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【発明の名称】 油性物質回収装置
【発明者】 【氏名】中嶋 正司

【氏名】加藤 昭

【氏名】平原 靖弘

【氏名】谷本 隆一

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 排水槽に収容された排水中に下部を浸漬させて回転可能に設けられたドラムと、このドラムを回転させる回転駆動装置と、前記ドラムの側面または外周面端部に突設された、前記回転駆動装置により前記ドラムが回転した際に前記排水を掻く突出部材とを備えており、前記突出部材が前記排水を掻くことにより前記排水に水流を発生させ、前記排水に浮かぶ油性物質を前記回転するドラムの外周面に付着させて回収することを特徴とする油性物質回収装置。
【請求項2】 前記突出部材は、前記ドラムの両側面もしくは一方の側面に放射状に複数配置されたことを特徴とする請求項1に記載の油性物質回収装置。
【請求項3】 前記ドラムの両側面もしくは前記突出部材が位置する一方の側面と対向する箇所に、その側面と所定間隔を置いて仕切り壁が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油性物質回収装置。
【請求項4】 排水槽に収容された排水中に下部を浸漬させて回転可能に設けられたドラムと、このドラムを回転させる回転駆動装置と、前記排水槽の内壁に沿って気泡を発生させる気泡発生手段とを備えており、その気泡発生手段により発生した気泡によって前記内壁に付着した油性物質を前記内壁から分離させ、その分離した油性物質を前記回転するドラムの外周面に付着させて回収することを特徴とする油性物質回収装置。
【請求項5】 前記ドラムの側面または外周面端部に突設された、前記回転駆動装置により前記ドラムが回転した際に前記排水を掻く突出部材を備えており、前記突出部材が前記排水を掻くことにより前記排水に水流を発生させ、前記排水に浮かぶ油性物質を前記回転するドラムの外周面に付着させて回収することを特徴とする請求項4に記載の油性物質回収装置。
【請求項6】 前記突出部材は、前記ドラムの両側面もしくは一方の側面に放射状に複数配置されたことを特徴とする請求項5に記載の油性物質回収装置。
【請求項7】 前記ドラムの両側面もしくは前記突出部材の位置する一方の側面と対向する箇所に、その側面と所定間隔を置いて仕切り壁が設けられたことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の油性物質回収装置。
【請求項8】 前記ドラムは、前記排水の水位に追従可能に浮かぶ浮子に回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の油性物質回収装置。
【請求項9】 前記回転駆動装置を前記ドラムの内部に備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の油性物質回収装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、排水槽に収容された排水に浮かぶ油性物質を回収するための油性物質回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ホテルや飲食店では、厨房から出る排水に油性物質が混入することが多いことから、油性物質が排水と共にたれ流しにならないようにするため、グリーストラップ(油性物質分離槽)を設けて油性物質を分離回収することが義務付けられている。図13は、従来のグリーストラップおよび油性物質回収装置を示す説明図である。厨房の床95の下にはグリーストラップ90が設けられており、床95の上には油性物質回収装置110が設置されている。矢印F1で示す方向から流入管91へ流入した排水Wは、床95の下に設けられたグリーストラップ90に収容され、一定の水位になると、取付器具101に一定の高さで取付けられたポンプ100によって吸引され、導入管111を通って油性物質回収装置110のタンク117に導入される。このとき、排水Wは、タンク117内に設けられたフィルタ113を通過し、屑などが濾過される。そしてその濾過された排水Wが一定の水位になると、排水Wの水面に浮遊する油性物質Pは、回転ドラム114の外周面に付着し、その付着した油性物質Pは、スクレーパ115によってかき落とされ、容器116に回収される。なお、タンク117において過剰となった排水Wは、回収管112を通ってグリーストラップ90に回収される。また、グリーストラップ90において過剰となった排水Wは、排水管93を通って矢印F2で示す方向へ排出される。さらに、ポンプ100の周囲は、金網92によって囲まれており、排水Wに含まれる野菜の切り屑などがポンプ100に吸引されないようになっている。また、タンク117の排水Wに浮遊する油性物質に牛脂が混入する場合があるが、牛脂は、温度が低下するにつれて固化し、大きな固まりとなると、回転ドラム114に付着させて回収するのが困難となる。そこで従来は、ヒータで排水の温度を上昇させて牛脂を溶解し、その溶解した牛脂を回転ドラム114の外周面に付着させて回収している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の油性物質回収装置110は、タンク117に導入された排水Wの水面に浮遊する油性物質Pが、回転ドラム114の外周面に自然に付着するのを待つ方式であるため、油性物質Pの回収効率が低いという問題がある。特に、回転ドラム114から離れた位置で浮遊している油性物質Pは、回転ドラム114の近傍に到達する可能性が低いため、回収が困難である。また、上記従来の油性物質回収装置110は、タンク117の内壁に付着した油性物質を回収することができないため、内壁に付着した油性物質が腐敗して悪臭を放つという問題もある。さらに、牛脂を溶解するためにヒータを用いる手法では、ヒータの電気代がかかるという問題がある。
【0004】ところで、上記従来のグリーストラップ90は、グリーストラップ90内の悪臭が排水管93を通って屋外に漏れないようにするため、排水管93の排水口93aは、グリーストラップ90の底面に向いて排水Wに埋没した形となっている。しかし、排水管93から排水が開始されると、排水Wの流入が停止しても、グリーストラップ90に収容された排水Wの水面にかかる大気圧によって排水Wが排水管93から流出する状態が続く現象、いわゆるサイフォン現象が発生するため、排水Wの水位が低下するので、ポンプ100によって排水Wを吸引できなくなってしまうという問題がある。また、油性物質回収装置110を床95の上に設置するため、厨房内が狭くなるとともに、油性物質回収装置110が邪魔になるという問題もある。さらに、グリーストラップ90の点検や清掃を行うために床95に嵌め込まれた蓋94を取り外す場合、導入管111および回収管112を外す手間がかかるという問題もある。
【0005】そこでこの発明は、上記諸問題を解決するためになされたものであり、油性物質の回収効率を高めることができる油性物質回収装置を実現することを主な第1の目的とし、排水の水位が変動した場合であっても排水に浮かぶ油性物質を回収することができる油性物質回収装置を実現することを主な第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用および発明の効果】この発明は、上記目的を達成するため、請求項1ないし請求項3に記載の発明では、排水槽に収容された排水中に下部を浸漬させて回転可能に設けられたドラムと、このドラムを回転させる回転駆動装置と、前記ドラムの側面または外周面端部に突設された、前記回転駆動装置により前記ドラムが回転した際に前記排水を掻く突出部材とを備えており、前記突出部材が前記排水を掻くことにより前記排水に水流を発生させ、前記排水に浮かぶ油性物質を前記回転するドラムの外周面に付着させて回収するという技術的手段を用いる。
【0007】つまり、回転駆動装置によりドラムが回転すると、そのドラムの側面または外周面端部に突設された突出部材が排水を掻き、その排水に水流を発生させることができるため、その水流に油性物質を乗せて、水流の発生源、つまり排水中に浸漬しているドラムの下部まで運ぶことができるので、油性物質をドラムの外周面に付着させて回収することができる。特に、ドラムから離れた位置に浮遊している油性物質も水流に乗せてドラムまで運ぶことができる。したがって、油性物質の回収効率を高めることができる。
【0008】請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の油性物質回収装置において、前記突出部材は、前記ドラムの両側面もしくは一方の側面に放射状に複数配置されたという技術的手段を用いる。
【0009】つまり、排水を掻く突出部材をドラムの側面に放射状に配置することにより、放射状に配置しない場合よりも掻く量が多いため、大きな水流を発生させることができる。加えて、突出部材を複数配置することにより、1つのみ配置する場合よりも、単位時間内で排水を掻く間隔を短くすることができるため、連続した滑らかな水流を発生させることができる。したがって、油性物質の回収効率をより一層高めることができる。なお、突出部材をドラムの両側面に配置した場合は、ドラムの両側面から水流を発生させることができ、突出部材をドラムの一方の側面に配置した場合は、その一方の側面から水流を発生させることができる。
【0010】請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の油性物質回収装置において、前記ドラムの両側面もしくは前記突出部材が位置する一方の側面と対向する箇所に、その側面と所定間隔を置いて仕切り壁が設けられたという技術的手段を用いる。
【0011】つまり、ドラムの両側面もしくは突出部材が位置する一方の側面と対向する箇所に何も設けない場合は、突出部材が排水を掻いて発生した水流は、その掻いた方向から横方向にも広がるようにして流れるが、ドラムの両側面もしくは突出部材が位置する一方の側面と対向する箇所に、その側面と所定間隔を置いて仕切り壁を設けることにより、突出部材が排水を掻いて発生した水流が、その掻いた方向から横方向にも広がるのを阻止できるため、仕切り壁に沿った流れの強い水流を発生させることができる。したがって、仕切り壁を設けない場合よりも、排水に浮かぶ油性物質を速い流れに乗せて運ぶことができるため、油性物質の回収効率をさらに高めることができる。
【0012】請求項4に記載の発明では、排水槽に収容された排水中に下部を浸漬させて回転可能に設けられたドラムと、このドラムを回転させる回転駆動装置と、前記排水槽の内壁に沿って気泡を発生させる気泡発生手段とを備えており、その気泡発生手段により発生した気泡によって前記内壁に付着した油性物質を前記内壁から分離させ、その分離した油性物質を前記回転するドラムの外周面に付着させて回収するという技術的手段を用いる。
【0013】つまり、気泡発生手段が排水槽の内壁に沿って気泡を発生し、その気泡が上記内壁に付着した油性物質に接触すると、気泡の浮力によって油性物質を内壁から分離させることができるため、内壁に付着した油性物質を人手を介することなく回収することができる。また、排水槽の底部から発生した気泡は、その浮力によって、水面に浮遊している油性物質の大きな固まりを割って小さな固まりにすることができる。たとえば、牛脂は固化して大きな固まりになるとドラムに付着させて回収するのが困難であったが、牛脂の固まりを割って小さな固まりとして回収できるため、従来のように牛脂を溶解するためのヒータを設ける必要がないので、ヒータおよびヒータの電気代を節約することができる。さらに、排水槽の内壁と水面との境界から油性物質が成長して大きな固まりを形成すると、その固まりは、油性物質の粘着力によって内壁から自然に分離するのが困難となるが、上記のように底部から気泡を発生することにより、上記固まりを割って内壁から分離させることができるため、回収することができる。また、排水に浮遊している油性物質、内壁から分離した油性物質や水面で割られた油性物質などは、水面に達して集合した気泡によってドラムの方へ押しやられるため、回転するドラムの外周面に付着させて回収することができる。さらに、気泡によって排水中に酸素を供給できるため、排水中の腐敗菌を殺菌することができるので、排水の脱臭をすることもできる。
【0014】請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の油性物質回収装置において、前記ドラムの側面または外周面端部に突設された、前記回転駆動装置により前記ドラムが回転した際に前記排水を掻く突出部材を備えており、前記突出部材が前記排水を掻くことにより前記排水に水流を発生させ、前記排水に浮かぶ油性物質を前記回転するドラムの外周面に付着させて回収するという技術的手段を用いる。
【0015】つまり、排水槽の内壁に付着した油性物質を気泡によって分離して回収したり、大きな固まりの油性物質を気泡によって小さな固まりに割って回収したりすることにより、油性物質の回収効率を高めることができるという請求項4に記載の発明の効果と、排水に水流を発生させて油性物質を回収することにより、油性物質の回収効率を高めることができるという請求項1に記載の発明の効果との相乗効果により、油性物質の回収効率をより一層高めることができる。
【0016】請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の油性物質回収装置において、前記突出部材は、前記ドラムの両側面もしくは一方の側面に放射状に複数配置されたという技術的手段を用いる。
【0017】つまり、大きな水流を発生させることができるとともに、連続した滑らかな水流を発生させることができるという請求項2に記載の発明の効果の相乗効果により、油性物質の回収効率をさらに高めることができる。
【0018】請求項7に記載の発明では、請求項5または請求項6に記載の油性物質回収装置において、前記ドラムの両側面もしくは前記突出部材の位置する一方の側面と対向する箇所に、その側面と所定間隔を置いて仕切り壁が設けられたという技術的手段を用いる。
【0019】つまり、排水に浮かぶ油性物質を速い流れに乗せて運ぶことができるという請求項3に記載の発明の効果の相乗効果により、油性物質の回収効率をさらに一層高めることができる。
【0020】請求項8に記載の発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の油性物質回収装置において、前記ドラムは、前記排水の水位に追従可能に浮かぶ浮子に回転可能に設けられているという技術的手段を用いる。
【0021】つまり、排水槽に収容された排水の水位が変動した場合であっても、浮子はその水位に追従し、その浮子に設けられたドラムの下部を排水中に浸漬することができるため、排水に浮かぶ油性物質を回収することができる。
【0022】請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の油性物質回収装置において、前記回転駆動装置を前記ドラムの内部に備えたという技術的手段を用いる。
【0023】つまり、ドラムを回転させる回転駆動装置をドラムの内部に備えることにより、回転駆動装置を排水槽の外部、たとえば床上などに設置する必要がない。したがって、たとえば油性物質回収装置を厨房に設けられたグリーストラップ(排水槽)に収容された排水に浮かべて使用する場合は、床の上に装置類を設置する必要がないため、装置類によって厨房が狭くなったり、装置類が邪魔になったりすることがない。また、従来のような、ポンプ100と油性物質回収装置110とを接続する導入管111および回収管112が不要であるため、グリーストラップ90の点検や清掃を行うために床95に嵌め込まれた蓋94を外す場合に、導入管111および回収管112を外す手間を省くことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る油性物質回収装置の実施形態について図を参照して説明する。
[第1実施形態]図1は第1実施形態に係る油性物質回収装置の主要構成を一部内部構造と共に示す斜視説明図であり、図2は図1に示す油性物質回収装置の側面説明図である。図3(A)は図1および図2に示す油性物質回収装置に備えられたドラムの内部構造の一部を示す説明図であり、図3(B)は図3(A)に示すドラムの側面の説明図である。図4は図1および図2に示す油性物質回収装置に備えられたドラムの外観を示す斜視説明図である。図5(A)は図1および図2に示す油性物質回収装置に備えられたスクレーパの構成を示す説明図であり、図5(B)は図1および図2に示す油性物質回収装置に備えられたタンクに回収された油性物質が所定量になったことを検出するセンサの構成を示す説明図であり、図5(C)は図5(B)に示すセンサの他の構成を示す説明図である。図6は図1および図2に示す油性物質回収装置に備えられたドラムにより油性物質が回収される様子を模式的に示す説明図であり、図7は図1および図2に示す油性物質回収装置が油性物質を回収する様子を上方から見た説明図である。図8(A)は排水の水位が高い場合の説明図であり、図8(B)は水位が低い場合の説明図である。なお、以下の実施形態では、この発明に係る油性物質回収装置として、グリーストラップに収容された排水の表面に浮かぶ油性物質を回収する油性物質回収装置を例に挙げて説明する。また、図13に示した従来のものと同一の構成については同一の符号を用いる。
【0025】[概略構成]図1に示すように、油性物質回収装置10には、浮子20が備えられており、浮子20には油性物質Pを外周面30bに付着させるドラム30と、このドラム30の外周面30bに付着した油性物質Pをかき落とすスクレーパ40と、このスクレーパ40によってかき落とされた油性物質Pを回収するタンク50と、グリーストラップ90(図8)の底部に設置する板状のベース60と、このベース60の対角線上に位置する2つの角部にそれぞれ立設されたガイド棒61,62とが備えられている。浮子20は、相対向する側壁21,22を有しており、その側壁21,22の前端間には、空洞のフロート部23が形成されている。また、フロート部23の長手方向の一側面には、浮子20をガイド棒61に沿って上下方向に案内するための断面半円形状のガイド溝25が上下方向に形成されており、そのガイド溝25と対角線上に位置する部位には、浮子20をガイド棒62に沿って上下方向に案内するための断面半円形状のガイド溝26が上下方向に形成されている。なお、この実施形態では、浮子20は、合成樹脂のブロー成形により全体が中空に形成されている。また、ベース60およびガイド棒61,62は、それぞれ金属によって形成されており、それぞれの表面には錆防止のための塗装またはメッキが施されている。
【0026】[ドラム30の構成]側壁21,22間にはドラム30が、その回転中心に挿通された軸部材31によって回転可能に軸止されている。軸部材31の両端部は、面取りされており、側壁21,22には上記面取りされた軸部材31の断面形状に対応した形状の軸孔(図示しない)が形成されている。つまり、軸部材31の両端部を軸孔にそれぞれ挿通することにより、軸部材31の回り止めが図られている。図4に示すように、ドラム30は円筒形状の本体30aと、この本体30aの一端の開口部に嵌め込まれたほぼ円板形状の蓋32とを有する。蓋32の表面には、排水を掻くための7個の羽根34が放射状に等間隔に突設されている。羽根34は、縦断面が円弧形状に形成されており、図6に示すように、ドラム30が矢印F3で示す方向へ回転した際に、矢印F4で示す方向に水流を発生する。図3(A)に示すように、蓋32の内側には円板状に膨出形成された膨出部32aが形成されており、その膨出部32aの外周面には金属製の平歯車33がインサート成形されている。また、ドラム30の排水Wに対する喫水線Lは、ドラム30の下部近傍に設定されており、図6に示すように、ドラム30の下部30cが排水Wに浸漬するようになっている。図3(A)に示すように、蓋32の中央には、軸部材31が挿通された軸受32bが形成されており、蓋32と対向する反対側の面の中央には軸受32cが形成されており、ドラム30は、軸受32b,32cに挿通された軸部材31を中心に回転する。なお、この実施形態では、本体30a、蓋32および羽根34はポリエチレンにより形成されている。
【0027】[モータ70の取付構造]図1および図2に示すように、ドラム30の内部にはモータ70が設けられている。モータ70の側面には取付金具71の一端が固定されており、取付金具71の他端はドラム30に挿通された軸部材31に固定されている。これにより、モータ70は、軸部材31の上部に位置する箇所に取付けられた状態となる。つまり、仮にドラム30の内部に排水Wが浸水した場合であっても、モータ70はドラム30の内部の上方に取付けられているため、浸水した排水Wを被ったりすることにより、絶縁性および防水性に影響を受けることがない。モータ70の回転を伝達する伝達機構(図示しない)にはピニオン72が噛み合っており、そのピニオン72は平歯車33と噛み合っている(図3(B))。つまり、モータ70の回転は、上記伝達機構からピニオン72を介して平歯車33に伝達され、ドラム30が回転する。なお、この実施形態では、モータ70としてDCモータを用いる。
【0028】[スクレーパ40の取付構造]図1および図2に示すように、ドラム30の上面のやや後方には、先端に刃先40aが形成されたスクレーパ40が設けられている。側壁21,22間には軸部材41が挿通されており、その軸部材41にはスクレーパ40が回動可能に取り付けられている(図5(A))。スクレーパ40の長手方向の両端には、スクレーパ40によってかき落とされた油性物質がスクレーパ40の両端からこぼれないように規制する板状の規制部材43,43が取付けられている。軸部材41の両端にはコイルバネ42の中心がそれぞれ軸止されており、コイルバネ42の一方の腕42aは規制部材43の上部に挿通されている。つまり、コイルバネ42,42の復元力によって、スクレーパ40の刃先40aがドラム30の外周面30bを押圧するため、その押圧力によって刃先40aがドラム30の外周面に付着した油性物質Pに深く入り込むことができるので、油性物質Pを効率良くかき落とすことができる。なお、この実施形態では、規制部材43,43は、ステンレスにより形成された長手方向の板状部の両端を折り曲げて形成されており、スクレーパ40は、硬質ゴムによって上記規制部材43,43の板状部を被覆するように形成されている。
【0029】[タンク50の構造]ドラム30の後方に設けられたタンク50の前面上部には、スクレーパ40によってかき落とされた油性物質Pを受けるためのくちばし形状の受け口51が形成されている(図5(A))。また、タンク50の上面には、タンク50を着脱する際に用いる取っ手54が取付けられており、タンク50の相対向する側面52,53には、円柱形状の係止部52a,53aがそれぞれ突出形成されている。各係止部52a,53aは、それぞれ浮子20の側壁21,22の後部上端から下方に向けてほぼV字形状に切り欠き形成された切り欠き部21a,22aの谷部にそれぞれ係止されている。つまり、タンク50は、浮子20に対して着脱可能になっているため、タンク50に回収された油性物質Pの廃棄作業を容易に行うことができる。また、タンク50は、その係止部52a,53aを切り欠き部21a,22aの谷部に係止することにより前後に移動しないため、スクレーパ40によってかき落とされた油性物質Pを確実に受け口51によって受けることができる。なお、この実施形態では、タンク50は合成樹脂によって形成されており、容量は2.5リットルである。
【0030】[センサの構成]図5(B)に示すように、タンク50の内部には、細長い四角柱形状のフロータ81が、その頭部をタンク50の上面から突出可能にして昇降自在に浮いている。フロータ81の底部の側面のうち、タンク50の内壁面50aに最も近い側面には、鉄製の検知部材81aが取付けられている。浮子20の側壁21とタンク50との間の側壁21には、検知部材81aを検出するセンサ82が設けられており、センサ82は厨房内の制御盤86に設けられたLED87に接続されている。つまり、タンク50に回収された油性物質Pの水位が上昇すると、フロータ81が上昇し、フロータ81に取付けられた検知部材81aがセンサ82の検出範囲に入るとセンサ82がONする。そして、センサ82と接続されたLED87が点灯し、タンク50に回収された油性物質Pが所定量溜まり、廃棄時期になったことを報知する。
【0031】また、センサの構成としては、図5(C)に示す構成でもよい。タンク50の壁面に設けた支点83に一端が回動自在に連結された支持棒84と、この支持棒84の他端に取付けられた球状のフロータ85とを備えており、フロータ85の球面の一部には、鉄製の検知部材85aが取付けられている。つまり、油性物質Pの水位が上昇すると、フロータ85は支持棒84を支点83を中心にして上方に回動させながら上昇し、検知部材85aがセンサ82の検出範囲に入るとセンサ82がONする。なお、報知手段としては、油性物質Pを廃棄する時期であることを示すメッセージをLCDによって表示する手段を用いてもよいし、電子音やブザー音などを再生する音声再生装置によって報知する手段を用いてもよい。
【0032】[油性物質回収装置10の動作]厨房内の制御盤86に設けられた駆動回路88(図5(B))が動作すると、モータ70が駆動し、ドラム30が矢印F3(図2)で示す方向(時計方向)へ回転する。これにより、ドラム30の両側面にそれぞれ放射状に突設された複数の羽根34が排水Wを掻くため、図6および図7に示すように、矢印F4で示す方向に水流が発生する。この水流は、図7に示すように、側壁21,22によって規制され、横方向への広がりを阻止されるため、流れの勢いを強めて前方に流れ出し、グリーストラップ90の前方壁90aにぶつかり、矢印F6で示すように左右に方向転換する。そして、その方向転換した水流は、矢印F7で示すように、グリーストラップ90の側方壁90bおよび油性物質回収装置10の側壁21間と、側方壁90cおよび側壁22間とを通って後方壁90dにぶつかり、矢印F8で示すように左右に方向転換し、矢印F4で示すように、側壁21,22間を通ってドラム30の下部30cに到達する。
【0033】このような順路で流れる水流に乗って、排水Wの表面に浮いている油性物質Pは、ドラム30の後方に集合し、ドラム30の下部30cにおける外周面30bに付着し、ドラム30の上部に運ばれ、スクレーパ40によってかき落とされ、タンク50に回収される。そして、油性物質Pの回収が進み、その回収量が所定量に達すると、センサ82がフロータ81の検知部材81aを検知し、制御盤86に設けられたLED87が点灯し、油性物質Pを廃棄する時期になったことを報知する。また、図8(A)に示すように、排水Wの水位が高い状態からサイフォン現象によって排水が進行し、図8(B)に示すように、排水Wの水位が低くなった場合であっても、浮子20はガイド棒61,62に沿って水位に追従できるため、排水Wの表面に浮いている油性物質Pを回収することができる。
【0034】以上のように、第1実施形態の油性物質回収装置10を使用すれば、ドラム30が回転すると、そのドラム30の両側面に突設された羽根34が排水Wを掻き、その排水Wに水流を発生させることができるため、その水流に油性物質Pを乗せて、水流の発生源、つまりドラム30の下部30cまで運んで積極的に回収することができる。特に、ドラム30から離れた位置に浮遊している油性物質Pも水流に乗せてドラムまで運んで回収することができる。したがって、油性物質Pの回収効率を高めることができる。
【0035】しかも、グリーストラップ90に収容された排水の水位が変動した場合であっても、浮子20はその水位に追従し、その浮子20に設けられたドラム30の下部30cは排水W中に浸漬することができるため、排水Wに浮かぶ油性物質Pを回収することができる。また、ドラム30を回転させるモータ70などの回転駆動装置をドラム30の内部に備えるため、回転駆動装置をグリーストラップ90の外部、たとえば床上などに設置する必要がない。したがって、装置類によって厨房が狭くなったり、装置類が邪魔になったりすることがない。また、従来のような、ポンプ100と油性物質回収装置110とを接続する導入管111および回収管112が不要であるため、グリーストラップ90の点検や清掃を行うために床95に嵌め込まれた蓋94を外す場合に、導入管111および回収管112を外す手間を省くことができる。さらに、羽根34が排水Wを掻く際に空気が排水Wに取り込まれ、排水Wに酸素が供給されるため、腐敗菌を殺菌して脱臭することもできる。
【0036】なお、羽根34をドラム30の一方の側面のにみ設けて水流を発生させることもできる。また、羽根34をドラム30の外周面30bの両端部または一端に突設することもできる。さらに、羽根34の形状や数は、前記のものに限定されることなく変更できる。
【0037】[第2実施形態]次に、本発明の第2実施形態について図9および図10を参照して説明する。図9(A)は本第2実施形態に係る油性物質回収装置に備えられた気泡発生装置の構成を模式的に示す説明図であり、図9(B)は気泡が油性物質の固まりを割る様子を模式的に示す説明図である。図10は本第2実施形態に係る油性物質回収装置が油性物質を回収する様子を上方から見た場合を模式的に示す説明図である。
【0038】この第2実施形態に係る油性物質回収装置130は、グリーストラップ90の底部90eに設けられたパイプ120と、このパイプ120に空気を供給するエアポンプ122と、油性物質回収装置12とを備える。油性物質回収装置12は、第1実施形態の油性物質回収装置10と異なり、ドラム30の両側面に羽根を設けていない。パイプ120は、底部90eの端部に沿って配置されており、パイプ120の表面には複数の空気孔121が貫通形成されている。パイプ120の一端120aは閉塞されており、他端には上方に延びた垂直部120bが形成されている。その垂直部120bの開口端部120cには、ホース123を介してエアポンプ122が接続されている。つまり、エアポンプ122を駆動して空気をパイプ120に供給すると、パイプ120の複数の空気孔121から気泡Bが発生する。気泡Bがグリーストラップ90の内壁に付着した油性物質に接触すると、その気泡の浮力によって油性物質が内壁から分離し、排水Wの水面に浮上するため、その浮上した油性物質を油性物質回収装置10により回収することができる。
【0039】また、油性物質は、グリーストラップ90の内壁に付着した状態で大きく成長しても、図9(B)に示すように、気泡Bの浮力によってグリーストラップ90の内壁から大きく成長した油性物質の固まりを割って油性物質P2,P2に分離する。そして、その割られた油性物質P2は、図10に示すように、水面に集合した気泡Bにより、油性物質回収装置12の方向へ押され、ドラム30の外周面30bに付着させて回収することができる。特に、牛脂は固化して大きな固まりになるとドラムに付着させての回収が困難となるが、気泡Bによって大きな固まりを割って小さな固まりとして回収できる。
【0040】以上のように、第2実施形態の油性物質回収装置130を使用すれば、グリーストラップ90の底部90eから内壁に沿って気泡Bを発生させ、その気泡により、グリーストラップ90の内壁に付着している油性物質を分離したり、油性物質の大きな固まりを割って小さくして回収できるため、人手を介して回収する手間を省くことができる。また、従来のように牛脂を溶解するためのヒータを設ける必要がないので、ヒータおよびヒータの電気代を節約することができる。さらに、気泡によって排水中に酸素を供給できるため、排水中の腐敗菌を殺菌することができるので、排水の脱臭をすることもできる。なお、上記第2実施形態では、パイプ120をグリーストラップ90の底部90eの一部の端部に配置した場合を説明したが、底部90eの全部の端部に配置することもできる。また、グリーストラップ90の内壁面に空気孔121を設け、直接内壁面から気泡Bを発生するように構成することもできる。さらに、第1実施形態で用いた油性物質回収装置10を使用することもできる。
【0041】[ぬれ性に関する実験]次に、本発明者らが行ったドラム30の外周面30bのぬれ性についての実験について説明する。本発明者らは、油の付着する表面の材質によって、ぬれ性がどのように異なるかについて実験した。図11(A)は、錫メッキ鋼板、ポリプロピレン(PP)、またはポリエチレン(PE)により形成された板面上に水滴が付着した状態を示す説明図であり、図11(B)は、錫メッキ鋼板またはポリプロピレンにより形成された板面上に油滴が付着した状態を示す説明図であり、図11(C)は、ポリエチレンにより形成された板面上に油滴が付着した状態を示す説明図である。図12は、図11(A)〜図11(C)における接触角θの測定結果を示すグラフである。
【0042】錫メッキ鋼板、ポリプロピレン、またはポリエチレンにより形成された板面200上に純水の水滴W1を付着させた場合は、水滴W1の形状は、いずれの場合も、ほぼ図11(A)に示すような球に近い形状となった。そして、水滴W1の表面と板面200とが成す接触角θは、図12に示すように、錫メッキ鋼板の場合は95.4°であり、ポリエチレンの場合は94°であり、ポリプロピレンの場合は95.4°であった。つまり、水滴W1に対するぬれ性は、錫メッキ鋼板、ポリプロピレンおよびポリエチレンでは、同じぐらい悪いことが分かる。
【0043】次に、錫メッキ鋼板またはポリプロピレンにより形成された板面202上に油滴P1を付着させた場合は、油滴P1の形状は、いずれの場合も、ほぼ図11(B)に示すような緩やかな曲面の形状となった。そして、油滴P1の表面と板面202とが成す接触角θは、図12に示すように、錫メッキ鋼板の場合は25°であり、ポリプロピレンの場合は32.8°であった。つまり、油滴P1に対するぬれ性は、錫メッキ鋼板の方がポリプロピレンよりも良いことが分かった。次に、ポリエチレンにより形成された板面204上に油滴P1を付着させた場合は、油滴P1の形状は、図11(C)に示すような平坦に近い形状となった。そして、油滴P1の表面と板面204とが成す接触角θは、図12に示すように、8.4°であった。つまり、油滴P1に対するぬれ性は、ポリエチレンの方が錫メッキ鋼板およびポリプロピレンよりも良いことが分かった。したがって、上記実験結果より、ドラム30の少なくとも外周面30bをポリエチレンにより形成すれば、油性物質に対する外周面30bのぬれ性を良くすることができるため、油性物質の回収率を高めることができることが分かった。
【0044】以上のように、ドラム30の少なくとも外周面30bをポリエチレンにより形成することにより、外周面30bの油性物質に対するぬれ性を良くすることができるため、油性物質の回収率を高めることができる。しかも、ドラム30の本体30aは、ポリエチレン製の円筒形状であるため、ブロー成形により容易に製造することができる。
【0045】なお、上記各実施形態では、この発明に係る油性物質回収装置を厨房に設けられたグリーストラップ90に使用する場合を例に挙げて説明したが、ガソリンスタンドなど、排水に油性物質が混入するような場所に設けられたグリーストラップあるいは排水槽にも上述の油性物質回収装置10を適用することができる。ところで、グリーストラップ90が、この発明に係る排水槽に対応し、モータ70、伝達機構、ピニオン72および平歯車33が回転駆動装置に対応し、羽根34が突出部材に対応する。また、側壁21,22が、この発明に係る仕切り壁に対応し、パイプ120、空気孔121およびエアポンプ122が気泡発生手段に対応する。
【出願人】 【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
【出願日】 平成12年4月3日(2000.4.3)
【代理人】 【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人 (外1名)
【公開番号】 特開2001−288794(P2001−288794A)
【公開日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【出願番号】 特願2000−101396(P2000−101396)