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【発明の名称】 多層構造樹脂導水管および排水構造
【発明者】 【氏名】藤田 明

【氏名】細田 直祐

【氏名】杉島 博

【要約】 【課題】排水能力が高く、舗装時に熱変形しない施工性の良い裁断可能な樹脂導水管を得ること。

【解決手段】樹脂モノフィラメントが多層に編組された網状構造の多層構造樹脂導水管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】樹脂モノフィラメントが多層に編組された網状構造の多層構造樹脂導水管。
【請求項2】樹脂モノフィラメントの径が0.2〜5mmであり、導水管の内径が5〜125mmである請求項1記載の樹脂導水管。
【請求項3】樹脂導水管を構成する樹脂モノフィラメントが170℃の空気中に1時間放置された時、その熱収縮性が10%以下である請求項1または2記載の樹脂導水管。
【請求項4】透水性構造層(上層)と止水構造層(下層)からなり、かつ止水構造層上に請求項1、2または3記載の導水管を配置し、排水升または側溝に通じる排水孔に接続することにより、透水性構造層を通過した雨水を排水する排水構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、舗装内に浸透した雨水を効率よく排水することを目的とする、樹脂導水管および排水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、床版の舗装構造は、床版表面を防水シートで覆い、その側縁部に金属製スプリングからなる導水管(実公平5−33522、特開平6−2601、特開平8−93041)、もしくはタテ糸を有する樹脂モノフィラメントを編組し、管成形した導水管(特開平8−184012)を配置し、その上をアスファルトなどの舗装を行なって埋設され排水構造をなしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属製スプリングからなる導水管を埋設した場合、アスファルトなどの舗装により加圧されるため、スプリングのピッチ内にアスファルトの基材である砂礫が入り込み、導水管の機能が損なわれるという欠点が、特に35φ以上の内径管において顕著である。一方、耐熱性樹脂からなるモノフィラメントを、タテ糸を有しながら、編組した導水管においては、編組密度を密にすることによって砂礫の侵入を防ぐことができるが、特に内径35φ以上において舗装温度による管の耐熱耐押圧性能の不足による扁平変形という問題があり、結果として舗装面に亀裂を発生させることがあった。本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するために創案されたものであり、耐熱耐押圧性を向上させ、特に従来樹脂導水管において問題のあった内径35φ以上への対応を可能とし、管径拡大によって排水能力の向上が可能であり、しかも、可撓性をも有し、配管作業性が良く、且つ、雨水の効率良い排出によって舗装の基礎である下層の基礎構造の保護とハイドロプレーイング現象の防止など透水性舗装の能力維持が可能で、さらにまた、舗装の再補修時には容易に裁断できる導水管を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的は、樹脂モノフィラメントが多層に編組された網状構造の多層構造樹脂導水管を提供することによって達成される。また上記目的は、透水性構造層(上層)と止水構造層(下層)からなり、かつ止水構造層上に請求項1、2または3記載の 導水管を配置し、排水升または側溝に通じる排水孔に接続することにより、透水性構造層を通過した雨水を排水する排水構造を提供することによって達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明を図面により説明する。図1は、本発明の一例を示す導水管の側面図であり、モノフィラメント1を編組することによって作製された網状構造の樹脂導水管2であり、内管3(モノフィラメント編組層)の上に外管4(モノフィラメント編組層)が重ねて編組されたものである。
【0006】樹脂モノフィラメントの素材としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、アクリルなどあらゆる樹脂があげられるが、耐久性と汎用性からポリエステルが好適であり、また樹脂モノフィラメントとしては、ポリエステルモノフィラメントを延伸成形した後に、再加熱収縮させたもので、170℃の空気中に1時間放置した時、熱収縮率が好ましくは10%以下、さらに好適には5%以下である低収縮タイプのものが、導水管を設置した場合の熱による変形(管径収縮)を防止する上で最適である。また、このモノフィラメントは、編組を前提とするもので、モノフイラメント径は0.2〜5mmが好ましく、さらに好適には0.8〜2mmである。
【0007】これらのモノフィラメントを8〜64錘のブレーダー、さらに好適には12〜32錘のブレーダーで編組して内管をつくり、さらにその上に同様に編組して外管をつくることにより多層構造の網状構造の樹脂導水管が得られる。ここで多層とは2層またはそれ以上の層を意味する。多層構造の樹脂導水管の内径は5〜125mmであることが、好適には30〜80mmであることがアスファルト舗装による砂礫の侵入を防ぎ、かつ管内への水の浸透と管内における通水に優れた性能付与することができるので好ましい。本発明においては、樹脂モノフィラメントを多層に編組することにより、耐押圧性の優れた導水管、特に内径35mm以上の大口径の場合でも耐押圧性の優れた導水管を得ることができる。また、樹脂モノフィラメントの導水管縦方向に対する交合角度は30〜70度(フィラメント相互の交合角度は60〜140度)、さらには40〜70度であることが耐押圧性、可撓性の点から好適である。また、樹脂フイラメントの間隙は排水性、目詰まり防止性の点から1〜9mmが好適である。
【0008】図2は、導水管を埋設した舗装道路6の側面図であり、5は排水升である。透水性アスファルトなどの透水性素材で舗装した透水性構造層9を透過した雨水は防水シ−トなどの止水構造層7で覆われた基層構造8上部を横勾配に沿って道路の側縁部に移動し導水管内に侵水する。導水管内の雨水は縦勾配に沿って排水升に集められ排出される。導水管は舗装道路のどの箇所に埋設しても良いが、図2に示すように道路の側縁部に沿って縦方向に埋設し排水升等の排水系に接続するのが車両による負荷荷重が少なく道路保全的な観点から好ましい。また導水管は、止水構造層上のどの位置に埋設しても良いが、図2に示すように止水構造層に接する上部に埋設することが、集水および排水能力の効率性の点から好適である。このように本発明の導水管を埋設することによって、アスファルト舗装した道路において、舗装内に浸透した雨水を滞らせる事なく排水し、基層構造の劣化とハイドロプレーイング現象を防止することができる。本発明を使用する場合排水升または側溝に通じる排水溝は1〜50m間隔で設けておくことが排水性の点から好適である。
【0009】本発明の導水管は、代表的には透水性を有するアスファルト舗装道路に好適である。ここで道路としては、一般道、橋梁、高架道路などがあげられる。その他、駐車場、さらにアスファルト以外の砂利舗装等の排水構造にも応用できる。次に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0010】
【実施例】実施例112錘づつ交互に配置した24錘ブレーダーで、芯径1.8mmのポリエステルモノフィラメント(延伸成形し、再加熱収縮したもの)24本を編組し対角線距離が2mm×4mmの菱形である間隙を有する内径40mmの内管を作成し、その上に、芯径1.8mmのポリエステルモノフィラメント(延伸成形し、再加熱収縮したもの)24本を対角線距離が3mm×6mmの菱形である間隙を有する被覆編組をして内径40mm、外径50mmの樹脂導水管を得た。尚、編組は、管の縦方向に対し横糸が55度で交合(横糸相互の交合角110度)するよう行った。なお、このモノフィラメントを170℃空気中に1時間放置した時、長さ方向の熱収縮率は1%であった。
【0011】比較例124錘ブレーダーで、芯径1.8mmの汎用ポリエステルモノフィラメント(延伸成形品)24本を対角線距離が3mm×6mmの菱形である間隙を有するように編組し、内径45mm外径50mmの樹脂導水管を得た。尚、編組は、管の縦方向に対し横糸が55度で交合(横糸相互の交合角110度)するよう行った。
【0012】比較例224錘ブレーダーで、芯径1.2mmの汎用ポリエステルモノフィラメント(延伸成形品)24本を対角線距離が2mm×4mmの菱形である間隙を有するように編組し、内径20mm、外径24mmの樹脂導水管を得た。尚、編組は、管の縦方向に対し横糸が55度で交合(横糸相互の交合角110度)するよう行った。
【0013】実施例1および比較例1で作製した2の樹脂導水管を各々長さ100mmにカットしたものを170℃空気中にて1時間加熱保温し、無圧状態での熱変形{(試験前外径―試験後外径)/試験前外径}と50%に扁平させた時の押圧力を比較した。結果を表1に示す。
【0014】
【表1】

【0015】表1は、実施例1が比較例1と比較して、耐熱性および耐押圧性に優れていることを示している。
【0016】図2に示す止水構造(防水シート)7で覆われた基礎構造の上部の側縁部に沿って実施例1および比較例2で作製した樹脂導水管2を各々設置し、その上から80mmの厚さで空隙率20%の透水性アスファルト(施工温度155℃)の舗装を排水升間隔15m区間で行なった。アスファルト硬化後300(縦)mm×300(横)mm×90(深さ)mmの断面をカットして、埋設前の内径に対して埋設後の内径の潰れを確認するとともに、排水量の測定をした。結果を表2に示す。
【0017】
【表2】

【0018】表2は、実施例1および比較例2の樹脂導水管の排水性能を示し、実施例1が優れていることを示している。
【0019】
【発明の効果】本発明の樹脂導水管は、樹脂モノフィラメント編組層を多層とすることにより、耐熱耐押圧性を向上させ、特に従来樹脂導水管において問題のあった外径35φ以上のへの対応を可能とし、径拡大によって排水能力の向上が可能となった。また、本件の多層構造樹脂導水管は可撓性をも有し、配管作業性が良く、且つ、雨水の効率良い排出によって舗装の基礎である基礎構造の保護とハイドロプレーイング現象の防止など透水性舗装の能力維持が可能であり、さらにまた、舗装の再補修時には容易に裁断できるものである。
【出願人】 【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
【識別番号】000104906
【氏名又は名称】クラレプラスチックス株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−11925(P2001−11925A)
【公開日】 平成13年1月16日(2001.1.16)
【出願番号】 特願平11−184531