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【発明の名称】 水栓用ハンドル
【発明者】 【氏名】杉浦 和彦

【氏名】佐伯 啓之

【要約】 【課題】キャップの着脱が容易であると共に、装着部やキャップの形態の選択の自由が高い水栓用ハンドルを提供する。

【解決手段】凹設状の装着部25を有するハンドル本体20と、装着部25に装着されるキャップ70とを備えた水栓用ハンドル10である。キャップ70の裏面に、装着部25に挿入されてキャップ70の位置決めを行う案内片73と、装着部25に係止されてキャップ70の固定を行う係止片72とを各々突設し、係止片72をキャップ70の一側に偏在させた。また、係止片72の突設長を案内片73の突設長よりも長くしてもよく、装着部25に、係止片72を案内するための案内溝28を設けてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 凹設状の装着部を有するハンドル本体と、前記装着部に装着されるキャップとを備えた水栓用ハンドルであって、前記キャップの裏面に、装着部に挿入されてキャップの位置決めを行う案内片と、装着部に係止されてキャップの固定を行う係止片とを各々突設し、前記係止片をキャップの一側に偏在させたことを特徴とする水栓用ハンドル。
【請求項2】 係止片の突設長を案内片の突設長よりも長くしたことを特徴とする請求項1に記載の水栓用ハンドル。
【請求項3】 装着部に、係止片を案内するための案内溝を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の水栓用ハンドル。
【請求項4】 ハンドル本体又はキャップの少なくとも一方における係止片側の部位に、キャップを装着部より取り外すための工具掛を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の水栓用ハンドル。
【請求項5】 装着部がハンドル本体の傾斜面に設けられ、キャップが該傾斜面に対応する傾斜状に形成されると共に、係止片が該キャップの上方側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の水栓用ハンドル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本各発明は、凹設状の装着部を有するハンドル本体と、前記装着部に装着されるキャップとを備えた水栓用ハンドルに関する。
【0002】
【従来の技術】水栓用ハンドルの中には、例えば図5に示すように、ハンドル本体20の上面に凹設状の装着部25を有し、この装着部25にキャップ70が装着されたものがある。この水栓用ハンドルでは、キャップ70の裏面から係止片72が全周方向に沿って略等間隔に突設されており、この係止片72が装着部25の内周面等に係止されている。尚、上記装着部25は、弁装置の操作軸(図示を省略)を止めネジ15等を用いて固定するための部位であり、キャップ70は、この部位を隠蔽するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来例においては、係止片72がキャップ70の全周方向に存在するため、キャップ70の着脱作業の手間が多くなっている。即ち、装着作業の際には、キャップ70を全周方向に渡って少しずつ略均等に押し込むことが必要となり、この装着作業の手間が多くなっている。また、取り外し作業の際にも、キャップ70を全周方向に渡って少しずつ略均等に浮き上がらせることが必要なため、この取り外し作業の手間も多くなっている。さらに、このキャップ70は、その全周方向に設けられた係止片72の作用でハンドル本体20に対して必要以上に堅固な状態に装着されているため、取り外し作業が特に困難なものとなり易い。
【0004】また、上記従来例の態様は、装着部25やキャップ70の形態によっては適用が困難な場合もある。例えば、装着部25がハンドル本体20の傾斜面に設けられ、キャップ70がこの傾斜面に対応する傾斜状に形成されることがある。そして、この装着部25の深さはこの傾斜面の上方側から下方側に向かって浅くなるのが一般的なため、キャップ70の下方側において、装着部25の底面とキャップ70との間隔が狭くなり、係止片72の形成領域を確保することが困難となるからである。従って、上記従来例を用いると、装着部25やキャップ70の形態の選択の自由度が低くなり易い。
【0005】本各発明はこのような実状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャップの着脱が容易であると共に、装着部やキャップの形態の選択の自由が高い水栓用ハンドルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するために、先ず、請求項1の発明が採った手段は、「凹設状の装着部を有するハンドル本体と、前記装着部に装着されるキャップとを備えた水栓用ハンドルであって、前記キャップの裏面に、装着部に挿入されてキャップの位置決めを行う案内片と、装着部に係止されてキャップの固定を行う係止片とを各々突設し、前記係止片をキャップの一側に偏在させたことを特徴とする水栓用ハンドル」である。
【0007】請求項1の発明によると、キャップの装着作業の際に、案内片によってキャップの位置決めを行いつつ、キャップの一側に偏在された係止片を装着部に係止すれば足りるため、この装着作業が円滑に行われる。即ち、前述の従来例のように、キャップの周方向に沿って少しずつ均等に押し込むことは必要なく、キャップの所望の部位を一気に押圧するだけで係止片による係止を完了するため、キャップの装着作業が円滑に行われる。一方、係止片を偏在させることで、キャップの装着状態が必要以上に堅固とならないと共に、係止片による係止を解除する作業を、キャップの一側で一気に行えば足りるため、キャップの取り外し作業も円滑に行うことができる。
【0008】また、請求項1の発明によると、装着部やキャップの形態に応じて、キャップの裏面に係止片を形成不能な領域が存在する場合でも、この領域以外の領域を本発明に係る「キャップの一側」とすればよい。従って、本水栓用ハンドルでは、装着部やキャップの形態の選択の自由が高くなる。
【0009】尚、本発明においては、「係止片」の数は特に問わず、例えば、複数の係止片をキャップの一側に偏在させてもよい。また、「案内片」は、キャップの他側のみに設けられても、これよりも広範囲に設けられてもよい。例えば、キャップの略全周方向に渡って単一若しくは複数の案内片が設けられる態様を例示することができる。さらに、「キャップ」としては、ハンドル本体を弁装置の操作軸に固定するための部位を隠蔽するものに限らず、水栓用ハンドルの操作説明を表示するためのもの等、種々のものを例示できる。また、本発明の「水栓用ハンドル」としては、回動操作のみが施される回動タイプのもの、傾動操作のみが施される傾動タイプのもの、回動操作及び傾動操作が施される回動・傾動タイプのもの等、種々のタイプのものを例示できる。
【0010】次に、請求項2の発明が採った手段は、「係止片の突設長を案内片の突設長よりも長くしたことを特徴とする請求項1に記載の水栓用ハンドル」である。
【0011】案内片は、キャップの位置決めを行うものであり、装着部に嵌合状態で挿入されるものであるため、装着部への案内片の装着作業が煩雑となる虞がある。そこで、係止片を案内片よりも長くすれば、案内片の挿入に先駆けて係止片を装着部に挿入することで、係止片を案内片の挿入作業の案内部材として機能させることができる。これにより、装着部への案内片の挿入作業を簡略化できる。
【0012】次に、請求項3の発明が採った手段は、「装着部に、係止片を案内するための案内溝を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の水栓用ハンドル」である。
【0013】請求項3の発明によると、キャップの装着作業の際に、案内溝の作用によって係止片を装着部の被係止部へと確実に到達させることができるため、この装着作業がより一層、円滑に行われる。
【0014】次に、請求項4の発明が採った手段は、「ハンドル本体又はキャップの少なくとも一方における係止片側の部位に、キャップを装着部より取り外すための工具掛を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の水栓用ハンドル」である。
【0015】請求項4の発明によると、工具等により、係止片が設けられた側にてキャップの取り外し作業を行うことができる。これにより、係止片の係止を的確に解除でき、キャップの取り外し作業をより一層、円滑に行うことができる。
【0016】最後に、請求項5の発明が採った手段は、「装着部がハンドル本体の傾斜面に設けられ、キャップが該傾斜面に対応する傾斜状に形成されると共に、係止片が該キャップの上方側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の水栓用ハンドル」である。
【0017】一般に、装着部がハンドル本体の傾斜面に設けられる場合には、装着部の深さが傾斜面の下方側で浅くなるため、キャップの下方側に十分な突設長を備えた係止片を形成したり、係止片を設けること自体が困難な場合がある。このため、請求項5の発明においては、係止片の突設個所としてキャップの上方側を選択し、十分な長さの係止片を形成することを可能としている。
【0018】
【発明の実施の形態】図1及び図2に、本各発明に係る水栓用ハンドルの一例を示す。この水栓用ハンドル10は、レバー形状に構成されたハンドル本体20と、取付具50と、キャップ70とを備えている。尚、この水栓用ハンドル10は、水栓本体11に内蔵された摺動弁方式の弁装置12を操作するものであり、この水栓用ハンドル10を左右に回動操作すると、弁装置12によって吐水温度の調節が行われ、上下に傾動操作すると、弁装置12によって吐止水選択と吐水量調節とが行われる。
【0019】ハンドル本体20は、基端部22と、この基端部22より延設された把手部23とを備え、把手部23には、略長円状の開口部24が形成されている。ここで、基端部22の上面は、請求項5の発明における傾斜面21とされている。また、基端部22の傾斜面21には、略半長円状の装着部25が凹状に設けられている。
【0020】装着部25の開口側には略半長円状の段部26が設けられ、この段部26の把手部23側は開口部24へと開放されている。また、装着部25は、底面を略水平とすると共にその深さを長手方向の一側から他側、即ち、傾斜面21の上方側から下方側に向かって序々に減少させている。
【0021】この装着部25における把手部23側の内壁面には、請求項3の発明に従う、案内溝28が上下方向に形成されている。また、案内溝28の下方には、後述する係止片72が係止される被係止部30が段差状に形成され、案内溝28の上端は、請求項4の発明に従う、工具掛31と連続する状態となっている。尚、この工具掛31は、段部26上面において、装着部25から開口部24へと連通する溝状に形成されている。但し、請求項4の発明の工具掛の態様は、本例に限定されず、例えば、キャップ70側に設けたり、ハンドル本体20側及びキャップ70側に分割形成することもできる。
【0022】また、装着部25の底面には挿通孔32が開口し、基端部22の裏面からは保持部33が垂下している。この保持部33は、取付具50をハンドル本体20に一体駆動可能に保持するものであり、例えば、筒状部や対向する一対の保持面等を用いて構成することができる。
【0023】取付具50は、ハンドル本体20と、前述の弁装置12の操作軸13との間に介在されるものである。そして、軸心方向に略断面矩形状の挿通孔51を形成した本体部52と、本体部52上面より突出する円筒部53とを備えている。この取付具50は、円筒部53を挿通孔32に嵌入すると共に本体部52を保持部33に挿入してハンドル本体20に装着される。尚、取付具50のハンドル本体20への固定方法は特に問わず、例えば、ハンドル本体20を樹脂等により一体成形する際に取付具50をインサートしてもよい。また、取付具50とハンドル本体20とを係止したり、取付具50を保持部33に対して圧入若しくは接着等して固定することもできる。さらに、取付具50に相当する部位をハンドル本体20自体に設け、ハンドル本体20と操作軸13とを直に固定してもよい。
【0024】本例では、挿通孔51に操作軸13の上端部を嵌入すると共に、装着部25内より止めネジ15を操作軸13に螺着すると、ハンドル本体20と操作軸13とが一体駆動可能な状態となる。そして、操作軸13が揺動及び回動可能な状態とされているため、ハンドル本体20を上下に傾動操作すると、操作軸13が前後に揺動し、弁装置12に内蔵された可動弁体が固定弁体上を前後に摺動する。また、ハンドル本体20を左右に回動操作すると、操作軸13が回動して、可動弁体が固定弁体上で回動する構造となっている。
【0025】キャップ70は、前述の段部26に嵌入可能な略半長円型の傾斜板形状に形成され、裏面の長手方向の一側より係止片72を垂下させると共に、裏面の中間部から他側へと至る領域より案内片73を垂下させている。また、案内片73は、薄板部を略格子状に交差させて構成されるリブ形状を備え、キャップ70の補強部分としても機能している。そして、本例では、請求項2の発明に従って、この案内片73の突設長が係止片72の突設長よりも短くされている。
【0026】ここで、本例では、前述の如く、装着部25の深さが傾斜面21の上方側から下方側に向かって序々に減少しているため、キャップ70の裏面と装着部25の底面との間隔も、この上方側から下方側に向かって序々に減少している。即ち、キャップ70裏面の下方側には、係止片72の形成領域を十分に確保することが困難となっている。このため、本例では、上記間隔を十分に確保できるキャップ70の上方側を係止片72の形成領域として、十分な長さの係止片72を設けることを可能としている。そして、本例では、この係止片72を長尺な略片持ち梁形状とし、その弾性変形を容易としている。
【0027】本例では、例えば、キャップ70の係止片72における先端の爪状の突設端を案内溝28に沿わせて、係止片72及び案内片73を順次、装着部25に挿入し、キャップ70の表面を一気に押圧すると、キャップ70が段部26に嵌合し、これと同時に、係止片72が被係止部30に係止されてキャップ70の装着が完了する。また、図3に示すように、係止片72の突設端を案内溝28に位置合わせすると共に、キャップ70の長手方向の他側の端面76を、段部26の内壁面35に位置合わせし、図示矢印Aに示すように、係止片72を案内溝28に沿わせながらキャップ70表面の係止片72側を一気に押圧しても、キャップ70の装着を行うことができる。
【0028】上記の各装着作業に際しては、係止片72の突設長が案内片73の突設長よりも長くなっているため、装着部25への案内片73の挿入に先駆けて係止片72が装着部25に挿入され、装着部25への案内片73の挿入が円滑に行われる。また、一側に偏在する係止片72と他側に偏在する案内片73との双方にて、装着部25へのキャップ70の装着が案内されるため、装着部25へのキャップ70の装着も円滑に行われる。
【0029】このように装着されたキャップ70においては、把手部23側の端部が開口部24へと露呈するが、他の部位は段部26に完全に埋没し、ハンドル本体20と略面一な状態となる。このため、水栓用ハンドル10の美観が優れたものとなる。また、工具掛31が開口部24へと連続する状態となるが、この水栓用ハンドル10うちで、使用者が把持する部位は、主に把手部23の中間部から突出端側の部分である。従って、使用者の手が工具掛31に誤って接触する可能性は低いため、この水栓用ハンドル10を使用する際に、キャップ70がハンドル本体20から不用意に離脱する可能性は低い。
【0030】尚、本例では、図2に示すように、キャップ70の他側の端面76と、これに対応する段部26の内壁面35とを共に略鉛直面状に設けて衝合するため、キャップ70が段部26へと収まりが良い状態で嵌入される。但し、端面76と、内壁面35に適宜な傾斜を与え、内壁面35が端面76に対してその上方より衝合する状態としてもよい。この態様によると、キャップ70がその一側で係止片72によって係止固定されることに加え、他側においても、内壁面35によって押さえ込まれるため、キャップ70の装着状態がより確実なものとなる。
【0031】一方、キャップ70の取り外し作業に際しては、工具掛31にマイナスドライバー等の工具を差し込んだり、使用者の爪等を差し込み、図3の図示矢印Bのように、端面76を支点としてキャップ70の一側を一気に持ち上げる。この時、係止片72側の部位に工具掛31が設けられているため、係止片72の係止は的確に解除される。また、係止片の係止が解除された後には、係止片72自体の弾性により、係止片72の先端を支点として、キャップ70の他端側の端面76が抜脱方向に回動し、キャップ70が自動的に装着部25より浮き上った状態となる。このように、本例では、キャップ70の取り外し作業もより円滑に行われる。
【0032】尚、本例では、案内溝28を設けて、係止片72が積極的に案内部材としての機能を発揮するようにしたが、請求項1、2、4及び5の発明においてはこれに限らない。例えば、キャップの裏面において、その周縁部側以外の部位より係止片を垂下させ、この係止片を装着部の底面に設けられた別途の被係止部に係止させる態様とすることもできる。
【0033】また、本例では、係止片72と案内片73とを別個に形成したが、本各発明では、これらを一体化することもできる。例えば、キャップの裏面全域に単一若しくは複数の案内片を垂下させると共に、この案内片の内周面のうちで、キャップの一側に位置する部位より係止片を屈曲状に突設させ、この係止片の垂下状となる突出端を装着部に設けられた被係止部に係止してもよい。さらに、係止片を偏在させる部位を特に限定するものではなく、係止片をキャップの短手方向の一側や、キャップの「長手方向及び短手方向」以外の方向、例えば、対角線方向に沿った一側等に偏在させることもできる。
【0034】次に、図4に、本各発明に係る水栓用ハンドル10の別の例を示す。本例は、請求項1〜4の各発明を適用したものである。本例では、装着部25がハンドル本体20の略水平な面に凹設されている。そして、キャップ70は、ハンドル本体20上に載置されるようにして装着部25に装着される。また、キャップ70の裏面の一側には、複数の係止片72が偏在して突設されており、キャップ70の裏面の他側には、円弧状の案内片73が偏在して突設されている。ここで、係止片72の突設長は案内片73の突設長よりも僅かに長くされており、装着部25へのキャップ70の装着が、より円滑になされるように構成されている。
【0035】以上の各例では、ハンドル本体の上面で開口する装着部と、これに装着されるキャップとについて述べたが、本各発明は、ハンドル本体の他の面、例えば、側面で開口する装着部と、これに装着されるキャップに対しても好適に用いることができる。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本各発明によると、キャップの着脱が容易であると共に、装着部やキャップの形態の選択の自由が高い水栓用ハンドルが得られる。
【出願人】 【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社ケーブイケー
【出願日】 平成12年2月1日(2000.2.1)
【代理人】 【識別番号】100101410
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 武司
【公開番号】 特開2001−214481(P2001−214481A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−28959(P2000−28959)