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【発明の名称】 建設機械の掘削バケット
【発明者】 【氏名】楠原 久史

【氏名】石見 博之

【要約】 【課題】掘削バケットの製作コスト及び管理コストの低減を図ることができると共に、掘削バケットの底板コーナ部外側の耐摩耗性を向上することが可能な建設機械の掘削バケットを提供する。

【解決手段】掘削バケット1の底板2コーナ部にコーナツースアダプタ9、9を有する掘削バケット1において、コーナツースアダプタ9はアダプタ本体部12を有し、アダプタ本体部12にバケット側板3と接続する側板接続部13を設け、アダプタ本体部12の両側部にバケット底板2と接続する底板接続部19、20を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 掘削バケット(1)の底板(2)コーナ部にコーナツースアダプタ(9)(9)を有する掘削バケット(1)において、上記コーナツースアダプタ(9)は、アダプタ本体部(12)を有して成り、上記アダプタ本体部(12)にバケット側板(3)と接続する側板接続部(13)が設けられ、上記アダプタ本体部(12)の両側部にバケット底板(2)と接続する底板接続部(19)(20)が設けられていることを特徴とする建設機械の掘削バケット。
【請求項2】 上記側板接続部(13)は、アダプタ本体部(12)からその幅を徐々に狭めながらバケット側板(3)側へ伸びるように形成され、その頂部がバケット側板(3)に接続されることを特徴とする請求項1の建設機械の掘削バケット。
【請求項3】 上記アダプタ本体部(12)は、掘削バケット(1)の奥部に向かって、その幅が狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2の建設機械の掘削バケット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、油圧ショベルのような建設機械に装着される掘削バケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4(a)は、掘削バケット51を備えた油圧ショベル45を示す概略全体図、図4(b)は、掘削バケット51の概略正面図を示している。この油圧ショベル45は、下部走行体46と、その上に旋回自在に搭載された上部旋回体47と、この上部旋回体47から前方に延びる回動可能なブーム48と、ブーム48の先端に回動可能に取付けられたアーム49と、アーム49の先端に取付けられた掘削バケット51とを有している。
【0003】掘削バケット51は、図4(b)に示すように、略C字状に湾曲した底板52と、この底板52に立設された左右一対の側板53、53と、底板52の背面に取付けられた一対のブラケット54、54と、底板52の先端に取付けられた複数のツースアダプタ55・・とを備える。
【0004】上記各ツースアダプタ55の先端には、掘削作業時における掘削力を高めるためそれぞれツース56が取付けられている。ツース56は、岩石等に直接接触し、摩耗しやすいことから交換可能に取付けられている。上記掘削バケット51による掘削作業時には、上記ツース56と共に掘削バケット51の底板52のコーナ部外側も摩耗する。この摩耗を放置したまま、掘削作業を続けると、摩耗が掘削バケット51の底板52と側板53、53との溶接部へと進行する。底板52と側板53、53との溶接部が摩耗することにより、溶接部の強度は低下する。このため、溶接部から亀裂が生じ、掘削バケット51が破損するおそれがある。そこで、掘削バケット51の底板52のコーナ部外側を強化するため、掘削バケット51の底板52コーナ部外側に交換可能に隅部組立体を取付ける点が実開昭53−38101号に開示されている。
【0005】図5は、実開昭53−38101号に開示されている従来例の掘削バケット61を示し、(a)は、掘削バケット61の概略全体斜視図、(b)は、右隅部組立体62の概略斜視図を示している。堀削バケット61には、底板63の右コーナ部外側に右隅部組立体62が取付けられており、底板63の左コーナ部外側に左隅部組立体69が取付けられている。右隅部組立体62は、水平方向に延びる底板部64と、底板部64から垂直方向に延びる側板部65と、後方に延びる内側鉤部66と、前方に延びる本体部67と、本体部67から前方に延びるツース取付部68とを有する一体構造をなしている。
【0006】右隅部組立体62は、プラウボルトおよびナットにより、堀削バケット61の底板63の右コーナ部外側に取付けられる。同様に、左隅部組立体69が掘削バケット61の底板63の左コーナ部外側に取付けられる。右隅部組立体62と左隅部組立体69とは、左右対称の形状となっている。
【0007】掘削バケット61の底板63コーナ部外側に隅部組立体62、69が取付けられることにより、掘削バケット61の底板63コーナ部外側の強度が向上し、底板63のコーナ部外側の耐摩耗性を向上することができる。このため掘削バケット61の底板63コーナ部外側に岩石等が接触しても、掘削バケット61の破損を防止することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記隅部組立体62、69は、左右対称の形状となっており、左隅部組立体62と右隅部組立体69とは異なる部品である。このため、左隅部組立体62と、右隅部組立体69とは、異なる型により製造しなければならず、製造コストがかかると共に、左隅部組立体62と右隅部組立体69とを別々に手配、製造、保管しなければならず管理コストがかかるという問題がある。
【0009】この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、建設機械の掘削バケットにおいて、掘削バケットの底板コーナ部外側の耐摩耗性を向上しながらも、掘削バケットの製造コスト及び管理コストの低減を図ることが可能な建設機械の掘削バケットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段及び効果】そこで、請求項1の建設機械の掘削バケットは、掘削バケット1の底板2コーナ部にコーナツースアダプタ9、9を有する掘削バケット1において、上記コーナツースアダプタ9は、アダプタ本体部12を有して成り、上記アダプタ本体部12にバケット側板3と接続する側板接続部13が設けられ、上記アダプタ本体部12の両側部にバケット底板2と接続する底板接続部19、20が設けられていることを特徴としている。
【0011】請求項1の建設機械の掘削バケット1によれば、コーナツースアダプタ9は、アダプタ本体部12の両側部に底板接続部19、20が設けられているため、掘削バケット1の左コーナ部及び右コーナ部のどちらにも取付けることができる。したがって、左右のコーナツースアダプタ9を区別することなく製造することができる。このため、同じ型でコーナツースアダプタ9を製造することができ、型費の削減が図れ、製造コストを低減することができると共に、コーナツースアダプタ9の手配、製造、保管が容易となり管理コストを低減することができる。
【0012】また、コーナツースアダプタ9のアダプタ本体部12の両側部に設けられた底板接続部19、20の一方は、バケット底板2と接続され、他方は、掘削バケット1のコーナ部外側となる。このため、掘削作業時において、コーナ部外側となる底板接続部19、20が岩石等と接触することとなり、掘削バケット1の底板2コーナ部の強度が上がり、底板2コーナ部外側の耐摩耗性を向上することができる。
【0013】請求項2の建設機械の掘削バケット1は、上記側板接続部13は、アダプタ本体部12からその幅を徐々に狭めながらバケット側板3側へ伸びるように形成され、その頂部がバケット側板3に接続されることを特徴としている。
【0014】請求項2の建設機械の掘削バケット1によれば、上記側板接続部13の断面形状がバケット側板3側へ徐々に狭まるように形成されているので、バケット側板3と側板接続部13との溶接部への応力集中を低減することができる。
【0015】また、バケット側板3と側板接続部13との溶接部は、掘削バケット1の底板2コーナ部から離れることになる。このため、岩石等が溶接部に接触する頻度を減らすことができ、溶接部の摩耗を防止することができる。
【0016】請求項3の建設機械の掘削バケット1は、上記アダプタ本体部12は、掘削バケット1の奥部に向かって、その幅が狭くなるように形成されていることを特徴としている。
【0017】請求項3の建設機械の掘削バケット1によれば、岩石等との接触頻度はアダプタ本体部12の特に先端部に多いことから、接触頻度の少ないアダプタ本体部12の掘削バケット1奥部側を、その幅を狭くすることによって、コーナツースアダプタ9の重量を軽減し、材料コストを低減することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、この発明の建設機械の掘削バケットの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】図1はこの発明の実施形態の掘削バケット1を示し、(a)は、概略後面図、(b)は、(a)におけるB−B断面図、(c)は、(b)におけるC視であり掘削バケットの概略先端図である。
【0020】掘削バケット1は、略C字状に湾曲した底板2と、この底板2に立設された左右一対の側板3、3と、底板2の背面に取り付けられた一対のブラケット4、4と、底板2の先端に取付けられた複数のツースアダプタ5・・と、底板2の先端側左右両端部に取付けられたコーナツースアダプタ9、9とを備えている。
【0021】上記コーナツースアダプタ9は、ツース取付部11とアダプタ本体部12とを有している。ツース取付部11には、ツースが着脱可能に取付けられる。アダプタ本体部12は、側板3ならびに底板2と溶接され、コーナツースアダプタ9、9が掘削バケット1の底板2のコーナ部に取付けられている。
【0022】まず、上記コーナツースアダプタ9について、図2を参照しつつ詳細に説明する。図2は、コーナツースアダプタ9を示し、(a)は、概略側面図、(b)は、概略上面図、(c)は、(a)におけるC−C断面図である。
【0023】上記コーナツースアダプタ9は、断面形状が側板3の板厚中心を通る平面10に対し、左右対称の形状をなしている。上記コーナツースアダプタ9は、ツース取付部11とアダプタ本体部12とを有している。上記アダプタ本体部12は、断面形状が略横長長方形の形状を成している。アダプタ本体部12の上部は、後面に向かって、その高さが低くなっており、またその両側部は、後面に向かってその幅が狭くなっている。アダプタ本体部12は、その上部に、側板3に溶接される側板接続部13を有しており、またその両側部に、底板2に溶接される底板接続部19、20を有している。
【0024】上記側板接続部13の左右には、アダプタ本体部12から、その幅を徐々に狭めながら上方向に伸びる略円弧状の湾曲部14、14が形成されている。上記湾曲部14、14の上端部は、断面形状が略三角形の形状を成し、その三角形の頂部が上方向を向くように設けられている。このため、上記側板接続部13は、その上端部の左右に溶接開先面15、15を有する。また、側板接続部13の頂部は、水平方向に切断されており、この切断された切断面が側板接続面16を形成している。
【0025】側板接続部13は、アダプタ本体部12の上部に設けられており、アダプタ本体部12の上部は後面に向かって、その高さが次第に低くなっている。このため、側板接続部13も、アダプタ本体部12の後面に向かって、その高さが次第に低くなっている。
【0026】上記底板接続部19、20は、左底板接続部19と右底板接続部20とから構成されている。上記左底板接続部19及び右底板接続部20は、断面が略三角形の形状をなし、その三角形の頂部がそれぞれ左右外側を向くように設けられている。このため、左底板接続部19及び右底板接続部20は、その上下に溶接開先面21、21、21、21を有する。また、左底板接続部19の頂部及び右底板接続部20の頂部は、垂直方向に切断されており、この切断された切断面が左底板接続面22及び右底板接続面23を形成している。
【0027】左底板接続部19及び右底板接続部20は、アダプタ本体部12の両側部に設けられており、アダプタ本体部12の両側部は、後方に向かってその幅が狭くなっている。このため、左底板接続部19及び右底板接続部20も、アダプタ本体部12の後方に向かって、互いの幅が狭くなっている。
【0028】上記ツース取付部11は、断面形状が略横長長方形の形状をなし、上記アダプタ本体部12の先端から前方へ伸びるように形成されている。ツース取付部11には、ツース取付のためのピン挿入孔11aが水平方向に穿設されている。
【0029】次に、コーナツースアダプタ9の取付方法について図3を参照しつつ詳細に説明する。図3は、掘削バケット1の底板2の右コーナ部の断面図を示している。
【0030】図3に示すように、上記コーナツースアダプタ9は、掘削バケット1の底板2の右コーナ部に取付けられている。まず、掘削バケット1の側板3の下端面6にコーナツースアダプタ9の側板接続部13の側板接続面16を当接させる。次に、掘削バケット1の底板2の右端面7にコーナツースアダプタ9の左底板接続部19の左底板接続面22を当接させる。そうすると、アダプタ本体部12の上方において、側板3の下端面6と側板接続部13の溶接開先面15、15とによって側板3の下端面6の左右に溶接開先部17、17が形成されるが、この溶接開先部17、17に溶接を施すことにより、掘削バケット1の側板3にコーナツースアダプタ9が固着される。また、底板2の右端面7とコーナツースアダプタ9の左底板接続部19の溶接開先面21、21とによって底板2の右端面7の上下に溶接開先部24、24が形成されるが、この溶接開先部24、24に溶接を施すことにより、掘削バケット1の底板2にコーナツースアダプタ9が固着される。
【0031】これによって、掘削バケット1の底板2の右コーナ部にコーナツースアダプタ9が取付けられることとなる。同様にして、掘削バケット1の底板2の左コーナ部にコーナツースアダプタ9が取付けられる。このように、コーナツースアダプタ9を掘削バケット1の底板2の左コーナ部及び底板2の右コーナ部のどちらにも取付けることができる。したがって、左右のコーナツースアダプタ9を区別することなく製造することができる。
【0032】以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、上記では、コーナツースアダプタ9は断面形状が側板3の板厚中心を通る平面10に対し、左右対称の形状を成しているが、これは、側板3の板厚中心を通る平面10に対し左右非対称の形状としてもよい。このようにしても、底板2の長さを調整することにより、コーナツースアダプタ9を掘削バケット1の左右両コーナ部のどちらにも取付けることができる。
【0033】また上記では、側板3とコーナツースアダプタ9の側板接続部13との溶接において、側板接続部13に溶接開先面15、15を設けているが、これは側板3に溶接開先面を設けてもよい。また、底板2とコーナツースアダプタ9の底板接続部19、20との溶接において、底板接続部19、20に溶接開先面21、21を設けているが、これは、底板2に溶接開先面を設けてもよい。
【0034】また上記では、溶接開先部17、24の断面形状が略レの字の形状をなしているが、これはこの形状に限らず溶接開先面の断面形状を略Jの字等の他の形状としてもよいし、溶接開先面を設けず隅肉溶接としてもよい。さらに、上記では溶接開先部17、24は側板接続部13の左右ならびに底板接続部19、20の上下に設けられているが、側板接続部13の左右どちらか一方に、又底板接続部19、20の上下どちらか一方にだけ設けてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
【出願日】 平成12年6月1日(2000.6.1)
【代理人】 【識別番号】100084629
【弁理士】
【氏名又は名称】西森 正博
【公開番号】 特開2001−342649(P2001−342649A)
【公開日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【出願番号】 特願2000−164824(P2000−164824)