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【発明の名称】 最適水運用制御装置
【発明者】 【氏名】坂 本 義 行

【氏名】黒 川 太

【氏名】山 崎 謙 一

【氏名】山 田 毅

【氏名】佐 野 方 俊

【氏名】芦 木 達 雄

【氏名】若 林 修 一

【要約】 【課題】水質と水量を考慮して水処理プラントの運転を効率よく運用する。

【解決手段】水需要・水質データ記憶部5からの水需要データに基づいて翌日の水需要量が需要予測部5において予測され、水需要・水質データ記憶部5からの水質データに基づいて翌日の原水水質が原水水質予測部6において予測される。需要予測部5からの水需要量と、原水水質予測部6からの原水水質がプロセス制御部4に送られる。プロセス制御部4において、予測された水需要量と原水水質に基づいて、プラントの薬品注入部33a,35aと送水ポンプ37が制御される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】原水に対して薬品注入部により薬品注入を行って処理水を生成するとともに、処理水を送水ポンプで配水する水処理プラントの最適水運用制御装置において、過去の水需要データと、水質データを記憶する水需要・水質データ記憶部と、水需要・水質データ記憶部からの水需要データに基づいて、翌日の水需要量を予測する需要予測部と、水需要・水質データ記憶部からの水質データに基づいて、翌日の原水水質を予測する原水水質予測部と、需要予測部からの水需要量と、原水水質予測部からの原水水質とに基づいて、薬品注入部と送水ポンプの制御を行うプロセス制御部と、を備えたことを特徴とする最適水運用制御装置。
【請求項2】原水水質予測部には、上水道プラント周辺にある下水処理場から排水される処理水の水質情報が排水水質データ入力部から入力され、原水水質予測部は排水水質データ入力部からの水質情報を考慮して原水水質を予測することを特徴とする請求項1記載の最適水運用制御装置。
【請求項3】需要予測部からの水需要量と、原水水質予測部からの原水水質とに基づいて、薬品注入部における薬品注入量と送水ポンプによる水量に関する最適計画値を求め、この最適計画値をプロセス制御部へ入力する最適水運用計画部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の最適水運用制御装置。
【請求項4】最適水運用計画部で求めた薬品注入量と水量に関する最適計画値を、制御時点での送水ポンプの水量と原水水質とに基づいて補正する計画補正部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の最適水運用制御装置。
【請求項5】計画補正部において薬品注入量と水量に関する最適計画値を補正することができない場合、オペレータにこのことを通知し、原水水質予測部における原水水質の予測と需要予測部における水需要量の予測を再度行って薬品注入量と水量に関する最適計画値を最適水運用計画部で再度求めるとともにこの最適計画値を計画補正部で補正する再計画部を更に備えたことを特徴とする請求項4記載の最適水運用制御処理装置。
【請求項6】最適水運用計画部で求めた薬品注入量と水量の最適計画値に基づいて、上水道プラント内の水位および水質をシミュレーションするシミュレータ部を更に備えたことを特徴とする請求項3記載の最適水運用制御処理装置。
【請求項7】送水ポンプから送られる処理水の末端水質を記憶する末端水質データ記憶部と、末端水質データ記憶部からの水質データに基づいて、送水ポンプからの処理水の末端水質を予測する末端水質予測部と、を更に備え、プロセス制御部は末端水質予測部からの末端水質を考慮して薬品注入部を制御することを特徴とする請求項1記載の最適水運用制御装置。
【請求項8】末端予測部からの末端水質に基づいて薬品注入部の最適薬品注入量を求め、この最適薬品注入量をプロセス制御部へ出力する末端水質制御部を更に備えたことを特徴とする請求項7記載の最適水運用制御装置。
【請求項9】上水道プラントに運転不可能な異常部分が生じた場合、この異常部分を検知するとともに異常部分を復旧させるためのガイダンスを行う異常検知支援部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の最適水運用制御装置。
【請求項10】異常検知支援部において、異常部分を検知した場合に、運転可能な上水道プラントの他の部分における最適運転計画を作成する異常時水運用計画部を更に備えたことを特徴とする請求項9記載の最適水運用制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浄水場,給水所などからなる上水道プラントの運転,監視,制御を行う最適水運用制御装置に係り、とりわけ水量だけでなく水質も考慮した計画的な運転を行うことができる最適水運用制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】浄水場,給水所などからなる上水道プラントにおいては、我々が快適にかつ衛生的に生活するために、上水を安定供給することが必要不可欠である。上水道の普及率向上に伴い、上水供給側の課題は多い。
【0003】これまで、水量的な観点にもとづいて上水道プラントをより効率的かつより安定して運転するために、水需要を予測し、効率的なプラント運転計画を作成する様々な制御装置が提案され用いられている。
【0004】しかしながら、上水道プラントをより効率的かつより安定して運転し、上水を安定供給するためには、平常時および異常時を問わず、水質と水量の両方を考慮した信頼できる上水道プラントの制御装置が必要となる。
【0005】
【発明が解決使用とする課題】上述のように都市化が進み、河川水および地下水などの原水水質は悪化が懸念されており、平常時および異常時を問わず、水質と水量の両方を考慮した信頼できる上水道プラントの制御装置の実現が必要となっている。
【0006】本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、平常時および異常時を問わず、水質と水量の両方を考慮した信頼できる上水道プラントの最適水運用制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、原水に対して薬品注入部により薬品注入を行って処理水を生成するとともに、処理水を送水ポンプで配水する水処理プラントの最適水運用制御装置において、過去の水需要データと、水質データを記憶する水需要・水質データ記憶部と、水需要・水質データ記憶部からの水需要データに基づいて、翌日の水需要量を予測する需要予測部と、水需要・水質データ記憶部からの水質データに基づいて、翌日の原水水質を予測する原水水質予測部と、需要予測部からの水需要量と、原水水質予測部からの原水水質とに基づいて、薬品注入部と送水ポンプの制御を行うプロセス制御部と、を備えたことを特徴とする最適水運用制御装置である。
【0008】本発明によれば、需要予測部からの水需要量と、原水水質予測部からの原水水質に基づいて、プロセス制御部により薬品注入部と送水ポンプを制御するので、水量だけでなく水質も考慮した計画的な運転を平常時および異常時のいずれにおいても効率よく行うことができる。
【0009】
【発明の実施例】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0010】図1は、本発明による最適水運用制御装置の一実施例の形態を示す全体構成図である。
【0011】図1において、上水道プラント(水処理プラント)1は、河川などから原水を取水する取水ポンプ31と、取水ポンプ31からの原水が着水井32を経て流入し、この原水に対して凝集・沈殿・ろ過による浄水処理を行う混和池33とを備え、混和池33の薬品注入部33aから薬品が注入される。混和池33で薬品が注入された原水は、フロック池39に流入し、原水中に徐々に沈殿するに十分なフロックが形成され、沈殿池34において汚物が沈殿していく。上澄み水(処理水)はろ過池35でろ過され、塩素注入部(薬品注入部)35aからの塩素等による殺菌処理が施されたあと、浄水池36を経て、送水ポンプ37によって配水池38を経由して配水区へ配水される。
【0012】一方、最適水運用制御装置2は、オペレータとのインターフェースを行うヒューマンインターフェース部3と、上水道プラントの各部、例えば薬品注入部33aおよび送水ポンプ37等のプロセス制御を行うプロセス制御部4と、過去の水需要データや水質データを記憶する水需要・水質データ記憶部5と、水需要・水質データ記憶部5の水需要データや気象データにもとづいてプラント運転翌日の水需要量を予測する需要予測部6と、水需要・水質データ記憶部15の水質データにもとづいて翌日分の原水水質を予測する原水水質予測部7とを備えている。
【0013】また原水水質予測部7には、水質予測を行う場合に上水道プラント周辺にある下水処理場などから排水される処理水の水質情報を活用することを可能とする排水水質データ入力部8が接続されている。また需要予測部6と原水水質予測部7には、予測された水需要量と原水水質に基づいて上水道プラントにおける送水ポンプ37の処理水の水量および薬品注入部33a,35aの薬品注入量に関する最適計画値を演算する最適水運用計画部9と、演算された最適な処理水量および薬品注入量に対して、制御時点での水量や水質にもとづいて処理水量および薬品注入量を補正する計画補正部10とが順次接続され、計画補正部10はプロセス制御部4に接続されている。
【0014】また、プロセス制御部4には制御時点での処理水量や水質にもとづいて計画補正できない場合を判断して、その時点からの最適な処理水量および薬品注入量の最適計画値を補正しなおすことをオペレータに知らせ、再補正を行う再計画部11が接続されている。この場合、再計画部11は原水水質予測部7および需要予測部6に対して、再度原水水質と水需要を予測させ、最適水運用計画部9において薬品注入量と水量に関する最適計画値が求められ、この最適計画値は計画補正部10において補正される。
【0015】さらに最適水運用計画部9には演算された処理水量で薬品注入量を注入した場合やオペレータの修正を加えた場合の水質変化およびプラント内の水位変化をシミュレーションするシミュレータ部12が接続されている。
【0016】さらに、送水ポンプ37の下流側の配水管網内での水質を記憶する末端水質データ記憶部13と、末端水質データ記憶部13が記憶している水質データにもとづいて、配水管網内の水質を予測する末端水質予測部14が設けられ、末端水質予測部14は末端水質制御部16を介してプロセス制御部4に接続されている。プロセス制御部4には末端水質予測部14で求めた配水管網内の水質に基づいて基準値を越えているかどうかを監視し、越えている場合にはアラーム等を発生させる末端水質監視部15が接続されている。また末端水質制御部16は、末端水質予測部14で求めた配水管網内の水質に基づいて最適薬品注入量を求めるものであり、プロセス制御部4は末端水質制御部16からの薬品注入量を考慮して薬品注入部33aを制御する。
【0017】またプロセス制御部4には上水道プラントに何らかの運転不可能な異常部分が発生した場合、これを復旧させるためのガイダンスを行う異常検知支援部17と、異常検知支援部17が検知した異常部分に対し、運転可能なプラントの他の部分に対して最適運転計画を作成する異常時最適水運用計画部18と、異常時最適水運用計画部18が作成した運転計画をオペレータが修正できる異常時オペレータ運用設定部19とが接続され、さらに異常時オペレータ運用設定部19はヒューマン・インターフェース3に接続されている。またヒューマン・インターフェース3およびプロセス制御部4には異常時の運転計画にもとづいてプラントの運転可能な他の部分を運転した場合、水質がどのように変化するかシミュレーションする異常時シミュレータ部20が接続されている。
【0018】なお、水需要・水質データ記憶部5は各部に対して必要なデータを記憶するもので、必要に応じて、各部用に独立させてもよい。
【0019】水質を考慮した最適水運用制御装置2は以上のような構成により、平常時および異常時を問わず、水質と水量の両方を考慮した信頼できる上水道プラントの制御装置を提供することができる。
【0020】次にこのような構成からなる本実施例の作用について説明する。
【0021】図1に示すように、上水道プラント1において、河川などからの原水が取水ポンプ31で取水され、着水井32を経て、凝集・沈殿・ろ過による浄水処理を行うため、混和池33において薬品注入部33aにより薬品が注入される。原水は次にフロック形成池39へ送られ、徐々に沈殿する十分なフロックが原水中に形成され、その後原水は沈殿池34へ送られ汚物が沈殿していく。
【0022】沈殿池34からの上澄み水はろ過池35でろ過され、塩素注入部(薬品注入部)35aから注入される塩素等による殺菌処理を施されたあと、浄水池36を経て、送水ポンプ37によって、配水池を経由して配水区へ配水される。
【0023】水質制御という観点では、大腸菌やその他一般細菌、アンモニア性窒素、マンガン、臭気物、トリハロメタン前駆物質、色度、濁度等、実に様々な物質・微生物が対象となり、これらの処理は簡単でない。本発明においては、これら1つ1つを計測し、処理すべき水量に対して、その除去に必要な薬品量を適切に演算して求め、制御する。
【0024】したがって、すべての物質および微生物等に対する場合を示すのは現実的ではないので、ここでは、凝集剤ポリ塩化アルミニウム(PAC)によって濁質を除去する場合を例にして示す。その他の物質や微生物についても、これらの物質および微生物の除去に必要な薬品(場合によってはオゾンや活性炭、紫外線など)を用いて同様に扱うことが可能であり、水質を考慮した最適水運用制御装置を図1のような構成で構築することにより異常時および正常時のいずれの場合でも、水質と処理水量の両方を最適にした浄水処理を可能とすることができる。
【0025】以下、濁度をポリ塩化アルミニウム(PAC)によって除去する場合を例に挙げて説明する。ポリ塩化アルミニウムは図1の混和池33において、ある注入率によって薬品注入部33aから注入され濁質はフロックを形成する。その後、混和池33のフロックはが大きくなって沈降しその上澄みがろ過池35でろ過される。ろ過池35出口での濁度は法的に0.1度以下となるよう定められている。したがって、ろ過池35出口の濁度を基準として、必要なPAC注入率で薬品注入部33aからPACを注入する。ただし、水質を安定させ、需要に見合った量を浄化処理しなければならないので、水量とPAC注入率を効率良く計画的に定めた制御が必要となる。
【0026】ここでは、簡単のため、予測と計画については24時間分の予測値および計画値を1時間ごとに求める場合を用いるが、実際には、24時間分でなく、14時間でも2時間でも何時間分でもよいし、1時間ごとでなく、15分単位でも2時間単位でも何時間単位でもよい。
【0027】次に水質を考慮した最適水運用制御装置の具体的構築例を示す。
【0028】原水の濁質については、水需要・水質データ記憶部5に記憶されている過去の濁質トレンドデータから翌日分の濁質トレンドを原水水質予測部7で予測する。その予測方法は特に限定しない。
【0029】すなわち、予測すべき水質とその水質に相関するデータとの特性などに応じて、回帰的な手法(最小2乗法、カルマンフィルタなど)やニューラルネットワーク、カオス、遺伝的アルゴリズムなどどれを選択してもよい。たとえば、以下のように、回帰的な手法で予測することが可能である。
【0030】ある時刻kにおける濁質予測値をy1(k)とするとき、以下のように予測モデルを得ることができる。ここでは、水質データ記憶部5に1時間ごと1日分の水質実績データが曜日別、例えば、休日,平日,休日明け別にファイルされる。いま、原水水質予測部7にヒューマン・インターフェース部3からその日の曜日が入力されると、原水水質予測部7にその曜日Wの平均濁度パターンy2(i),(i=1〜24)が水質実績から得られる。次に、前日までの水質実績が得られているので、k日の水質(濁度)を予測するためには、例えば、次のような自己回帰モデルが用いられる。
【0031】
【数1】

【数2】

なお、a,a…は自己回帰のパラメータであり、予め与えることも可能であり、実時間で逐次最小2乗推定(カルマンフィルタ)することも可能である。
【0032】結局、当日の予測値y1(k)[度]と、その曜日Wのパターンy2(i),(i=1〜24)が得られるため、各時間帯の比で積分すると、当日の1時間ごと24時間分の予測値y1(k,i)(i=1〜24)[度]
が得られる。
【0033】また、浄水の需要予測についても、需要予測部6において上述の原水水質予測と同様の方法で(1)(2)式を用いて予測することができる。その場合は、予測値y1(k)を需要量[m/h]に置きかえれば良い。また、予測手段も原水水質予測同様、どのような手法でもよい。
【0034】これによって得られた原水水質予測および需要予測にもとづいて、プロセス制御部4により薬品注入部35a,33aと送水ポンプ37等のプラント制御が行われる。
【0035】この場合、原水水質予測時に浄水場周辺から排水される水、例えば、浄水場の上流に下水処理場がある場合などにおいて、その処理水の水質情報が排水水質データ入力部から原水水質予測部7へ入力され、原水水質予測部7においてこの水質情報が原水水質予測に活用される。下水処理場から排水される水の水質(濁度)のまま取水されるのであれば、原水水質予測部7ではその水質を原水水質予測値としてもよい。また、そうでない場合(一般にはこの場合)は、先述した予測手法に排水水質に関する変数を加え、同様に回帰的手法で予測することが可能である。もちろん、その他の予測手法でもよい。原水水質予測部7では確実な水質変化を考慮することができるので、この方法により原水水質予測精度がより向上する。
【0036】また原水水質予測部7および需要予測部6において予測された水質および需要量に対して、上水道プラントにおいて薬品処理する量(薬品注入量)や処理水量を効率的に定めるために最適計画を作成することができる。すなわち最適水運用計画部9にはヒューマン・インターフェース部3から薬品量(例えば、PAC注入量)最小化や消費電力ピークカット、夜間電力最大使用、機器(送水ポンプなど)連続運転といった上水道プラントの運用上、考慮されるべき項目がすべて入力され、この最適水運用計画部9において最適な運用計画値が求められる。この場合、最適化問題として定式化し、問題の種類(非線形,線形,整数計画,実数計画等々)によって様々な解法を使用できる。したがって、定式化方法および解法についてはとくに限定されない。なお、考慮されるべき項目の個数に制限は無い(一つだけでもよいし、100個でもよい)が、例えば、つぎの4つが挙げられる。
【0037】
(1)運転コストの低減(薬品注入量,消費電力量の最適化)
(式(3)、(8)参照)
(2)ピークカット(ピーク時間帯における電力使用量の低減 (式(5)参照)
(3)夜間電力の利用 (式(6)参照)
(4)熱源機器の安定(連続)運転 (式(7)参照)
(1単位時間あたりの送水ポンプ起動・停止台数に制限がある場合も含む)
いま、時刻kにおいて、ある配水池38の配水量(需要予測値)を【数3】

、配水池38の水位をh(k)、浄水場36などからの浄水の受水量をQ(k)、浄水場36の浄水池水位をh(k)、総ろ過流量をQ(k)、原水の取水量をQ(k)などと表すこととする。
【0038】ここでは、配水池38を1池と仮定しているが、複数あってもよく、その場合には、例えば、配水池38の水位の変数は池数分設定し、配水池38の受水量や配水量は合算値などとする。浄水場36内の浄水池やろ過系統数についても同様である。また、水質に関しては、原水水質予測値(濁度予測値)をC(n)などと表すこととする。このとき、オペレータが入力した優先度(重み)を反映した上水道プラントの水運用計画最適化問題を例えば以下のように定式化する。
【0039】[目的関数]
【数4】

ただし、【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【数9】

[制約条件]
(上下限制約)
【数10】

【数11】

【数12】

【数13】

【数14】

(水需要と配水量のバランス)
【数15】

(送水量とろ過量のバランス)
【数16】

(ろ過量と取水量のバランス)
【数17】

係数一覧W(k) :送水ポンプの最適化重み、 W(k):取水ポンプの最適化重みWps(k) :送水ポンプのピークカット最適化重みWpg(k) :取水ポンプのピークカット最適化重みWhd(k) :配水池目標水位との誤差に関する最適化重みWhj(k) :浄水池目標水位との誤差に関する最適化重みsts(k):送水量平滑化に関する最適化重みWstf(k):ろ過流量平滑化に関する最適化重みWstg(k):取水量平滑化に関する最適化重みW(k) :薬品注入量低減化に関する最適化重みf() :送水量に対する消費電力量を表す関数f() :取水量に対する消費電力量を表す関数f() :ある水量(濁度)と水量(ろ過量)に対する薬品量(PAC)を表す関数【数18】

定式化された最適化問題を解く方法は特に限定はなく、数理計画法(分岐限定法やシンプレックス法、動的計画法、シミュレーテッドアニーリングなど)や遺伝的アルゴリズム(GA)、免疫的アルゴリズム(IA)などにより解くことができる。
【0040】このようにして薬品注入量と水量に関する最適計画値を最適水運用計画部9において求めることができる。
【0041】ところで、ある時刻kでの浄水場36から配水池38への送水量や、PAC注入率に関し、需要予測や水質予測に誤差がある場合、計画とのずれが生じ、新たに送水ポンプ37を起動・停止したり、ろ過池35の稼働数を増減させたり、薬品注入量を大幅に変更することが必要となる。その必要が無い場合は、計画水量および薬品注入率(量)を維持するように変動分を計画補正部10により最適計画値を補正することができる。この場合、変動分をΔとすれば、もとの計画値Q(k)にΔを加算した値を補正後の計画とする。これによって、微少な誤算は計画通りになるよう修正することができる。
【0042】上述の誤差が大きい場合、再計画部11によりその時刻以降の水質予測および需要予測を再度行って、薬品注入量と水量に関する最適計画値を最適水運用計画部9で再度求めるとともに最適計画値を計画補正部10で補正するまたオペレータはヒューマン・インターフェース3を介して予測結果および最適計画値に基づいて、直接最適計画値を修正することができ、修正した結果、水質や各池の水位がどのように変わるかをシミュレータ部12において(9)〜(16)にしたがって、シミュレーションする。シミュレーションの結果はヒューマン・インターフェース3からオペレータに示される。
【0043】一方、トリハロメタン前駆物質が塩素と反応してトリハロメタンを生成するが、この反応はゆっくりしているので、原水の水質によっては送水ポンプ37より下流側の末端においてトリハロメタンが生成されることがあり得る。このような場合に、末端水質データ記憶部13の水質データから末端水質予測を行う。このことにより浄水場36での処理に有効に活用できる。
【0044】また末端水質監視部15は配水管網内の水質を監視しておき、あるしきい値を越える計測をした場合、アラームでオペレータに知らせる。このことにより安全性に対する対応を迅速に取れるようになる。
【0045】また上水道プラントに機械的故障を含め、何らかの異常が生じた場合、異常検知支援部17において復旧させるためのガイダンスを行う。例えば、需要が通常にない量となった場合には、需要の時間的変化率を監視しておき、ある変化率を越えたら、アラームでオペレータに疎のことを知らせ、再予測・再計画(再計画部)を起動するよう促したり、手動運転による介入を促したりする。これにより、異常な需要を生じた場合でも安全に浄水道プラントを運用することができる。また、機械的な故障の場合には、重故障警報を鳴らし、どの部分で稼働できないのかを知らせ、稼働できない部分を切り離して、運転可能な他の部分における運転計画を異常時水運用計画部18において作成する。
【0046】異常発生後に異常時水運用計画部18で作成した運用計画はオペレータにヒューマン・インターフェースから表示され、オペレータは異常時オペレータ運用設定部19から修正を加えることができる。その結果、配水池水位や浄水池水位、濁度などの水質がどのようになるかを式(9)〜(16)にしたがって異常時シミュレータ部20でシミュレーションする。シミュレーションの結果はヒューマン・インターフェース3からオペレータにしらせる。これによって、異常時の慌ただしい状況においても、異常時の運用を正確に判断することができる。
【0047】なお上記実施の形態において上水道について説明したが、上水道プラントだけでなく、下水道プラントの下水処理にも適用することができる。
【0048】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、平常時および異常時を問わず、水質と水量の両方を考慮して水処理プラントの運転を効率よく運用することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成12年1月31日(2000.1.31)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2001−214470(P2001−214470A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−22361(P2000−22361)