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【発明の名称】 空気からの採水方法とその装置
【発明者】 【氏名】末金 利夫

【要約】 【課題】夜間の空気と地中との温度差を利用して、空気から水を得る。

【解決手段】地面に立設した吸気管1から吸い込んだ空気を、地中に埋設した加熱管3で加熱したのち、地面に立設した冷却管4で冷却して排気する過程で、空気から分離した水滴を冷却管の内壁に付着させて採水する。その装置は、吸気管、加熱管、冷却管、吸気及び排気するためのファン、ファンを駆動するための太陽光発電システムなどの電源、貯水タンク7などからなる。簡単な装置で低コストで製作できるうえ、自然エネルギを利用するとランニングコストが少なくてすむ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気と地中との温度差を利用するもので、吸気管から水滴を含む空気を、前記空気より高い温度の地中に埋設した加熱管に導入して加熱したのち、排気管から再度前記空気中に排気する過程で、排気管の内壁に空気から分離して付着する水滴を集めて採水する空気からの採水方法。
【請求項2】 地中に埋設される加熱管と、加熱管と連通して地面に立設された吸気管と、加熱管と連通して地面に立設された冷却管と、地中に埋設される貯水タンクと、冷却管と貯水タンクとを連通させる送水管と、吸気管から空気を取り入れて冷却管より排出させる、前記各管の内部に設けられたファンと、ファンを駆動させる電源とからなる空気からの採水装置。
【請求項3】 電源は、太陽電池システムである請求項2の空気からの採水装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、乾燥地帯、砂漠地帯など水を得ることが困難な場所で、空気と地中との温度差を利用して、空気中の水分を得るための簡単な方法とこれに用いる装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】海水から塩分を除いて真水を取り出す方法として、蒸留法、多重効用真空式蒸留法、太陽熱蒸留法、結晶化法、膜法などが実用化されている。しかしこれらの方法は、海水が容易に得られる場所、即ち海岸に近い所以外では採用できない。しかも、大きな設備や多量のエキルギを必要とする。
【0003】これに対して空気に含まれる水分を得る方法としては、土地の上方にプラスチックシートなど水を通さないシートを張り、気温の下がる夜間に、空気中の水蒸気が凝結してシート上に付着した水滴を集める方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この方法では集められる水は極めて少なく、遭難の際など緊急時にしか採用できない。
【0005】本発明者は、夜間の気温は日中の気温より低く、又、地中の温度は夜間の気温より高いこと、特に北緯30度と南緯30度の間の平地の乾燥地帯、砂漠地帯では、日中の気温が40℃、或いはそれ以上になるが、夜間では冷え込みがきびしく3℃から零度℃に落ち込むこと、又、それに対し地中の温度は、昼夜変化がなく、地表から30cmから50cmの深さでは15℃ないし20℃、それより深い所では15℃と、夜間の外気温度より高く、しかも安定していることに着目した。
【0006】この発明が解決しようとする課題は、日中の気温は高いが、夜間は気温が比較的安定している地中の温度より下がる現象を利用して、日常の生活水、田畑、樹木の灌漑用水を簡易な装置で空気から得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の方法は、吸気管から水滴を含む空気を、前記空気より高い温度の地中に埋設した加熱管に導入して加熱したのち、冷却管から再度前記空気中に排気する過程で、冷却管の内壁に空気から分離して付着する水滴、即ち結露を集めて採水することに特徴がある。
【0008】又、前記方法を実現するための装置は、地中に埋設される加熱管と、加熱管と連通して地面に立設された吸気管と、加熱管と連通して地面に立設された冷却管と、地中に埋設される貯水タンクと、冷却管と貯水タンクとを連通させる送水管と、吸気管から空気を取り入れて冷却管より排出させる、前記各管の内部に設けられたファンと、ファンを駆動させる電源とからなることに特徴がある。
【0009】
【作用】地中の温度より夜間の気温が低下すると、日中、太陽熱で地面、地下の水分は毛細管現象により水蒸気となって地面から上昇し、空気と混じり合う。この空気は、夜間から日の出前後にかけての放射冷却現象により、冷却されて水滴を含んだ状態になる。この水滴を含んだ空気を吸気管から加熱管に導入する。空気より高い温度の地中に埋設された加熱管で導入した空気を加熱したのち、冷却管で排気する。冷却管は外気により冷却されるため、加熱管で加熱された空気中の水滴は、空気と分離して冷却管の内壁に付着する。前記内壁に付着した水滴を集めて日常水、灌漑用水等に利用する。
【0010】空気の吸気管からの導入、加熱管を経て冷却管からの排気は、電源、例えば太陽電池システムからの送電により、ファンを駆動させて行なう。冷却管の内壁に結露した水滴は、その内壁をつたわって送水管を経て貯水タンクに溜まる。貯水タンクに溜まった水は、ポンプ又は手で汲み出す。
【0011】
【発明の実施の形態】1は吸気管で、吸気口2を上端に有して、下端部を地中に埋設されて地面から設されている。3は加熱管で、前端(図1では左端)は吸気管の下端と連続して吸気管と連通し、地中に地面とほぼ平行に埋設されている。4は吸気管と連通する冷却管で、下端は加熱管の後端(図1では右端)に連続し、下端から立ち上がって地面から設されている。5は排気口である。なお、吸気管1は、取り込んで空気を加熱管3に送りやすいように斜めに立設されて、吸気管と加熱管とで形成される角度を鈍角にしている。又、吸気管、冷却管は、図示しない支持部材で支持しておく。
【0012】図示例では、各管1、3、4は、内径約17.5cmで、吸気管1、加熱管3は砲金などの銅合金、アルミ合金、ステンレス等の熱伝導率が高い、腐食しない材質を用いる。又、冷却管4は、プラスチック、ガラス繊維など、腐食しない材質で形成する。これらの各管は、それぞれ適宜分割したものを管継手などを利用して連結して形成するとよい。それぞれ地面からの高さは、吸気口2は地面に近い約1m、排気口5は約4mである。又、地中の熱による加熱時間を長くするため、加熱管3の長さは約20mである。図示しないが加熱管は蛇行させるとよく、約30〜50cmの深さに埋められる。同様に、夜間の気温の低下による冷却時間を長くするため、冷却管4は、蛇行させるか、つる巻きバネ状に形成する。
【0013】6は冷却管4に連通する送水管で、冷却管の立ち上がりの始端である下端に接続されて、地中に埋設された貯水タンク7に連通する。8は取水管で、貯水タンク内の水Wを、図示しない取水管に接続したポンプにより取り出すか、貯水タンクに連通する井筒又は井桁状の枠を埋め込み、この枠を通して汲み出す。
【0014】9はファンで、吸気口2から空気を取り入れ、吸気管1、加熱管3、冷却管4へ順次空気を送り、排気口5から排出させるものである。従って、吸気管の基部付近、加熱管の適宜個所、冷却管の基部と排気口付近など、各管1、3、4の内部に図示しない支持部材を介して配設される。ファンの設置個所、その数は、各筒1、3、4の形状、内径の大きさ等によって任意である。
【0015】10は地面に設置された電源である太陽電池システムで、太陽電池、インバータ、バッテリからなり、前記各ファン9に電気を送り、ファンを駆動する。この太陽電池システムには、図示しない温度センサを設けて、外気温度が設定値に低下するとファンに送電させ、設定値以上に上昇すると送電を止めさせるようにするとよい。勿論、ファンへの送電、送電停止を手動にすることもできる。電源には、ディーゼルエンジン或いはガソリンエンジンで駆動される発電機、バッテリの組み合わせを利用することも可能である。さらに、太陽熱、風、地熱等の自然エネルギを利用して、吸気管から空気を吸入し、加熱管を経て、冷却管から排気させることも可能である。
【0016】なお、吸気管1の吸気口2、冷却管4の排気口5には、砂、虫などの異物の侵入を防ぐため、フィルタを取付けておき、さらに、吸気口、排気口、取水管の取水口をファン9と連動して、又は手動で開閉する蓋を取付けておくのが好ましい。
【0017】
【発明の効果】構造が簡単なため僅かな費用で設置できるうえ、太陽エネルギを利用するとランニングコストが少なくてすむ。
【出願人】 【識別番号】593197101
【氏名又は名称】末金 利夫
【出願日】 平成12年3月13日(2000.3.13)
【代理人】 【識別番号】100080643
【弁理士】
【氏名又は名称】山上 正晴
【公開番号】 特開2001−254402(P2001−254402A)
【公開日】 平成13年9月21日(2001.9.21)
【出願番号】 特願2000−115919(P2000−115919)