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【発明の名称】 ツースとアダプタとその取付構造体とその取付方法
【発明者】 【氏名】増本 展祥

【氏名】福嶋 弘一郎

【要約】 【課題】磨耗寿命が長く、破損の恐れが無く、コストを安くできるツースとアダプタとその取付構造体とその取付方法を提供する。

【解決手段】ツースの掘削方向の基端部に、アダプタ(10)に嵌合する凸形状の取付部(21)を設け、アダプタの掘削方向の先端部に、ツース(20)に嵌合する凹形状のツース取付部(11)を設ける。凹形状ツース取付部(11)は、掘削方向に直交する方向を軸とする略円筒形状の凹状当接面(12)を有し、開口部(13)の対向面の端部に凸状部(14)を設ける。ツース(20)の凸形状取付部(21)は、掘削方向に直交する方向を軸とする略円柱形状の凸状当接面(22)を有する。取着時は、ツース(20)の取付部(21)をアダプタ(10)のツース取付部(11)に、掘削方向に直交する方向から嵌入する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 土工作業機のバケットの下面部の先端部に固設されたアダプタに着脱自在に取着されるツースにおいて、掘削方向の基端部に、アダプタ(10)に嵌合する凸形状の取付部(21)を設けたことを特徴とするツース。
【請求項2】 請求項1記載のツースにおいて、前記凸形状の取付部(21)は、掘削方向に対して直交する方向を軸とする略柱形状の凸状当接面(22)を有することを特徴とするツース。
【請求項3】 請求項2記載のツースにおいて、前記凸形状の取付部(21)は略円柱形状の凸状当接面(22)を有することを特徴とするツース。
【請求項4】 土工作業機のバケットの下面部の先端部に固設され、ツースが着脱自在に取着されるアダプタにおいて、掘削方向の先端部に、ツース(20)に嵌合する凹形状のツース取付部(11)を設けたことを特徴とするアダプタ。
【請求項5】 請求項4記載のアダプタにおいて、前記凹形状のツース取付部(11)は、その開口部(13)の互いに対面する開口端部の少なくともいずれか一方に、ツース(20)に係合する凸状部(14)を有することを特徴とするアダプタ。
【請求項6】 請求項4又は5記載のアダプタにおいて、前記凹形状のツース取付部(11)は、掘削方向に対して直交する方向を軸とする略筒形状の凹状当接面(12)を有することを特徴とするアダプタ。
【請求項7】 請求項6記載のアダプタにおいて、前記凹形状のツース取付部(11)は略円筒形状の凹状当接面(12)を有することを特徴とするアダプタ。
【請求項8】 請求項1記載のツース(20)を、請求項4記載のアダプタ(10)に嵌合して取り付けたことを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項9】 請求項3記載のツース(20)を、請求項7記載のアダプタ(10)に嵌合して取り付けたことを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項10】 請求項8記載のツースとアダプタとの取付構造体において、前記アダプタ(10)のツース取付部(11)の外周部に挿嵌した環状スリーブ(40)を設けたことを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項11】 請求項10記載のツースとアダプタとの取付構造体において、前記アダプタ(10)のツース取付部(11)の外周部と、環状スリーブ(40)の内周部とは、互いに嵌合するテーパ形状を形成したことを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項12】 請求項10記載のツースとアダプタとの取付構造体において、前記環状スリーブ(40)は一体に形成された筒状体であることを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項13】 請求項10記載のツースとアダプタとの取付構造体において、前記環状スリーブ(40a) は分割可能としたことを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項14】 請求項10記載のツースとアダプタとの取付構造体において、前記環状スリーブ(40)を抜け止めする係止手段(50)を有し、該係止手段(50)は、ツース(20)に形成したピン穴(26)と、このピン穴(26)に下部が嵌入され、頭部が環状スリーブ(40)の端面に当接する係止ピン(51)と、この係止ピン(51)及び環状スリーブ(40)に係合して係止ピン(51)を抜け止めする割り座金(54)とを備えたことを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項15】 請求項2記載のツース(20)を、請求項6記載のアダプタ(10)に嵌合して取り付けたツースとアダプタとの取付構造体において、前記アダプタ(10)のツース取付部(11)の凹状当接面(12)のツース挿入方向両端部に設けられた環状溝(15)と、この環状溝(15)に係合する抜け止め手段(30,30a)とを有することを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項16】 請求項9記載のツースとアダプタとの取付構造体において、前記アダプタ(10)のツース取付部(11)の凹状当接面(12)の軸方向両端部の内壁面に設けられた環状溝(15)と、この環状溝(15)に挿入されるスナップリング(31)とを有することを特徴とするツースとアダプタとの取付構造体。
【請求項17】 土工作業機のバケットの下面部の先端部に固設されたアダプタに、ツースを着脱自在に取着するツースとアダプタとの取付方法において、バケットの掘削方向に対して直交する方向から、ツース(20)の略柱形状の凸状当接面(22)を有する取付部(21)を、アダプタ(10)の略筒形状の凹状当接面(12)を有するツース取付部(11)に嵌入することを特徴とするツースとアダプタとの取付方法。
【請求項18】 請求項17記載のツースとアダプタとの取付方法において、前記ツース(20)の凸状当接面(22)を有する取付部(21)を、前記アダプタ(10)の凹状当接面(12)を有するツース取付部(11)に嵌入した後に、ツース(20)の抜け止めを施すことを特徴とするツースとアダプタとの取付方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土工作業機のバケットに固設されたアダプタと、アダプタに取着するツースと、その取付構造体とその取付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】図13は土工作業機のバケット1の斜視図である。バケット1の下面部2の先端部には掘削方向に対して垂直方向に並列に複数個のアダプタ10が固設され、アダプタ10の先端部にはツース20が掘削方向に向けて突出して着脱自在に取着されている。ツース20は作業中大きな外力を受けるので十分な強度を有することが必要であり、また、磨耗が激しいため、交換が容易であるとともに、磨耗寿命が長いことが要求されている。
【0004】アダプタにツースを取着する取付構造については各種のものが提案されている。その第一例としてUS.Patent Number 4231173があり、第2例としてUS.Patent Number 5152088がある。
【0005】図14は第一例のUS.Patent Number 4231173に開示されたツースの取付構造を示す斜視図である。アダプタ60の先端部にはテーパ形状の凸部61が設けられており、凸部61の基端部には上下方向に貫通孔62が設けられている。ツース63の基端部には凸部61に嵌合するテーパ形状の凹部64が設けられ、凹部64の開口部端部近傍には上下方向に貫通するピン孔65が設けられている。アダプタ60にツース63を取着する場合には、アダプタ60の凸部61にツース63の凹部64を挿嵌し、ピン孔65と貫通孔62との位置を合わせ両孔にピン66,67を嵌入して固定する。
【0006】図15は第2例のUS.Patent Number 5152088に開示されたツースの取付構造を示す斜視図である。アダプタ70の先端部には螺旋状に成形された凸部71が設けられ、凸部71の基端部には係止溝71aが形成されている。またツース72の基端部にはアダプタ70の前記螺旋状の凸部71に嵌合する螺旋状の凹部73が設けられ、凹部73の開口部端部には爪部74が設けられている。アダプタ70にツース72を取着する場合には、アダプタ70の凸部71にツース72の凹部73を挿嵌して螺旋に沿ってねじ込み、係止溝71a及び爪部74に沿って回り止め用のピン75を嵌入して係止し固定する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成においては、以下のような問題点がある。
1)第1例のUS.Patent Number 4231173においては、ツース63に加わる外力がピン66,67にも加わるので、ピン66,67が折れ易く、このためツース63が抜け落ちることがしばしば起きる。また、ツース63にテーパ形状の袋状凹部64を設ける必要があるため、鍛造工数が大となってコストが高くなり、またアダプタ60の凸部61及びツース63の凹部64の鍛造による製作精度を良くすることが非常に難しいので、アダプタ60とツース63との間にガタを生じ易く、磨耗の原因となる。
2)第2例のUS.Patent Number 5152088においては、螺旋状の凸部71及び凹部73が複雑なので、鍛造で製作することは困難であり、鋳造製となるため、コストが高くなる。
3)第1例、第2例とも図16に示すように、ツース63,72の基端部に凹部64,73がそれぞれ形成されており、ツース63,72に摩耗が進展し前記凹部64,73の先端部が外部と貫通した時点がツース63,72の摩耗限界となる。このため、ツース63,72の全長Lに対する磨耗限度までの長さBは短く、したがって磨耗限度に達するまでの体積が小さく、磨耗寿命が短いという問題がある。
【0008】本発明は上記の問題点に着目し、磨耗寿命が長く、破損の恐れが無く、コストを安くできるツースとアダプタとその取付構造体とその取付方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目的を達成するために、本発明に係る第1発明は、土工作業機のバケットの下面部の先端部に固設されたアダプタに着脱自在に取着されるツースにおいて、掘削方向の基端部に、アダプタに嵌合する凸形状の取付部を設けた構成としている。また第4発明は、土工作業機のバケットの下面部の先端部に固設され、ツースが着脱自在に取着されるアダプタにおいて、掘削方向の先端部に、ツースに嵌合する凹形状のツース取付部を設けた構成としている。第1、第4発明によれば、ツースとアダプタの取付部をツース側が凸形状とし、アダプタ側がこの凸形状に嵌合する凹形状としたため、ツースは基端部近傍まで磨耗しても使用可能となり、摩耗限界を長くすることができる。従って、ツースの有効磨耗体積が大きくなり、ツースの交換寿命を向上できる。
【0010】また第5発明は、第4発明のアダプタに基づき、前記凹形状のツース取付部は、その開口部の互いに対面する開口端部の少なくともいずれか一方に、ツースに係合する凸状部を有する構成としている。第5発明によれば、アダプタの凹形状ツース取付部の開口端部の凸状部がツース取付部に嵌入されたツースの取付部の基端部に係合するので、ツースの取付部は掘削方向に抜け出ることは無く、ツースとアダプタは長期間強い嵌合を維持できる。従って、バケットによる掘削時に強い掘削力が得られ、能率的に安定した掘削作業ができる。また、両開口端部のいずれか一方にのみ凸状部を有する場合には、他方にはツースの取付部の嵌合面とアダプタのツース取付部の嵌合面との間に所定距離の隙間が生じるので、アダプタのツース取付部にツースの取付部を挿入する際に容易に挿入でき、ツース交換作業性が良い。
【0011】また第2発明は、上記第1発明のツースに基づき、前記凸形状の取付部は、掘削方向に対して直交する方向を軸とする略柱形状の凸状当接面を有する構成としている。第6発明は,第4又は第5発明のアダプタに基づき、前記凹形状のツース取付部は、掘削方向に対して直交する方向を軸とする略筒形状の凹状当接面を有する構成としている。第2、第6発明によれば、ツースとアダプタとの取付部は掘削方向に対して直交する方向を軸とする略筒形状の当接面により嵌合しているので、掘削方向に対向する当接面積が大きくなる。従って、掘削時に加わる外力による接触圧力が小さくなり、当接面の磨耗が少なくなるので、ツース交換寿命を長くできる。また、鍛造により製作可能となるので、従来技術のように鋳造による製作と違って製造コストを安くできる。
【0012】また第3発明は、第2発明のツースに基づき、前記凸形状の取付部は略円柱形状の凸状当接面を有する構成としている。第7発明は、第6発明のアダプタに基づき、前記凹形状のツース取付部は略円筒形状の凹状当接面を有する構成としている。第3、第7発明によれば、ツースとアダプタとの前記取付部は略円筒形状の当接面としたので、当接面の成形等による製作が容易で、かつ精度良くできる。従って、第2、第6発明の効果に加えて、ツースとアダプタとの嵌合をさらに良くすることができると共に、ツースに加わる外力の方向が変化しても略円筒形状の当接面にはどの方向にも均一に圧力がかかるので接触圧力の変化は小さくなり、当接面での局部的な磨耗が少なくなり、ツース交換寿命を向上できる。
【0013】第8発明は、第1発明のツースを第4発明のアダプタに嵌合して取り付けたツースとアダプタとの取付構造体である。第8発明によれば、ツースは基端部近傍まで磨耗しても使用可能であり、有効磨耗体積が大きいので、ツース交換寿命を長くできる。
【0014】第9発明は、第3発明のツースを、第7発明のアダプタに嵌合して取り付けたツースとアダプタとの取付構造体である。第9発明によれば、前記取付部の当接面の形状が円筒形状であるため掘削時の外力の方向が変化しても接触圧力の変化は小さいので、当接面での局部的な摩耗が発生しない。また、当接面積が大きいので当接面への接触圧力が小さくなり、さらに成形が容易なので当接面の精度を向上できるためガタが少なくなる。これらのことより、接触圧力を低減することができて、ツース交換寿命を向上できる。
【0015】第10発明は、第8発明のツースとアダプタとの取付構造体に基づき、前記アダプタのツース取付部の外周部に挿嵌した環状スリーブを設けた構成としている。第10発明によれば、環状スリーブによりアダプタのツース取付部の開口部が口開き変形するのを防止するので、ツースが脱落する恐れは無く、またツースとアダプタとの取付部の嵌合度を維持するので、安定した掘削作業が行える。さらに、アダプタの取付部外側面の磨耗が防止されるので、取付部の開口部の初期肉厚を維持して取付部の嵌合度も維持でき、アダプタの寿命を向上できる。
【0016】第11発明は、第10発明のツースとアダプタとの取付構造体に基づき、前記アダプタのツース取付部の外周部と、環状スリーブの内周部とは、互いに嵌合するテーパ形状を形成した構成としている。第11発明によれば、ツース取付部の外周部と環状スリーブとの嵌合部をテーパ形状にしたため、アダプタと環状スリーブとの嵌合は強固なものとなり、アダプタの口開き変形を確実に防止できる。これにより、第10発明の効果に加え、アダプタとツースとの強い嵌合を長期間維持できる。
【0017】第12発明は、第10発明のツースとアダプタとの取付構造体に基づき、前記環状スリーブは一体に形成された筒状体としている。第12発明によれば、一体に形成された環状スリーブを強い力でアダプタの前記取付部の外周部に挿入できるので、アダプタの口開き変形を確実に防止できる。また部品点数を少なくでき、組み立ても容易にできる。
【0018】第13発明は、第10発明のツースとアダプタとの取付構造体に基づき、前記環状スリーブは分割可能としている。第13発明によれば、環状スリーブの構成部材を分割可能としたため部材の加工が容易であり、精度を良くすることができる。
【0019】第14発明は、第10発明のツースとアダプタとの取付構造体に基づき、前記環状スリーブを抜け止めする係止手段を有し、該係止手段は、ツースに形成したピン穴と、このピン穴に下部が嵌入され、頭部が環状スリーブの端面に当接する係止ピンと、この係止ピン及び環状スリーブに係合して係止ピンを抜け止めする割り座金とを備えた構成としている。第14発明によれば、係止ピンで環状スリーブの抜け止めを行い、割り座金で係止ピンの抜け止めをすることにより、環状スリーブは確実に抜け止めされ、作業中に環状スリーブが抜け落ちてアダプタが口開き変形しツースが脱落するのを防止できる。
【0020】第15発明は、第2発明のツースを、第6発明のアダプタに嵌合して取り付けたツースとアダプタとの取付構造体において、前記アダプタのツース取付部の凹状当接面のツース挿入方向両端部に設けられた環状溝と、この環状溝に係合する抜け止め手段とを有する構成としている。第15発明によれば、アダプタの凹状当接面のツース挿入方向両端部に設けられた環状溝に係合する抜け止め手段により、ツースはアダプタのツース取付部内で軸方向に移動することはなく、ツースの抜け出しを確実に防止できる。
【0021】第16発明は、第9発明のツースとアダプタとの取付構造体に基づき、前記アダプタのツース取付部の凹状当接面の軸方向両端部の内壁面に設けられた環状溝と、この環状溝に挿入されるスナップリングとを有する構成としている。第16発明によれば、凹状当接面の軸方向両端部の内壁面に設けられた環状溝とこの環状溝に挿入するスナップリングとにより確実にツースの抜け出しを防止できる。また、円形の環状溝とスナップリングとを用いたため、加工が簡単でコストを安くできると共に、入手性の良い一般的な部品で簡単に構成できる。
【0022】第17発明は、土工作業機のバケットの下面部の先端部に固設されたアダプタに、ツースを着脱自在に取着するツースとアダプタとの取付方法において、バケットの掘削方向に対して直交する方向から、ツースの略柱形状の凸状当接面を有する取付部を、アダプタの略筒形状の凹状当接面を有するツース取付部に嵌入する方法としている。第17発明の方法によれば、ツースのアダプタへの嵌入状況及び嵌入部を観察することができ、嵌入を確実にすることができる。また、筒形状の取付部を当接させるため接触面積が大きくなり、嵌合部の磨耗が少なくなるとともに、当接面の磨耗状態の観察も容易に可能となる。
【0023】第18発明は、第17発明のツースとアダプタとの取付方法に基づき、前記ツースの凸状当接面を有する取付部を、前記アダプタの凹状当接面を有するツース取付部に嵌入した後に、ツースの抜け止めを施す方法としている。第18発明の方法によれば、円筒形状の当接面であるため精度が良く、嵌入作業が容易であり、また当接面の有効面積も大きいので掘削時の外力の当接面への接触圧力が小さくなり、磨耗寿命を向上できる。また、ツースの抜け止めを行うため取付部の強度を保持でき、安定した掘削作業を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態について、図面を参照して詳述する。
【0025】図1〜3により第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態のツース20とアダプタ10との取付構造を示す側面図であり、図2はその下面図である。バケットの下面部2には、掘削方向に対して垂直方向に並列に複数個のアダプタ10が固設されている。アダプタ10の掘削方向先端部には、掘削方向に直交する方向の軸を有するほぼ円筒形状の凹状当接面12が設けられている。凹状当接面12の軸方向両端部には、この円筒形状の凹部に挿入されるツース20の抜け止め手段30が設けられている。本実施形態では、抜け止め手段30としてスナップリング31が装着されている。凹状当接面12の先端側の開口部13の互いに対面する開口端部には凸状部14,14が形成されている。また、アダプタ10の先端端面、即ち開口部13を挟んだ両開口端部前端面には、掘削方向に対してほぼ直交するアダプタ座面17,17が形成されている。これらの凹状当接面12、抜け止め手段30、開口部13及びアダプタ座面17,17によりツース取付部11を形成している。
【0026】ツース20の掘削方向の基端側には、掘削方向に直交する方向を軸とするほぼ円柱形状の凸状当接面22を有する取付部21が設けられている。取付部21の基端部には前記ツース取付部11の凸状部14,14に整合する凹状部23,23が設けられている。また、取付部21の基端部の両側には掘削方向に対してほぼ直交するツース座面28,28が形成されている。アダプタ10にツース20を取着する場合、凹状当接面12と凸状当接面22とは嵌合し、アダプタ座面17とツース座面28とは当接するように形成されている。尚、アダプタ座面17とツース座面28とは、凹状当接面12と凸状当接面22とが嵌合しているときに共に当接することが好ましく、このため前記各当接面12,22からアダプタ座面17及びツース座面28までのそれぞれの寸法は例えば機械加工や鍛造加工等により精度良く製作される。
【0027】アダプタ10にツース20を取着する場合には、ツース20の取付部21を、図2に示す白矢印のように取付部21の軸方向からアダプタ10のツース取付部11に嵌入し、凹状当接面12に凸状当接面22を当接させるとともに、アダプタ座面17にツース座面28を当接させる。
【0028】図3は、第1実施形態のツース20とアダプタ10との取付構造を示す分解斜視図である。同図に示すように、アダプタ10のツース取付部11の凹状当接面12軸方向の幅Eはツース20の取付部21の幅Fよりも大きく設定されており、ツース取付部11の凹状当接面12の軸方向両端部には内幅がFとなるように1対の環状溝15,15が前記軸に垂直な面内に設けられている。取付部21をツース取付部11に軸方向から嵌入した後、環状溝15,15にスナップリング31等の抜け止め手段30をそれぞれ嵌め込む。
【0029】本実施形態によると、ツース20の基端部に凸形状の取付部21を設け、アダプタ10の先端部に設けた凹形状の開口部13に前記凸形状の取付部21を挿入して、ツース20をアダプタ10に取着するようにしたため、図1に示すように、ツース20の全長Lに対する磨耗限界までの長さAは、前述の従来技術における磨耗限界までの長さBに比して大幅に長くなる。したがって、磨耗限界までの体積が増大し、磨耗寿命を大幅に延ばすことができる。また、ツース20とアダプタ10との取付部は、掘削方向に直交する軸を有する円柱形状の凸状当接面22を凹状当接面12に嵌合しているので、ツース20に加わる掘削時の外力が前記各当接面12,22に均一に分散されて接触圧力が小さくなる。従って、各当接面12,22の摩耗が少なく、ツース20及びアダプタ10の交換寿命を向上できる。また、当接面12,22は円筒形状なので、加工が容易で、且つ加工精度も高くできるので、当接面12,22でのガタを小さくして、摩耗を少なくできる。さらに、抜け止め手段30によりツース20の軸方向移動を拘束するので、ツース20の脱落を防止できる。またさらに、本実施形態のツース及びアダプタの形状は従来技術のもののように袋部が無いので、鍛造で製作可能となり、安価に製作できる。
【0030】図4は第2実施形態のツース20とアダプタ10との取付構造を示す側面図であり、図5は図4のC−C断面図である。第1実施形態と同一部材には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。図4,5に示すように、ツース20をアダプタ10に嵌入したのち、アダプタ10のツース取付部11の外周部には環状スリーブ40が挿入される。環状スリーブ40は、例えばHT80等の高耐摩耗性鋼からなる。アダプタ10のツース取付部11の上下方向の外側面16と、環状スリーブ40の上下方向の内壁面41とは互いに嵌合するテーパ形状を形成している。ツース20の取付部21よりもツース先端側の左右両側面にはボス部24,24がそれぞれ設けられ、両ボス部24,24には環状スリーブ40の抜け止め用の係止手段50,50がそれぞれ取着されている。図5に示すように、前記両ボス部24,24間の外幅Eは、環状スリーブ40の左右の内幅Gより僅かに小さく設定されている。また環状スリーブ40は一体的に形成された筒状を成し、鍛造一体成形あるいは板金溶接により製作される。
【0031】図6は図4のP部詳細図で、係止手段50の正面図であり、図7は図6のD−D断面図である。ツース20の前記ボス部24の側面にはピン穴26が穿設され、ピン穴26には頭部52を有する係止ピン51が挿入されている。係止ピン51の頭部52の一方の側面は環状スリーブ40の端面に当接している。また、この一方の側面に平行な方向の頭部52の下方のピン側面には互いに対向する1対のスリット53,53が形成されており、割り溝55を有する割り座金54の該割り溝55に前記スリット53,53が挿入されている。割り座金54の先端部は、頭部52の前記一側面に当接する環状スリーブ40の前端面の下部に設けられた凹部42に挿入されており、係止ピン51の軸方向の抜け止めとなっている。割り座金54はバネ作用を有し、係止ピン51に所定位置まで挿入すると段付部55aが係止ピン51に係合して、所定値以上の抜く方向の外力を加えないと抜けないようになっている。また、割り溝55は係止ピン51のスリット53に係合して係止ピン51を抜け止めするようになっている。
【0032】アダプタ10にツース20を取着する場合には、ツース20の取付部21をアダプタ10のツース取付部11に、掘削方向に対して直交する方向から嵌入し、前記環状溝15にスナップリング31を挿入してツース20の軸方向のずれを防止する。次に、アダプタ10のツース取付部11の外周部に環状スリーブ40を挿嵌し、ツース取付部11の開口部13の口開き変形を防止する。次に、ツース20の側面のピン穴26に係止ピン51を挿入し、割り座金54を係止ピン51に挿入して環状スリーブ40の抜け止めをして作業を終わる。
【0033】本実施形態によると、アダプタ10のツース取付部11の外周部に環状スリーブ40を嵌挿するので、アダプタ10のツース取付部11の開口部13が口開きするのを防ぎ、ツース20とアダプタ10との取付部の初期の嵌合状態を維持し、よってガタが生じることがなく、摩耗寿命を向上できる。さらに、アダプタ10のツース取付部11の外周部を覆って外周部の摩耗を防ぐので、開口部13の肉厚が減少するのを防止し、ツース20とアダプタ10との取付部の初期嵌合度を長期間維持できる。従って、取付部の凹状当接面12及び凸状当接面22の摩耗が少なく、長期間力強い安定した掘削作業ができる。また、アダプタ10のツース取付部11の外周面と環状スリーブ40の内面とを互いに嵌合するような同一のテーパ形状に形成しているので、環状スリーブ40を強く嵌め込むことができ、ツース取付部11の口開きを抑える効果が大きくなる。また、環状スリーブ40が外れ難くなる。従って、ツース20及びアダプタ10の摩耗寿命をさらに向上できる。アダプタ10の凹状当接面12の軸方向両端部には抜け止め手段30としてスナップリング31を装着しており、前記第2実施形態と同様の抜け止めの作用効果を奏するが、本実施形態ではツース取付部11に環状スリーブ40を嵌挿しているので、ツース20が外れるのをさらに確実に防止できる。
【0034】図8は、第3実施形態のツースとアダプタとの取付構造を示す平面断面図である。第2実施形態のものと同一部材には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。ツース20基端部の円柱形状の凸状当接面22を有する取付部21の軸方向両側面部には拡幅部25,25が設けられている。拡幅部25,25の外幅はEであり、環状スリーブ40の前記軸方向の内幅Gより僅かに小さく設定されている。したがって、環状スリーブ40をアダプタ10のツース取付部11の外周部に嵌挿することにより、ツース20の軸方向の移動(脱落)も防止される。
【0035】尚、抜け止め手段30は前記実施形態に記載したものに限定するものではなく、例えば他の実施例として図9に示す抜け止め手段30aでもよい。抜け止め手段30aは、凹状当接面12の軸方向両端部に形成した環状溝15,15と、該環状溝15,15に挿入される抜け止め板32とを有する。この構成によると、ツース20をアダプタ10に嵌入した後、抜け止め板32の一端部を環状溝15に挿入し、他端部をツース20の側端面にボルト33により締着することにより、確実にツース20を抜け止めすることができる。
【0036】また、環状スリーブは前記実施形態のものに限定されず、例えば図10に示すものでも良い。同図において、環状スリーブ40aは下方に開口した略コの字状の上部部材43と上方に開口した略コの字状の下部部材45とより成り、上部部材43の下部に設けられた溝部44に下部部材45の上部に設けられた突起部46が係合するようになっている。これにより、本環状スリーブ40aは分割可能となる。従って、環状スリーブ40aを低コストで製作できる。
【0037】また、係止手段は前記実施形態に限定されず、例えば図11に示すものでもよい。即ち、同図において、ツース20のボス部24には左右方向の貫通ピン孔27を設け、頭部52を有する貫通ピン56を貫通ピン孔27に挿入し、挿入した貫通ピン56の先端部に係止ブロック57を挿入したのち止めピン58で貫通ピン56と係止ブロック57を固定する。頭部52と係止ブロック57とは環状スリーブ40の前端面に当接し、環状スリーブ40の抜け出しを防止する。
【0038】さらに、本発明の実施形態においては、以上説明した実施形態の他に下記のような構成であっても良い。
1)ツース取付部11及び取付部21の形状をそれぞれ略円柱形状及び円筒形状としたが、例えば図12(a)に示す楕円柱形状及び楕円筒形状、あるいは図12(b)に示す角形柱形状及び角形筒形状であっても良い。
2)ツース取付部11の凸状部14は開口部13の互いに対面する開口端部の両側に設けたが、片側のみに設けても良い。
3)環状スリーブ40の抜け止め手段は、環状スリーブ40をツース20に点溶接しても良い。
【0039】以上説明したように、本発明によると、上記のような構成及び方法としたため、ツースの磨耗寿命、及びツースとアダプタとの当接面の摩耗寿命を長くでき、ツースの抜けを確実に防止して破損のおこれをなくすことができる。また、ツースとアダプタの交換寿命を向上でき、安価なツースとアダプタが得られる。
【出願人】 【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
【出願日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−355258(P2001−355258A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−177554(P2000−177554)