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【発明の名称】 オフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベル
【発明者】 【氏名】小川 清和

【氏名】松田 行信

【要約】 【課題】オフセット状態でも最大掘削深さ近くまで深く深堀ができるオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルを提供する。

【解決手段】上部旋回体(2)に上下揺動自在に取着した第1ブーム(11)の先端部に第2ブーム(15)の基端部を、第2ブーム(15)の先端部に第3ブーム(19,29)の基端部をそれぞれ左右揺動自在に取着し、第3ブーム(19,29)の先端部に、バケット(22)を有するアーム(21)を上下揺動自在に取着して、第3ブーム(19,29)を左右にオフセット可能としたオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルにおいて、第2ブーム(15)をショートブームにし、このショートブームに対応して第3ブーム(19,29)をロングブームにした。ショートブームなる第2ブーム(15)は、第1ブーム(11)が最大倒伏位置にあるときに、第2ブーム(15)の揺動時の先端部最下端が地表面に略位置する長さを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部旋回体(2)に第1ブーム(11)の基端部を上下揺動自在に取着し、第1ブーム(11)の先端部にショートブーム化した第2ブーム(15)の基端部を左右揺動自在に取着し、ショートブーム化した第2ブーム(15)の先端部にロングブーム化した第3ブーム(19,29)の基端部を左右揺動自在に取着して、ロングブーム化した第3ブーム(19,29)を第1ブーム(11)に対して平行にオフセット可能とし、ロングブーム化した第3ブーム(19,29)の先端部に、作業機を装着した作業機アーム(21)を上下揺動自在に取着したことを特徴とするオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベル。
【請求項2】 ショートブーム化した前記第2ブーム(15)の長さを、第1ブーム(11)最大倒伏時のときに、第2ブーム(15)の先端部が地表面に接触しないで左右揺動可能にした長さとしたことを特徴とする請求項1記載のオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベル。
【請求項3】 ショートブーム化した前記第2ブーム(15)を、平行リンク機構の構成リンクとしたことを特徴とする請求項1又は2記載のオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベル。
【請求項4】 請求項1、2又は3記載のオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルにおいて、ショートブーム化した前記第2ブーム(15)の時計方向又は反時計方向への左右揺動動きと、ロングブーム化した前記第3ブーム(19,29)の反時計方向又は時計方向への左右揺動動きとの屈折を阻止するために、第2ブーム(15)と第3ブーム(19,29)との間に、左右屈折拘束リンク機構を備えたことを特徴とするオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベル。
【請求項5】 第2ブーム(15)と第3ブーム(19,29)との間に渡した前記左右屈折拘束リンク機構を機械リンク(30)とし、前記機械リンク(30)と第3ブーム(19,29)との間に複数の結合固定点を設け、前記機械リンク(30)の結合固定点の変更により第2ブーム(15)と第3ブーム(19,29)とを第1ブーム(11)に対して直線状の姿勢に、又は第3ブーム(19,29)を第1ブーム(11)に対して平行にオフセットした屈折状の姿勢に選択的に変更すると共に、その姿勢状態を拘束可能としたことを特徴とする請求項4記載のオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベル。
【請求項6】 第2ブーム(15)と第3ブーム(19,29)との間に渡した前記左右屈折拘束リンク機構を油圧シリンダ(20)とし、前記油圧シリンダ(20)の伸縮により第2ブーム(15)と第3ブーム(19,29)とを第1ブーム(11)に対して直線状の姿勢に、又は第3ブーム(19,29)を第1ブーム(11)に対して平行にオフセットした屈折状の姿勢に選択的に変更すると共に、その姿勢状態を拘束可能としたことを特徴とする請求項4記載のオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、油圧ショベルの中に、バケットを先端部に取着したアームを、上部旋回体に上下揺動自在に取着されたブームの先端部に左右揺動自在な平行リンクを介してオフセット可能に取着した、いわゆるオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルと呼ばれるものがあり、一般的に溝堀に使用されている。
【0003】先ず、図10,図11により、第1の従来例のオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルの説明を行う。図10はこの油圧ショベルの側面図、図11はその平面図である。下部走行体1の上部略中央に上部旋回体2が旋回自在に搭載されており、上部旋回体2の上部左前には運転室3が配設されている。上部旋回体2の上部の略中央前部には、第1ブーム51が油圧シリンダ52により上下揺動可能に取着されている。また、第1ブーム51の先端部には第2ブーム55及びラテラルロッド56の各基端部がそれぞれピン53,54により左右揺動自在に取着され、この第2ブーム55及びラテラルロッド56の先端部にはアーム支持ブラケット59がそれぞれピン57,58により左右回動自在に取着されていて、いわゆる4節リンク機構が構成されている。第2ブーム55の側方には、第2ブーム55とアーム支持ブラケット59とを回動自在に連結する油圧シリンダ(以下オフセットシリンダと言う)60が取着されている。さらに、アーム支持ブラケット59の先端部にはアーム61が、同アーム61の先端部にはバケット62が、それぞれ油圧シリンダ63,64により上下揺動自在に取着されている。
【0004】上記の構成において、アーム支持ブラケット59、アーム61及びバケット62は第1ブーム51に対して前記4節リンク機構を介してオフセット可能となっており、左方には図11に示すY位置まで,右方には同じくZ位置までオフセット(図11に仮想線で示す)ができるから、下部走行体1の外側面位置近傍まで掘削できる。この結果、建物の垂直壁の根元まで掘削できるようになっている。
【0005】また、第2の従来例として、例えば特開平10−317412号公報には、第1ブームの先端部を曲げて第2ブーム取り付け位置を予めオフセットさせておく技術が開示されている。図14,図15は、それぞれ同公報に記載されたオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルの側面図及び平面図である。図14,図15において、下部走行体81の上部略中央に旋回自在に搭載された上部旋回体82の前部略中央に、第1ブーム84が上下揺動自在に取着されている。第1ブーム84の先端部は同ブームの中心線X0に対して左側に湾曲して所定距離オフセット(以下プリオフセットと言う)されており、この湾曲部の先端部に第2ブーム86の取付け部84A及びラテラルロッド87の取付け部84Bが形成されている。
【0006】前記取付け部84A,84Bにはそれぞれ第2ブーム86とラテラルロッド87が左右揺動自在に取着され、また第2ブーム86及びラテラルロッド87の先端部にはアーム支持ブラケット90が左右揺動自在に取着されていて、いわゆる4節リンク機構が構成されている。また、第2ブーム86の側方で、かつ前記取付け部84Bと第2ブーム86との間に取着されたオフセットシリンダ93により、アーム支持ブラケット90が第1ブーム84の中心線X0に対してオフセット可能となっている。さらに、前記アーム支持ブラケット90の先端部にアーム94が、アーム94の先端部にバケット95がそれぞれ上下揺動自在に取着されている。
【0007】図14,図15の構成においては、第1ブーム84の形状によって当初から、第2ブーム86からバケット95までが直線状に同油圧ショベルの左側面寄りにプリオフセットしている。従って、オフセットシリンダ93によるオフセット量がゼロのときに、建物に近い位置でバケット95の幅と同一幅の溝を掘削する(一般に深堀と呼ばれる)ことが可能となり、また同油圧ショベルの有する最大掘削深さまでの深堀が可能となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術には以下のような問題がある。
(1)上記第1の従来例においては、バケット62で深堀する場合に、溝側壁の上端部と第2ブーム55又はラテラルロッド56との干渉が発生するので、溝を深く掘ることができない。即ち、図12,14に示すように深堀する場合には、第2ブーム55をオフセットさせない状態(図示のX位置)で最大掘削深さDが得られる。ところが、左方向に図示のY位置までオフセットした状態で深掘すると、傾斜させた第2ブーム55がP点で溝側壁(図中斜線部)に干渉するから、実質的には図示のDRの深さまでしか掘削できない。同様に、右方向に図示のZ位置までオフセットした状態で深堀すると、R点でラテラルロッド56が溝側壁に干渉して、実質的には図示のDLの深さまでしか掘削できないという問題がある。
(2)上記特開平10−317412号公報に開示された技術においても、オフセットした状態では、例えば図16に示す左方にオフセットした状態のように第2ブーム86及びラテラルロッド87が斜めに傾くから、このオフセット状態で深堀する際には、先に図13において説明したのと同様に第2ブーム86又はラテラルロッド87と溝側壁の上端部との干渉が発生する。このため、同油圧ショベルの有する最大掘削深さまでの深堀ができないと言う問題を有している。
【0009】本発明は、上記の問題点に着目してなされたもので、オフセットブームをオフセットした状態においても、油圧ショベルの有する最大掘削深さ近くまで深く深堀ができるオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】上記の目的を達成するために、本発明に係るオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルの第1の発明は、上部旋回体に第1ブームの基端部を上下揺動自在に取着し、第1ブームの先端部にショートブーム化した第2ブームの基端部を左右揺動自在に取着し、ショートブーム化した第2ブームの先端部にロングブーム化した第3ブームの基端部を左右揺動自在に取着して、ロングブーム化した第3ブームを第1ブームに対して平行にオフセット可能とし、ロングブーム化した第3ブームの先端部に、作業機を装着した作業機アームを上下揺動自在に取着した構成としている。
【0011】第1の発明によれば、第2ブームをショートブームとし、このショートブームに対応して第3ブームを長いブーム形状を有するロングブームとしたので、第2ブームを左右に揺動して第1ブームに対してオフセットさせたときに、第2ブームの先端部の地表面からの高さを低く抑えて、かつ第2ブームから先端側の長さ、即ち第3ブーム、アーム及び作業機(バケット等)を含めた長さを従来に比して長くすることができる。つまり、オフセットさせたときに斜めに揺動している第2ブームが掘削溝の側壁上端部に干渉しないように第2ブームの先端部を地表面近傍まで下げた状態で、作業機及びアームのみならずロングブーム化した第3ブームも溝内に垂直に降ろすことができ、従来よりも深く掘削できる。これにより、オフセット状態での深堀が可能となる。また、第2ブームをショートブーム化し、このショートブームに対応して第3ブームをロングブーム化することにより、作業機全体の重量を従来とあまり変えずに、つまり作業機と車体との重量バランスを大きく変更することなく掘削可能深さを深くすることができ、従来と同様の作業負荷性能で掘削できる。
【0012】第2の発明は、第1の発明において、ショートブーム化した前記第2ブームの長さを、第1ブーム最大倒伏時のときに、第2ブームの先端部が地表面に接触しないで左右揺動可能にした長さとしている。第2の発明によれば、第1ブームを最大倒伏位置に操作したときに、ショートブーム化した第2ブームを左右揺動しても、第2ブームの先端部が地表面に接触しないので、第1ブームに対して第3ブームが平行にオフセットした状態で第2ブームが掘削溝の側壁面上端部に干渉することがない。したがって、オペレータは安心して第1ブームを倒伏させ、第2ブームを揺動させることができるので、操作が容易で操作性を向上できる。しかも、掘削溝内には作業機及びアームの他にロングブーム化した第3ブームも垂直に下降できるから、オフセット位置に関わりなく、本油圧ショベルの有する最大掘削深さまで狭い溝を掘削(特に深堀)することができる。したがって、同油圧ショベルの位置を正確に溝位置に合わせなくても、第3ブームをオフセットして所定位置に合わすだけで、狭くて深い溝の掘削を可能としている。
【0013】第3の発明は、第1又は第2の発明において、ショートブーム化した前記第2ブームを、平行リンク機構の構成リンクとしている。第3の発明によれば、ショートブーム化した第2ブームを平行リンク機構の構成リンクとしたので、この簡単な構成の平行リンク機構によって、オフセット状態においても第3ブームを第1ブームに対して平行姿勢に保持できる。したがって、ブームの平行オフセット機構をコンパクトに構成できると共に、掘削時の溝方向とバケットの掘削方向とを等しくできるので、精度の良い掘削を行うことができる。また、掘削時の操作性が非常に良く、溝の位置合わせが容易である。
【0014】第4の発明は、第1、第2又は第3の発明において、ショートブーム化した前記第2ブームの時計方向又は反時計方向への左右揺動動きと、ロングブーム化した前記第3ブームの反時計方向又は時計方向への左右揺動動きとの屈折を阻止するために、第2ブームと第3ブームとの間に、左右屈折拘束リンク機構を備えた構成としている。第4発明によれば、第1〜3発明の作用効果に加えて、発明左右屈折拘束リンク機構により第2ブームの左右揺動動きと第3ブームの左右揺動動きとの屈折を阻止するので、オフセットした状態を保持して掘削ができる。
【0015】第5の発明は、第4の発明において、第2ブームと第3ブームとの間に渡した前記左右屈折拘束リンク機構を機械リンクとし、前記機械リンクと第3ブームとの間に複数の結合固定点を設け、前記機械リンクの結合固定点の変更により第2ブームと第3ブームとを第1ブームに対して直線状の姿勢に、又は第3ブームを第1ブームに対して平行にオフセットした屈折状の姿勢に選択的に変更すると共に、その姿勢状態を拘束可能とした構成としている。第5の発明によれば、第2ブームと第3ブームとの間に渡した左右屈折拘束リンク機構を機械的なリンクとし、この機械リンクと第3ブームとの間に複数の結合固定点を設けて、実作業時に機械リンクを結合する結合固定点を変更することにより第2ブームと第3ブームとの第1ブームに対する屈折姿勢状態を選択的に変更し、その姿勢状態を拘束する。従って、第4発明の作用効果に加えて、左右屈折拘束リンク機構を機械的リンクという簡単な構造で安価に構成できる。(例えば、両者間をリンクでピン結合する、又はねじ部材により結合する。)また、第3ブームのオフセット位置を選択可能となり、掘削溝との位置合わせが容易にできる。なお、複数の屈折姿勢状態の選択は、例えば前記機械リンクの長さの選択、ねじ調整によるリンク長さの設定、又は機械リンクの複数の前記結合固定点からの選択等により可能となる。
【0016】第6の発明は、第4の発明において、第2ブームと第3ブームとの間に渡した前記左右屈折拘束リンク機構を油圧シリンダとし、前記油圧シリンダの伸縮により第2ブームと第3ブームとを第1ブームに対して直線状の姿勢に、又は第3ブームを第1ブームに対して平行にオフセットした屈折状の姿勢に選択的に変更すると共に、その姿勢状態を拘束可能とした構成としている。第6の発明によれば、第2ブームと第3ブームとの間に渡した左右屈折拘束リンク機構を油圧シリンダとし、実作業時にこの油圧シリンダの伸縮操作により第2ブームと第3ブームとの第1ブームに対する屈折姿勢状態を選択的に変更し、その姿勢状態を拘束する。従って、第4発明の作用効果に加えて、以下の効果が得られる。即ち、第3ブームのオフセット位置が大きな労力をかけずに容易に設定されるので、オペレータのオフセット設定作業が楽である。また、掘削作業中にオフセット位置を微妙に調整できるから、油圧ショベル本体の位置を修正する必要がなく、したがって精度の良い溝を容易に掘削できる。なお、上記油圧シリンダの取付け可能な個所を複数準備しておき、それを選択することによって、ストロークの短いコンパクトな油圧シリンダでも、同様の効果が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳述する。
【0018】先ず、図1〜図7により、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態のオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルの側面図であり、図2はその平面図である。なお、図10及び図11と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0019】図1〜図2において、上部旋回体2の上部の中央前部には第1ブーム11が油圧シリンダ12によって上下揺動自在に取着されており、第1ブーム11の先端部には、左右揺動時に先端部が地表面に接触しない程度にショートブーム化したリンク状の第2ブーム15の基端部がピン13により左右揺動自在に取着されている。また、第2ブーム15の先端部には、第2ブーム15のショートブーム化に対応してロングブーム化した第3ブーム19の基端部がピン17により左右揺動自在に取着されている。そして、第2ブーム15の側方(ここでは左側方)には、第1ブーム11の先端部と第3ブーム19の基端部との間に、第2ブーム15と同程度に短いラテラルロッド(以下ショートロッドと言う)16がそれぞれピン14,18により左右揺動自在に連結されている。これらのピン13,17,18,14により、第1ブーム11、第2ブーム15、第3ブーム19及びショートロッド16はいわゆる平行4節リンク機構を構成している。この平行4節リンク機構に対して、第2ブーム15及び第3ブーム19の側面間には油圧シリンダ(以下オフセットシリンダと言う)20が左右揺動自在に取着されている。さらに、前記第3ブーム19の先端部にはアーム21の基端部が、またアーム21の先端部には作業機(ここではバケット22)が、それぞれ油圧シリンダ23,24により上下揺動自在に取着されている。
【0020】図3〜図4は、本実施形態に係るオフセットブームの要部説明図である。図3(A)は図1のF視図で、オフセットゼロ即ち図2のU位置の状態を表しており、図3(B)はその側面図である。ピン13,17,18,14によって4節リンクが構成され、第2ブーム15とショートロッド16の長さが略等しいので、平行4節リンクとなっている。本実施例では、第2ブーム15をショートブーム化したのに対応して、第3ブーム19はロングブーム化している。オフセットシリンダ20が所定伸縮長さの時には、第1ブーム11、第2ブーム15、第3ブーム19及びアーム21が一直線上に並び、オフセットはU位置(オフセット量=0)となる。また図4に示すように、オフセットシリンダ20を縮めると、第3ブーム19はW位置にオフセットする。尚、オフセットシリンダ20の第3ブーム19側の取付部19aの先端部の位置は、正面視でバケット22の幅以内に入るように設定されている。
【0021】以上の第1実施形態により、次の作用及び効果が得られる。図5に示すように、短く構成した第2ブーム15及びショートロッド16のそれぞれの先端部の左右揺動時の最下端位置は、第1ブーム11を最大倒伏位置まで下げた場合でも、地表面Gの近傍にとどまっている。即ち、深堀する場合、図6に示すようにオフセットゼロ(U位置)の時は、前記第2ブーム15及びショートロッド16の先端部は略地表面Gの位置にあり、図7に示すように、右にオフセットしたW位置の時でも前記先端部は地表面Gに接触することがない。そして、この代わりに、第2ブーム15をショートブーム化したのに対応してロングブーム化した第3ブーム19が地表面G下に入り込むようにしている。また、オフセットシリンダ20の第3ブーム19側の取付部19aの先端部の位置は、正面視でバケット22の幅以内に入っている。このとき、オフセットにより傾斜している第2ブーム15及びショートロッド16が溝の側壁上端部より上方にあって、バケット22及びアーム21のみならずロングブーム化した第3ブーム19も溝内に入って掘削できるので、本実施形態に係る油圧ショベルの有している最大掘削深さKに近い位置まで深く掘削できる。
【0022】図6において、オフセットゼロの状態で第1ブーム11からバケット22まで一直線上にあり、溝側壁25にも接触しないから、この状態で最大掘削深さKが得られる。
【0023】図7において、右へW位置までオフセットした状態でも、オフセットによって斜めに傾いた第2ブーム15及びショートロッド16は何れも地表面Gよりも上にあって、代わりに第3ブーム19が鉛直方向に溝内に入り込んでいるから、深堀時でも第2ブーム15及びショートロッド16は溝側壁25と干渉することがなく、前記最大掘削深さKに略等しい深さまで掘削できる。従って、従来に比して、深く深堀することができる。更に、この状態では同油圧ショベルの右最外側に近いところまで掘削できるから、建物の垂直壁の略根元に沿った狭い溝も掘削できる。
【0024】また、ショートブーム化した第2ブーム15の先端部は、第1ブーム11を最大倒伏位置に操作したときでも常に地表面よりも上に位置するので、オフセットした状態でも第2ブーム15が掘削溝の側壁面上端部に接触することがない。したがって、オペレータは安心して第1ブーム11を倒伏させ、そして第2ブーム15を左右に揺動させることができるので、操作が容易で操作性を向上できる。
【0025】第1ブーム11、第2ブーム15、第3ブーム19及びショートロッド16によって構成される平行4節リンクにより、上記のようなオフセット状態においても、第3ブーム19を第1ブーム11に対して平行姿勢に保持できる。したがって、掘削時の溝方向とバケット22の掘削方向とを等しくできるので、精度の良い掘削を行うことができる。また、掘削時の操作性が非常に良く、溝の位置合わせが容易である。
【0026】以上の結果、オフセット位置に関係無く、同油圧ショベルの有する最大掘削深さに略等しい深さまで狭い溝を掘削することができる。したがって、深堀等の狭くて深い溝を掘削する際に、同油圧ショベルの走行位置を正確に溝位置に合わせなくても、前記第3ブーム19のオフセット位置を調整して所定位置を掘削できる汎用性の高いオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルを実現できる。また、第2ブーム15をショートブーム化したのに対応して、第3ブーム19をロングブーム化したことにより、作業機と車体との重量バランスを大きく変更することなく、掘削可能深さを深くすることができる。
【0027】また、オフセットシリンダ20の伸縮によって第2ブーム15及び第3ブーム19を任意の左右揺動変位位置に調整して両ブーム間の屈折姿勢状態を拘束し、オフセット位置を容易に設定できるので、オペレータはオフセット設定を労力をかけずに楽にできる。また、掘削作業中にオフセット位置を微妙に調整できるから、油圧ショベル本体の位置を修正する必要がないので、精度の良い溝を容易に掘削できる。さらに、掘削溝との位置合わせを容易にできる。
【0028】尚、本実施形態では、オフセットシリンダ20を第2ブーム15と第3ブーム19の間に取着した例を示したが、これに限定されず、第1ブーム11と第2ブーム15との間に取着してもよい。この場合には、オフセットシリンダ20と掘削溝の側壁との干渉の畏れはなくなる。また、オフセットシリンダ20の伸縮ストロークを長くすることにより、第2ブーム15を第1ブーム11に対して左右に揺動し、U位置に対して左右方向にオフセットすることも可能である。
【0029】次に、図8及び図9により、第2実施形態について説明する。図8は、第2実施形態のオフセットブームの要部説明図であり、オフセット量が0の状態を表し、図8(A)は正面図、同(B)は側面図である。なお、図3と同一の構成要素には同一の符号を付して以下での説明を省略する。
【0030】図8において、第2ブーム15及びショートロッド16の先端部に第3ブーム29が,それぞれピン17,18により揺動自在に取着されていて、いわゆる平行4節リンク機構が構成されている。また、第2ブーム15の側面にはピンボス部15aが設けられ、第3ブーム29の側面には複数のピン孔29U,29Wを有するピンボス部29Aが設けられている。なお、ピンボス部29Aは本実施形態では一体で構成しているが、ピン孔29U,29Wをそれぞれ有するピンボス部を個別に設けてもよい。さらに、第2ブーム15のピンボス部15aと前記ピンボス部29Aの複数のピン孔29U,29Wのいずれか一つの孔(図8ではピン孔29U)との間には、所定長さを有するオフセット固定リンク30がそれぞれピン32,31により連結されている。
【0031】本実施形態の構成によると、オフセット固定リンク30の第3ブーム29側の結合固定位置を変更することにより、前記平行4節リンクを左右に揺動してオフセット位置が設定される。図8に示すように、オフセット固定リンク30をピン31でピン孔29Uに結合すると、前記平行4節リンクの変位は拘束されて第3ブーム29はオフセットゼロの状態即ち図中U位置に保持される。また図9に示すように、オフセットリンク30をピン孔29Wに結合すると第3ブーム29はW位置にオフセットされる。
【0032】この結果、前実施形態と同様に、オフセットしたときの第2ブーム15の先端部の位置が常に地表面Gよりも上部にあるように構成し、代わりに第3ブーム29が掘削溝内に入り込むようにしたので、オフセット時に斜めに揺動した第2ブーム15及びショートロッド16と溝側壁上端部との干渉を避けながら深堀する場合に、従来よりも深く掘削できる。したがって、建物の垂直壁等に近づけて壁に沿ってより深く深堀が可能となる。また、本実施形態では、掘削する溝位置に会わせて、オフセット固定リンク30によって複数箇所にオフセット位置を調整することができるから、簡単な構成で、かつ低価格で汎用性の高いオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルを実現できる。
【0033】なお、本実施形態では、オフセット固定リンク30の結合位置を2個所(ピン孔29U,29W)設けているが、結合位置の数は2個所に限定されず、3個所以上でもよい。また、オフセット固定リンク30の結合位置を変更することによりオフセット位置を設定するようにしているが、オフセット固定リンク30を長さの異なるものに取り替えても同様に複数のオフセット位置の設定変更が可能である。また、オフセット固定リンクを例えばターンバックル式のねじ部材で構成し、このターンバックルのねじで機械リンク長さを調整する構造としてもよい。
【0034】以上説明したように、本発明によると、オフセット位置に関わりなく、例えば深堀等のように狭くて深い溝を最大掘削深さに近い位置まで深く掘削することができ、汎用性の高いオフセットブームリンク式作業機構を有する油圧ショベルを構成できる。
【出願人】 【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
【出願日】 平成12年6月7日(2000.6.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−348902(P2001−348902A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−171340(P2000−171340)