| 【発明の名称】 |
油圧ショベル |
| 【発明者】 |
【氏名】西村 悟
【氏名】永原 拓巳
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| 【要約】 |
【課題】バケットシリンダ、アームシリンダやバケットシリンダの保持力を確保してアームやバケットの自由落下を未然に阻止することができると共に、作業機の作業範囲を拡大可能にした油圧ショベルを提供する。
【解決手段】アームシリンダ7の少なくともボトム側に、シリンダ内圧を保持してアームの下方向への急激な回動を防止するアーム回動防止弁20が装着されると共に、バケットシリンダ9の少なくともボトム側にも、バケットの下方向への急激な回動を防止するバケット回動防止弁20が装着されている。クレーン作業、又は土砂の掘削や運搬作業を行っているとき、たとえ各シリンダ7,9における保持圧発生側に接続された油圧ホースが外力により破損しても、前記回動防止弁20によりシリンダ7,9のボトム側油室を確実に遮断して、同ボトム側の保持圧を維持するため、作業が安全性になされる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 旋回体上で起伏するブーム、同ブームの先端に連結され、垂直方向に揺動するアーム及び同アームの先端に取り付けられ、同じく垂直方向に揺動するバケットを備えた油圧ショベルであって、前記ブーム、アーム及びバケットはそれぞれが作動シリンダにより独立して作動され、前記アーム用のシリンダのボトム側に、ボトム側の保持圧を維持して、前記アームの自由落下を防止するアーム回動防止手段が設けられてなることを特徴とする油圧ショベル。 【請求項2】 前記バケットシリンダの少なくともボトム側に、ボトム側の保持圧を維持して、前記バケットの自由落下を防止するバケット回動防止手段を有してなる請求項1記載の油圧ショベル。 【請求項3】 吊りフックが、前記バケットの後壁部から外側に向かって突設された左右一対のバケットランドセル間に回動自在に支持されてなる請求項1又は2記載の油圧ショベル。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の技術分野】本発明はブーム、アーム及びバケット等の作業機を備えた油圧ショベルに係わり、特に、作業効率や作業の安全性の向上を図った油圧ショベルに関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、油圧ショベルは土砂の掘削作業や運搬作業等の各種の作業に使われている。図7に例示する油圧ショベル1は、走行体2と、同走行体2上に垂直軸線回りに旋回自在に装着された旋回体3と、同旋回体3に装着された作業機4とを備えている。同作業機4は前記旋回体3の略中央部に取り付けられた図示せぬブームシリンダにより上下方向に起伏させるブーム6と、同ブーム6に取り付けられた図示せぬアームシリンダにより前記ブーム6の先端を支点として上下方向に揺動させるアーム8と、同アーム8に取り付けられた図示せぬバケットシリンダにより左右一対のリンク10を介して前記アーム8の先端を支点として上下方向に揺動させるバケット11とを有している。 【0003】前記旋回体3の後部寄りには図示せぬエンジンが搭載されると共に、同エンジンにより駆動される同じく図示を省略した可変容量形ポンプと、同可変容量形ポンプからの吐出圧油を選択的に供給して前記作業機4の複数の作動シリンダを駆動する同じく図示せぬ複数の操作弁とを備えている。同操作弁は前記作業機4の作動シリンダに対応して接続されている。前記旋回体3の前部中央から左右のいずれかに偏った位置に配された運転室3aには複数の前記操作弁を独立して切換える図示せぬ複数の操作レバーが配されている。 【0004】前記ブームシリンダのボトム部が旋回体3に取り付けられ、そのピストンロッドがブームに取り付けられており、このブームシリンダによりブーム6を上下方向に起伏させる。前記アームシリンダはボトム部が前記ブーム6に取り付けられ、そのピストンロッドがアーム8に取り付けられる。アーム8は前記アームシリンダにより前記ブーム6の先端を支点として上下方向に揺動する。また、前記バケットシリンダのボトム部はアーム8に取り付けられ、そのピストンロッドはアーム8とバケット11間のリンク10に取り付けられている。バケット11は、前記バケットシリンダにより左右一対のリンク10を介して上下方向に首振り動作する。油圧ショベル1は地盤面を所望の深さまで掘削して、その掘削土砂をダンプ位置まで運搬してダンプする。 【0005】一方、土砂の掘削作業や運搬作業等の他に、クレーン作業を可能にした油圧ショベル1がある。この種の油圧ショベルは、図7に示すごとくバケット11のリンク取付用固定ピン11bを介して前記アーム8の背面側に揺動自在に固定され、吊り荷を吊り上げ・吊り下げる吊りフック12を有しており、アーム8の先端にクレーン機能を備えさせている。クレーン作業時には、前記バケット11と前記吊りフック12との干渉を避けるため、前記バケット11の最大掘削位置となるまで前記バケットシリンダを伸長動作させ、前記バケット11の掬い面側を前記アーム8側に最も掻い込んだ状態で停止させ、その停止したときの姿勢で前記吊りフック12によるクレーン作業を行う。 【0006】また、クレーン機能をもつ他の油圧ショベルとしては、図示せぬワイヤの一端に固着された吊りフックを前記アーム8の先端部に取り付けられた図示せぬプーリを介して懸垂支持した油圧ショベルがある。クレーン作業時には、前記バケットと前記吊りフックとの干渉を避けるため、前記バケットシリンダを収縮動作させて、前記バケットの最大ダンプ位置となるまで揺動させておき、そのダンプ姿勢で前記吊りフックによるクレーン作業を行う。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】通常、従来の油圧ショベルは、ブームシリンダの伸長動作によりブームを起立方向に作動させ、収縮動作によりブームを倒伏方向へと作動させる。前記ブームを起立状態としても、ブーム、アーム及びバケットからなる作業機の重心位置が機体の前方にあるため、ブームシリンダにはブームを倒伏させる収縮方向の力が作用し、常にそのボトム側に保持圧が発生している。従って、前記ブームシリンダのボトム側に接続された油圧ホースが外力により破損すれば、同ブームシリンダによる保持力が失われ、ブームは倒伏方向に急激に回動する。通常は、この急激な回動を防止するため、前記ブームシリンダのボトム側の内圧を保持する落下防止弁が装着されている。 【0008】また、前記油圧ショベルはアームシリンダの伸長動作によりアームをブームとの連結部を支点として下方に回動させ、収縮動作によりアームを上方へと回動させる。例えば、掘削を終えてダンプ作業に移行する最中に、前記アームシリンダのヘッド側の油室に接続された油圧ホースが外力により破損した場合には、同アームシリンダの保持力を失って前記バケットと一緒に前記アームが下方向に急激に回動する。この急激な回動を避けるため、アームシリンダのヘッド側には回動防止弁が装着されている。 【0009】ところで、土砂の掘削作業の際には、前記ブームシリンダ及びアームシリンダを作動させてブームとアームとをそれぞれ上下に回動させ、同時にバケットシリンダを作動させてバケットをアーム先端で首振り動作させる。このときのアーム先端部の動作範囲は、下方に回動したときのアームの垂直姿勢から機体前方側の回動上限位置までの回動範囲内であり、掘削時にはバケットシリンダが伸長動作させるため、前記バケットシリンダには常に収縮方向に力が作用してボトム側に保持圧が発生している。掘削土砂をダンプ位置まで運搬する際には、前記バケットシリンダを伸長動作させ、バケットをアーム側に掻い込んだ状態で停止したときの姿勢(最大掘削姿勢)でダンプ位置まで運搬する。この場合に、運搬初期では前記保持圧は最大となり、ダンプ位置に達する間にその保持圧は漸減する。 【0010】掘削の途中に、例えば、前記バケットシリンダのボトム側の油室に接続された油圧ホースが外力により破損したときは、バケットの落下自体がないため、ボトム側に回動防止弁を設ける必要はない。また、ダンプ位置までの搬送途中で前記油圧ホースが破損するようなことが発生しても、せいぜいバケット内の土砂が落下する程度であって、周辺への影響は極めて少ない。そのため、通常はバケットシリンダのボトム側の油室に回動防止弁を設ける必要はない。 【0011】ダンプ位置で、前記バケットの最大掘削姿勢からダンプ姿勢に移行する最中に、前記バケットシリンダを収縮方向に動作させるため、バケットの自重によりヘッド側に保持圧が発生する。例えば、前記バケットシリンダのヘッド側の油室に接続された油圧ホースが外力により破損したとき、同バケットシリンダの保持圧が瞬時に失われ、前記バケットが下方向に急激に回動する。しかしながら、従来のバケットシリンダには、この急激な回動を避けるための回動防止弁は装着されていない。 【0012】ところで、上記クレーン機能を付加した油圧ショベルの機種にあっては、吊り荷を吊り上げるときのアーム先端部の動作範囲は、既述したとおり油圧ショベルのアームは垂直姿勢から機体前方側の回動上限位置までの回動範囲内に制限されている。そのため、掘削作業や運搬作業と同様に、クレーン作業時には常にアームシリンダのヘッド側に保持圧が発生している。 【0013】アームの垂直姿勢から機体前方側の回動上限位置までの回動範囲内で吊り荷を吊り上げる途中で、アームシリンダを収縮方向に動作してアームを上方向に回動させるため、例えば、前記アームシリンダのヘッド側の油室に接続された油圧ホースが外力により破損したとき、同アームシリンダのヘッド側の保持圧が瞬時に失われ、前記アームが下方向に急激に回動する。それに追随して、吊り上げた吊り荷は前記アームの先端を支点として大きく揺動する。 【0014】また、吊り荷を吊り上げるとき、特に吊りフックを前記アームの背面側に有する場合は、バケットと吊り上げワイヤとの干渉を避けるべく、バケットシリンダを伸長限まで伸長動作して、バケットを最も掻い込んだ位置に保持する。そのため、バケットシリンダのボトム側に最大保持圧が発生している。 【0015】バケットシリンダのボトム側の油室に接続された油圧ホースが破損したときも、アームと同様にボトム側の保持圧が瞬時に失われ、前記バケットが下方向に急激に回動するが、既述したようにバケットシリンダには、この急激な回動を避けるための回動防止弁は装着されていない。 【0016】一方、機体の前方直近位置までアームを回動させて掘削やクレーン作業等の作業が可能とあれば、オペレータの目前で作業ができるようになって、作業能率の点から一段と好ましい。しかしながら、現状では前述のごとくアームの下方への回動が垂直姿勢となる位置までに制限されているため、機体の前方直近位置までアームを回動させることができず、掘削作業能率を向上させることが難しい。特に、吊り荷を吊り上げる際には、前記アームの回動範囲が制限されていることから、吊りフックをアームの回動範囲内で移動させざるを得ない。これがため、前記アームの回動範囲が小さいことに伴って機体とは離れた位置でクレーン作業を行うことになり、クレーン作業の効率が著しく低下する。 【0017】本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、アームシリンダやバケットシリンダの保持力を確保してアームやバケットの自由落下を未然に阻止することができると共に、作業機の作業範囲を拡大可能にした油圧ショベルを提供することにある。 【0018】 【課題を解決するための手段及び作用効果】このように、アームが下方に回動できる限度を、その垂直姿勢となる位置に制限した理由は、アームを機体の前方直近位置まで回動させる場合には、アームが下方へ回動して垂直姿勢位置となり、その後に手前に向けて再び上方へと回動することになり、このときもアームシリンダのボトム側の保持圧を維持することが必要になるが、現状は上述のごとくアームシリンダの保持圧が保障されるのはヘッド側だけであるがためである。 【0019】しかるに、クレーン機能を備えた油圧ショベルでは、上述のごとく掘削作業や運搬作業だけではなく、特にクレーン作業時に機体の直近位置で作業が行えるようにすることが好ましく、そのためにはブーム、アーム及びバケットの各シリンダに最大保持圧がかかった場合にも、その保持圧を確実に維持すると共に、万一、油圧ホースが破損するようなことが起こったときも、その保持圧を維持すべく対応する油室側に、ブーム、アーム及びバケットの回動防止手段を設けることが望ましい。 【0020】本件請求項1に係る発明は、旋回体上で起伏するブーム、同ブームの先端に連結され、垂直方向に揺動するアーム及び同アームの先端に取り付けられ、同じく垂直方向に揺動するバケットを備えた油圧ショベルであって、前記ブーム、アーム及びバケットはそれぞれが作動シリンダにより独立して作動され、前記アーム用のシリンダのボトム側には、ボトム側の保持圧を維持して、前記アームの自由落下を防止するアーム回動防止手段が設けられてなることを特徴とする油圧ショベルにある。 【0021】アームが下方に回動して垂直姿勢に達するまでは、アームシリンダは伸長動作をするが、このとき、アームの保持圧は常にアームシリンダのヘッド側に発生している。そのため、従来はアームシリンダのヘッド側に回動防止弁を装着している。しかるに、掘削作業であれ、クレーン作業であれ、アームが前記垂直姿勢から機体後方側の回動上限位置まで回動させる場合には、アームシリンダは伸長動作を続ける一方で、そのアームの保持圧はボトム側に移る。従って、このようにアームを機体後方側の回動上限位置まで回動させて、これを保持するには、本発明のようにアームシリンダのボトム側にもヘッド側と同様に回動防止手段を装着する必要がある。 【0022】本発明にあっては、前記アーム回動防止手段はアーム用のシリンダのボトム側に直付けされており、アームが機体後方側の最大回動位置まで回動させている途中で、アーム用シリンダのボトム側に接続された油圧ホースが破断してボトム側の油圧が抜けようとしても、前記アーム回動防止手段によりシリンダのボトム側油室と外部の油路とが完全に遮断され、同ボトム側油室の保持圧が維持される。また、前記操作弁を作動させているときに、例えばボトム側油室に接続された油圧ホース等が破断したことを検知して、前記操作弁を不作動位置に自動的に復帰させることもでき、この場合も前記アーム回動防止手段によりボトム側の保持圧が確実に維持されると共に、圧油の供給と排出が自動的に停止する。 【0023】上記構成に基づき、前記アームの限界作業範囲を従来のごとく設定する必要もなくなり、前記アームシリンダの作動によりアーム垂直姿勢を含む機体前方側及び機体後方側の回動限度内を自由に回動させることができる。その結果、安全性が担保されて作業範囲を拡大させることができ、効率的な土砂掘削及び運搬作業が行える。 【0024】アームシリンダのヘッド側及びボトム側の双方に、前記回動防止手段を設ける場合には、前記アームや掘削土砂等の荷重によりシリンダ伸長方向及び収縮方向の保持圧が前記回動防止手段により瞬時に支持されるため、前記アームが下方向に急激に回動することが防止でき、拡大された上記全作業範囲において安全性が確保される。 【0025】請求項2に係る発明は、前記アームシリンダに加えて、バケットシリンダの少なくともボトム側にも、ボトム側の保持圧を維持して前記バケットの自由落下を防止するバケット回動防止手段を有している。 【0026】掘削土砂をダンプ位置まで運搬する際には、前記バケットシリンダを伸長動作させ、バケットをアーム下面側に掻い込んだ状態で停止した最大掘削姿勢に維持する。この場合には、前記バケットには常にシリンダ収縮方向の力が作用して前記バケットシリンダのボトム側に保持圧を発生させている。そのダンプ位置で、前記アームシリンダを収縮動作して前記アームを上方向に回動させる一方、前記バケットシリンダを収縮動作して前記バケットを最大掘削姿勢から最大ダンプ姿勢に移行させる。このダンプ姿勢にあるとき、前記バケットシリンダには常に伸長方向の力が加わり、前記バケットシリンダのヘッド側に保持圧を発生させている。 【0027】本発明によれば、上記アームと同様に、所望のシリンダ油室のボトム側にバケット回動防止手段を直付けしているため、前記バケットの自重等により作用するシリンダ伸長方向又は収縮方向の力を支持することができることに加えて、同バケットが急降下することを防止することができる。 【0028】例えば、土砂の掘削・運搬作業を行うとき、上記アームシリンダの作動によりアームを機体前方側の作業範囲内だけではなく、機体後方側を含む全回動範囲内で上下方向に回動させる一方、バケットシリンダの作動により前記バケットを上下に首振り動作させる。従来のごとく、アームを垂直姿勢から機体前方側へと回動させる回動範囲内だけで作業を行なう場合に較べて、上記構成を備えることにより、前記アームの回動範囲が大きくなることと相まって、前記バケットの掘削回動範囲を大きくすることができ、その掘削範囲も拡がる。また同時に、上記請求項1記載の作用効果に加えて、より確実に且つ効率的な土砂掘削及び運搬作業が行えると共に、更に作業の安全性を高めることができる。 【0029】請求項3に係る発明にあっては、吊りフックが、前記バケットの後壁部から外側に向かって突設された左右一対のバケットランドセル間に回動自在に支持されていることを規定している。 【0030】本発明にあっても、掘削・運搬作業時の機能は上述の機能と実質的に変わるところがない。しかして、クレーン作業時には、前記バケットと吊りフックとの干渉を避けるため、前記バケットをアーム下面側に最も掻い込んだ位置(最大掘削位置)まで上記バケットシリンダを伸長動作させる必要があり、前記バケットの掬い面側を上方に向けた姿勢で前記吊りフックによるクレーン作業を行なう。この吊り荷を吊り上げるとき、そのブーム及びアームの回動範囲内の殆どの領域で、吊り荷重や前記バケットの自重等による保持圧は前記バケットシリンダのボトム側に発生している。 【0031】たとえば、仮にクレーン作業時にバケットシリンダのボトム側に接続された油圧ホースが破断したとしても、上記バケット回動防止手段が瞬時に機能して、ボトム側の油室と外部の油路とが完全に遮断され、シリンダボトム側の保持圧を確実に維持して、バケットの下方への急激な回動が阻止される。これは上記アームシリンダの作動によるアーム垂直姿勢を含む機体の前方側だけではなく、機体の後方側の機体直近位置でクレーン作業を行なうことができることを意味する。機体近傍でクレーン作業を行なうことができるため、前記吊りフックと吊り荷との位置関係が目視により確認でき、作業効率を著しく向上させることができる。また、同時にクレーン作業の範囲が広がり、狭小な現場でのクレーン作業も効果的に且つ安全に行うことができる。 【0032】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の代表的な第1実施形態である吊りフックを備えた油圧ショベルの一例を模式的に示す全体図であり、図2は同油圧ショベルの油圧回路図、図3は同油圧ショベルにおける作業機の動作態様を模式的に示す全体図である。なお、本実施形態にあって上記従来技術と実質的に同じ部材には、同一の部材名と符号を付している。 【0033】図1において、第1実施形態における油圧ショベル1は、走行体2、同走行体2上に垂直軸線回りに旋回自在に装着された旋回体3、同旋回体3に設置されるキャブ3aやエンジン3c等を備えた機体13と、同機体13に取り付けられた作業機4とを備えている。同作業機4は、前記機体13のほぼ中央から立ち上がるブーム6と、同ブームの自由端に枢支され、上下方向に揺動するアーム8と、同アーム8の先端にアームトップピン8aに支持され、上下方向に首振り動作するバケット11とを備えている。 【0034】ブーム6は旋回体3との間に設けられた一対のブームシリンダ5,5により、その基端を中心として上下方向に起伏動作し、アーム8はブーム6との間に取り付けられたアームシリンダ7により、ブーム6の先端を支点として上下方向に揺動し、バケット11は左右一対の2節リンク10,10を介して、アーム8との間に取り付けられたバケットシリンダ9により、前記アーム8の先端を支点として上下方向に揺動させる。 【0035】前記バケット11の後壁部の左右にはバケットランドセル11a,11aが設けられている。同バケットランドセル11aの一端は前記アーム8の上記アームトップピン8aを介して揺動可能に支持され、その他端は左右の上記リンク10,10を介して前記バケットシリンダ9のロッド端に揺動可能に支持されている。 【0036】クレーン作業用の吊りフック12の基部12aは、前方側の第1リンク10a及びバケット11を連結する固定ピン11bに回動自在に支持されている。吊りフック12の未使用時は、左右のリンク10,10の間に格納され、同リンク10,10に穿設された図示せぬ貫通孔に挿脱可能な同じく図示せぬ挿脱ピンに、前記吊りフック12のフック部12bを引っ掛けて係止する。 【0037】図2に示すように、前記油圧ショベル1は可変容量形ポンプ24と、上記作業機4の各シリンダ5,7,9に前記可変容量形ポンプ24からの吐出圧油を選択的に供給する3つの操作弁25〜27と、同操作弁25〜27を独立して切換え操作する3つのマニュアル操作部28〜30とを備えている。 【0038】更に前記油圧ショベル1は、上記吊りフック12が前記リンク10,10間に格納されていないとき、すなわちクレーン作業時には前記バケット11のダンプ動作(シリンダ収縮動作)を禁止する電磁切換弁31と、安全荷重を確認するためのブームシリンダ5のボトム側の油圧を検出する圧力センサ32とを備えている。 【0039】前記可変容量形ポンプ24は斜板式ポンプからなり、図示せぬ容量制御部材により斜板24aの傾斜角度を変化させて吐出油量を制御する。前記可変容量形ポンプ24から吐出される圧油は出力回路33を経て前記操作弁25〜27に選択的に供給され、各シリンダ5,7,9からの戻り油はドレン回路34を介して油タンク35に還流する。 【0040】前記操作弁25〜27は前記ブームシリンダ5に対応するブーム操作弁25、前記アームシリンダ7に対応するアーム操作弁26、及び前記バケットシリンダ9に対応するバケット操作弁27により構成されている。これらの操作弁25〜27は操作位置によりボトム側、ヘッド側又は不作動位置(中立位置)に切換える4ポート3位置クローズドセンター形の流量制御弁からなる。 【0041】前記マニュアル操作部28〜30は、前記ブーム操作弁25に対応するブーム操作部28、前記アーム操作弁26に対応するアーム操作部29及び前記バケット操作弁27に対応するバケット操作部30からなっている。各操作部28〜30は同じ構造及び機能をもっている。この操作部28〜30は操作レバー36と、同操作レバー36の操作量(角度)に応じてパイロット油圧を出力する図示せぬ第1及び第2パイロット比例制御弁を有している。各操作部28〜30は図示せぬセンサーの作動により第1及び第2パイロット回路37,38へのパイロット圧油の供給を断つようになっている。 【0042】前記操作レバー36は、上記旋回体3の前部中央から左右のいずれかに偏った位置に配された運転室3a内に配されている。同じく図示を省略したパイロットポンプから前記パイロット比例制御弁に供給されるパイロット油は前記操作レバー36の操作量に従って増え、その増量したパイロット流のパイロット圧により前記操作弁25〜27のスプールの開度が大きくなり、その開度に従って各シリンダ5,7,9に供給する吐出圧油の流量が増える。 【0043】前記ブーム操作部28の第1パイロット比例制御弁からのパイロット圧油は第1パイロット回路37を介して前記ブーム操作弁25の第1受圧部25a(下げ側)に作用する。前記第2パイロット比例制御弁からのパイロット圧油は第2パイロット回路38を介して前記ブーム操作弁25の第2受圧部25b(上げ側)に作用する。 【0044】前記アーム操作部29の第1パイロット比例制御弁からのパイロット圧油は第1パイロット回路37を介して前記アーム操作弁26の第1受圧部26a(ダンプ側)に作用する。前記第2パイロット比例制御弁からのパイロット圧油は第2パイロット回路38を介して前記アーム操作弁26の第2受圧部26b(掘削側)に作用する。 【0045】前記バケット操作部30の第1パイロット比例制御弁からのパイロット圧油は第1パイロット回路37を介して前記バケット操作弁27の第1受圧部27a(掘削側)に作用する。前記第2パイロット比例制御弁からのパイロット圧油は第2パイロット回路38から上記電磁切換弁31を経て前記バケット操作弁27の第2受圧部27b(ダンプ側)に作用する。 【0046】前記バケット11のダンプ動作を禁止する電磁切換弁31のソレノイド31aは、上記ブーム6のボトム側油圧検出用の上記圧力センサ32や図示せぬブーム角度センサ、同じく図示せぬアーム角度センサ、左右の上記リンク10,10の間に設けられた図示せぬフック挿脱検出用のリミットスイッチやキャブ3aに配された同じく図示を省略したクレーンモードスイッチ等の出力信号に基づいて制御信号を出力する同じく図示せぬコントローラに電気的に接続されている。 【0047】前記コントローラは前記キャブ3a内のモニタ3b、ブザーやランプ等の図示せぬ警報表示装置に電気的に接続されている。このコントローラは前記圧力センサ32やブーム角度センサ等の各出力信号に基づいて実荷重を演算し、その演算値と予め決められた定格荷重値とを比較して吊り荷による負荷状態を監視している。吊り荷が過負荷状態であると判断されると前記警報表示装置が作動する。 【0048】前記コントローラは図示せぬクレーンモードスイッチやリミットスイッチのオン・オフの組合せの関係等を記憶している。これらの信号を入力することにより制御プログラムの指令に基づいて上記電磁切換弁31のソレノイド31aを励磁又は消磁する。 【0049】同電磁切換弁31のソレノイド通電時には、同電磁切換弁31は図2に示した位置の反対側位置に切換えられ、上記バケット操作弁27とバケット操作部30とを連通する第2パイロット回路38を閉鎖する。同第2パイロット回路38内のパイロット圧油は前記電磁切換弁31を介して上記油タンク35に戻る。前記バケット操作部30を前記バケット操作弁27のダンプ側に操作しても、同バケット操作弁27のダンプ側にパイロット圧は作用しない。これにより上記バケット11はダンプ側に動かない。 【0050】更に前記油圧ショベル1は、本発明の特徴部をなす回動防止手段20を各シリンダ5,7,9の筒部に直付けしている。この回動防止手段20は各シリンダ5,7,9を駆動する操作弁25〜27からの圧油を供給する図示せぬチューブを有する油圧ホースにそれぞれ接続されている。前記回動防止手段20はシリンダ内圧を保持して上記作業機4の自由落下を防止する機能をもっている。本実施形態にあっては、図1に示すごとく前記回動防止手段20は前記ブームシリンダ5のボトム側、前記アームシリンダ7のボトム側及びヘッド側、前記バケットシリンダ9のボトム側にそれぞれ直付けされている。 【0051】図2に示すように、本実施形態における上記回動防止手段20は各シリンダ5,7,9内の圧油を遮断又は外部へ排出する絞り41cを有する切換弁41と、同切換弁41の前後を接続して上記可変容量型ポンプ24からの圧油を前記シリンダ5,7,9に供給するチェック弁42と、同シリンダ5,7,9内の設定圧力を保障する安全弁43とを備えている。各シリンダ5,7,9に直付けされる各回動防止手段20は、実質的に同じ構造と機能とを有している。従って、以下に説明する回動防止手段(以下、回動防止弁という。)20には同じ部材に対して同一の符号と部材名を付している。 【0052】前記アームシリンダ7と前記アーム操作弁26の接続口とを接続する第1油路39及び第2油路40は前記切換弁41を接続している。その第1油路39における前記切換弁41の第1受圧部41aは上記アーム操作部29(掘削側)に連通された第2パイロット回路38に接続されている。同第2受圧部41bは前記ドレン回路34に接続されている。 【0053】一方の前記第2油路40における前記切換弁41の第1受圧部41aは上記アーム操作部29(ダンプ側)に連通された第1パイロット回路37に接続されており、同第2受圧部41bは前記ドレン回路34に接続されている。前記切換弁41は常に閉位置に保持されており、前記アーム操作部29の操作により供給されるパイロット圧油により開位置に切換えられる。 【0054】前記切換弁41の前後を接続する通路44は前記チェック弁42を接続している。上記アーム操作部29を操作することにより前記可変容量形ポンプ24からの吐出油は前記チェック弁42を介して前記アームシリンダ7に流れる。前記チェック弁42の出力側の前記通路44と前記第1油路39との交差部、或いは前記通路44と第2油路40との交差部は前記安全弁43を接続している。同安全弁43の出力側は前記ドレン回路34に接続されている。同安全弁43は常に閉位置に保持されている。同安全弁43は前記シリンダ5,7,9内の圧力を予め設定された設定圧に維持する。 【0055】前記アーム操作弁26が中立位置(不作動状態)にあるとき、前記安全弁43、前記チェック弁42、前記切換弁41により前記アームシリンダ7のヘッド側及びボトム側に接続する第1及び第2油路39,40を閉鎖して、前記ヘッド側及びボトム側油室からの外部への圧油の流れが遮断される。 【0056】いま、上記アーム操作部29をダンプ側に操作すると、前記第1パイロット回路37を介してパイロット圧油が前記アームシリンダボトム側の切換弁41の第1受圧部41a及び前記アーム操作弁26の第1受圧部26aに作用する。同アーム操作弁26はダンプ側に切換えられ、前記切換弁41は開位置に切換えられる。前記可変容量形ポンプ24からの吐出油は、前記第1油路39及び通路44を介して前記アーム操作弁26の接続口から前記チェック弁42を経て前記アームシリンダ7のヘッド側に供給される。一方の前記アームシリンダ7のボトム側油室内の圧油は、ボトム側の前記切換弁41の絞り41cにより流量が調整され、前記アーム操作弁26の接続口から前記ドレン回路34を経て前記油タンク35に戻る。この戻り油は前記絞り41cにより流量が調整されるため、前記アームシリンダ7を微速動作させることができる。 【0057】これとは逆に、いま、上記アーム操作部29を掘削側に操作すると、前記第2パイロット回路38を介してパイロット圧油が前記アームシリンダ7のヘッド側に接続された切換弁41の第1受圧部41a及び前記アーム操作弁26の第2受圧部26bに作用し、同アーム操作弁26は掘削側に切換えられる。ヘッド側の前記切換弁41は開位置に切換えられる。上記可変容量形ポンプ24からの吐出油は前記第2油路40及び前記通路44を介して前記アームシリンダ7のボトム側に供給される。一方の前記アームシリンダ7のヘッド側の圧油は、ヘッド側の前記切換弁41から上記アーム操作弁26の接続口を経て前記ドレン回路34を通り前記油タンク35に戻る。 【0058】一方、左右一対の上記ブームシリンダ5,5の各ボトム側と単一のブーム操作弁25とを接続する第2油路40はブーム回動防止弁20をそれぞれ接続している。また、前記バケットシリンダ9のボトム側を接続する第1油路39はバケット回動防止弁20を接続している。 【0059】上記ブーム操作弁25の接続口に連通する第1油路39はその中間部で分岐して上記ブームシリンダ5のヘッド側に接続している。一方の第2油路40はその中間部で分岐して前記ブーム回動防止弁20を介して上記ブームシリンダ5のボトム側に接続している。 【0060】いま、上記ブーム操作部28の操作レバー36を上げ側に操作すると、同ブーム操作部28からのパイロット圧油は前記第2パイロット回路38を介して前記ブーム操作弁25の第2受圧部25bに作用し、同ブーム操作弁25を上げ側に切換える。上記可変容量形ポンプ24からの吐出油は前記第2油路40の中間部で分流し、前記ブーム回動防止弁20のチェック弁42を介して各ブームシリンダ5のボトム側に供給される。一方のヘッド側の圧油は前記第1油路39の中間部で合流し、前記ブーム操作弁25を介して前記ドレン回路34を通り前記油タンク35に戻る。 【0061】前記ブーム操作部28の操作レバー36を下げ側に操作すると、同ブーム操作部28からのパイロット圧油は前記第1パイロット回路37を介して前記ブーム操作弁25の第1受圧部25aに作用すると共に、中間部で分岐された第1パイロット回路37を介して各切換弁41の第1受圧部41aに作用する。前記ブーム操作弁25を下げ側に切換えると共に、各切換弁41を開位置に切換える。前記可変容量形ポンプ24からの吐出油は前記第1油路39の中間部で分流し、各ブームシリンダ5のヘッド側に供給される。一方のボトム側の圧油は前記切換弁41を経て前記第2油路40の中間部で合流し、前記ブーム操作弁25を介して前記ドレン回路34を通り前記油タンク35に戻る。 【0062】上記バケット操作弁27の接続口に連通する第1油路39に接続された切換弁41の第1受圧部41aは、上記電磁切換弁31を介して上記バケット操作部30(ダンプ側)に連通された第2パイロット回路38に接続されると共に、その第2受圧部41bは前記ドレン回路34に接続されている。 【0063】いま、上記電磁切換弁31が、図2に示す不作動状態にあるとき、上記バケット操作部30の操作レバー36をダンプ側に操作すると、前記第2パイロット回路38を介してパイロット圧油が前記切換弁41の第1受圧部41a及び前記バケット操作弁27のダンプ側に作用する。既述したごとくクレーン作業時のクレーンモードスイッチによる誤操作等に応答して前記電磁切換弁31が切換わると、前記第2パイロット回路38は閉鎖されることになる。そのため、前記バケット操作弁27にパイロット圧が作用せず、前記バケット操作部30のダンプ側操作を不能にする。同バケット操作部30の操作レバー36とアーム操作部26の操作レバー36とを互いを逆方向に操作するとき、バケットシリンダ9と上記アームシリンダ7とは実質的に同一方向に伸縮する。 【0064】本実施形態の油圧ショベル1は、上記ブームシリンダ5を伸長させた起立姿勢で上記ブーム6の基部を機体13に装着して、同ブームシリンダ5を伸縮動作させることによりブーム6を上下方向に起伏させている。これがため、前記ブームシリンダ5には上記作業機4等の自重により収縮方向の力が常に作用してボトム側に保持圧を発生させている。しかしながら、上記アーム8やバケット11は、前記作業機4の作業姿勢により上記アームシリンダ7やバケットシリンダ9の伸長方向或いは収縮方向に作用する力を保持するための保持圧が発生する。 【0065】図3に示すように、前記アーム8の支軸8b及び前記バケット11のリンク取付用固定ピン11bを結ぶ直線αと前記支軸8bを起点として上方に向かう地盤面に垂直な線βとのなす傾斜角度θが、アーム8の垂直姿勢から機体前方側(θ1>180°)の範囲内にあるとき、即ちアーム8の垂直姿勢から機体前方側の回動上限位置に達するまでの回動範囲内では前記アーム8には常にシリンダ伸長方向の力が作用してヘッド側に保持圧を発生させている。 【0066】また、前記傾斜角度θがアーム垂直姿勢から機体後方側(θ2<180°)の範囲内にあるとき、即ちアーム8を前記垂直姿勢から機体後方側の回動上限位置まで掻い込むようにして回動させる場合には、アームシリンダ7は伸長動作を続ける一方で、そのアーム8の保持圧はボトム側に移る。従って、前記アーム8には常にシリンダ収縮方向の力が加わり、ボトム側に保持圧が発生している。 【0067】一方、バケットシリンダ9を伸長動作させ、バケット11をアーム下面側に掻い込んだ状態で停止した最大掘削姿勢を維持するときは、前記アーム8の傾斜角度θにかかわらずアーム8のほぼ全回動範囲内で、前記バケット11には常にシリンダ収縮方向の力が作用して前記バケットシリンダ9のボトム側に保持圧を発生させている。これに対して、前記バケットシリンダ9を収縮動作して前記バケット11を最大掘削姿勢から最大ダンプ姿勢に移行させると、前記アーム8の傾斜角度θにかかわらずアーム8の全回動範囲内で、前記バケットシリンダ9には常に伸長方向の力が加わり、前記バケットシリンダ9のヘッド側に保持圧が発生する。 【0068】本発明は、上記作業機4等の構造や作動形態に応じて異なる所望のシリンダの保持圧発生部位に上記回動防止弁20を直付けすることにあり、特に前記アームシリンダ7の少なくともボトム側及び前記バケットシリンダ9の少なくともボトム側に前記回動防止弁20を直付けしたことを最も重要な構成としている。これらの構成を採用することにより、前記アームシリンダ7の作動によりアームの垂直姿勢を含む機体前方側及び機体後方側の全回動範囲内を安全性を確保して前記アーム8を垂直方向に回動させると共に、前記バケットシリンダ9を作動させたときの安全性を確保して、前記バケット11を上下に首振り動作させることができる。 【0069】土砂の掘削作業や運搬作業を行っているとき、アーム8が機体後方側の最大回動位置まで回動させる途中で、仮にアームシリンダ7のボトム側に接続された油圧ホースが破断してボトム側の油圧が抜けようとしても、前記アーム回動防止弁20が瞬時に作用して、シリンダボトム側油室と外部の油路とを完全に遮断し、同ボトム側油室の保持圧が維持される。このため、アーム8の下方に向かう急激な回動が回避できる。アームシリンダ7のヘッド側には、従来と同様に回動防止弁20が設けられている。 【0070】そのため、本実施形態にあってはアームの作業範囲が垂直姿勢を含む前後方向の最大揺動限位置まで拡大できる。即ち、前記アーム8や掘削土砂等の荷重によりシリンダ伸長方向及び収縮方向の保持圧が前記回動防止弁20により瞬時に支持されるため、前記アーム8が下方向に急激に回動することが防止でき、拡大された全作業範囲において安全性が確保される。 【0071】従って、前記アーム8の限界作業範囲を従来のごとく設定する必要もなくなり、前記アームシリンダ7の作動によりアーム垂直姿勢を含む機体前方側及び機体後方側の全作業範囲(図3に示した符号A,B)を自由に回動させることができる。このような作業範囲の拡大は効率的な土砂掘削及び運搬作業につながる。 【0072】一方、掘削土砂をダンプ位置まで運搬する際は、前記バケットシリンダ9を伸長動作させ、バケット11を最大掘削姿勢に維持する。上記アーム8と同様に、シリンダ9のボトム側油室にバケット回動防止弁20を直付けしているため、前記バケット11の自重と掘削土砂等により作用するシリンダ伸長方向の力を支持することに加えて、万一、前記ボトム側油室に接続された油圧ホースが破断しても、バケット回動防止弁20によってボトム側油室内の保持圧が維持され、同バケット11が下方向に急激に回動することを防止することができる。従って、前記アーム8の回動範囲が拡大することと相まって、前記バケット11の掘削回動範囲を大きくすることができ、その掘削範囲も拡がる。 【0073】クレーン作業時には、上記リンク10,10に取り付けられた図示せぬ挿脱ピンを同リンク10,10から抜き取り、リンク10,10の間に格納された吊りフック12を回動させてリンク10,10の間から外部に露呈させる。このとき、前記バケット11と上記吊りフック12との干渉を避けるため、前記バケット11をアーム下面側に最も掻い込んだ位置までバケットシリンダ9を伸長動作させる必要がある。バケットシリンダ9を最大に伸長動作させると、バケット11の自重により、常にバケットシリンダ9のボトム側に最大保持圧が発生している。このバケット11の掬い面側を上方に向けた姿勢を維持して、吊りフック12によるクレーン作業を行なう。 【0074】吊り荷を吊り上げるとき、例えばバケットシリンダ9のボトム側に接続された油圧ホースが破断したとしても、前記バケット回動防止弁20が瞬時に機能して、ボトム側の油室と外部の油路とを完全に遮断し、シリンダボトム側の保持圧は確実に維持され、バケット11の下方への急激な回動が阻止され、吊り荷の落下も防止される。上記アーム8の作業範囲の拡大により、機体近傍でクレーン作業を行なうことができるため、前記吊りフック12と吊り荷との位置関係を目視により確認することができるようになり、作業効率を著しく向上させることができる。また、同時にクレーン作業の作業領域が広がるため、狭小な現場でのクレーン作業も効率的に且つ安全に行うことができる。 【0075】図4は前記アームシリンダ7を駆動するための他の油圧回路を示している。この第2実施形態にあっては、上記アームシリンダ7のボトム側を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、同アームシリンダ7のヘッド側、他の前記ブームシリンダ5やバケットシリンダ9にも同様に適用できる。なお、同図において、図2に示したアームシリンダ7用の油圧回路と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。 【0076】同図に示すように、前記アーム操作弁26の接続口と前記アームシリンダ7のボトム側とを接続する第2油路40の油圧を検出する圧力センサ45が備えられている。前記アーム操作弁26(ダンプ側)と前記アーム操作部29とを連絡する第1パイロット回路37は、作動中の前記アーム操作弁26を不作動位置に自動的に復帰させるための電磁切換弁46を接続している。 【0077】前記操作レバー36をダンプ側に操作することによりバケットシリンダ9を収縮動作させると、同バケットシリンダ9のヘッド側には上記出力回路33、前記アーム操作弁26、前記第1油路39、前記チェック弁42を介して上記可変容量形ポンプ24からの吐出油が供給される。一方のシリンダボトム側の圧油はパイロット圧により開位置に切換えられた切換弁41、前記第2油路40、前記アーム操作弁26、上記ドレン回路34を介して前記油タンク35に戻る。このとき、仮に前記ボトム側油室に接続された油圧ホースが破断して前記第2油路40内の油圧が変動すると、前記圧力センサ45により漏れの圧力を検出し、その油圧検出信号を図示せぬコントローラに出力する。 【0078】このコントローラは油圧の異常を監視するために上記警報表示装置に連結されている。同コントローラは前記圧力センサ45から出力された検出油圧値と予め決められた正常な油圧値とを比較して、前記第2油路40内の油圧が正常な油圧値であるか否かが判断される。前記第2油路40内に所定の油圧を超える油圧が生じたとき前記コントローラは前記電磁切換弁46に切換信号を出力する。前記コントローラからの切換信号により前記電磁切換弁46のソレノイド46aが通電すると、前記電磁切換弁46は図4に示した位置の反対側位置に切換えられ、前記第1パイロット回路37を閉鎖する。同第1パイロット回路37内のパイロット油は前記ドレン回路34を介して前記油タンク35に戻る。 【0079】こうして前記アーム操作弁26は図4に示した不作動位置に自動的に復帰し、油圧ホースからの油の流出を止める。このとき同時に、シリンダボトム側の上記アーム回動防止弁20の切換弁41は図4に示した閉位置に復帰し、前記アームシリンダ7のボトム側を接続する第2油路40を閉鎖して、前記ボトム側から外部への圧油の流れが完全に遮断される。一方、シリンダヘッド側の圧油も同ヘッド側の上記アーム回動防止弁20により外部への圧油の流れを完全に遮断される。従って、前記アーム操作部29が作動しているときでも、アーム回動防止弁20を確実に且つ迅速に閉位置に作動させることが可能であり、前記油圧ショベル1の作業が効率的に且つ安全になされる。 【0080】図5及び図6は、スイング式及びオフセット式ブームを備えた油圧ショベルの要部を示している。図5に示すように、スイングブーム51は上記旋回体3の後部に旋回自在に支承されている。スイングブーム51は旋回体3の後部に取り付けられたスイングブームシリンダ50の作動により左右に揺動する。同シリンダ50のヘッド側及びボトム側には上記第1実施形態と同じ構造もつブーム回動防止弁20が直付けされている。 【0081】また、図6に示すように上記旋回体3に基部を取り付けられたオフセットブーム61は、その中間部を旋回自在に支承されている。オフセットブーム61の中間部にはオフセットブームシリンダ60が取り付けられている。アーム8はオフセットブームシリンダ60の作動により前記オフセットブーム61の先端部を支点として左右方向に揺動する。前記オフセットブームシリンダ60のヘッド側及びボトム側には上記第1実施形態と同じブーム回動防止弁20が直付けされている。 【0082】いずれのシリンダ50,60もヘッド側及びボトム側にブーム回動防止弁20を直付けしているため、スイングブーム51とオフセットブーム61の先端部とを回動させたとき、仮にヘッド側又はボトム側に接続された油圧ホースが破断したとしても、前記ブーム回動防止弁20によりその回動位置に固定され、無用な揺動が防止される。 【0083】以上の説明からも明らかなように、本発明に係る吊りフック20を備えた油圧ショベル1によれば、上記作業機4等の構造や作動形態に応じて、各シリンダ5,7,9,50,60の所望の保持圧発生部位に前記回動防止弁20を直付けしているため、常に掘削土砂や吊り荷重等により発生するシリンダヘッド側或いはボトム側の保持圧を確実に維持することができ、充分に且つ有効な土砂掘削、運搬作業及びクレーン作業が効果的に行えると共に、作業の安全性をも高めることができる。なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、それらの実施例から当業者が容易に変更可能な技術的な範囲をも当然に包含するものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001236 【氏名又は名称】株式会社小松製作所
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| 【出願日】 |
平成12年6月2日(2000.6.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091948 【弁理士】 【氏名又は名称】野口 武男
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| 【公開番号】 |
特開2001−342648(P2001−342648A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月14日(2001.12.14) |
| 【出願番号】 |
特願2000−165783(P2000−165783) |
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