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【発明の名称】 下水道用の枝管継手
【発明者】 【氏名】長谷川 博一

【要約】 【課題】地盤の変位により下水道本管に取り付けた枝管が、相対的に変位して枝管の取付部が破損することを防止した下水道用の枝管継手を提供する。

【解決手段】段部4を付して先端を拡径した枝管保持部3を有する硬質の分岐部材2の基端部がサドル部5に固定され、外周に複数の硬質リング部材12,12,12・・・を巻回した可撓性の継手部材6の保持部7を分岐部材2に外嵌して構成し、前記サドル部5を下水道本管20に固定し、摺動縁9を設けた継手部材6の嵌入口8より枝管21を嵌入し、枝管21の先端を分岐部材2の枝管保持部3に形成した段部4に当接させることによって下水道本管20に枝管21を接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基端部が下水道本管に形成した分岐穴に適合した内径を有すると共に、先端部が段部をもって拡径した枝管保持部を形成してなる硬質の分岐部材と、前記枝管保持部の外周面に当接して保持される保持部を一端に有し、他端に内側に向けて曲折した摺動縁による枝管の嵌入口を形成すると共に、外周面に設けた凹溝に硬質のリング部材を巻回係止してなる可撓性の継手部材と、該継手部材の一端外周を囲繞して緊締するバンド部材とからなるもので、下水道本管に固定した分岐部材の枝管保持部に、一端を保持させてバンド部材で緊締した継手部材の前記他端から枝管を嵌入し、該枝管の端部を枝管保持部の前記段部に当接させることにより継手部材と分岐部材を介して枝管を下水道本管に接続するよう構成したことを特徴とする下水道用の枝管継手。
【請求項2】 前記分岐部材が、下水道本管の外周面に装着されるサドル部に設けられ、該サドル部を介して下水道本管に固定されるものであることを特徴とする請求項1に記載の下水道用の枝管継手。
【請求項3】 前記分岐部材が、下水道本管を接続する継手部材に固定されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の下水道用の枝管継手。
【請求項4】 前記分岐部材を、管状部と該管状部の内周面に保持されるリング状の保持体で構成し、リング状の保持体を枝管保持部としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の下水道用の枝管継手。
【請求項5】 前記継手部材の一端の保持部の奥部内周に枝管保持部の拡径した端縁に接する当接部を設けたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の下水道用の枝管継手。
【請求項6】 前記当接部が、分岐部材の枝管保持部の端縁を嵌入係合する係合溝であることを特徴とする請求項5に記載の下水道用の枝管継手。
【請求項7】 前記継手部材の外周に形成した凹溝が、複数のリング部材を個別に巻回係止するための複数の凹溝からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の下水道用の枝管継手。
【請求項8】 前記継手部材の外周に形成した凹溝が、複数のリング部材をまとめて巻回係止するための1又は2以上の凹溝からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の下水道用の枝管継手。
【請求項9】 前記継手部材の外周に形成した凹溝が、螺旋状のリング部材を巻回係止するための螺旋状の凹溝からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の下水道用の枝管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、地震等により生じた地盤の変位に対応し、下水道本管に分岐して設けた枝管の歪みを、容易に吸収して破壊を防止することができる下水道用の枝管継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地中に埋設した下水道本管と、この下水道本管から分岐させた枝管との分岐部が地震などによる地盤の変位で屈撓して破壊されることを防止するために、たとえば、特開平10−30779号公報においては、下水道本管に形成された枝管取り付けのために形成した分岐孔の部分に、下水道本管の外面に装着される湾曲したサドル部と、このサドル部から立ち上げた立ち上げ部とからなる硬質の枝管当接部と、この立ち上げ部に当接される可撓性の継手部とからなる下水道枝管継手が開示されている。
【0003】この下水道枝管継手は、同公報の図1〜図3に示されるように、下水道本管に穿設した分岐孔にサドル部を接合し、枝管を蛇腹状の可撓性の継手部の内側に挿入して枝管下端を枝管当接部に当接させ、継手部の上端部と挿入した枝管を、また、継手部の下端部と立ち上げ部とを、それぞれバンドで締め付けて接続するよう構成しているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この特開平10−30779号公報に記載の下水道枝管継手は、枝管の下端を枝管当接部に当接させているので、枝管の落とし込みに対する耐荷重が大きくなるという効果はあるものゝ、これが単なる当接であるため、地盤の比較的大きな変位に対して枝管の下端が枝管当接部からズレるおそれがあり、一旦ズレが生ずると復元できない状態になることが懸念される。また、継手部の中央に形成した蛇腹の部分が、地盤の変位で生ずる枝管の動きに過度に追従して枝管下端の枝管当接部に対するズレをより一層増加させる可能性があると共に、この継手部に形成した蛇腹の伸縮性により枝管を挿入する際して、蛇腹の部分に縮みが生じ、縮んだ継手部によって枝管を正しく接続することができず、この縮みの修正も著しく困難である。さらに、継手部の上端と枝管との間の水密性の保持を、バンドの締め付けのみに依存しているので、災害の発生時にはこのバンドの締め付けのみで充分な水密状態を保持することが難しいという問題がある。
【0005】この発明はかゝる現状に鑑み、地震などによる地盤の変位によって生ずる下水道本管に対する枝管の過度の動きを適度に規制しつゝ、下水道本管に対する枝管の歪みを、的確に吸収して破壊を防止することができる下水道用の枝管継手を提供せんとするものである。
【0006】この発明の他の目的は、前記下水道本管に対する枝管の接続を、優れた作業性をもって能率よく実施することができる下水道用の枝管継手を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため、この発明の下水道用の枝管継手は、基端部が下水道本管に形成した分岐穴に適合した内径を有すると共に、先端部が段部をもって拡径した枝管保持部を形成してなる硬質の分岐部材と、前記枝管保持部の外周面に当接して保持される保持部を一端に有し、他端に内側に向けて曲折した摺動縁による枝管の嵌入口を形成すると共に、外周面に設けた凹溝に硬質のリング部材を巻回係止してなる可撓性の継手部材と、該継手部材の一端外周を囲繞して緊締するバンド部材とからなるもので、下水道本管に固定した分岐部材の枝管保持部に、一端を保持させてバンド部材で緊締した継手部材の前記他端から枝管を嵌入し、該枝管の端部を枝管保持部の前記段部に当接させることにより継手部材と分岐部材を介して枝管を下水道本管に接続するよう構成したことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の下水道用の枝管継手は、基本的には、枝管保持部を有する硬質の分岐部材と、外周に硬質のリング部材を巻回係止した可撓性の継手部材、および該継手部材の一端外周と枝管保持部を緊締して継手部材を分岐部材に保持させるためのバンド部材から構成されるものである。
【0009】前記分岐部材は、下水道本管に穿設した枝管取付けのための開口部に直接固定してもよいが、下水道本管の外周面のほゞ半面に沿った内面を有し、かつその中央部に前記開口部に適合する分岐穴を設けた樋状のサドル部の該開口部に設けてもよく、このサドル部を下水道本管の外周面に装着するようにしてもよい。
【0010】この分岐部材は、下水道本管の接続のための継手部材に直接もしくは前記サドル部を介して取り付けるようにすることができ、下水道本管又はサドル部に直接取り付けるための管状部と、該管状部の内周面に嵌入保持されて枝管保持部としたリング状の保持体で構成してもよい。
【0011】前記継手部材は、継手部材を構成する一端の保持部の奥部内周に枝管保持部の拡径した端縁に接する当接部を設けることができ、この当接部として前記枝管保持部の端縁を嵌入係合する係合溝で構成することができる。
【0012】この継手部材の外周面に、硬質のリング部材を巻回係止するために設ける凹溝は、複数のリング部材を個別に巻回係止するための複数の凹溝を個別に設けたものでもよく、複数のリング部材をまとめて巻回係止するための1又は2以上の凹溝からなるものであってもよい。さらに、この硬質のリング部材として螺旋状のリング部材を使用し、継手部材の外周にこの螺旋状のリング部材を巻回係止するための螺旋状の凹溝を形成してもよい。
【0013】この発明の下水道用の枝管継手における分岐部材は、下水道本管や枝管の材料に合わせて塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの硬質合成樹脂のほか、金属などの硬質材料が使用され、継手部材は、外周部に巻回係止するリング部材を除いて、合成ゴムや軟質プラスチック等の可撓性の材料で構成されるものである。
【0014】継手部材の外周に巻回係止する前記リング部材と、継手部材の一端外周に緊締するバンド部材は金属や硬質プラスチックが使用され、好ましくは、リング部材は硬質プラスチックで、バンド部材はステンレススチールなどの帯金が使用されるものである。
【0015】
【作用】この発明の下水道用の枝管継手は、外周にリング部材を巻回係止した可撓性の継手部材を分岐部材に保持させ、かゝる継手部材を取り付けた分岐部材を下水道本管に固定し、継手部材に枝管を挿入して枝管端部を分岐部材の枝管保持部に設けた段部に当接させることによって、地震等のアクシデントによる地盤の変位で生じた下水道本管に対する枝管の過度な変位を、継手部材に設けた前記リング部材で適度に規制しつゝ、しかも継手部材の可撓性の部分で枝管の変位を的確に吸収して、前記枝管保持部の段部に当接した枝管端部のズレを防止して適正な状態を保持することができる。また、このリング部材が、枝管を挿入に際してもたらされる可撓性の継手部材の縮みを防止し、下水道本管と枝管の接続を適正位置と適正状態で常に維持することができ、さらに、継手部材の枝管挿入側端部の内側に形成した摺動縁が、挿入した枝管の外周に密に接触して管内外の水の浸入や流失を確実に遮断することができるものである。
【0016】
【実施例】以下、この発明の下水道用の枝管継手(以下、単に「枝管継手」という。)の実施例を添付の図面に基づいてより具体的に説明する。この発明の枝管継手1は、基本的には、塩化ビニル樹脂等の硬質プラスチックで作られた分岐部材2と、この分岐部材2に取付けられる合成ゴムや軟質プラスチック等の可撓性材料からなる継手部材6で構成されている。
【0017】一方の分岐部材2は、下水道本管20の外周面のほゞ半面を覆って装着されるサドル部5に突設された短筒状のもので、前記サドル部5は、下水道本管20に形成した枝管の取付穴に適合する開口部を中央に形成し、前記分岐部材2は基端部が、この開口部の周縁に一体的に固定されているものである。
【0018】この分岐部材2の先端部は、内周面に段部4を形成して拡径した枝管保持部3を有するもので、この段部4の内径と幅は、接続せんとする枝管の内径と厚みに等しく形成されていると共に、枝管保持部3の内周壁は、枝管挿入側に向かって連続的に拡がった傾斜面を形成している。
【0019】他方の可撓性の継手部材6は、一端側に前記分岐部材2の先端部に形成された枝管保持部3の拡径部分の外周面に当接して保持される保持部7と、他端側には内側に向けて曲折したひれ状の摺動縁9を設けて枝管21の嵌入口8とを有する短管状のものである。
【0020】この継手部材6の前記保持部7の奥部内周には、枝管保持部3の拡径した端縁を嵌入係合させるための係合溝10を設けていると共に、継手部材6の外周面には複数の凹溝11,11,11・・・を適宜の間隔で形成し、この凹溝11,11,11・・・に同数の硬質のプラスチックからなるリング部材12,12,12・・・を、それぞれ個別に嵌め込んで巻き付けて係止しているので、かゝる硬質のプラスチックのリング部材12,12,12・・・が、本来柔軟な継手部材6を支えて軸方向に対する過度な伸縮を適度に抑制し、同時に横方向に対する大きなフレを適度に規制している。
【0021】かゝる構成からなる分岐部材2と継手部材6とで枝管継手1を構成するには、前記分岐部材2の枝管保持部3に、この継手部材6の保持部7を外嵌し、枝管保持部3の端縁を、前記継手部材6の奥部内周に形成した係合溝10に係合させたのち、保持部7の外周面にステンレススチールからなる二つ割りのバンド部材13を緊締して分岐部材2に継手部材6を水密に保持させる。
【0022】ついで、分岐部材2を取り付けたサドル部5の内面に接着剤を塗布し、このサドル部5を下水道本管20の外面に当接し、サドル部5に形成した開口部を下水道本管20の分岐穴に適合するように位置調整して当接し、このサドル部5と下水道本管20を金属線などで締め上げて継手部材6を取り付けた前記分岐部材2を下水道本管20に一体的に固定する。
【0023】しかるのち、継手部材6の前記嵌入口8から枝管21を、その先端が分岐部材2に形成した段部4に当接するまで嵌入することによって、下水道本管20に枝管21を接続するることができる。
【0024】この嵌入に当たって、枝管21は継手部材6の嵌入口8に設けた前記摺動縁9を内側に折り曲げ、継手部材6の内周面に接触しながら強制嵌入することによって、この摺動縁9が枝管21の外面に強く接触し、継手部材6の摺動縁9側のリング部材12が継手部材6の拡がりを規制することによって配管を水密状態を保持するため、継手部材6の外面をバンド部材13で緊締する必要はないが、所望によりこの部分をバンド部材13で緊締してもよい。
【0025】また、継手部材6の外周に設けた前記リング部材12,12,12・・・が、枝管21の強制嵌入の際に生ずる継手部材6の軸方向への縮みを抑えて変形のない状態で枝管21を接続することができ、枝管21を引き抜く際にも、このリング部材12,12,12・・・が継手部材1の極度の伸長を抑制し、継手部材1の破損を防止することができる。
【0026】図3はこの発明の枝管継手の他の実施例を示すもので、図1及び図2に示した枝管継手1における継手部材6の外周に形成する凹溝11を、幅広い凹溝11aで形成し、この凹溝11aに複数のリング部材12,12,12・・・互いに隣接した状態で巻回係止すると共に、継手部材6の嵌入口8の外周に、異形のリング部材14を巻回係止したものである。
【0027】このリング部材14は、枝管21の挿入時の継手部材6の拡がりを規制する働きをしているので、複数のリング部材12,12,12・・・を複数の凹溝に個別に巻回係止する必要がないので、作業が有利である。
【0028】なお、図示しないが、リング部材を1条の螺旋で構成し、継手部材の外周に形成した凹溝をこれを保持するための螺旋状の凹溝としてもよい。
【0029】図4に示す実施例では、前記図1,図2の枝管継手の分岐部材2を、管状部2aと、基端部をこの管状部2aに嵌め込んで先端に向けて段部4aをもって拡径した枝管保持部3aとの分割体で構成すると共に、継手部材6aはこの枝管保持部3aの外周を囲繞する保持部7aで構成し、この保持部7aの外周をバンド止め(図示せず)して構成されるものである。
【0030】この構造においては、分岐部材2が2つの分割体で構成されているため、分岐部材2の強度が優れたものとなり、継手部材6aの奥部内周には、図1、図2に示した係合溝10を形成せずに単なるフラットな当接部10aを形成したものである。さらに、継手部材6aの外周に形成する凹溝を、複数のリング部材12,12,12・・・の適宜数をまとめて巻回係止するための凹溝11b,11cで構成したものである。
【0031】なお、図1〜図4の枝管継手は、分岐部材に継手部材を取り付けたものを準備して、施工現場において下水道本管20に枝管21を取り付けるようにすれば、有利な施工が可能である。
【0032】図5に示す実施例は、図1,図2に示した枝管継手1をサドル部5に取り付けることなく、一端が拡径してゴム輪受け口22を形成し、他端を差し込み口23とした下水道本管継手20aに直接取り付けたものである。
【0033】この図5の実施例によれば、サドル部5を下水道本管20に装着する手間を要しないので作業性がよく、あらかじめ、かゝる下水道本管継手20aに枝管継手1を取り付けたものを用意し、現場施工によりこの下水道本管継手20aを利用して下水道本管に接続し、これに枝管21を取り付けるようにすればきわめて便利である。なお、これら図3〜図5におけるその他の部分は前記図1、図2と同様の構造であり、同符号によって示されるものである。
【0034】
【発明の効果】この発明の下水道用の枝管継手は、外周にリング部材を巻回係止した可撓性の継手部材を分岐部材に保持させ、かゝる継手部材を取り付けた分岐部材を下水道本管に固定し、継手部材に枝管を挿入して枝管端部を分岐部材の枝管保持部に設けた段部に当接させることによって、地震等のアクシデントによる地盤の変位で生じた下水道本管に対する枝管の過度な変位を継手部材に設けた前記リング部材で適度に規制しつゝ、しかも、継手部材の可撓性の部分で枝管の変位を的確に吸収して、前記枝管保持部の段部に当接した枝管端部のズレを防止して適正な状態を保持することができる。
【0035】また、このリング部材が、枝管を挿入に際してもたらされる可撓性の継手部材の縮みを防止して本管と枝管の接続を適正位置と適正状態で常に維持することができると共に、継手部材の枝管挿入側端部の内側に形成した摺動縁が、挿入した枝管の外周に密に接触して管内外の水確実に遮断することができる。
【出願人】 【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
【出願日】 平成11年7月16日(1999.7.16)
【代理人】 【識別番号】100069903
【弁理士】
【氏名又は名称】幸田 全弘
【公開番号】 特開2001−26973(P2001−26973A)
【公開日】 平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願番号】 特願平11−202459