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【発明の名称】 床埋込み式配管ボックス
【発明者】 【氏名】松尾 朝彦

【氏名】山田 寛信

【要約】 【課題】ボックス本体に対して配管を容易に能率よく接続して固定することができるとともに、ボックス本体を軽量にしてその運搬や据付けの作業も容易に能率よく行なうことができるようにする。

【解決手段】ボックス本体10をステンレス鋼板により形成し、このボックス本体10にテーパ状の周面を有する配管穴17を形成し、この配管穴17の周辺に止めねじ18を溶接により取り付け、ボックス本体10の下方から配管穴17内に配管23を挿入し、この配管23の外周に、環状で断面がくさび形をなす弾性体からなるパッキング22を差し込み、さらに配管23の外周に押し輪20を差し込んで止めねじ18に嵌合し、ナット21の締め付けにより押し輪20を介してパッキング22を押圧して配管穴17の内周に押し込んで配管23をボックス本体10の底壁10aに固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】建物のスラブ内に埋め込まれるボックス本体と、このボックス本体の下方からその底壁を貫通してボックス本体内に挿入される配管とを備える床埋込み式配管ボックスにおいて、ボックス本体をステンレス鋼板により形成し、このボックス本体の底壁に、上方に向ってテーパ状に拡開する周面を有する配管穴を形成し、この配管穴の周辺のボックス本体の底壁の上面に複数の止めねじを溶接により取り付け、ボックス本体の下方から前記配管穴内に配管を挿入し、この配管の外周に、テーパ状に拡開する前記配管穴の内周面に対応する環状で断面がくさび形をなす弾性体からなるパッキング差し込み、さらに配管の外周に押し輪を差し込んで前記止めねじに嵌合し、かつ前記止めねじにナットを螺着し、このナットの締め付けにより前記押し輪を介して前記パッキングを押圧して配管穴の内周に押し込み、このパッキングの弾性変形による圧着で配管をボックス本体の底壁に固定してなることを特徴とする床埋込み式配管ボックス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、学校や病院の研究室や実験室、あるいは医療室、さらには展示ホール等におけるコンクリートの床(スラブ)内にその床面とほぼ面一に埋め込み、その床下から挿入される上水用、冷却水排水用、雑用水用あるいは電気ケーブル用等の各種の配管を集約して接続させる床埋込み式配管ボックスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の配管ボックスにおいては、スラブ内に埋め込まれるボックス本体が鋳物で製造され、このボックス本体の底部に数種の配管穴が形成されている。そしてこれら配管穴に床下から立ち上げた給水、給湯、排水、ガス用あるいは電気ケーブル用等の各種の配管を接続して固定している。
【0003】配管の接続固定部分の構造を説明すると、図6に示すように、ボックス本体1の底壁1aには配管穴2が形成され、この配管穴2内にボックス本体1の下方から所定の配管3が挿入されている。
【0004】配管穴2の周辺には環状をなす肉厚のボス4が一体に形成され、このボス4の上面の均等的な例えば4箇所にスタッドボルトからなる止めねじ5が植え付けられている。
【0005】配管穴2は上方に向ってテーパ状に拡開する周面2aを有し、この周面2aの内側に環状で断面がくさび形をなすゴム等の弾性体からなるパッキング6が装着されている。
【0006】また、配管穴2の上面側には各止めねじ5と遊嵌する押し輪7が配管穴2と対向するように設けられている。そしてこの押し輪7の上面側において各止めねじ5にそれぞれナット8が螺着されている。
【0007】ボックス本体1に配管3を固定するときには、まず配管穴2の内周2aにパッキング6を装着する。そしてボックス本体1の下方から配管3を配管穴2内に挿入してボックス本体1内に突出させる。そして、ナット8を均等的に締め付け、押し輪7を介してパッキング6を加圧する。
【0008】この加圧によりパッキング6は配管穴2のテーパ状の周面2aに沿って弾性的に押し込められ、この押し込みで配管3の周面に強く圧着し、この圧着で配管3がボックス本体1に強固に固定され、かつ配管穴2が密閉される。
【0009】このような固定構造においては、配管3を回してねじ込むような作業を要することなく、単に配管3を配管穴2内に挿入し、パッキング6および押し輪7を装着し、ナット8を締め付けるだけで容易に能率よく固定することができ、したがって配管3のボックス本体1の下方側に延びる部分がどの方向に屈曲する場合であってもそれには何らかかわりなく簡便に固定することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来、ボックス本体1は鋳物で製造されているが、これはスタッドボルトからなる止めねじ5を植え付けるための肉厚のボス4を確保するためである。
【0011】また、鋳物製のボックス本体1においては、その製造過程でのピンホールや砂型くずれによる鋳肌の傷が錆や腐蝕の原因となり、このためボス4の部分以外の周壁においてもその肉を7mm以上の厚さにしてその腐蝕に対応している。
【0012】しかし、周壁の肉が厚くなると、ボックス本体1の全体の重量が相当嵩み、施工現場への運搬時の取り扱いや施工現場での据付時の取り扱いに不便が生じるという問題がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明においては、押し輪の締付け用止めねじを植え付けによりボックス本体に取り付けるという従来の発想を変え、ボックス本体を軽量で耐蝕性に優れるステンレス鋼板で形成するとともに、このステンレス製のボックス本体に押し輪の締付け用の止めねじを溶接により取り付け、これにより配管の接続固定を容易に能率よく行なえるとともに、ボックス本体の軽量化によりその運搬や据付けの作業も容易に能率よく行なうことができるようにしたことを特徴としている。
【0014】さらに具体的に述べると、建物のスラブ内に埋め込まれるボックス本体と、このボックス本体の下方からその底壁を貫通してボックス本体内に挿入される配管とを備える床埋込み式配管ボックスにおいて、ボックス本体をステンレス鋼板により形成し、このボックス本体の底壁に、上方に向ってテーパ状に拡開する周面を有する配管穴を形成し、この配管穴の周辺のボックス本体の底壁の上面に複数の止めねじを溶接により取り付け、ボックス本体の下方から前記配管穴内に配管を挿入し、この配管の外周に、テーパ状に拡開する前記配管穴の内周面に対応する環状で断面がくさび形をなす弾性体からなるパッキング差し込み、さらに配管の外周に押し輪を差し込んで前記止めねじに嵌合し、かつ前記止めねじにナットを螺着し、このナットの締め付けにより前記押し輪を介して前記パッキングを押圧して配管穴の内周に押し込み、このパッキングの弾性変形による圧着で配管をボックス本体の底壁に固定するようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について図1ないし図5を参照して説明する。
【0016】床埋込み式配管ボックスはコンクリートを打設してスラブを成形する際にそのコンクリートの打設でスラブ内に埋込むもので、その施工の完了後における配管ボックスの全体の構造を図1に示してある。
【0017】図に示す10はボックス本体で、このボックス本体10は厚さが2〜3mm程度のステンレス鋼板により上面が開口する矩形の箱形状に形成されている。そしてこのボックス本体10はコンクリートのスラブ11内に埋め込まれ、アンカーボルト12を介してそのスラブ11に固定されている。
【0018】ボックス本体10の上部には、調節目地枠13が嵌合され、この調節目地枠13には逆U字状をなす複数のスロット部13aが形成され、これらスロット部13aがボックス本体10の周壁に設けられたボルト14に上下動自在に差し込まれている。
【0019】各ボルト14にはナット15が螺着され、これらナット15の締め付けにより調節目地枠13が所定のレベルの高さの位置に固定されている。そしてこの調節目地枠13の上面の内側にステンレス製の蓋体16が脱着可能に装着されている。
【0020】ボックス本体10の底壁10aにはプレス加工により複数の配管穴17が形成されている。これら配管穴17は、図3に示すようにボックス本体10の底壁10aの下方に突出するように形成され、その周面17aが上方に向って漸次拡開するテーパ形状となっている。
【0021】また、ボックス本体10の底壁10aの上面には各配管穴17の周辺に位置して図2に示すように均等的に複数のステンレス製の止めねじ18がその上方に垂直に起立するようにプロジェクション溶接により取り付けられている。
【0022】各配管穴17の上面側にはそれぞれリング状の押し輪20が設けられ、これら押し輪20には配管穴17の周辺部に設けられた止めねじ18に対応する複数の透孔20aが形成され、これら透孔20aがその対応する止めねじ18に差し込まれている。そして各止めねじ18に押し輪20の上面側においてそれぞれナット21が螺着されている。
【0023】各配管穴17における周面17aの内側にはゴム等の弾性体からなるパッキング22が装着されている。このパッキング22は、図4に示すように環状で断面がくさび形をなし、その外周のくさびの斜面が配管穴17のテーパ状の周面17aに接するように装着されている。
【0024】各配管穴17、パッキング22、押し輪20内には、ボックス本体10の下方から上水用、冷却水排水用、雑用水用等の所定の配管23が挿入され、これら配管23が各配管穴17内のパッキング22を介してボックス本体10の底壁10aに接続固定されている。そして配管穴17を通してボックス本体10内に挿入された上水用および雑用水用の配管23の端部にはジョイントバルブ24が、また冷却水排水用の配管23の端部にはプラグ付きソケット25が取り付けられている。
【0025】施工の手順について説明すると、図5に示すように、スラブ成形用の仮枠合板40の上にボックス本体10を配置し、このボックス本体10を木ねじ41で仮枠合板40に固定する。
【0026】この際、ボックス本体10の上部からは調節目地枠13を取り外しておき、その調節目地枠13に代えてボックス本体10の上面にベニヤ合板製の養生蓋42を乗せ、この養生蓋42をボルト43でボックス本体10に固定する。
【0027】さらに、ボックス本体10の外周側にスラブ補強用の配筋工事を施し、この後、ボックス本体10の外周側の所定の領域にコンクリートを打設してスラブ11を成形する。
【0028】そして、スラブ11の養生期間経過後に養生蓋42を取り外し、ボックス本体10の上部に図1に示すように調節目地枠13を装着し、この調節目地枠13を上下に移動し、床仕上げの厚みを加味したレベル位置に定めてナット15の締め付けによりボックス本体10に固定する。
【0029】次に、養生蓋42の撤去で空いた調節目地枠13の外周側のスペース内に埋め戻しモルタル45を充填する。そして、モルタル45の固化後にこのモルタル45の上面を含むスラブ11の上面に調節目地枠15の上端縁と面一に床仕上げ材を塗布して床面46を施工する。
【0030】また、スラブ11の養生後には仮枠合板40を取り外すとともに、ボックス本体10の下方から各配管穴17内にそれぞれ所定の配管23を挿入する。各配管穴17の上部側の止めねじ18には、予め図5に示すように押し輪20と共にパッキング22に付帯する無孔蓋47が装着されているが、配管穴17内に配管23を挿入する際にはその押し輪20および無孔蓋47を取り外しておき、配管23の挿入後に無孔蓋47に付帯しているパッキング22を取り外してその配管23の外周に差し込み、このパッキング23を配管穴17のテーパ状の周面17aに押し当て、さらに配管23の外周に押し輪20を差し込むとともに、止めねじ18に嵌合し、さらにその止めねじ18にナット21を螺着する。
【0031】そして、ナット21を均等的に締め付けて押し輪20を下方に押圧し、この押し輪20でパッキング22を加圧する。この加圧によりパッキング22は配管穴17の周面17aのテーパ面に沿って弾性的に変形しながらその下方に押し込められ、この押し込みでパッキング22が配管23の周面に強く圧着し、この圧着で配管23がボックス本体10の底壁10aに強固に固定され、かつ配管穴17が密閉される。
【0032】そして各配管23をボックス本体10の底壁10aに固定した後に、その各配管23の先端部に所定のジョイントバルブ24やプラグ付きソケット25を蓋体16と干渉しないように取り付ける。
【0033】このような手順で各配管23がボックス本体10底壁10aに固定されるが、この際、配管23を回してねじ込むような作業を何ら要することなく、単に配管23を配管穴17内に挿入し、パッキング22および押し輪20を装着してナット21を締め付けるだけの簡便な作業で容易に能率よく固定することができる。したがって配管23のボックス本体10の下方側に延びる部分がどの方向に屈曲する場合であってもそれには何らかかわりなく簡便に固定することができる。
【0034】さらにこの実施形態におけるボックス本体10の底壁10aには緊急排水用の開口25が形成され、この開口25の周縁にパッキング26が装着されている。そしてボックス本体10の下方から前記パッキング26に密着するように排水トラップ27が止めリング28を介して接合固定され、この排水トラップ27に排水用の配管29が接続され、また前記止めリング28の内側に椀部材30を有するトラップカバー31が脱着可能に装着されている。
【0035】なお、スラブ11の下面にはボックス本体10の底壁10aを覆うように耐火板33が取り付けられ、この耐火板33に前記各配管23および排水トラップ27を貫通させるための抜き穴34が形成されている。
【0036】この発明のボックス本体10は従来の鋳物製とは異なり、ステンレス鋼板で形成されており、このためその全体の重量が軽量となる。例えば、従来の鋳物製の30kgと同じ規格のボックス本体10をステンレス鋼板で形成すると5kg程度の重量にまで軽減することができる。
【0037】このようにボックス本体10が軽量となることから、このボックス本体10の運搬時の作業や施工現場での据付作業を容易に能率よく行なうことがができる。そして前述したように、このステンレス製のボックス本体10に止めねじ18を溶接により取り付け、その止めねじ18に螺着したナット21を介して押し輪20を締め付けて各配管23をボックス本体10に固定する構造を採用しているから、ボックス本体10に対する各配管23の接続施工作業を容易に能率よく行なうことができる。
【0038】さらにボックス本体10内には各種の排液類が流し込まれるが、このボックス本体10がステンレス製であることから、その腐食を抑えて耐久性を高めることができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ボックス本体を軽量で耐蝕性に優れるステンレス鋼板で形成し、押し輪の締付け用の止めねじを溶接によりそのステンレス鋼板製のボックス本体に取り付けるようにしたから、配管を容易に能率よくボックス本体に接続して固定することができるとともに、ボックス本体の軽量化によりその運搬や据付けの作業も容易に能率よく行なえ、さらにボックス本体がステンレス製であることからその腐食を抑えて耐久性を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000208651
【氏名又は名称】第一機材株式会社
【出願日】 平成12年2月4日(2000.2.4)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開2001−214479(P2001−214479A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−27980(P2000−27980)