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【発明の名称】 減容装置搭載汚泥吸引車
【発明者】 【氏名】浜口 卓三

【氏名】久米 信明

【氏名】和田 英一

【要約】 【課題】道路の側溝等に堆積した汚泥を回収するための汚泥回収処理車において、貯槽内にて汚泥に含まれる固形分と液体分とを短時間で確実に分離し、固形分を減容化することが可能な減容装置搭載汚泥吸引車を提供すること。

【解決手段】回収した汚泥を内部で沈降分離させる貯槽と、該貯槽に連結され貯槽内部を減圧して貯槽内に汚泥を取り入れる吸引機構と、該貯槽内に凝集剤を供給する凝集剤供給手段とを搭載してなる汚泥吸引車であって、前記貯槽内には前面に攪拌羽根を備え貯槽内を前後移動可能に構成された移動板が配設され、該移動板には貯槽内の液体成分のみが通過可能な液通過部が設けられてなることを特徴とする減容装置搭載汚泥吸引車。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回収した汚泥を内部で沈降分離させる貯槽と、該貯槽に連結され貯槽内部を減圧して貯槽内に汚泥を取り入れる吸引機構と、該貯槽内に凝集剤を供給する凝集剤供給手段とを搭載してなる汚泥吸引車であって、前記貯槽内には前面に攪拌羽根を備え貯槽内を前後移動可能に構成された移動板が配設され、該移動板には貯槽内の液体成分のみが通過可能な液通過部が設けられてなることを特徴とする減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項2】 前記液通過部が、移動板を前後方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔の前面もしくは貫通孔内に配設され貫通孔内の液体の通過を許容するフィルターとから構成されてなることを特徴とする請求項1記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項3】 前記液通過部が、移動板を前後方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔内に配設され貫通孔内の液体の通過を許容又は遮断する弁体と、該貫通孔の前面を被覆するフィルターとから構成されてなることを特徴とする請求項1記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項4】 前記貯槽の前部に圧送空気を導入して移動板を貯槽の後方へと移動させる力を付与する空気圧送手段が備えられてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項5】 前記空気圧送手段が、前記吸引機構にて吸引された空気を利用するものであることを特徴とする請求項4記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項6】 前記貯槽の底部に沈降した汚泥の固形分を貯槽の前部から後部へと移動させる移送手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項7】 前記液通過部内の目詰まりを解消するための洗浄手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項8】 前記洗浄手段が、貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に高圧水を噴射する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項9】 前記洗浄手段が、貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に圧送空気を供給する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項10】 前記洗浄手段が、一端部が液通過部の後面に連結され他端部が貯槽の外部に露出された連結管と、該連結管の他端部に設けられたバルブからなり、前記移動板の移動に伴う貯槽前部空間の減圧によって該連結管から導入された外気を貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に供給する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項11】 前記貯槽の前部を上昇させて貯槽を傾斜させる傾斜手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【請求項12】 前記凝集剤供給手段が、加熱手段を備えた水タンクと、攪拌羽根を備え該水タンクと連通連結された凝集剤タンクからなり、該凝集剤タンク内に水タンクから温水を供給して凝集剤を攪拌混合することを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は道路の側溝等に堆積した汚泥を回収するための汚泥回収処理車に関するものであり、より詳しくは貯槽内にて汚泥に含まれる固形分と液体分とを短時間で確実に分離し、固形分を減容化することが可能な減容装置搭載汚泥吸引車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、道路の側溝等に溜まった汚泥の回収処理は、車両上に吸引機構と貯槽とが搭載された汚泥回収車を回収現場に派遣し、吸引機構によって貯槽内に汚泥を吸引回収し、貯槽内が汚泥で満杯になると回収した汚泥をそのまま中間処理施設へと運搬し、中間処理施設にて脱水処理を行って規定値以下の含水率に下げた後に最終処分地へと運んで処理を行っていた。ところが、このような回収処理方法では、回収したままの汚泥をそのまま処理施設へと運搬するため、本来固形分のみを運搬すればよいにも関わらず、汚泥に含まれた多量の水分をも一緒に運搬することとなるため運搬効率が非常に悪かった。しかも、運搬の度に汚泥処理車が現場を離れなければならないために、多量の汚泥を短時間で回収するためには多くの回収車を必要としていた。さらには、運搬後に汚泥の含水率を下げるための後工程を必要とすることから、処理に多大な時間と費用を要していた。
【0003】このような実情に鑑みて、車両に搭載された貯槽内に回収された汚泥に対して凝集剤を添加し、汚泥に含まれる固形成分と液体成分とを分離することによって、貯槽内に固形分のみを残して運搬廃棄することが可能な汚泥回収車も提案されている。ところが、従来のこのような汚泥回収車では、貯槽内に空気を送り込むばっ気によって汚泥と凝集剤とを攪拌混合していたが、この方法では、汚泥と凝集剤とが均一に混合されにくく、短時間で確実な固液分離を行うことが難しかった。しかも、分離された固形分には未だ多くの水分が含まれているが、車両上にてこの水分を除去して固形分を減容化することはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した課題を解決するためになされたものであって、道路の側溝等に溜まった汚泥を回収するための汚泥回収処理車において、貯槽内に回収された汚泥と凝集剤とを均一に攪拌混合することができ、汚泥に含まれる固形分と液体分とを短時間で確実に分離することが可能であって、しかも固形分を極力減容化することができる減容装置搭載汚泥吸引車の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、回収した汚泥を内部で沈降分離させる貯槽と、該貯槽に連結され貯槽内部を減圧して貯槽内に汚泥を取り入れる吸引機構と、該貯槽内に凝集剤を供給する凝集剤供給手段とを搭載してなる汚泥吸引車であって、前記貯槽内には前面に攪拌羽根を備え貯槽内を前後移動可能に構成された移動板が配設され、該移動板には貯槽内の液体成分のみが通過可能な液通過部が設けられてなることを特徴とする減容装置搭載汚泥吸引車に関する。請求項2に係る発明は、前記液通過部が、移動板を前後方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔の前面もしくは貫通孔内に配設され貫通孔内の液体の通過を許容するフィルターとから構成されてなることを特徴とする請求項1記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。請求項3に係る発明は、前記液通過部が、移動板を前後方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔内に配設され貫通孔内の液体の通過を許容又は遮断する弁体と、該貫通孔の前面を被覆するフィルターとから構成されてなることを特徴とする請求項1記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。
【0006】請求項4に係る発明は、前記貯槽の前部に圧送空気を導入して移動板を貯槽の後方へと移動させる力を付与する空気圧送手段が備えられてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。請求項5に係る発明は、前記空気圧送手段が、前記吸引機構にて吸引された空気を利用するものであることを特徴とする請求項4記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。請求項6に係る発明は、前記貯槽の底部に沈降した汚泥の固形分を貯槽の前部から後部へと移動させる移送手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。
【0007】請求項7に係る発明は、前記液通過部内の目詰まりを解消するための洗浄手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。請求項8に係る発明は、前記洗浄手段が、貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に高圧水を噴射する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。請求項9に係る発明は、前記洗浄手段が、貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に圧送空気を供給する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。請求項10に係る発明は、前記洗浄手段が、一端部が液通過部の後面に連結され他端部が貯槽の外部に露出された連結管と、該連結管の他端部に設けられたバルブからなり、前記移動板の移動に伴う貯槽前部空間の減圧によって該連結管から導入された外気を貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に供給する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。
【0008】請求項11に係る発明は、前記貯槽の前部を上昇させて貯槽を傾斜させる傾斜手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。請求項12に係る発明は、前記凝集剤供給手段が、加熱手段を備えた水タンクと、攪拌羽根を備え該水タンクと連通連結された凝集剤タンクからなり、該凝集剤タンク内に水タンクから温水を供給して凝集剤を攪拌混合することを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車に関する。これらの発明を提供することにより、上記従来技術の課題を悉く解決することに成功した。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る減容装置搭載汚泥吸引車の好適な実施形態について図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る減容装置搭載汚泥吸引車の全体構成を示すフロー図、図2は本発明において使用される移動板の前面図、図3は移動板の後面図、図4は移動板の縦断面図、図5は図3のA−A線断面図、図6は図3のB−B線断面図、図7は本発明に係る減容装置搭載汚泥吸引車の上面図、図8は本発明に係る減容装置搭載汚泥吸引車の側面図、図9は本発明に係る減容装置搭載汚泥吸引車の後面図、図10は傾斜手段を作動させて貯槽を通常の状態から傾斜させた様子を示す図である。
【0010】本発明に係る減容装置搭載汚泥吸引車は、回収した汚泥を内部で沈降分離させる貯槽(1)と、この貯槽(1)に連結され貯槽内部を減圧する吸引機構(2)と、貯槽(1)内に凝集剤を供給する凝集剤供給手段(3)とが車両(4)上に搭載された構成とされている。
【0011】貯槽(1)は略円筒形状のタンクであり、この貯槽(1)の内部には円板状の移動板(5)が配設され、この移動板(5)は貯槽(1)の後端部に配設された油圧駆動のシリンダー(6)の駆動によって矢印で示したように貯槽(1)内を前後に移動可能とされている。尚、本明細書における前後の表現は、貯槽については車両の前側を前部、車両の後側を後部と称し、移動板(液通過部を含む)については貯槽の後方向を前部、貯槽の前方向を後部と称している。従って、図1においては図の右側が貯槽の後部であるとともに移動板の前部になる。
【0012】シリンダー(6)は、図示例では貯槽(1)の前部に取り付けられているが、貯槽(1)の後部に取り付けてシリンダー(6)の収縮により移動板(5)を貯槽(1)の後部に向けて移動させる構成としてもよい。尚、この場合には後述する攪拌羽根(12)の邪魔にならないように、例えばシリンダー(6)を攪拌羽根(12)を左右に挟む位置に2本設ければよい。
【0013】移動板(5)は2枚の円板(51)、(52)がボルト(7)及びナット(8)によって連結された構造とされ、その外周面にはゴム製のパッキン(9)及びタイヤ(10)が取り付けられている。これらパッキン(9)及びタイヤ(10)は貯槽(1)の内周面に密接しており、移動板(5)が貯槽(1)内を前後に移動する際に貯槽(1)内の内容物が移動板(5)と貯槽(1)の隙間を通過するのを防ぐ役割を果たしている。また、移動板(5)の前面(貯槽の後方向に向く面)の中央には、モータ(11)によって回転する攪拌羽根(12)が取り付けられている。
【0014】移動板(5)には貯槽(1)内の液体が通過可能な液通過部(13)が設けられている。液通過部(13)は、移動板(5)を前後方向に貫通する貫通孔(14)と、この貫通孔(14)内に配設された弁体(15)と、貫通孔(14)の前面を覆うように取り付けられたフィルター(16)とから構成されている。弁体(15)は2枚の円板(51)、(52)を繋ぐように設けられた円筒(19)内に配設されており、略円錐台形状の頭部(15a)と、この頭部(15a)の基端部から延出された軸部(15b)から構成されている。
【0015】前側(貯槽の後方向)に位置する円板(51)の表面(前面)には、貫通孔(14)よりも小径とされた環状板(53)が同心状に取り付けられている。また、環状板(53)の表面(前面)にはフランジ部を有する円筒(54)が内嵌され、円筒(54)のフランジ部表面にはフィルター(16)を介して環状板(55)が取り付けられている。尚、フィルター(16)としては、100メッシュの金網が好適に使用される。円筒(54)の後端部は前方に向けて漸次縮径するテーパ面とされており、このテーパ面に前記頭部(15a)の傾斜面が当接することによって貫通孔(14)が閉鎖され、これにより貫通孔(14)内の液体の通過が遮断されるようになっている。
【0016】軸部(15b)は円筒状のガイド(17)内に挿通され、ガイド(17)の前端部と頭部(15a)の基端部との間にはバネ(18)が介装されている。そして、移動板(5)がシリンダー(6)の駆動(伸長)によって貯槽(1)内を後方へと移動すると、貯槽(1)内の内容物から受ける圧力によってバネ(18)が縮み、これによって弁体(15)の頭部(15a)の傾斜面が円筒(54)のテーパ面から離間し、貫通孔(14)内の液体の通過を許容するようになる。
【0017】尚、本発明においては、弁体(15)を設けずに液通過部(13)を貫通孔(14)とフィルター(16)のみで構成することも可能である。この場合、フィルター(16)は記述例のように貫通孔(14)の前面を覆うように取り付ける構成としてもよいが、貫通孔(14)内に筒状のストレーナタイプのフィルターを取り付ける構成とすることもできる。また、本発明では吸引される汚泥の種類に応じてフィルター(16)の種類を使い分けることが好ましい。具体的には、無機汚泥の場合には前述した金網や、筒状体に布等を巻き付けて形成されたストレーナタイプのものがいずれも好適に使用できるが、有機汚泥を吸引処理する場合には金網では充分な異物除去を行うことができないため、筒状体に布等を巻き付けて形成されたストレーナタイプのものを使用する必要がある。そのため、フィルター(16)は汚泥の種類に応じて容易に取り替え可能なカートリッジ式とすることが好ましい。
【0018】尚、図示例において、貫通孔(14)は、移動板(5)の攪拌羽根(12)を挟んだ対称位置に2箇所設けられているが、1箇所のみ或いは3箇所以上に設ける構成とすることもできる。
【0019】吸引機構(2)は、図1に示すように、真空ポンプとして使用されるルーツブロワー(21)の吸入口側を第1のミストキャッチャー兼消音水槽(22)を介して吸引管(25)により貯槽(1)と連通連結し、出口側には吐出サイレンサー(23)を介して第2のミストキャッチャー兼消音水槽(24)を連通連結してなるものである。そして、第1のミストキャッチャー兼消音水槽(22)と貯槽(1)とを繋ぐ吸引管(25)の中途部には外気に開放された2つの分岐通路が形成され、各分岐通路の開放端にはそれぞれ負荷調整弁(26)とバキュームブレーカー(27)が設けられている。そして、ルーツブロワー(21)を駆動することにより、吸引管(25)に吸引力を発生させて貯槽(1)内部を減圧状態とし、吸引管(40)から汚泥取入口(70)を介して貯槽(11)内へと汚泥を吸引することが可能となっている。
【0020】貯槽(1)の後部壁の底面よりやや上方位置には、移動板(5)の液通過部(13)を通過した内容物の上澄み液を取り出すための取り出し管(30)が設けられ、この取り出し管(30)はポンプ(31)及び洗浄ホース(39)を介して液通過部(13)の後部へと繋がっている。これは、液通過部(13)の洗浄手段を構成しており、ポンプ(31)を駆動させることによって、上澄み液を取り出し管(30)から取り出し、洗浄ホース(39)を流通させて液通過部(13)へと高圧で吹き付けることが可能となっている。これにより、液通過部(13)のフィルター(16)に詰まった固形分を除去して移動板(5)の前方へと排出することができる。
【0021】貯槽(1)の底部には、貯槽の前部と後部とを繋ぐ移送管(32)が設けられており、この移送管(32)は中途部に配設された三方弁(33)を介して排水ホース(34)と連通連結されている。尚、図中(35)はフィルターであり、貯槽(1)から排出された水はフィルター(35)を通過して濾過された後に排水ホース(34)を通って汚泥回収現場である側溝(S)へと戻される。
【0022】移送管(32)の中途部に設けられた排水ポンプ(36)の駆動によって貯槽(1)の後部から取り出された内容物は、三方弁(33)の切替えによって貯槽の後部へと移送されるか、もしくは排水ホース(34)を通って排出されるかが選択される。この三方弁(33)の切替えは、貯槽(1)の後部から取り出された内容物に固形分が多く含まれている場合には貯槽の後部へと移送するようにし、固形分が殆ど含まれていない場合には排水ホース(34)を通って排出するように切替えられる。
【0023】凝集剤供給手段(3)は、水タンク(42)と2つの凝集剤タンク(43)からなり、水タンク(42)にはヒーター(44)が、凝集剤タンク(43)には攪拌羽根(45)がそれぞれ備えられている。水タンク(42)と凝集剤タンク(43)は、ポンプ(46)及び三方弁(47)を介して連通連結されており、ヒーター(44)によって温められた温水を凝集剤が添加された凝集剤タンク(43)へと供給し、攪拌羽根(45)によって攪拌するように構成されている。本発明では、このように温水を使用することによって、1%程度の高い濃度の凝集剤を短時間で得ることができる。凝集剤タンク(43)にて温水と攪拌混合された凝集剤は、凝集剤供給パイプ(48)を通って凝集剤投入口(49)から貯槽(1)内へと供給される。尚、凝集剤タンク(43)の数は特に限定されず、使用する凝集剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0024】本発明において使用される凝集剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の高分子凝集剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上が回収される汚泥の性質に合わせて使用される。具体的には、アニオン系としてはポリアクリルアミド系、ポリアクリル酸ソーダ系、変性ポリアクリルアミド系、カチオン系としてはポリメタアクリル酸エステル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミン系、ノニオン系としてはポリアクリルアミド系、変性ポリアクリルアミド系のものが挙げられる。
【0025】車両(4)には貯槽(1)の前部を上昇させて貯槽を傾斜させる傾斜手段が設けられている。以下に傾斜手段の構成を図10に基づいて説明する。貯槽(1)は車両(4)上に固定された基台(60)上部に載設されており、基台(60)には貯槽(1)の前部を支える前部支持材(61)と、後部を支える後部支持材(62)が設けられている。後部支持材(62)は、その上端部が貯槽(1)の底面に固定され、下端部は基台(60)に対して回動自在に取り付けられている。また、前部支持材(61)の下端部は基台(60)に対して固定されているが、上端部は貯槽(1)の底面には固定されず単に載置された状態となっている。
【0026】また、基台(60)の前端部近傍から貯槽(1)の前面に向けて傾斜するように油圧シリンダー(63)が設けられており、油圧シリンダー(63)の前端部は基台(60)に対して、後端部は貯槽(1)に対して、それぞれ回動自在に枢着されている。そして、この油圧シリンダー(63)の伸長によって図10の右図に示す如く貯槽(1)の前部を上昇させて貯槽を約40度傾斜させることが可能となっている。
【0027】以下、本発明に係る減容装置搭載汚泥吸引車の作用について説明する。本発明に係る減容装置搭載汚泥吸引車を使用して汚泥の回収作業を行う場合、先ず側溝(S)等の汚泥回収が必要な場所に吸引管(40)の先端を入れ、吸引機構のルーツブロワー(21)を駆動させることにより、吸引管(25)に吸引力を発生させて貯槽(1)内部を減圧状態とし、吸引管(40)から汚泥取入口(70)を介して貯槽(1)内へと汚泥を吸引する。尚、このとき吸引の妨げにならないように、移動板(5)は貯槽(1)と吸引管(25)との連結部(71)よりも前側(貯槽内の前端部)に移動させておく。
【0028】次いで、水タンク(42)から供給された温水と攪拌混合された凝集剤を凝集剤タンク(43)から凝集剤供給パイプ(48)を介して貯槽(1)内へと供給する。このとき、汚泥のpH値によっては硫酸バンド等のpH調整剤を貯槽(1)内へと投入して汚泥を中性とする。
【0029】凝集剤が汚泥に供給された後、モーター(11)を駆動させて攪拌羽根(12)を回転させる。攪拌が十分に実施されることによりフロックが生成され、汚泥が液体と固体に分離される。次いで、少しシリンダー(6)を駆動して移動板(5)を貯槽(1)内にて前後に往復移動させ、同時にモータ(11)を駆動して攪拌羽根(12)を回転させることにより、分離が不十分な汚泥についても素早く液体と固体に分離される。この移動板(5)の往復移動と攪拌羽根(12)の回転によって、凝集剤と汚泥とが短時間で均一に混合されることとなり、汚泥に含まれる固形成分と液体成分とが素早く分離される。尚、移動板(5)を前進させた際に貯槽(1)内に発生する空気圧力は貯槽後方上部に設けられた圧力ブレーカー(73)を通して抜く。
【0030】所要回数の移動板(5)の往復移動によって凝集剤と汚泥とが混合された後、移動板(5)を貯槽(1)の後部に向けて前進させることによって、汚泥を圧縮減容化する。この圧縮工程時における圧力は、例えば50〜70kg/cm2 程度とされる。この圧縮工程では、圧縮された汚泥中に含まれる水分は移動板(5)のフィルター(16)を介して液通過部(13)を通過し、移動板(5)の後方(貯槽の前部)へと移動し、これにより移動板(5)の前方(貯槽の後部)には汚泥中の固形分のみが蓄積していくこととなる。
【0031】このとき、移動板(5)の後方(貯槽の前部)へと移動するのは大部分が水分であるが、若干の固形分がフィルター(16)を通過して移動する場合がある。このような場合には、排水ポンプ(36)を駆動することによって、貯槽の前部(移動板の後部)に沈降した固形分を移送管(32)を介して貯槽の後部(移動板の前部)へと移送する。
【0032】上記工程を所要回数繰り返すことによって、回収された汚泥に含まれる固形成分が移動板の前方(貯槽の後部)に、液体成分が移動板の後方(貯槽の前部)に、それぞれ分離蓄積されることとなるので、貯槽(1)の前部から取り出される内容物に固形分が殆ど含まれなくなったことを確認した後、三方弁(33)を切り換えて貯槽(1)の後部から取り出した水分を排水ホース(34)を通して側溝(S)等の汚泥回収場所へと排出する。尚、2回目以降に行う吸引、凝集剤添加、攪拌混合、圧縮減容化については、図10に示すように貯槽(1)を傾斜させた状態にて行うとよい。これは、貯槽(1)を傾斜させることによって、既に1回目の処理にて水分が除去されて減容化された汚泥(A)が貯槽の後部へと集められるので、この汚泥(A)に2回目以降の吸引工程にて貯槽内に取り入れられた水分を含んだ汚泥(B)が混合しにくくなるためである。尚、場合によっては1回目から貯槽(1)を傾斜させて処理を行っても構わない。
【0033】尚、上記圧縮工程を繰り返すとフィルター(16)が目詰まりしてくるので、定期的にポンプ(31)を駆動させて高圧水を洗浄ホース(39)を介して液通過部(13)の後部から吹き付け、これによりフィルター(16)に詰まった固形分を除去して移動板(5)の前方へと排出する作業を行うとよい。
【0034】図11は本発明の別の実施形態に係る減容装置搭載汚泥回収車の全体構成を示すフロー図であり、以下、この実施形態の減容装置搭載汚泥回収車が図1に示したものと異なっている点についてのみ説明し、同じ構成の部分については同じ符号を付して説明を省略する。先ず第一の相違点は、貯槽(1)の前部に圧送空気を導入して移動板(5)を貯槽(1)の後方へと移動させる力を付与する空気圧送手段が備えられている点にある。以下、この空気圧送手段について説明する。吸引機構(2)のルーツブロワー(21)の吐出口と吐出サイレンサー(23)とを繋ぐ通路の中途部から分岐された分岐通路(50)が設けられ、この分岐通路(50)がバルブ(81)を介して貯槽(1)の前部に連通連結されている。そして、ルーツブロワー(21)の吐出口と吐出サイレンサー(23)とを繋ぐ通路にはバルブ(84)が設けられ、このバルブ(84)が設けられた通路と並列にプレッシャーブレーカー(85)が設けられた迂回通路(86)が形成されており、負荷調整弁(26)とバキュームブレーカー(27)との間の通路にはバルブ(87)が設けられている。上記構成によれば、バルブ(84),(87)を閉鎖し、負荷調整弁(26)を開放した状態にてルーツブロワー(21)を駆動することにより、負荷調整弁(26)から取り入れられた外気が貯槽(1)の前部(移動板(5)の後部)へと圧送供給される。尚、貯槽(1)内の空気圧が過大になったときには、プレッシャーブレーカー(85)が設けられた迂回通路(86)へと空気を逃がすことができる。このような空気圧送手段を設けることによって、移動板(5)を前進させる力が付与され、シリンダー(6)による移動板(5)の前進(貯槽後方への移動)による汚泥の圧縮力を更に高めることが可能となる。
【0035】第二の相違点は、液通過部(13)に外気を送り込むための連結管(82)が連結されている点である。連結管(82)は、その一端部が液通過部(13)の後面に連通連結され、他端部が貯槽(1)の外部に露出するように取り付けられている。そして、貯槽(1)の外部に露出された連結管(82)の他端部には電磁弁からなるバルブ(83)が設けられており、このバルブ(83)の作動によって連結管(82)の他端部を開放又は閉鎖するようになっている。また、前述したように、貯槽(1)の後部壁の底面よりやや上方位置には、移動板(5)の液通過部(13)を通過した内容物の上澄み液を取り出すための取り出し管(30)が設けられているが、本実施形態では、この取り出し管(30)はポンプ(31)を介して貯槽(1)の外部に露出された連結管(82)の他端部のバルブ(83)と貯槽(1)との間の位置に連通連結されている。上記構成にて、バルブ(83)を開放した状態で移動板(5)を貯槽(1)の後方へと移動させ、貯槽(1)の前部空間(移動板(5)よりも後ろの空間)を減圧させると、貯槽(1)の外部に露出された連結管(82)の他端部から外気が吸引され、この吸引された外気(空気)は連結管(82)を通って液通過部(13)へと吹き付けられるので、液通過部(13)のフィルター(16)に詰まった固形分を除去して移動板(5)の前方へと排出することができる。尚、このときポンプ(31)を駆動して少量の水を連結管(82)に供給することで、水を空気と共に液通過部(13)へと吹き付けるようにすると、洗浄効果に優れたものとなるためより好ましい。
【0036】図12は本発明の更に別の実施形態に係る減容装置搭載汚泥回収車の全体構成を示すフロー図であり、以下、この実施形態の減容装置搭載汚泥回収車が図11に示したものと異なっている点についてのみ説明し、同じ構成の部分については同じ符号を付して説明を省略する。この実施形態が図11で示した実施形態と異なっている点は、吸引機構(2)のルーツブロワー(21)の吐出口と吐出サイレンサー(23)とを繋ぐ通路の中途部から分岐された分岐通路(50)と、液通過部(13)に外気を送り込むための連結管(82)の他端部とが連通連結されている点にある。すなわち、この実施形態は分岐通路(50)が貯槽(1)の前部と連通連結されている点、及び液通過部(13)に外気を送り込むための連結管(82)の一端部が液通過部(13)の後面に連通連結され、他端部が貯槽(1)の外部に露出するように取り付けられている点においては、前記実施形態と同じであるが、分岐通路(50)がその中途部にて更に分岐されて連結管(82)の露出された他端部と連通連結されている点が異なっている、そして、この分岐通路(50)と連結管(82)を繋ぐ連結通路にはバルブ(88)が設けられており、分岐通路(50)のバルブ(81)はこの連絡通路と貯槽との間の位置に設けられている。
【0037】上記構成にて、バルブ(84),(87)を閉鎖し、負荷調整弁(26)を開放した状態にてルーツブロワー(21)を駆動することにより、負荷調整弁(26)から取り入れられた外気がルーツブロワー(21)の吐出口から分岐通路(50)へと送られるが、ここでバルブ(83),(88)を閉鎖し、バルブ(81)を開放すると、この空気は貯槽(1)の前部(移動板(5)の後部)へと圧送供給されて移動板(5)を前進させる力が付与され、シリンダー(6)による移動板(5)の前進(貯槽後方への移動)による汚泥の圧縮力を更に高めることが可能となる。つまり、この場合には前述の空気圧送手段が構成されることとなる。また、バルブ(84),(87)を閉鎖し、負荷調整弁(26)を開放した状態にてルーツブロワー(21)を駆動することにより、負荷調整弁(26)から取り入れられた外気がルーツブロワー(21)の吐出口から分岐通路(50)へと送られるが、ここでバルブ(81),(83)を閉鎖し、バルブ(88)を開放すると、この空気は連結管(82)を通って液通過部(13)へと吹き付けられるので、液通過部(13)のフィルター(16)に詰まった固形分を除去して移動板(5)の前方へと排出することができる。つまり、この場合には前述の洗浄手段が構成されることとなる。尚、この場合もポンプ(31)を駆動して少量の水を連結管(82)に供給することで、水を空気と共に液通過部(13)へと吹き付けるようにすると、洗浄効果に優れたものとなるためより好ましい。このように、図12に示した実施形態によれば、弁の開閉操作によって空気圧送手段と洗浄手段とを使い分けることが可能となるというメリットがある。
【0038】尚、これら図11及び図12の実施形態の減容装置搭載汚泥回収車についても前述した実施形態と同様の方法で汚泥回収作業を行うことができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発明は、回収した汚泥を内部で沈降分離させる貯槽と、該貯槽に連結され貯槽内部を減圧して貯槽内に汚泥を取り入れる吸引機構と、該貯槽内に凝集剤を供給する凝集剤供給手段とを搭載してなる汚泥吸引車であって、前記貯槽内には前面に攪拌羽根を備え貯槽内を前後移動可能に構成された移動板が配設され、該移動板には貯槽内の液体成分のみが通過可能な液通過部が設けられてなることを特徴とする減容装置搭載汚泥吸引車であるから、以下に述べる効果を奏する。
【0040】すなわち、移動板の前後移動と攪拌羽根の回転によって、貯槽内にて凝集剤と汚泥とを短時間で均一に混合することが可能となり、汚泥に含まれる固形成分と液体成分とを素早く分離することができる。しかも、移動板を前進させることによって貯槽内にて汚泥を圧縮減容化することが可能であり、このとき移動板の液通過部から液体成分のみが通過することによって移動板の前後で固形成分と液体成分とを分離させることができる。
【0041】請求項2に係る発明は、前記液通過部が、移動板を前後方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔の前面もしくは貫通孔内に配設され貫通孔内の液体の通過を許容するフィルターとから構成されてなることを特徴とする請求項1記載の減容装置搭載汚泥吸引車であり、請求項3に係る発明は、前記液通過部が、移動板を前後方向に貫通する貫通孔と、該貫通孔内に配設され貫通孔内の液体の通過を許容又は遮断する弁体と、該貫通孔の前面を被覆するフィルターとから構成されてなることを特徴とする請求項1記載の減容装置搭載汚泥吸引車であるから、簡易な構成にて液通過部を通過する固形成分を極力少なくすることができる。
【0042】請求項4に係る発明は、前記貯槽の前部に圧送空気を導入して移動板を貯槽の後方へと移動させる力を付与する空気圧送手段が備えられてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車であるから、移動板を移動させるための力を圧送空気で補助することができ、汚泥に対してより強い圧縮力を付与することが可能となる。請求項5に係る発明は、前記空気圧送手段が、前記吸引機構にて吸引された空気を利用するものであることを特徴とする請求項4記載の減容装置搭載汚泥吸引車であるから、新たに空気圧送手段のための設備を設ける必要がない。
【0043】請求項6に係る発明は、前記貯槽の底部に沈降した汚泥の固形分を貯槽の前部から後部へと移動させる移送手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車であるから、移動板の液通過部を通過した固形成分を貯槽の後部へと移送することが可能となり、固液分離をより確実に行うことができる。
【0044】請求項7に係る発明は、前記液通過部内の目詰まりを解消するための洗浄手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車であるから、液通過部に詰まった固形分を除去することができ、長期間にわたって優れた性能を保つことが可能となる。請求項8に係る発明は、前記洗浄手段が、貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に高圧水を噴射する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車であり、請求項9に係る発明は、前記洗浄手段が、貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に圧送空気を供給する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車であり、請求項10に係る発明は、前記洗浄手段が、一端部が液通過部の後面に連結され他端部が貯槽の外部に露出された連結管と、該連結管の他端部に設けられたバルブからなり、前記移動板の移動に伴う貯槽前部空間の減圧によって該連結管から導入された外気を貯槽の前部から後部へ向けて前記液通過部内に供給する手段であることを特徴とする請求項7記載の減容装置搭載汚泥吸引車であるから、液通過部に詰まった固形分を簡単且つ確実に除去することができる。
【0045】請求項11に係る発明は、前記貯槽の前部を上昇させて貯槽を傾斜させる傾斜手段が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車であるから、前工程にて水分が除去されて減容化された汚泥に対して、次の吸引工程にて貯槽内に取り入れられた水分を含んだ汚泥が混合しにくくなる。
【0046】請求項12に係る発明は、前記凝集剤供給手段が、加熱手段を備えた水タンクと、攪拌羽根を備え該水タンクと連通連結された凝集剤タンクからなり、該凝集剤タンク内に水タンクから温水を供給して凝集剤を攪拌混合することを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の減容装置搭載汚泥吸引車であるから、温水によって凝集剤の粉末や原液を容易に溶解させることができ、短時間で均一な凝集剤添加液を比較的高い濃度で得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000165343
【氏名又は名称】兼松エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成12年5月22日(2000.5.22)
【代理人】 【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
【公開番号】 特開2001−32362(P2001−32362A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願2000−150382(P2000−150382)