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【発明の名称】 木造家屋の排水配管構造
【発明者】 【氏名】三浦 敏廣

【要約】 【課題】重機の使用を必要とせず、あるいは最小限にとどめ、騒音問題が生じず、汚れる重労働にならず施工が容易で、しかも工期を短縮でき、コストを低減できるようにする。

【解決手段】木造家屋の床下に排水用の主管12を、その全部もしくは大部分が地上に露出する状態で傾斜をもたせて設置し、その高位側の端部は掃除口として着脱可能なキャップ14で塞ぎ、低位側の端部は汚水枡16に導く。主管の汚水枡寄りの位置に通気弁18を取り付け、主管の中途の点検可能な位置に両端がフランジ接続によって連結分離可能なフランジ付き短尺主管20を前記主管の一部として組み込む。そして、家屋内の各排水設備からそれぞれ枝管24を用いて前記主管に接続し、排水する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 木造家屋の床下に排水用の主管を、その全部もしくは大部分が地上に露出する状態で傾斜をもたせて設置し、その高位側の端部は掃除口として着脱可能なキャップで塞ぎ、低位側の端部は汚水枡に導き、前記主管の汚水枡寄りの位置に通気弁を取り付け、主管の中途の点検可能な位置に両端がフランジ接続によって連結分離可能なフランジ付き短尺主管を前記主管の一部として組み込み、家屋内の各排水設備からそれぞれ枝管を用いて前記主管に接続したことを特徴とする木造家屋の排水配管構造。
【請求項2】 木造家屋の布基礎に貫通孔を形成して主管を挿通し、該主管が木造住宅のほぼ全体を横断するようにし、該主管と布基礎の貫通孔との隙間にパッキン材を介在させ、主管を所定間隔毎に支持架台と支持バンドにより振れ止め固定する請求項1記載の木造家屋の排水配管構造。
【請求項3】 雨水竪樋を直接、もしくは屋外の防臭型の雨水浸透枡を介して、床下の枝管によって主管に接続する請求項1又は2記載の木造家屋の排水配管構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木造家屋の排水配管構造に関し、更に詳しく述べると、家屋外回りの地中に排水管などを埋設するのではなく、床下に排水用の主管を、その大部分が露出した状態となるように緩やかな勾配をつけて設置し、家屋内の各排水設備からそれぞれ枝管を用いて前記主管に接続して排水するように構成した木造家屋の排水管構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の木造家屋(ここでは、戸建て一般住宅あるいはアパートなどを意味している)における排水系統は、家屋外回りがメインとなっている。即ち、家屋外回りの各所に汚水枡を分散配設すると共に、各汚水枡の間を地中に埋設した配管で順次接続して公設枡に導くようにする。そして、家屋内の各種の排水設備(例えば、台所、浴室、洗面室、トイレなど)から直ちに屋外に排水管を引き出して、最短距離で近くの汚水枡に導くように構成している。
【0003】ところで一般住宅等における排水処理は、下水施設のある地域(下水本管敷設の地域)では、大部分が汚水と雨水を別系統で処理する分流式であり、汚水と雨水を同系統で処理する合流式は極く一部にすぎない。分流式の地域でも、雨水専用の施設管が完備されている地域は皆無に等しく、通常は、汚水は公道に埋設されている下水本管に流し、雨水は宅地内の雨水浸透枡に導いて地中に浸透させている。合流式の地域でも、雨水の全てを排水するのではなく、雨水浸透枡を設置して、地中に浸透しきれない水だけ汚水系統に流す方式が主流である。
【0004】また、下水施設の無い地域(下水本管未敷設の地域)では、通常、宅地内に合併浄化槽を設置する。この場合においても、宅地内における合併浄化槽までの配管系統は、基本的には上記の分流式と同様とする。合併浄化槽からの放流管(出管)は、道路のU字溝、暗渠、堰、小川、河川などに接続して放流する。但し、これらが無い地域では、合併浄化槽からの放流水を地中に浸透させる方式で処理することも可能である。
【0005】上記のような従来の排水系統についての基本的な考え方は、排水に対して不都合なものが流入しても、直ちに屋外へ排水することにより、各汚水枡で対処すると言うことである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の排水系統においては、宅地内の家屋外回りに多数の汚水枡の設置、及び排水管の埋設などの工事を必要とする。しかし最近の住宅事情では、隣家との塀の間の狭小な区域で施工を行わねばならないことも多いため、極めて煩瑣で困難な作業となっている。土砂の掘り起こしに重機が入れないような狭小な区域での施工が要求されることも多いし、重機が入れても騒音の問題で十分に使用できないこともある。
【0007】そのような場合、どうしても手掘り作業となるため、重労働で汚れる作業とならざるを得ない。しかし、配管作業従事者の高齢化が進み、配管作業従事者の不足が問題になっているのが実状である。また、そのために工期が長くかかり、コストが増大するなどの問題も生じている。
【0008】本発明の目的は、基本的に重機の使用を必要とせず、あるいは最小限の使用にとどめることができ、そのため騒音問題が生じ難く、汚れる重労働を要せずに簡単に施工でき、しかも工期の短縮及びコストの低減を図ることができるような木造家屋の排水配管構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、木造家屋の床下に排水用の主管を、その全部もしくは大部分が地上に露出する状態で傾斜をもたせて設置し、その高位側の端部は掃除口として着脱可能なキャップで塞ぎ、低位側の端部は汚水枡に導き、前記主管の汚水枡寄りの位置に通気弁を取り付け、主管の中途の点検可能な位置に両端がフランジ接続によって連結分離可能なフランジ付き短尺主管を前記主管の一部として組み込み、家屋内の各排水設備からそれぞれ枝管を用いて前記主管に接続した木造家屋の排水配管構造である。なお、本明細書において「排水設備」とは、台所、洗面室、浴室、トイレなど、雑排水あるいは汚水などを排水する機器や設備を意味している。
【0010】具体的には、例えば木造家屋の布基礎に貫通孔を形成して主管を挿通し、該主管が木造住宅のほぼ全体を横断するようにする。該主管と布基礎の貫通孔との隙間にはパッキン材を介在させて主管の伸縮変形に対応可能とし、また主管を所定間隔毎に支持架台と支持バンドにより固定して振れ止めを図るのがよい。枝管と主管との接続にはTY継手を用いるのが有効である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係る木造家屋の排水配管構造を模式的に図1に示す。なお、Aは平面を、Bは断面を表している。これは分流式に適用した最も単純化した例である。木造家屋(その家屋の輪郭線を符号10で示す)の床下に排水用の主管12を設置する。該主管12は、その全部もしくは大部分が地上に露出する状態とし、緩い傾斜をもたせて支持する。図1のBにおいて、符号FLは1階床レベルを、符号GLは地面(グランドレベル)を示している。主管12の高位側(ここでは図面左手側)の端部は掃除口として着脱可能なキャップ14で塞ぎ、低位側の端部は汚水枡16まで導く。そして、前記主管12の汚水枡寄りの位置には通気弁18を取り付け、また前記主管12の中途の点検可能な位置に両端がフランジ接続によって連結分離可能なフランジ付き短尺主管20を主管12の一部として組み込む。家屋内の各排水設備(台所、洗面室、浴室、トイレなど)22からのそれぞれの枝管24は、家屋内床下にて前記主管12に接続する。
【0012】本発明は、汚水と雨水を別系統で処理する上記のような分流式の他、汚水と雨水を同系統で処理する合流式にも適用できる。勿論、汚水浄化槽を使用する場合にも適用できる。合流式のように雨水も汚水と一緒に排水処理する場合には、雨水竪樋を直接、もしくは屋外に設置した防臭型の雨水浸透枡を介して、床下の枝管によって主管に接続し、排水すればよい。
【0013】
【実施例】図2は本発明に係る木造家屋の排水配管構造の一実施例を示しており、Aは平面図、Bは断面図である。これは比較的簡単な2階建アパートについて、汚水と雨水を別系統で処理する分流式に適用した例である。図2は、主として1階の床下部分の排水配管構造を示している。
【0014】木造家屋の床下周囲の布基礎30に貫通孔32を形成して排水用の主管34を挿通し、該主管34が地上に露出する状態で木造家屋全体を横断するように設置する。主管34の挿通位置は、各排水設備に近く且つそれら排水設備の設置の障害にならない場所とする。この例では、四角枠形状の布基礎30を形成し、その対向辺に貫通孔32を設けている。主管34は、直径10cm程度の硬質塩化ビニルパイプ(厚肉のVP管、あるいはやや薄肉のVU管)などであり、1/100程度の緩い配管勾配をもたせる。そのためには、布基礎を施工する際に、予め所定の位置で所定の高さに貫通孔形成用のスリーブを保持した状態でコンクリートを打設すればよい。図2では、図面左手側が高位側、右手側が低位側である。なお、スリーブは、主管の口径の1.25〜1.5倍程度とし、布基礎施工後に除去してもよが、そのまま残しておいても特に支障はない。
【0015】高位側の詳細を図3に、低位側の詳細を図4に示す。図3に示すように、主管の高位側の端部は、掃除口として着脱可能なキャップ36で塞ぐ。キャップ36は、ネジ式あるいはワンタッチ式など着脱が容易に行える方式とし、外から見えることから建物外観を損なわないように、例えばクロームメッキしたもの等が望ましい。図4に示すように、低位側の端部は汚水枡38に導く。この例では、家屋外で主管34がTY継手40によってほぼ垂直に地中に入り、汚水枡38の下部に接続されている。TY継手40の上端は、点検口あるいは掃除口として機能しうるようにキャップ42を装着する。そして、汚水枡38から更に公設枡(図示せず)へと排水を導く。高位側及び低位側ともスリーブ46と主管34との間隙部にロックウールなどのパッキン材48を巻き付けあるいは充填し、主管34の伸縮変形などに対応可能とする。
【0016】家屋の外周のみならず中間部分にも布基礎が設けられている場合には、それを貫通するように主管を挿通することになる。その場合の構造例を図5に示す。布基礎30を施工する際に、予めスリーブ46を設置しておくことで貫通孔を形成する。主管34をスリーブ46に挿通し、両者の間隙部にはロックウール等のパッキン材48を充填する。
【0017】図2に戻って、主管34は、所定間隔毎(例えば、1.5m程度毎)に振れ止め支持部材50で固定する。その振れ止め支持部材50の一例を図6に示す。コンクリート製あるいはビニルコーティングした鉄製などの支持架台52上に、主管34を載せ、該主管34の周囲にロックウールなどのパッキン材54を巻き付けて保護し、その外側からほぼU字状の支持バンド56を被せて押さえ、支持架台52に固定する。これによって、排水時に主管34が振動するのを防止し、配管が継手部分などで弛んだり外れるのを防止する。
【0018】また図2に示すように、主管34の中途の点検可能な位置には、両端でフランジ接続によって連結分離可能なフランジ付き短尺主管58を主管の一部として組み込む。短尺主管58の接続構造の詳細を図7に示す。短尺主管は、長さ数十cm(例えば30cm程度)でよく、フランジ同士を接合しボルトとナット(ともに図示するのを省略)で緊締接続する。このフランジ付き短尺主管58は、万一、主管34が汚物や異物などで詰まったときの点検及び排除のためのものであり、床下の作業者がアクセス可能な位置に設ける。例えば、台所などの床板を外すことで到達できるような箇所とする。
【0019】更に図2に示すように、主管の低位側(汚水枡寄りの位置)に通気弁60を設置する。この通気弁60は、主管34に空気が溜まり排水困難になるのを防止するためのものであり、例えば従来公知のドルゴ通気弁でよい。このドルゴ通気弁は、ほぼ垂直に壁から離して取り付ける。
【0020】家屋内の各排水設備(例えば台所62、浴室64、洗面室66、トイレ68など)から、それぞれ枝管70を用いて前記主管34に接続する。この接続には、排水を円滑に低位側(下流側)に流すために、図8に示すようなTY継手72を用いるのが好ましい。主管34にTY継手72を組み込み、該TY継手72に枝管70を接続する。TY継手72は、汚水が低位側に流れやすくなる向きに組み込むことは言うまでもない。なお、枝管に異物などが入り込む可能性が皆無の場合(例えば洗面室からの排水など)には、一般的なT型継手を用いてもよい。
【0021】排水設備が2階にも設置されている場合には、家屋内の排水立管74によって1階床下に導き、枝管70により主管34に接続する。排水立管74など家屋内の配管によって大きな流水音が予想されるものについては、騒音防止のために配管の周囲に防音材を巻き付ける。
【0022】各排水設備から排出される汚水や汚物は、枝管70から主管34を通り、汚水枡38を経て公設枡へと流れる。ドルゴ通気弁60は、主管34内に空気が溜まっても外部から吸気して主管内の汚水の流れをスムーズにする機能を果たす。枝管70と主管34とを連結するTY継手72も汚水をスムーズに下流側へと流すのに役立つ。主管34に緩やかな配管勾配を付けたことで、汚物は汚水に浮かびながら汚水と共にゆっくりと汚水枡38へと移動させる。万一、主管34が詰まった場合には、その一端を塞いでいるキャップ36を取り外して、清掃器具を押し込むことで、詰まりを除去できる。特に、主管34が長く詰まりを除去し難い場合には、中間部分のフランジ付き短尺主管58を取り外し、そこから詰まっている汚物や異物を取り出したり、あるいはそこから清掃器具を挿入することで、詰まりを完全に除去することができる。
【0023】図2に示す例は、家屋面積が小さいために排水用の主管が比較的短い例であるが、主管が長い場合には、図2のBに示すように主管を全て地上に露出させる施工が困難な場合もある。そのような場合には、図9のような一部埋設構造の主管を用いる。図9の左端の上流側にドルゴ通気弁を取り付け、右端の下流側に汚水枡を設ける。符号GLはグランドレベルである。2個の45度曲がり管76,78を用いて、埋設配管80で汚水枡に接続する。
【0024】上記の実施例は分流式の場合であるが、合流式の一例を図10に示す。合流式は、汚水と雨水を同じ系統で処理する方式であり、ここでは雨水の大部分を宅内処理(浸透)し、浸透しきれない分を合流させる例である。図2に対応する部材には、説明を簡略化するために同一符号を付す。雨水竪樋82によって雨水を防臭型の雨水浸透枡(トラップ枡)84に導く。雨水浸透枡84は、周囲及び底部を砂利敷きとし、流入してきた雨水を地下に浸透させる構造とする。雨水浸透枡84の上部では排水口が開口しており、トラップ構造にして汚水の逆流を防止すると共に防臭機能を持たせ、枝管86によって床下の主管34に接続している。雨水浸透枡84に流入する雨水が少量であれば、全てが地下に浸透する。流入する雨水の量が大量になって全てが地中に浸透しきれずに溜まった雨水は、床下の枝管86によって主管34へと排水し、雨水浸透枡84が溢れないようにする。雨水竪樋82は、通常1家屋当たり4〜6本程度は設置されている。従って、図示していないが、各雨水竪樋をそれぞれ対応する雨水浸透枡に導くと共に、そこで地中に浸透処理しきれない雨水を、それぞれ枝管を介して近くの主管に流すことになる。
【0025】このような床下配管は、基礎コンクリート打設完了後、仮枠解体が終わった後に行うことになる。その後の建方作業時に落下物によって配管などが損なわれる可能性があるので、転落防止ネットなどの予防策が必要である。建築業者は無数にあり、それぞれの建築様式、建築手順があるが、如何なる場合についても、本発明構造は適用可能である。
【0026】本発明の実施に際して、家屋内の全ての排水設備からの排水を枝管から主管に導く必要はなく、汚水枡の近くに排水設備があるような場合には、その排水設備からは主管に導かずに直接汚水枡に排水するような配管構造としてもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明は上記のように、床下配管による木造家屋の排水配管構造であるから、土砂の掘り起こしや排水管の埋設作業が最小限度で済むため、重機の使用を必要とせず、あるいは最小限の使用にとどめることができ、騒音問題を回避することができる。また、汚れる重労働を要せずに、簡単に施工できるので、配管作業従事者の高齢化や従事者不足にも対応できる。しかも工期を短縮でき、コストを大幅に低減できる。
【0028】更に、排水用の主管は床下で地上に露出しており、端部のキャップを外すだけで容易に配管の詰まりなどのトラブルに対処できるため、メンテナンスが容易であり、短時間に復旧させることができ、維持管理コストも最小限で済む。
【出願人】 【識別番号】599091678
【氏名又は名称】三浦 敏廣
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100078961
【弁理士】
【氏名又は名称】茂見 穰
【公開番号】 特開2001−11927(P2001−11927A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−185653