本発明の函体1としてのボックスカルバートのジョイント面21に配設するゴム弾性体18を示している。このようにゴム弾性体18の配置はボックスカルバート1のジョイント面21に一条貼りもしくは二条貼りとすることができる。この時のゴムの弾性体18の形状、つまり厚さおよび幅はゴムに要求される圧縮応力を勘案して決定する。上記ゴム弾性体材料としては合成ゴム、例えばスチレンブタジエンゴム、イソブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ハイパロンゴムや天然ゴムに充填材、加塑材、加硫材、加硫促進剤を練り込んだものが挙げられる。そして具体的な例として、充填材は炭酸カルシウム、クレー、タルク、カーボンブラック、酸化亜鉛等が用いられる。また、加塑材にはフタル酸エステル、プロセスオイル等が用いられる。そして加硫材は硫黄、酸化マグネシウム、有機過酸化物等が、また加硫促進剤にはチアゾール類、グアニジン類、チウラム類などが用いることができる。
【0008】中でもクロロプレンゴムに、カ−ボンブラック、ホワイトカ−ボン、炭酸カルシウム等の充填材と、フタル酸エステル、プロセスオイル等の加塑材と、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の加硫材、エチレンチオウレア等の加硫促進剤を練り込んだ硬度45〜60の特性の耐震用ゴムを用いるのが好ましい。また、圧縮応力の小さいものが要求される場合には上記配合に、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の発泡剤を混練し、ゴムを発泡させてスポンジゴムとしたものを用いることができる。
【0009】次に上記ゴム弾性体18を函体1に取り付ける方法について述べる。函体1の取り付け面はゴム弾性体18の設置位置を明確にし、確実に取りつけるために図9、図10に示すように凹型、もしくは段差をつけた形状とすることが好ましい。ゴム弾性体18を取り付ける方法としては接着剤等により取り付ける方法も挙げられるが、長期的な動きに対してゴム弾性体18を固定するには確実ではないため好ましい方法ではない。図11に示した例では、函体1の配置面にナット穴19を開け、ボルトにてゴム弾性体18を取り付けている。この方法はゴム弾性体18に30cm程度の間隔でボルト穴19を開けて取り付ける方法である。この方法であれば長期的にもゴム弾性体18の位置がずれることはなく、圧縮応力に対しても、最大圧縮率以下の深さでゴムに穴を設けてボルトで取り付ければ何ら問題がない。
【0010】図9、図10は本発明の函体としてのボックスカルバ−ト1のジョイント部21に配設する止水を目的としたシール材17を示している。このシール材17はボックスカルバ−ト1のジョイント部21からの漏水を防ぐために配置するもので、低硬度の不定形シール材17を用いることができる。上記不定形シール材17を用いる方法としては、ボックスカルバ−ト1のジョイント部21にポリエチレン製の発泡体20を用いて、不定形シール材17を整形しようとする形状に張り付け、図12のように底面に不定形シール材17を充填する注入パイプ24と上部に空気抜き用のパイプ23を取り付け、更に不定形シール材17を接着させるためのプライマーを接着面に塗布し、ボックスカルバ−トよりなる函体1のジョイント部21を組み立てる。この時に発泡体20は函体1に軽く圧縮され、未硬化の不定形シール材17を充填しても充填圧力により漏れないようにしておく必要がある。
【0011】上記不定形シール材17としては2液硬化型、または一液硬化型のシール材を用いることができる。例えば、2液硬化型のシール材としてはポリウレタン系シール材、変性シリコン系シール材、ポリサルファイド系シール材、アクリルウレタン系シール材等が挙げられる。これらのシール材の特性としては注入時にシール材の粘度が低くて流動性があり、ポンプ等による注入が容易であることが挙げられる。またシール剤の硬化後の硬度が低く、ジョイント部の動きに容易に追従してジョイント部の動きに影響を与えないことが挙げられる。更に長期にわたって接着性を維持する必要がある。
【0012】具体的な例としては2液硬化型のブタジエン系シール材を用いることが挙げられる。このシール材の主材は末端に水酸基を有した液状ブタジエンと、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤と、プロセスオイル、タール等の加塑材と、有機金属等の硬化触媒を配合したもので、硬化剤としては、ジフェニルメタンジイソシアネーとの末端基を有したイソシアネ−トプレポリマーを用いることにより、混合後の粘度が5000cps(200度)とかなり低い良好な流動性を有する混合物となり、また、硬化後は硬度が40(アスカーc)程度のかなり柔軟性を有するものとなる。さらにブタジエン系シール材はウレタン系のプライマーを併用することによりボックスカルバ−ト躯体への接着性が良好で、シール材自身が耐水性が良好なため、長期にわたって弾性及び接着性を維持するものとなる。函体1には、PC鋼材を通すことができる貫通孔を函軸方向に形成してある。
【0013】
【発明の効果】 以上のように構成された本発明の弾性継手構造では、隣接する3個または4個以上の函体1の壁部(側壁および頂底版)の定着部および/または滑動定着部に2本一組の斜めの緊張材2を、函体接合部の妻部(ジョイント面21)をはさんでX字状に掛け渡して張設し、該緊張材2にプレストレスをかけることによって函軸方向バネおよび函軸直角方向バネとして機能させるとともに、函体1のジョイント面21に設けた弾性材18が緊張材2の緊張により圧縮させられて密接し、該弾性材18が曲げバネとして作用するため、軟弱地盤における大きな圧密沈下・側方変位、あるいは地震時の液状化に伴う大きな地盤変位に耐える継手を構成することができる。さらにまた、複数の函体間を網状に掛け渡した斜め緊張材2により、変形量を抑制・分散する機能を果たし、高い変位差吸収能力を有し、信頼性の高い弾性継手を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000173670
【氏名又は名称】財団法人国土開発技術研究センター
【識別番号】591091087
【氏名又は名称】株式会社建設技術研究所
【識別番号】391037892
【氏名又は名称】大日化成株式会社
【識別番号】591047327
【氏名又は名称】大和クレス株式会社
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】 【識別番号】100069590
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 守
【公開番号】 特開2001−40746(P2001−40746A)
【公開日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願番号】 特願平11−217986