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【発明の名称】 サドル分水栓の防蝕ボックス
【発明者】 【氏名】桶川 智也

【要約】 【課題】特別な工具も必要とせずサドル分水栓への取付作業が極めて簡単で、且つ、サドル分水栓の梱包用容器も兼ねる新規な防蝕装置を提供する。

【解決手段】サドル分水栓を収容可能な開閉ボックスであって、非導電素材からなるカバーおよびベースを密閉可能に設けると共に、水道本管の挿通口および分岐管の挿通口を開設する。また、水道本管および分岐管の挿通口には、これら管を気密・水密に保持するシーリングを設ける。さらに、ボックスの内部に当該内部形状がサドル分水栓の外形に応じた形状となるように凸部を設け、可及的にボックス内の残余空間を減らして、残留ガスによる腐食を回避すると共に、ボックス内におけるサドル分水栓の安定性を図る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】サドル分水栓を収容可能な開閉ボックスであって、非導電素材からなるカバーおよびベースを密閉可能に設けると共に、水道本管の挿通口および分岐管の挿通口を開設したことを特徴とするサドル分水栓の防蝕ボックス。
【請求項2】水道本管および分岐管の挿通口には、これら管を気密・水密に保持するシーリングを設けた請求項1記載のサドル分水栓の防蝕ボックス。
【請求項3】ベースとカバーの開閉部を、水道本管および分岐管の挿通口を二分するように形成した請求項1または2記載のサドル分水栓の防蝕ボックス。
【請求項4】ベースを略L字状に形成し、その立ち上がりの上辺を可及的に短くした請求項3記載のサドル分水栓の防蝕ボックス。
【請求項5】ボックスの内部に当該内部形状がサドル分水栓の外形に応じた形状となるように凸部を設けた請求項1から4のうち何れか一項記載のサドル分水栓の防蝕ボックス。
【請求項6】カバーの両側に持ち手用の凹陥部を設けた請求項1から5のうち何れか一項記載のサドル分水栓の防蝕ボックス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、サドル分水栓の金属部分を電気的あるいは化学的な腐食から保護する防蝕装置に係り、サドル分水栓の梱包用容器としても兼用できる防蝕ボックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】地中に埋設される水道本管から各家庭や工場等に分水するときには、枝管の分岐部にサドル分水栓を取り付けて行う。この分水栓の本体としては、鋳造が容易で腐食に比較的強い砲金製のものが広く利用されている。
【0003】ところが、砲金製本体がある程度の防蝕性を有するとしても、長期間使用すれば土中の水分によって錆が発生することは裂け難い。また、一般に本体は上述のように砲金からなるほか、サドルは鋳鉄、サドルの両端を締め付けるボルトおよびナットはステンレスからなるというように、サドル分水栓は全体として異種の金属部材を複数組み合わせたものであり、この結果、各部材間には電位差が生じるため、この電位差による金属イオンの放出によって腐食が促進されるという課題があった。
【0004】そこで、本出願人は上述した腐食から分水栓本体を保護する手段として、帯状のプラスチックフィルムによって分水栓全体を包覆するようにした防蝕カバー(実公昭61−24605号公報)や、砲金よりもさらにイオン化傾向が高い亜鉛などの金属をアノードとして、分水栓の袋ナットに取り付けることにより、分水栓本体が電気的に腐食することを防止する犠牲陽極取付装置(特願平10−225379号)を発案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の技術では次のような課題があった。即ち、防蝕カバーに係る前者手段では、分水栓本体への土中水分の接触を回避するために、本体のみならずサドル分水栓の全体をプラスチックフィルムで完全に包覆する必要があるが、サドル分水栓は複雑な形状であるため、これを完全に包覆することは実際上不可能であり、僅かでも隙間があれば土中の水分が侵入して錆が発生するという課題があった。
【0006】一方、後者手段にあっては、その取付けに際し固定金具を分水栓本体の袋ナットに嵌合し、当該固定金具の脚に緊縮リングをはめ込む必要があるが、水道本管が土中深くに埋設されている場合には現場での取付作業が困難であるという課題があった。
【0007】ところで、本出願人は次のような課題にも着目した。即ち、出荷時にサドル分水栓を梱包していた段ボール等の包装容器はゴミとして廃棄されるが、これ自体無駄である。そして、従来の包装容器がたとえ焼却処理等の廃棄が容易で、あるいは、リサイクル可能なものであったとしても、近時強く謳われている環境保全という観点からすれば、ゴミの排出は極力避けるべきである。この種サドル分水栓の出荷量が膨大なことからすれば、なおさらである。
【0008】そこで、本発明は上述した課題に基づき、先ず第一に特別な工具も必要とせず、取付作業が極めて簡単な防蝕構成とし、且つ、第二にサドル分水栓の梱包用容器も兼ねる新規な防蝕装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明では、ボックス型の防蝕装置を開発した。つまり、サドル分水栓を収容可能な開閉ボックスを、非導電素材からなるカバーおよびベースを密閉可能に設けて構成し、ボックスの側面に水道本管の挿通口と分岐管の挿通口を開設するという手段を用いた。この手段によれば、サドル分水栓を気密的・水密的に収容した状態で埋設することができる。なお、非導電素材とは電気の導電率が低いものをいい、絶縁体を含む概念である。
【0010】また、請求項2では水道本管および分岐管の挿通口には、これら管を気密・水密に保持するシーリングを設けるという手段を用いた。この手段によれば、シーリングにより水道本管および分岐管は挿通口に密着した状態に挿通されるため、ボックス内部の気密性、水密性が保持される。なお、シーリングは管の外面と気密・水密的に接合するものであれば、その形状や材質は問わない。具体的にはOリング状のパッキンの他、菊割り形状や簾形状のものが本発明のシーリングに該当する。
【0011】請求項3ではベースとカバーの開閉部を、水道本管および分岐管の挿通口を二分するように形成した。この手段によれば、サドル分水栓に水道本管および分岐管を接続したのちに防蝕ボックスの設置が可能となる。
【0012】請求項4ではベースを略L字状に形成し、その立ち上がりの上辺を可及的に短くするという手段を用いた。この手段によれば、カバーを開けたボックスを傾けて、ベースを水道本管の下側に設置する際、上辺の短い立ち上がりを水道本管の下側に容易に入れることができる。
【0013】さらに請求項5ではボックスの内部に当該内部形状がサドル分水栓の外形に応じた形状となるように凸部を設けるという手段を用いた。この手段によれば、凸部はサドル分水栓をガタつきなく収容するための位置決めとして機能する。また、凸部を設けた分だけボックスの容積が減少し、ボックス内の残留ガスが少なくなるため、残留ガスによるサドル分水栓の腐食を抑制することができる。なお、凸部の具体的構成としては板状のリブを複数枚設ける他、ボックスを凹陥形成して、この凹陥部を内部における凸部とするなどが該当する。
【0014】請求項6ではカバーの両側に持ち手用の凹陥部を設けるという手段を用いた。この手段によれば、凹陥部によってボックスの持ち運びが容易となる。また、凹陥部の分だけボックスの容積を減少させることは、上述した請求項5の場合と同じである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る防蝕ボックス1を示した斜視図である。防蝕ボックス1は、プラスチックにより上部構造のカバー2と下部構造のベース3とで構成される。カバー2とベース3はヒンジ4により開閉可能に連結されており、両者2・3をストッパー5により止め合わせることにより密閉可能としている。なお、防蝕ボックスの素材は成型性の面よりプラスチックが好ましいが、他の非導電度材であってもよく、公知素材より適宜選択するものとする。
【0016】防蝕ボックス1の正面および背面には、水道本管をサドル分水栓に接続するための第一挿通口6が対設されている。第一挿通口6は菊割り形状をなし、これに挿通する水道本管の外周面に密着するシーリング部を構成している。よって、水道本管を挿通した状態でも、ボックスは気密性および水密性を失わない。また、防蝕ボックス1のストッパー5を設けた側面には、分岐管を挿通するための第二挿通口7が開設されている。この第二挿通口7も上記第一挿通口6と同様に菊割り形状をなし、分岐管を接続した状態でボックスの内部を気密・水密に保持することができる。なお、シーリング部の構造は上記菊割り形状に限らず、管の外周に気密・水密的に接合するものであれば、この他、簾形状としてもよいし、また従来公知のパッキンを採用することも可能である。
【0017】ここでカバー2とベース3とは、その開閉部8が第一挿通口6および第二挿通口7を上下に二分割するように成型されている。この結果、ベース3は側面視で略L字状に成型される。
【0018】なお、図中、9はカバー2の正・背面を窪ませてなる凹陥部であり、主としてボックス1を持ち運ぶ際の持ち手として機能する。
【0019】続いて、防蝕ボックス1の内部構造を図2〜図4に従って説明する。先ず、ベース3には水道本管が載置可能な湾曲部9を形成したリブ10をフィン状に複数列設している(図2参照)。11はリブ10を横切って設けられたリブである。なお、これらリブ10・11は、サドル分水栓Sの下部サドルS1および締め付けボルトBと極力近接する高さに設定されている(図3参照)。
【0020】一方、カバ2ーの後方には略L字状のリブ12がフィン状に複数列設されている(図2参照)。このL字状リブ12は、サドル分水栓Sの切換え部S2および上部サドルS3の締め付けナットNと極力近接する高さに設定されている(図3参照)。さらに、このL字状リブ12には、段部を横切るリブ13と、リブ12の終端に位置するリブ14がボックス1の厚み方向に形成されている(図2参照)。
【0021】また、カバー2の前方にも凹陥部9の奥面15から延長して略L字状のリブ16がボックス1の正・背面に一対形成されている(図2参照)。
【0022】上述したリブの態様について言い換えれば、リブはサドル分水栓Sの形状に応じて形成され、収容したサドル分水栓Sのガタつきを抑制し、定位置に収容するための位置決めとして機能させることを目的としたものである。つまり、従来あった発泡スチロール等からなる梱包用コーナー保護材と似た作用を行う。この作用を行うために本実施形態では、リブを分水栓Sの前後左右から緩衝を避けつつも、極力分水栓Sと近接するように形成したのである。なお、成型上の問題がなければ、位置決めのためのリブは、本実施形態に限定されない。そして、これらリブがボックスの補強手段としても機能することはもちろんである。
【0023】上記構成の防蝕ボックスによれば、サドル分水栓Sを気密・水密的に収容できるため、土中水分や湿気を断ち防蝕効果に優れる。また、サドル分水栓Sに異種金属からなる分岐管を接続したとしても、その密閉性により初期の腐食がないため、電気分解が促進されることもない。さらに、本実施形態ではボックスの正・背面に凹陥部9を設け、ボックス1の空間を狭小とし、容積の減少を図っている。そして、容積を減少した分、ボックス1内の残留酸素を減らすことができるから、サドル分水栓Sの腐食を極限まで抑制することができる。
【0024】一方、カバー2とベース3の構造は、例えば防蝕ボックスを水平に上下二分割することも可能であるが、これに対して本実施形態の分割構造の利点は、ボックスの設置が容易なところにある。つまり、防蝕ボックスを設置するには、先ず水道本管の周囲をある程度掘削し、水道本管にサドル分水栓を取り付け、さらに分岐管を接続した後に行われるが、このときボックスが完全な水平二分割であると、水道本管の下方を相当深さに掘削しておかなければ、ベース3の高さが邪魔となってベース3を水道本管の下側に入れることが困難となる。
【0025】これに対して本実施形態の防蝕ボックス1は、ベース3が略L字状をなし、しかも、その立ち上がり3aは、図3に示したように、上辺幅Wを短くしている。このため、この防蝕ボックス1の設置にあたっては、カバー2を開けた状態でボックス1を傾けて立ち上がり3aの上辺から水道本管の下側に入れ、その後ボックス1を元の水平姿勢に戻すことによって、容易にカバーを水道本管の下側に位置させることができる。つまり、立ち上がりの上辺幅Wがベース3を略L字状ではなく矩形とした場合の高さに比べて短くなり、その分、水道本管の下方にベース3を入れやすいのである。
【0026】また、カバー2とベース3とを、第一挿通口6および第二挿通口7を二分割するように構成したので、カバー2を閉じる際も水道本管および分岐管と緩衝することが一切なく、容易にボックス1を密閉状態とすることができる。
【0027】さらに、上記実施形態ではボックス1の内部にサドル分水栓Sの形状に応じてリブを複数設け、分水栓Sの位置決めとして機能させることとしたので、サドル分水栓がボックス内でガタつくことがなく、本発明の防蝕ボックスは運搬用の梱包容器としても機能する。言い換えれば、従来は、段ボール箱の他に、その内部に発泡スチロールなどのコーナー保護材を入れて、内容物のガタつきを抑えていたが、本発明の防蝕ボックスでは、容器およびコーナー保護材の双方を一体成型したので、従来のように容器とコーナー保護材を分別する必要がないばかりか、ゴミそのものを排出することがないため、環境保全にも大きく寄与する。
【0028】なお、サドル分水栓の位置決め用凸部は上述したリブに限定されない。即ち、図5、6に示した別実施形態のように、ボックス1に持ち手用の凹陥部9の他、上述したリブに相当する箇所に凹陥部18を設け、これをボックス内部における位置決め用凸部としてもよい。この構造であっても、サドル分水栓をボックス内にガタつきなく収容できる。しかも、この構造であれば、凹陥部18を形成した分だけ、さらにボックスの容積を減少することができるから、ボックス内の残留ガスを大幅に減少でき、腐食の抑制効果をより高めることができる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、防蝕装置をボックス型とするという簡単な構成でありながら、サドル分水栓を容易に気密的・水密的に土中に埋設できるため、従来の防蝕フィルムや犠牲陽極装置に比べて確実な防蝕効果が得られる。また、内部に位置決めのためのリブを設けたので、防蝕ボックスを運搬時の梱包容器としても利用でき、その後は防蝕装置として利用されるため、ゴミの排出が一切なく、この種サドル分水栓の流通量からすると、環境保全への寄与度は極めて高いのである。
【出願人】 【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
【出願日】 平成12年1月31日(2000.1.31)
【代理人】 【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
【公開番号】 特開2001−214473(P2001−214473A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−22540(P2000−22540)