トップ :: E 固定構造物 :: E02 水工;基礎;土砂の移送




【発明の名称】 自走土留め機
【発明者】 【氏名】平倉 昇

【要約】 【課題】地中管埋設工事において、溝掘削進行時に矢板打ち込み、引き抜きを不要とした新規な自走土留め機を提供する。

【解決手段】溝の間隔で対面させた側壁部11に溝内走行機構12を付設し、後方に仕切板13を有する土留め部1と、前記土留め部の側壁部前端に設けた掘削部2と、前記掘削部の上方に配置して、掘削廃土を排出する排出部3と、掘削溝幅より横方に張り出して設けた走行部5とを備え、溝の掘削を行いながら地中配管の埋め戻しを行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 梁で連結して掘削溝の間隔で対面させた側壁部に、溝内進行機構を付設し、後方梁部の後方に対向側壁間に上下移動可能に架設し、下方に埋設管用切欠部を形成した後方仕切板を有する土留め部を備えてなることを特徴とする自走土留め機。
【請求項2】 側壁部における仕切り板後方部分を、尾端が薄くなるテーパー状に形成し、溝内進行機構を、側壁面に設けたキャタピラで構成してなる請求項1記載の自走土留め機。
【請求項3】 請求項1又は2記載の土留め部と、前記土留め部の側壁部前端に設けて、掘削溝の切り羽を掘削すると共に、掘削土を上方に排出する掘削部と、前記掘削部の上方に配置して、掘削部で掘削された廃土を排出する排出部と、掘削溝幅より横方に張り出して設けた走行部とを備えてなることを特徴とする自走土留め機。
【請求項4】 走行部を、側壁部と掘削部と排出部とからなる全体に対して、上下位置調整機構を介して連結してなる請求項3記載の自走土留め機。
【請求項5】 請求項1記載の土留め部における側壁部の先端部分に、先端が薄くなるテーパー状に形成した先行板を連結すると共に、先行板の後方部分或いは側壁部先端部分間に、先行仕切り板を設けてなることを特徴とする自走土留め機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地中管埋設の土木工事において、地中管埋設のための溝掘削時に溝側面の土留めを行う自走土留め機に関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】地中管埋設工事は、地中管を配管接続するための溝を掘削し、当該溝内に配管を施した後、溝の埋め戻しを行っている。この溝掘削は、直接掘削した場合には、溝側面が崩落してしまうので、適宜な土留めが必要である。そこで従前より、掘削すべき溝の幅に矢板を打ち込み、この矢板を土留めとして、矢板間を掘削しているもので、掘削作業は、バケット掘削やオーガスクリュー掘削で行われている。
【0003】前記の従来工法では、掘削すべき溝の全てに矢板の打ち込み作業が必要であり、また配管後の埋め戻しに際しては、矢板の引き抜き作業が必要となってくる。更に土壌状態によっては、単に矢板を打ち込んだのみで、土留め機能が発揮されない場合もあり、切り梁や腹起こしの設置を行ったり控え矢板を打ち込み、止め矢板と控え矢板間をタイロッドで連結する補強作業も必要となってくる。
【0004】そこで本発明は、溝掘削進行時に矢板打ち込み、引き抜きを不要とした新規な自走土留め機を提案したものである。
【0005】
【課題を解決する手段】本発明に係る自走土留め機は、梁で連結して掘削溝の間隔で対面させた側壁部に、溝内進行機構を付設し、後方梁部の後方に対向側壁間に上下移動可能に架設し、下方に埋設管用切欠部を形成した後方仕切板を有する土留め部を備えたことを特徴とするものである。そして前記土留め部に、前記土留め部の側壁部前端に設けて、掘削溝の切り羽を掘削すると共に、掘削土を上方に排出する掘削部と、前記掘削部の上方に配置して、掘削部で掘削された廃土を排出するコンベア部と、掘削溝幅より横方に張り出して設けた走行部とを加えてたり、又前記土留め部における側壁部の先端部分に、先端が薄くなるテーパー状に形成した先行板を連結すると共に、先行板の後方部分或いは側壁部先端部分間に、先行仕切り板を設けてなるものである。
【0006】而して掘削溝の開始箇所に、従来工法で、自走土留め機が内置される溝を掘削し、この開始箇所の掘削溝内に、自走土留め機を内置して作動させるもので、止め部に、掘削部とコンベア部と走行部を敷設している場合には、掘削部で溝の切り羽を掘削し、掘削土を上方へ排出すると共に、コンベア部で機体外に排出し、走行機構並びに走行部の動作で掘削方向に機体を移動させる。
【0007】また土留め部の先端に先行板を付設した場合には、開始箇所の掘削溝内に内置し、走行機構で機体を掘削方向に移動させながら、先行板の幅で、バックホー等の他の掘削機械で切り羽を掘削していく。
【0008】従って機体は溝を掘削しながら進行し、側壁部で保護された溝空間内で配管作業を行うことができ、配管作業が終了している後方仕切り板後方箇所で埋め戻しを行うので、埋設配管作業は、機体の溝内設置時、作業終了時の溝からの機体取り出し以外は、自走機体が土留めとなり、矢板打ち込み等の土留め作業が不要となる。
【0009】
【実施の形態】次に本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図6は第一実施形態を示したもので、この第一実施形態の自走土留め機は、土留め部1、掘削部2、排出部3、操作台部4が一体に組み込まれた機体と、前記機体に付設した走行部5とで構成される。
【0010】土留め部1は、側壁部11と、溝内走行機構12と、後方仕切板13とを備えてなり、側壁部11は、切梁構造で連結して、掘削しようとする溝Aの間隔で対面させてなり、管長並びに機体の進行能力(走行能力)を考慮して適宜な長さとしてなる。この側壁部11の外側面には、溝Aの内側面と当接して機体の進行を行うキャタピラを後述する後方仕切板13の前方範囲全体に設けると共に、前記キャタピラの駆動機構を備えてなる溝内走行機構12を付設したものである。
【0011】更に側壁部11の後方梁部の後方に後方仕切板13を架設して、側壁部11で挟まれる空間を前後二分してなり、特に後方仕切板13は、上下移動可能に設け、且つ下方に埋設管B用の切欠部を形成してなる。この埋設管用切欠部は半円形状で、ゴム質板で縁取りし、埋設管Bと当接可能にしている。また側壁部11における前記後方仕切板13の後方となる箇所は、尾端が薄くなるテーパー状に形成してなる後行板部14としてなる。
【0012】掘削部2は、側壁部11の前端に設けて、側壁部11の外幅分即ち溝Aの幅で、溝の切り羽Cを掘削可能な構造で、左右のチェーンベルト間に掘削刃板を、倒伏起立自在に架設し、前面露出時に起立し、それ以外は倒伏するように設けてなる。
【0013】排出部3は、前記掘削部2の上方の掘削廃土を放出(排出)する箇所を基点としたコンベアで、排出方向を選択できるように、上方へ仰角変更機構並びに左右への首振り機構を付設してなる。
【0014】操作台部4は、前記掘削部2の上方に設けて、各部の動作をコントロールする操作レバーや、オペレーターが位置できるようにし、前記土留め部1及び掘削部2並びに排出部3と一体に連結するとともに、左右に張り出させて走行部5を付設してなる。
【0015】走行部5は、掘削溝Aの幅より横方に張り出して設けた前記操作台部4の下方に、油圧シリンダー等による上下位置調整機構51を介して設けたもので、キャタピラ走行構造を採用してなる。
【0016】而して前記の自走土留め機を使用して、地中管埋設工事を実施するもので、最初に工事の開始箇所で、矢板Dを使用した従来の土留め工法で、既設配管B0が露出し、且つ自走土留め機が内置される大きさの初期溝A0を掘削する。
【0017】初期溝A0の掘削が終了すると、初期溝A0内に自走土留め機を、溝掘削方向に前面を向けて内置する。切削部1を切り羽C迄前進させ、必要に応じて新設配管Bを既設配管B0と連結し、仮設土留めの矢板Dと機体の側壁部11との間並びに仕切板13の後方(但し既設配管B0の連結端部が仕切板より前方に存在している場合)にある後行板部14間を良質土で埋め戻す。
【0018】しかる後自走土留め機の運転を行うもので、掘削部2の作動で切り羽Cを掻き上げるように掘削し、掘削土Eは、上方に排出されると共に、排出部(コンベア部)3で機体外に排出される。特に排出部3の排出箇所にダンプカーF等を配置しておくと、掘削土の排出がそのままダンプカーFへの積み込みが実施されることになる。
【0019】従って自走土留め機の作動によって、溝Aの切り羽Cを掘削しながら進行し、土留め部1の側壁部11の間は、側壁部11で保護された作業空間となるので、当該空間で埋設配管Bの連結作業を行い、仕切板13の後方の後行板部14の間を順次埋め戻すことで、配管埋設作業が、特に矢板による土留めを施すことなく、連続的に行うことができる。
【0020】特に機体の走行部5の牽引走行同時に、溝の内側壁と当接する側壁部11の外側箇所で、溝内走行機構(キャタピラ)12が作動するので、機体を確実に進行させることができ、而も側壁部11の後方の後行板部14をテーパー状にしたので、埋め戻し後でも側壁部11の抵抗を少なくして進行できる。
【0021】また前記の埋め戻しに際しては、仕切板13の下方の切欠部に埋設配管Bを位置させるので、埋め戻しの土が作業空間に崩落して作業に支障をきたすことがないようにしている。
【0022】また走行部5は、溝Aの両側の地表部分を走行するもので、上下位置調整機構によって機体と走行部5の相対的上下位置関係が変更されるので、溝Aの深さは前記上下位置調整機構51で調整される。
【0023】尚前記の地中管埋設工事において途中に、マンホールなどの構造物Gの構築が必要な場合には、事前に当該構造物Gの構築作業に必要な空間確保のために、矢板Dによる仮設土留めを施し、当該箇所を土留め機が通過した後、当該位置に停止させて、仮設土留め内空間で構造物Gの構築を行う。勿論前記の仮設土留めについて、切梁等の必要とする補強を施すことはいうまでもない。
【0024】自走土留め機による地中管埋設工事の終了に際しては、事前に終了箇所には、矢板Dによる仮設土留めを施し、当該箇所に土留め機が位置した際に、運転を終了し、溝A内から引き上げるものである。
【0025】図7乃至図9は本発明の第二実施形態を示したもので、この第二実施形態の自走土留め機は、前記第一実施形態と相違し、掘削機能を備えていないが、土留め部1aに先行機構を組み込んだものである。
【0026】先行機構を組み込んだ土留め部1aは、前記第一実施形態の土留め部1と同様に、側壁部11と、溝内走行機構12と、後方仕切板13と後行板部14を備えてなり、後方仕切板13の下方には埋設管用切欠部を備えてなる。
【0027】先行機構は、側壁部11の先端部分に側壁部11の延長となり、且つ先端が薄くなるテーパー状に形成した先行板15を連結すると共に、先行板15の後方部分或いは側壁部11先端部分間に、先行仕切板16を設けてなる。
【0028】而して前記第二実施形態の自走土留め機を使用して地中管埋設工事を実施するもので、最初は、第一実施形態と同様に、矢板Dを使用した従来の土留め工法で、既設配管B0が露出し、且つ自走土留め機が内置される大きさの初期溝A0を掘削し、初期溝A0内に自走土留め機を、溝掘削方向に前面を向けて内置する。そして先行板15の先端を切り羽C迄前進させ溝掘削を開始するものである。
【0029】溝掘削は、先行板15を切り羽Cにその一部(下方先端)を食い込ませると共に、バックホー等の掘削機Hで先行板15の間並びにその先を掘削し、掘削土EをダンプカーFに排出し、同時に機体を徐々に進行させる。この機体進行(溝掘削)と同時進行で、側壁板11で保護された空間で配管連結作業を行い、後方仕切板13の後方空間(後行板14の間)を埋め戻す。
【0030】従って自走土留め機は、溝Aを掘削機Hで掘削しながら進行し、土留め部1の側壁部11の間は、側壁部11で保護された作業空間で埋設配管Bの連結作業を行い、仕切板13の後方部分を順次埋め戻すことで、配管埋設作業が、特に矢板による土留めを施すことなく、連続的に行うことができるものである。
【0031】工事途中の構造物Gの構築や、地中管埋設工事の終了に際しての処理は、前記第一実施例と同様である。
【0032】尚本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、土留め部の走行機構は、長尺キャタピラに限定されずに、短尺キャタピラでも良いし、また側壁部11の底面に走行機構を設けても良い。また第一実施形態の掘削部も、掻き上げタイプに限定されるものではなく、横移動を可能としたオーガタイプのものでも良い。また排出部はコンベアに限定されるものではなく、他の掘削土搬送機構を採用しても良い。
【0033】
【発明の効果】以上のように本発明は、掘削溝の間隔で対面させた側壁部に溝内進行機構を付設し、後方に後方仕切板を有する土留め部を備えた自走土留め機で、地中管埋設工事において、前記機体の溝内への設置時並びに溝内からの回収時以外は、特別な土留め工事を施すことなく、溝の掘削、地中配管、埋め戻しを行うことができたもので、地中管埋設工事の作業能率を著しく向上させたものである。
【出願人】 【識別番号】594011730
【氏名又は名称】平倉 昇
【出願日】 平成12年6月5日(2000.6.5)
【代理人】 【識別番号】100084102
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 彰
【公開番号】 特開2001−348907(P2001−348907A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−167584(P2000−167584)