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【発明の名称】 水道用給液装置
【発明者】 【氏名】佐藤 幸一

【氏名】酒井 孝寿

【要約】 【課題】配水管への影響がなく、高置水槽内の水が濁水となることがなく、衛生的な給水を可能にする。

【解決手段】高置水槽12に給水する水道用給液装置で、水道本管1に逆止弁9を介して直結給水用の配管2を接続し、高置水槽12に送水する送水管を接続し、配管2に接続されこの配管2を通して水道本管1の水を吸い込み前記送水管側に吐き出すポンプ8を設けると共に、水圧を検出する圧力検出手段3と、高置水槽12内の水位を検出する水位検出手段14とを設け、ポンプ8を駆動する電動機の速度制御を行うインバータが、圧力検出手段3の検出圧力と水位検出手段14の検出水位に応じた制御を行い、ポンプの可変速駆動を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】上部が大気に開放された高置水槽に給水する水道用給液装置において、水道本管に接続される分岐管と、前記高置水槽に送水する送水管と、前記分岐管に接続され該分岐管を通して前記水道本管の水を吸い込み前記送水管側に吐き出すポンプと、前記ポンプを駆動する電動機と、該電動機を速度制御するインバータと、高置水槽内の水位を定期的に予め定めた低水位まで低下させる制御手段とを備えることを特徴とする水道用給液装置。
【請求項2】前記低水位は下限水位LWLとして定められた水位より若干高い低水位に定められ、計時手段により定期的に運転されることを特徴とする請求項1記載の水道用給液装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水道用給液装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水道用給液装置(給水ポンプ)は、逆流による水の汚染防止や、ウオータハンマーの影響による量水計(水道メータ)の誤計測防止の観点から、水道本管に直結して使用されることが規制されていた。このため、水道本管であるの配水管から分岐して一旦受水槽に注入し、この水を給水ポンプにより揚水してビル(又はアパート,マンション等)の屋上に設置された水槽(以下、高置水槽と略す。)に貯水し、そして落差を利用し各需要家に送水しているのが現状である。
【0003】この例を図1により説明すると次の通りとなる。配水管1から分岐管2,量水計3,ボールタップ4を介して受水槽5に一旦注入する。受水槽5に貯水された水を給水ポンプ8により揚水し、建物18の屋上に設置してある高置水槽12に貯水する。この貯水した水を、落差を利用して、各戸メータ17を介して需要家の水栓16に給水する。この際、給水ポンプ8は高置水槽12に設置してある液面リレー14が、同水槽の下限水位LWLを検知した時に始動し、上限水位HWLを検知すると停止する。なお、6、11は送水管、7、10は仕切弁、9は逆止弁、13はボールタップである。
【0004】最近、水道の配水管の圧力を利用するとともに不衛生な受水槽を排除するために、給水装置を同本管に直結して給水する検討が始められている。この装置は図1に於いて、排除した受水槽の代わりに点線配管19により給水装置に直結し、受水槽5を省略するものである。又、この給水装置は次の点で可変周波数電源としてのインバータを用いた給水装置が有効であると考えられている。
(1)インバータにはソフトスタート,ソフトストップの機能を有しており、始動,停止時の配水管側の圧力変動を押えることができ、配水管1側への影響を防止できる。
(2)水道配水管1の圧力が低下したら、インバータによりポンプ運転速度を下げて需要家への給水調整ができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】高置水槽式の給水装置を水道の配水管に直結して使用すると次の問題点がある。
(1)ポンプは常に一定の運転点Q(ポンプ性能曲線Aと管路抵抗曲線Fとの交点;図3参照)で数時間運転されるため、この間に大水量が消費される。従って、このシステムが普及し配水管に給水装置が多数直結されると、配水管圧力が低下する虞がある。又、ポンプは使用量大の状態で停止するため配水管圧力が上昇する。
【0006】(2)計画最大水量Q0(図3参照)以上の水量が消費される虞があり、この場合には配水管圧力が計画値より低下する。
(3)従来の高置水槽式給水装置の給水ポンプは定速運転であり、このポンプは水槽水位が下限水位LWLの時に始動し、上限水位HWLの時に停止する。この間の落差が大きいため、落下水によって、底に溜まっている異物が巻上げられ、給水が濁る。
(4)高置水槽は一般に余裕を大きく取ってあるため、水の停溜時間が長く、不衛生となる。
【0007】本発明の目的は、配水管への影響がなく、高置水槽内の水が濁水となることがなく、衛生的な給水を可能にする水道用給液装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、高置水槽に給水する水道用給液装置において、水道本管に逆止弁を介して接続される直結給水用の配管と、前記高置水槽に送水する送水管と、前記配管に接続され該配管を通して前記水道本管の水を吸い込み前記送水管側に吐き出すポンプと、水圧を検出する圧力検出手段と、前記高置水槽内の水位を検出する水位検出手段と、前記ポンプを駆動する電動機と、該電動機を速度制御するインバータと、該インバータに前記圧力検出手段の検出圧力および前記水位検出手段の検出水位に応じた指令を出力する制御手段とを備えることで、達成される。
【0009】上記目的はまた、高置水槽に給水する水道用給液装置において、水道本管に接続される直結給水用の配管と、前記高置水槽に送水する送水管と、前記配管に接続され該配管を通して前記水道本管の水を吸い込み前記送水管側に吐き出すポンプと、該ポンプの吐出側と前記送水管との間に設けられた逆止弁と、水圧を検出する圧力検出手段と、前記高置水槽内の水位を検出する水位検出手段と、前記ポンプを駆動する電動機と、該電動機を速度制御するインバータと、該インバータに前記圧力検出手段の検出圧力および前記水位検出手段の検出水位に応じた指令を出力する制御手段とを備えることでも、達成される。
【0010】上記目的はまた、高置水槽に給水する水道用給液装置において、水道本管に第1の逆止弁を介して接続される直結給水用の配管と、前記高置水槽に送水する送水管と、前記配管に接続され該配管を通して前記水道本管の水を吸い込み前記送水管側に吐き出すポンプと、該ポンプの吐出側と前記送水管との間に設けられた第2の逆止弁と、水圧を検出する圧力検出手段と、前記高置水槽内の水位を検出する水位検出手段と、前記ポンプの駆動する電動機と、該電動機を速度制御するインバータと、該インバータに前記圧力検出手段の検出圧力および前記水位検出手段の検出水位に応じた指令を出力する制御手段とを備えることでも、達成される。
【0011】
【作用】ポンプは水道本管である配水管に直結され、本管圧力の不足分を加圧して、ビル等の高所に設置されている高置水槽に給水する。水位検出手段は、高置水槽内の水位が、下限水位,上限水位,低水位運転水位のいずれにあるかを検出し水位信号を発する。圧力検出手段は、検出したの圧力に応じた圧力信号を発する。
【0012】水位信号と圧力信号に基づき、制御手段は、インバータはポンプの速度を制御する。これにより、ポンプを下限水位で始動させ、上限水位で停止させ、あるいは圧力の立上り,立下り特性を図5に例示するように制御できる。また、ポンプを停止させるか減速運転し、高置水槽内水位をLWLまで下げ、揚水量と需要水量とがこの水位付近で見合うようこの間でLWL一定制御を行うことができる。更に、減速運転に入った場合、ポンプ吐出し圧力が予め設定してある最低保証圧力HC以下に低下させないよう速度制御したり、増速運転に入った場合は、ポンプ吐出し圧力が予め設定してある全揚程HTを越えないように速度制御することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図2は本発明の一実施例に係る給水設備に構成図であり、基本的には、図1に示した受水槽5を削除した構成である。なお、図1で説明した機器と同じ機器には同一符号を付け説明は省略する。20は内部に空気溜まりを有する圧力変動吸収用の圧力タンク、21はポンプ吐出し側圧力を検出する圧力センサ、22は需要側からの汚染を防止する逆流防止弁、14は高置水槽12に装備され高置水槽12内の水位を検出する水位検出手段であり、たとえば下限水位LWLと、上限水位HWLと、LWLより若干高い低水位での運転を行うための水位LLを検出する。なお、6,11は送水管、7,10は仕切弁、9は逆止弁、13はボールタップである。
【0014】図4は図2に示すポンプ性能曲線図であり、縦軸に全揚程Hをとり、横軸に水量Qをとってある。同図に於いて、Fは管路抵抗曲線であり、給水系統により固有の値を示す。また、Q0は計画最大給水量(瞬時最大水量)、HTは全揚程である。一般には100%N時(曲線A)、このQ0,HTを満足するようにポンプを選定する。しかし汎用されるポンプは大量生産されるため、必らずしもQ0とHTが一致しない。これに対して曲線Bは計画最大水量Q0のとき全揚程HTとなる特性を満足するポンプ運転速度がNBの時のQ−H性能である。曲線Dは任意の水量QD、揚程HDを満足する運転速度がNDの時のQ−H性能である。同様に曲線Cは水量が0の時に最低保証圧力HCを満足する運転速度NCの時のQ−H性能である。尚、図4は、吸込側圧力を最小値で示してあるので、この圧力が変化すると前述した運転速度NB,ND,NCは変わるのは明らかである。これに対し、従来は図3に示すよう、ポンプは常に一定の運転点Qで運転される。
【0015】図5は始動,停止時の立上げ,立下げ特性図を示したもので、横軸に時間、縦軸に速度、圧力を概念的に示す。また破線は従来の定速ポンプの例である。
【0016】図2に示す水位検出手段の具体的実施例を図6,図7に示す。図6はフロート式水位検出器の例、図7は電極棒E1〜E4を使った水位検出器の例である。これらの水位検出器は公知であるので説明は省略する。
【0017】図8は本発明の一例に係る制御回路の構成図である。30は商用電源、31は配線用しゃ断器、32はヒューズ、R及びSは制御電源、33はインバータ、34はインバータに加減速時間などの制御定数を設定するコンソール、35はポンプを駆動するインダクションモートル、36は入、切操作用のスイッチ、37はコントロールユニットCU用の電源用トランス、38はインバータ運転指令用のリレーでありこれの接点X9が閉じるとインバータは始動し開くと停止する。39は前記リレー38を駆動するためのインターフェース回路、40はCUの安定化電源、41はCPUからの指令によりインバータの速度Nを指令するためのインターフェース回路(デジタル/アナログ変換器D/Aで構成される。)、42はメモリ(ROM,RAMで構成される)、43は演算ユニットCPU、44〜48は入力用インターフェース回路、49は定数HT,HC,LWL,HWL,LLなどを設定するデジタルスイッチ、50は同様に最高速度NB,時間t1',t2,t3,t4'などを設定するディジタルスイッチ、51は水位検出手段の液面リレーの例、52は同じく水位センサ、53は圧力センサ、54は計時手段である。
【0018】計時手段54はΔt(例えば10msec)の割込みタイマと図14に示すタイムチャートのタイマーで構成してある。図9〜図13は制御手順を示すフローチャートであり、予めプログラムとして、前述したメモリ42に記述してある。
【0019】次に、上述した構成の給水設備の動作について説明する。配線用しゃ断器31を投入し、スイッチ36を閉じると制御電源が確立し、コントローラCUは図9で示すステップ900の初期設定までの処理を実行する。即ち、ここで、CPUのレジスタ、インターフェース回路44〜48、割込レジスターメモリ等の初期値の設定を行い、さらに、ディジタルスイッチ49,50から各設定値HT(計画最大水量Q0に対応した全揚程),HC(水量0時保証揚程),LWL(下限水位),LL(低水位運転開始水位)HWL(上限水位),NB(最高速度),図5に示すタイムコンスタントt1',t2,t3,t4'を読み込みそれぞれの値をメモリ42のRAMに書込み記憶しておく。またメモリTROを00Hに設定しておく(TROは低水位運転するかどうかのデータを入れておく)。
【0020】次に、ステップ901で割込処理に必要な時間のソフトタイマΔt1を実行する。この処理中に最初の割込み処理(図12,図13)を実行する。先ずステップ110を実行して圧力センサ53の検出した圧力(ポンプ吐出し圧力)をインターフェース回路47より読込み、メモリ42のRAMに格納する。同様にして次のステップ111で高置水槽14の水位を水位検出手段51又は52の信号をインターフェース46,47を介して読込みメモリ42のRAMに格納する。水位検出手段として一般には液面リレー51がよく用いられ、きめ細い連続的な制御を行う際には水位センサを用いる。
【0021】次に、割込処理のステップ120を実行する。ここで、T2がONか判定し、ONであれば、ステップ121へ進みTROの値を0FFHに設定し、T2がONでなければTROの値をステップ122で00Hに設定して、このループから抜け、ステップ902へもどる。尚、このTROの設定は、計時手段43のT1周期毎に発生するT2パルス毎に行う。また、この割込処理(図12,図13)は、ステップ902以降のメーンルーチンを実行中でも、計時手段のアクセスによりΔT時間毎に実行されるものである。
【0022】ステップ902へ戻ると、ここで、TROのデータが00Hか否か判定され、00Hであればステップ903へ進み、これ以降の処理が実行される。ステップ903では高置水槽の水位がLWLか判定し、このレベルになければこれに達するまでステップ902〜903を実行し、達している場合には次のステップ904,905で、リレー38のON信号を出力してインバータを駆動し、速度指令信号として最低速度NCの信号を出力する。また、インバータはコンソール34により図5に示すように加速時間(t1'−t1)と減速時間(t4−t4')が予め設定されている。これにより、インバータ33及びポンプモートル35は加速時間(t1'−t1)でソフトスタートにより運転を始める。
【0023】ステップ906では初期設定時にメモリ42に格納したNB,NC,t2,t1'を読出し、(NB−NC)=N,(t2−t1')/N=Δt2を求める。ステップ907では、圧力センサ53の検出したポンプ吐出し圧力がHTを越えたか否かを判定し、越えている場合には増速せずにステップ911へジャンプし、計画最大水量以上の水が流れないよう抑制する。越えていない場合にはステップ908に進み、現状の速度より1Hz(制御上1bitとしても良い)だけ増速し、ステップ909で前記求めたΔt2だけの待ち時間を実行し、ステップ910でNだけ増速が終了したか否かを判定し、増速が終了するまでステップ907以降の処理を実行する。
【0024】Nだけの増速が終了し最高速度に到達したら、ステップ911へ進む。ところで、この状態では、図4,図5に於いて、ポンプは速度Ncの状態で運転を始め、徐々に増速して昇圧し、時刻t1'から時刻t2までに速度NB,揚程HTに到達している。ステップ911では水槽水位がレベルHWLに達したか否か判定し、達していない場合には、このレベルHWLに達するまでステップ912〜911を実行する。レベルHWLに達したら、図10のステップ913へ進み、ここでNB−NC=N'(t4'−t4)/N'=Δt3を求め、ステップ914へ進む。
【0025】ステップ914ではポンプ吐出側圧力がHC以下に到達していないかを判定し、到達している場合に減速せずにステップ919へジャンプし、HC以上の場合にはステップ915で現状の速度より1Hz(制御上1bitとしても良い)だけ減速し、ステップ916で前記求めたΔt3だけの待時間処理を実行し、ステップ917では減速がN'だけ変化するか判定し、N'減速するまでステップ914以降の処理を実行する。そしてステップ919では、リレー38をOFFし、速度指令データを‘0’とする信号を出力して、インバータ33及びポンプ8を停止させる。この時、減速時間は(t4−t4')であり、ソフトストップとなる。
【0026】尚、この状態を、図4,図5を用いて説明すると、NB,HTの状態から徐々に減速,減圧を始め、時刻t3から時刻t4'までの時間でNC,HCに到達した後停止する。この後、図9のステップ902へ戻り、これ以降の処理を繰返し実行する。
【0027】ステップ902で判定した結果、TROが0FFHの場合はステップ923へジャンプし、低水位状態でのLWL一定運転制御を行う。即ち、ステップ923で高置水槽水位がLWLより上位か否かを判定し、上位でない場合はステップ926へジャンプし、上位にある場合にはステップ924へ進み、ここでステップ915と同様の減速処理を実行し、ステップ925で一定時間(例ば数秒)の待時間処理を実行し、再びステップ902へ戻る。ステップ926ではヒステリシスを設ける処理(LWLをLWL−ΔLとする処理、例えば、数分程度最低速度近くで運転するように決める処理)を実行し、ステップ927では水位が更新後のLWLより下位にあるか否かを判定する。下位にある場合はステップ928でステップ908と同様な増速処理を実行してステップ925へ進み、下位にない場合は変速せずにステップ925へ進む。
【0028】このようにして、ここではLWL一定制御を行う。また、図11では、図9のX部のLWL一定制御を水位センサではなく、液面リレーを用いた例を示したものである。ステップ929で水位がLLより上位であるか否かを判定し、ヒステリシス演算することなくステップ932で水位がLWLより下位か否か判定する。他は図9と同じであるから説明を省く。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果が得られる。
(1)始動時に水面が低いと、揚水した水が高置水槽内で落下する量が多くなり、高置水槽内で水が濁るという問題が生じていたが、本発明では図5に示すように揚水量を絞って徐々に立上げることができるため、濁り防止ができる。
(2)高置水槽方式の場合には、従来は、一定の運転状態で停止されると圧力上昇が生じていた。しかし、本発明では、図5に示すように、停止させる前に水量を絞って、停止させることができるため、圧力上昇が生じない。
(3)定期的に高置水槽の水位をLWL近くまでに下げた状態で運転を行うことができるので、停溜水がなく衛生的である。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成5年12月22日(1993.12.22)
【代理人】 【識別番号】100059269
【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
【公開番号】 特開2001−214477(P2001−214477A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−374690(P2000−374690)