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【発明の名称】 湯水混合水栓
【発明者】 【氏名】松浦 貞明

【要約】 【課題】シングルレバー式の湯水混合水栓において、水栓本体内の湯の通路を流通する湯によって水栓本体の前面及び上面が過熱されてしまうのを防止する。

【解決手段】水栓本体10の上側に湯水の混合部を有するとともに、混合部の下側に混合水の流出口を切り替える切替弁部を有するシングルレバー式の湯水混合水栓において、水栓本体10の湯の横向通路30H及び混合水の縦向通路46を覆うようにして水の横向通路30Cを形成し、流通する水によって水栓本体10を冷却するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水栓本体の上側に該水栓本体と一体又は別体に構成された湯水の混合部を有するとともに、該混合部の下側に混合水の流出口を切り替える切替弁部を有し、且つ該水栓本体にはその内部に、左右の各端側の水及び湯の各流入口から流入した水と湯とをそれぞれ独立に該水栓本体の左右中央側に導く水及び湯の横向通路と、それら横向通路のそれぞれから水及び湯を前記混合部に向けて上向きに案内する水及び湯の縦向通路と、それら水及び湯の縦向通路の後側において該混合部からの混合水を前記切替弁部に向けて下向きに案内する混合水の縦向通路とが設けられて成る湯水混合水栓において、前記水栓本体の前記湯の横向通路の少なくとも前部と上部及び前記混合水の縦向通路の後部を覆うようにして前記水の横向通路を形成して、流通する水によって該水栓本体の該湯の横向通路に対する前面と上面及び混合水の縦向通路に対する後面を冷却するようになしたことを特徴とする湯水混合水栓。
【請求項2】 請求項1において、前記水の横向通路が前記湯の横向通路の後部をも覆うようにして設けられていることを特徴とする湯水混合水栓。
【請求項3】 請求項1,2の何れかにおいて、前記水の横向通路が前記混合水の縦向通路の左右の側部をも覆うようにして設けられていることを特徴とする湯水混合水栓。
【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記水栓本体の上側の混合部の周囲が樹脂カバーにて覆われていることを特徴とする湯水混合水栓。
【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記湯水混合水栓がシングルレバー式のものであることを特徴とする湯水混合水栓。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は湯水混合水栓に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来より、湯水混合水栓の一種としてシングルレバー式の湯水混合水栓が広く用いられている。図6はこの種シングルレバー式混合水栓の従来の一例を示したものである。同図において200は函体状をなす水栓本体であって、その後面が取付脚(クランク脚)202C,202Hを介して壁面等に取り付けられるようになっている。ここで各クランク脚202C,202Hの内部には水,湯の通路204C,204Hが形成されている。
【0003】水栓本体200は左右端部に水,湯の流入口206C,206Hを有しており、更に水栓本体200の内部には流入口206C,206Hから流入した水と湯とをそれぞれ独立に水栓本体200の左右中央側に案内する水,湯の横向通路208C,208Hが設けられている。
【0004】図7に示しているように、水栓本体200の上側には混合部210が一体に設けられている。混合部210は円筒形状のハウジング212を有しており、更にその内部に弁部214が組み込まれている。
【0005】水栓本体200内部の横向通路208C,208Hを通じて水栓本体200の左右中央側に案内された水と湯とは、図8に示しているように水栓本体200に形成された水,湯の縦向通路218C,218H及び図7に示しているように混合部210に連続して形成された縦向通路220C(図示省略),220Hを通じて弁部214へと流入し、そしてその水と湯とが混合室216において混合された上、混合部210及び水栓本体200に形成された混合水の縦向通路222,224を通じて下向きに送り出される。
【0006】そして混合部210の下側に設けられた切替弁部226によって、詳しくは操作部230の図7中左右方向の押込或いは引込操作によって弁体228が流路を切り替えることで、吐水管232側の流出口234又はシャワーヘッド側の流出口236から混合水が外部へと流出する。
【0007】図7において、238は操作部としてのレバー(シングルレバー)であって、このレバー238によって弁部214が操作される。即ち、レバー238を上下向きに回動操作することで、流出口234,236からの吐水流量を調整するように弁部214が動作し、またレバー238を左右方向(図7中紙面と直角方向)に回動操作することで、水と湯との混合量を調整するように弁部214が動作する。
【0008】図6及び図9に示しているように、従来のシングルレバー式混合水栓にあっては、水栓本体200内部の湯の横向通路208Hが水栓本体200の前面,上面,後面及び底面に直接接する形態で設けられており、このため湯を流通させたとき、特に水栓本体200の湯側において水栓本体200の前面,上面,後面及び底面が熱くなってしまい、不用意にそれらの部分に手等が触れたときに熱い思いをしてしまうといった不都合が生じていた。特に水栓本体200における前面と上面とは最も水栓使用中に手等が触れ易い部分であり、それらの部分が熱くなるといったことは特に好ましくない。
【0009】更にまたこのシングルレバー式混合水栓の場合、水栓本体200において混合水の縦向通路224が水栓本体200の後面に直接接した状態にあり、混合水の通る箇所において水栓本体200の後面が熱くなるといった問題があった。
【0010】一般に混合水は水と湯とを混合したものであって湯よりも温度は通常低いが、場合によって湯のみを吐水管232等から吐出させる場合もあり、この場合混合水は実質的に湯だけから成っていてその温度は高温となる。従ってそのような場合、水栓本体200の後面が混合水によって熱くなってしまうのである。
【0011】通例シングルレバー式混合水栓の場合、混合水が混合部から流出口に向けて縦向き且つ下向きに流通する。この場合、切替弁部が混合部の下方に設けてあり、従って混合部からの混合水はその混合部から下向きに流通して切替弁部へと至る。
【0012】従って切替弁部が例えば水栓本体の側方に設けられているようなサーモスタット式の湯水混合水栓の場合のように、混合水が水栓本体の上面,前面或いは後面に沿って横向きに流れて、その混合水により水栓本体の上面,前面或いは後面が高温の混合水によって過熱されてしまうといったことは顕著には生じない。
【0013】しかしながらシングルレバー式混合水栓においても、混合水が直接水栓本体の上面或いは後面等に接する状態で流れたとき、同部分において水栓本体が過熱されてしまう問題を内在する。以上シングルレバー式の湯水混合水栓を例として説明したが、同様の問題は他の形態の湯水混合水栓においても生じ得る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の湯水混合水栓はこのような課題を解決するためになされたものである。而して請求項1のものは、水栓本体の上側に該水栓本体と一体又は別体に構成された湯水の混合部を有するとともに、該混合部の下側に混合水の流出口を切り替える切替弁部を有し、且つ該水栓本体にはその内部に、左右の各端側の水及び湯の各流入口から流入した水と湯とをそれぞれ独立に該水栓本体の左右中央側に導く水及び湯の横向通路と、それら横向通路のそれぞれから水及び湯を前記混合部に向けて上向きに案内する水及び湯の縦向通路と、それら水及び湯の縦向通路の後側において該混合部からの混合水を前記切替弁部に向けて下向きに案内する混合水の縦向通路とが設けられて成る湯水混合水栓において、前記水栓本体の前記湯の横向通路の少なくとも前部と上部及び前記混合水の縦向通路の後部を覆うようにして前記水の横向通路を形成して、流通する水によって該水栓本体の該湯の横向通路に対する前面と上面及び混合水の縦向通路に対する後面を冷却するようになしたことを特徴とする。
【0015】請求項2のものは、請求項1において、前記水の横向通路が前記湯の横向通路の後部をも覆うようにして設けられていることを特徴とする。
【0016】請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記水の横向通路が前記混合水の縦向通路の左右の側部をも覆うようにして設けられていることを特徴とする。
【0017】請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記水栓本体の上側の混合部の周囲が樹脂カバーにて覆われていることを特徴とする。
【0018】請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記湯水混合水栓がシングルレバー式のものであることを特徴とする。
【0019】
【作用及び発明の効果】上記のように請求項1のものは、水栓本体内の湯の横向通路の少なくとも前部と上部及び混合水の縦向通路の後部を覆うようにして水の横向通路を形成し、流通する水によって水栓本体を冷却するようになしたもので、この請求項1の湯水混合水栓の場合、水栓本体内の湯の流れ及び混合水の流れによって水栓本体の前面,上面及び後面が過熱してしまうのを有効に防止することができる。
【0020】請求項2のものは、上記湯の横向通路の後部をも覆うようにして水の横向通路を形成したもので、このようにしておけば、湯の横向通路の後側において水栓本体が過熱されてしまうのを防止することができる。
【0021】請求項3のものは、水栓本体内における混合水の縦向通路の左右の側部をも覆うようにして水の横向通路を設けたもので、このようにすれば混合水からの熱が水栓本体に伝わるのを更に良好に防止することができる。
【0022】請求項4のものは、水栓本体の上側の混合部の周囲を樹脂カバーにて覆うようになしたもので、このようにしておけば湯が混合部へと流入し或いは混合水が混合部から切替弁部へと向って下向きに流れる際に、それら湯又は混合水の一部が混合部の外面に接するようなことがあっても、使用者が混合部に触れた際にその樹脂カバーによって、手等に熱さを感じさせてしまうといったことを防止できる。
【0023】前記説明から明らかなように本発明はシングルレバー式の湯水混合水栓に好適に適用可能なものである(請求項5)。
【0024】
【実施例】次に本発明をシングルレバー式の湯水混合水栓に適用した場合の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。図1において、10は平面形状が半円形状、正面形状が左右方向に横長の矩形状をなす函体状の水栓本体で、その後面が一対の取付脚(クランク脚)12C,12Hによって壁等の取付基体に取り付けられるようになっている。
【0025】水栓本体10の上側には混合部14が設けられており、更にその混合部14の上側に操作部としてのレバー(シングルレバー)16が設けられている。また水栓本体10の下部には切替弁部18が組み込まれており、更に水栓本体10の下面からは先端に吐水口20を有する吐水管22が延び出している。
【0026】図2に示しているように、取付脚12C,12Hの内部には通路24C,24Hが形成されており、配管元管からの水,湯がそれぞれの通路24C,24Hを通じて水栓本体10へと導かれ、水栓本体10の左右両端部に形成された水,湯の流入口26C,26Hを通じてその内部に流入する。
【0027】水栓本体10の内部には、流入口26Hに連続して円弧状をなすように隔壁28が設けられており、その隔壁28の内側に、流入口26Hからの湯を水栓本体10の左右中央側に向けて案内する湯の横向通路30Hが形成されている。この湯の横向通路30Hは、図4に示しているように水栓本体10の略下半部に形成されている。
【0028】水栓本体10の内部にはまた、流入口26Cから流入した水を水栓本体10の左右中央側に案内する水の横向通路30Cが形成されている。この水の横向通路30Cは、図2において湯の横向通路30H及び後述の混合水の縦向通路46を除いて水栓本体10内部の全体に亘って形成されている。
【0029】水栓本体10の左右中央側に案内された水と湯とは、図5及び図3に示しているように水栓本体10に設けられた水,湯の縦向通路32C,32H、更に混合部14に設けられた水,湯の縦向通路34C,34Hを通じて混合部14内の弁部36へと導かれる。
【0030】そして弁部36の作用によって水と湯とが混合室42で混合される。その混合室42からの混合水は、混合部14及び水栓本体10に形成された混合水の縦向通路44,46を通じて水栓本体10の下部の切替弁部18へと下向きに送り出される。
【0031】ここで切替弁部18は、弁体45とこれを押込或いは引込操作する操作部47とを有しており、その弁体45が図3中右向きに押し込まれることで、混合水の流路を吐水管22側の流出口48へと切り替える。また弁体45が図中左向きに引き込まれることで、混合水の流路をシャワーヘッド側の流出口50へと切り替える。
【0032】上記弁部36は、ディスクから成る固定弁体38と、同じくディスクから成る可動弁体40とを有しており、その可動弁体40が係合アーム52を介してレバー16に作動的に連結されている。而してこのシングルレバー式混合水栓の場合、レバー16を図3中上下方向に回動すると可動弁体40が図中左右方向に移動し、流出口48又は50からの吐水流量が調整される。またレバー16を左右方向(図3中紙面と直角方向)に回動すると、その動きが回転部材56を通じて可動弁体40に伝えられ、これによって水と湯との混合量が調整される。尚、混合部14は外周部が円筒形状をなす樹脂製のカバー54にて覆われている。
【0033】図2に示しているように、水栓本体10内部においては水の横向通路30Cが湯の横向通路30Hの前部と後部及び混合水の縦向通路46の周り、厳密には湯の横向通路30Hを除いた全外周部分を取り囲むようにして形成されている。更に図4に示しているように、この水の横向通路30Cは水栓本体10内部において湯の横向通路30Hの上部を覆うようにして形成されている。
【0034】本例のシングルレバー式の湯水混合水栓の場合、水栓本体10内の湯の流れ及び混合水の流れによって、即ちそれらからの熱が水栓本体10に伝わって水栓本体10の前面,上面及び後面が過熱してしまうのを有効に防止することができる。
【0035】また本例では水栓本体10の上側の混合部14の周囲を樹脂製のカバー54にて覆うようにしており、このようにしておけば、湯が混合部14へと流入し或いは混合水が混合部14から切替弁部18へと向って下向きに流れる際に、それら湯又は混合水の一部が混合部14の外面に接するようなことがあっても、使用者が混合部14に触れた際にそのカバー54によって手等に熱さを感じさせてしまうといったことを防止できる。
【0036】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明は例えば上記例示した形態のシングルレバー式混合水栓以外の各種の湯水混合水栓に対して適用することも可能であるなど、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【出願人】 【識別番号】000000479
【氏名又は名称】株式会社イナックス
【出願日】 平成12年3月9日(2000.3.9)
【代理人】 【識別番号】100089440
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 和夫
【公開番号】 特開2001−254411(P2001−254411A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−64473(P2000−64473)