| 【発明の名称】 |
浴室ユニットの出入口部床防水構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】北角 俊実
|
| 【要約】 |
【課題】建具枠の組み立て接続部などから壁裏面側に万が一漏水があった場合でも、外部の建築躯体に漏水しにくい浴室ユニットの出入り口部床防水構造を提供する。
【解決手段】防水床の建具枠設置部分に、床とは別体の防水トレイを防水床本体の壁積載面、及び壁積載面の外周部に立ちあげられた水返し辺に水密的に接続した。建具設置部分の防水床外周部の最終水返し辺を削除した場合でも、防水トレイの上端部までは壁裏面に漏れ出した水を貯水することができるので浴室ユニット全体の外部への漏水に対する安全性を高めることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 防水床の外周部に壁パネル積載面を有し、積載面のさらに外側の防水床最外周部に上方に向かって立ちあげられた水返し辺を持ち、建具下枠を防水床の外周部より脱衣所側にはみ出させて設置するか、あるいは防水床の建具設置部の水返し辺を削除して壁積載面に設置する浴室ユニットにおいて、建具の下枠部分の裏面側に、床本体とは別体の防水トレイを装備したことを特徴とする浴室ユニットの出入口部床防水構造。 【請求項2】 前記防水トレイが、防水床の外周部の壁積載面、および壁積載面の外周の上方に向かって立ちあげられた水返し辺に水密的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニットの出入口部床防水構造。 【請求項3】 前記防水トレイの脱衣所側に臨む辺が、建具下枠と脱衣所側を接続する部分付近まで上方に立ちあげられ、立ち上げ辺の上端が脱衣所床仕上げ面と並行に折り返され、建具下枠と脱衣所床を接続する際に建具下枠取付フランジ部分と脱衣所床面との間に挟み込まれて取付けされることを特徴とする請求項1乃至請求項2記載の浴室ユニットの出入口部床防水構造。 【請求項4】 前記防水トレイが厚さ2mm以下の薄物材料にて成形されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の浴室ユニットの出入口部床防水構造。 【請求項5】 前記防水トレイの防水床壁積載面側の端部が下方に折り返された折り返し辺を有し、防水トレイが取り付けられる可能性のある防水床壁積載面には凹形状の溝が形成され、防水トレイの折り返し辺を凹形状の溝中に差しみ、かつその上部より軟質材を具備した押えピースを防水床の凹形状の溝中に差し込み、床と嵌合させることで、防水トレイを供固定し取付けすることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の浴室ユニットの出入口部床防水構造。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は組み立て式の浴室ユニット(シャワーユニットも含む)の出入口部床防水構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】組み立て式衛生設備室である浴室ユニットの出入口部には、通常、開き戸・折戸・引き戸のいずれかの建具が設置されている。これらの建具は建具枠部と障子部から構成されており、一般的には、建具枠・障子部ともにアルミ及びプラスチックの押し出し材によって製作され、建具枠は、左右2本の縦枠、上枠、下枠の4方の押し出し材をビス固定などで組み立てることで4方の建具枠としている。建具枠は、浴室ユニットの構造体である壁パネル同様に防水床の外周部の壁積載面に積載され、浴室ユニットの構造体の一部となる。障子部は、この建具枠に可動可能な状態で取り付けられ、開閉することで出入口となる。 【0003】前述の建具枠は、浴室ユニットを構成する壁パネルとほぼ同じ状態で防水床に積載・取付けされ、壁パネルと同様にその接続部分から浴室ユニット外部に水を漏らさないような水密性能を有すことを求められている。また、建具部分のみならず、浴室ユニットを構成する壁パネル接続部などから漏水してしまった場合のために、防水床の壁積載面の外周には、全周にわたって最終水返しのための立ち上げ辺が形成され、簡単に外部に水を漏らさない仕様になっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常の建具枠は、前述したように上枠・縦枠・下枠の4本の長尺の押し出し部材をビス固定などで組み立てることで4方枠として構成されるため、それぞれの接続部には、隙間が生じやすく、十分な水密性能を得にくい。当然、この部分の水密性能を高めるために、接続部分には、水密材を挟み込みながら組み立てるなどの考慮はなされているのだが、各々の枠材が一般的にアルミやプラスチックの押し出し材を使用しており肉厚が薄く(1〜2mm程度)、接続方法が単純な突き合わせ接続であることなどの理由から、十分な水密性能を出しにくく、建具部分以外の壁の接続部などと比較しても、少々劣る水密性能しか得られない構造となっていた。特に下枠と左右の縦枠との繋ぎ合せ部は、水にさらされやすいことから条件が厳しく、さらに、近年の高齢者対応商品では、建具部分の入り口段差が小さく、浴室内の水を仕舞うグレーチング付きの排水溝が無い仕様が中心になっているため、浴室内の使用水が建具下枠部分に到達しやすく、建具下枠部分にとって水密的に厳しい環境となっていた。 【0005】これらの建具枠合わせ面の弱点を強化するために、接続部分に各枠材接続用の別ピースを用いて水密性の向上を図る手段もあるが、建具が特殊なものとなりコスト的に高くなるため、あまり一般的には採用されていない。 【0006】また、通常の浴室ユニットでは、前述したように部屋を構成する建具部分や壁パネル等の接続部分から万が一漏水することがあっても、壁積載面の外方(通常は浴室ユニットの壁面から20mm〜40mm外側)に立ちあげられた防水床の最終水返し辺によって、外部に漏水する最悪の事態を防止していたのであるが、現在の主力商品の高齢者対応仕様では、取合寸法上、建具部分の防水床最終水返し辺を削除する必要があるため、この部分は、水返し辺が欠落してしまい、建具繋ぎ合せ部から漏水があった場合、たとえ少量でも外部漏水に直結してしまう状況になっていたのである。これは、高齢者対応商品などで入り口段差を小さくしようとすると、前記防水パンの最終水返し辺が、建具下枠部と干渉するために生じるものである。 【0007】また、防水床の壁積載面は、床全周で連通しているため、建具設置部分の最終水返し辺を削除するということは、建具設置部ではない防水床外周部に最終水返し辺をいくら高く立ちあげてみても、結局は、削除してしまった建具設置部のレベルまでしか水返しの機能を果たさないということになり、建具下枠部分からの直接漏水のみならず、いかなる部分からの漏水であっても、壁裏に廻ってしまった漏れ水に関しては、一部でも最終水返し辺をカットしてしまうと水密の性能が著しく低下してしまうという問題があった。 【0008】この問題の解決策として、建具下枠を全体的にカバーするような防水床形状にして、水返しを切除しなくても建具と干渉しないような寸法にする手段があるが、建具下枠の見込み寸法は一般的に70mm〜100mm程度あり、壁パネルの部分で必要な見込み寸法より遥かに大きいため、建具を設置する可能性のある場所すべてを防水床でカバーしようとすると、防水床が一回り大きな物になってしまうことになり、所定の浴室ユニット設置場所に収まらないことになる。 【0009】また、建具の付く位置だけ防水床を延長して飛び出させて、下枠をカバーする形状にすると、建具の位置、すなわち入口勝手にあわせて高価な防水床の型が何種類も必要になり、非常に効率が悪いものになるのである。 【0010】本発明は、以上の点に鑑み、建具枠、及びその他の壁パネル接合部などからの建具枠裏面、壁裏面への漏水があった場合でも、その部分からの漏水が外部漏水になりにくく、水密的な安全性を高めた浴室ユニットの出入口部床防水構造を安価に提供することを目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、防水床の外周部に壁パネル積載面を有し、積載面のさらに外側の防水床最外周部に上方に向かって立ちあげられた水返し辺を持ち、建具下枠を防水床の外周部より脱衣所側にはみ出させて設置するか、あるいは防水床の建具設置部の水返し辺を削除して壁積載面に設置する浴室ユニットにおいて、建具の下枠部分の裏面側に、床本体とは別体の防水トレイを装備したことを特徴とするものである。 【0012】この発明では、建具下枠の枠材合わせ目から万が一漏水した場合でも、下枠の下部の裏面に装備された防水トレイによって漏れ水がキャッチされ外部の建築躯体に漏水しないようにすることができる。 【0013】この発明の請求項2記載の発明は、請求項1の発明の場合において、前記防水トレイが防水床の外周部の壁積載面、および壁積載面の外周の上方に向かって立ちあげられた最終水返し辺に水密的に接続されていることを特徴とするものである。 【0014】この発明では、防水トレイが防水床本体と水密的に接続されているため、どの部分からの漏水であっても、壁裏面に廻った水を外部に漏水させにくくすることができる。 【0015】この発明の請求項3記載の発明は、請求項1乃至請求項2の発明の場合において前記防水トレイの脱衣所側に臨む辺が、建具下枠と脱衣所側を接続する部分付近まで上方に立ちあげられ、立ち上げ辺の上端が脱衣所床仕上げ面と並行に折り返され、建具下枠と脱衣所床を接続する際に建具下枠取付フランジ部分と脱衣所床面との間に挟み込まれて取付けされることを特徴とするものである。 【0016】この発明では、防水トレイの脱衣所側に臨む辺の上縁部を脱衣所床に接続することで、取り付け強度をあげることができ、あわせて、建具下枠の接続部のほぼすべてをカバーすることが可能となり、かつ脱衣所仕上げ面のレベル付近まで防水トレイの上縁を立ちあげることができるため、建具枠設置のために切り欠かれた防水床の最終水返し辺を復元することができ、上部まで高い水密性を保証できる。 【0017】この発明の請求項4記載の発明は前記防水トレイが厚さ2mm以下の薄物材料にて成形されたことを特徴とするものである。 【0018】この発明では、建具下枠と防水床面との取合寸法に大きな影響を与えること無く防水トレイを設置できる。 【0019】この発明の請求項5記載の発明は、前記防水トレイの防水床取付け端部が下方に折り返された折り返し辺を有し、防水トレイが取り付けられる可能性のある防水床壁積載面には、凹形状の溝が形成され、防水トレイの折り返し辺を溝中に差しみ、かつその上部より軟質材を具備した押えピースを防水床の溝中に差し込み、床と嵌合させることで防水トレイを供固定し、取付けされることを特徴とするものである。 【0020】この発明では、防水トレイと防水床との接続の際、防水トレイの強度をいたずらに高めること無く、高い水密性を有した状態で簡単に取付けすることができる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、この発明の一実施の形態による浴室ユニットの出入口部床防水構造を示している。 【0022】浴室ユニットYは、図1で示されるように、脱衣室Dに隣接して設けられており、この浴室ユニットYの洗い場23側に脱衣室Dに通じる出入口部1が形成されている。この浴室ユニットYは、組み立て式のユニットバスルームであり、樹脂材によって一体的に成形された防水床2の外縁部には、壁パネル3を載置するための壁積載面21が形成されている。壁積載面21の外周には、上方に向けて立ち上がった最終水返し辺20が形成され、壁パネル3は、前記防水床2外縁部の壁積載面21に載置され、出入口部1には、建具枠4が壁パネル3と同様に壁積載面21上に載置される。 【0023】そして壁パネル3の上部に天井パネル(図示せず)が積載固定されて、浴室ユニットの構造体が構成される。この場合、壁積載面21は、防水床2の洗い場面23よりも低い位置に形成されており、壁積載面21の略中央部には、長手方向に添って凹形状の溝22が形成されている。 【0024】出入口部1は、建具枠4と、これに開閉可能な状態で取り付けられる障子40とから構成されている。建具枠4は、図4に示すように左右の縦枠41と上部の上枠(図示せず)下部の下枠42の4本からなり、それぞれビスによって接続されて、4方の枠を形成している。 【0025】前述のとおり、建具枠4は、壁パネル3同様に防水床2の壁積載面21上に載置され固定されるが、出入口部1の防水床外周の最終水返し辺20は、建具下枠42と干渉するために図3に示すように壁積載面21のレベルと略同一の高さで切り取られ切り欠き部24とされている。 【0026】防水トレイ5は、出入口部1の建具下枠42の下部(裏面)にあたる防水床の壁積載面21に取り付けられている。この防水トレイ5は各種プラスチック及び金属系の材料などで成形されており、厚みは、2mm程度の薄肉のもので成形され、建具下枠42をすっぽり覆うような形状で防水床2の建具設置部に取り付けられる。 【0027】防水トレイ5の脱衣所D側に臨む部分は脱衣所床6レベル付近まで上方に向けて立ちあげられ、立ち上げ部上端50は脱衣所D側に向けて床面と並行に折り返されている。 【0028】防水トレイ5の浴室側の端部51は、下方に向けて折り返されており、壁積載面21に形成された凹状の溝22の中に差しこまれ、軟質材70を具備した押えピース7を防水床の凹状溝22の中に押し込む際に、同時に押し込まれ、床に供固定される。 【0029】防水トレイの両サイド部分52は、防水床最外周部の最終水返し辺20と水密接合できるようにフランジ形状とされ、シリコンあるいは両面テープ・ビスなどで床の最終水返し辺20と水密的に接続されている。 【0030】建具下枠42との干渉のため切り取られ削除された建具設置部分の防水床最終水返し辺20は、防水トレイ5をこの部分に取り付けるこれらの構造によって復元されることとなる。 【0031】建具枠4は、防水トレイ5の中に下枠・縦枠の下部ともに落とし込むように設置され、隣接する壁パネル3と接続され、ユニット構造体を構成する。洗い場面23と建具下枠42との間にはシリコンコーキング8が施され、建具下枠42と防水床2との間を水密接続している。 【0032】防水トレイ5は、前述のように薄物(2mm以下)の材料で成形されているため、脱衣所D側に臨む辺の立ち上げ部上端50は、建具下枠42と脱衣所床6との空間に挟み込むことが可能で、建具下枠42と共に、建具枠取付けビス44によって脱衣所床6に取合寸法に影響を与えない状態で接続される。このことは、建具枠4と脱衣所Dとを接続する接続フランジ部43は一般的に3mm段差まで許されており、大部分の建具下枠は、フランジ部43が1mm厚の板材からなり、それを下方に3mm折り返した形状になっているため、内部に2mmの厚みのものが挟み込めることから可能になるものである。 【0033】建具枠4には、障子40が取り付けられ、浴室の出入口部1を開閉する。開閉の形態としては内/外開きの開戸・内/外開きの折戸・各種引き戸など、さまざまなバリエーションが存在する。 【0034】次にこの浴室ユニットの出入口部床防水構造の作用について説明する。浴室Yで使用した湯水は洗い場23の表面に流され、大部分のものは洗い場23に形成された排水勾配によって浴室の排水口部(図示せず)に流されるが、一部のものは出入口部1に押し寄せてしまう。出入口部1に流れた水は、従来であれば、出入口部1に形成された入口段差・あるいはグレーチング付きの排水溝などで仕舞われ、建具の下枠部に到達しにくくなっているが、出入口段差を小さくし、排水溝なども削除してしまった近年の浴室では、洗い場での使用水が出入口部分1に到達しやすくなっているため、建具障子40に新たに設けられた水密材9で水密され、脱衣所D側に直接溢れ出さないように配慮されている。 【0035】しかし、出入口部1に押し寄せた水は、同時に建具下枠部42にも押し寄せることになり、この部分を水没させることとなる。建具障子部分40は、直接脱衣所Dに水が漏れ出さないように水密材9等で水密されているが、建具枠の構造は、前述のように長尺の押し出し材の突合わせ組み立て品であるため、水密性が弱く、条件が悪いと、水没した状態で水密を保つことは難しい構造になっている。万一、枠の合わせ目から漏水した場合、漏れ出した水は建具下枠42の下部と防水床2の間に設けられた防水トレイ5にキャッチされ、防水トレイ5の立ち上げ部上端50までは建築躯体に漏れ出さない。 【0036】また、防水トレイ5が設置される壁積載面21は、浴室ユニット全周の壁積載面21と連通しているため、建具下枠42から漏水した水ばかりでなく、壁裏に漏れた水であれば、浴室ユニットのどの部分から漏水しても、防水トレイ5にてキャッチすることになる。 【0037】以上のように、本発明では建具枠4の組み立て接続部から漏水があった場合でも、防水トレイ5によってこれを捕捉することが可能で、建具部分の漏水に対する安全性を高めることができる。 【0038】また、この浴室ユニット出入口部床防水構造では、建具部分の防水トレイ5を防水床2本体の壁積載面21、及び壁積載面の外周部に立ちあげられた最終水返し辺20に水密的に接続しているので、入り口段差を低減するため、建具設置部分の防水床外周部の最終水返し辺20を削除した場合でも、防水トレイ5の上端部までは壁裏面に漏れ出した水を貯水することができ、浴室ユニット全体の外部への漏水に対する安全性を高めることができる。 【0039】たとえば、浴室ユニットの出入口部1から遠く離れた浴槽側のコーナー部の壁パネルの合わせ目から漏水があった場合、そこから壁裏に漏れ出た水は、床の最外周部に設けられた最終水返し辺20と壁裏面との間にキャッチされる。この空間は、浴室ユニット全周に連通しているので、どの部分から漏水があったとしても、同じレベルまでは壁裏と最終水返し辺20との間に水が溜まることになる。防水トレイ5が装備されず、建具取付け部分の床外周部最終水返し辺20が削除されていたとしたら、これらの壁裏面に廻った漏れ水は、一番レベルの低い水返し切り欠き部24から簡単に漏れ出すことになる。本構造では、防水トレイの立ち上げ部上端50まではこれらの漏れ水を貯水することが可能で、外部の建築躯体などに漏水させることはない。 【0040】さらに、この浴室ユニットの出入口部床防水構造では、防水トレイ5の脱衣所D側に臨む辺を脱衣所床6と建具下枠42を接続する部分まで立ちあげ、建具下枠の接続フランジ部43と脱衣所床6との間に挟み込んで接続しているため、出入口建具部分とほぼ同じレベルまで、万が一の貯水が可能になるとともに、防水トレイ5の構造的な取付け強度をあげることができる。これは、防水トレイ5本体が低強度の材料や軟質材料であったとしても、万が一漏れ出した水を貯水することができる構造的な強度を持たせることが可能になることを意味しており、防水トレイ5の材料選定や材料費節減などに有効である。 【0041】なお、どのような形態の浴室ユニットであっても、壁積載面21の外縁部の最終水返し辺20の高さの有効範囲は建具下枠の接続フランジ部43の裏面までが最高位となる。なぜなら、建具部分では、下枠表面より床の最終水返し辺20の上端が飛び出すことはあり得ないし、建具部分以外の部分で、この高さ以上の所まで水返し辺を立ちあげても、建具下枠42裏面と最終水返し辺20との隙間から先に漏水するため、実質的にはあまり意味の無いことになるためである。すなわち、建具下枠の接続フランジ部43の裏面まで床の貯水レベルを上げることができれば、浴室ユニットの貯水能力としてはどのような場合でも最高のレベルとなるのである。 【0042】また、この浴室の出入口部床防水構造では、防水トレイ5が厚み2mm以下の薄物の材料(各種プラスチック・金属・透水性の無いゴムなど)から成っているため、建具下枠42と防水床面、あるいは防水トレイ5と脱衣所Dとの取合寸法に大きな影響を与えること無く設置可能である。 【0043】また、前述のように防水トレイ5の脱衣所D側に臨む立ち上げ部上端50を建具下枠部の接続フランジ部43と脱衣所床6との間に挟み込んで固定する場合にも、取合に影響を与えること無く、挟み込みが可能になる。なぜなら、各種公的な規定では入り口段差3mmまでであれば、実質的に段差無しとみなしている関係上、ほぼすべての建具で下枠の接続フランジ部43の厚みは、脱衣所側から見た場合、3mmにされている。この3mmは、中実の3mmではなく1mmの押し出し材の端部を下方に3mm折り返し、見かけ上、3mmとしているものが大半であるため、中身に2mmの空洞部分が存在し、2mmの厚みのものであれば、この部分に取合い寸法に影響を与えること無く挟み込みが可能なのである。 【0044】さらに、この浴室ユニットの出入口部床防水構造では、防水トレイ5の取り付けられる可能性のある部分の壁積載面21上に凹形状の溝22が形成され、防水トレイ5の壁積載面21に臨む端部51が下方に折り返され、この溝22中に差し込まれ、上部より軟質材70を具備した押えピース7をあらかじめ溝22中に差し込まれた防水トレイ5の端部折り返し部51と共に壁積載面の凹形状の溝22の中に嵌合させることで、防水トレイ5を固定するため、一般的なビス固定などに比べ、取付け部の強度も必要無く、いたずらに防水トレイ5の強度をあげることもない。これにより防水トレイ5本体が薄物の材料で作られた低強度のものでも、またゴム状の軟質材料のものでも確実に水密的に床に固定することができるとともに、取り付けのための手間を削減することができる。 【0045】 【発明の効果】この発明は以下に記載されるような効果を奏す。この発明の請求項1記載の発明によれば、防水床の外周部に壁パネル積載面を有し、積載面のさらに外側の防水床最外周部に上方に向かって立ちあげられた水返し辺を持ち、建具下枠を防水床の外周部より脱衣所側にはみ出させて設置するか、あるいは防水床の建具設置部の水返し辺を削除して建具を壁積載面に設置する浴室ユニットにおいて、出入口を形成する建具の下枠部分の裏面側に、床本体とは別体の防水トレイを装備しているため、建具枠の組み立て接続部から漏水があった場合でも、防水トレイによってこれを捕捉することが可能で、建具部分の漏水に対する安全性を高めることができる。 【0046】この発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、防水トレイが防水パンの外周部の壁積載面、および壁積載面の外周の上方に向かって立ちあげられた水返し辺に水密的に接続されているので、出入口段差を低減するため、建具設置部分の防水床外周部の最終水返し辺を削除した場合でも、防水トレイの上端部までは壁裏面に漏れ出した水を貯水することができ、浴室ユニット全体の外部への漏水に対する安全性を高めることができる。 【0047】この発明の請求項3記載の発明は、請求項1乃至請求項2記載の発明の場合において、防水トレイの脱衣所側に臨む辺が、建具下枠と脱衣所側を接続する部分付近まで上方に立ちあげられ、立ち上げ辺の上端が脱衣所床仕上げ面と並行に折り返され、建具下枠と脱衣所床を接続する際に、建具下枠取付けフランジ部分と脱衣所床面との間に挟み込まれて取付けされているので、出入口建具部分とほぼ同じレベルまで万が一の貯水が可能になるとともに、防水トレイの構造的な取付け強度をあげることができる。このため、防水トレイ本体が低強度の材料や軟質材料であったとしても、万が一漏れ出した水を貯水することができる強度を持たせることが可能になり防水トレイの材料選定の自由度や材料費節減などに有効である。 【0048】この発明の請求項4記載の発明は、請求項1乃到請求項3記載の発明の場合において、防水トレイが厚さ2mm以下の薄物材料にて成形されているので、建具下枠と防水床面、あるいは防水トレイ本体と脱衣所側建築躯体との取合寸法に大きな影響を与えること無く設置することができる。 【0049】この発明の請求項5記載の発明は、請求項1乃到請求項4記載の発明の場合において、防水トレイの防水床取付け側の端部が下方に折り返された折り返し辺を有し、防水トレイが取り付けられる可能性のある防水床壁積載面には、凹形状の溝が形成され、防水トレイの端部折り返し辺を溝中に差しみ、かつ、その上部より軟質材を具備した押えピースを防水床の溝中に差し込み、床と嵌合させることで防水トレイを供固定し取付けされるので、一般的なビス固定などに比べ、取付け部の強度も必要無く、いたずらに防水トレイの強度をあげる必要が無い。 【0050】これにより、本体が薄物の材料で作られた低強度のものでも、またゴム状の軟質材料のものでも確実に水密的に床に固定することができるとともに、取り付けのための手間を削減することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000010087 【氏名又は名称】東陶機器株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年1月20日(2000.1.20) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2001−200562(P2001−200562A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−11903(P2000−11903) |
|