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【発明の名称】 雨水ます
【発明者】 【氏名】石川 尚登

【要約】 【課題】汎用性があり、取り扱いが容易で、強度があり、施工精度及び作業効率を向上することができるとともに、小径の雨水ますにも適用することができ、さらに、雨水排水設備の構築コスト及び資材コストを低廉にできる雨水ますを提供すること。

【解決手段】周壁11に複数の主管接続部14,15,16を備えた雨水ます本体1と、周壁21に少なくとも1つの枝管接続部24を備えたアジャスタ2とからなり、アジャスタ2を雨水ます本体1の上部に回動自在に載置、接続することにより、雨水ます本体1に備えた主管接続部14,15,16とアジャスタ2に備えた枝管接続部24の相対位置を調節可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周壁に複数の主管接続部を備えた雨水ます本体と、周壁に少なくとも1つの枝管接続部を備えたアジャスタとからなり、該アジャスタを雨水ます本体の上部に回動自在に載置、接続することにより、雨水ます本体に備えた主管接続部とアジャスタに備えた枝管接続部の相対位置を調節可能にしたことを特徴とする雨水ます。
【請求項2】 アジャスタの下端縁を、雨水ます本体の上部に形成した接続溝内に嵌入するようにしたことを特徴とする請求項1記載の雨水ます。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家屋等の建造物の雨どいから流入する雨水を側溝等に導くために、建造物の周囲に設けられる雨水ます(本明細書において「雨水浸透ます」を含む。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家屋等の建造物の雨どいから流入する雨水を側溝等に導くために、従来、図4に示すように、建造物106の周囲、例えば、建造物106における雨どい(竪どい)104の設置箇所近傍の地盤107中に雨水ます101を埋設し、雨水ます101を主管102により相互に接続することにより、雨どい104から流入した雨水を、雨水ます101、主管102及び主管102の下流側に配設した雨水ます(取付ます)105を介して、側溝等に導くようにしていた。
【0003】ところで、上記の雨水排水設備において、雨水ます101と雨どい104とは、枝管103を介して接続するようにしているが、この接続作業は、通常、雨水ます101の周壁の枝管103の接続位置にホールソー等で孔を明け、孔の周囲にシールパッキンを配設した後、この孔内に枝管103の一端側を挿入、固定し、枝管103の他端側を雨どい104の落とし口に接続することにより行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の雨水ます101の周壁にホールソー等で孔を明ける作業は、通常、現場施工となることから、作業効率を低下させる要因となるほか、作業自体にある程度の熟練を要し、特に、径が250mm程度以下の小形の雨水ます101の場合には、孔が明けにくくなるだけでなく、この孔と主管102や他の枝管を接続するために形成した孔とが近接し、雨水ます101の強度が低下するという問題点を有していた。また、現場施工で明けられた孔は、方向性等において精度が低く、また、枝管103の接続方向が一律ではないことから、雨水ます101と雨どい104とを接続する枝管103の途中に自在継手103a等の高価な部品を配設する必要があり、雨水排水設備の構築コストが上昇するという問題点を有していた。また、雨水ます101には、1本又は複数本の主管102が接続されるが、その接続方向が一律ではないことから、主管接続部112を突設する数及び位置を異ならせた数種類の雨水ます101を用意しなければならず、資材コストを上昇させるとともに、作業効率を低下させる要因となっていた。
【0005】上記の問題点に鑑み、本件出願人は、本体周壁に4個の主管接続部を、隣接する主管接続部が互いに略90°の角度をなすように突設するとともに、主管接続部の間に所定範囲の挿入角度で挿入される枝管を保持することができる少なくとも1個の枝管接続部を突設した雨水ますを提案した(特開平10−30270号公報参照)。
【0006】この雨水ますは、本体周壁に突設した主管接続部及び枝管接続部に、主管及び枝管をそれぞれ直接接続することができ、これにより、雨水ますの本体周壁にホールソー等で孔を明ける作業を無くし、施工精度及び作業効率を向上することができるとともに、本体周壁に互いに略90°の角度をなすように突設した4個の主管接続部のうちの任意の主管接続部に主管を接続することができるため、1種類の雨水ますを接続する主管の数及び方向が異なる雨水ますに共通して用いることができるという利点を有するものであった。
【0007】しかしながら、この雨水ますの場合、本体周壁に突設した主管接続部の間に枝管接続部を突設する構成であるため、小径の雨水ますには適用することが困難であり、また、主管接続部と枝管接続部の相対位置を調節することができないため、枝管接続部に所定範囲の挿入角度で挿入される枝管を保持するために枝管接続部の開口端にパッキンを装着する必要があった。
【0008】本発明は、上記従来の雨水ますの問題点に鑑み、汎用性があり、取り扱いが容易で、強度があり、施工精度及び作業効率を向上することができるとともに、小径の雨水ますにも適用することができ、さらに、雨水排水設備の構築コスト及び資材コストを低廉にできる雨水ますを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の雨水ますは、周壁に複数の主管接続部を備えた雨水ます本体と、周壁に少なくとも1つの枝管接続部を備えたアジャスタとからなり、該アジャスタを雨水ます本体の上部に回動自在に載置、接続することにより、雨水ます本体に備えた主管接続部とアジャスタに備えた枝管接続部の相対位置を調節可能にしたことを特徴とする。
【0010】この雨水ますは、周壁に少なくとも1つの枝管接続部を備えたアジャスタを、周壁に複数の主管接続部を備えた雨水ます本体の上部に回動自在に載置、接続することにより、雨水ます本体に備えた主管接続部とアジャスタに備えた枝管接続部の相対位置を調節可能にしているので、雨水ますの周壁にホールソー等で孔を明ける作業を無くするとともに、主管接続部と枝管接続部の相対位置を微調節することができることから枝管接続部に所定範囲の挿入角度で挿入される枝管を保持するために枝管接続部の開口端にパッキンを装着する必要がない。
【0011】この場合において、アジャスタの下端縁を、雨水ます本体の上部に形成した接続溝内に嵌入するように構成することができる。
【0012】これにより、アジャスタを、主管接続部と枝管接続部の相対位置を微調節するために、雨水ます本体の上部に載置して、容易に回動することができるとともに、雨水ます本体に対して安定した状態で接続することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の雨水ますの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】図1〜図3に、本発明の雨水ますの一実施例を示す。この雨水ますは、ポリプロピレン製の低発泡成形体、硬質塩化ビニル製の成形体、その他の合成樹脂製の成形体からなる、周壁に複数の主管接続部14,15,16を備えた雨水ます本体1と、周壁に少なくとも1つの枝管接続部24を備えたアジャスタ2と、このアジャスタ2の上開口部を閉鎖する蓋体3と、使用しない主管接続部を閉じるためのキャップ4とから構成される。
【0015】この場合において、雨水ます本体1は、図1及び図2(A)に示すように、周壁11を底部12側が小径となる緩やかなテーパ状に形成するとともに、上端縁を二重にすることにより、アジャスタ2の下端縁22が嵌合される接続溝13を、その全周に亘って形成するようにする。これにより、アジャスタ2を、雨水ます本体1の上部に載置して、回動することにより、雨水ます本体1に備えた主管接続部14,15,16とアジャスタ2に備えた枝管接続部24の相対位置を微調節することができるようにするとともに、アジャスタ2を、雨水ます本体1に対して安定した状態で接続することができるものとなる。
【0016】雨水ます本体1に備えた主管接続部14,15,16は、建物に沿って配設される雨水ます間又は雨水ますと排水溝、排水管等とを接続するための主管5,6を直接接続することができるように、主管5,6を挿入して接続する受口形状、又は主管5,6に挿入して接続する差口形状に形成する。また、主管接続部14,15,16を設ける個数は、本実施例においては、3個とし、これら主管接続部14,15,16をT字形に位置するように、すなわち、周壁11の中心を通る中心線上に対向して互いに位置する2個の主管接続部14,16と、この中心線と直交する中心線上に位置する1個の主管接続部15とで構成することにより、主管5,6を、雨水ます本体1の3方向から接続できるようにしたが、これに限定されず、2個又は4個とすることができる。この場合、隣接する主管接続部14,15,16のなす角度が、略90°又は略180°になるように、主管接続部14,15,16を設けることにより、主管5,6の接続状態の自由度が高まり、雨水ます本体1の汎用性を高めることができる。また、主管接続部14,15,16を突設する位置、特に、高さ方向の位置は、本実施例においては、同じ高さとしたが、必要に応じて、異なるように構成することもできる。
【0017】アジャスタ2は、図1及び図2(B)に示すように、周壁21をストレートに形成し、下端縁22を雨水ます本体1に形成した接続溝13に嵌合できるようにするとともに、上端縁を二重にすることにより、蓋体3の周縁31が嵌合される接続溝23を、その全周に亘って形成するようにする。
【0018】アジャスタ2に備えた枝管接続部24は、家屋等の建造物の雨どいに接続した枝管7を直接接続することができるように、枝管7を挿入して接続する受口形状、又は枝管7に挿入して接続する差口形状に形成する。また、枝管接続部24を設ける個数は、本実施例においては、1個としたが、これに限定されず、2個以上とすることができる。枝管接続部を2個以上設ける場合、隣接する枝管接続部のなす角度が、略90°又は略180°になるように、枝管接続部を設けることにより、枝管7の接続状態の自由度が高まり、アジャスタ2の汎用性を高めることができる。また、枝管接続部24を突設する位置、特に、高さ方向の位置は、任意に設定することができる。
【0019】蓋体3は、アジャスタ2の開口部を閉じることができるものであれば、その構成は限定されるものでないが、アジャスタ2に対して蓋体3を安定した状態で設置することができるように、図1に示すように、周縁31をアジャスタ2に形成した接続溝23に嵌合できるようにしたものを採用することが好ましい。
【0020】ところで、複数設けた主管接続部及び枝管接続部のうち、主管5,6又は枝管7が接続されないものには、その開口部から土砂等が侵入するのを防止するため、図1及び図3に示すように、開口部を選択的に閉鎖することができる着脱可能なキャップ4を装着するようにする。この場合、キャップ4に代えて、その開口部を閉鎖する蓋(図示省略)を雨水ます本体1及びアジャスタ2の製造時に一体成形し、雨水ます本体1及びアジャスタ2の使用態様に応じて、その蓋を打ち抜いて使用するように、構成することもできる。
【0021】この雨水ますは、従来の雨水ますと同様、家屋等の建造物の雨どいから流入する雨水を側溝等に導くために、建造物の周囲、例えば、建造物における雨どい(竪どい)の設置箇所近傍の地盤中に、雨水ます本体1を埋設し、この雨水ます本体1を主管接続部14,15,16に接続した主管5,6により相互に接続することにより、雨どいから流入した雨水を、雨水ます、主管及び主管の下流側に配設した雨水ます(取付ます)を介して、側溝等に導くようにする。そして、雨水ます本体1の上部に、アジャスタ2を載置し、アジャスタ2に備えた枝管接続部24に、雨どいに接続した枝管7を接続することができるように、アジャスタ2を回動することにより枝管接続部24の位置を調節し、枝管接続部24に枝管7を接続するようにする。
【0022】この場合、図3に示すように、雨水ますの使用態様に応じて、複数設けた主管接続部及び枝管接続部には、選択的に、主管5,6又は枝管7を接続することができ、主管5,6又は枝管7が接続されないものには、キャップ4を装着するようにする。そして、アジャスタ2を雨水ます本体1の上部に回動自在に載置、接続することにより、雨水ます本体1に備えた主管接続部14,15,16とアジャスタ2に備えた枝管接続部24の相対位置を調節することができるため、枝管接続部24に所定範囲の挿入角度で挿入される枝管7を、パッキン、自在継手等の高価な部品を配設することなく、枝管接続部24に直接接続することができる。
【0023】
【発明の効果】本発明の雨水ますによれば、周壁に少なくとも1つの枝管接続部を備えたアジャスタを、周壁に複数の主管接続部を備えた雨水ます本体の上部に回動自在に載置、接続することにより、雨水ます本体に備えた主管接続部とアジャスタに備えた枝管接続部の相対位置を調節可能にしているので、雨水ますの周壁にホールソー等で孔を明ける作業を無くするとともに、主管接続部と枝管接続部の相対位置を微調節することができることから枝管接続部に所定範囲の挿入角度で挿入される枝管を保持するために枝管接続部の開口端にパッキンを装着する必要がなく、これにより、雨水ますの取り扱いが容易で、強度を向上することができるとともに、接続する主管、枝管との接続施工精度及び作業効率を向上することができる。また、この雨水ますは、1種類の雨水ます本体及びアジャスタを用いて、接続する主管や枝管の数及び方向が異なる雨水ますに共通して用いることができるとともに、主管接続部及び枝管接続部を形成する位置に制約がなく、小径の雨水ますにも適用することができる。
【0024】また、アジャスタの下端縁を、雨水ます本体の上部に形成した接続溝内に嵌入するように構成することにより、アジャスタを、主管接続部と枝管接続部の相対位置を微調節するために、雨水ます本体の上部に載置して、容易に回動することができるとともに、雨水ます本体に対して安定した状態で接続することができる。
【出願人】 【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロン株式会社
【出願日】 平成11年6月29日(1999.6.29)
【代理人】 【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治 (外1名)
【公開番号】 特開2001−11931(P2001−11931A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−183862