| 【発明の名称】 |
コンクリート製貯水槽における内面処理方法およびコンクリート製貯水槽 |
| 【発明者】 |
【氏名】磯村 栄悟
【氏名】今井 光男
|
| 【要約】 |
【課題】本発明は、剥離やひび割れの発生を防止し、これによって貯水槽の防水機能を長期にわたって維持するとともに、貯蔵する水の汚染を防止する。
【解決手段】コンクリート製貯水槽の内表面に粗面加工を施した後に、その凹部14に珪藻土を主成分とする目地埋め材15を充填し、ついで、前記コンクリート製貯水槽の内面に、珪藻土を主成分とする下地材16を塗布することにより、前記コンクリート製貯水槽の内面を平滑化し、ついで、前記下地材の表面に、珪藻土を主成分とする仕上げ材17を少なくとも一層以上積層する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンクリート製貯水槽の内表面に粗面加工を施した後に、その凹部に珪藻土を主成分とする目地埋め材を充填し、ついで、前記コンクリート製貯水槽の内面に、珪藻土を主成分とする下地材を塗布することにより、前記コンクリート製貯水槽の内面を平滑化し、ついで、前記下地材の表面に、珪藻土を主成分とする仕上げ材を少なくとも一層以上積層することを特徴とするコンクリート製貯水槽における内面処理方法。 【請求項2】 複数の貯水室が隔壁によって画成され、これらの貯水室が、前記隔壁に埋め込まれた通気管あるいは連通管によって相互に連通させられてなるコンクリート製貯水槽における内面処理方法であって、前記コンクリート製貯水槽の内表面に粗面加工を施すとともに、前記隔壁の、前記通気管あるいは連通管の端部まわりを切り欠いて周溝を形成した後に、前記粗面加工によって形成された凹部、および、周溝に珪藻土を主成分とする目地埋め材を充填し、ついで、前記内面に、珪藻土を主成分とする下地材を塗布することにより、前記コンクリート製貯水槽の内面を平滑化し、ついで、前記下地材の表面に、珪藻土を主成分とする仕上げ材を少なくとも一層以上積層することを特徴とするコンクリート製貯水槽における内面処理方法。 【請求項3】 請求項1または請求項2において、下層側に位置する目地埋め材や下地材あるいは仕上げ材が半固化状態となった時点で、上層の下地材や仕上げ材を積層することを特徴とするコンクリート製貯水槽における内面処理方法。 【請求項4】 請求項1または請求項2において、目地埋め材や下地材あるいは仕上げ材を施工するのに先立って、カチオン系シーラーを塗布することを特徴とするコンクリート製貯水槽における内面処理方法。 【請求項5】 請求項1ないし請求項4の何れかにおいて、前記目地埋め材や下地材、あるいは、仕上げ材を塗布した後に、これらを所定の圧力で加圧することを特徴とするコンクリート製貯水槽における内面処理方法。 【請求項6】 請求項1ないし請求項5の何れかに記載の内面処理方法によって内面処理がなされていることを特徴とするコンクリート製貯水槽。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート製貯水槽における内面処理方法およびコンクリート製貯水槽に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、蓄熱等を目的として、コンクリート構造物に貯水槽を設けることが行われており、その一構造例として、図7に示す構造が知られている。この貯水槽は、隔壁1によって分割された複数の貯水室2からなり、これらの貯水室2は、前記隔壁1の上部に埋設された通気管3によって、上部の空間部が連通させられているとともに、前記隔壁1の下部に埋設された連通管4によって蓄えられた水Wが相互に連続させられている。また、貯水槽の天井部分には、マンホール5が形成され、蓋体6によって閉塞されている。 【0003】ところで、このようなコンクリート製の貯水槽にあっては、コンクリート自体が水透過性であることから、蓄えられた水が、外部へ漏れる現象が生じる。また、蓄熱層として使用する場合にあっては、水に蓄えられた熱がコンクリート壁を介して外部へ放出されることも想定される。 【0004】このために従来では、図7に示すように、貯水槽の内面にアスファルトからなる防水層7を形成し、その表面をモルタルからなる保護層8によって被覆する表面処理を施している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の表面処理方法にあっても、つぎのような改善すべき問題点が残されている。すなわち、前述した表面処理を施す際に、前記防水層7や保護層8の固化時に、これらに収縮が生じ、これに起因してひび割れ等が発生するといった不具合である。そして、このような不具合が発生すると、水Wが前記ひびから浸入して、防水層7と保護層8との境界面、あるいは、防水層7とコンクリート壁との境界面に浸入し、これらの防水層7や保護層8が剥離してしまうことが想定される。また、長期の使用により、保護層8や防水層7が水中に溶け込んでしまい、水Wを汚染してしまうことも考えられる。 【0006】本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、剥離やひび割れの発生を防止し、これによって貯水槽の防水機能を長期にわたって維持するとともに、貯蔵する水の汚染を防止することのできるコンクリート製貯水槽における内面処理方法およびコンクリート製貯水槽を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載のコンクリート製貯水槽における内面処理方法は、前述した目的を達成するために、コンクリート製貯水槽の内表面に粗面加工を施した後に、その凹部に珪藻土を主成分とする目地埋め材を充填し、ついで、前記コンクリート製貯水槽の内面に、珪藻土を主成分とする下地材を塗布することにより、前記コンクリート製貯水槽の内面を平滑化し、ついで、前記下地材の表面に、珪藻土を主成分とする仕上げ材を少なくとも一層以上積層することを特徴とする。本発明の請求項2に記載のコンクリート製貯水槽における内面処理方法は、複数の貯水室が隔壁によって画成され、これらの貯水室が、前記隔壁に埋め込まれた通気管あるいは連通管によって相互に連通させられてなるコンクリート製貯水槽における内面処理方法であって、前記コンクリート製貯水槽の内表面に粗面加工を施すとともに、前記隔壁の、前記通気管あるいは連通管の端部まわりを切り欠いて周溝を形成した後に、前記粗面加工によって形成された凹部、および、周溝に珪藻土を主成分とする目地埋め材を充填し、ついで、前記内面に、珪藻土を主成分とする下地材を塗布することにより、前記コンクリート製貯水槽の内面を平滑化し、ついで、前記下地材の表面に、珪藻土を主成分とする仕上げ材を少なくとも一層以上積層することを特徴とする。本発明の請求項3に記載のコンクリート製貯水槽における内面処理方法は、請求項1または請求項2において、下層側に位置する目地埋め材や下地材あるいは仕上げ材が半固化状態となった時点で、上層の下地材や仕上げ材を積層することを特徴とする。本発明の請求項4に記載のコンクリート製貯水槽における内面処理方法は、請求項1または請求項2において、目地埋め材や下地材あるいは仕上げ材を施工するのに先立って、カチオン系シーラーを塗布することを特徴とする。本発明の請求項5に記載のコンクリート製貯水槽における内面処理方法は、請求項1ないし請求項4の何れかにおいて、前記目地埋め材や下地材、あるいは、仕上げ材を施工した後に、これらを所定の圧力で加圧することを特徴とする。本発明の請求項6に記載のコンクリート製貯水槽は、請求項1ないし請求項5の何れかに記載の内面処理方法によって内面処理がなされていることを特徴とする。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図4に基づき説明する。本実施形態に係るコンクリート製貯水槽における内面処理方法は、図1に示すように、コンクリート製貯水槽の内表面(天井10、側壁11、床12、および、本実施形態においては隔壁13を含む)に粗面加工を施した後に、この粗面加工によって形成された凹部14に、珪藻土を主成分とする目地埋め材15を充填し、ついで、前記コンクリート製貯水槽の内面に、図3に示すように、珪藻土を主成分とする下地材16を塗布することにより、前記コンクリート製貯水槽の内面を平滑化し、ついで、前記下地材16の表面に、図4に示すように、珪藻土を主成分とする仕上げ材17を塗布するものである。そして、本実施形態においては、前記天井10、側壁11、床12、および、隔壁13によって貯水室18が形成されている。 【0009】このような本実施形態に係わる処理方法によると、下地材16が、前記凹部14に充填された目地埋め材15を介して、前記天井10、側壁11、床12、および、隔壁13へ食い込むように固着される。すなわち、前記目地埋め材15がアンカーの役目を果たすことにより、前記下地材16および仕上げ材17が、前記前記天井10、側壁11、床12、および、隔壁13へ強固に固定される。 【0010】一方、本実施形態においては、側壁11に塗布される下地材16は、その上部において、図3および図4に示すように、天井10側へ延長して塗布され、また、その下部において、床12側へ延長して塗布されている。また、図4に示すように、前記側壁11に塗布される仕上げ材17と、天井10に塗布される仕上げ材17との突き合わせ部、および、床12に塗布される仕上げ材17との突き合わせ部は、下層に位置する下地材16のそれぞれの突き合わせ部に対し、面方向にずらしてある。さらに、各側壁11のコーナー部、各側壁11と天井10および床12との各コーナー部には、珪藻土を主成分とした断面三角形状のコーナー材25が一体に積層されている。 【0011】このようにして施工された前記下地材16および仕上げ材17は、珪藻土を主成分としていることから、多孔質体を形成し、高い保水性を有している。したがって、貯水室18内に水Wが蓄えられると、この水Wの一部が、前記下地材16や仕上げ材17によって吸収される。そして、このような仕上げ材17や下地材16による水Wの吸収作用は、前記下地材16や仕上げ材17の含水率が100%に達するまで継続して行われ、含水率が100%に至るとその吸水機能が停止し、これによって、前記天井10、側壁11、床12、および、隔壁13に防水機能が与えられる。 【0012】一方、水Wが、下地材16と天井10、側壁11、床12、および、隔壁13との境界面に至った場合にあっても、前記水Wが、下地材16によって保持されることから、前記境界面に沿って前記水Wが移動することが防止される。これによって、前記下地材16が、前記天井10、側壁11、床12、および、隔壁13との境界面において剥離するようなことはなく、前述したように、目地埋め材15のアンカー機能と相俟って、前記下地材16および仕上げ材17の剥がれが防止される。 【0013】さらに、前記目地埋め材15、下地材16および仕上げ材17は、固化時や温度変化時の体積変化が極めて小さいことから、これらにひび割れ等が発生することが少なく、仮にひび割れが生じてその隙間に水が浸入したとしても、浸入した水Wが、下地材16や仕上げ材17の、隙間のまわりの孔に吸収されて、前述した境界面への浸入が防止される。したがって、下地材16および仕上げ材17にひび割れが生じたとしても、その防水機能が十分に確保される。 【0014】また、下地材16や仕上げ材17を形成する珪藻土自体の熱伝導率が小さく、かつ、下地材16や仕上げ材17が多孔質体であることから、断熱効果が高められ、蓄熱層として使用する場合に好適であり、また、前述したように下地材16や仕上げ材17が多孔質体であることにより、防音効果も期待できる。さらに、下地材16や仕上げ材17が不燃性であることから耐火機能も確保することができる。そして、内面処理に用いられる材料の殆どが無機質材料である珪藻土であり、これによって、貯留されている水Wが汚染されるようなこともない。 【0015】一方、本実施形態においては、図1に示すように、前記貯水室18が、前記隔壁13を挟んで複数設けられており、前記隔壁13の上部に埋設された通気管19と、下部に埋設された連通管20とによって相互に連通させられ、また、一つの貯水室18の天井10には、蓋体21によって閉塞されたマンホール22が形成されている。 【0016】そして、前記マンホール22の内壁面には、天井10に積層された下地材16および仕上げ材17が延長されて、この内壁面に防水機能が与えられている。 【0017】また、前記隔壁13の、前記通気管19や連通管20の端部を取り巻く位置において、図2に示すように、前記連通管19や連通管20の端部を取り囲むように切り欠いて周溝23を形成し、この周溝23に前述した目地埋め材15を充填した後に、下地材16や仕上げ材17を順次塗布することにより、これらの通気管19や連通管20の端部と隔壁13との間の防水機能を確保することができる。このような通気管19や連通管20の端部における処理に際して、前述したように、前記目地埋め材15の固化時の収縮が殆どないことから、通気管19や連通管20の端部と隔壁13との間に隙間が生じることはない。 【0018】一方、前記仕上げ材17を塗布する際に、下層側に位置する下地材16が半固化状態となった時点で、前記仕上げ材17を塗布することにより、仕上げ材17の固化後における物理特性を確保することができる。すなわち、前記下地材16および仕上げ材17は、固化後における吸水性が極めて高いことから、下地材16が完全に固化した後に仕上げ材17を塗布すると、仕上げ材17中の水分が下地材16に吸収されて固化速度が速くなり、仕上げ材17の目標とする固化強度が得られなくなることが想定されるため、前述したように、下地材16が半固化状態まで固化した状態で仕上げ材17を塗布することによって、仕上げ材17からの水分の蒸発速度を許容範囲内に調整して、仕上げ材17の固化後における物理特性を確保するものである。 【0019】また、前述したように、仕上げ材17の物理特性を確保する他の手段として、前記下地材16が固化した後に、図5に示すように、前記下地材16の表面に、カチオン系シーラー24を塗布して、このカチオン系シーラー24上に前記仕上げ材17を塗布し、前記カチオン系シーラー24によって、前記仕上げ材17から下地材16へ吸収される水分量を調整する方法もある。そして、このカチオン系シーラー24は、前記目地埋め材15を充填する際に、前記凹部14の内面に塗布することにより、また、下地材16を塗布する際に、前記地下壁10の内面に塗布することよって、地下壁10による水分の吸収を調整して、前記目地埋め材15や仕上げ材13からの水分の蒸発速度を許容範囲内として、これらの目地埋め材15や仕上げ材13の固化後の物理特性を確保することもできる。また、図6に示すように、カチオン系シーラー24と仕上げ材17を多層に設けて、防水機能を高めることも可能である。 【0020】さらに、前記目地埋め材15や下地材16、あるいは、仕上げ材17を塗布する際に、これらを塗布した後に、所定の圧力で加圧することにより、これらの密度を高めるとともに、内部に形成される孔を細かくして、その保水性能を高め、これによって、防水機能を高めることも可能である。 【0021】そして、前記下地材16や仕上げ材17を形成する珪藻土は、その比重が1に近く、従来のモルタルの約半分の比重であることから、構造物の躯体への荷重を軽減することができ、また、処理に用いる材料が無機材料であり、構造物を取り壊す際の産業廃棄物中への環境汚染物質の混入量を軽減することができる。 【0022】なお、前述した実施例において、貯水槽を形成するコンクリートの表面に粗面加工を施す手段として、治具を用いて強制的に凹部14を形成する手段のほかに、つぎのような手段が採られる。すなわち、貯水槽を施工する際に、型枠等を用いるが、このような型枠を用いた施工方法においては、型枠の表面は平滑でなく、したがって、コンクリートを打設して固化させた後において、その表面が粗く凹凸面となされていることから、この凹凸面をそのまま利用してアンカー機能を得ることも可能である。 【0023】さらに、仕上げ材17を積層する手段としては、前述した実施形態のように仕上げ材17を塗布する方法に代えて、図8および図9に示すように、珪藻土を矩形状に圧密成形することにより、あるいは、圧密成形後に焼成することにより、矩形状の仕上げ材30を形成し、この仕上げ材30を下地材16あるいはカチオン系シーラー24の表面に所定間隔をおいて貼付するとともに、これらの仕上げ材30の隙間に、たとえば、珪藻土からなる目地埋め材31を充填することも可能である。このような構成とすることにより、仕上げ材30の厚みを容易に厚くすることが可能となり、前述した防水機能や吸湿機能を容易に高めることができる。 【0024】 【発明の効果】本発明は以上のように構成されているので、目地埋め材によるアンカー機能によって下地材および仕上げ材を、貯水槽の内面に強固に固着することができる。また、前記下地材および仕上げ材によって貯水槽の内面に多孔質層を形成し、その吸水性により防水機能を確保するとともに、下地材と貯水槽との境界面への水の浸入を防止し、前述した目地埋め材によるアンカー機能と相俟って下地材や仕上げ材の剥離を確実に防止することができる。そして、処理材が無機質であることから貯留する水を汚染することがない。また、半固化状態にある下地材上に仕上げ材を塗布することにより、仕上げ材の時間あたりの水分蒸発量を適正に保持して、仕上げ材の物理特性を目標値とすることができる。また、凹部の内面や下地材の表面にカチオン系シーラーを塗布することにより、目地埋め材や下地材あるいは仕上げ材からの水分蒸発速度を許容範囲内に調整して、これらの物理特性を確保することができる。さらに、目地埋め材や下地材あるいは仕上げ材をそれぞれ塗布する際に、これらを所定圧力で加圧することにより、それぞれの内部に形成される孔を緻密にし、これによって吸水性や保水性を高めて防水機能や防音機能等を高めることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】300015399 【氏名又は名称】磯村 栄悟 【識別番号】500045051 【氏名又は名称】今井 光男
|
| 【出願日】 |
平成12年2月21日(2000.2.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097113 【弁理士】 【氏名又は名称】堀 城之
|
| 【公開番号】 |
特開2001−227009(P2001−227009A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月24日(2001.8.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−42206(P2000−42206) |
|