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【発明の名称】 給水栓取付け形塩素除去器
【発明者】 【氏名】大久保 貴泰

【要約】 【課題】ビタミンCなどの塩素中和剤で水道水の残留塩素を中和する給水栓取付け形塩素除去器であって、粉末又は顆粒状の塩素中和剤を水道水で溶解して水溶液を作る場合、容器内に水道水を簡単に注入することができるようにする。

【解決手段】水道水の給水栓1に取着される容器20に、塩素中和剤を予め粉末の状態で収容しておき、この塩素中和剤は使用する前に容器20内に注入される水に溶けて水溶液となるようにし、上記容器20にこの容器内の水溶液を導くパイプ30を延設し、このパイプの先端にノズル35を設け、このノズル35に注出口37を形成し、この注出口37は上記給水栓1から吐出される水道水の吐出流内に位置されるようにし、上記容器20には外部からの操作により容器内の空気を排除する空気抜き弁25を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水道水の給水栓に取着され、予め粉末の状態で収容されるとともに使用する前に水が収容されて水溶液となる塩素中和剤が充填された密封構造の容器と、この容器に延設されるとともに先端にノズルを備え、上記容器内の水溶液を導くパイプと、上記ノズルに形成され、上記給水栓から吐出される水道水の吐出流内に位置され、水道水が吐出される場合に上記塩素中和剤の水溶液を流出させるとともに、水道水の吐出が停止される場合には表面張力により上記水溶液の流出が停止される注出口と、上記容器に設けられ、外部からの操作により容器内の空気を排除する空気抜き弁と、を具備したことを特徴とする給水栓取付け形塩素除去器。
【請求項2】 空気抜き弁は、外から押圧操作することにより容器内外を連通し、この押圧を解除すると自動的に閉塞されるプッシュ式空気抜き弁であることを特徴とする請求項1に記載の給水栓取付け形塩素除去器。
【請求項3】 上記容器には、塩素中和剤を装填する装填口が形成されており、この装填口を閉塞するキャップに前記空気抜き弁が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給水栓取付け形塩素除去器。
【請求項4】 ノズルには水道水の導入口と塩素中和剤の水溶液が注出される注出口が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一に記載の給水栓取付け形塩素除去器。
【請求項5】 上記注出口の一部を閉じる手段を備え、この閉塞手段で注出口の一部を閉じた状態で前記空気抜き弁を操作することを特徴とする請求項4に記載の給水栓取付け形塩素除去器。
【請求項6】 上記ノズルは、導入口及び注出口が水道水の吐出流内に位置するように位置調節可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一に記載の給水栓取付け形塩素除去器。
【請求項7】 塩素中和剤がアスコルビン酸類であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一に記載の給水栓取付け形塩素除去器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、台所・洗面所・浴槽などの給水栓(蛇口や混合水栓なども含む。またスパウトも含む)に取付けられ、給水栓から吐出される水道水(お湯の場合も含む)に塩素中和剤を混合して水道水に含まれる残留塩素を中和する塩素除去器に関する。
【0002】
【従来の技術】水道水には雑菌を滅菌・消毒するため塩素の混合が義務付けられており、日本の水道法では給水栓(蛇口)から出る水道水に0.1ppm以上の残留塩素が混入されていなければならないという定めになっている。最近、河川等の水源における水質が劣悪化する傾向にあり、またO−157大腸菌等が発生するなどの状況から、原水の殺菌に大量の塩素が投入されている。したがって、給水栓から出る水道水にはかなり多くの残留塩素が混在されている。しかしながら、残留塩素(主として次亜塩素酸HOClなどの遊離残留塩素)が多量に含まれる水道水は塩素臭がしたり、飲んでもおいしくないと言われており、調理の食味を低下させるとも言われている。また、この種の残留塩素は人の肌や毛髪に悪影響を及ぼし、残留塩素濃度の高い水道水で手洗いや炊事仕事をすると手指が荒れたり、また入浴すると肌の老化現象や頭髪の脱色、ぱさつき、抜け毛の原因になるともいわれている。したがって、飲み水、洗顔水、料理用の水、風呂水、シャワー水などから残留塩素を取り除く要請が強くなりつつある。
【0003】このようなことから、最近、給水栓取付け形の浄水器が市販されている。この種の浄水器は、浄水器本体内に活性炭や中空糸膜、不織布、多孔質セラミックなどを収容し、水道水をこれら濾材を通過させて水道水に含まれる残留物質を取り除く構造になっている。このような浄水器は、本来、水道水に含まれる濁り成分や、水道管のさび、水道に含まれる各種臭い成分を上記濾材で濾過する作用を目的とし、加えてこれら濾材によって水道水に含まれる残留塩素を物理的に吸着して取り除く作用を奏する。しかしながら、このような従来の浄水器の中には、塩素除去機能を謳っているにも拘わらず水道水に含まれる残留塩素を取り除く機能が充分でないものもみられる。
【0004】このようなことから本発明者は、給水栓に取り付けられる塩素除去器を研究開発中であり、その一例を特願平11−359600号として出願している。この種の塩素除去器は、給水栓に取着され、L−アスコルビン酸(ビタミンC)などのような塩素中和剤の水溶液が充填された密封構造の容器と、この容器から延設され、この容器の上記塩素中和剤水溶液を導くパイプと、このパイプの先端に形成され、上記給水栓から吐出される水道水の吐出流内に位置されて、水道水が吐出される場合に上記水溶液を流出させるとともに、水道水の吐出が停止される場合は表面張力により水溶液の流出が停止される注出口と、を具備した構造である。このような構成の塩素除去器によれば、給水栓から水道水を流さない場合、パイプ先端の注出口は空気に臨んでおり、このとき注出口では水溶液の表面に表面張力が発生して水溶液の流出を阻止する。そして、給水栓より水道水を出すと、注出口は給水栓から出た水道水の流束内に位置しているのでこの水道水が注出口を濡らすことになり、注出口に表面張力が働かなくなるため、注出口が開かれた状態となって内部の水溶液が注出され、水道水に混ざる。したがって、水道水に塩素中和剤を混合するので水道水に含まれる残留塩素を中和することができる。このような構造によれば、格別な弁構造を必要とせず、単に注出口を給水栓から流出する水の流れの中に位置させておくだけで、水道水の給水及び停止に伴って自動的に塩素中和剤の注出及び停止をさせることができるようになり、塩素中和剤の不要な漏出を防止することができるなどの利点がある。
【0005】ところで、上記のような塩素除去器においては、容器内にビタミンCなどの塩素中和剤を収容し、この水溶液を水道水に混ぜるようになっているが、製造から販売の課程ではビタミンCを粉末又は顆粒の状態で容器に充填してあり、使用者は使用する前に容器内に水を注入し、この水でビタミンC粉末を溶かして水溶液を作るようになっている。すなわち、使用者は、購入した塩素除去器の容器に自ら水を注入するようになっている。この場合、容器内に空気が残っていると前述した表面張力作用がうまく働かなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、使用者が容器内に水を注入する場合、粉末を入れる装填口から水を注入しようとすると注入がうまくできず、水とともにビタミンCの粉末が溢れてしまったり、又は水の注入が十分でなく、空気が残ってしまうなどの不具合を生じる心配がある。本発明はこのような事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、容器内に水道水を簡単に注入することができる給水栓取付け形塩素除去器を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1の発明は、水道水の給水栓に取着され、予め粉末の状態で収容されるとともに使用する前に水が収容されて水溶液となる塩素中和剤が充填された密封構造の容器と、この容器に延設されるとともに先端にノズルを備え、上記容器内の水溶液を導くパイプ(チューブやホースを含む)と、上記ノズルに形成され、上記給水栓から吐出される水道水の吐出流内に位置され、水道水が吐出される場合に上記塩素中和剤の水溶液を流出させるとともに、水道水の吐出が停止される場合には表面張力により上記水溶液の流出が停止される注出口と、上記容器に設けられ、外部からの操作により容器内の空気を排除する空気抜き弁と、を具備した給水栓取付け形塩素除去器を提供する。
【0008】なお、塩素中和剤は、密封容器内に余剰に収容されており、外から侵入する水道水により余剰分が順次溶解されるようにしてもよい。また、ノズルはパイプと一体構造をなしていてもよい。このような構成によれば、給水栓から水道水を流さない場合、ノズルに形成した水溶液注出口は空気に臨んでおり、このときパイプ内の液体が注出口より外に出ようとするとパイプ及び容器内の圧力が負圧になって水溶液の流出抵抗となり、加えて注出口では水溶液の表面に表面張力が発生して注出口に留まろうとし、よって水溶液の流出を阻止する。したがって、この場合は注出口が閉じられていると同様な閉止状態になる。一方、給水栓より水道水を出すと、注出口は給水栓から出る水道水の流束内に位置しているからこの水道水が注出口を濡らすことになり、注出口では内部の水溶液と外部の水道水が接触するので上記表面張力が働かなくなる。このため、注出口が開かれた状態と同様になり、内部の水溶液が注出され、水道水に混ざる。したがって、水道水に含まれる残留塩素を中和することができる。そして注出口から水溶液が注出されると、パイプ内及び容器内部は負圧になろうとし、流出した量に見合って外部の水道水がパイプに侵入する。このためパイプ内及び容器内部の水溶液の量は変わらない。よって、このような塩素除去器によれば、格別な弁構造を必要とせず、単に注出口を給水栓の直下に位置させて給水栓から流出する流れの中に配置させておくだけで、水道水の給水及び停止に伴って自動的に塩素中和剤の注出及び停止をさせることができ、塩素中和剤の不要な漏出を防止することができる。
【0009】また、使用開始前には密封容器内は空気の雰囲気であり、塩素中和剤は粉末又は顆粒の状態であるが、給水栓を開いて水道水を吐出するとこの水道水の一部が注出口に掛かり、この注出口からパイプ内に侵入しようとする。このとき外部から空気抜き弁を操作して容器内を大気に解放してやれば容器内の空気が自動的に排除されるようになり、パイプ内に侵入した水が容器内にも侵入して容器を満たすようになる。このため塩素中和剤が水に溶けて水溶液を作り出す。そして、容器内に水が充満すると空気抜き弁を閉じれば、容器内は密封状態を保つようになる。従って、容器内の空気抜き作業は単に空気抜き弁を操作するのみでよいからすこぶる簡単に行える。
【0010】本発明の好ましい態様は、空気抜き弁が、外から押圧操作することにより容器内外を連通し、この押圧を解除すると自動的に閉塞されるプッシュ式空気抜き弁であることである。このようなプッシュ式空気抜き弁であれば、操作性が良好であり、空気抜き作業が容易かつ確実に行える。本発明の他の好ましい態様は、容器には、塩素中和剤を装填する装填口が形成されており、この装填口を閉塞するキャップに前記空気抜き弁が設けられていることである。このような構造であれば、塩素中和剤を装填する装填口に設けられるキャップに空気抜き弁を設けるので、容器の他の箇所に格別な空気抜き穴を形成する必要がなくなり、構造が簡単になる。
【0011】さらに他の好ましい態様は、ノズルに水道水を導く導入口と塩素中和剤の水溶液を注出する注出口が設けられることである。このように上から落下する水道水を受ける導入口と水溶液が出る注出口とを分けておけば、水溶液の注出量を制御するのが容易になる。また、この場合、注出口を閉じる手段を備え、前記空気抜きのときこの閉塞手段で注出口の一部を閉じるようにすれば、空気抜きが円滑に行える。
【0012】上記ノズルの位置は、導入口及び注出口が水道水の吐出流内に位置するように、上下方向及び/又は水平方向に位置調節可能であることが望ましい。これは給水栓やスパウトがメーカー毎に又は取付箇所毎に大きさや形が変化することがあり、このような場合ノズルの位置を調整できるようにしておけば、大きさや形状の異なる給水栓であっても導入口及び注出口を給水栓の直下に正しく配置させることができるようになる。また、この発明で、塩素中和剤としては亜硫酸カルシウム、亜硫酸ナトリウムなども使用可能であるが、L−アスコルビン酸(ビタミンC)やアスコルビン酸ナトリウムなどのようなアスコルビン酸類が好ましい。アスコルビン酸類は水に溶けやすいとともに残留塩素との反応速度も速く、かつ安全性が高いなどの利点がある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明について、洗面所の混合水栓に適用した第1の実施例を図1ないし図4にもとづき説明する。図1は塩素除去器を給水栓に取り付けた状態の斜視図、図2は塩素除去器の断面図、図3はクランプを示す図、図4はスクリュー板を示す図である。図1において1は洗面台Aに設置された周知の混合水栓であり、この混合水栓1は冷水コック2、温水コック3を有し、これらコック2,3を開閉し、それぞれの開度を調節することにより蛇口4先端の吐出口5から吐出される水道水の吐出量及び水温を調節する。この混合水栓1には、本発明の塩素除去器10が脱着可能に取り付けられている。
【0014】本実施例の塩素除去器10は、全体がほぼ楕円形をなしており、図2に示す通り、左側に取付部11を備えるとともに、右側に密封容器20を備えている。取付部11は、本塩素除去器10を蛇口4に取り付けるものであり、蛇口4の上に跨るようになっている。すなわち、取付部11には蛇口4に跨る凹部12を形成してあり、この凹部12には蛇口4の左右側面を挟み付ける左右クランプ13,13が互いに接離可能に取付けられている。これらクランプ13,13の上面には、図3に示すようにラック歯14,14が形成されており、これらラック歯14,14はそれぞれ、図4に示すスクリュー板15の下面に形成した螺旋突条16に係合している。このスクリュー板15は、塩素除去器10の上面に設けられた締付けノブ17にねじ止めなどの手段で連結されており、この締付けノブ17を回動操作すると、スクリュー板15が一体的に回り、これにより螺旋突条16が旋回するので、この螺旋突条16にラック歯14,14を介して係合しているクランプ13,13が相互に接近又は離れる方向に移動するようになっている。このため、本実施例の塩素除去器10を蛇口4の上に跨るように被せてクランプ13,13を蛇口4の側面に対向させ、この状態で締付けノブ17を回すとクランプ13,13が相互に接近して蛇口4の側面を挟持することになる。よって上記締付けノブ17を回動操作するのみで塩素除去器10を蛇口4に取り付けることができる。なお、クランプ13,13には蛇口4の側面に当接するクッションパッド18,18が設けられており、これにより蛇口4を強固に締め付けることが可能となっている。なお、19は飾りのサイドキャップである。
【0015】塩素除去器10の右側に設けられた密封容器20は、仕切板21によって上記取付部11と区画されており、かつ密封構造をなしている。この密封容器20は、例えば透明若しくは半透明合成樹脂からなり、内部に塩素中和剤としてL−アスコルビン酸(ビタミンC)が充填されている。この場合、密封容器20にはビタミンCの粉末又は顆粒22が充填されており、このビタミンCの粉末又は顆粒22は容器20内に水を注入することによりこの水に溶けてビタミンCの飽和水溶液を作り出す。ビタミンCの粉末又は顆粒は、その重量の3〜4倍の水に溶ける性質があり、容器20内に満杯にビタミンCの粉末又は顆粒を充填しておいた場合、容器20内に水を満杯に注入すると、ほぼ1/3〜1/4の粉末又は顆粒が水に溶け、残りは未溶解状態となって余剰分として残る。この塩素除去器10を商品として販売する場合、容器20内にビタミンCを粉末又は顆粒の状態で装填しておき、購入した使用者が蛇口4に取り付けた後、後述する手段で容器20内に水道水を注入してビタミンCの水溶液を作り出すようになっている。
【0016】上記ビタミンCの粉末又は顆粒22は容器20の上壁に形成した装填口23から装填するようになっており、この装填口23はねじ込み式の閉塞キャップ24によって液密に閉塞されている。閉塞キャップ24には、空気抜き弁25が取付けられている。空気抜き弁25は、上記閉塞キャップ24に対してスライド自在なプッシュボタン26と、このプッシュボタン26を上向きに付勢するスプリング27を備え、かつこのプッシュボタン26に弁体28を取り付けて構成されている。弁体28は、閉塞キャップ24に形成した弁座29に脱着可能に当接する。常時は、プッシュボタン26がスプリング27により上に押されており、これにより弁体28が弁座29に当接して閉塞キャップ24を気液密に閉塞している。プッシュボタン26を指で押し下げると、弁体28が弁座29から離れ、このため閉塞キャップ24が開かれ、容器20の内部が外部と連通される。したがって、容器20内の圧力が大気圧より高くなった場合、容器20内の空気が外に排除される。
【0017】容器20の底部からは、注出パイプ30が延設されている。注出パイプ30は金属又は合成樹脂からなり、くの字形に屈曲されている。この注出パイプ30の上端部は上記密封容器20の底部から容器内に挿入されており、容器20内でフィルターパイプ31及び止めリング32に差し込まれ、この状態で上端が容器20内に開放されている。上記フィルターパイプ31は、容器20内の未溶解粉末又は顆粒22が注出パイプ30に侵入しないように、しかしながら容器20内のビタミンCの水溶液が注出パイプ30に流入するように、ストレーナの作用をなす。止めリング32はフィルターパイプ31に対して回動自在に嵌め込まれており、この止めリング32に対し上記注出パイプ30は一体に回動するように係合されている。しかし注出パイプ30は止めリング32に対し上下にスライド可能に嵌め込まれている。このため、注出パイプ30は容器20に対して上下に突没可能であり、かつ回動可能に取り付けられ、よって、注出パイプ30は、上下にスライド可能であり、かつ旋回可能になっている。なお、33は止めリング32に設けられて上記注出パイプ30の上下移動量を規制するストッパーであり、34は注出パイプ30の導出部を閉塞するパイプキャップである。
【0018】注出パイプ30の下端先端部には注出ノズル35が接着などの手段で取り付けられている。注出ノズル35は合成樹脂などからなり、先端が閉塞されているとともに、上面に導入口36及び下面に注出口37が開口されている。上面の導入口36は、主として水道水を導入するものであり、下面の注出口37は、主として前記容器20内のビタミンC水溶液を注出するものである。この注出ノズル35には下面側に、注出口37を開閉するスライドキャップ38が取り付けられており、このスライドキャップ38は、前記密封容器20内に水道水を注入するとき(=容器内の空気抜きをするとき)にスライド作動されて注出口37を閉塞するようになっている。上記注出ノズル35は前記蛇口4の吐出口5の直下に位置されるようになっており、吐出口5から落下される水道水の流れの束(流束)Bの中に位置し、この吐出水に濡れるように設置される。上記導入口36及び注出口37の開口の大きさは、これら導入口36及び注出口37が空気に臨まされているときにはこれら導入口36及び注出口37に発生する水溶液の表面張力で水溶液がこれら導入口36及び注出口37から漏れ出ないような大きさに設定してあり、例えばそれぞれ直径1mm以下となっている。
【0019】上記のように構成された塩素除去器10について、作用を説明する。塩素除去器10は、製造から販売時までは密封容器20内にビタミンCが粉末又は顆粒の状態で装填されている。この塩素除去器20を購入した使用者は、この塩素除去器20を自分で混合水栓1に取り付ける。取付けにあたっては、塩素除去器10を蛇口4に跨るように被せ、クランプ12、12が蛇口4の側面に対向するように位置させ、この状態で締付けノブ17を回す。するとクランプ12,12が相互に接近して蛇口4の側面を挟み付け、よって蛇口4に係着する。すなわち、締付けノブ17を回動操作するのみで塩素除去器10を蛇口4に簡単に取り付けることができ、女性であっても容易に取り付けることができる。この状態で、注出パイプ30の上下位置及び旋回位置を調節し、この注出ノズル30に形成した導入口36及び注出口37が蛇口4の吐出口5の直下になるように位置を調整する。すなわち導入口36及び注出口37が、吐出口5から落下される水道水の流束Bの中に位置してこの吐出水に濡れるように、上記注出パイプ30の高さ及び回動位置を調節する。
【0020】このようにして塩素除去器10の取付けが終わると、容器20内に水道水を注入する。水の注入は、まず、注出ノズル35の下面に設けたスライドキャップ38を移動させて注出口37を閉じる。この状態で、混合水栓1を開き、蛇口4の吐出口5から水道水を吐出し、この水道水が注入口36に当たるようにする。すると、落下する水道水の一部は注入口36から注出ノズル35内に侵入し、これにより注出ノズル35、注出パイプ30及び容器20内の圧力が上昇する。このとき、容器20上部に設けた空気抜き弁25のプッシュボタン26を指で押し下げると、空気抜き弁25の弁体28が弁座29から離れ、このため容器20内が外部と連通するので容器20内の空気が空気抜き弁25を通じて外に排除される。空気抜き弁25を押し続けると、注入口36から水道水が流入し続け、この流入水の圧力に押された注出ノズル35、注出パイプ30及び容器20内の空気が空気抜き弁25を通じて排除される。よって、容器20内に水道水が満たされるまで空気抜き弁25を押し続ければ、容器20内の空気は自動的に排除され、代わって容器20内に水が注入されることになる。そして、容器20内に水道水が満たされると、すなわち空気抜き弁25から水が溢れる直前で空気抜き弁25の押し下げを解除すると、空気抜き弁25が閉じられ、このため容器20内は密封状態となる。容器20内に水が注入される様子は、容器20が透明材料で形成されているので外から視認でき、よって空気抜き弁25の解除タイミングは容器内20の水の量で判断することができる。このため、空気抜き作業はすこぶる簡単に行える。
【0021】このようにして、容器20内に水道水が満たされると、この水道水によりビタミンCの一部が溶解し、容器20内でビタミンCの飽和水溶液が作られる。この飽和水溶液は、当然、注出パイプ3及び注出ノズル35内も満たす。なお、ビタミンCの粉末又は顆粒は、前述した通り、その重量の3〜4倍の水に溶ける性質があり、容器20内にビタミンCの粉末又は顆粒を満杯に充填しておいた場合、容器20内に水を満杯に注入すると、ほぼ1/3〜1/4の粉末又は顆粒が水に溶け、残りは未溶解の余剰分として残る。また、ビタミンCの水溶液は水の比重より重く、濃度の高い水溶液は沈む性質がある。このため、容器20内に比べ注出ノズル35に比較的濃度の高い水溶液が集まる傾向がある。上記のような空気抜きが終わると、注出ノズル35の下面に設けたスライドキャップ38を移動させて注出口37を開く。これにより、塩素除去器10を使用する前の準備が終わる。
【0022】次に、このような塩素除去器10を使用する場合について説明する。混合水栓1の冷水コック2及び温水コック3を閉じている場合は、蛇口4から水道水は吐出されず、注出ノズル35には水がかからない。よって導入口36及び注出口37は空気に臨まされている。このとき、容器20内のビタミンC水溶液が注出パイプ30、注出ノズル35を通じて導入口36及び注出口37から流出しようとしても、容器20内及び注出パイプ30並びに注出ノズル35内に負圧が発生しようとして流出の抵抗となるため、水溶液の漏出が阻止される。加えて、導入口36及び注出口37のそれぞれ開口部では水溶液の表面張力が発生し、よって水溶液は流れ出さない。すなわち、この場合は導入口36及び注出口37は閉じられているのと同様になる。混合水栓1の冷水コック2及び/又は温水コック3を開くと蛇口4の吐出口5から水道水が吐出される。注出ノズル35は上記吐出口5から吐出する水道水の流束Bの中に位置するように差し込まれているので、導入口36及び注出口37は落下する水に濡れる。このため、これら導入口36及び注出口37に生じていた表面張力が解除される。導入口36は注出ノズル35の上面に形成されているので、落下する水道水の圧力を正面に受けることになり、よって水道水がこの導入口36より注出ノズル35に侵入する。注出ノズル35に侵入した水道水はビタミンC水溶液に比べて比重が軽いので注出ノズル35及び注出パイプ30内を上昇し、注出パイプ30の上端から容器20に侵入する。これに代わり、容器20内のビタミンC水溶液が注出パイプ30を通じて注出ノズル35に流下し、ノズル35の下面に形成した注出口37より流れ出る。これにより、蛇口4から吐出された水道水にビタミンC水溶液が混入されることになり、水道水に含まれる残留塩素はビタミンCと化学反応して無害な塩素化合物に変化し、よって水道水は塩素が中和されたものとなる。このため、この水で手や顔や洗っても、肌が突っ張る、乾燥するなどの肌荒れを防止することができる。
【0023】なお、注出ノズル35及び注出パイプ30においては、水道水の上昇とビタミン水溶液の流下が同時に起きる。これは、水道水の比重がビタミン水溶液の比重より小さいため、水道水は注出ノズル35及び注出パイプ30の上面に沿って上昇し、同時にビタミンC水溶液は注出ノズル35及び注出パイプ30の下面に沿って流下する。したがって、注出口37から比較的高い濃度のビタミン水溶液を注出させることができる。そして、容器20内では流下したビタミンC水溶液に代わって水道水が補充されるので、新規に流入した水道水が未溶解のビタミンC粉末又は顆粒を溶かし、常時飽和水溶液を作る。したがって、未溶解のビタミンC粉末又は顆粒が無くなるまで、飽和水溶液を作り、この水溶液を水道水に混入することができる。このような作用から判る通り、注出パイプ30を容器20の下部から下方に延設させるのは、ビタミンC水溶液の比重を利用して対流を起こさせ、容器20内の水溶液を注出口37に円滑に供給するためである。
【0024】上記のような塩素除去器10であれば、注出口37が水溶液の表面張力で開閉されるので格別な弁構造が不要であり、構造が簡単である。しかも、容器20は混合水栓1の蛇口4に取り付ける構造をなしており、この取付けは締付けノブ17の簡単な操作で行えるから、取付けが容易である。そして、容器20内の空気抜きを行う場合は、スライドキャップ38により注出口37を閉じ、蛇口4から水を流しながら空気抜き弁25を押せばよいので、この作業も容易であり、女性であっても簡単に取り扱うことができる。
【0025】上記第1の実施例では、空気抜き弁25として、プッシュボタン26、スプリング27及び弁体28によって構成したが、図5に示す第2の実施例のような空気抜き弁40であってもよい。すなわち、この空気抜き弁40は、ビタミンC粉末又は顆粒を装填する装填口23を閉塞する閉塞キャップ41の中央に空気抜き孔42を設けるとともに、装填口23と閉塞キャップ41の間に弁体43を気密に挟持してある。弁体43はゴムなどのような弾性材料からなり、中央部に上記空気抜き孔42に挿通して閉塞キャップ41の上面から突出する押圧突起44を備えているとともに、その周囲に複数の連通穴45を有している。通常は、弁体43が弾性力で閉塞キャップ41の天井面に当接し、空気抜き孔42を閉じている。よって、容器内は密封に保たれている。閉塞キャップ41の上面から突出する押圧突起44を指で押し下げると、弁体43が弾性変形して閉塞キャップ41の天井面から離れ、これにより容器の内部が連通穴45及び空気抜き孔42を介して外気に通じる。したがって、容器内の空気抜き、つまり水道水を導入するときには押圧突起44を押し下げるだけで、容器内の空気が排除されるようになる。
【0026】また、前記第1の実施例では、注出ノズル35に導入口36と注出口37を形成し、容器内の空気抜きのときに注出口37をスライドキャップ38で閉じるようにしたが、本発明はこれに限らず、注出口は1個であってもよい。注出口が1個の場合、空気抜きのときは1個の注出口から水道水がノズル、パイプを通じて容器内に導入される。よってスライドキャップは不要である。そして、このような塩素除去器を使用するときには、混合水栓を開いて水道水を流すと、流束内の水道水が1個の注出口を通じて注出ノズルに流入するとともに、ノズル内のビタミンC水溶液がこの注出口を通じて注出される。すなわち、注出口においては、ビタミンC水溶液の流出と水道水の流入が同時に起こり、注出ノズル、注出パイプ及び容器内部の液量が減ることはなく、第1の実施例と同様な注出作用が可能である。
【0027】さらに、上記実施例では容器20を混合水栓1に取り付ける場合、締付けノブ17でスクリュー板15を回し、螺旋突条16とラック歯14の係合によりクランプ13、13を接近移動させて蛇口4を挟むように構成したが、容器20を混合水栓や蛇口又はスパウトなどに取り付ける構造は上記実施例に限らず、種々の手段が可能である。この場合、この種の塩素除去器は家庭内で女性が取り扱う場合もあるので、女性が簡単に取り付けることができる構造であることが望ましい。
【0028】
【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、給水栓から吐出される水道水を注出口に当てた状態で空気抜き弁を操作すると、容器内の空気が空気抜き弁から自動的に排除されるようになり、よって水道水が容器内に侵入して容器を満たすようになる。このため容器内の塩素中和剤が水に溶けて水溶液を作り出す。したがって、容器内の空気抜き、つまり水の注入作業は、単に空気抜き弁を操作するのみでよいからすこぶる簡単に行える。
【出願人】 【識別番号】592104461
【氏名又は名称】大久保 貴泰
【出願日】 平成12年4月6日(2000.4.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−288793(P2001−288793A)
【公開日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【出願番号】 特願2000−140909(P2000−140909)